説明

資料提示装置

【課題】利便性の高いマスク処理が可能な資料提示装置を提供する。
【解決手段】資料提示装置100は、被写体を撮影して原画像を生成する撮影部と、所定の第1のマークが原画像内に含まれているか否かを解析し、第1のマークが原画像内に含まれている場合に、原画像内の第1のマークの存在位置を検出する検出部と、原画像の少なくとも一部をマスクするマスク画像を原画像に合成するための合成位置と第1のマークの存在位置との相対的な位置関係を記憶する記憶部と、検出部によって検出された存在位置と前述した相対的な位置関係とに応じて合成位置を決定し、原画像内の前記決定された合成位置にマスク画像を合成して合成画像を生成する合成画像生成部と、合成画像を出力する出力部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資料を撮影して画像を生成し、この画像を外部の表示装置に表示する資料提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1〜3に記載されたような資料提示装置において、従来、撮影した画像の一部をマスクする機能を備えるものがある。このような機能を用いれば、例えば、学校等の授業において、答案用紙の正答部分を隠して生徒に視聴させることなどが可能になる。
【0003】
しかし従来は、マスク機能を利用する度に、リモコンや本体の操作部によってマスクする領域を指定する必要があり、その操作が煩わしかった。また、指定されたマスク領域は、表示画面上において固定されているため、撮影する資料が動いてしまうと、意図しない部分がマスクされたり露出してしまう場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−72744号公報
【特許文献2】特開2004−20889号公報
【特許文献3】特開2002−94856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの問題を踏まえ、本発明が解決しようとする課題は、より利便性の高いマスク処理が可能な資料提示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]資料提示装置であって、被写体を撮影して原画像を生成する撮影部と、所定の第1のマークが前記原画像内に含まれているか否かを解析し、前記第1のマークが前記原画像内に含まれている場合に、前記原画像内の前記第1のマークの存在位置を検出する検出部と、前記原画像の少なくとも一部をマスクするマスク画像を前記原画像に合成するための合成位置と、前記第1のマークの存在位置との相対的な位置関係を記憶する記憶部と、前記検出された存在位置と前記相対的な位置関係とに応じて前記合成位置を決定し、前記原画像内の前記決定された合成位置に前記マスク画像を合成して合成画像を生成する合成画像生成部と、前記合成画像を出力する出力部とを備える資料提示装置。
【0008】
このような構成では、原画像内に第1のマークが含まれる場合には、その第1のマークの存在位置と、予め定められた相対的な位置関係にある合成位置に、原画像の少なくとも一部をマスクするマスク画像が合成される。そのため、第1のマークが、原画像内で移動したとしても、出力される合成画像上のマスク画像も、その移動に追従して移動することになる。この結果、ユーザがマスクしたい部分を的確にマスクすることが可能になり、利便性の高いマスク処理が可能な資料提示装置を提供することが可能になる。
【0009】
[適用例2]適用例1に記載の資料提示装置であって、前記検出部は、前記第1のマークが前記原画像内に含まれている場合に、更に、前記第1のマークの傾きを検出し、前記合成画像生成部は、前記検出された傾きに応じて、前記合成位置と前記マスク画像の傾きとを調整する資料提示装置。このような構成であれば、被写体が傾いて撮影された場合においても、ユーザがマスクしたい部分を的確にマスクすることが可能になる。
【0010】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の資料提示装置であって、前記検出部は、前記第1のマークが前記原画像内に含まれている場合に、更に、前記第1のマークの大きさを検出し、前記合成画像生成部は、前記検出された大きさに応じて、前記合成位置と前記マスク画像の大きさとを調整する資料提示装置。このような構成であれば、光学ズームなどによって被写体が拡大あるいは縮小されて撮影された場合においても、ユーザがマスクしたい部分を的確にマスクすることが可能になる。
