説明

走行車両

【課題】旋回後の進入位置合わせを行える自動走行制御機能を備えた農業用の走行車両を提供すること。
【解決手段】ステアリングハンドルに連動して正転と逆転をするステアリングシャフト15の切れ角を検出する切れ角センサ49と該シャフト15に回転駆動力を伝達するための正逆転モータ20とモータ20の回転駆動力をシャフト15に伝達するための電磁クラッチ22を有する連動機構を備えた自動操舵装置25とカメラ53で圃場内の遠目標X及び/又は作業軌跡Tを検出してモニタ47に表示可能とし、自動スイッチの「入」操作時時に、前記切れ角センサ49が所定量のシャフト切れ角を検出して車両の旋回が行われたと判断されると、モニタ47で表示される旋回後の遠目標Xの位置情報及び/又は作業軌跡Tの位置情報に基づき自動操舵装置25のモータ20を作動させて圃場内で直進走行の自動操舵を行う制御構成を有する制御装置100を備えた走行車両である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングハンドル部に装着する走行車両自動操舵用駆動装置を備えた農業用の走行車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載した方位センサにより時間の経過と共に送られてくる走行方位情報に基づき直進走行制御を自動的に行う農業用車両が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−14209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の直進走行制御を自動的に行う農業用車両では、直進走行制御は出来ても旋回後に新たな直進するために行う旋回後の正確な進入位置を考慮した構成ではなかった。
本発明の課題は、旋回後の進入位置合わせが行える機能を備えた農業用の走行車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために次の構成を有する。
請求項1記載の発明は、走行車両(1)の操舵をするステアリングハンドル(9)と、該ステアリングハンドル(9)に連動して正転と逆転をするステアリングシャフト(15)と、該ステアリングシャフト(15)の切れ角を検出するステアリングシャフト切れ角センサ(49)と、ステアリングシャフト(15)に回転駆動力を伝達するための正逆転モータ(20)と、該正逆転モータ(20)の回転駆動力をステアリングシャフト(15)に伝達するための電磁クラッチ(22)を有する連動機構と、該電磁クラッチ(22)の作動/非作動を司る自動スイッチ(24)を有する操舵装置(25)と、走行車両(1)の前方に設置した圃場内の遠目標(X)及び/又は作業軌跡(T)を検出する操舵方向検出手段(53)と、該操舵方向検出手段(53)で検出された遠目標(X)及び/又は作業軌跡(T)を画面上に表示するモニタ(47b又は47c)と、自動スイッチ(24)の作動時に、前記モニタ(47b又は47c)で表示される遠目標(X)及び/又は作業軌跡(T)の位置に基づき操舵装置(25)の正逆転モータ(20)を作動させて圃場内で直進走行の自動操舵を行う制御構成と、ステアリングシャフト切れ角センサ(49)が所定量のステアリングシャフト切れ角を検出して走行車両(1)の旋回が開始されると判断すると自動スイッチ(24)が作動して前記直進走行の自動操舵を行う構成を開始する制御構成を有する制御装置(100)を備えたことを特徴とする走行車両である。
【0006】
請求項2記載の発明は、制御装置(100)が、走行車両の旋回操作後に前記直進走行の自動操舵を行う圃場内での進入位置を複数の表示点を用いてモニタ(47c)上に表示する制御構成を備えていることを特徴とする請求項1記載の走行車両である。
【0007】
請求項3記載の発明は、操舵方向検出手段(53)で遠目標(X)がモニタ(47b又は47c)上に検出されると、遠目標(X)位置に基づき前記直進走行の自動操舵を優先的に行い、あるいは作業軌跡(T)がモニタ(47b又は47c)上に検出されると、遠目標(X)位置に基づく前記直進走行の自動操舵が実行されない場合には前記作業軌跡(T)の位置に基づき前記直進走行の自動操舵を行う制御構成を制御装置(100)が備えていることを特徴とする請求項1記載の走行車両である。
【0008】
請求項4記載の発明は、制御装置(100)が、操舵方向検出手段(53)で検出され、モニタ(47b又は47c)上に表示される遠目標(X)の画像のデータ数の全モニタ画面のデータ数に対する割合が所定値以上であると、自動スイッチ(24)の切り操作により前記直進走行の自動操舵を手動操舵に切り替え可能な制御構成を備えていることを特徴とする請求項1記載の走行車両である。
【0009】
請求項5記載の発明は、制御装置(100)が、前記直進走行の自動操舵が終了すると、前記自動スイッチ(24)が切り操作されて手動操舵が行われ、前記手動操舵で旋回後に操舵方向検出手段(53)で検出された遠目標(X)がモニタ(47b又は47c)の中央に表示され、その状態で所定時間経過すると、前記自動スイッチ(24)が入り操作されて前記直進走行の自動操舵に切り替える制御構成を備えたことを特徴とする請求項1記載の走行車両である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、旋回後に自動的に直進走行の自動操舵を行う制御構成が作動して遠目標(X)位置又は作業軌跡(T)位置の情報に基づき確実にオペレータは走行車両の直進走行の位置合わせを行うことができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、車両の進入位置が複数の表示点を用いたモニタ(47c)上に表示されるので、複数の表示点の中の適切な表