説明

超音波変位センサ装置

【課題】本来検出すべき測定対象物以外の障害物の影響をより確実に避けることが出来ると共に、本来検出すべき測定対象物までの間隔或いは距離を安定して検出することが可能な、検出及び/又は測距性能に優れた超音波センサを提供する。
【解決手段】超音波振動子と信号処理装置とからなる超音波変位センサ装置であって、上記信号処理装置が、i)一周期内に発生した全ての反射信号を取り込んだ上で、その周期内最後尾の反射信号を抽出し、ii)上記最後尾の反射信号を測定対象物からの反射信号と判定し、iii)当該判定された上記最後尾の反射信号に基づいて、投音時点から超音波振動子に反射音が返って来る時点までの時間を検出し、これにより、センサ本体から測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定する構成を備えたものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物への投音時点からセンサ本体に反射音が返って来る時点までの時間を検出することを通じて、センサ本体から測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定する超音波変位センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ある特定の測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定するセンサ(以下、本明細書中では「変位センサ」と称する)については、レーザー光や赤外線を用いる光学式の他にも超音波を用いる方式等、用途に応じてこれまでに多数の方式のものが開発され、市場に提供されている。
【0003】
一例として、図8或いは特許文献1に示されるような穀物乾燥装置等においては、貯留槽(主として大型タンクやサイロ)内の堆積物レベル(量或いは高さ)を検出或いは測定する穀物レベル検知デバイスとして、上記の変位センサが備えられる。
【0004】
この、穀物乾燥装置に適した変位センサという観点で検討すると、レーザー光や赤外線を用いる光学式の場合、
i)測定対象物が細粒状或いは粉体状の穀物等であれば特に、貯留槽内に粉塵或いは塵埃が舞う事象が多発し、センサの検出或いは測定結果に誤差やエラーが生じやすいという問題点がある。このほか、
ii)原理上、センサが監視或いはカバーし得る測定対象物の領域が狭い(センサの動作点近傍)ことから、センサの検出面となる測定対象物の上表面が広面積であるときには、図8に例示されるように測定対象物の上表面の高さが貯留槽内の各位置でばらついている可能性があることを考慮すると、やはりセンサの検出或いは測定結果に誤差やエラーが生じやすいという問題点がある。
さらに、測定対象物の上表面の高さが貯留槽内の各位置でばらついている可能性があること等を考慮して、複数のセンサを設置してその平均を取ったりするケースもあるが、この場合も信号処理装置の構成が複雑になりやすいと言う問題がある。
【0005】
その一方で、超音波を用いる方式であれば上記のような問題は生じないことから、現在の穀物乾燥装置等においては超音波を用いる方式が、穀物レベル検知デバイスとして一般に多用されている。
【0006】
超音波センサの構成は旧知の通り、i)送信信号パルスに従って超音波信号を測定対象物に向けて投音可能な送波機能と、上記超音波信号が上記測定対象物の表面で反射したことによって入ってきた反射音を電気−音響変換し、対応する電気信号として出力可能な受波機能とを備えた超音波振動子と、ii)上記超音波振動子から出力された受信信号を、適宜電気的に信号処理することが可能な信号処理装置とからなる。
そしてその基本動作原理は、図8からも明らかな通り、上記投音時点から上記超音波振動子に反射音が返って来る時点までの時間を検出することを通じて、センサ本体から上記測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定するというものである。
【0007】
測定対象物としては、貯留槽内に堆積している穀物(米、大豆類等)や液体等の堆積物が一例として挙げられる。また測定対象物の上表面は、測定対象物が例えば貯留槽内に堆積している穀物等である場合にはその穀物等の堆積面(上表面)であり、測定対象物が貯留槽内に貯留されている液体である場合にはその液面となる。
【0008】
超音波振動子は電気−音響変換素子からなるものであり、測定対象物に向けて超音波信号を送波(以下、本明細書中では「投音」と称する)する送波器として機能するほか、
測定対象物からの反射音を受けてこれを電気−音響変換し、上記反射音に相当する電気信号(以下、本明細書中では「反射信号」と称する)を信号処理装置へと出力し得る受波器(レシーバ)として機能する。
【0009】
信号処理装置は、超音波振動子からの出力信号を適宜処理し、上記投音時点から上記超音波振動子に反射音が返って来る時点までの時間を検出することを通じて、センサ本体から上記測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定する。
なお、上記穀物乾燥装置等においては、この超音波センサによるセンサ本体から測定対象物の上表面までの距離の測定結果を利用することで、穀物レベルの検知を行うことが可能となる。
【0010】
