超電導回転電機ステータ
【課題】小型化を図りつつ、超電導コイルを繋ぐ接続端子を固定させるのに有利な構造をもつ超電導回転電機ステータが提供される。
【解決手段】超電導回転電機ステータ1は、ステータコア2と、ステータコア2の外周部を覆うケース3と、超電導線材を巻回して形成された巻回体40と巻回体40から導出する口出し線41,42とをもつ超電導コイル4と、ステータコアまたはケース3に電気絶縁状態に固定された複数の接続端子5とを有する。各接続端子5は、ステータコア2外周側からステータコア2の内周側にかけて延設されており、各接続端子5は、超電導コイル4の口出し線41,42に電気的にそれぞれ接続されている。
【解決手段】超電導回転電機ステータ1は、ステータコア2と、ステータコア2の外周部を覆うケース3と、超電導線材を巻回して形成された巻回体40と巻回体40から導出する口出し線41,42とをもつ超電導コイル4と、ステータコアまたはケース3に電気絶縁状態に固定された複数の接続端子5とを有する。各接続端子5は、ステータコア2外周側からステータコア2の内周側にかけて延設されており、各接続端子5は、超電導コイル4の口出し線41,42に電気的にそれぞれ接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超電導回転電機ステータに関する。回転電機はモータおよび発電機を例示できる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ステータ、ステータに設けられた電機子、ロータを有する多相モータを開示する。このものによれば、電機子は、テープ状の超電導線材をその断面の長辺を積層しながら、らせん状に巻いて一体化して形成された複数の超電導コイルを備える。ここで、隣接する複数の超電導コイルは、ステータの周方向において、互いに一部重なりあうように配置されている。
特許文献2は、コイル中心線の回りで超電導線材を巻回して形成された巻回体と巻回体から導出する口出し線とをもつレーストラック型の超電導コイルを開示する。このものによれば、巻回体の最外周の超電導線の端末が、巻回体の一端から外方に引き出されておいる。超電導コイルの端末には、リード線接続用の接続端子が取り付けられている。接続端子にリード線が接続され、これにより電気的に同相とされる超電導コイル同士を電気的に繋ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-176582号公報
【特許文献2】特開2009-49033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、超電導コイルをステータに配置することが示されている。しかし特許文献1には、超電導コイルをステータに電気的に実際に接続する構造が言及されていない。特許文献2には、コイルに接続端子を取り付ける方法が示されているが,これをモータ等の回転電機のステータに使用する場合には、接続端子を具体的にどのように配置するかが言及されていない。上記したように特許文献1,2によれば、超電導コイルを繋ぐ接続端子を省スペースで固定させるのに具体的構造は言及されていない。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、超電導コイルを繋ぐ接続端子を省スペースで固定させるのに有利な構造をもつ超電導回転電機ステータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)様相1に係る本発明に係る超電導回転電機ステータは、(i)コア中心線の回りに形成された筒形状をなすステータコアと、(ii)ステータコアの外周部を覆うケースと、(iii)ステータコアの内周側においてこれの周方向に沿って複数個並設され、コイル中心線の回りで超電導線材を巻回して形成された巻回体と巻回体から導出する口出し線とをもつ超電導コイルと、(iv)ステータコアまたはケースに電気絶縁状態に固定され且つ超電導コイル同士を接続させる導電材料で形成された複数の接続端子とを具備しており、(v)各接続端子は、ステータコアの外周側からステータコアの内周側にかけて延設されており、各接続端子は、超電導コイルの口出し線に電気的にそれぞれ接続されている。
【0007】
各接続端子は、ステータコアの外周側からステータコアの内周側にかけてステータの径方向において延設されている。このように接続端子は、ステータの軸長方向に沿って延設されていない。このため超電導コイル同士を接続端子を介して電気接続させるにあたり、軸長方向の寸法が抑制される。ひいてはステータの軸長方向の寸法が抑制される。
【0008】
(2)様相2に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、接続端子は、ステータコアまたはケースの軸端面側に電気絶縁物を介して固定されている。接続端子の電気絶縁性が確保される。電気絶縁物は高い電気絶縁性を有するものであれば、何でも良い。本様相においても、接続端子は、ステータの軸長方向に沿って延設されていないため、ステータの軸長方向の寸法が抑制される。
【0009】
(3)様相3に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、接続端子は、超電導コイルの口出し線を挿入させて保持させるための挿入孔を備えている。接続端子のうちステータコアの内周側の内端部の挿入孔には、超電導コイルの口出し線が挿入されて保持され、口出し線の位置変動が抑制される。このため、各接続端子は、超電導コイルの口出し線に電気的にそれぞれ接続される。超電導コイルの口出し線が挿入孔に圧入されて固定されていてもよいし、あるいは、口出し線が挿入孔に挿入された状態において結合材料で接続端子に結合されていても良い。結合材料は半田材料、溶接材料、有機系または無機系の導電バインダを例示できる。口出し線が延びる方向に対して直交する断面において、超電導コイルの口出し線は、偏平形状をなしていることが好ましい。
【0010】
(4)様相4に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、(i)口出し線は、ステータコアの軸長方向において超電導コイルの巻回体から突出する第1口出し線および第2口出し線を有しており、第1口出し線および第2口出し線は、ステータコアの径内方向に向かうにつれて互いに接近するように配向しており、(ii)挿入孔は、一の超電導コイルの第1口出し線が挿入される第1挿入孔と、一の超電導コイルの第2口出し線が挿入される第2挿入孔とを有しており、(iii)第1挿入孔は一の超電導コイルの第1口出し線とほぼ同じ方向に指向しており、第2挿入孔は一の超電導コイルの第2口出し線とほぼ同じ方向に指向している。一の超電導コイルの第1口出し線は、第1挿入孔に挿入されて支持される。一の超電導コイルの第2口出し線は、第2挿入孔に挿入されて支持される。
【0011】
(5)様相5に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、(i)口出し線は、ステータコアの軸長方向において超電導コイルの巻回体から突出する第1口出し線および第2口出し線を有しており、第1口出し線および第2口出し線は互いにほぼ平行にされており、(ii)挿入孔は、一の超電導コイルの第1口出し線が挿入される第1挿入孔と、一の超電導コイルの第2口出し線が挿入される第2挿入孔とを有しており、第1挿入孔は一の超電導コイルの第1口出し線とほぼ同じ方向に指向しており、第2挿入孔は一の超電導コイルの第2口出し線とほぼ同じ方向に指向している。一の超電導コイルの第1口出し線は、第1挿入孔に挿入されて支持される。一の超電導コイルの第2口出し線は、第2挿入孔に挿入されて支持される。
【0012】
(6)様相6に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、第1口出し線および第2口出し線は、ステータコアの軸長方向において超電導コイルの巻回体から互いに同じ方向に突出しており、接続端子は、超電導コイルの第1口出し線を挿入させる第1挿入孔を有する第1接続端子と、超電導コイルの第2口出し線を挿入させる第2挿入孔を有する第2接続端子とを有しており、第1接続端子および第2接続端子は、ステータコアの軸長方向において互いに同じ側に配置されている。
【0013】
このように接続端子は、ステータコアの軸長方向に沿って長く延設されていない。このため超電導コイル同士を接続端子を介して電気接続させるにあたり、軸長方向の寸法が抑制される。ひいては、ステータの軸長方向の寸法を小型化させるのに有利となる。
【0014】
更に本様相によれば、第1接続端子および第2接続端子は、ステータコアの軸長方向において互いに同じ側に配置されている。このためステータコアの軸長方向において同じ側から、第1接続端子および第2接続端子の双方に配線を接続させることができる。この意味において配線作業に有利となる。
【0015】
(7)様相7に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、(i)第1口出し線および第2口出し線は、ステータコアの軸長方向において超電導コイルの巻回体から互いに反対方向に突出しており、(ii)接続端子は、超電導コイルの第1口出し線を挿入させる第1挿入孔を有する第1接続端子と、超電導コイルの第2口出し線を挿入させる第2挿入孔を有する第2接続端子とを有しており、(iii)第1接続端子および第2接続端子は、ステータコアの軸長方向において互いに反対側に配置されている。
【0016】
このように接続端子は、ステータコアの軸長方向に沿って長く延設されていない。このためステータの軸長方向の寸法が抑制され、ひいては、ステータの軸長方向の寸法を小型化させるのに有利である。
【0017】
更に本様相によれば、第1接続端子および第2接続端子は、ステータコアの軸長方向において互いに異なる側に配置されている。このためステータコアの軸長方向において一端側には第1接続端子は配置されているものの、第2接続端子は配置されていない。従って、一端側について、周方向に隣設する第1接続端子同士の間隔が増大され、この意味において接続作業性が改善される。このように隣設する第1接続端子同士の間隔が増大されているため、印加電圧が高いときであっても、隣設する第1接続端子同士における放電が抑制される。更に、周方向に隣設する第1接続端子同士の間隔が増大されているため、周方向における第1接続端子の肉厚を増加でき、導電面積を増加できる。
【0018】
また、ステータコアの軸長方向において他端側には第2接続端子は配置されているものの、第1接続端子は配置されていない。従って、他端側について、周方向に隣設する第2接続端子同士の間隔が増大され、この意味において接続作業性が改善される。このように隣設する第2接続端子同士の間隔が増大されているため、印加電圧が高いときであっても、隣設する第2接続端子同士における放電が抑制される。更に、周方向に隣設する第2接続端子同士の間隔が増大されているため、周方向における第2接続端子の肉厚を増加でき、導電面積を増加できる。
【0019】
(8)様相8に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、接続端子は、ステータコアの周方向において順に並設された第1接続端子と第2接続端子と第3接続端子とを備えており、周方向において隣接する二つの超電導コイルは第3接続端子を介して互いに接続されており、周方向において隣接する超電導コイルには、同相の電流が第3接続端子を介して通電される。
【0020】
本様相によれば、第1接続端子,第2接続端子の他に、第3接続端子が設けられている。このように互いに隣接する二つの超電導コイルを直接接合させる第3接続端子がステータコアに設けられているため、接続作業を簡略化でき、接続抵抗を低減させるという効果が得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、各接続端子は、ステータコアの外周側からステータコアの内周側にかけて延設されており、軸長方向には長く延設されておらず、軸長方向の小型化を図り得る。各接続端子は、超電導コイルの口出し線に電気的にそれぞれ接続されている。このため超電導コイル同士を接続端子を介して電気接続させるにあたり、軸長方向の寸法が抑制される。このように本発明に係る超電導回転電機ステータは、超電導コイルを繋ぐ接続端子を省スペースで固定させるのに有利な構造をもつ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係り、ステータのコア中心線に沿って切断した断面図である。
【図2】ステータコアのコア中心線に対してほぼ平行な方向から投影した端面図である。
【図3】ステータコアに複数の接続端子を組み付けた状態の要部を示す端面図である。
【図4】ステータコアに複数の接続端子および超電導コイルを組み付けた状態の要部を示す端面図である。
【図5】超電導コイルの第1口出し線および第2口出し線を接続端子のスリットに挿入した状態で固定させた状態を示す斜視図である。
【図6】超電導コイルの断面図である。
【図7】実施形態2に係り、超電導コイルの断面図である。
【図8】実施形態3に係り、超電導コイルの断面図である。
【図9】実施形態4に係り、ステータのコア中心線に沿って切断した断面図である。
【図10】実施形態4に係り、ステータコアのコア中心線に対してほぼ平行な方向から投影した端面図である。
【図11】実施形態4に係り、ステータコアのスロットに複数の超電導コイルを挿入させた状態を示す図である。
【図12】実施形態4に係り、超電導コイル、第1接続端子および第2接続端子をステータコアに組み付けた状態を示す図である。
【図13】実施形態4に係り、第1口出し線および第2口出し線をもつ超電導コイルの斜視図である。
【図14】実施形態5に係り、第1口出し線および第2口出し線をもつ超電導コイルの斜視図である。
【図15】実施形態5に係り、ステータのコア中心線に沿って切断した断面図である。
【図16】実施形態5に係り、超電導コイルの第1口出し線を第1接続端子の第1スリットに挿入した状態で固定させた状態を示す図である。
【図17】実施形態5に係り、超電導コイルの第2口出し線を第2接続端子の第2スリットに挿入した状態で固定させた状態を示す図である。
【図18】実施形態6に係り、第1接続端子、第2接続端子および第3接続端子がステータコアの軸端面側に固定されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0024】
(実施形態1)
本実施携に係る回転電機は、車両搭載用、産業用、家庭用等の超電導モータである。超電導モータは、ロータ室1rをもつ固定子として機能するステータ1と、ロータ室1rに収容される回転子として機能するロータ(図示せず)とを備える。図示しないものの、ロータは、超電導線材からなるロータバーと、エンドリングで構成される超電導かご型巻線と、鉄芯と、回転軸とを有する。回転軸はコア中心線P1に沿っており、コア中心線P1の回りで回転する。図1および図2はステータ1(超電導回転電機ステータ)を示す。図1は、ステータコア2の直線状に延びるコア中心線P1に沿ってコア中心線P1を含むように切断された断面図を示す。図2は、ステータコア2のコア中心線P1に対してほぼ平行な方向(図1の矢印PA方向)から投影する端面図を示す。なお、コア中心線P1は水平方向に沿って延設されているが、垂直方向に沿って延設されていても良い。
【0025】
図1に示すように、ステータ1は、コア中心線P1をもつステータコア2と、ケース3と、超電導コイル4と、複数の接続端子5とを有する。ステータコア2は、コア中心線P1の回りに形成された筒形状をなしており、高い透磁率をもつ材料(例えば鉄系)で形成されている。ステータコア2は、円筒状の外周面20と、リング状の軸端面21,22とを有する。
【0026】
