説明

資料提示装置

【課題】静止画像を出力する場合においても、動画像を出力する場合と同様の動作によって、資料上の任意の場所を指し示すことが可能な資料提示装置を提供する。
【解決手段】資料提示装置100は、被写体を所定の時間間隔で撮影して原画像を逐次生成する撮影部と、原画像を逐次記憶する第1の記憶部と、原画像のうちの一の原画像を静止画像として記憶する第2の記憶部と、所定の指示部材が原画像に含まれているか否かを解析し、指示部材が原画像内に含まれている場合に、指示部材が指し示す位置および方向を検出する検出部と、こうして検出された位置および方向を示すポインタ画像を生成するポインタ画像生成部と、第2の記憶部から静止画像を読み出して、この静止画像にポインタ画像を合成し、合成画像を生成する合成画像生成部と、この合成画像を出力する出力部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資料を撮影して画像を生成し、この画像を外部の表示装置に表示する資料提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、資料提示装置を用いてプレゼンテーションを行うにあたり、指し棒等によって資料上の任意の場所を直接的に指し示すことが行われていた。しかし、撮影した映像を一時的に停止させて静止画を出力させた場合には、指し棒がリアルタイムに表示装置に表示されないため、ユーザは、表示装置やスクリーンにまで移動して、表示画像上で目的の場所を指し示す必要があった。
【0003】
このような問題に関し、例えば、特許文献1には、資料提示装置の撮影範囲に検出されたペン先の指示マークの位置に基づいて、静止画像上にポイント画像を合成する技術が開示されている。しかし、このような技術では、ペンとポイント画像の形状が全く異なるため、場所を指し示す動作を変更せざるを得ない場合があった。具体的には、ペンによって任意の場所を指し示した場合には、指し示す方向が明らかであるため、ペン先を動かす必要はないが、ポイント画像によって場所を指し示す場合には、目的の場所の周囲を回転させるようにポイント画像を移動させなければ、指し示す場所が不明確になる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−23359号公報
【特許文献2】特開2005−252523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような問題を踏まえ、本発明が解決しようとする課題は、静止画像を出力する場合においても、動画像を出力する場合と同様の動作によって、資料上の任意の場所を指し示すことが可能な資料提示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]資料提示装置であって、被写体を所定の時間間隔で撮影して原画像を逐次生成する撮影部と、前記生成された原画像を逐次記憶する第1の記憶部と、前記生成された原画像のうちの一の原画像を静止画像として記憶する第2の記憶部と、所定の指示部材が前記第1の記憶部に記憶された原画像に含まれているか否かを解析し、前記指示部材が前記原画像内に含まれている場合に、前記指示部材が指し示す位置および方向を検出する検出部と、前記検出された位置および方向を示すポインタ画像を生成するポインタ画像生成部と、前記第2の記憶部から前記静止画像を読み出して、該静止画像に前記生成されたポインタ画像を合成し、合成画像を生成する合成画像生成部と、前記合成画像を出力する出力部とを備える資料提示装置。
【0008】
このような構成では、第1の記憶部に逐次記憶される原画像中に所定の指示部材が含まれる場合に、この指示部材が指し示す位置および方向が検出され、この位置および方向を示すポインタ画像が生成される。そして、第2の記憶部から読み出された静止画像に、このポインタ画像が合成されて出力される。つまり、上記構成によれば、撮影部によって撮影された指示部材が指し示す位置および方向と同様の位置および方向を指し示すポインタ画像が、静止画像上に表示されることになる。この結果、静止画像を出力する場合においても、動画像を出力する場合と同様の動作によって、資料上の任意の場所を指し示すことが可能になる。
【0009】
なお、本発明は、上述した資料提示装置としての構成のほか、資料提示装置の制御方法や使用方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などとしても構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例としての資料提示装置100の外観図である。
【図2】資料提示装置100の内部構成を示すブロック図である。
【図3】画像表示処理のフローチャートである。
【図4】原画像データN1内に指し棒PRが含まれている様子を示す説明図である。
【図5】指定位置および指定方向の検出方法を示す説明図である。
【図6】合成画像データN3が液晶ディスプレイ200に表示された例を示す説明図である。