【0011】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか一項に記載の資料提示装置であって、前記検出部は、更に、前記第1のマークとは異なる第2のマークが前記原画像内に含まれているか否かを解析し、前記合成画像生成部は、前記第2のマークが前記原画像内に含まれている場合に、前記合成に関する所定の処理を実行する資料提示装置。このような構成であれば、被写体上に第2のマークが存在するか否かに応じて、合成に関する種々の処理を行うことが可能になる。
【0012】
[適用例5]適用例4に記載の資料提示装置であって、前記合成画像生成部は、前記第2のマークが前記原画像内に含まれている場合に、前記所定の処理として、前記合成画像から前記マスク画像を消去する処理を実行する資料提示装置。このような構成であれば、第1のマークが被写体上に存在する場合であっても、第2のマークを被写体上に配置することで、マスク画像を容易に消去することが可能になる。
【0013】
なお、本発明は、上述した資料提示装置としての構成のほか、資料提示装置の制御方法や使用方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などとしても構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例としての資料提示装置の外観図である。
【図2】資料提示装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】マスク情報の一例を示す説明図である。
【図4】マスク処理のフローチャートである。
【図5】合成画像が液晶ディスプレイに表示された例を示す説明図である。
【図6】マーク表示用マークに傾きが生じている場合の表示例を示す説明図である。
【図7】マーク表示用マークの大きさが本来の大きさと異なる場合の表示方法を示す図である。
【図8】マスク消去用マークが原画像データ内に検出された場合の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき次の順序で説明する。
A.資料提示装置の構成:
B.マスク処理:
C.変形例:
【0016】
A.資料提示装置の構成:
図1は、本発明の実施例としての資料提示装置100の外観図である。資料提示装置100は、机などに設置される本体102と、本体102に設けられた操作部103と、本体102から上側に伸びた屈曲可能な支柱104と、支柱104の先端に取り付けられたカメラヘッド106と、を備える。カメラヘッド106にはCCDカメラが内蔵されており、机などに載置された資料ST(被写体)を撮影する。本体102の背面には、映像出力端子190とUSBインタフェース195とが備えられている。映像出力端子190には、液晶ディスプレイ200や、プロジェクタ、テレビ等が接続される。USBインタフェース195には、コンピュータ(図示せず)が接続される。映像出力端子190やUSBインタフェース195からは、カメラヘッド106によって撮影された資料STの映像が出力される。
【0017】
本実施例の資料提示装置100は、撮影された資料ST上に、マスク処理用マークMKが付されているか否かに応じて、出力画像中に所定のマスク画像MIを合成する機能を備えている。以下、かかる機能を実現するための構成および処理について詳細に説明する。
【0018】
図2は、資料提示装置100の内部構成を示すブロック図である。資料提示装置100は、撮影部120と、フレームメモリ130と、マーク検出部140と、マスク画像生成部150と、合成画像生成部160と、画像出力部170と、画像符号化部180と、マスク登録部182と、フラッシュメモリ184と、を備えている。これらのうち、マーク検出部140と、マスク画像生成部150と、合成画像生成部160と、画像出力部170と、画像符号化部180と、マスク登録部182とは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によってハードウェア的に実現されている。
【0019】
撮影部120は、カメラヘッド106に内蔵されたCCDカメラや、CCDカメラから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログフロントエンド回路を備えている。撮影部120は光学ズーム機能を有しており、操作部103による操作に応じて、拡大率を調整することができる。撮影部120は、1秒間あたりに15フレームの画像を撮影し、撮影した画像を、原画像データN1としてフレームメモリ130に逐次記録する。
【0020】
マーク検出部140は、フレームメモリ130に記録された原画像データN1の中に、マスク処理用マークMKを表す画像が含まれるか否かを解析する。マスク処理用マークMKが含まれている場合には、更に、そのマスク処理用マークMKの種別を識別する。マスク処理用マークMKの種別は、フラッシュメモリ184に記録されたマスク情報INF内に記録されている。