図3は、複数の接続端子5がステータコア2に組み付けられた状態の要部を示す。図3に示すように、ステータコア2の内周部には、コア中心線P1の回りの周方向(矢印S方向)において複数のスロット24と、ティース25とが交互に並設されている。図2においてP11,P12はコア中心線P1に対して放射方向に沿った仮想線を示す。具体的には、P11はティース25の中心線に相当する。P12はスロット24の中心線に相当する。図2に示すように、複数のスロット24はこれの中心線P12と共に、それぞれ、コア中心線P1から外周側に向けて放射された放射方向、すなわち、コア中心線P1に向かう求心方向に沿って延設されている。ティース25もスロット24に挟まれているため、同様である。ここで、放射方向および求心方向は、ステータコア2の径方向(矢印D方向)に相当する。なお、図1に示すように、ティース25およびスロット24は、コア中心線P1とほぼ平行な方向において、ステータコア2の軸長方向(図1に示す矢印L方向)に沿って延設されている。
【0027】
ケース3は、ステータコア2の外周部を覆う円筒形状をなしており、オーステナイト系のステンレス鋼や硬質樹脂等の非磁性材料で形成されている。図1に示すように、ケース3は、軸長方向(矢印L方向)の端域に形成されたリング状をなす薄肉部30と、軸長方向(矢印L方向)の中央域に形成されたリング状をなす肉厚T2の厚肉部33とを有する。薄肉部30はリング状の軸端面31,32をもつ。厚肉部33はリング状の軸端面34,35をもつ。
【0028】
図1に示すように、ケース3の厚肉部33の軸端面34には、高い電気絶縁性をもつ端子台として機能する絶縁部6が複数の取付具61により固定されている。取付具61は、雄螺子61bをもつ軸部61aと、絶縁部6に隠蔽される頭部61cとをもつ。絶縁部6は、コア中心線P1の回りでリング状に延設されており、電気絶縁材料で形成されている。電気絶縁材料は電気絶縁性を有するものであれば何でもよく、ガラス繊維等の補強繊維で強化したFRPで形成されているが、樹脂材料、セラミックスでも良い。図1に示すように、絶縁部6は、ケース3の薄肉部30の内周面に対面するリング状をなす外周面62と、コア中心線P1側のロータ室1rに対面するリング状をなす内周面63と、ケース3の厚肉部33の軸端面34に当接するリング状の副軸端面64と、径内方向に突出するリング状の内側部66とを有する。
【0029】
図1に示すように、絶縁部6の内周面63は、ステータコア2の外周面に対して同径の第1内周面63fと、ステータコア2の内周面の内径よりも小さな内径をもつ第2内周面63sとを有する。図1に示すように、内側部66の第2内周面63sがステータコア2のコア中心線P1に寄っているため、接続端子5と絶縁部6との接触面積が増加し、絶縁部6の固定を一層安定化できる。但し、これに限らず、絶縁部6の第2内周面63sは第1内周面63fと同径としても良い。
【0030】
図2に示すように、超電導コイル4は、ステータコア2の内周側において、コア中心線P1回りの周方向(矢印S方向)に沿って複数個並設されている。超電導コイル4は長さLA(図2参照)をもつ。超電導コイル4は、外周側の列S10として、ステータコア2の内周側においてステータコア2の周方向(矢印S方向)に沿ってコア中心線P1回りで複数個(12個)並設されている。更に図2に示すように、内周側の列S20として、超電導コイル4は、ステータコア2の周方向(矢印S方向)に沿って複数個(12個)並設されている。ステータコア2の周方向(矢印S方向)において、内周側の超電導コイル4(列S20)および外周側の超電導コイル4(列S10)は、互いに重複するように配置されている。この場合、超電導コイル4に通電されて、超電導コイル4が回転磁場を生成させるとき、周方向(矢印S方向)に移動する回転磁界の波形の改善に貢献できる。
【0031】
図5に示すように、超電導コイル4はレーストラック(陸上競技場)形状のダブルパンケーキ状をなしている。超電導コイル4は、自身のコイル中心線P2の回りで超電導線材を多重にループ状に巻回して形成された巻回体40と、距離WA(図5参照)離間しつつ巻回体40から導出する第1口出し線41および第2口出し線42をもつ。超電導コイル4の巻回体40は、超電導材を直状に延設させた直状部40a(矢印L方向に延びる)と、超電導材を円弧状にUターンさせて曲成させた曲成部40cとを有する。
【0032】
超電導線材は、超電導材料を被覆層で被覆させて形成されており、殊に高温超電導材で形成されていることが好ましい。超電導線材はテープ形状をなしており、断面で、長辺43および短辺44をもち、製造上の理由および超電導性能の向上のため、厚みT3(図5参照)をもつ薄肉状の長方形状をなしている。
【0033】
図5に示すように、超電導コイル4について、第1口出し線41および第2口出し線42は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)において、つまりコア中心線P1とほぼ平行な方向において、超電導コイル4の巻回体40から互いに同じ方向(図5に示す矢印L1方向)に突出しつつ並走する。図4から理解できるように、超電導コイル4の巻回体40の直状部40aは、単数のスロット24に挿入されている。具体的には、図4から理解できるように、周方向(矢印S方向)に隣接する超電導コイル4同士の直状部40aは、単数のスロット24に挿入されている。更に図4に示すように、超電導コイル4の巻回体40の曲成部40cは、複数のティース25および複数のスロット24の外側においてこれらを跨ぐように架設されている。
【0034】
図3に示すように、各接続端子5は、ステータコア2の外周側からステータコア2の内周側にかけて、ステータコア2の径方向に(矢印D方向)沿って延設されている。すなわち図3に示すように、各接続端子5は、コア中心線P1に向かうように放射方向に沿って配置されている。このように各接続端子5は、ステータコア2の軸長方向(図1の矢印L方向)に沿って延設されておらず、放射方向に沿って、すなわち、ステータコア2の径方向(矢印D方向)に沿って延設されている。このためステータ1の同相(U相,V相,W相)に通電される超電導コイル4同士を接続端子5を介して配線させる構造について、軸長方向(矢印L方向)の寸法の増大化が抑制される。ひいては、ステータ1を組み付けて形成させるにあたり、軸長方向(矢印L方向)において小型化させるのに有利である。
【0035】
図2に示すように、複数の接続端子5がステータコア2に組み付けられているとき、各接続端子5の内端部51およびスリット58は、それぞれ、ステータコア2の径方向(矢印D方向,コア中心線P1に対して放射方向,求心方向)に沿って放射方向に配置されており、換言すると、径内方向(矢印Di方向)に向かうにつれて互いに接近するように配置されている。
【0036】
ここで、接続端子5は銅等の導電材料で形成されており、図5に示すように、本体部50と、本体部50の外端に立設されたフランジ状の鍔部54とをもつ。本体部50は、矢印D方向において、内端部51、中間部52および外端部53をもつ。内端部51は、矢印D方向の最内端に向かうにつれて、ステータコア2の周方向(矢印S方向)において互いに接近する背向する2つの側面51sと、超電導コイル4の口出し線41,42を挿入させて保持させるための挿入孔としてのスリット58を備えている。スリット58は、接続端子5の内端部51の内端面から外端部53に向けて矢印D方向(コア中心線P1に対して放射方向,求心方向)において直線状に延設されている。中間部52は、接続端子5をステータコア2に固定させるための固定部としての固定孔55をもつ。固定孔55は、螺子孔でも良いし、あるいは、通孔でも良く、更に、単数とされているが、複数としても良い。
【0037】
図5から理解できるように、鍔部54は、ステータコア2の径方向(矢印D方向,放射方向,求心方向)に貫通する配線接続部として機能する配線接続孔56をもつ。単数の接続端子5において、配線接続孔56は単数とされているが、複数としても良く、さらには、螺子孔でも良いし、通孔でも良い。
【0038】
図3に示すように、配線接続孔56はスリット58から離間しており、更に配線接続孔56は接続端子5の外端部53側つまりステータコア2の外周側に位置する。このため、接続線57(図5参照)を接続端子5の配線接続孔56に結合させて配線させる配線作業が楽になる。なお、モータ駆動時には、複数の超電導コイル4には、三相交流のU相、V相、W相が通電される。すなわち、三相交流のU相が通電される超電導コイル4、V相が通電される超電導コイル4、W相が通電される超電導コイル4がそれぞれ存在する。U相が通電される超電導コイル4同士は、接続端子5および接続線57(図5参照)を介して直列に電気接続される。V相が通電される超電導コイル4同士は、接続線57を介して直列に電気接続される。W相が通電される超電導コイル4同士は、接続線57を介して直列に電気接続される。
【0039】
図5に示すように、スリット58は、接続端子5の内端部51のうち最も内側に位置する内端開口58iと、軸長方向(矢印L方向)において開口する主開口58pとをもつ。図3において、スリット58の長さLSは、接続端子5の長さLAのうち40〜70%程度を占めることができるが、これに限定されるものではない。スリット58のスリット巾は、例えば、口出し線41,42の肉厚を挿入できる程度とされていることが好ましい。図5に示すように、接続端子5のうち内端部51に形成されているスリット58には、超電導コイル4の口出し線41,42が挿入されて固定されている。具体的には、図5に示すように、一の超電導コイル4の第1口出し線41は、一の接続端子5のスリット58のうちこれの外端部分58mに寄せて挿入されており、結合材料(半田材料、溶接材料、導電バインダ等)で強固に結合されている。同様に、超電導コイル4の第2口出し線42は、隣接する他の接続端子5のスリット58のうち内端開口58iに寄せて挿入されており、結合材料(半田材料、溶接材料、導電バインダ等)で結合されている。
【0040】
超電導線材は薄肉状の長方形状をなしている。スリット58は第1口出し線41および第2口出し線42を挿入させる。このため、スリット58を形成する壁面と第1口出し線41との結合面積、スリット58を形成する壁面と第1口出し線41との結合面積は増大されて結合力が高められている。これにより接続端子5と第1口出し線41との境界の電気抵抗における接続抵抗を低減できる。同様に、接続端子5と第2口出し線42との接続抵抗を低減できる。
【0041】
図5に示すように、一の超電導コイル4の第1口出し線41および第2口出し線42は、スリット58において、矢印D方向(ステータコア2の径方向)において互いにずれて位置している。超電導コイル4はダブルパンケーキ形状に対処するためである。このような構造により、同一の超電導コイル4の第1口出し線41および第2口出し線42は、互いに異なる接続端子5に電気的にそれぞれ接続されて結合されている(図5参照)。なお、第1口出し線41および第2口出し線42の位置は、スリット58の延びる方向(矢印D方向)においてスリット58内にて調整可能とされている。
【0042】
また前述したように、図2に示すように、複数のスロット24および複数のティース25は、それぞれ、ステータコア2のコア中心線P1に対して放射方向(すなわち、ステータコア2の径方向である矢印D方向)に沿って延設されている。更に、図2に示すように、複数の接続端子5はスリット58と共に、ステータコア2のコア中心線P1に対して放射方向(すなわち、ステータコア2の径方向である矢印D方向)に沿って延設されている。
【0043】
このような本実施形態によれば、接続端子5に形成されているスリット58は、図2および図3から理解できるように、ステータコア2のコア中心線P1に対して放射方向に沿って延設されている。超電導コイル4の第1口出し線41および第2口出し線42も、放射方向(すなわち、ステータコア2の径方向である矢印D方向)に沿った状態で接続端子5のスリット58に挿入されている。超電導コイル4の第1口出し線41および第2口出し線42も、放射方向(すなわち、ステータコア2の径方向である矢印D方向)に沿った状態で、接続端子5のスリット58に挿入されて固定されている。
【0044】
図6は、超電導線材が巻回された超電導コイル4を構成する巻回体40の肉厚を表す断面を示す。図6では、便宜上、口出し線41,42のみにハッチングを付する。図6において、超電導コイル4において、巻回体40のうちこれのコイル中心線P2を介して互いに反対側に位置する直状部40aは、コイル中心線P2に対して角度θ1傾斜されている。従って、巻回体40のうち互いに対向する直状部40aは、コイル中心線P2に対して『ハ』の字形状を形成している。すなわち、超電導コイル4において、巻回体40のうち互いに対向する直状部40aは、ステータコア2の径内方向(Di方向)に向かうにつれてコイル中心線P2に接近するように傾斜されている。図6に示す構造は、超電導線材を曲げながら巻回体40を巻回させた場合に相当する。
【0045】
このように『ハ』の字形状を形成している第1口出し線41および第2口出し線42は放射方向に沿っているため、放射方向に伸びるスリット58に容易に挿入できる。このため、第1口出し線41および第2口出し線42がスリット58に挿入されている状態において、第1口出し線41および第2口出し線42に作用する応力負荷が軽減される。このように応力負荷が軽減されるため、超電導コイル4の臨界電流密度を高めに維持させるのに有利である。
【0046】
本実施形態によれば、図1に示すように、各接続端子5は絶縁部6を介してケース3に固定されている。具体的には、接続端子5の固定孔55に挿入させた固定具7を絶縁部6の内側部66に締結させる。これにより、各接続端子5は絶縁部6を介してケース3のリング状の軸端面34に取り付けられている。接続端子5の鍔部54はケース3の薄肉部30の内周面側に隙間54p(図1参照)を形成させる。
【0047】
図1に示すように、軸長方向(矢印L方向)において、超電導コイル4、ステータコア2、接続端子5、絶縁部6は、ケース3の薄肉部30の軸端面31,32よりも突出しないように配置されており、コンパクト化されている。ステータ1のロータ室1rには、超電導コイル4を臨界温度以下に冷却させるための極低温状態の液相状または気相状の冷媒が収容される。従ってモータの近辺には極低温冷凍機が搭載される。冷媒は例えば液体窒素、液体空気、液体ヘリウムを例示できる。
【0048】
以上説明したように本実施形態によれば、ステータコア2のコア中心線P1に対してほぼ平行な方向から投影する端面図である図2,図3において、各接続端子5は、ステータコア2の外周側からステータコア2の内周側にかけて径方向(矢印D方向)に沿って延設されている。このように接続端子5は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)に沿って長く延設されていない。このため、同相の電流が通電される複数の超電導コイル4同士を接続端子5を介して接続させるにあたり、軸長方向(矢印L方向)の寸法が抑制される。ひいてはステータ1をもつモータの軸長方向(矢印L方向)において小型化させるのに有利である。
【0049】
更に、図1に示すように、各接続端子5の配線接続孔56は、ケース3側につまり接続端子5の外端部53の側に位置するため、ステータコア2の内周側に位置する場合に比較して、配線接続孔56に接続線57を接続させる作業を容易にできる。従って、同相(U相,V相,W相)の電流がそれぞれ通電される超電導コイル4同士を、接続端子5、接続端子5の配線接続孔56に接続させる作業が容易となる。
【0050】
(実施形態2)
図7は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の作用効果を有する。図7は、超電導線材が巻回された超電導コイル4を構成する巻回体40の肉厚を表す断面(ハッチングは口出し線41,42のみ示す)を示す。図7において、超電導コイル4において、巻回体40のうちこれのコイル中心線P2を介して互いに反対側に位置する直状部40aは、『ハ』の字形状を形成するように超電導コイル4のコイル中心線P2に対して角度θ1傾斜されている。従って、図7に示す断面において、第1口出し線41および第2口出し線42は、ステータコア2の径内方向(矢印Di方向)に向かうにつれて互いに接近するように配置されている。なお本実施形態においても、実施形態1で説明したように、各接続端子5がステータコア2に組み付けられているとき、各接続端子5のスリット58は放射方向に沿って配置されており(準用する図3)、換言すると、ステータコア2の径内方向(矢印Di方向)に向かうにつれて互いに接近するように配置されている。この場合には、巻回体40を巻回させた後、超電導コイル4の全体を曲げた場合に相当する。このような本実施形態によれば、第1口出し線41および第2口出し線42を接続端子5のスリット58に容易に挿入できるため、第1口出し線41および第2口出し線42に作用する応力負荷が軽減される。