【図7】合成画像データN3が液晶ディスプレイ200に表示された例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき次の順序で説明する。
A.資料提示装置の構成:
B.画像表示処理:
C.変形例:
【0012】
A.資料提示装置の構成:
図1は、本発明の実施例としての資料提示装置100の外観図である。資料提示装置100は、机などに設置される本体102と、本体102に設けられた操作部103と、本体102から上側に伸びた屈曲可能な支柱104と、支柱104の先端に取り付けられたカメラヘッド106と、を備える。カメラヘッド106にはCCDカメラが内蔵されており、机などに載置された被写体PSを撮影する。本体102の背面には、映像出力端子190とUSBインタフェース195とが備えられている。映像出力端子190には、液晶ディスプレイ200や、プロジェクタ、テレビ等が接続される。USBインタフェース195には、コンピュータ(図示せず)が接続される。映像出力端子190やUSBインタフェース195からは、カメラヘッド106によって撮影された被写体PSの映像が出力される。
【0013】
本実施例の資料提示装置100は、静止画を出力するための静止画ボタン105を操作部103内に備えている。この静止画ボタン105が押されると、液晶ディスプレイ200等には、撮影部120によって撮影された被写体PSの静止画が表示される。本実施例では、こうして静止画が表示されている際に、指示部材としての指し棒PRを資料提示装置100の撮影範囲SA内に配置すると、この指し棒PRが指し示す位置および方向と同様の位置および方向を指し示すポインタ画像PTが静止画上に合成されて表示される。以下、かかる機能を実現するための構成および処理について詳細に説明する。
【0014】
図2は、資料提示装置100の内部構成を示すブロック図である。資料提示装置100は、撮影部120と、第1の記憶部としての第1フレームメモリ125と、静止画生成部130と、第2の記憶部としての第2フレームメモリ135と、指し棒検出部140と、ポインタ画像生成部145と、合成画像生成部150と、画像出力部155と、画像符号化部160と、を備えている。これらのうち、静止画生成部130と、指し棒検出部140と、ポインタ画像生成部145と、合成画像生成部150と、画像出力部155と、画像符号化部160とは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によってハードウェア的に実現されている。
【0015】
撮影部120は、カメラヘッド106に内蔵されたCCDカメラや、CCDカメラから出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログフロントエンド回路を備えている。撮影部120は、1秒間あたりに15フレームの画像を撮影し、撮影した画像を、原画像データN1として第1フレームメモリ125に逐次記録する。
【0016】
静止画生成部130は、操作部103内の静止画ボタン105が押された場合に、第1フレームメモリ125から、その時点で記録されている原画像データN1を読み出して、この原画像データN1を、第2フレームメモリ135に、静止画データN2として記録する。このとき、静止画生成部130は、映像の出力モード(以下、「映像出力モード」という)を、「静止画モード」とする。また、静止画ボタン105が再度押されると、静止画生成部130は、映像出力モードを、「動画モード」とする。静止画生成部130からは、現在の映像出力モードを表すモード信号が、後述する画像出力部155と、画像符号化部160とに送信される。本実施例では、資料提示装置100の電源投入直後には、映像出力モードは、「動画モード」であることとする。
【0017】
指し棒検出部140は、第1フレームメモリ125に記録された原画像データN1の中に、指し棒PRを表す画像が含まれるか否かを解析する。この解析の結果、指し棒PRを表す画像が含まれていると判断した場合には、指し棒検出部140は、更に、その指し棒PRが指し示す位置と方向とを検出する。以下、指し棒PRが指し示す位置を「指定位置」といい、指し棒PRが指し示す方向を「指定方向」という。
【0018】
ポインタ画像生成部145は、指し棒検出部140が検出した指定位置および指定方向に応じて、ポインタ画像PTを生成する。
【0019】
合成画像生成部150は、第2フレームメモリ135に記録された静止画データN2を読み出して、この静止画データN2に対して、ポインタ画像生成部145によって生成されたポインタ画像PTを合成し、合成画像データを生成する。生成された合成画像データは、画像出力部155と画像符号化部160とに出力される。
【0020】