示点を遠目標(X)として旋回後に自動的に直進走行の自動操舵を行う制御構成が作動して確実にオペレータに車両の直進走行の位置合わせを知らせることができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、遠目標(X)位置に基づき前記直進走行の自動操舵を優先的に行い、作業軌跡(T)がモニタ(47b又は47c)上に検出されると、遠目標(X)位置に基づく前記直進走行の自動操舵が行われなければ、前記作業軌跡(T)の位置に基づき前記直進走行の自動操舵を行うので、走行車両の旋回後にまず遠目標(X)に基づく直進走行の自動操舵を行うことができ、旋回後の直進走行自動操舵が容易となる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、遠目標(X)の画像のデータ数の全モニタ画面のデータ数に対する割合が所定値以上であると、前記自動スイッチ(24)の切り操作により前記直進走行の自動操舵を手動操舵に切り替えることができるので、遠目標(X)に近づいてきたら自動操舵から手動操舵に切り替えてオペレータの望み通りに操舵ができる。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、手動操舵で旋回後に操舵方向検出手段(53)で検出された遠目標(X)がモニタ(47b又は47c)の中央に表示され、その状態で所定時間経過すると前記自動スイッチ(24)が入り操作されて前記直進走行の自動操舵に切り替えることができるので、旋回終了後の直進走行の自動操舵に容易に移行できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】農用作業走行車両の一例としての農用トラクタの右側面図である。
【図2】図1の農用トラクタの前部側面図である。
【図3】図1のトラクタの内部における自動操舵用の主な装置の配置位置を示す図である。
【図4】図3のトラクタの自動操舵用の主な装置の関係図である。
【図5】図1のトラクタの自動操舵用の制御ブロック図である、
【図6】図1のトラクタの自動操舵制御のフローチャートである。
【図7】図1のトラクタの自動操舵制御時のモニタの遠目標Xの画像を示す図(図7(a))とトラクタの自動操舵を説明する平面図(図7(b))である。
【図8】図1のトラクタの自動操舵制御のフローチャートである。
【図9】図1のトラクタの自動操舵制御時の進入位置モニタの平面図である。
【図10】図1のトラクタのカメラで遠目標Xを検知して後に行う直進制御と作業軌跡を検知しながら行う走行制御の説明図である。
【図11】図1のトラクタの自動操舵制御時の作業軌跡により直進制御を行うフローチャート(図11(a))とその際のトラクタの自動操舵を説明する平面図(図11(b))である。
【図12】図1のトラクタによる未耕地と既耕地の境界検出のための手順を示すフローチャートである。
【図13】図1のトラクタに搭載したカメラを用いる画像処理により耕耘境界の近傍の画像を示す。
【図14】図1のトラクタに搭載したカメラを用いる画像処理により未耕地側と既耕地側とに各々ピークを有するヒストグラムのパターンである。
【図15】図1のトラクタに搭載したカメラを用いるデータの2値化処理により未耕地と既耕地の境界を検出する画像である。
【図16】図1のトラクタの遠目標や作業軌跡が適正位置になると直進走行制御を行うフローチャート(図16(a))と遠目標がモニタの画像の左右方向の中間位置に適正位置になった場合を説明する図(図16(b))である。
【図17】図1のトラクタの作業軌跡が適正位置になると直進走行制御を行うフローチャート(図17(a))と遠目標がモニタの画像の左右方向の中間位置に適正位置になった場合を説明する図(図17(b))である。
【図18】図1のトラクタの直進走行制御に移行する前段階の設定作業位置を基準の作業軌跡から設定距離だけ離れた位置で作業を行うためのフローチャート(図18(a))と旋回終了した時点の設定作業軌を基準の作業軌跡から設定距離だけ離して作業をする作業軌跡を示すモニタの画像(図18(b))である。
【図19】図1のトラクタの作業軌跡の倣い走行を行うための目標とする作業軌跡を設定距離だけずらした位置を適正位置であると認識させる場合のフローチャート(図19(a))とそのためのモニタ画像(図19(b))である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の一実施例を図面に基づき説明する。
図1と図2に農用作業走行車両の一例としての農用トラクタの右側面図とその前部側面図を示す。走行車両1の前後部に前輪2と後輪3とを備え、ボンネット4内に装着されるエンジン5の回転動力をミッションケース6内の変速装置で適宜減速し、減速した回転動力を当該前輪2,後輪3に伝達すべく構成している。
【0017】
機体中央部の運転者席7の前方には、ハンドルポスト8を設け、ハンドルポスト8にステアリングハンドル9を旋回操作可能に設けている。このステアリングハンドル9の旋回操作は操舵機構を介して左右前輪2,2を操向連動する構成としている。なお、ステアリングハンドル9の近傍にはアクセルレバー10を、ハンドルポスト8の下部側には左右独立するブレーキペダル11,11を配設すると共に、上記運転者席7とこのハンドルポスト8間には走行用変速レバー(図示せず)を配設している。
【0018】
上記機体1の後部には、例えば耕耘作業機12が装着されており、該耕耘作業機12はリフトアーム13とロアリンク14,14とからなる3点リンク機構を介して上下昇降可能に装着している。油圧シリンダ機構(図示せず)はポジションレバー(図示せず)の回動操作によって伸縮してリフトアーム13を上下回動し、これによりリフトロッド13aを介してロアリンク14,14を上下動させることにより作業機12を昇降連動する構成である。