【0051】
(実施形態3)
図8は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の作用効果を有する。図8は、超電導線材が巻回された超電導コイル4を構成する巻回体40の肉厚を表す断面(ハッチングは口出し線41,42のみ示す)を示す。図8において、超電導コイル4において、巻回体40のうちこれのコイル中心線P2を介して互いに反対側に位置する直状部40aは、超電導コイル4のコイル中心線P2に対してほぼ平行とされている。スロット24、各接続端子5のスリット58は、コア中心線P1に対して放射方向に沿って配置されている(準用する図3)。このため、各接続端子5がステータコア2のスロット24、各接続端子5のスリット58に挿入された状態で組み付けられるとき、直状部40a、第1口出し線41および第2口出し線42は、『ハ』の字形状を曲成される。
【0052】
(実施形態4)
図9〜図13は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の作用効果を有する。超電導回転電機としての超電導モータはステータ1を備える。図9および図10はステータ1を示す。図9は、ステータコア2の直線状に延びるコア中心線P1に沿ってコア中心線P1を含むように切断された断面図を示す。図10は、ステータコア2のコア中心線P1に対してほぼ平行な矢印PB方向(図9参照)から投影する端面図を示す。
【0053】
図9に示すように、ステータ1は、コア中心線P1をもつステータコア2と、ケース3と、超電導コイル4と、複数の接続端子5とを有する。図9に示すように、ステータコア2は、コア中心線P1の回りに形成された筒形状をなしており、高い透磁率をもつ材料で形成されている。ステータコア2は、コア中心線P1の回りに形成されたリング状の外周面20、リング状の軸端面21,22とを有する。
【0054】
図10に示すように、ステータコア2の内周部には、コア中心線P1の回りの周方向(矢印S方向)において複数のスロット24と、ティース25とが交互に並設されている。ティース25およびスロット24は、コア中心線P1とほぼ平行な方向に沿ってステータコア2の軸長方向(矢印L方向)に沿って延設されている。図11に示すように、複数のティース25および複数のスロット24は、それぞれ、ステータコア2の径方向(矢印D方向、すなわち、コア中心線P1から外周側に向けて放射された放射方向、すなわち、コア中心線P1に向かう求心方向)に沿って延設されている。
【0055】
図9に示すように、ケース3は、ステータコア2の外周部を覆う円筒形状をなしており、ステンレス鋼、硬質樹脂、セラミックス等の非磁性材料で形成されている。図9に示すように、ステータコア2の一方の軸端面22には、高い電気絶縁性をもつ端子台として機能する絶縁部6が着座されて固定具7Bにより固定されている。図9に示すように、固定具7Bは、絶縁部6の貫通孔6kおよびステータコア2の貫通孔2kに挿入された長軸部70と、長軸部70の長さ方向の一端部に締結され絶縁部6にあてがわれた第1頭部71と、長軸部70の長さ方向の他端部に締結されステータコア2の軸端面21にあてがわれた第2頭部72とをもつ。
【0056】
絶縁部6はコア中心線P1の回りでリング状に延設されており、FRPや硬質樹脂等からなる電気絶縁材料で形成されている。場合によっては、セラミックスで形成しても良い。図9に示すように、絶縁部6は、ステータコア2の軸端面22に対面するリング状の軸端面68と、リング状の軸端面69とを有する。図10に示すように、超電導コイル4は長さLCをもち、ステータコア2の内周側において、コア中心線P1回りの周方向(矢印S方向)に沿って複数個並設されている。図10において、仮想面DBは、コア中心線P1を含むようにコア中心線P1を通過しつつ、ステータコア2の径方向(矢印D方向)に沿った2次元的な仮想的な面を示す。仮想面DCは、図10において超電導コイル4を通過しつつ仮想面DBに対して直交する仮想的な面を示す。図10に示すように、超電導コイル4は、仮想線DCに対して傾斜しつつ、周方向(矢印S方向)に沿って複数個並設されている。図10に示すように、ステータコア2の周方向(矢印S方向)において、隣接する超電導コイル4同士の一部が重複するように、複数の超電導コイル4は並設されている。この場合、同相に接続される超電導コイル4に通電されて回転磁界を形成するとき、周方向(矢印S方向)に移動する回転磁界の波形の改善に貢献できる。
【0057】
図13に示すように、超電導コイル4はレーストラック(陸上競技場)形状のダブルパンケーキ状をなしている。ダブルはコイル中心線P2において2重という意味である。図13に示すように、超電導コイル4は、自身のコイル中心線P2の回りで超電導線材を多重に巻回して形成された巻回体40と、巻回体40から距離WA離間しつつ導出する第1口出し線41および第1口出し線41をもつ。超電導コイル4の巻回体40は、超電導材を直状に延設させた直状部40aと、超電導材を円弧状に曲成させた曲成部40cとを有する。単数のスロット4には、直状部40aが挿入されている(図11および図12参照)。
【0058】
超電導線材は超電導材で形成されており、殊に高温超電導材で形成されていることが好ましい。超電導線材はテープ形状をなしており、断面で、長辺43および短辺44をもち、厚みT3(図13参照)をもつ薄肉状の長方形状をなしている。断面において、巻回体40を構成する直状部40aは、互いにほぼ平行とされている。同様に、第1口出し線41および第2口出し線42は、互いにほぼ平行とされている。
【0059】
超電導コイル4について、第1口出し線41および第2口出し線42は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)において、超電導コイル4の巻回体40から互いに同じ方向(図13に示す矢印L1方向)に突出する。このように第1口出し線41および第2口出し線42は、互いにほぼ平行とされつつ、同じ方向(矢印L1方向)に延設されている。矢印D方向において、第1口出し線41は内周側に位置し、第2口出し線42は外周側に位置する。
【0060】
図11は、複数の超電導コイル4のうち超電導コイル4をスロット24に組み付けている状態の一部を示す。図11から理解できるように、超電導コイル4の巻回体40の直状部40aは、スロット24にそれぞれ挿入されている。超電導コイル4の巻回体40の曲成部40cは、ステータコア2の複数のティース25および複数のスロット24を跨ぐように架設されている。このように超電導コイル4はスロット24に組み付けられている。
【0061】
図11に示すように、スロット24はコア中心線P1から放射方向に延びている。図11に示すように、同一の超電導コイル4の第1口出し線41および第2口出し線42は、ステータコア2の径方向(矢印D方向)に対して傾斜しつつ、互いにほぼ平行とされている。
【0062】
ここで、図12に示すように、超電導コイル4の第1口出し線41は一のスロット24(24A)の内周側に位置しており、第2口出し線42は他のスロット24(24B)の外周側に位置している。図10に示すように、接続端子5は、ステータコア2の外周側からステータコア2の内周側にかけてステータコア2の径方向に(矢印D方向)沿って延設されている。このように実施形態1の場合と同様に、接続端子5は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)には沿っておらず、ステータコア2の径方向に沿って延設されている。このためステータ1の軸長方向(矢印L方向)の寸法が抑制され、ひいては、ステータ1は軸長方向(矢印L方向)において小型化される。
【0063】
更に説明を加える。図10に示すように、接続端子5は、第1接続端子510と、第1接続端子510よりも長さが短い第2接続端子520とで形成されている。第1接続端子510の長さは相対的に長い。第2接続端子520の長さは相対的に短い。周方向(矢印S方向)において、第1接続端子510および第2接続端子520は交互に配置されている。
【0064】
図10における矢視W12を図12に示す。図12に示すように、第1接続端子510は、第1挿入孔としての第1スリット581をもつと共にステータコア2の周方向(ほぼ矢印S方向)に沿って曲成された内端部51と、径方向(矢印D方向)に延びる中間部52と、固定孔55をもつ外端部53とを備えている。第1接続端子510において、第1スリット581は、第1接続端子510の内端部51の内端面に開口すると共に、内端581iから直線状に外周側に向けて延設されている。
【0065】
図12に示すように、超電導コイル4の第1口出し線41は、長い長さをもつ第1接続端子510の第1スリット581に挿入され、半田材料、溶接材料、導電バインダ等の結合材料で結合されている。同一の超電導コイル4の第2口出し線42は、第2接続端子520の第2スリット582に挿入され、半田材料、溶接材料、導電バインダ等の結合材料で結合されている。
【0066】
長さが長い第1接続端子510において、外端部53は、第1接続端子510を絶縁部6を介してステータコア2に固定させるための固定孔55をもつ。中間部52は、第1接続端子510の厚み方向に貫通する配線接続孔56(配線接続部)をもつ。第2接続端子520は、第2挿入孔としての第2スリット582をもつ内端部51と、固定孔55をもつ外端部53とを備えている。長さが短い第2接続端子520において、第2スリット582は、第2接続端子520の内端部51の内端面に開口すると共に内端から直線状に延設されている。第2接続端子520は、第2接続端子520を絶縁部6を介してステータコア2に固定させるための固定孔55をもつ。第2接続端子520は、第2接続端子520の厚み方向に貫通する配線接続孔56をもつ。
【0067】
図12に示すように、長さが長い第1接続端子510において、配線接続孔56は第1スリット581から離間しており、更に、配線接続孔56はステータコア2の外周側に寄っている。このため、配線接続孔56がステータコア2の内周側に寄っている場合に比較し、接続線57を第1接続端子510の配線接続孔56に結合させて配線させる配線作業が楽になる。外周側の方が内周側よりも、矢印S方向の周長が相対的に長くなるため、スペースがとれるためである。同様に、長さが短い第2接続端子520において、配線接続孔56は第2スリット582から離間しており、更に配線接続孔56はステータコア2の外周側に寄せて設けられている。このため、接続線57を第2接続端子520の配線接続孔56に結合させて配線させる配線作業が楽になる。
【0068】
なお、前述同様に、複数の超電導コイル4として、三相交流のU相が通電される超電導コイル4、V相が通電される超電導コイル4、W相が通電される超電導コイル4が存在する。U相が通電される超電導コイル4同士は、接続線(図示せず)を介して直列に電気接続される。V相が通電される超電導コイル4同士は、接続線(図示せず)を介して直列に電気接続される。W相が通電される超電導コイル4同士は、接続線57を介して直列に電気接続される。なお、図12に示すように、第1スリット581および第2スリット582のスリット巾は、第1口出し線41および第2口出し線42の肉厚を挿入できる程度とされていることが好ましい。
【0069】
図11は、複数の超電導コイル4のうち3つの超電導コイル4をスロット24に組み付けている状態を示す。各超電導コイル4は、ステータコア2の径方向(矢印D方向)、即ち、コア中心線P1から放射方向に延びる放射線に対して、傾斜された状態でスロット24に組み付けられている。従って、同一の超電導コイル4について、第1口出し線41はスロット24の内周側に位置しており、第2口出し線42はスロット24の外周側に位置している。このように同一の超電導コイル4について、第1口出し線41および第2口出し線42は、ステータコア2の径方向(矢印D方向)、即ち、コア中心線P1から放射方向に延びる放射線に対して、傾斜しつつ互いにほぼ平行とされている。
【0070】
換言すると、同一の超電導コイル4について、第1口出し線41を挿入させる第1スリット581と第2口出し線42を挿入させる第2スリット582とは、径方向(矢印D方向)に対して傾斜しつつ、互いにほぼ平行に指向されている。このように第1スリット581は、同一の超電導コイル4の第1口出し線41が指向する方向と同じ方向に指向する。第2スリット582は、同一の超電導コイル4の第2口出し線42が指向する方向と同じ方向に指向する。
【0071】
このような本実施形態によれば、超電導コイル4の巻回体40の直状部40a、ひいては第1口出し線41および第2口出し線42を、『ハ』の字形状に無理やり傾斜させずとも良く、ストレート状にできる。この場合、超電導コイル4において、巻回体40の直状部40a、第1口出し線41および第2口出し線42にかかる応力負荷が軽減され、超電導コイル4の耐久性の向上、超電導コイル4の通電性能の向上に有利である。
【0072】
更に説明を加える。図12に示すごとく、同一の超電導コイル4を接続させるために第1接続端子510に形成されている第1スリット581と、第2接続端子520に形成されている第2スリット582の向きは、互いにほぼ平行とされている。このように同一の超電導コイル4を接続させるための第1スリット581および第2スリット582は、互いにほぼ平行な方向に指向する。このように第1口出し線41および第2口出し線42は、超電導コイル4のうち互いにほぼ平行とされ、しかも、第1スリット581および第2スリット582と同じ方向に指向する。このため、超電導コイル4の第1口出し線41および第2口出し線42は、第1スリット581および第2スリット582に無理なく挿入される。このため、第1口出し線41および第2口出し線42にかかる応力負荷が軽減され、超電導コイル4の耐久性の向上、超電導コイル4の通電性能の向上に有利である。
【0073】
以上説明したように本実施形態によれば、ステータコア2のコア中心線P1に対してほぼ平行な方向から投影する端面図10において、各接続端子5は、ステータコア2の外周側からステータコア2の内周側にかけてほぼ径方向(矢印D方向)に沿って延設されている。このように接続端子5は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)に沿って延設されていない。このため、同相の電流が通電される超電導コイル4を接続端子5を介して接続させるにあたり、軸長方向(矢印L方向)の寸法が抑制される。ひいてはステータ1は軸長方向(矢印L方向)において小型化される。
【0074】
(実施形態5)
図14〜図17は実施形態5を示す。本実施形態は上記実施形態と基本的には同様の作用効果を有する。図14は超電導コイル4Kを示す。超電導コイル4Kは、自身のコイル中心線P2の回りで超電導線材を多重に巻回して形成された巻回体40と、巻回体40から互いに反対方向に導出する第1口出し線41および第2口出し線42をもつ。図14に示すように、超電導コイル4Kの巻回体40は、超電導材を直状に延設させた直状部40aと、超電導材を円弧状に曲成させた曲成部40cとを有する。超電導線材は超電導材料で形成されており、殊に高温超電導材料を用いて形成されていることが好ましい。超電導線材は、テープ形状をなしており、断面で、長辺43および短辺44をもち、厚みT3をもつ薄肉状の長方形状をなしている。断面において、巻回体40を構成する矢印L方向に延びる直状部40a同士は、互いにほぼ平行に並走されている。同様に、第1口出し線41および第2口出し線42は、互いにほぼ平行に並走されている。すなわち、第1口出し線41および第2口出し線42は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)において、超電導コイル4の巻回体40から互いに反対方向(図14に示す矢印L3,L4方向)に突出するように並走する。このように第1口出し線41および第2口出し線42は互いにほぼ平行とされつつ、互いに反対方向に延設されている。