【0021】
図3は、マスク情報INFの一例を示す説明図である。本実施例では、マスク処理用マークMKの種別として、複数種類(本実施例では3種類)のマスク表示用マークMKa,MKb,MKc(第1のマーク)と、1種類のマスク消去用マークMKe(第2のマーク)とが含まれている。マスク情報INFには、各マスク表示用マークMKa,MKb,MKcに対して、そのマスク表示用マークMKa,MKb,MKcが資料ST上に付された場合にマスクを行う範囲がマスク範囲データとして対応付けられている。このマスク範囲データは、各マスク表示用マークMKa,MKb,MKcの存在位置からの相対座標によってマスクを行う範囲を表している。なお、図3には、マスク範囲データとして、矩形の領域を表すデータが記録されている例を示したが、マスクの範囲は、円状であってもよいし、三角形や五角形等の矩形以外の多角形であってもよい。また、1つのマスク表示用マークに対して、マスク範囲データが複数、対応付けられていてもよい。
【0022】
図2に示したマーク検出部140は、原画像データN1を解析することによって、原画像データN1にマスク表示用マークMKa,MKb,MKcが含まれると判断した場合には、そのマスク表示用マークの種類(MKa〜MKc)を判別するとともに、そのマスク表示用マークの原画像データN1内における存在位置と、傾きと、大きさと、を検出する。また、マーク検出部140は、原画像データN1を解析することによって、原画像データN1にマスク消去用マークMKeが含まれると判断した場合には、後述する合成画像生成部160に対して、マスク画像MIを消去させるための信号(以下、「消去信号」という)を出力する。
【0023】
マスク画像生成部150は、マーク検出部140が検出したマスク表示用マークの種類に応じて、該当するマスク範囲データをマスク情報INFから読み込む。そして、読み込んだマスク範囲データに基づいて、原画像データN1の一部を隠すためのマスク画像MIを生成する。
【0024】
合成画像生成部160は、フレームメモリ130に記録された原画像データN1に対して、マスク画像生成部150によって生成されたマスク画像MIを合成し、合成画像データを生成する。生成された合成画像データは、画像出力部170と画像符号化部180とに転送される。なお、マーク検出部140から消去信号を受信した場合には、合成画像生成部160は、原画像データN1に対するマスク画像MIの合成を行わず、画像出力部170と画像符号化部180と対して、原画像データN1をそのまま転送する。
【0025】
画像出力部170は、合成画像生成部160から転送された合成画像データあるいは原画像データN1をD/A変換およびフレームレート変換し、アナログRGB信号として映像出力端子190から出力する。
【0026】
画像符号化部180は、合成画像生成部160から転送された合成画像データあるいは原画像データN1をJPEGデータにエンコード(符号化)し、USBインタフェース195から出力する。なお、画像符号化部180は、USBインタフェース195にコンピュータが接続されている場合にのみ、JPEGデータへのエンコードやJPEGデータの出力を行うこととしてもよい。
【0027】
マスク登録部182は、後述するマスク処理の実行に先立って、操作部103を介してユーザからマスク範囲データの入力を受け付け、これをフラッシュメモリ184内のマスク情報INFに記録する。具体的には、例えば、ユーザは、液晶ディスプレイ200に表示された資料ST上のマスク表示用マークの位置を確認しながら、そのマークに対応するマスク画像MIの範囲を操作部103を用いて指定する。そうすると、指定されたマスク画像MIの範囲(マスク範囲データ)が、液晶ディスプレイ200に表示されたマスク表示用マークの種類に対応付けられて、フラッシュメモリ内のマスク情報INFに記録される。
【0028】
B.マスク処理:
図4は、図2に示した各ブロックが協同して実行するマスク処理のフローチャートである。このマスク処理は、資料提示装置100の電源がオンにされている間、繰り返し実行される。このマスク処理が実行されると、撮影部120は、資料STを撮影して原画像データN1を生成し、フレームメモリ130に記録する(ステップS10)。
【0029】
原画像データN1がフレームメモリ130に記録されると、マーク検出部140は、周知のパターンマッチング法によって、原画像データN1の中にマスク処理用マークMKが含まれるか否かを解析する(ステップS12)。そして、この解析により、マスク処理用マークMKとして、マスク表示用マークMKa〜MKcが検出されたか否かを判断する(ステップS14)、マスク表示用マークMKa〜MKcが検出されなかった場合には、画像出力部170および画像符号化部180からは、撮影部120によって撮影された原画像データN1がそのまま出力される(ステップS16)。