ここで、従来知られた超音波センサでは、投音後、上記超音波振動子に最初に返って来る反射音(或いはこれを電気信号に変換した反射信号)に基づいて、センサ本体から上記測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定する構成となっている。
【0011】
しかしながら、穀物乾燥装置等の穀物レベル検知デバイスに上記の超音波センサを適用した場合であっても、次のような問題点があった。
【0012】
すなわち、図8に例示される穀物乾燥装置100の貯留槽Aが特に大型なものである場合には、堆積物の重量によって貯留槽A自体が膨張或いは変形したりするのを防止すべく、貯留槽Aの内壁間に補強棒や張線等の補強部材11、12を設けることが必要となる。
【0013】
ただ、従来知られた超音波センサでは投音後、超音波振動子に最初に返って来る反射音或いは反射信号に基づいて、センサ本体から測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定する構成となっていることから、上記の補強部材11、12というのはセンサから見れば本来検出すべき測定対象物以外の障害物となってしまう。
【0014】
このような障害物がセンサの検出エリア内に存在すると、上記従来知られた超音波センサではその基本動作原理上、測定対象物Wではなく補強部材11或いは12を誤って検出するケースが発生し得、本来検出すべき測定対象物までの間隔或いは距離を安定して検出することが出来ないという問題があった。さらに障害物の影響が強まると、本来検出すべき測定対象物が検出できず、測定対象物までの間隔或いは距離が検出出来なくなるという問題もあった。
【0015】
かかる問題点を踏まえて、これまでにも、
i)超音波の検出エリアを狭く絞って、障害物となる補強部材11或いは12を避ける手法や、
ii)予め補強部材11或いは12の位置をセンサの信号処理装置に記憶させておくことによって障害物の影響を回避する手法、
等が案出され、測定対象物までの間隔或いは距離を安定して検出すべくセンサの改良工夫が試みられているが、いずれも、十分な効果を果たし得るものではなかった。
【特許文献1】特開2006−017329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って本発明は、本来検出すべき測定対象物以外の障害物の影響をより確実に避けることが出来ると共に、本来検出すべき測定対象物までの間隔或いは距離を安定して検出することが可能な、検出及び/又は測距性能に優れた超音波変位センサ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決すべく種々検討を行った結果、本願発明者は、以下の構成を備えた超音波変位センサ装置とすることにより上記課題を解決可能なことを見い出し、本発明を完成した。
【0018】
すなわち、本願発明者は、障害物の影響を回避すべく従来より案出されていたセンサの改良工夫に係る上記i)、ii)等をはじめとする発想を転換し、
(a)旧知の超音波センサで採用されていた信号処理手法である投音後、超音波振動子に最初に返って来る反射音(或いはこれを電気信号に変換した反射信号)に基づいて、センサ本体から測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定するという手法を用いるのではなく、
(b)むしろ積極的に障害物となる補強部材を検出させ、その上で、
(c)時間軸上で見たときの検出範囲(例えば、周期的に送出される送信信号パルスに従って超音波信号が測定対象物に向けて投音される様なケースであればその一周期)内における最後尾或いは投音時点から見て最遠の反射信号を測定対象物からの反射信号と判定し、
(d)判定された当該測定対象物からの反射信号のみを必要な検出データとして扱い、これに基づいて投音時点から超音波振動子に反射音が返って来る時点までの時間を検出することを通じて、センサ本体から測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定する処理を行う、
ことによって上記障害物の影響を確実にキャンセル出来ることを見い出し、本発明を完成した。
【0019】
上記課題を解決可能な本発明の超音波変位センサ装置は、(1)周期的に送出される送信信号パルスに従って超音波信号を測定対象物に向けて投音可能な送波機能と、前記超音波信号が前記測定対象物の表面で反射したことによって入ってきた反射音を電気−音響変換し、対応する電気信号たる反射信号として出力可能な受波機能とを備えた超音波振動子と、
前記超音波振動子から出力された前記反射信号を、適宜電気的に信号処理することが可能な信号処理装置とからなり、
前記投音時点から前記超音波振動子に反射音が返って来る時点までの時間を検出することを通じて、センサ本体から前記測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定する超音波変位センサ装置であって、
前記信号処理装置は、
i)一周期内に発生した全ての前記反射信号を取り込んだ上で、その周期内最後尾の前記反射信号を抽出し、
ii)前記最後尾の前記反射信号を前記測定対象物からの前記反射信号と判定し、
iii)当該判定された前記最後尾の前記反射信号に基づいて、前記投音時点から前記超音波振動子に反射音が返って来る時点までの時間を検出し、これにより、前記センサ本体から前記測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定する構成を備えたものである、ことを特徴とするものである。
【0020】