画像出力部155は、第1フレームメモリ125に記録された原画像データN1もしくは合成画像生成部150で生成された合成画像データをD/A変換およびフレームレート変換し、アナログRGB信号として映像出力端子190から出力する。このとき、画像出力部155は、静止画生成部130から受信したモード信号に応じて、出力する画像データを選択する。具体的には、受信したモード信号が、動画モードを表す信号であれば、第1フレームメモリ125に記録された原画像データN1を出力し、静止画モードを表す信号であれば、合成画像生成部150によって生成された合成画像データを出力する。
【0021】
画像符号化部160は、第1フレームメモリ125に記録された原画像データN1もしくは合成画像生成部150で生成された合成画像データをJPEGデータにエンコード(符号化)し、USBインタフェース195から出力する。画像符号化部160は、画像出力部155と同様に、静止画生成部130から受信したモード信号に応じて、出力する画像データを選択する。なお、画像符号化部160は、USBインタフェース195にコンピュータが接続されている場合にのみ、JPEGデータへのエンコードやJPEGデータの出力を行うこととしてもよい。
【0022】
なお、本実施例では、フレームメモリとして、原画像データN1が記憶される第1フレームメモリ125と、静止画データN2が記憶される第2フレームメモリ135とを別々に用意したが、1つのフレームメモリの中の別々の領域に、原画像データN1と静止画データN2とを記憶させることとしてもよい。
【0023】
B.画像表示処理:
図3は、図2に示した各ブロックが協同して実行する画像表示処理のフローチャートである。この画像表示処理は、資料提示装置100の電源がオンにされている間、繰り返し実行される。この画像表示処理が実行されると、撮影部120は、被写体PSを撮影して原画像データN1を生成し、第1フレームメモリ125に記録する(ステップS10)。
【0024】
原画像データN1が第1フレームメモリ125に記録されると、指し棒検出部140は、周知のパターンマッチング法によって、この原画像データN1を解析し(ステップS12)、原画像データN1の中に指し棒PRを表す画像が検出されたかを判断する(ステップS14)。
【0025】
図4は、原画像データN1内に指し棒PRが含まれている様子を示す説明図である。本実施例では、指し棒PRの先端には、矩形の枠FR内に矢印ARが配置された図柄を有する部材が設けられている。そのため、指し棒検出部140は、まず、周知のパターンマッチング法に基づいて、原画像データN1の中から、矩形の枠FRの検出を行う。矩形の枠FRが原画像データN1内から検出されれば、指し棒検出部140は、原画像データN1内に指し棒PRが検出されたと判断する。一方、矩形の枠FRが原画像データN1内から検出されなければ、指し棒検出部140は、原画像データN1内に指し棒PRが検出されなかったと判断する。
【0026】
ステップS14において、原画像データN1内に指し棒PRが検出されたと判断された場合には、指し棒検出部140は、指定位置および指定方向の検出を行う(ステップS16)。
【0027】
図5は、指定位置および指定方向の検出方法を示す説明図である。この図5には、図4に示した矩形の枠FRと矢印ARとを簡略化して表している。指し棒検出部140は、上記ステップS16において、まず、矩形の枠FR内に配置された矢印ARを周知のパターンマッチング法に基づいて検出する。そして、この矢印ARの先端の位置P1(x1,y1)と後端の位置P2(x2,y2)とを検出し、検出された矢印ARの先端の位置を、指定位置として決定する。また、後端の位置P2(x2,y2)から先端の位置P1(x1,y1)に向かうベクトルの方向を、指定方向として決定する。
【0028】
ステップS16において、指定位置および指定方向が検出されると、ポインタ画像生成部145は、検出された指定位置を、同じく検出された指定方向から指し示すポインタ画像PTを生成する(ステップS18)。これに対して、ステップS14において、指し棒PRが検出されなかった場合には、上述したステップS16およびステップS18の処理はスキップされ、ポインタ画像の生成は行われない。
【0029】
続いて、合成画像生成部150は、第2フレームメモリ135から静止画データN2を読み出す(ステップS20)。合成画像生成部150、この静止画データN2に対して、ステップS18で生成されたポインタ画像PTを合成し、合成画像データを生成する(ステップS22)。なお、ステップS14において、指し棒PRが検出されなかった場合には、ステップS18においてポインタ画像PTの生成が行われないので、ステップS22では、静止画データN2に対して、ポインタ画像PTの合成は行われない。そのため、この場合には、ステップS22で得られる合成画像データは、静止画データN2をそのまま表すことになる。
【0030】
