説明

超高純度窒素ガスの精製方法

【課題】本発明は、ガスボンベを使用せずに99.999%以上の超高純度窒素ガスを製造することを課題とする。
【解決手段】室内の空気をコンプレッサーにより5〜8気圧に圧縮した空気を、モイスチャートラップ及びオイルミストラップを通過させる第1の工程と、水分離膜内蔵管を通過させる第2の工程と、炭化水素除去管および酸素窒素分離膜内蔵管を少なくとも反復通過させる第3の工程とからなることを特徴とする高純度窒素ガスの精製方法であり、前記第3の工程後に微量不純物吸着管および微量酸素・水除去管を通過させる工程が含まれることが好ましく、前記第2の工程後で、第3の工程の前又は後に、有機物燃焼触媒管および吸湿剤管を通過させる工程が含まれることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気を用いた超高純度窒素ガスの精製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大気中の主成分は窒素(80%)および酸素(20%)であり、その他、アルゴン、水、二酸化炭素、一酸化炭素、炭化水素類その他が、微量に存在する。ガス成分の分析において、検出器を電子捕獲型検出器(以下ECDという。)とした場合、ECDガスクロマトグラフにおける主たる妨害成分は酸素および水であり、水素炎イオン化検出器(以下FIDという。)を用いる場合は、メタンないし炭化水素類が妨害成分である。つまり、ガス成分の分析に用いられる窒素を精製する際には、酸素、水、メタン、炭化水素を十分なレベルまでに取り除くことが求められる。
【0003】
ガスクロマトグラフに使用する窒素キャリヤーガスは、通常高圧ボンベに充填された純度99.999%以上の高純度仕様の製品を使用する。特に、大気中のメタン、亜酸化窒素のようにppmレベル乃至ppbレベルのガス試料の分析は、高感度、高S/N比検出が求められるため、上記の高純度窒素ガスをさらに、活性炭微粉末、モレキュラーシーブ(ゼオライト空孔微粉末)等によって共雑成分を除去した、超高純度ガスを必要とする。
【0004】
従来、空気から窒素ガスを分離する手段として、圧力変動吸着(以下PSAという。)による分離方法がある。PSA法を利用したPSA装置は、吸着剤を充填した吸着塔に加圧した空気を供給して、空気中の酸素分子を吸着剤に吸着させ、吸着されなかった窒素ガスを分離して、窒素ガスを得ることができる。そして、吸着された酸素分子は吸着塔圧力を減圧することにより、容易に脱着させることができる。このようなPSA法は、容易に窒素ガスを分離する方法として様々な分野で使用されている。PSA装置では、残存酸素ガス濃度が1000ppm以下、すなわち99.9%以上の高純度の窒素ガスを効率よく製造できる。
【0005】
しかし、さらに高純度の窒素ガスを製造するためには、PSA法のみでは難しい。そのため、残存する酸素を水素と結合させて残存酸素濃度を減少させる精製装置をさらに使用して、高純度の窒素ガスを製造している窒素ガスの製造方法が開示されている(特許文献1を参照。)。該窒素ガスの製造方法では、PSA法により酸素を除去し、残存する酸素と水素とを水蒸気に反応させて、水蒸気を除去している。特許文献1に開示の窒素ガスの製造方法によれば、99.999%以上の窒素ガス濃度を可能としている。残存する酸素を水素と反応させて水に精製する場合、窒素ガス中に存在する精製される水を除去するための除去装置としては、たとえば膜式除湿装置やPSA式除湿装置などが挙げられる。しかしながら、上記の窒素ガスの製造方法では、精製装置で反応してなる水蒸気を冷却するために大きな電力が必要であるという問題がある。
【0006】
また、空気中の酸素を吸着剤により吸着させる吸着工程が圧力変動吸着装置で行なわれ、前記吸着工程後の第1ガス中に含有されている残存酸素を、水素と反応させて水分に変えることにより、酸素を除去する精製工程と、前記精製工程後の第2ガス中から、水分が除去された高純度窒素ガスと前記除去された水分を含有するパージガスとを膜式除湿装置で分離する除湿工程と、前記パージガスを用いて、前記吸着剤を再生する再生工程とを備える、高純度窒素ガスの製造方法が提案されている(特許文献2を参照。)。しかし該製造方法に用いる装置は、圧縮機、吸着塔、製品槽、精製装置、除湿装置、高純度窒素ガスタンク、パージガスを吸着塔に供給する配管とを備えた大掛かりな装置である。
【0007】