本明細書において「音」とは、音響工学上の可聴帯域を越えるいわゆる超音波をも包含する広い概念として用いるものとする。
【0021】
なお、本来検出すべき測定対象物以外の障害物の影響を避ける機能については、Obstructor cancel機能と略称することもある。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、棒、桟或いは金網等、本来検出すべき測定対象物以外の障害物がセンサと測定対象物の間に存在している場合であっても、センサから見てこれら障害物を越えて対向側に位置する測定対象物までの間隔或いは距離を確実に検出或いは測定することが可能となる。
従って本発明によれば、本来検出すべき測定対象物以外の障害物の影響をより確実に避けることが出来ると共に、本来検出すべき測定対象物までの間隔或いは距離を安定して検出することが可能な、検出及び/又は測距性能に優れた超音波変位センサ装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態につき説明する。図1はセンサ側で受信される種々の受信信号の典型的な並び、及びこれら各受信信号と送信信号パルスとの対応関係を時間軸上にあらわした一例を示す図、図2は測定対象物の上表面が第1の補強ロッドアセンブリと第2の補強ロッドアセンブリとの間のレベルにあるときにおける、センサ側で受信される種々の受信信号の典型的な並びを時間軸上にあらわした図、図3は測定対象物の上表面が第1の補強ロッドアセンブリよりも更に上のレベルにあるときにおける、センサ側で受信される受信信号の典型的な並びを時間軸上にあらわした図である。
また図5は本発明に係る超音波変位センサの一実施形態の構成を示すブロック図であり、図6及び図7は測距処理部において受信信号が信号処理されて行く流れを示すフローチャートである。
【0024】
[第一実施形態]
先ずはじめに、本発明に係る超音波変位センサ装置の第一実施形態につき順を追って説明する。
本実施形態では、本発明に係る超音波変位センサ装置を、従来知られた穀物乾燥装置の穀物レベル検知デバイスとして適用した場合を一例に挙げて説明を行う。
従って、超音波変位センサ装置を穀物乾燥装置に適用する際の大略的な設置態様、例えば測定対象物と超音波変位センサ装置との位置関係等については、図8に示された通りである。
【0025】
なお、超音波センサは、旧知の通り、投音時点から超音波振動子に反射音が返って来る時点までの時間を検出することを通じて、センサ本体から測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定することを基本動作原理とするものである。
構成については図5に示される通り、i)送信信号パルスに従って超音波信号を測定対象物に向けて投音可能な送波機能と、上記超音波信号が上記測定対象物の表面で反射したことによって入ってきた反射音を電気−音響変換し、対応する電気信号として出力可能な受波機能とを備えた超音波振動子2と、ii)上記超音波振動子2から出力された受信信号を、適宜電気的に信号処理することが可能な信号処理装置3とからなっている。
【0026】
[構成]
図5及び図8に基づいて本実施形態の構成につき説明すると、本実施形態では、測定対象物Wは貯留槽A内に堆積している穀物(米、大豆類等)となる。また、穀物乾燥装置100の貯留槽A中における穀物レベル(高さ)に相当する測定対象物Wの上表面Fは、本実施形態では貯留槽A内に堆積している穀物等の堆積面となる。
【0027】
ここで、穀物乾燥装置100の貯留槽Aの内壁面の一部には、堆積物の重量によって貯留槽A自体が膨張或いは変形したりするのを防止すべく、複数の補強部材が設けられている。図8に示す例では、補強部材として、貯留槽Aの内壁間に固定された補強棒を組み合わせてなる第1の補強ロッドアセンブリ11及び第2の補強ロッドアセンブリ12が設けられている。
【0028】
第1の補強ロッドアセンブリ11及び第2の補強ロッドアセンブリ12は、それぞれ一端及び他端が貯留槽Aの内壁面に固定された複数の補強棒を井桁状に組み、互いに交叉する補強棒同士を結節して構成した組立体である。
【0029】
その他、超音波変位センサ装置1の設置態様を除いた穀物乾燥装置100自体の更なる詳細な構成や操作法その他については既に旧知のものであり、それらの説明に関しては特許文献1その他の公知文献に譲る。
【0030】
超音波振動子2は電気−音響変換素子からなるものであり、測定対象物Wに向けて超音波信号を投音する送波器として機能するほか、測定対象物Wからの反射音を受けてこれを電気−音響変換し、上記反射音に相当する電気信号たる反射信号を信号処理装置3へと出力し得る受波器(レシーバ)として機能する。
【0031】
信号処理装置3は、超音波振動子2からの出力信号を適宜処理し、投音時点から超音波振動子2に反射音が返って来る時点までの時間を検出することを通じて、センサ本体から測定対象物Wまでの間隔或いは距離を検出或いは測定する。
なお、図8に示す穀物乾燥装置100においては、本実施形態に係る超音波変位センサ装置1によるセンサ本体から測定対象物Wの上表面Fまでの距離の測定結果を利用することで、穀物レベルの検知を行うことが可能となっている。
【0032】