【0019】
前記エンジン5から出力された回転動力は、図示しない主クラッチ、前後進切替機構を経由して主変速機構、副変速機構で適宜変速されて後輪デフ機構へ伝達される構成である。また、副変速機構からの回転動力は前輪駆動軸32へ伝達可能の構成である。
【0020】
前輪駆動軸32は前輪デフ機構33に連動連結される。この前輪デフ機構33はアクスルブラケット35に前後軸心回りに左右揺動自在に支承されるものである。ステアリングハンドル9に連動する伝動軸37は自在継手36を介して前輪2、2の操舵機構(パワステユニット)(図示せず)に連結している。
【0021】
図3には、車両の内部における自動操舵用の主な装置の配置位置を示し、図4には自動操作装置の制御構成の概略図を示し、図5には自動操舵用の制御ブロック図を示す。
ステアリングハンドル9を含む操舵装置とステアリング切れ角センサ49からの信号及びカメラ53と該カメラ53で撮影した画像を処理(2値化等)するためのカメラコントローラ52からの信号が制御装置100に送信され、圃場又は圃場の外側には直進走行用の遠目標Xを配置している。
【0022】
図2に示すように、ステアリングハンドル9のシャフト15の軸心周りに該シャフト15と一体的に従動スプロケット16を設ける。またステアリングシャフト15を支持するハンドルポスト8内にはステアリングシャフト15の軸方向に平行する方向に配置した中間軸17を配置している。
【0023】
中間軸17と一体である駆動スプロケット21と従動スプロケット16の間にタイミングベルト27が掛けられているので、正逆転モータ20により駆動スプロケット21が駆動されると、その駆動力により従動スプロケット16を経由してステアリングハンドル9のシャフト15が回動する。
【0024】
駆動スプロケット21より下方には電磁クラッチ22が取り付けられており、該電磁クラッチ22の近傍に正逆転モータ20が配置されている。
上記構成で、電磁クラッチ22がオン(作動)のとき、中間軸17に固着された駆動スプロケット21が回転する。
【0025】
本実施例では前記中間軸17と前記正逆転モータ20との間の動力の伝達又は非伝達用の電磁クラッチ22と駆動スプロケット21と動力伝達部材27を既存ステアリングハンドル部に外付け可能なため汎用性の高い自動操舵装置25が得られる。
【0026】
操舵用制御装置(コントローラ)100はモータ駆動ユニット23を経由して正逆転モータ20と電磁クラッチ22を有する操舵装置25へ出力され、駆動スプロケット21、従動スプロケット16、ステアリングシャフト15、パワステユニット39、前輪操舵部48を経由して、ハンドル9の操舵角に応じて前輪2が操舵される。前輪操舵角度はステアリング切れ角センサ(操舵角センサ)49により検出され、操舵用コントローラ100にフィードバックされる。
また、車両の直進支援用のカメラコントローラ52を操舵用制御装置(制御コントローラ)100とは別に設けておき、カメラ53からの撮像信号に基づき操舵用コントローラ100により車両の操舵を行うこともできる。
【0027】
操舵用コントローラ100には図5の制御ブロック図に示すように自動モニタ47aの上に配置した前記自動操舵装置25の制御を開始させるための自動スイッチ24、オペレータによるハンドル操作量をステアリングシャフト15に連動させるためにハンドル操作量を可変抵抗器の抵抗値として出力して、ステアリングハンドル9の中立位置の調整を前記自動操舵中でも行うことができるトリムスイッチ(図示せず)、ステアリングハンドル9を中立位置に戻すための中立復帰スイッチ(図示せず)、左側又は右側に傾倒自在に設けられたモータ手動ダイヤル26等を接続し、さらに作業車両1の各種作業などの操作指令、走行速度の制御指令などを発信するための操作パネル(図示せず)と通信が出来る構成を備えている。
【0028】
また、図5の制御ブロック図に示すようにカメラ位置センサ30、作業モード切替入力スイッチ31、走行車両1の適所には前記ステアリング切れ角センサ49の他に、リフトアーム傾斜角センサ50、傾斜地走行時に車両の傾斜角度を検出する車両傾斜角度センサ51、カメラ53による目標地点までの距離を計測できる距離センサを含むカメラコントローラ52、耕耘作業機12を昇降させるトップリンクの傾斜角度検出センサ54、走行車両の車速を検出する車速センサ57及び傾斜地走行時に進行方向を補正する傾斜時補正ダイヤル61等を設けている。
【0029】
トラクタ1の直進制御中に圃場のいずれかの位置に設置される赤外線、その他の光源からなる遠目標Xを使用するとき、図7に示すカメラ53で撮像した遠目標Xの受信信号を受信モニタ47bの中央部に表示させてトラクタ1を直進走行させる。
【0030】
図7(a)の左側の図は手動での旋回中の受信モニタ47bの画面を表し、遠目標Xが左端に見えている。また、図7(a)の右側にはハンドル9を操作して行う旋回が終了して機体中心が前進時に直進する方向に遠目標Xがある状態を表す受信モニタ47bの画像を表す。この図7(a)の右側の状態のモニタ47bの画像表示が一定時間続くと直進が安定したものとして、直進制御に移行する。図10のように、カメラ53で遠目標Xを検知して後に行う直進制御は、カメラ53を機体中央に位置させる。カメラ53は左右方向のレール55上に配置された台車(図示せず)に固定されている。台車には図示しないモータと車輪があり、モータで車輪を駆動することで台車と共にカメラ53は左右方向に移動する。
【0031】
図7(a)の右側状態の判断は次のように行われる。