【0075】
図15に示すように、第1接続端子510は、ステータコア2の一方の軸端面22に絶縁部6を介して取り付けられている。第2接続端子520は、ステータコア2の他方の軸端面21に絶縁部6を介して取り付けられている。このように第1接続端子510および第2接続端子520は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)において互いに反対側に組み付けられている。
【0076】
図16は図15の矢印PE方向から投影した端面図であり、超電導コイル4の第1口出し線41を第1接続端子510の第1スリット581に挿入させている状態を示す。第1接続端子510の長さはL5(図16参照)として示される。図17は図15の矢印PF方向から投影した端面図であり、超電導コイル4の第2口出し線42を第2接続端子520の第2スリット582に挿入させている状態を示す。第2接続端子520の長さはL6(図17参照,L6>L5)として示される。
【0077】
本実施形態によれば、図16に示すように、ステータコア2の一方の軸端面22には第1接続端子510が組み付けられているものの、第2接続端子520は組み付けられていない。このため一方の軸端面22側では、周方向(矢印S方向)において隣接する第1接続端子510同士の間隔SM(図16参照)を増加できるため、作業スペースが確保され、作業性が向上する。加えて、周方向(矢印S方向)における第1接続端子510の幅寸法SD1(図16参照)も増加でき、ひいては第1接続端子510の導電断面積を増加でき、第1接続端子510の電気抵抗を低下させ得る。更に、第1接続端子510同士の間隔SM(図16参照)を増加できるため、高い電圧が第1接続端子510に印加されるときであっても、隣接する第1接続端子510間の放電抑制に有利である。
【0078】
図17に示すように、ステータコア2の他方の軸端面21には第2接続端子520が組み付けられているものの、第1接続端子510は組み付けられていない。このため他方の軸端面21では、周方向(矢印S方向)において隣接する第2接続端子520同士の間隔SN(図17参照)を増加できるため、作業スペースが確保され、作業性が向上する。加えて、周方向(矢印S方向)における第2接続端子520の幅寸法SD2(図17参照)も増加でき、ひいては第2接続端子520の導電断面積を増加でき、第2接続端子520の電気抵抗を低下させ得る。更に、第2接続端子520同士の間隔SN(図17参照)を増加できるため、隣接する第2接続端子520間の放電抑制に有利である。
【0079】
(実施形態6)
図18は実施形態6を示す。本実施形態は上記実施形態4の変形形態を示し、基本的には実施形態4と同様の作用効果を有する。超電導コイル4(410,420,430等)の形状、スロット24に対する配置は、基本的には、実施形態4の場合と同じである。本実施形態では、2つの隣接する超電導コイル4には三相交流の同一相の電流が流れる。具体的には、隣接する超電導コイル410と超電導コイル420には、U相が流れる。隣接する超電導コイル430と超電導コイル440には、V相が流れる。次の2つの超電導コイル(図18には図示されず)には、W相が流れる。本実施形態はこのように各超電導コイル4が接続される場合に用いられる。
【0080】
更に説明を加える。本実施形態では、図18に示すように、接続端子5は、ステータコア2の周方向(矢印S方向)において順に並設された第1接続端子510と第2接続端子520と第3接続端子530とを備えている。即ち、接続端子5として、第1接続端子510と、第1接続端子510よりも長さが短い第2接続端子520と、第1接続端子510の長さ方向の途中に短い突起部535を設けた形状の第3接続端子530との3種類が用いられている。突起部535は周方向に向けて突出する。
【0081】
第1の接続端子510は実施形態4の場合とほぼ同形であり、径内側に第1スリット581を有する。第2の接続端子520は実施形態4の場合とほぼ同形であり、第2スリット582を有する。第3接続端子530は、第1接続端子510と類似する形状をなしており、長さ方向の途中部において周方向に突出する突起部535をもつ。第3接続端子530は、径内側に第1スリット581と,突起部535に形成された第2スリット582とを持つ。ステータコア2の軸長方向から視認されるとき、第2スリット582は、スロット24の底部付近に相当する位置(実施形態4における第2接続端子520のスリットと同じ位置)にある。第1スリット581は、隣接するスロットの開口部付近(実施形態4における第1接続端子510のスリットと同じ位置)に位置する。
【0082】
図18に示すように、一の超電導コイル410の第1口出し線41は第1接続端子510の第1スリット581(第1挿入孔)に挿入されて接続されている。一の超電導コイル410に隣設する他の超電導コイル420の第2口出し線42は、第2接続端子520の第2スリット582(第2挿入孔)に挿入されて接続されている。そして、周方向(矢印S方向)において隣接する二つの超電導コイル410,420には同相(例えばU相)の電流が第3接続端子530を介して通電される。
【0083】
図18を参照しつつ超電導コイル410と超電導コイル420との接続を例にとって、隣接する超電導コイル410,420間の接続について、更に説明を加える。超電導コイル410の口出し線41,42のうち、一方の第1口出し線41(内周側)は、第1接続端子510の第1スリット581に挿入されて接続されている。超電導コイル410の他方の第2口出し線42(外周側)は、第3接続端子530の突出部535の第2スリット582(スロット24の外縁側の底部付近に位置する)に挿入されて接続されている。図18に示すように、第3接続端子530のもう一方の第1スリット581(スロット24の内縁側の開口部付近に位置する)には、超電導コイル420の一方の第1口出し線41(内周側)が挿入されて接続されている。超電導コイル420の他方の第2口出し線42(外周側)は、第2接続端子520の第2スリット582に挿入されて接続されている.
図18に示すように、第2接続端子520の配線接続孔56には接続線57aが固定されている。第1接続端子510の配線接続孔56には接続線57cが固定されている。これにより他の同相の超電導コイルと直列に接続されている。
【0084】
上記した構成により周方向(矢印S方向)に隣接する超電導コイル410と超電導コイル420とは、第3接続端子530を介して直列に接続されている。これにより周方向(矢印S方向)において互いに隣接する超電導コイル410,420には、同相(U相)の電流が通電される。U相の電流経路、V相の電流経路、W相の電流経路は図18に図示されている。
【0085】
図18から理解できるように、例えば、U相の電流経路は次のように形成されている。即ち、U相の電流経路は、経路U1,U2,U3,U4,U5,U6等を備える。具体的には、図18に示すように、U相の電流経路は、接続線57a、第2接続端子520の配線接続孔56、第2接続端子520の第2スリット582、超電導コイル420の第2口出し線42、超電導コイル420、超電導コイル420の第1口出し線41、第3接続端子530の第1スリット581、第3接続端子530の突起部535、突起部535の第2スリット582、第1超電導コイル410の第2口出し線42、超電導コイル410、超電導コイル410の第1口出し線41、第1接続端子510の第1スリット581、第1接続端子510、第1接続端子510の配線接続孔56、接続線57cと繋がる通電経路を形成する。
【0086】
超電導コイル430,440も同様に接続されており、周方向(矢印S方向)において隣接する超電導コイル410,420の相(U相)とは別の相(V相)が超電導コイル430,440に通電される。即ち、図18に示すように、V相の電流経路は、経路V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7等を備える。具体的には、V相の電流経路は、超電導コイル440,超電導コイル440の第1口出し線41、第3接続端子530の第1スリット581、第3接続端子530の突起部535、突起部535の第2スリット582、超電導コイル430の第2口出し線42、超電導コイル430、超電導コイル430の第1口出し線41、第1接続端子510の第1スリット581、第1接続端子510、第1接続端子510の配線接続孔56、接続線57cと繋がる通電経路を形成する。
【0087】
本実施形態によれば、図18に示すように、第1接続端子510,第2接続端子520の他に、第3接続端子530が設けられている。ここで、周方向(矢印S方向)に互いに隣接する超電導コイル410,420は、一の第3接続端子530(530A)を用いて直接接合されている。周方向(矢印S方向)に互いに隣接する超電導コイル430,440は別の第3接続端子530(530B)を用いて直接接合されている。これにより接続作業を簡略化でき、接続抵抗を低減させるという効果が得られる。
【0088】
(その他)
実施形態1では、ステータコア2の周方向(矢印S方向)において、複数の超電導コイル4は周方向において一部重複するように配置されている。但し、場合によっては、超電導コイル4および超電導コイル4は周方向において重複していなくても良い。ステータの超電導コイル4には三相交流が通電される超電導モータに適用されているが、これに限らず、超電導コイルを有するDCモータでも良い。回転電機はモータとされているが、発電機に適用しても良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0089】
1はステータ、2はステータコア、P1はコア中心線、24はスロット、25はティース、3はケース、30は薄肉部、33は厚肉部、4は超電導コイル、P2はコイル中心線、40は巻回体、41は第1口出し線、42は第2口出し線、P2はコイル中心線、5は接続端子、50は本体部、51は内端部、52は中間部、53は外端部、54は鍔部、510は第1接続端子、520は第2接続端子、6は絶縁部(電機絶縁物)、55は固定孔、56は配線接続孔、57は接続線、58はスリット(挿入孔)、581は第1スリット(第1挿入孔)、582は第2スリット(第2挿入孔)、7は固定具を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は超電導回転電機ステータに関する。回転電機はモータおよび発電機を例示できる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ステータ、ステータに設けられた電機子、ロータを有する多相モータを開示する。このものによれば、電機子は、テープ状の超電導線材をその断面の長辺を積層しながら、らせん状に巻いて一体化して形成された複数の超電導コイルを備える。ここで、隣接する複数の超電導コイルは、ステータの周方向において、互いに一部重なりあうように配置されている。
特許文献2は、コイル中心線の回りで超電導線材を巻回して形成された巻回体と巻回体から導出する口出し線とをもつレーストラック型の超電導コイルを開示する。このものによれば、巻回体の最外周の超電導線の端末が、巻回体の一端から外方に引き出されておいる。超電導コイルの端末には、リード線接続用の接続端子が取り付けられている。接続端子にリード線が接続され、これにより電気的に同相とされる超電導コイル同士を電気的に繋ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-176582号公報
【特許文献2】特開2009-49033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、超電導コイルをステータに配置することが示されている。しかし特許文献1には、超電導コイルをステータに電気的に実際に接続する構造が言及されていない。特許文献2には、コイルに接続端子を取り付ける方法が示されているが,これをモータ等の回転電機のステータに使用する場合には、接続端子を具体的にどのように配置するかが言及されていない。上記したように特許文献1,2によれば、超電導コイルを繋ぐ接続端子を省スペースで固定させるのに具体的構造は言及されていない。
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、超電導コイルを繋ぐ接続端子を省スペースで固定させるのに有利な構造をもつ超電導回転電機ステータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)様相1に係る本発明に係る超電導回転電機ステータは、(i)コア中心線の回りに形成された筒形状をなすステータコアと、(ii)ステータコアの外周部を覆うケースと、(iii)ステータコアの内周側においてこれの周方向に沿って複数個並設され、コイル中心線の回りで超電導線材を巻回して形成された巻回体と巻回体から導出する口出し線とをもつ超電導コイルと、(iv)ステータコアまたはケースに電気絶縁状態に固定され且つ超電導コイル同士を接続させる導電材料で形成された複数の接続端子とを具備しており、(v)各接続端子は、ステータコアの外周側からステータコアの内周側にかけて延設されており、各接続端子は、超電導コイルの口出し線に電気的にそれぞれ接続されている。
【0007】
各接続端子は、ステータコアの外周側からステータコアの内周側にかけてステータの径方向において延設されている。このように接続端子は、ステータの軸長方向に沿って延設されていない。このため超電導コイル同士を接続端子を介して電気接続させるにあたり、軸長方向の寸法が抑制される。ひいてはステータの軸長方向の寸法が抑制される。
【0008】
(2)様相2に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、接続端子は、ステータコアまたはケースの軸端面側に電気絶縁物を介して固定されている。接続端子の電気絶縁性が確保される。電気絶縁物は高い電気絶縁性を有するものであれば、何でも良い。本様相においても、接続端子は、ステータの軸長方向に沿って延設されていないため、ステータの軸長方向の寸法が抑制される。
【0009】
(3)様相3に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、接続端子は、超電導コイルの口出し線を挿入させて保持させるための挿入孔を備えている。接続端子のうちステータコアの内周側の内端部の挿入孔には、超電導コイルの口出し線が挿入されて保持され、口出し線の位置変動が抑制される。このため、各接続端子は、超電導コイルの口出し線に電気的にそれぞれ接続される。超電導コイルの口出し線が挿入孔に圧入されて固定されていてもよいし、あるいは、口出し線が挿入孔に挿入された状態において結合材料で接続端子に結合されていても良い。結合材料は半田材料、溶接材料、有機系または無機系の導電バインダを例示できる。口出し線が延びる方向に対して直交する断面において、超電導コイルの口出し線は、偏平形状をなしていることが好ましい。
【0010】
(4)様相4に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、(i)口出し線は、ステータコアの軸長方向において超電導コイルの巻回体から突出する第1口出し線および第2口出し線を有しており、第1口出し線および第2口出し線は、ステータコアの径内方向に向かうにつれて互いに接近するように配向しており、(ii)挿入孔は、一の超電導コイルの第1口出し線が挿入される第1挿入孔と、一の超電導コイルの第2口出し線が挿入される第2挿入孔とを有しており、(iii)第1挿入孔は一の超電導コイルの第1口出し線とほぼ同じ方向に指向しており、第2挿入孔は一の超電導コイルの第2口出し線とほぼ同じ方向に指向している。一の超電導コイルの第1口出し線は、第1挿入孔に挿入されて支持される。一の超電導コイルの第2口出し線は、第2挿入孔に挿入されて支持される。