信号処理装置3では通常、超音波振動子2からの出力信号を受け、信号のi)波高値(主として電圧レベルを指す)、ii)幅(いわゆる信号の継続時間を指す)、iii)波形の立ち上がり及び立ち下がり、等から、超音波信号が測定対象物Wの表面で反射したことによって超音波振動子2が受けた反射音に相当する電気信号たる反射信号を認識する。その際、本実施形態では信号処理装置3に備わる波形整形部32を利用している(図5参照)。ここで、本実施形態では、波形整形部32はコンパレータからなっている。
【0033】
信号処理装置3の構成につき、図5を参照しつつより詳細に説明すると、信号処理装置3は、増幅回路31と、波形整形部32と、測距処理部Dと、出力回路36とを備えている。これらは順に接続されており、超音波振動子2からの出力信号を適宜処理して最終的に穀物レベルの検知を行うことが可能となっている。
【0034】
また本実施形態では、測距処理部Dは、データ取込処理部33と、時間計測処理部34と、データ判定・抽出処理部35とを備えている。これらは順に接続されており、コンパレータよりなる波形整形部32から出力される反射信号を適宜処理して最終的にセンサ本体から測定対象物Wの上表面Fまでの距離の測定結果を求めることが可能となっている。
本実施形態では、測距処理部Dはワンチップマイコンからなっており、測距処理部Dに包含される各処理部33〜35は、該ワンチップマイコン内に格納されている。
測距処理部Dで行われる信号処理に関しては、別途後段にて詳述する。
【0035】
増幅回路31及び波形整形部32は、超音波振動子2から出力された受信信号を測距処理部Dが出来るだけ信号処理しやすい様にすべく、超音波振動子2から出力された受信信号の前処理すなわち増幅及び波形整形を行ってパルス状の反射信号とする処理を行う。
【0036】
出力回路36は、測距処理部Dより出力される、センサ本体から測定対象物の上表面までの距離の測定結果を利用することで、穀物レベル(高さ或いは量)を求める処理を行い、その結果を外部へ出力する。
【0037】
[動作]
次に、本実施形態に係る超音波変位センサ装置1の動作につき、信号処理装置3に受信された反射信号が処理されて行く一連の流れを説明するために必要な各図(図1〜3に係る信号波形図、図5に示すブロック図、図6及び図7に示すフローチャート)を参照しつつ説明する。
【0038】
図1は、センサ側で受信される種々の受信信号の典型的な並び、及びこれら各受信信号と送信信号パルスとの対応関係を時間軸上にあらわした一例である。図1(a)は送信信号パルスを時間軸上に示した図、図1(b)はセンサ側で受信される受信信号を時間軸上に示した図、そして図1(c)は図1(b)の一部拡大図であり、一周期中においてセンサ側で受信される受信信号を拡大して示す図である。
ここで、図1は穀物乾燥装置に超音波変位センサ装置を適用した場合の設置態様及び超音波変位センサ装置による測定対象物の測距原理について示す図8と対応している。
すなわち図1は、図8に示されているのと同様に、測定対象物の上表面が第1の補強ロッドアセンブリ及び第2の補強ロッドアセンブリよりも下のレベルにあるときにおける、センサ側で受信される種々の受信信号と送信信号パルスとの対応関係をあらわしている。
なお、簡単のため、以下の図1〜図3に関する説明では、図1〜図3に示された波形整形前の信号を反射信号と扱って説明を行う。また図1〜図3では、縦軸は電圧レベルに相当し、横軸は時間軸となっている。
【0039】
図2は、測定対象物Wの上表面Fが第1の補強ロッドアセンブリ11と第2の補強ロッドアセンブリ12との間のレベルにあるときにおける、センサ側で受信される種々の受信信号の典型的な並びを時間軸上にあらわしたものである。
図2においてR12’は、第2の補強ロッドアセンブリ12のレベルが測定対象物Wの上表面Fよりも下にあるが故にセンサ側に受信されることの無い、第2の補強ロッドアセンブリ12からの反射音に相当する受信信号の態様を仮想的に表現したものである。
【0040】
図3は、測定対象物Wの上表面Fが第1の補強ロッドアセンブリ11よりも更に上のレベルにあるときにおける、センサ側で受信される受信信号の典型的な並びを時間軸上にあらわしたものである。
図3においてR11’は、第1の補強ロッドアセンブリ11のレベルが測定対象物Wの上表面Fよりも下にあるが故にセンサ側に受信されることの無い、第1の補強ロッドアセンブリ11からの反射音に相当する受信信号の態様を仮想的に表現したものである。なおR12’については図2に関連して説明した通りである。
【0041】
本実施形態に係る超音波変位センサ装置1では、
i)一周期Tc内に発生した全ての反射信号R11、R12、RWを取り込んだ上で、その周期Tc内最後尾の反射信号RWを抽出し、
ii)上記最後尾の反射信号RWを測定対象物Wからの反射信号と判定し、
iii)当該判定された上記最後尾の反射信号RWに基づいて、投音時点から超音波振動子2に反射音が返って来る時点までの時間を検出し、これにより、センサ本体から測定対象物Wまでの間隔或いは距離を検出或いは測定する構成となっている。
なお、一周期Tc内最後尾の反射信号RWを抽出することが出来る具体的な一構成例については、図6或いは図7に示されたフローチャートを参照しつつ、別途後段にて詳述する。
【0042】
まずはじめに、図1を参照しつつ、本実施形態に係る超音波変位センサ装置1の動作について説明する。
図1(a)、(b)を参考に、センサ側で受信される受信信号と送信信号パルスとの時間軸上における対応関係について見てみると、本実施形態では、投音周期一周期ごとに送信信号パルスts1、ts2・・・tsnが超音波振動子2より送出される。