さらに、大気を圧縮するコンプレッサーと、大気中の塵を除去するフィルターと、圧縮空気中の窒素成分と酸素成分とを分離させる中空糸が束ねられた中空糸膜と、中空糸膜から分離されて窒素成分中に含まれる微量酸素を除去し、高純度の窒素ガスを製造する脱酸素装置とを具備してなる高純度窒素ガスの製造装置であって、前記脱酸素装置に充填される脱酸素剤が、酸素欠陥を有する酸化セリウム系脱酸素剤を用いる方法が提案されている(特許文献3を参照。)。しかし前記方法も、コンプレッサーにより圧縮され空気タンクに貯蔵された空気が、圧縮空気配管を介して圧縮空気内の異物を除去するプレフィルターやミクロミストフィルター等のフィルターを経由し、中空糸膜に送り込まれる大型の装置である。
【0008】
前記の高純度窒素ガスの製造は、いずれも大型の装置を必要とし、実験室等に設けることは適当ではない。一方、消防法等の安全保安上の観点からは、高圧ガスの取り扱いには種々の制約があり、可能な限り高圧ガスボンベの保有数は少なくすることが好ましい。また、ランニングコスト、輸送コストの観点からも、大気中に80%存在する窒素を、使用する現場において精製し、活用することが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−320221号公報
【特許文献2】特開2007−277028号公報
【特許文献3】特開2008−308379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、ガスボンベを使用せずに99.999%以上の超高純度窒素ガスを製造することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
<1> 本発明は、室内の空気をコンプレッサーにより5〜8気圧に圧縮した空気を、モイスチャートラップ及びオイルミストラップを通過させる第1の工程と、水分離膜内蔵管を通過させる第2の工程と、炭化水素除去管および酸素窒素分離膜内蔵管を少なくとも反復通過させる第3の工程とからなることを特徴とする高純度窒素ガスの精製方法である。
<2> 前記第3の工程後に微量不純物吸着管および微量酸素・水除去管を通過させる第4の工程が含まれることが好ましい。
<3> 前記第2の工程後で、第3の工程の前又は後に、有機物燃焼触媒管および吸湿剤管を通過させる工程が含まれることが好ましい。
<4> さらに本発明は、室内の空気をコンプレッサーにより5〜8気圧に圧縮した空気を、モイスチャートラップ及びオイルミストラップに連結し、次に水分離膜内蔵管に連結し、次に有機物燃焼触媒管および吸湿剤管に連結し、次に炭化水素除去管および酸素窒素分離膜内蔵管に少なくとも反復連結し、次に微量不純物吸着管および微量酸素・水除去管に連結した、高純度窒素ガスが連続的に供給される装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、99.999%以上の超高純度窒素ガスを、ガスボンベを使用せずに製造することができる。高圧窒素ボンベを使用しないことにより、大幅にコストが縮減されるほかに、研究所・事業所等における安全管理へも貢献できる。また、離島、遠隔地等ガスボンベの頻繁な運搬に適さない場所においても、超高純度窒素ガスの簡易な利用を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の工程概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、酸素・窒素分離膜を用いて精製した99%程度の窒素純度のガスを、酸素のさらなる除去のため、残留酸素と混入しているメタン等の有機物との燃焼反応を活用することとし、この燃焼過程で発生する水もまた、分離膜で除去することを特徴とする。以下本発明の実施の態様について詳説する。
【0015】
本発明の窒素ガス精製方法について、工程の概念図を図1に示した。図1において隣接する管の間に往復の矢印がある場合は、管の順序が前後することが許されることを示し、吸湿剤管から炭化水素除去管への外周の矢印は反復処理を示す。図1に示す本精製工程は、室内の空気に対して酸素、水、炭化水素を完全に除去することができる。以下本発明について工程の各処理を説明する。
【0016】
<コンプレッサーによる空気の圧縮>
室内の空気を用い、コンプレッサーを使用して、5〜8気圧に空気を圧縮する。コンプレッサーは空気を5〜8気圧に圧縮できるものであれば、いずれのコンプレッサーも使用することができるが、オイルミストの混入を避けるためにオイルフリーのコンプレッサーが好ましい。
【0017】
該圧縮された空気に対して以下の処理を行うが、圧縮空気の圧力により、一の処理から次工程への空気は通気管の連結のみで自動的に送られる。また圧縮空気の通気管としては、不純物の残留を防ぎ、触媒等加熱処理後のガスの冷却のために、外径3mm〜10mmのステンレス製管乃至ポリテトラフルオロエチレン製管を用いることが好ましく、316ステンレスを用いることがより好ましい。