【0011】
(5)様相5に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、(i)口出し線は、ステータコアの軸長方向において超電導コイルの巻回体から突出する第1口出し線および第2口出し線を有しており、第1口出し線および第2口出し線は互いにほぼ平行にされており、(ii)挿入孔は、一の超電導コイルの第1口出し線が挿入される第1挿入孔と、一の超電導コイルの第2口出し線が挿入される第2挿入孔とを有しており、第1挿入孔は一の超電導コイルの第1口出し線とほぼ同じ方向に指向しており、第2挿入孔は一の超電導コイルの第2口出し線とほぼ同じ方向に指向している。一の超電導コイルの第1口出し線は、第1挿入孔に挿入されて支持される。一の超電導コイルの第2口出し線は、第2挿入孔に挿入されて支持される。
【0012】
(6)様相6に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、第1口出し線および第2口出し線は、ステータコアの軸長方向において超電導コイルの巻回体から互いに同じ方向に突出しており、接続端子は、超電導コイルの第1口出し線を挿入させる第1挿入孔を有する第1接続端子と、超電導コイルの第2口出し線を挿入させる第2挿入孔を有する第2接続端子とを有しており、第1接続端子および第2接続端子は、ステータコアの軸長方向において互いに同じ側に配置されている。
【0013】
このように接続端子は、ステータコアの軸長方向に沿って長く延設されていない。このため超電導コイル同士を接続端子を介して電気接続させるにあたり、軸長方向の寸法が抑制される。ひいては、ステータの軸長方向の寸法を小型化させるのに有利となる。
【0014】
更に本様相によれば、第1接続端子および第2接続端子は、ステータコアの軸長方向において互いに同じ側に配置されている。このためステータコアの軸長方向において同じ側から、第1接続端子および第2接続端子の双方に配線を接続させることができる。この意味において配線作業に有利となる。
【0015】
(7)様相7に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、(i)第1口出し線および第2口出し線は、ステータコアの軸長方向において超電導コイルの巻回体から互いに反対方向に突出しており、(ii)接続端子は、超電導コイルの第1口出し線を挿入させる第1挿入孔を有する第1接続端子と、超電導コイルの第2口出し線を挿入させる第2挿入孔を有する第2接続端子とを有しており、(iii)第1接続端子および第2接続端子は、ステータコアの軸長方向において互いに反対側に配置されている。
【0016】
このように接続端子は、ステータコアの軸長方向に沿って長く延設されていない。このためステータの軸長方向の寸法が抑制され、ひいては、ステータの軸長方向の寸法を小型化させるのに有利である。
【0017】
更に本様相によれば、第1接続端子および第2接続端子は、ステータコアの軸長方向において互いに異なる側に配置されている。このためステータコアの軸長方向において一端側には第1接続端子は配置されているものの、第2接続端子は配置されていない。従って、一端側について、周方向に隣設する第1接続端子同士の間隔が増大され、この意味において接続作業性が改善される。このように隣設する第1接続端子同士の間隔が増大されているため、印加電圧が高いときであっても、隣設する第1接続端子同士における放電が抑制される。更に、周方向に隣設する第1接続端子同士の間隔が増大されているため、周方向における第1接続端子の肉厚を増加でき、導電面積を増加できる。
【0018】
また、ステータコアの軸長方向において他端側には第2接続端子は配置されているものの、第1接続端子は配置されていない。従って、他端側について、周方向に隣設する第2接続端子同士の間隔が増大され、この意味において接続作業性が改善される。このように隣設する第2接続端子同士の間隔が増大されているため、印加電圧が高いときであっても、隣設する第2接続端子同士における放電が抑制される。更に、周方向に隣設する第2接続端子同士の間隔が増大されているため、周方向における第2接続端子の肉厚を増加でき、導電面積を増加できる。
【0019】
(8)様相8に係る本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、上記様相において、接続端子は、ステータコアの周方向において順に並設された第1接続端子と第2接続端子と第3接続端子とを備えており、周方向において隣接する二つの超電導コイルは第3接続端子を介して互いに接続されており、周方向において隣接する超電導コイルには、同相の電流が第3接続端子を介して通電される。
【0020】
本様相によれば、第1接続端子,第2接続端子の他に、第3接続端子が設けられている。このように互いに隣接する二つの超電導コイルを直接接合させる第3接続端子がステータコアに設けられているため、接続作業を簡略化でき、接続抵抗を低減させるという効果が得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る超電導回転電機ステータによれば、各接続端子は、ステータコアの外周側からステータコアの内周側にかけて延設されており、軸長方向には長く延設されておらず、軸長方向の小型化を図り得る。各接続端子は、超電導コイルの口出し線に電気的にそれぞれ接続されている。このため超電導コイル同士を接続端子を介して電気接続させるにあたり、軸長方向の寸法が抑制される。このように本発明に係る超電導回転電機ステータは、超電導コイルを繋ぐ接続端子を省スペースで固定させるのに有利な構造をもつ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係り、ステータのコア中心線に沿って切断した断面図である。
【図2】ステータコアのコア中心線に対してほぼ平行な方向から投影した端面図である。
【図3】ステータコアに複数の接続端子を組み付けた状態の要部を示す端面図である。
【図4】ステータコアに複数の接続端子および超電導コイルを組み付けた状態の要部を示す端面図である。
【図5】超電導コイルの第1口出し線および第2口出し線を接続端子のスリットに挿入した状態で固定させた状態を示す斜視図である。
【図6】超電導コイルの断面図である。
【図7】実施形態2に係り、超電導コイルの断面図である。
【図8】実施形態3に係り、超電導コイルの断面図である。
【図9】実施形態4に係り、ステータのコア中心線に沿って切断した断面図である。
【図10】実施形態4に係り、ステータコアのコア中心線に対してほぼ平行な方向から投影した端面図である。
【図11】実施形態4に係り、ステータコアのスロットに複数の超電導コイルを挿入させた状態を示す図である。
【図12】実施形態4に係り、超電導コイル、第1接続端子および第2接続端子をステータコアに組み付けた状態を示す図である。
【図13】実施形態4に係り、第1口出し線および第2口出し線をもつ超電導コイルの斜視図である。
【図14】実施形態5に係り、第1口出し線および第2口出し線をもつ超電導コイルの斜視図である。
【図15】実施形態5に係り、ステータのコア中心線に沿って切断した断面図である。
【図16】実施形態5に係り、超電導コイルの第1口出し線を第1接続端子の第1スリットに挿入した状態で固定させた状態を示す図である。
【図17】実施形態5に係り、超電導コイルの第2口出し線を第2接続端子の第2スリットに挿入した状態で固定させた状態を示す図である。
【図18】実施形態6に係り、第1接続端子、第2接続端子および第3接続端子がステータコアの軸端面側に固定されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0024】
(実施形態1)
本実施携に係る回転電機は、車両搭載用、産業用、家庭用等の超電導モータである。超電導モータは、ロータ室1rをもつ固定子として機能するステータ1と、ロータ室1rに収容される回転子として機能するロータ(図示せず)とを備える。図示しないものの、ロータは、超電導線材からなるロータバーと、エンドリングで構成される超電導かご型巻線と、鉄芯と、回転軸とを有する。回転軸はコア中心線P1に沿っており、コア中心線P1の回りで回転する。図1および図2はステータ1(超電導回転電機ステータ)を示す。図1は、ステータコア2の直線状に延びるコア中心線P1に沿ってコア中心線P1を含むように切断された断面図を示す。図2は、ステータコア2のコア中心線P1に対してほぼ平行な方向(図1の矢印PA方向)から投影する端面図を示す。なお、コア中心線P1は水平方向に沿って延設されているが、垂直方向に沿って延設されていても良い。
【0025】
図1に示すように、ステータ1は、コア中心線P1をもつステータコア2と、ケース3と、超電導コイル4と、複数の接続端子5とを有する。ステータコア2は、コア中心線P1の回りに形成された筒形状をなしており、高い透磁率をもつ材料(例えば鉄系)で形成されている。ステータコア2は、円筒状の外周面20と、リング状の軸端面21,22とを有する。
【0026】
図3は、複数の接続端子5がステータコア2に組み付けられた状態の要部を示す。図3に示すように、ステータコア2の内周部には、コア中心線P1の回りの周方向(矢印S方向)において複数のスロット24と、ティース25とが交互に並設されている。図2においてP11,P12はコア中心線P1に対して放射方向に沿った仮想線を示す。具体的には、P11はティース25の中心線に相当する。P12はスロット24の中心線に相当する。図2に示すように、複数のスロット24はこれの中心線P12と共に、それぞれ、コア中心線P1から外周側に向けて放射された放射方向、すなわち、コア中心線P1に向かう求心方向に沿って延設されている。ティース25もスロット24に挟まれているため、同様である。ここで、放射方向および求心方向は、ステータコア2の径方向(矢印D方向)に相当する。なお、図1に示すように、ティース25およびスロット24は、コア中心線P1とほぼ平行な方向において、ステータコア2の軸長方向(図1に示す矢印L方向)に沿って延設されている。
【0027】
ケース3は、ステータコア2の外周部を覆う円筒形状をなしており、オーステナイト系のステンレス鋼や硬質樹脂等の非磁性材料で形成されている。図1に示すように、ケース3は、軸長方向(矢印L方向)の端域に形成されたリング状をなす薄肉部30と、軸長方向(矢印L方向)の中央域に形成されたリング状をなす肉厚T2の厚肉部33とを有する。薄肉部30はリング状の軸端面31,32をもつ。厚肉部33はリング状の軸端面34,35をもつ。
【0028】
図1に示すように、ケース3の厚肉部33の軸端面34には、高い電気絶縁性をもつ端子台として機能する絶縁部6が複数の取付具61により固定されている。取付具61は、雄螺子61bをもつ軸部61aと、絶縁部6に隠蔽される頭部61cとをもつ。絶縁部6は、コア中心線P1の回りでリング状に延設されており、電気絶縁材料で形成されている。電気絶縁材料は電気絶縁性を有するものであれば何でもよく、ガラス繊維等の補強繊維で強化したFRPで形成されているが、樹脂材料、セラミックスでも良い。図1に示すように、絶縁部6は、ケース3の薄肉部30の内周面に対面するリング状をなす外周面62と、コア中心線P1側のロータ室1rに対面するリング状をなす内周面63と、ケース3の厚肉部33の軸端面34に当接するリング状の副軸端面64と、径内方向に突出するリング状の内側部66とを有する。
【0029】
図1に示すように、絶縁部6の内周面63は、ステータコア2の外周面に対して同径の第1内周面63fと、ステータコア2の内周面の内径よりも小さな内径をもつ第2内周面63sとを有する。図1に示すように、内側部66の第2内周面63sがステータコア2のコア中心線P1に寄っているため、接続端子5と絶縁部6との接触面積が増加し、絶縁部6の固定を一層安定化できる。但し、これに限らず、絶縁部6の第2内周面63sは第1内周面63fと同径としても良い。
【0030】
図2に示すように、超電導コイル4は、ステータコア2の内周側において、コア中心線P1回りの周方向(矢印S方向)に沿って複数個並設されている。超電導コイル4は長さLA(図2参照)をもつ。超電導コイル4は、外周側の列S10として、ステータコア2の内周側においてステータコア2の周方向(矢印S方向)に沿ってコア中心線P1回りで複数個(12個)並設されている。更に図2に示すように、内周側の列S20として、超電導コイル4は、ステータコア2の周方向(矢印S方向)に沿って複数個(12個)並設されている。ステータコア2の周方向(矢印S方向)において、内周側の超電導コイル4(列S20)および外周側の超電導コイル4(列S10)は、互いに重複するように配置されている。この場合、超電導コイル4に通電されて、超電導コイル4が回転磁場を生成させるとき、周方向(矢印S方向)に移動する回転磁界の波形の改善に貢献できる。
【0031】
図5に示すように、超電導コイル4はレーストラック(陸上競技場)形状のダブルパンケーキ状をなしている。超電導コイル4は、自身のコイル中心線P2の回りで超電導線材を多重にループ状に巻回して形成された巻回体40と、距離WA(図5参照)離間しつつ巻回体40から導出する第1口出し線41および第2口出し線42をもつ。超電導コイル4の巻回体40は、超電導材を直状に延設させた直状部40a(矢印L方向に延びる)と、超電導材を円弧状にUターンさせて曲成させた曲成部40cとを有する。
【0032】
超電導線材は、超電導材料を被覆層で被覆させて形成されており、殊に高温超電導材で形成されていることが好ましい。超電導線材はテープ形状をなしており、断面で、長辺43および短辺44をもち、製造上の理由および超電導性能の向上のため、厚みT3(図5参照)をもつ薄肉状の長方形状をなしている。
【0033】
図5に示すように、超電導コイル4について、第1口出し線41および第2口出し線42は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)において、つまりコア中心線P1とほぼ平行な方向において、超電導コイル4の巻回体40から互いに同じ方向(図5に示す矢印L1方向)に突出しつつ並走する。図4から理解できるように、超電導コイル4の巻回体40の直状部40aは、単数のスロット24に挿入されている。具体的には、図4から理解できるように、周方向(矢印S方向)に隣接する超電導コイル4同士の直状部40aは、単数のスロット24に挿入されている。更に図4に示すように、超電導コイル4の巻回体40の曲成部40cは、複数のティース25および複数のスロット24の外側においてこれらを跨ぐように架設されている。
【0034】
図3に示すように、各接続端子5は、ステータコア2の外周側からステータコア2の内周側にかけて、ステータコア2の径方向に(矢印D方向)沿って延設されている。すなわち図3に示すように、各接続端子5は、コア中心線P1に向かうように放射方向に沿って配置されている。このように各接続端子5は、ステータコア2の軸長方向(図1の矢印L方向)に沿って延設されておらず、放射方向に沿って、すなわち、ステータコア2の径方向(矢印D方向)に沿って延設されている。このためステータ1の同相(U相,V相,W相)に通電される超電導コイル4同士を接続端子5を介して配線させる構造について、軸長方向(矢印L方向)の寸法の増大化が抑制される。ひいては、ステータ1を組み付けて形成させるにあたり、軸長方向(矢印L方向)において小型化させるのに有利である。
【0035】
図2に示すように、複数の接続端子5がステータコア2に組み付けられているとき、各接続端子5の内端部51およびスリット58は、それぞれ、ステータコア2の径方向(矢印D方向,コア中心線P1に対して放射方向,求心方向)に沿って放射方向に配置されており、換言すると、径内方向(矢印Di方向)に向かうにつれて互いに接近するように配置されている。