受信信号について見ると、本実施形態では、投音周期一周期ごとに第1の補強ロッドアセンブリ11からの反射信号R11、第2の補強ロッドアセンブリ12からの反射信号R12、及び測定対象物Wの上表面Fからの反射信号RWが受信されることとなる。
なお、投音時点と略同時に信号Rtsが受信されている様子が図1(b)に示されているが、この受信信号Rtsは投音時に生じる残響に対応するものである。別途後段で図6或いは図7を用いて説明する、一周期Tc内最後尾の反射信号RWを抽出することが出来る具体的な一構成例においては、投音時点と略同時に受信される信号Rtsは特に考慮の対象から除外されている。
【0043】
図1(c)を参考に、受信信号についてより詳しく見てみると、一周期Tcにおいて、投音時点から第1の補強ロッドアセンブリ11からの反射信号R11を受信するまでの時間はT1、投音時点から第2の補強ロッドアセンブリ12からの反射信号R12を受信するまでの時間はT2、そして投音時点から測定対象物Wの上表面Fからの反射信号RWを受信するまでの時間はT3とされる。
【0044】
本実施形態では、i)一周期Tc内における投音時点から見て最遠すなわち最後尾の反射信号を測定対象物Wからの反射信号(RW)と判定し、ii)判定された当該測定対象物Wからの反射信号RWのみを必要な検出データとして扱い、これに基づいて投音時点から超音波振動子2に反射音が返って来る時点までの時間を検出することを通じて、センサ本体から測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定する処理を行う構成となっている。
【0045】
従って図1に示す例では、i)一周期Tc内における投音時点から見て最遠の反射信号は、センサ本体から見て第1の補強ロッドアセンブリ11及び第2の補強ロッドアセンブリ12を越えた奥の方にある測定対象物Wからの反射信号RWとなり、ii)投音時点から測定対象物Wの上表面Fからの反射信号RWを受信するまでの時間T3が、必要な検出データ(=時間Tx)として取り扱われることとなる。そして、本実施形態ではこの時間Txの値を用いることにより、センサ本体から測定対象物Wまでの間隔或いは距離を検出或いは測定する処理を行う。
なお、図8に示す穀物乾燥装置100においては、本実施形態に係る超音波変位センサ装置1によるセンサ本体から測定対象物Wの上表面Fまでの距離の測定結果を利用することで、穀物レベルの検知を行うことが可能となっている。
【0046】
また、図2に示す例の受信信号について詳しく見てみると、i)一周期Tc内における投音時点から見て最遠の反射信号は、センサ本体から見て上表面Fが第1の補強ロッドアセンブリ11と第2の補強ロッドアセンブリ12との間のレベルにある測定対象物Wからの反射信号RWとなり、ii)投音時点から測定対象物Wの上表面Fからの反射信号RWを受信するまでの時間T2が、必要な検出データ(=時間Tx)として取り扱われることとなる。そして図2に示す場合では、この時間Txの値(=T2)を用いることにより、センサ本体から測定対象物Wまでの間隔或いは距離を検出或いは測定する処理を行う。
【0047】
さらに、図3に示す例の受信信号について詳しく見てみると、図3では測定対象物Wの上表面Fが第1の補強ロッドアセンブリ11よりも更に上のレベルにあることから、i)一周期Tc内における投音時点から見て最遠の反射信号は、反射面となる上表面Fがセンサ本体から見て第1の補強ロッドアセンブリ11及び第2の補強ロッドアセンブリ12よりも近いレベルにある測定対象物Wからの反射信号RWとなり、ii)投音時点から測定対象物Wの上表面Fからの反射信号RWを受信するまでの時間T1が、必要な検出データ(=時間Tx)として取り扱われることとなる。そして図3に示す場合ではこの時間Txの値(=T1)を用いることにより、センサ本体から測定対象物Wまでの間隔或いは距離を検出或いは測定する処理を行う。
【0048】
[最後尾データを抽出することが出来る具体的な処理フローの一例について]
引き続き、図6及び7に基づき、上記した最後尾データを抽出することが出来る具体的な処理フローの一例について説明する。
図6は測距処理部Dにおいて受信信号が信号処理されて行く流れを大まかに示すフローチャートの一例であり、図7はデータ判定・抽出処理部35における最後尾データ抽出に係る処理フローの一例を説明する図である。図6及び7は先に説明した図5に係るブロック図に対応しており、以下では図5も参照しつつ説明を行う。
なお、図6に示される判定フローは、一周期を単位とする、即ち一周期Tcで一巡りするものである。
【0049】
また以下の説明は、貯留槽A内における測定対象物Wの堆積レベルが図1及び図8に示す程度となっていることを前提として行うものとする。貯留槽A内における測定対象物Wの堆積レベルが図2或いは図3に示す程度となっている場合であっても、以下の説明と変わらぬ要領で処理フローが実行されることは言うまでもない。
【0050】
[ステップ1(前処理:S1)]
投音後、超音波振動子2から出力された受信信号の増幅及び波形整形の各処理段階については、図6に示すフローチャートにおいては反射信号の最後尾判定を行うに際しての前処理段階に当たるものとして一括りに取り扱われる。
したがって、超音波振動子2から出力された受信信号の増幅及び波形整形を行ってパルス状の反射信号とする処理を行う図5の増幅回路31及び波形整形部32は、この前処理の段階に含まれるものと考えて良い。
【0051】
[ステップ2(データ取込処理:S2)]
本ステップに係る信号処理は、図5の測距処理部Dに包含されるデータ取込処理部33にて行われる。