【0030】
ステップS14において、マスク表示用マークMKa〜MKcが検出されたと判断された場合には、更に、マーク検出部140は、原画像データN1の中にマスク消去用マークMKeが検出されたか否かを判断する(ステップS18)。マスク消去用マークMKeが検出されなかった場合には、マーク検出部140は、更に、ステップS14で検出されたマスク表示用マークの種類と、そのマスク表示用マークの原画像内における存在位置、大きさ、傾きを検出する(ステップS20)。このとき、複数種類のマスク表示用マークが検出された場合には、各マスク表示用マークについて、それぞれ、存在位置と大きさと傾きとを検出する。
【0031】
ステップS20において、マスク表示用マークの種類、存在位置、大きさ、傾きが検出されると、続いて、マスク画像生成部150は、検出されたマスク表示用マークの種類に応じたマスク範囲データをフラッシュメモリ184に記憶されたマスク情報INFから読み込み(ステップS22)、マスク画像MIを生成する(ステップS24)。このとき、マスク画像生成部150は、ステップS20で検出されたマスク表示用マークの存在位置、傾き、大きさに応じて、マスク画像MIの位置、傾き、大きさを周知の座標変換法(例えば、アフィン変換)によって調整する。
【0032】
マスク画像生成部150によって、マスク画像MIが生成されると、合成画像生成部160は、フレームメモリ130から原画像データN1を読み込む。そして、この原画像データN1に対して、マスク画像生成部150によって生成されたマスク画像MIを合成し、合成画像を生成する(ステップS26)。こうして合成画像が生成されると、画像出力部170および画像符号化部180によって、合成画像が出力される(ステップS28)。
【0033】
図5は、合成画像N2が液晶ディスプレイ200に表示された例を示す説明図である。この図5には、原画像データN1中に2つのマスク表示用マークMKa,MKbが含まれている場合の合成画像N2の表示例を示している。このように、原画像データN1中に2つのマスク表示用マークMKa,MKbが配置されている場合には、マスク情報INFから、2つのマスク表示用マークMKa,MKbのそれぞれについてマスク範囲データが読み込まれ、各マスク表示用マークMKa,MKbに対して、それぞれ、1箇所ずつ、マスク画像MIが表示される。
【0034】
図6は、マーク表示用マークに傾きが生じている場合の表示例を示す説明図である。原画像データN1内のマーク表示用マークに、角度θの傾きが生じている場合には、その角度θに応じて、マスク範囲データの各座標が調整される。この結果、図6に示すように、合成画像N2中のマスク画像MIの位置および傾きも調整される。
【0035】
図7は、原画像データ内に検出されたマーク表示用マークの大きさが本来の大きさと異なる場合の表示方法を示す図である。図7(a)には、マーク表示用マークの本来の大きさを示し、図7(b)には、光学ズームによってマーク表示用マークが2倍の大きさで原画像データ内から検出された例を示している。このように、マーク表示用マークが本来の大きさとは異なる大きさで検出された場合には、その拡大率(図7の場合には2倍)に応じて、マスク画像MIの表示位置と大きさとが調整される。
【0036】
なお、原画像データ内のマーク表示用マークに傾きが生じており、かつ、マーク表示用マークが本来の大きさと異なる場合には、マスク画像MIに対して、図6と図7とに示した処理が同時に実行される。
【0037】
図8は、マスク消去用マークMKeが原画像データ内に検出された場合の表示例を示す図である。上記ステップS18において、マスク消去用マークMKeが原画像データN1内から検出された場合には、マーク検出部140から合成画像生成部160に対して、消去信号が出力される。この結果、図8に示すように、原画像データN1内に、マスク表示用マークMKa,MKbが存在していたとしても、マスク画像MIは原画像データN1に合成されず、画像出力部170あるいは画像符号化部180から原画像データN1がそのまま出力されることになる(ステップS16)。そのため、例えば、マスク画像MIが表示された状態で、マスク消去用マークMKeを資料ST上に後から配置した場合などには、これまで表示されていたマスク画像MIが消去され、液晶ディスプレイ200等には、資料STの内容がそのまま表示されることになる。
【0038】