具体的には、図7(a)の画面の横軸に座標の数値を割り当てる(Y0〜Yn)。遠目標Xの部分の画素の輝度状態は明らかに周囲と異なる変化があるので、(Y0〜Yn)/2の画素部分が遠目標Xの輝度状態に相当したものになると、機体中心は遠目標に一致したことになる。その後は自動運転(直進制御)とする。遠目標Xの部分の輝度状態が(Y0〜Yn)/2から外れようとするとハンドル9を自動操舵して修正して直進走行を継続する。
【0032】
上記した図10の遠目標Xを使用しなくて、既耕地側と未耕地側との境を示す作業軌跡Tに従う倣い制御を行うときは、撮像した画像の左右方向中心に作業軌跡Tを写すために、耕耘作業機12の既耕地側の端部にカメラ53を移動させる。なお、カメラ53の移動後の位置はカメラ位置センサ30(図5)の検知により分かる。これで、作業軌跡Tは受信モニタ47bの略中心位置にくるようになる。既耕地側と未耕地側との境である作業軌跡Tは、後述するヒストグラム(図14参照)を使用する画像処理から分かるので、得られた作業軌跡Tに沿ってトラクタ1を進行させる。
【0033】
また、作業モード切替入力スイッチ31は走行車両(トラクタ)1が行う作業を認識させるためのものであり、代掻き作業では倣い制御は不可能であるので作業モード切替入力スイッチ31を代掻き位置や遠目標Xの使用位置に切り替えることで、遠目標Xを用いる制御のみで直進制御を行い、また耕耘作業では作業軌跡Tに従う倣い制御と遠目標Xを用いる制御のどちらも実行できるように、入力スイッチ31を耕耘作業位置や遠目標X及び倣い使用位置に切り替える。
【0034】
またブザー63は直進制御の入り切り、直進制御中に遠目標Xや既耕地と未耕地の境(作業軌跡T)の検出認識ができなくなったとき、認識できるものの操舵系の異常で直進できないとき等の場合に作動する報知手段である。
【0035】
さらに制御装置100の出力側にある「モータ回転出力」は直進制御を行うときのハンドルモータ(正逆転モータ)20への出力があることを表し、「モータ回転方向切替出力」は直進制御を行うときに操舵方向を変更する場合のハンドルモータ(正逆転モータ)20の出力があることを表し、自動モニタ47aは自動の直進制御モードに入っていると点灯し、入っていないと消灯するモニタであり、具体的にはLED等のランプである。
【0036】
受信モニタ47bはカメラ53から画像の表示パネルであり、図7や後述する図17(b)や図18(b)等に例示される画像であり、進入位置モニタ47cは、図9に示す画像であり、圃場などへ走行車両1の進入方向を示して車両を誘導するためのモニタである。受信モニタ47bは生画像を表示してもよいし、2値化画像を表示してもよい。進入位置モニタ47cは図9には示すように複数(図では5個)のLEDを並列配置して得られるLEDの集合体である。図9に示す複数のLEDの中で中央部のLEDが点灯するようにハンドル9の操作を行うことで、直進走行制御が容易に行えるようになる。なお、受信モニタ47bで得られた遠目標Xの画像データをコントローラ100がソフトウエア的に処理して受信モニタ47bで得られた遠目標Xの画像データに対応する図9に示す進入位置モニタ47cの5個のLEDの中の適切なLEDを点灯させることができる。
【0037】
圃場上に予め固定され位置で点灯などしている遠目標Xは、トラクタ1のコントローラ100によりハンドル9の操作でカメラ53により得られる画像データの中の輝度が高いものとして判別される。
【0038】
また、図7(a)は受信モニタ47bのモニタ画面(液晶等)であり、カメラ53で撮影した生画像又は2値化画像である。前述したように、この図7(a)の中の左右方向のどこの部分に遠目標Xがあるかを判断する。図9の進入位置モニタ47cの5つのLEDと対応させるために図7(a)の受信モニタ47bの画面も横軸座標(Y0〜Yn)を5分割し、遠目標Xが5分割した部分のどこの領域にあるかの判定を遠目標Xの輝度の違いで行う。この情報に基づいて前述したように図9の5つのLEDの中の適切なLEDを遠目標Xに対応するLEDとして点灯させる。ただし、中央のLEDが遠目標Xに対応するLEDであるとして点灯するためには、遠目標Xが中央の座標位置(Y0〜Yn)/2にあることが条件となる。
【0039】
また、図5の電磁クラッチ出力は電磁クラッチ22が作動することを示す。電磁クラッチ22は自動操舵用の正逆転モータ20の回転動力をステアリングハンドル9に伝達するものであり、ステアリングハンドル9を回転させる正逆転モータ20を設けた自動操舵駆動装置25により自動で操舵を行うとき、正逆転モータ20とステアリングハンドル9の動力伝達部分に設けた電磁クラッチ22の入・切により容易にステアリング9の駆動の自動/手動の切り替えが行える。
【0040】
ここで、自動モニタ47aと受信モニタ47bと進入位置モニタ47cの違いを再度、説明する。
自動モニタ47aは自動の直進制御を行っている時に自動の直進制御中であることを表示するための点灯ランプに過ぎなく、受信モニタ47bや進入位置モニタ47cを用いて自動の直進制御を行う場合に、自動モニタ47aが点灯することで、車両は現在自動直進制御中であるということを確認できる利点がある。
【0041】
進入位置モニタ47cは複数のLED(本実施例では5個)を横に並べた表示パネルであり、LEDの点灯と消灯で車両の進行方向を示すためのものであり、受信モニタ47bはカメラ画像の表示パネルであり(図7などに例示する)、表示された画像から周辺の状況も知ることができる。
【0042】