【0036】
ここで、接続端子5は銅等の導電材料で形成されており、図5に示すように、本体部50と、本体部50の外端に立設されたフランジ状の鍔部54とをもつ。本体部50は、矢印D方向において、内端部51、中間部52および外端部53をもつ。内端部51は、矢印D方向の最内端に向かうにつれて、ステータコア2の周方向(矢印S方向)において互いに接近する背向する2つの側面51sと、超電導コイル4の口出し線41,42を挿入させて保持させるための挿入孔としてのスリット58を備えている。スリット58は、接続端子5の内端部51の内端面から外端部53に向けて矢印D方向(コア中心線P1に対して放射方向,求心方向)において直線状に延設されている。中間部52は、接続端子5をステータコア2に固定させるための固定部としての固定孔55をもつ。固定孔55は、螺子孔でも良いし、あるいは、通孔でも良く、更に、単数とされているが、複数としても良い。
【0037】
図5から理解できるように、鍔部54は、ステータコア2の径方向(矢印D方向,放射方向,求心方向)に貫通する配線接続部として機能する配線接続孔56をもつ。単数の接続端子5において、配線接続孔56は単数とされているが、複数としても良く、さらには、螺子孔でも良いし、通孔でも良い。
【0038】
図3に示すように、配線接続孔56はスリット58から離間しており、更に配線接続孔56は接続端子5の外端部53側つまりステータコア2の外周側に位置する。このため、接続線57(図5参照)を接続端子5の配線接続孔56に結合させて配線させる配線作業が楽になる。なお、モータ駆動時には、複数の超電導コイル4には、三相交流のU相、V相、W相が通電される。すなわち、三相交流のU相が通電される超電導コイル4、V相が通電される超電導コイル4、W相が通電される超電導コイル4がそれぞれ存在する。U相が通電される超電導コイル4同士は、接続端子5および接続線57(図5参照)を介して直列に電気接続される。V相が通電される超電導コイル4同士は、接続線57を介して直列に電気接続される。W相が通電される超電導コイル4同士は、接続線57を介して直列に電気接続される。
【0039】
図5に示すように、スリット58は、接続端子5の内端部51のうち最も内側に位置する内端開口58iと、軸長方向(矢印L方向)において開口する主開口58pとをもつ。図3において、スリット58の長さLSは、接続端子5の長さLAのうち40〜70%程度を占めることができるが、これに限定されるものではない。スリット58のスリット巾は、例えば、口出し線41,42の肉厚を挿入できる程度とされていることが好ましい。図5に示すように、接続端子5のうち内端部51に形成されているスリット58には、超電導コイル4の口出し線41,42が挿入されて固定されている。具体的には、図5に示すように、一の超電導コイル4の第1口出し線41は、一の接続端子5のスリット58のうちこれの外端部分58mに寄せて挿入されており、結合材料(半田材料、溶接材料、導電バインダ等)で強固に結合されている。同様に、超電導コイル4の第2口出し線42は、隣接する他の接続端子5のスリット58のうち内端開口58iに寄せて挿入されており、結合材料(半田材料、溶接材料、導電バインダ等)で結合されている。
【0040】
超電導線材は薄肉状の長方形状をなしている。スリット58は第1口出し線41および第2口出し線42を挿入させる。このため、スリット58を形成する壁面と第1口出し線41との結合面積、スリット58を形成する壁面と第1口出し線41との結合面積は増大されて結合力が高められている。これにより接続端子5と第1口出し線41との境界の電気抵抗における接続抵抗を低減できる。同様に、接続端子5と第2口出し線42との接続抵抗を低減できる。
【0041】
図5に示すように、一の超電導コイル4の第1口出し線41および第2口出し線42は、スリット58において、矢印D方向(ステータコア2の径方向)において互いにずれて位置している。超電導コイル4はダブルパンケーキ形状に対処するためである。このような構造により、同一の超電導コイル4の第1口出し線41および第2口出し線42は、互いに異なる接続端子5に電気的にそれぞれ接続されて結合されている(図5参照)。なお、第1口出し線41および第2口出し線42の位置は、スリット58の延びる方向(矢印D方向)においてスリット58内にて調整可能とされている。
【0042】
また前述したように、図2に示すように、複数のスロット24および複数のティース25は、それぞれ、ステータコア2のコア中心線P1に対して放射方向(すなわち、ステータコア2の径方向である矢印D方向)に沿って延設されている。更に、図2に示すように、複数の接続端子5はスリット58と共に、ステータコア2のコア中心線P1に対して放射方向(すなわち、ステータコア2の径方向である矢印D方向)に沿って延設されている。
【0043】
このような本実施形態によれば、接続端子5に形成されているスリット58は、図2および図3から理解できるように、ステータコア2のコア中心線P1に対して放射方向に沿って延設されている。超電導コイル4の第1口出し線41および第2口出し線42も、放射方向(すなわち、ステータコア2の径方向である矢印D方向)に沿った状態で接続端子5のスリット58に挿入されている。超電導コイル4の第1口出し線41および第2口出し線42も、放射方向(すなわち、ステータコア2の径方向である矢印D方向)に沿った状態で、接続端子5のスリット58に挿入されて固定されている。
【0044】
図6は、超電導線材が巻回された超電導コイル4を構成する巻回体40の肉厚を表す断面を示す。図6では、便宜上、口出し線41,42のみにハッチングを付する。図6において、超電導コイル4において、巻回体40のうちこれのコイル中心線P2を介して互いに反対側に位置する直状部40aは、コイル中心線P2に対して角度θ1傾斜されている。従って、巻回体40のうち互いに対向する直状部40aは、コイル中心線P2に対して『ハ』の字形状を形成している。すなわち、超電導コイル4において、巻回体40のうち互いに対向する直状部40aは、ステータコア2の径内方向(Di方向)に向かうにつれてコイル中心線P2に接近するように傾斜されている。図6に示す構造は、超電導線材を曲げながら巻回体40を巻回させた場合に相当する。
【0045】
このように『ハ』の字形状を形成している第1口出し線41および第2口出し線42は放射方向に沿っているため、放射方向に伸びるスリット58に容易に挿入できる。このため、第1口出し線41および第2口出し線42がスリット58に挿入されている状態において、第1口出し線41および第2口出し線42に作用する応力負荷が軽減される。このように応力負荷が軽減されるため、超電導コイル4の臨界電流密度を高めに維持させるのに有利である。
【0046】
本実施形態によれば、図1に示すように、各接続端子5は絶縁部6を介してケース3に固定されている。具体的には、接続端子5の固定孔55に挿入させた固定具7を絶縁部6の内側部66に締結させる。これにより、各接続端子5は絶縁部6を介してケース3のリング状の軸端面34に取り付けられている。接続端子5の鍔部54はケース3の薄肉部30の内周面側に隙間54p(図1参照)を形成させる。
【0047】
図1に示すように、軸長方向(矢印L方向)において、超電導コイル4、ステータコア2、接続端子5、絶縁部6は、ケース3の薄肉部30の軸端面31,32よりも突出しないように配置されており、コンパクト化されている。ステータ1のロータ室1rには、超電導コイル4を臨界温度以下に冷却させるための極低温状態の液相状または気相状の冷媒が収容される。従ってモータの近辺には極低温冷凍機が搭載される。冷媒は例えば液体窒素、液体空気、液体ヘリウムを例示できる。
【0048】
以上説明したように本実施形態によれば、ステータコア2のコア中心線P1に対してほぼ平行な方向から投影する端面図である図2,図3において、各接続端子5は、ステータコア2の外周側からステータコア2の内周側にかけて径方向(矢印D方向)に沿って延設されている。このように接続端子5は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)に沿って長く延設されていない。このため、同相の電流が通電される複数の超電導コイル4同士を接続端子5を介して接続させるにあたり、軸長方向(矢印L方向)の寸法が抑制される。ひいてはステータ1をもつモータの軸長方向(矢印L方向)において小型化させるのに有利である。
【0049】
更に、図1に示すように、各接続端子5の配線接続孔56は、ケース3側につまり接続端子5の外端部53の側に位置するため、ステータコア2の内周側に位置する場合に比較して、配線接続孔56に接続線57を接続させる作業を容易にできる。従って、同相(U相,V相,W相)の電流がそれぞれ通電される超電導コイル4同士を、接続端子5、接続端子5の配線接続孔56に接続させる作業が容易となる。
【0050】
(実施形態2)
図7は実施形態2を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の作用効果を有する。図7は、超電導線材が巻回された超電導コイル4を構成する巻回体40の肉厚を表す断面(ハッチングは口出し線41,42のみ示す)を示す。図7において、超電導コイル4において、巻回体40のうちこれのコイル中心線P2を介して互いに反対側に位置する直状部40aは、『ハ』の字形状を形成するように超電導コイル4のコイル中心線P2に対して角度θ1傾斜されている。従って、図7に示す断面において、第1口出し線41および第2口出し線42は、ステータコア2の径内方向(矢印Di方向)に向かうにつれて互いに接近するように配置されている。なお本実施形態においても、実施形態1で説明したように、各接続端子5がステータコア2に組み付けられているとき、各接続端子5のスリット58は放射方向に沿って配置されており(準用する図3)、換言すると、ステータコア2の径内方向(矢印Di方向)に向かうにつれて互いに接近するように配置されている。この場合には、巻回体40を巻回させた後、超電導コイル4の全体を曲げた場合に相当する。このような本実施形態によれば、第1口出し線41および第2口出し線42を接続端子5のスリット58に容易に挿入できるため、第1口出し線41および第2口出し線42に作用する応力負荷が軽減される。
【0051】
(実施形態3)
図8は実施形態3を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の作用効果を有する。図8は、超電導線材が巻回された超電導コイル4を構成する巻回体40の肉厚を表す断面(ハッチングは口出し線41,42のみ示す)を示す。図8において、超電導コイル4において、巻回体40のうちこれのコイル中心線P2を介して互いに反対側に位置する直状部40aは、超電導コイル4のコイル中心線P2に対してほぼ平行とされている。スロット24、各接続端子5のスリット58は、コア中心線P1に対して放射方向に沿って配置されている(準用する図3)。このため、各接続端子5がステータコア2のスロット24、各接続端子5のスリット58に挿入された状態で組み付けられるとき、直状部40a、第1口出し線41および第2口出し線42は、『ハ』の字形状を曲成される。
【0052】
(実施形態4)
図9〜図13は実施形態4を示す。本実施形態は実施形態1と基本的には同様の作用効果を有する。超電導回転電機としての超電導モータはステータ1を備える。図9および図10はステータ1を示す。図9は、ステータコア2の直線状に延びるコア中心線P1に沿ってコア中心線P1を含むように切断された断面図を示す。図10は、ステータコア2のコア中心線P1に対してほぼ平行な矢印PB方向(図9参照)から投影する端面図を示す。
【0053】
図9に示すように、ステータ1は、コア中心線P1をもつステータコア2と、ケース3と、超電導コイル4と、複数の接続端子5とを有する。図9に示すように、ステータコア2は、コア中心線P1の回りに形成された筒形状をなしており、高い透磁率をもつ材料で形成されている。ステータコア2は、コア中心線P1の回りに形成されたリング状の外周面20、リング状の軸端面21,22とを有する。
【0054】
図10に示すように、ステータコア2の内周部には、コア中心線P1の回りの周方向(矢印S方向)において複数のスロット24と、ティース25とが交互に並設されている。ティース25およびスロット24は、コア中心線P1とほぼ平行な方向に沿ってステータコア2の軸長方向(矢印L方向)に沿って延設されている。図11に示すように、複数のティース25および複数のスロット24は、それぞれ、ステータコア2の径方向(矢印D方向、すなわち、コア中心線P1から外周側に向けて放射された放射方向、すなわち、コア中心線P1に向かう求心方向)に沿って延設されている。
【0055】
図9に示すように、ケース3は、ステータコア2の外周部を覆う円筒形状をなしており、ステンレス鋼、硬質樹脂、セラミックス等の非磁性材料で形成されている。図9に示すように、ステータコア2の一方の軸端面22には、高い電気絶縁性をもつ端子台として機能する絶縁部6が着座されて固定具7Bにより固定されている。図9に示すように、固定具7Bは、絶縁部6の貫通孔6kおよびステータコア2の貫通孔2kに挿入された長軸部70と、長軸部70の長さ方向の一端部に締結され絶縁部6にあてがわれた第1頭部71と、長軸部70の長さ方向の他端部に締結されステータコア2の軸端面21にあてがわれた第2頭部72とをもつ。
【0056】
絶縁部6はコア中心線P1の回りでリング状に延設されており、FRPや硬質樹脂等からなる電気絶縁材料で形成されている。場合によっては、セラミックスで形成しても良い。図9に示すように、絶縁部6は、ステータコア2の軸端面22に対面するリング状の軸端面68と、リング状の軸端面69とを有する。図10に示すように、超電導コイル4は長さLCをもち、ステータコア2の内周側において、コア中心線P1回りの周方向(矢印S方向)に沿って複数個並設されている。図10において、仮想面DBは、コア中心線P1を含むようにコア中心線P1を通過しつつ、ステータコア2の径方向(矢印D方向)に沿った2次元的な仮想的な面を示す。仮想面DCは、図10において超電導コイル4を通過しつつ仮想面DBに対して直交する仮想的な面を示す。図10に示すように、超電導コイル4は、仮想線DCに対して傾斜しつつ、周方向(矢印S方向)に沿って複数個並設されている。図10に示すように、ステータコア2の周方向(矢印S方向)において、隣接する超電導コイル4同士の一部が重複するように、複数の超電導コイル4は並設されている。この場合、同相に接続される超電導コイル4に通電されて回転磁界を形成するとき、周方向(矢印S方向)に移動する回転磁界の波形の改善に貢献できる。
【0057】
図13に示すように、超電導コイル4はレーストラック(陸上競技場)形状のダブルパンケーキ状をなしている。ダブルはコイル中心線P2において2重という意味である。図13に示すように、超電導コイル4は、自身のコイル中心線P2の回りで超電導線材を多重に巻回して形成された巻回体40と、巻回体40から距離WA離間しつつ導出する第1口出し線41および第1口出し線41をもつ。超電導コイル4の巻回体40は、超電導材を直状に延設させた直状部40aと、超電導材を円弧状に曲成させた曲成部40cとを有する。単数のスロット4には、直状部40aが挿入されている(図11および図12参照)。
【0058】
超電導線材は超電導材で形成されており、殊に高温超電導材で形成されていることが好ましい。超電導線材はテープ形状をなしており、断面で、長辺43および短辺44をもち、厚みT3(図13参照)をもつ薄肉状の長方形状をなしている。断面において、巻回体40を構成する直状部40aは、互いにほぼ平行とされている。同様に、第1口出し線41および第2口出し線42は、互いにほぼ平行とされている。
【0059】