このステップでは、一周期Tcの期間が終了するまでの間ずっと、反射信号の受信があったか否かを監視しており、反射信号の受信があったと判定したときには、その反射信号のデータを取り込む処理を行っている。
【0052】
本実施形態では、取り込む反射信号のデータは投音時点から各反射信号を受信するまでの時間に係る時間データであり、図1(c)に示したように例えば、
i)第1の補強ロッドアセンブリ11からの反射信号R11を受信したと判定したときには、data[1]として時間T1の値を取り込む処理を行い、
ii)第2の補強ロッドアセンブリ12からの反射信号R12を受信したと判定したときには、data[2]として時間T2の値を取り込む処理を行い、
iii)測定対象物Wの上表面Fからの反射信号RWを受信したと判定したときには、data[3]として時間T3の値を取り込む処理を行う。
【0053】
本ステップにおける最初の判定ブロックとなる「測定時間が終了したか否か」を判定する判定ブロックには、予め一周期の時間Tcの値が格納されており、上記反射信号の取り込み処理が済んで時間Tcが経過した際には、次のステップへ進む処理が行われる。
【0054】
本ステップでは、次に説明する数値“i”が最終値に到達するまで、時間データT1、T2・・・Tiがdata[1]、data[2]・・・data[i]として取り込まれる。
ここで、“i”は反射信号の最後尾判定を行う対象となる反射信号データの数に対応して1から始まるものであって、反射信号の最後尾判定を行う対象となる反射信号データを格納可能な最大数の値を最終値とするものである。なお、iの最終値となる反射信号の最後尾判定を行う対象となる反射信号データを格納可能な最大数の値は、実際に本発明を実施するに際して任意に決定することが出来る。
【0055】
貯留槽A内における測定対象物Wの堆積レベルが図1及び図8に示す程度としたときの本実施形態では、iの最終値を例えば8とした場合、i=3まではdata[1]、data[2]・・・data[i]に実際の時間データが格納されている。一方、物理的にセンサ本体から見て測定対象物Wの上表面Fよりも遠い側(図1の時間軸で説明すれば、最後尾の反射信号RWよりも時間的に進んだ側の領域)には超音波は到達せず、当然対応する反射音或いは反射信号も発生し得ないことから、本実施形態ではi=4〜8にはdata[4]、data[5]・・・data[8]として“0”が便宜上格納される。
【0056】
なお、図2に示す例ではi=3以降について、data[3]、data[4]・・・data[8]として“0”が便宜上格納される。図3に示す例ではi=2以降について、data[2]、data[3]・・・data[8]として“0”が便宜上格納される。
【0057】
[ステップ3(時間計測処理:S3)]
本ステップに係る信号処理は、図5の測距処理部Dに包含される時間計測処理部34にて行われる。
本ステップでは、ステップS2で取り込まれたデータdata[1]、data[2]・・・data[i]の値を、改めて投音時点から各反射信号を受信するまでの時間T1、T2・・・Tiに係る時間データであるとして、それぞれの時間を計測する処理を行う。
【0058】
[ステップ4(データ判定・抽出処理:S4)]
本ステップに係る信号処理は、図5の測距処理部Dに包含されるデータ判定・抽出処理部35にて行われる。
本ステップでは、ステップS2で取り込まれたデータdata[1]、data[2]・・・data[i]を基に、反射信号の最後尾判定、及び最後尾と判定された反射信号データの抽出処理が行われる。
【0059】
次に、本ステップにおける最後尾データ抽出に係る処理フローの一例を図7に基づき説明する。
図7に示される本ステップの最後尾判定ループでは、
i)ステップS2で取り込まれたデータdata[1]、data[2]・・・data[i]の値が“0”であるか否かを判定した結果に基づいて、
ii)“0”でないものについてはdata[1]、data[2]・・・data[i]の値を強制的に“0”に置換する処理を順次行ってゆき、
iii)その結果、取り込まれたデータdata[1]、data[2]・・・data[i]の中で“0”でない値を持つものとして最終的に残った唯一つのデータを、最後尾データと判定してその値(時間値)を最後尾データとして抽出する処理を行っている。
抽出された最後尾データは、投音時点から測定対象物Wの上表面Fからの反射信号RWを受信するまでの時間に相当する、必要な検出データ(=時間Tx)として取り扱われる。
【0060】
具体的には、この最後尾判定ループでは、2つのデータを順次関連させて処理するように構成されており、先にdata[i+1]が“0”であるか否かを判定した上で、
i)“0”であれば(図7の判定ブロックでは、右向きの“No”にあてはまる)、そのdata[i]については何等処理がなされずに済む一方、
ii)“0”でない場合(図7の判定ブロックでは、下向きの“Yes”にあてはまる)には、そのdata[i+1]より1つ前のデータdata[i]について、その値を強制的に“0”に置換する処理が行われる。
【0061】
このループを順次繰り返し、[i−1]回(その理由は後述する)の繰り返しが終了した時点では、最終的に唯1つのデータが“0”でない値を持つものとして残ることとなり、残ったこの“0”でない値を持つデータが、最後尾データと判定されその値(時間値)が最後尾データとして抽出される。
【0062】