進入位置モニタ47cは予めモニタ画面上の特定位置に配置された5つのLEDからなり、いずれか1つのLEDだけが点灯可能なモニタ(図9)であり、圃場内の画像が表示されるものではない。そして進入位置モニタ47cの1つだけのLEDの点灯は、カメラ53から得られた画像データ(受信信号)をコンピュータ100内で処理して、当該カメラ53での受信信号が進入位置モニタ47cの5つのLEDのいずれかのLEDに対応する位置に車両がある場合はそのLEDをコントロータ100が、受信モニタ47bの画像の横軸座標と遠目標Xの輝度を比較して遠目標Xの左右方向の位置を求め、遠目標Xが存在する座標位置に相当する進入位置モニタ47cのLEDを点灯させる。またカメラ53からの受信信号が進入位置モニタ47cの5つのLEDのいずれかのLEDにも対応しない位置に車両がある場合(旋回時等)は、ハンドル9の操舵で進入位置モニタ47cの5つのLEDのいずれかLEDが点灯する位置に車両を動かす。5つのLEDの端部のLEDが点灯すると、この時点から自動操舵(旋回途中から直進制御へ)が可能となる。
【0043】
一方、受信モニタ47bはカメラ画像の液晶表示パネルであり、カメラ53で撮影した何らかの画像がそのまま表示されるものであり、以下の図7(a)に例示するような画像表示パネルである。また、受信モニタ47bには2値化した画像を表示してもよい。
【0044】
通常、作業車両は受信モニタ47bと進入位置モニタ47cの両方を備えているが、いずれか一方でも走行制御は可能であり、廉価型では5つのLEDからなる進入位置モニタ47cのみで良い。進入位置モニタ47cのみの場合でも、カメラ53で撮像した画像処理(進入位置モニタ47cへ表示しようとするための計算(画像の5分割、遠目標Xの座標位置等))は必要であるが、プログラムだけなので廉価となる。
【0045】
ここで、5つのLEDからなる進入位置モニタ47cの表示例を次に説明する。
「○○●○○」は進入位置が正常(図8の状態)であり、旋回終了後の直進制御は、この状態を維持する制御となる。
「○●○○○」は進入位置が右にずれている場合であり、ハンドル9を左に切って修正する必要ある。
「●○○○○」は進入位置がかなり右にずれている場合であり、ハンドル9を左に大きく切って修正する必要ある。
【0046】
これは、前述のように、受信モニタ47bの画像の横軸は進入位置モニタ47cのLEDと同じ5分割しているので、計算上で横軸方向に5分割した受信モニタ47bの画像の遠目標Xの輝度変化がある部分に相当する進入位置モニタ47cのLEDを点灯させて、撮像した受信モニタ47bの画像の中の横軸のどこに遠目標Xがあるかを画素の輝度変化で認識し、計算上で5分割した受信モニタ47bの画像の遠目標Xの輝度変化がある部分に相当する進入位置モニタ47cのLEDを点灯させる。
【0047】
受信モニタ47bの横軸上の5分割領域を左から順に、領域α1、α2、α3、α4、α5とし、進入位置モニタ47cのLED(5個)を左からLEDβ1、β2、β3、β4、β5とし、領域α1とLEDβ1を対応させ、………、領域α5とLEDβ5をそれぞれ順次対応させる。
例えば、領域α1に遠目標Xの輝度変化を認識すると、進入位置モニタ47cは「●○○○○」の点灯となる。進入位置モニタ47cに7個のLEDがあると、進入位置モニタ47cの画像の横軸を7分割して遠目標Xの存在する位置を判定する。
【0048】
遠目標Xは固定位置にあり、ハンドル9の操作で機体が左右に振れるので、受信モニタ47bの点灯位置が変化する。そして、進入位置モニタ47cの中央部のLEDが点灯するようにハンドル9を操作して直進走行を可能な状態にする。この場合は手動操作による直進である。一方、自動による直進制御は、カメラ53で撮像した受信モニタ47bの画像の横軸の中心に遠目標Xが来ると、コントローラが進入位置モニタ47cの中央部のLEDが点灯するようにモータ20で自動的にハンドル9を操作する。ハンドル9の操作は、手動でも自動でも、車両中心位置の前方の直進方向が遠目標X方向を指示するように車両を操作することで、車両は直進走行ができる。カメラ53で撮像した受信モニタ47bの画像の横軸の中心に遠目標Xが来ると直進出来るようになる。
【0049】
上記したように、車両の圃場への進入位置が正常となるようにハンドル9の手動操作し、その後、直進制御で進入位置モニタ47cの画像が「○○●○○」を維持するようにする。このとき車両の旋回は基本的には手動で行うが、旋回中(旋回終了手前)に遠目標を検出して進入位置モニタ47cの画像が「●○○○○」となれば、その後は自動旋回も可能である。
【0050】
次に図7に示す受信モニタ47bと図9に示す進入位置モニタ47cを用いて車両の直進走行制御から手動旋回に入り、次の直進制御に入るまでの工程を行う例を図6のフローチャートで説明をする。
上述のようにステアリングハンドル9を回転させる正逆転モータ20を設けた自動操舵駆動装置25(図4)により自動で操舵を行うとき、正逆転モータ20とステアリングハンドル9の動力伝達部に設けた電磁クラッチ22の入・切により容易にステアリング9の駆動の自動/手動の切り替えを行うことができる。
【0051】
まず、旋回時には自動操舵駆動装置25による自動走行制御をしないようにするために自動スイッチ24がオフであることを確認して後、電磁クラッチ22もオフにする。次に電磁クラッチ22をオフとしてステアリングハンドル9の手動操作で旋回を行う場合は、旋回が開始され、所定角度以上のハンドル9の操作がなされたことをステアリング切れ角センサ49で検知して車両が旋回していると判断されると、ステップSaでカメラ53からの画像をコントローラ100が読み込んで(カメラ53からの画像データの読み込みは、直前で直進制御を行っているため、このとき既に行われているが、ここでの読み込みは旋回に使用するための読み込みという意味である。)、その読み込まれた画像データが予め決められた目印である遠目標Xであると、ステップSbで前述のように受信モニタ47bの画像の輝度からコントローラ100が判定する(図7(a)の左側の状態)と、ステップScでカメラ53により検出した遠目標Xの画像が受信モニタ47bに表示される画像の適切な位置(ここでは受信モニタ47bの画面の端(図7(a)の左側))にあれば良いが、機体が前後左右に大きく傾斜していると遠目標Xは画面の適切な位置(予定された位置)に表示出来ない。)にあるかどうかを判断し、遠目標Xの画像が受信モニタ47bの画像の端の適切な位置(略予定された位置)に表示されていると、進入位置モニタ47cをオンする。これで図6に示す自動制御のフローは終了する。