ステップS22において、合成画像データが生成されると、画像出力部155および画像符号化部160は、静止画生成部130から受信したモード信号に基づき、現在の映像出力モードが静止画モードであるか否かを判断する(ステップS24)。現在の映像出力モードが動画像モードであれば、画像出力部155および画像符号化部160は、ステップS10において、第1フレームメモリ125に記録された原画像データN1を出力する(ステップS26)。一方、現在の映像出力モードが静止画モードであれば、画像出力部155および画像符号化部160は、ステップS22で生成された合成画像データを出力する(ステップS28)。
【0031】
図6および図7は、合成画像データN3が液晶ディスプレイ200に表示された例を示す説明図である。これらの図には、指し棒PRが指し示す方向に応じて、異なる方向を向くポインタ画像PTが表示された例をそれぞれ示した。なお、図6および図7には、ポインタ画像PTとして、指し棒PRと異なる形態の画像を示しているが、ポインタ画像PTは、指し棒PRの形態を模した画像としてもよい。
【0032】
以上で説明した本実施例の資料提示装置100によれば、第1フレームメモリ125に逐次記録される原画像データN1中の指し棒PRの位置および方向に基づいてポインタ画像PTが生成され、このポインタ画像が液晶ディスプレイ200等に出力される静止画に合成される。本実施例では、このようにして静止画中に合成されるポインタ画像PTは、指し棒PRが指し示す方向と同じ方向を指し示す。そのため、資料提示装置100から静止画が出力される場合においても、ユーザは、動画像が出力されている場合と同様の動作によって、静止画上の任意の場所を指し示すことが可能になる。
【0033】
C.変形例:
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はこのような実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば、以下のような変形が可能である。
【0034】
・変形例1:
上述した実施例では、指し棒PRが指し示す方向と同じ方向を示すポインタ画像PTを静止画上に合成することとした。これに加えて、静止画上に合成されるポインタ画像PTは、指し棒PRの色と同様の色を有することとしてもよい。こうすることにより、映像出力モードの切り替え時におけるポインタ画像PTの視認性を向上させることが可能になる。指し棒PRの色は、パターンマッチング時において自動的に判別することとしてもよいし、予め定められていることとしてもよい。
【0035】
・変形例2:
上述した実施例では、図3に示した画像表示処理を、ASICにより構成された静止画生成部130や、指し棒検出部140、ポインタ画像生成部145、合成画像生成部150、画像出力部155、画像符号化部160によって実行することとした。これに対して、画像表示処理は、CPUやRAM、ROMを備えるマイクロコンピュータによって、ソフトウェア的に実行されることとしてもよい。
【0036】
・変形例3:
上述した実施例では、矩形の枠FR内に矢印ARが配置された図柄を有する部材が指し棒PRの先端に設けられていることとした。しかし、この図柄は任意であり、位置と方向とが検出可能な図柄であればよい。
【符号の説明】
【0037】
100…資料提示装置
102…本体
103…操作部
104…支柱
105…静止画ボタン
106…カメラヘッド
120…撮影部
125…第1フレームメモリ
130…静止画生成部
135…第2フレームメモリ
140…指し棒検出部
145…ポインタ画像生成部
150…合成画像生成部
155…画像出力部
160…画像符号化部
190…映像出力端子
195…USBインタフェース
200…液晶ディスプレイ
N1…原画像データ
N2…静止画データ
N3…合成画像データ
SA…撮影範囲
PR…指し棒
FR…枠
AR…矢印
PS…被写体
PT…ポインタ画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資料提示装置であって、
被写体を所定の時間間隔で撮影して原画像を逐次生成する撮影部と、
前記生成された原画像を逐次記憶する第1の記憶部と、
前記生成された原画像のうちの一の原画像を静止画像として記憶する第2の記憶部と、
所定の指示部材が前記第1の記憶部に記憶された原画像に含まれているか否かを解析し、前記指示部材が前記原画像内に含まれている場合に、前記指示部材が指し示す位置および方向を検出する検出部と、
前記検出された位置および方向を示すポインタ画像を生成するポインタ画像生成部と、
前記第2の記憶部から前記静止画像を読み出して、該静止画像に前記生成されたポインタ画像を合成し、合成画像を生成する合成画像生成部と、
前記合成画像を出力する出力部と
を備える資料提示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−34468(P2011−34468A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182078(P2009−182078)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】