一例を挙げてこの最後尾判定ループにつき更に説明すると、貯留槽A内における測定対象物Wの堆積レベルが図1及び図8に示す程度とし、iの最終値を8としたとき、この最後尾判定ループで行われる具体的処理は次のようなものとなる。
【0063】
まず、この最後尾判定ループでは、2つのデータを順次関連させて処理するよう構成されているが、iの最終値を8としたとき、その処理形態は次の通りとなる。
【0064】
[ループ回数と、順次関連させて処理する2つのデータについて]
ループ回数: 順次関連させて処理する2つのデータ
(data[i]、data[i+1])
・ 1 : data[1]、data[2]
・ 2 : data[2]、data[3]
・ 3 : data[3]、data[4]
・ 4 : data[4]、data[5]
・ 5 : data[5]、data[6]
・ 6 : data[6]、data[7]
・ 7 : data[7]、data[8]
以上からも明らかな通り、2つのデータを順次関連させて処理することから、ループ回数はi−1回となる。
【0065】
[処理前のデータと処理後のデータの変化について]
データ(data[i]) : 処理前のデータ値 : 処理後のデータ値
・ data[1] : 1000 : 0
・ data[2] : 2000 : 0
・ data[3] : 3000 : 3000
・ data[4] : 0 : 0
・ data[5] : 0 : 0
・ data[6] : 0 : 0
・ data[7] : 0 : 0
・ data[8] : 0 : 0
【0066】
なおここで、data[1]、data[2]、data[3]の値1000、2000、3000は、投音時点から反射信号を受信するまでの時間を相対的に示すものである。
上記したデータの変化については、最後尾判定ループを実際に2つのデータを順次関連させながら適用してみればそのような結果となることがわかる。
【0067】
以上の例によれば、最後尾判定ループでの処理後において最終的に残った唯一つのデータであるdata[3]の値を最後尾データと判定し、その値(時間値に相当する相対値“3000”)は最後尾データとして抽出される。
抽出された最後尾データは、投音時点から測定対象物Wの上表面Fからの反射信号RWを受信するまでの時間に相当する、必要な検出データ(時間Tx=T3)として取り扱われる。
【0068】
必要な検出データ=時間Txが得られれば、後は本実施形態ではこの時間Txの値を用いて、出力回路36においてセンサ本体から測定対象物Wまでの間隔或いは距離を検出或いは測定する処理(距離データ変換)を行う。
また図8に示す穀物乾燥装置100においては、得られたセンサ本体から測定対象物Wの上表面Fまでの距離の測定結果を利用することで、穀物レベルの検知を行っている。
【0069】
上で構成及び動作について説明した本実施形態によれば、本来検出すべき測定対象物以外の障害物の影響を確実にキャンセル出来ると共に、本来検出すべき測定対象物までの間隔或いは距離を安定して検出することが可能な、検出及び/又は測距性能に優れた超音波変位センサ装置を提供することができる。
【0070】
[第二実施形態]
又以下では、本発明に係る超音波変位センサ装置の第二実施形態につき説明する。図4は本発明の第二実施形態について示す図である。
【0071】
図1、図2及び図4(a)に示すように、複数の反射信号がそれぞれ時間軸上で離間した状態で存在する場合には、信号処理装置3は特に問題なく、複数の反射信号をそれぞれ別の信号と区別して認識することが出来る。
【0072】
しかしながら、図4(b)に示すように、複数の反射信号が時間軸上で互いに少なくとも一部が重なった状態或いは極めて近接した状態で存在する場合には、信号処理装置3は、この一部が重なった状態或いは極めて近接した状態にある複数の反射信号をうまく認識して信号処理してゆくことが難しいケースが想定される。
【0073】
本実施形態ではそのような場合、図4(c)に示すように、この一部が重なった状態或いは極めて近接した状態にある複数の反射信号の立ち上がり時点から立ち下がり時点までの幅を持つ合成信号RCを図5の波形整形回路32で求め、その時間幅のセンターRCcの値を見ることによって、かかる状況下でも特に問題なく投音時点から測定対象物Wの上表面Fからの反射信号RWを受信するまでの時間を算出して、センサ本体から測定対象物Wまでの間隔或いは距離を検出或いは測定する処理を行なえる様構成されている。
【0074】
[変形例]
以上、一実施形態を中心に本発明の詳細を説明したが、本発明は上記に何等限定されず、様々な変形が可能である。
【0075】
例えば、上記実施形態では、従来知られた穀物乾燥装置の穀物レベル検知デバイスとして適用した場合を例に本発明に係る超音波変位センサ装置の構成及び動作について説明したが、本発明は穀物乾燥装置に限られず、種々の装置に対して適用することが可能であるほか、単独でも使用することが可能である。
さらに、上記実施形態では測定対象物を貯留槽内に堆積している穀物として説明を行ったが、測定対象物はこれに特に限定されるものでは無い。例えば、測定対象物は貯留槽内に貯留されている液体であっても構わない。この場合、測定対象物の上表面は、測定対象物である液体の液面となる。
その他、本発明に係る超音波変位センサ装置は、河川等の液面レベル検知デバイスとして従来の超音波センサと同じ使用態様で使用することも勿論可能である。
【0076】
また上記実施形態では送波と受波を1つの超音波振動子で担う構成としたが、送波と受波を別々の超音波振動子に担わせる構成としても構わない。