【0052】
進入位置モニタ47cがオンされると、操縦者は次工程の直進制御を行う前段階として進入位置モニタ47cを見ながら「中央部のLEDが点灯する」ようにハンドル9の操作を行い、「中央部のLEDが点灯する」、即ち、車両の中心の前方への直進方向と遠目標Xが一致すると、直進制御を再開する。この再開は自動再開でもよいし、自動スイッチを操作しての再開でもよい。
【0053】
このように手動旋回時に次工程の直進制御の前段階として、旋回終了から直進に移行するに従い車両の中心の前方への直進方向と遠目標Xを手動で合わせるための案内ガイド役が進入位置モニタ47cの役割である。ただし、前述したように、旋回中に遠目標Xが認識できれば、自動旋回も可能である。
【0054】
次に図9に示す予め進入位置モニタ47cに表示される5つのLEDを横一列に並べて車両の直進走行制御を行う例を図8のフローチャートで説明をする。なお、進入位置モニタ47cは5つのLEDを表示できる構成であるが、液晶等の画面に表示する構成としてもよい。
図9は車両の旋回(手動操作)から直進へ入るときの案内用の進入位置モニタ47cであり、旋回から直進への移行はハンドル9を手動操作して行うので、進入位置モニタ47cを見ながら進入位置モニタ47cの中央位置のLEDが点灯するようにハンドル操作を行う。進入位置モニタ47cの中央位置のLEDが点灯すると、遠目標Xと機体中心の前方への直進方向が一致するので、その後はこの状態を保持するように直進制御を行う。
【0055】
図8に示すフローが図6のフローと違うステップは、まず、図8のステップSeの「画像内か」は、図6のステップScの「適正位置」と基本的には同じである。図6のステップScの「適正位置」は、受信モニタ47bの画像内に遠目標Xを認識してさらに遠目標Xが前記画像内の想定される適正位置にあるかを判断する。図8のステップSeの「画像内か」は、遠目標Xが受信モニタ47bの画像内に認識されたことのみを判断しているが、実際には適正位置の判断が必要である。図8のステップSfとステップSgは、受信モニタ47b内に存在する遠目標Xの位置を進入位置モニタ47cに置き換える工程である。
図6、図8にはないが、自動直進制御を再開する場合や再開しない場合等ある。自動直進制御を再開する場合は、自動で再開してもよいし、自動スイッチ24を再度操作することなどで行う。
【0056】
次に、耕耘などによる作業軌跡Tの端を検出しながら自動直進操舵(倣い制御)を行う場合の制御について説明する。
図10に示す右側のトラクタ1が遠目標Xを受信モニタ47bの画面中央に取り入れて直進走行した後に、旋回して中央のトラクタ1に示すようにトラクタ1の中央にあったカメラ53をトラクタ1の左端に向けてレール55上を移動させて、耕耘などによる作業軌跡Tの端を検出しながら自動直進操舵(倣い制御)を行う。
【0057】
次に再び旋回して左端のトラクタ1に示すようにカメラ53の位置をトラクタ1の右端に移動させて、耕耘などによる作業軌跡Tの端を検出しながら自動操舵を行う。このようにして圃場全体を自動操舵しながら耕耘などの作業を行うことができる。
【0058】
また、図6に示すフローチャートのステップScに相当する図11(a)に示すフローチャートのステップShにおいて遠目標Xがガメラ53で認識出来なかった場合は、得られる画像データをコンピュータ100に読み込んで受信モニタ47bに表示し、受信モニタ47bの図17(b)の右側の画面に示すような直線状の耕耘などの作業軌跡Tを後述する方法で検出すると、図11(b)に示すように、カメラ53はトラクタ1の前側中央に配置したままで、作業軌跡Tの端を検出しながら自動走行制御を行う。このときカメラ53の位置をトラクタ1の左端に移動させて、耕耘などによる作業軌跡Tの端を検出しながら自動操舵(倣い制御)を行っても良い。
【0059】
なお、この場合は遠目標Xによる直進走行用の自動操舵は、遠目標Xが検出できないときは前記作業軌跡Tの端を検出しながら行う倣い制御で直進制御を行う。図11(a)のステップShで遠目標Xが検出できないときは作業軌跡Tの判定に移行するが、このとき作業軌跡Tを認識するとともに作業軌跡Tが画面内の適正位置であれば、ステップSiで作業軌跡Tの位置を進入位置モニタ47cのLED点灯表示に置き換えて点灯表示する。なお、作業軌跡Tそのものは、LEDを並べただけの進入位置モニタ47cでは表示出来ないので、前述のように、遠目標Xの進入位置に対応した進入位置モニタ47cのLEDを点灯するだけで行う。
【0060】
ここで、直線状の耕耘などの作業軌跡Tを検出する方法について述べる。なお、この方法は本出願人の出願発明である特開平9−238510号公報に開示した方法である。この場合は図13に示す未耕地Y1と既耕地Y2の境界Zを作業軌跡Tとする例である。
【0061】
耕耘作業時にカメラ53を、ロータリ耕耘装置等の耕耘幅の一端部に合致する位置へカメラアーム55上を左右移動させて固定し、カメラ回動モータ(図示せず)の駆動によってカメラ53を角度検出センサ(図示せず)により設定される所定の角度範囲内を回動揺動させ、図13に示す略境界Zを中心として未耕地Y1と既耕地Y2の領域間を、車速に同期させたタイミングにより高速側では早い間隔で、低速側では遅い間隔でカメラ53により土壌面を撮像する。
【0062】
この撮像により、未耕地Y1側の分析領域と既耕地Y2側の分析領域において、図14に例示するような各々周波数分析を行って得られたパワースペクトル分布が、既耕地Y2側では未耕地Y1側に対し高周波域の分布に広がりがあることから、これらの情報を基準として未耕地Y1と既耕地Y2の境界Zの検出を、図12のフローチャートに示すような手順によって行う。