超電導コイル4について、第1口出し線41および第2口出し線42は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)において、超電導コイル4の巻回体40から互いに同じ方向(図13に示す矢印L1方向)に突出する。このように第1口出し線41および第2口出し線42は、互いにほぼ平行とされつつ、同じ方向(矢印L1方向)に延設されている。矢印D方向において、第1口出し線41は内周側に位置し、第2口出し線42は外周側に位置する。
【0060】
図11は、複数の超電導コイル4のうち超電導コイル4をスロット24に組み付けている状態の一部を示す。図11から理解できるように、超電導コイル4の巻回体40の直状部40aは、スロット24にそれぞれ挿入されている。超電導コイル4の巻回体40の曲成部40cは、ステータコア2の複数のティース25および複数のスロット24を跨ぐように架設されている。このように超電導コイル4はスロット24に組み付けられている。
【0061】
図11に示すように、スロット24はコア中心線P1から放射方向に延びている。図11に示すように、同一の超電導コイル4の第1口出し線41および第2口出し線42は、ステータコア2の径方向(矢印D方向)に対して傾斜しつつ、互いにほぼ平行とされている。
【0062】
ここで、図12に示すように、超電導コイル4の第1口出し線41は一のスロット24(24A)の内周側に位置しており、第2口出し線42は他のスロット24(24B)の外周側に位置している。図10に示すように、接続端子5は、ステータコア2の外周側からステータコア2の内周側にかけてステータコア2の径方向に(矢印D方向)沿って延設されている。このように実施形態1の場合と同様に、接続端子5は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)には沿っておらず、ステータコア2の径方向に沿って延設されている。このためステータ1の軸長方向(矢印L方向)の寸法が抑制され、ひいては、ステータ1は軸長方向(矢印L方向)において小型化される。
【0063】
更に説明を加える。図10に示すように、接続端子5は、第1接続端子510と、第1接続端子510よりも長さが短い第2接続端子520とで形成されている。第1接続端子510の長さは相対的に長い。第2接続端子520の長さは相対的に短い。周方向(矢印S方向)において、第1接続端子510および第2接続端子520は交互に配置されている。
【0064】
図10における矢視W12を図12に示す。図12に示すように、第1接続端子510は、第1挿入孔としての第1スリット581をもつと共にステータコア2の周方向(ほぼ矢印S方向)に沿って曲成された内端部51と、径方向(矢印D方向)に延びる中間部52と、固定孔55をもつ外端部53とを備えている。第1接続端子510において、第1スリット581は、第1接続端子510の内端部51の内端面に開口すると共に、内端581iから直線状に外周側に向けて延設されている。
【0065】
図12に示すように、超電導コイル4の第1口出し線41は、長い長さをもつ第1接続端子510の第1スリット581に挿入され、半田材料、溶接材料、導電バインダ等の結合材料で結合されている。同一の超電導コイル4の第2口出し線42は、第2接続端子520の第2スリット582に挿入され、半田材料、溶接材料、導電バインダ等の結合材料で結合されている。
【0066】
長さが長い第1接続端子510において、外端部53は、第1接続端子510を絶縁部6を介してステータコア2に固定させるための固定孔55をもつ。中間部52は、第1接続端子510の厚み方向に貫通する配線接続孔56(配線接続部)をもつ。第2接続端子520は、第2挿入孔としての第2スリット582をもつ内端部51と、固定孔55をもつ外端部53とを備えている。長さが短い第2接続端子520において、第2スリット582は、第2接続端子520の内端部51の内端面に開口すると共に内端から直線状に延設されている。第2接続端子520は、第2接続端子520を絶縁部6を介してステータコア2に固定させるための固定孔55をもつ。第2接続端子520は、第2接続端子520の厚み方向に貫通する配線接続孔56をもつ。
【0067】
図12に示すように、長さが長い第1接続端子510において、配線接続孔56は第1スリット581から離間しており、更に、配線接続孔56はステータコア2の外周側に寄っている。このため、配線接続孔56がステータコア2の内周側に寄っている場合に比較し、接続線57を第1接続端子510の配線接続孔56に結合させて配線させる配線作業が楽になる。外周側の方が内周側よりも、矢印S方向の周長が相対的に長くなるため、スペースがとれるためである。同様に、長さが短い第2接続端子520において、配線接続孔56は第2スリット582から離間しており、更に配線接続孔56はステータコア2の外周側に寄せて設けられている。このため、接続線57を第2接続端子520の配線接続孔56に結合させて配線させる配線作業が楽になる。
【0068】
なお、前述同様に、複数の超電導コイル4として、三相交流のU相が通電される超電導コイル4、V相が通電される超電導コイル4、W相が通電される超電導コイル4が存在する。U相が通電される超電導コイル4同士は、接続線(図示せず)を介して直列に電気接続される。V相が通電される超電導コイル4同士は、接続線(図示せず)を介して直列に電気接続される。W相が通電される超電導コイル4同士は、接続線57を介して直列に電気接続される。なお、図12に示すように、第1スリット581および第2スリット582のスリット巾は、第1口出し線41および第2口出し線42の肉厚を挿入できる程度とされていることが好ましい。
【0069】
図11は、複数の超電導コイル4のうち3つの超電導コイル4をスロット24に組み付けている状態を示す。各超電導コイル4は、ステータコア2の径方向(矢印D方向)、即ち、コア中心線P1から放射方向に延びる放射線に対して、傾斜された状態でスロット24に組み付けられている。従って、同一の超電導コイル4について、第1口出し線41はスロット24の内周側に位置しており、第2口出し線42はスロット24の外周側に位置している。このように同一の超電導コイル4について、第1口出し線41および第2口出し線42は、ステータコア2の径方向(矢印D方向)、即ち、コア中心線P1から放射方向に延びる放射線に対して、傾斜しつつ互いにほぼ平行とされている。
【0070】
換言すると、同一の超電導コイル4について、第1口出し線41を挿入させる第1スリット581と第2口出し線42を挿入させる第2スリット582とは、径方向(矢印D方向)に対して傾斜しつつ、互いにほぼ平行に指向されている。このように第1スリット581は、同一の超電導コイル4の第1口出し線41が指向する方向と同じ方向に指向する。第2スリット582は、同一の超電導コイル4の第2口出し線42が指向する方向と同じ方向に指向する。
【0071】
このような本実施形態によれば、超電導コイル4の巻回体40の直状部40a、ひいては第1口出し線41および第2口出し線42を、『ハ』の字形状に無理やり傾斜させずとも良く、ストレート状にできる。この場合、超電導コイル4において、巻回体40の直状部40a、第1口出し線41および第2口出し線42にかかる応力負荷が軽減され、超電導コイル4の耐久性の向上、超電導コイル4の通電性能の向上に有利である。
【0072】
更に説明を加える。図12に示すごとく、同一の超電導コイル4を接続させるために第1接続端子510に形成されている第1スリット581と、第2接続端子520に形成されている第2スリット582の向きは、互いにほぼ平行とされている。このように同一の超電導コイル4を接続させるための第1スリット581および第2スリット582は、互いにほぼ平行な方向に指向する。このように第1口出し線41および第2口出し線42は、超電導コイル4のうち互いにほぼ平行とされ、しかも、第1スリット581および第2スリット582と同じ方向に指向する。このため、超電導コイル4の第1口出し線41および第2口出し線42は、第1スリット581および第2スリット582に無理なく挿入される。このため、第1口出し線41および第2口出し線42にかかる応力負荷が軽減され、超電導コイル4の耐久性の向上、超電導コイル4の通電性能の向上に有利である。
【0073】
以上説明したように本実施形態によれば、ステータコア2のコア中心線P1に対してほぼ平行な方向から投影する端面図10において、各接続端子5は、ステータコア2の外周側からステータコア2の内周側にかけてほぼ径方向(矢印D方向)に沿って延設されている。このように接続端子5は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)に沿って延設されていない。このため、同相の電流が通電される超電導コイル4を接続端子5を介して接続させるにあたり、軸長方向(矢印L方向)の寸法が抑制される。ひいてはステータ1は軸長方向(矢印L方向)において小型化される。
【0074】
(実施形態5)
図14〜図17は実施形態5を示す。本実施形態は上記実施形態と基本的には同様の作用効果を有する。図14は超電導コイル4Kを示す。超電導コイル4Kは、自身のコイル中心線P2の回りで超電導線材を多重に巻回して形成された巻回体40と、巻回体40から互いに反対方向に導出する第1口出し線41および第2口出し線42をもつ。図14に示すように、超電導コイル4Kの巻回体40は、超電導材を直状に延設させた直状部40aと、超電導材を円弧状に曲成させた曲成部40cとを有する。超電導線材は超電導材料で形成されており、殊に高温超電導材料を用いて形成されていることが好ましい。超電導線材は、テープ形状をなしており、断面で、長辺43および短辺44をもち、厚みT3をもつ薄肉状の長方形状をなしている。断面において、巻回体40を構成する矢印L方向に延びる直状部40a同士は、互いにほぼ平行に並走されている。同様に、第1口出し線41および第2口出し線42は、互いにほぼ平行に並走されている。すなわち、第1口出し線41および第2口出し線42は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)において、超電導コイル4の巻回体40から互いに反対方向(図14に示す矢印L3,L4方向)に突出するように並走する。このように第1口出し線41および第2口出し線42は互いにほぼ平行とされつつ、互いに反対方向に延設されている。
【0075】
図15に示すように、第1接続端子510は、ステータコア2の一方の軸端面22に絶縁部6を介して取り付けられている。第2接続端子520は、ステータコア2の他方の軸端面21に絶縁部6を介して取り付けられている。このように第1接続端子510および第2接続端子520は、ステータコア2の軸長方向(矢印L方向)において互いに反対側に組み付けられている。
【0076】
図16は図15の矢印PE方向から投影した端面図であり、超電導コイル4の第1口出し線41を第1接続端子510の第1スリット581に挿入させている状態を示す。第1接続端子510の長さはL5(図16参照)として示される。図17は図15の矢印PF方向から投影した端面図であり、超電導コイル4の第2口出し線42を第2接続端子520の第2スリット582に挿入させている状態を示す。第2接続端子520の長さはL6(図17参照,L6>L5)として示される。
【0077】
本実施形態によれば、図16に示すように、ステータコア2の一方の軸端面22には第1接続端子510が組み付けられているものの、第2接続端子520は組み付けられていない。このため一方の軸端面22側では、周方向(矢印S方向)において隣接する第1接続端子510同士の間隔SM(図16参照)を増加できるため、作業スペースが確保され、作業性が向上する。加えて、周方向(矢印S方向)における第1接続端子510の幅寸法SD1(図16参照)も増加でき、ひいては第1接続端子510の導電断面積を増加でき、第1接続端子510の電気抵抗を低下させ得る。更に、第1接続端子510同士の間隔SM(図16参照)を増加できるため、高い電圧が第1接続端子510に印加されるときであっても、隣接する第1接続端子510間の放電抑制に有利である。
【0078】
図17に示すように、ステータコア2の他方の軸端面21には第2接続端子520が組み付けられているものの、第1接続端子510は組み付けられていない。このため他方の軸端面21では、周方向(矢印S方向)において隣接する第2接続端子520同士の間隔SN(図17参照)を増加できるため、作業スペースが確保され、作業性が向上する。加えて、周方向(矢印S方向)における第2接続端子520の幅寸法SD2(図17参照)も増加でき、ひいては第2接続端子520の導電断面積を増加でき、第2接続端子520の電気抵抗を低下させ得る。更に、第2接続端子520同士の間隔SN(図17参照)を増加できるため、隣接する第2接続端子520間の放電抑制に有利である。
【0079】
(実施形態6)
図18は実施形態6を示す。本実施形態は上記実施形態4の変形形態を示し、基本的には実施形態4と同様の作用効果を有する。超電導コイル4(410,420,430等)の形状、スロット24に対する配置は、基本的には、実施形態4の場合と同じである。本実施形態では、2つの隣接する超電導コイル4には三相交流の同一相の電流が流れる。具体的には、隣接する超電導コイル410と超電導コイル420には、U相が流れる。隣接する超電導コイル430と超電導コイル440には、V相が流れる。次の2つの超電導コイル(図18には図示されず)には、W相が流れる。本実施形態はこのように各超電導コイル4が接続される場合に用いられる。
【0080】
更に説明を加える。本実施形態では、図18に示すように、接続端子5は、ステータコア2の周方向(矢印S方向)において順に並設された第1接続端子510と第2接続端子520と第3接続端子530とを備えている。即ち、接続端子5として、第1接続端子510と、第1接続端子510よりも長さが短い第2接続端子520と、第1接続端子510の長さ方向の途中に短い突起部535を設けた形状の第3接続端子530との3種類が用いられている。突起部535は周方向に向けて突出する。
【0081】
第1の接続端子510は実施形態4の場合とほぼ同形であり、径内側に第1スリット581を有する。第2の接続端子520は実施形態4の場合とほぼ同形であり、第2スリット582を有する。第3接続端子530は、第1接続端子510と類似する形状をなしており、長さ方向の途中部において周方向に突出する突起部535をもつ。第3接続端子530は、径内側に第1スリット581と,突起部535に形成された第2スリット582とを持つ。ステータコア2の軸長方向から視認されるとき、第2スリット582は、スロット24の底部付近に相当する位置(実施形態4における第2接続端子520のスリットと同じ位置)にある。第1スリット581は、隣接するスロットの開口部付近(実施形態4における第1接続端子510のスリットと同じ位置)に位置する。
【0082】
図18に示すように、一の超電導コイル410の第1口出し線41は第1接続端子510の第1スリット581(第1挿入孔)に挿入されて接続されている。一の超電導コイル410に隣設する他の超電導コイル420の第2口出し線42は、第2接続端子520の第2スリット582(第2挿入孔)に挿入されて接続されている。そして、周方向(矢印S方向)において隣接する二つの超電導コイル410,420には同相(例えばU相)の電流が第3接続端子530を介して通電される。
【0083】
図18を参照しつつ超電導コイル410と超電導コイル420との接続を例にとって、隣接する超電導コイル410,420間の接続について、更に説明を加える。超電導コイル410の口出し線41,42のうち、一方の第1口出し線41(内周側)は、第1接続端子510の第1スリット581に挿入されて接続されている。超電導コイル410の他方の第2口出し線42(外周側)は、第3接続端子530の突出部535の第2スリット582(スロット24の外縁側の底部付近に位置する)に挿入されて接続されている。図18に示すように、第3接続端子530のもう一方の第1スリット581(スロット24の内縁側の開口部付近に位置する)には、超電導コイル420の一方の第1口出し線41(内周側)が挿入されて接続されている。超電導コイル420の他方の第2口出し線42(外周側)は、第2接続端子520の第2スリット582に挿入されて接続されている.