【0077】
上記実施形態では、穀物乾燥装置100の貯留槽Aが、2組の補強部材11、12をその内壁に高さ方向にそれぞれ間隔を空けて備えている場合について説明を行ったが、補強部材の数はこれに限定されず、必要に応じて更に多くの補強部材が貯留槽Aの内壁に高さ方向にわたって備えられていても構わない。
【0078】
上記実施形態では、障害物となる2組の補強部材11、12が穀物乾燥装置100の貯留槽Aの内壁に固定されているケースをモデルに本発明に係る超音波変位センサ装置1の構成及び動作につき説明を行ったが、本発明は、障害物が固定されているケースに何等限定されず、障害物が動いている場合であっても適用することが可能である。障害物が動いている場合の一例としては、
i)センサ本体に対向した位置に本来検出すべき測定対象物があるにもかかわらず、測定対象物以外の障害物(例えばロボットアーム等)がセンサ本体−測定対象物間を横切る様な場合、のほか、
ii)貯留槽に対してセンサが図8に示されるような設置態様で設置される場合において、貯留槽内に入れられた金網やザル等が上下方向に動いているようなケース、
等が挙げられる。
【0079】
以上に説明した通り、本発明は、本来検出すべき測定対象物以外の障害物の影響をより確実に避けることが出来ると共に、本来検出すべき測定対象物までの間隔或いは距離を安定して検出することが可能な、検出及び/又は測距性能に優れた超音波変位センサ装置を提供する新規かつ有用なるものであることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】センサ側で受信される種々の受信信号の典型的な並び、及びこれら各受信信号と送信信号パルスとの対応関係を時間軸上にあらわした一例である。
【図2】測定対象物の上表面が第1の補強ロッドアセンブリと第2の補強ロッドアセンブリとの間のレベルにあるときにおける、センサ側で受信される種々の受信信号の典型的な並びを時間軸上にあらわしたものである。
【図3】測定対象物の上表面が第1の補強ロッドアセンブリよりも更に上のレベルにあるときにおける、センサ側で受信される受信信号の典型的な並びを時間軸上にあらわしたものである。
【図4】本発明の第二実施形態について示す図である。
【図5】本発明に係る超音波変位センサの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図6】測距処理部において受信信号が信号処理されて行く流れを大まかに示すフローチャートの一例である。
【図7】データ判定・抽出処理部における最後尾データ抽出に係る処理フローの一例を説明する図である。
【図8】穀物乾燥装置に超音波変位センサ装置を適用した場合の設置態様及び超音波変位センサ装置による測定対象物の測距原理について示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1 超音波変位センサ装置
2 超音波振動子
3 信号処理装置
11、12 第1の補強ロッドアセンブリ、第2の補強ロッドアセンブリ
21 パルス発生器
100 穀物乾燥装置
A 貯留槽
D 測距処理部
F 測定対象物の上表面
ts1、ts2、tsn 送信信号パルス
Tc 送信信号パルスの一周期
R11、R12 第1の補強ロッドアセンブリ、第2の補強ロッドアセンブリからの反射音に相当する受信信号
Rts 投音時に略同時に発生する残響に相当する受信信号
RW 測定対象物からの反射音に相当する受信信号
W 測定対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期的に送出される送信信号パルスに従って超音波信号を測定対象物に向けて投音可能な送波機能と、前記超音波信号が前記測定対象物の表面で反射したことによって入ってきた反射音を電気−音響変換し、対応する電気信号たる反射信号として出力可能な受波機能とを備えた超音波振動子と、
前記超音波振動子から出力された前記反射信号を、適宜電気的に信号処理することが可能な信号処理装置とからなり、
前記投音時点から前記超音波振動子に反射音が返って来る時点までの時間を検出することを通じて、センサ本体から前記測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定する超音波変位センサ装置であって、
前記信号処理装置は、
i)一周期内に発生した全ての前記反射信号を取り込んだ上で、その周期内最後尾の前記反射信号を抽出し、
ii)前記最後尾の前記反射信号を前記測定対象物からの前記反射信号と判定し、
iii)当該判定された前記最後尾の前記反射信号に基づいて、前記投音時点から前記超音波振動子に反射音が返って来る時点までの時間を検出し、これにより、前記センサ本体から前記測定対象物までの間隔或いは距離を検出或いは測定する構成を備えたものである、
ことを特徴とする超音波変位センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−168693(P2009−168693A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8568(P2008−8568)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000210425)竹中電子工業株式会社 (11)
【出願人】(000101318)株式会社タケックス研究所 (9)
【Fターム(参考)】