【0063】
まず、前記操縦席の一側に内装した耕耘境界検出装置(図示せず)に、図13に示すように該境界Z近傍のモニタ47b上の画像69を入力し、この画像69から、例えば横及び縦軸の画素区画(158,342と413,469のポイント区画)を分析領域とし、この分析領域の輝度の変化を計測して周波数分析を行い、この分析によって、パワースペクトル分布(図示せず)を得ることができる。このパワースペクトル分布から高周波成分の情報を消去するために、このパワースペクトル分布の中心となる直流部から、例えば6画素の半径によるサークル部分以外をマスク処理する。
【0064】
このマスク処理したものを逆周波数分析を行うことによって、図示しない画像を再構築して、この再構築画像から、図14に示すようなヒストグラムを算出する。このヒストグラムのパターンは未耕地Y1側と既耕地Y2側とに各々ピークを有しているため、輝度度数の既耕地Y2側のピーク値bと未耕地Y1側のピーク値aとの差を求め、この差に別に設定する係数dを乗じ、この値に未耕地Y1側のピーク値aを加算して度数分布上の境界位置cを算出し、この境界位置cに相当する輝度レベルからしきい値を算定する。このしきい値を求める境界位置cの算出式の一例として a+(b−a)*d=c 又は b*d=c が成立する。なお、係数dは実験値等から求めることができる。
【0065】
この算定されたしきい値によって前記再構築画像を2値化し、図15に示す2値化画像62から未耕地Y1と既耕地Y2の境界Zを検出することができる。従って、未耕地Y1側のピーク値aと既耕地Y側のピーク値bからしきい値が決定されることにより、高精度の境界Zの検出が可能となる。この境界Zの検出により、角度検出センサ(図示せず)によるカメラ53の回動角度0°位置(水平状態)の検出時において、境界Zが該画像62の略中心にあれば境界Zが適正位置にあることを示しており、この条件から外れているときは条件に合致するまでステアリングホイル(図示せず)を自動的に操作して、走行車両1の進行方向を左右側に操向して(自動操作を行わずとも報知のみでも有効)、例えばロータリ耕耘装置の耕耘幅の位置を左右側に移動させる。これらの作用により、未耕地Y1と既耕地Y2の境界Zの検出精度を安定して維持できると共に、作業適応性の向上を図ることができる。
【0066】
ステアリングハンドル9の自動操作から手動操作への切り替え時の判断において、遠目標Xと作業軌跡Tとでは元々大きさが違うので画素数の割合は異なる。また、直進制御時におけるカメラ53の撮像倍率は標準とは限らない(圃場の直進距離等により異なる)ので、一概に占める割合を特定できないが。撮像倍率の変化に伴い、占める割合を自動的に変更するプログラムが必要となる。また、標準倍率であっても撮像する範囲が異なったり、撮像した映像の取り込む量を少なくなったりする(コントローラ100内に取り込む量が少なくなるとデータ処理が軽くなり速くなる)と割合は異なってくる。
【0067】
また、ランプなどの前記遠目標Xの検出制御と作業軌跡Tの倣い制御を組み合わせて直進走行中にカメラ画像内の遠目標Xの占める画素数の割合(輝度の高い画素数の割合)が一定以上又は前記一定以下になったら電磁クラッチ22の出力をオフしてステアリング操作を手動に切り替える。こうして、トラクタ1の操舵操作性が従来より向上し、容易に旋回操作などに移行できる。
【0068】
図16(a)には、遠目標Xや作業軌跡Tが適正位置になると直進走行制御を行うフローチャートを示す。図16(b)には遠目標Xがモニタ47bの画像の左右方向の中間位置に適正位置になった場合を示す。
【0069】
図17(a)には、作業軌跡Tが適正位置になると直進走行制御を行うフローチャートを示す。図17(b)には作業軌跡Tがモニタ47bの画像の特定位置に来た状態を適正位置とする場合を示す。作業軌跡Tの場合は、カメラ53の撮像状態でそれぞれの作業軌跡Tで異なるため、予め倍率等に対応する適正位置をメモリに記憶させておいて、実際の撮像データと比較することで適正位置を決める。
図16、図17のいずれの場合も、遠目標Xや作業軌跡Tの適正位置状態が所定時間続くと、機体(車両)の直進走行が安定したと判断して、自動直進制御を実行する。
【0070】
図18(a)には、直進走行制御に移行する前段階、即ち旋回終了した時点の設定作業位置を基準の作業軌跡Tから設定距離だけ離れた位置で作業を行うためのフローチャートを示す。図18(b)には旋回終了した時点の設定作業軌跡を基準の作業軌跡T(実線)から設定距離だけ離して作業をする作業軌跡T’(点線)をモニタ47bの画像に示す。
【0071】
また、旋回後のトラクタ1の進入位置を進入位置モニタ47cに表示するとき、カメラ53の撮像データから進入位置モニタ47cの画像に置き換えてLEDに表示するが、旋回終了して直進に入るときの目標位置を変更可能に構成している。通常であれば、画像内の適正位置で直進に入る判断をしているが、この適正位置に対して左右方向に所定距離をずらした位置を適正位置と認識させることで、直進に入るときの目標位置を変更可能となる。例えば、往路で耕耘作業をした領域とオーバーラップさせて耕耘作業を復路でさせたい時や、逆に往路で耕耘作業をした領域から離れて位置で耕耘作業したい場合等に利用できる。
【0072】
図19(a)には、直進走行制御での作業軌跡Tの倣い走行を行うための目標とする作業軌跡Tを設定距離だけずらした位置を適正位置であると認識させる場合のフローチャートを示す。図19(b)には、そのための受信モニタ47bの画像を示す。
そして、前述のようにずらした場合には、直進走行制御での作業軌跡の倣い走行でも目標とする作業軌跡をずらして位置が適正位置であると認識させる必要がある。