図18に示すように、第2接続端子520の配線接続孔56には接続線57aが固定されている。第1接続端子510の配線接続孔56には接続線57cが固定されている。これにより他の同相の超電導コイルと直列に接続されている。
【0084】
上記した構成により周方向(矢印S方向)に隣接する超電導コイル410と超電導コイル420とは、第3接続端子530を介して直列に接続されている。これにより周方向(矢印S方向)において互いに隣接する超電導コイル410,420には、同相(U相)の電流が通電される。U相の電流経路、V相の電流経路、W相の電流経路は図18に図示されている。
【0085】
図18から理解できるように、例えば、U相の電流経路は次のように形成されている。即ち、U相の電流経路は、経路U1,U2,U3,U4,U5,U6等を備える。具体的には、図18に示すように、U相の電流経路は、接続線57a、第2接続端子520の配線接続孔56、第2接続端子520の第2スリット582、超電導コイル420の第2口出し線42、超電導コイル420、超電導コイル420の第1口出し線41、第3接続端子530の第1スリット581、第3接続端子530の突起部535、突起部535の第2スリット582、第1超電導コイル410の第2口出し線42、超電導コイル410、超電導コイル410の第1口出し線41、第1接続端子510の第1スリット581、第1接続端子510、第1接続端子510の配線接続孔56、接続線57cと繋がる通電経路を形成する。
【0086】
超電導コイル430,440も同様に接続されており、周方向(矢印S方向)において隣接する超電導コイル410,420の相(U相)とは別の相(V相)が超電導コイル430,440に通電される。即ち、図18に示すように、V相の電流経路は、経路V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7等を備える。具体的には、V相の電流経路は、超電導コイル440,超電導コイル440の第1口出し線41、第3接続端子530の第1スリット581、第3接続端子530の突起部535、突起部535の第2スリット582、超電導コイル430の第2口出し線42、超電導コイル430、超電導コイル430の第1口出し線41、第1接続端子510の第1スリット581、第1接続端子510、第1接続端子510の配線接続孔56、接続線57cと繋がる通電経路を形成する。
【0087】
本実施形態によれば、図18に示すように、第1接続端子510,第2接続端子520の他に、第3接続端子530が設けられている。ここで、周方向(矢印S方向)に互いに隣接する超電導コイル410,420は、一の第3接続端子530(530A)を用いて直接接合されている。周方向(矢印S方向)に互いに隣接する超電導コイル430,440は別の第3接続端子530(530B)を用いて直接接合されている。これにより接続作業を簡略化でき、接続抵抗を低減させるという効果が得られる。
【0088】
(その他)
実施形態1では、ステータコア2の周方向(矢印S方向)において、複数の超電導コイル4は周方向において一部重複するように配置されている。但し、場合によっては、超電導コイル4および超電導コイル4は周方向において重複していなくても良い。ステータの超電導コイル4には三相交流が通電される超電導モータに適用されているが、これに限らず、超電導コイルを有するDCモータでも良い。回転電機はモータとされているが、発電機に適用しても良い。本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0089】
1はステータ、2はステータコア、P1はコア中心線、24はスロット、25はティース、3はケース、30は薄肉部、33は厚肉部、4は超電導コイル、P2はコイル中心線、40は巻回体、41は第1口出し線、42は第2口出し線、P2はコイル中心線、5は接続端子、50は本体部、51は内端部、52は中間部、53は外端部、54は鍔部、510は第1接続端子、520は第2接続端子、6は絶縁部(電機絶縁物)、55は固定孔、56は配線接続孔、57は接続線、58はスリット(挿入孔)、581は第1スリット(第1挿入孔)、582は第2スリット(第2挿入孔)、7は固定具を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア中心線の回りに形成された筒形状をなすステータコアと、
前記ステータコアの外周部を覆うケースと、
前記ステータコアの内周側においてこれの周方向に沿って複数個並設され、コイル中心線の回りで超電導線材を巻回して形成された巻回体と巻回体から導出する口出し線とをもつ超電導コイルと、
前記ステータコアまたは前記ケースに電気絶縁状態に固定され且つ前記超電導コイル同士を接続させる導電材料で形成された複数の接続端子とを具備しており、
各前記接続端子は、前記ステータコアの外周側から前記ステータコアの内周側にかけて延設されており、各前記接続端子は、前記超電導コイルの前記口出し線に電気的にそれぞれ接続されている超電導回転電機ステータ。
【請求項2】
請求項1において、前記接続端子は、前記ケースまたは前記ステータコアの軸端面側に電気絶縁物を介して固定されている超電導回転電機ステータ。
【請求項3】
請求項1または2において、前記接続端子は、前記超電導コイルの前記口出し線を挿入させて保持させるための挿入孔を備えている超電導回転電機ステータ。
【請求項4】
請求項3において、前記口出し線は、前記ステータコアの軸長方向において前記超電導コイルの巻回体から突出する第1口出し線および第2口出し線を有しており、
前記第1口出し線および前記第2口出し線は、前記ステータコアの径内方向に向かうにつれて互いに接近するように配向しており、
前記挿入孔は、一の前記超電導コイルの前記第1口出し線が挿入される第1挿入孔と、一の前記超電導コイルの第2口出し線が挿入される第2挿入孔とを有しており、
前記第1挿入孔は一の前記超電導コイルの前記第1口出し線とほぼ同じ方向に指向しており、前記第2挿入孔は一の前記超電導コイルの前記第2口出し線とほぼ同じ方向に指向している超電導回転電機ステータ。
【請求項5】
請求項3において、前記口出し線は、前記ステータコアの軸長方向において前記超電導コイルの前記巻回体から突出する第1口出し線および第2口出し線を有しており、
前記第1口出し線および前記第2口出し線は互いにほぼ平行にされており、
前記挿入孔は、一の前記超電導コイルの前記第1口出し線が挿入される第1挿入孔と、一の超電導コイルの前記第2口出し線が挿入される第2挿入孔とを有しており、
前記第1挿入孔は一の前記超電導コイルの前記第1口出し線とほぼ同じ方向に指向しており、前記第2挿入孔は一の前記超電導コイルの前記第2口出し線とほぼ同じ方向に指向している超電導回転電機ステータ。
【請求項6】
請求項4〜5のうちの一項において、前記第1口出し線および前記第2口出し線は、前記ステータコアの軸長方向において前記超電導コイルの前記巻回体から互いに同じ方向に突出しており、
前記接続端子は、前記超電導コイルの前記第1口出し線を挿入させる前記第1挿入孔を有する第1接続端子と、前記超電導コイルの前記第2口出し線を挿入させる前記第2挿入孔を有する第2接続端子とを有しており、
前記第1接続端子および前記第2接続端子は、前記ステータコアの軸長方向において互いに同じ側に配置されている超電導回転電機ステータ。
【請求項7】
請求項4〜5のうちの一項において、前記第1口出し線および前記第2口出し線は、前記ステータコアの軸長方向において前記超電導コイルの前記巻回体から互いに反対方向に突出しており、
前記接続端子は、前記超電導コイルの前記第1口出し線を挿入させる前記第1挿入孔を有する第1接続端子と、前記超電導コイルの前記第2口出し線を挿入させる前記第2挿入孔を有する第2接続端子とを有しており、
前記第1接続端子および前記第2接続端子は、前記ステータコアの軸長方向において互いに反対側に配置されている超電導回転電機ステータ。
【請求項8】
請求項1〜7のうちの一項において、前記接続端子は、前記ステータコアの周方向において順に並設された第1接続端子と第2接続端子と第3接続端子とを備えており、
前記周方向において隣接する二つの超電導コイルは前記第3接続端子を介して互いに接続されており、前記周方向において隣接する前記超電導コイルには、同相の電流が前記第3接続端子を介して通電される超電導回転電機ステータ。
【請求項1】
コア中心線の回りに形成された筒形状をなすステータコアと、
前記ステータコアの外周部を覆うケースと、
前記ステータコアの内周側においてこれの周方向に沿って複数個並設され、コイル中心線の回りで超電導線材を巻回して形成された巻回体と巻回体から導出する口出し線とをもつ超電導コイルと、
前記ステータコアまたは前記ケースに電気絶縁状態に固定され且つ前記超電導コイル同士を接続させる導電材料で形成された複数の接続端子とを具備しており、
各前記接続端子は、前記ステータコアの外周側から前記ステータコアの内周側にかけて延設されており、各前記接続端子は、前記超電導コイルの前記口出し線に電気的にそれぞれ接続されている超電導回転電機ステータ。
【請求項2】
請求項1において、前記接続端子は、前記ケースまたは前記ステータコアの軸端面側に電気絶縁物を介して固定されている超電導回転電機ステータ。
【請求項3】
請求項1または2において、前記接続端子は、前記超電導コイルの前記口出し線を挿入させて保持させるための挿入孔を備えている超電導回転電機ステータ。
【請求項4】
請求項3において、前記口出し線は、前記ステータコアの軸長方向において前記超電導コイルの巻回体から突出する第1口出し線および第2口出し線を有しており、
前記第1口出し線および前記第2口出し線は、前記ステータコアの径内方向に向かうにつれて互いに接近するように配向しており、
前記挿入孔は、一の前記超電導コイルの前記第1口出し線が挿入される第1挿入孔と、一の前記超電導コイルの第2口出し線が挿入される第2挿入孔とを有しており、
前記第1挿入孔は一の前記超電導コイルの前記第1口出し線とほぼ同じ方向に指向しており、前記第2挿入孔は一の前記超電導コイルの前記第2口出し線とほぼ同じ方向に指向している超電導回転電機ステータ。
【請求項5】
請求項3において、前記口出し線は、前記ステータコアの軸長方向において前記超電導コイルの前記巻回体から突出する第1口出し線および第2口出し線を有しており、
前記第1口出し線および前記第2口出し線は互いにほぼ平行にされており、
前記挿入孔は、一の前記超電導コイルの前記第1口出し線が挿入される第1挿入孔と、一の超電導コイルの前記第2口出し線が挿入される第2挿入孔とを有しており、
前記第1挿入孔は一の前記超電導コイルの前記第1口出し線とほぼ同じ方向に指向しており、前記第2挿入孔は一の前記超電導コイルの前記第2口出し線とほぼ同じ方向に指向している超電導回転電機ステータ。
【請求項6】
請求項4〜5のうちの一項において、前記第1口出し線および前記第2口出し線は、前記ステータコアの軸長方向において前記超電導コイルの前記巻回体から互いに同じ方向に突出しており、
前記接続端子は、前記超電導コイルの前記第1口出し線を挿入させる前記第1挿入孔を有する第1接続端子と、前記超電導コイルの前記第2口出し線を挿入させる前記第2挿入孔を有する第2接続端子とを有しており、
前記第1接続端子および前記第2接続端子は、前記ステータコアの軸長方向において互いに同じ側に配置されている超電導回転電機ステータ。
【請求項7】
請求項4〜5のうちの一項において、前記第1口出し線および前記第2口出し線は、前記ステータコアの軸長方向において前記超電導コイルの前記巻回体から互いに反対方向に突出しており、
前記接続端子は、前記超電導コイルの前記第1口出し線を挿入させる前記第1挿入孔を有する第1接続端子と、前記超電導コイルの前記第2口出し線を挿入させる前記第2挿入孔を有する第2接続端子とを有しており、
前記第1接続端子および前記第2接続端子は、前記ステータコアの軸長方向において互いに反対側に配置されている超電導回転電機ステータ。
【請求項8】
請求項1〜7のうちの一項において、前記接続端子は、前記ステータコアの周方向において順に並設された第1接続端子と第2接続端子と第3接続端子とを備えており、
前記周方向において隣接する二つの超電導コイルは前記第3接続端子を介して互いに接続されており、前記周方向において隣接する前記超電導コイルには、同相の電流が前記第3接続端子を介して通電される超電導回転電機ステータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−93974(P2013−93974A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234560(P2011−234560)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、省エネルギー革新技術開発事業/挑戦研究/冷凍機一体型高温超電導誘導同期駆動システムの研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、省エネルギー革新技術開発事業/挑戦研究/冷凍機一体型高温超電導誘導同期駆動システムの研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]