以上で説明した本実施例の資料提示装置100によれば、マスク表示用マークを資料ST上に配置するだけで、予めマスク情報INFに登録しておいたマスク画像MIが原画像データに合成されて表示される。そのため、ユーザは、資料上の所望の範囲を容易にマスクすることができる。また、マスク画像MIの生成時に参照されるマスク情報INFには、マスクを行う範囲が、マスク表示用マークの存在位置からの相対座標によって記録されている。そのため、資料STが動いてしまったとしても、その資料STの動きに追従してマスク画像MIも表示画面上を移動する。この結果、ユーザがマスクしたい部分を的確にマスクすることが可能になる。さらに、本実施例では、マスク表示用マークの傾きと大きさと応じて、マスク画像MIの傾きや大きさも調整されるため、資料STがどのような状態で撮影されたとしても、ユーザがマスクしたい部分を的確にマスクすることができる。
【0039】
また、本実施例では、資料ST上に、マスク消去用マークが配置されると、資料ST上にマスク表示用マークが配置されていたとしても、マスク画像MIが消去される。そのため、例えば、資料ST上にマスク表示用マークが印刷されている場合であっても、容易にマスク画像MIを消去することが可能になる。また、本実施例では、マスク消去用マークの位置や傾き、大きさにかかわらず、マスク消去用マークが原画像データ内から検出されれば、マスク画像MIを消去するため、マスク画像MIをより一層、容易に消去することが可能になる。
【0040】
C.変形例:
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はこのような実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば、以下のような変形が可能である。
【0041】
・変形例1:
上述した実施例では、資料提示装置100に備えられた操作部103を用いて、マスク範囲データの登録を行うこととした。しかし、マスク範囲データの登録は、他の方法によって行うこととしてもよい。例えば、図2に示したフラッシュメモリ184を着脱自在のメモリカードとして構成すれば、コンピュータ等によって予めマスク範囲データを編集することが可能になる。また、USBインタフェース195を介して接続されたコンピュータによって、直接、マスク範囲データを編集可能としてもよい。
【0042】
・変形例2:
マスク範囲データの登録は、他の方法によっても実現可能である。例えば、ユーザは、資料ST上に、予めマスク表示用マークを配置し、更に、マスクしたい範囲と同じ大きさの所定の色の用紙を、マスクしたい部分に載置する。この状態で、資料提示装置100は、撮影部120によって、この資料STを撮影し、マーク検出部140によって、マスク表示用マークと、上述した所定の色の範囲を検出する。こうして、マスク表示用マークと、所定の色の範囲を検出すると、マスク登録部182は、検出された所定の色の範囲を、同じく検出されたマスク表示用マークに対応付けてマスク情報INFに記録する。このような方法によってマスク範囲データを登録可能とすれば、ユーザは、容易にマスク範囲データを登録することが可能になる。
【0043】
・変形例3:
上述した実施例では、マスク表示用マークとマスク画像MIとの間に、所定の間隔が設けられている例を示した。しかし、マスク画像MIは、マスク表示用マークに隣接して表示されることとしてもよい。こうすることにより、ユーザは、マスク画像MIを配置する位置を容易に指定することができる。また、この場合に、マスク表示用マークの図柄に応じて、マスクされる範囲が予め設定されていることとしてもよい。こうすることで、ユーザは、マスク表示用マークを使い分けることで、マスクを行う範囲を容易に指定することが可能になる。
【0044】
・変形例4:
上述した実施例では、マスク表示用マークとして、矩形の枠内にアルファベットが配置された図柄を示したが、マスク表示用マークをバーコード等によって構成することとしてもよい。そして、このバーコードに、マスク範囲データを記録しておくこととしてもよい。このようにすれば、フラッシュメモリ184にマスク範囲データが登録されていなくても、バーコードを解析することでマスクの範囲を決定することができる。
【0045】
・変形例5:
上述した実施例では、マスク処理用マークとして、マスク表示用マークとマスク消去用マークとを示したが、マスク処理用マークはこれらに限られず、マスクの合成に関する他の様々な処理を実行可能なマークを用意してもよい。例えば、マスク画像MI内に、予め定められた画像や映像を表示可能なマークを用意してもよい。また、マスク消去用マークとして、マスク画像MIの色が徐々に薄くなるようなアニメーションや、マスク画像MIが他の位置あるいは画面外に移動するアニメーションが行われるマークを用意してもよい。
【0046】
・変形例6:
上述した実施例では、原画像データN1内にマスク消去用マークMKeが検出された場合には、すべてのマスク画像MIが消去されることとした。これに対して、例えば、マスク消去用マークMKeに最も近接したマスク画像MIのみが消去されることとしてもよい。また、マスク表示用マークが複数種類存在する場合には、それぞれのマスク表示用マークに対応するマスク消去用マークを用意してもよい。こうすることによって、消去したいマスク画像MIを容易に指定することが可能になる。
【0047】
・変形例7:
上述した実施例では、図4に示したマスク処理を、ASICにより構成されたマーク検出部140や、マスク画像生成部150、合成画像生成部160、画像出力部170、画像符号化部180によって実行することとした。これに対して、マスク処理は、CPUやRAM、ROMを備えるマイクロコンピュータによって、ソフトウェア的に実行されることとしてもよい。
【0048】
・変形例8:
上述した実施例では、マスク表示用マークとして、矩形の枠内にアルファベットが配置されたマークを採用した。しかし、この図柄は任意であり、マスク表示用マークの位置と方向と大きさとが検出可能な図柄であればよい。また、マスク消去用マークの図柄も、適宜他の図柄を採用可能である。
【符号の説明】
【0049】
100…資料提示装置
102…本体
103…操作部
104…支柱
106…カメラヘッド
120…撮影部
130…フレームメモリ
140…マーク検出部
150…マスク画像生成部
160…合成画像生成部
170…画像出力部
180…画像符号化部
182…マスク登録部
184…フラッシュメモリ
190…映像出力端子
195…USBインタフェース
200…液晶ディスプレイ
ST…資料
INF…マスク情報
N1…原画像データ
N2…合成画像
MI…マスク画像
MK…マスク処理用マーク
MKa,MKb,MKc…マスク表示用マーク
MKe…マスク消去用マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資料提示装置であって、
被写体を撮影して原画像を生成する撮影部と、
所定の第1のマークが前記原画像内に含まれているか否かを解析し、前記第1のマークが前記原画像内に含まれている場合に、前記原画像内の前記第1のマークの存在位置を検出する検出部と、
前記原画像の少なくとも一部をマスクするマスク画像を前記原画像に合成するための合成位置と、前記第1のマークの存在位置との相対的な位置関係を記憶する記憶部と、
前記検出された存在位置と前記相対的な位置関係とに応じて前記合成位置を決定し、前記原画像内の前記決定された合成位置に前記マスク画像を合成して合成画像を生成する合成画像生成部と、
前記合成画像を出力する出力部と
を備える資料提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の資料提示装置であって、
前記検出部は、前記第1のマークが前記原画像内に含まれている場合に、更に、前記第1のマークの傾きを検出し、
前記合成画像生成部は、前記検出された傾きに応じて、前記合成位置と前記マスク画像の傾きとを調整する
資料提示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の資料提示装置であって、
前記検出部は、前記第1のマークが前記原画像内に含まれている場合に、更に、前記第1のマークの大きさを検出し、
前記合成画像生成部は、前記検出された大きさに応じて、前記合成位置と前記マスク画像の大きさとを調整する
資料提示装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の資料提示装置であって、
前記検出部は、更に、前記第1のマークとは異なる第2のマークが前記原画像内に含まれているか否かを解析し、
前記合成画像生成部は、前記第2のマークが前記原画像内に含まれている場合に、前記合成に関する所定の処理を実行する
資料提示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の資料提示装置であって、
前記合成画像生成部は、前記第2のマークが前記原画像内に含まれている場合に、前記所定の処理として、前記合成画像から前記マスク画像を消去する処理を実行する
資料提示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−30031(P2011−30031A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174855(P2009−174855)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】