【0073】
図19(b)に示すように、旋回終了した時点の作業軌跡Tの倣い走行の目標位置の変更や、直進走行制御を行うための目標位置の変更とする基準の検出作業軌跡T(点線)からの所定距離だけ変更して倣い仮想作業軌跡T’(実線)にすることが出来るようにしてもよい。この場合は、例えば、作業領域を前回耕耘走行分と一部オーバーラップさせることで、確実に圃場を耕耘することができるようになる。
また、設定進入位置を目標とする基準の検出した作業軌跡T(点線)からの所定距離だけ変更する場合に、前記検出する倣い作業軌跡Tから一定距離を設けた走行ライン(倣い仮想作業軌跡)T’(実線))をコンピュータ100上で作成し、そのラインに沿って自動直進処理を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、トラクタ以外の作業車両の走行制御機構として利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0075】
1 走行車両 2 前輪
3 後輪 4 ボンネット
5 エンジン 6 ミッションケース
7 運転者席 8 ハンドルポスト
9 ステアリングハンドル
10 アクセルレバー 11 ブレーキペダル
12 耕耘作業機 13 トップリンク
13a リフトロッド 14 ロアリンク
15 ステアリングシャフト 16 従動スプロケット
17 中間軸 20 正逆転モータ
21 駆動スプロケット 22 電磁クラッチ
24 自動スイッチ 25 自動操舵装置
26 モータ手動ダイヤル 27 タイミングベルト
30 カメラ位置センサ
31 作業モード切替入力スイッチ
39 パワステユニット 47 モニタ画面
47a 自動モニタ 47b 受信モニタ
47c 進入位置モニタ 48 前輪操舵部
49 ステアリング切れ角センサ
50 リフトアーム傾斜角センサ
51 車両傾斜角度センサ 52 カメラコントローラ
53 カメラ
54 トップリンク傾斜角度検出センサ
55 レール 57 車速センサ
61 傾斜時補正ダイヤル 62 2値化画像
69 画像 100 操舵用コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車両(1)の操舵をするステアリングハンドル(9)と、該ステアリングハンドル(9)に連動して正転と逆転をするステアリングシャフト(15)と、該ステアリングシャフト(15)の切れ角を検出するステアリングシャフト切れ角センサ(49)と、ステアリングシャフト(15)に回転駆動力を伝達するための正逆転モータ(20)と、該正逆転モータ(20)の回転駆動力をステアリングシャフト(15)に伝達するための電磁クラッチ(22)を有する連動機構と、該電磁クラッチ(22)の作動/非作動を司る自動スイッチ(24)を有する自動操舵装置(25)と、
走行車両(1)の前方に設置した圃場内の遠目標(X)及び/又は作業軌跡を検出する操舵方向検出手段(53)と、
該操舵方向検出手段(53)で検出された遠目標(X)及び/又は作業軌跡(T)を画面上に表示するモニタ(47b又は47c)と、
自動スイッチ(24)の作動時に、前記モニタ(47b又は47c)で表示される遠目標(X)及び/又は作業軌跡(T)の位置に基づき操舵装置(25)の正逆転モータ(20)を作動させて圃場内で直進走行の自動操舵を行う制御構成と、
ステアリングシャフト切れ角センサ(49)が所定量のステアリングシャフト切れ角を検出して走行車両(1)の旋回が開始されると判断すると自動スイッチ(24)が作動して前記直進走行の自動操舵を行う構成を開始する制御構成を有する制御装置(100)
を備えたことを特徴とする走行車両。
【請求項2】
制御装置(100)は、
走行車両の旋回操作後に前記直進走行の自動操舵を行う圃場内での進入位置を複数の表示点を用いてモニタ(47c)上に表示する制御構成を備えていることを特徴とする請求項1記載の走行車両。
【請求項3】
操舵方向検出手段(53)で遠目標(X)がモニタ(47b又は47c)上に検出されると、遠目標(X)位置に基づき前記直進走行の自動操舵を優先的に行い、あるいは作業軌跡(T)がモニタ(47b又は47c)上に検出されると、遠目標(X)位置に基づく前記直進走行の自動操舵が実行されない場合には前記作業軌跡(T)の位置に基づき前記直進走行の自動操舵を行う制御構成を制御装置(100)が備えていることを特徴とする請求項1記載の走行車両。
【請求項4】
制御装置(100)は、
操舵方向検出手段(53)で検出され、モニタ(47b又は47c)上に表示される遠目標(X)の画像のデータ数の全モニタ画面のデータ数に対する割合が所定値以上であると、自動スイッチ(24)の切り操作により前記直進走行の自動操舵を手動操舵に切り替え可能な制御構成を備えていることを特徴とする請求項1記載の走行車両。
【請求項5】
制御装置(100)は、
前記直進走行の自動操舵が終了すると、前記自動スイッチ(24)が切り操作されて手動操舵が行われ、前記手動操舵で旋回後に操舵方向検出手段(53)で検出された遠目標(X)がモニタ(47b又は47c)の中央に表示され、その状態で所定時間経過すると、前記自動スイッチ(24)が入り操作されて前記直進走行の自動操舵に切り替える制御構成を備えたことを特徴とする請求項1記載の走行車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−70685(P2013−70685A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214215(P2011−214215)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】