【0018】
<モイスチャートラップによる水分の除去>
前記により圧縮した空気から、モイスチャートラップにより水分を除去する。本発明のモイスチャートラップは、5μmまでのダストが除去できるモイスチャートラップであり、ろ過度0.5μm以下のポリプロピレン製エレメントを有していることが好ましく、CKD社製、商品名;F3000型が特に好ましい。該モイスチャートラップを用いるときは、2段直列とすることが好ましい。
【0019】
<オイルミストラップによる油分の除去>
前記モイスチャートラップにより水分が大まかに除去された圧縮空気について、オイルミストラップにより油分を除去する。本発明のオイルミストラップは、油分を0.01mg/m3以下まで除去できる機能を有するオイルミストラップであり、ろ過度0.01μm以下の繊維フィルターを備えることが好ましく、CKD社製、商品名;M3000型が特に好ましい。なお当該「モイスチャートラップによる水分の除去」と前記「オイルミストラップによる油分の除去」は処理工程順序が異なっても構わない。
【0020】
<水分離膜内蔵管による乾燥空気精製>
前記モイスチャートラップ及びオイルミストラップにより水分及び油分が除去された圧縮空気について、水分離膜内蔵管を用いることにより乾燥空気を精製する。本発明の水分離膜は、前記圧縮空気について水分を更に出口空気露点-30℃以下まで除去し得るものであり、孔径が450〜550μmの芳香族ポリイミド製の中空糸膜を備えることが好ましく、中でも宇部興産製、商品名;UMS-B2Vが特に好ましい。
【0021】
<炭化水素除去管による微量有機物除去>
前記水分離膜内蔵管を用い、出口空気露点-30℃以下の乾燥空気について、炭化水素除去管を用い、微量の残存有機物を吸着により除去する。本発明の炭化水素除去管は、径2〜6mmの顆粒状活性炭が充填され、微量の残存有機物を吸着除去する炭化水素除去管であり、中でも島津製作所製、商品名;221-05619-01が特に好ましい。
【0022】
<酸素窒素分離膜内蔵管による酸素除去>
前記、炭化水素除去管を用い、微量の残存有機物が吸着除去された乾燥空気について、酸素窒素分離膜内蔵管を用いることにより酸素を除去する。本発明の酸素窒素分離膜内蔵管は、孔径が450〜550μmのポリイミド製の中空糸製分離膜を備えた管であり、中でも宇部興産製、商品名;UBE NM-B01Aが特に好ましい。
【0023】
<反復処理>
前記「酸素窒素分離膜による酸素除去」処理後の圧縮空気について、少なくとも前記「炭化水素除去管による微量有機物除去」及び「酸素窒素分離膜内蔵管による酸素除去」の処理を反復する。以上の処理により、窒素の純度が99.999%の空気を得ることができる。
【0024】
前記「酸素窒素分離膜内蔵管による酸素除去」処理後の圧縮空気について、下記の「有機物燃焼触媒管による有機物除去」と「吸湿剤管によるCO吸着除去」とを行うことが好ましい。当該両処理を行うことにより、「炭化水素除去管」及び「酸素窒素分離膜内蔵管」の寿命を延ばすことができ、コスト削減となる。なお前記「炭化水素除去管による微量有機物除去」及び「酸素窒素分離膜内蔵管による酸素除去」の反復処理は、下記「有機物燃焼触媒管による有機物除去」と「吸湿剤管によるCO吸着除去」との処理を含めて行うことが更に好ましい。
【0025】
<有機物燃焼触媒管による有機物除去>
前記「酸素窒素分離膜内蔵管による酸素除去」処理後の圧縮空気について、有機物燃焼触媒管を用いることにより、炭化水素を焼却除去する。本発明の有機物燃焼触媒管は、粒径1〜3mmのアルミナ処理を施した白金触媒を充填した燃焼管であり、中でも島津製作所製、商品名; HCトラップが特に好ましい。本過程により炭化水素が焼却除去された空気には、燃焼により発生するCO、HOが含まれる。
【0026】
<吸湿剤管によるCO吸着除去>
前記有機物燃焼触媒管を用い炭化水素が除去された空気について、吸湿剤管を用いることにより、水、COを吸着除去する。本発明の吸湿剤管は、モレキュラーシーブ(5A)が充填された吸湿剤管であり、再生可能な機能を有する吸湿剤管がより好ましく、中でも島津製作所製、商品名;A11-00020-01が特に好ましい。
【0027】
前記により得られる窒素純度が99.999%の空気をさらに超高純度とするために、以下の処理を行うことが好ましい。
【0028】
<微量酸素・水除去管による酸素・水除去>
前記窒素純度が99.999%の圧縮空気について、微量酸素・水除去管を用いることにより、残存する微量の酸素・水を吸着により除去する。本発明の微量酸素・水除去管は、Nanochem樹脂が充填され、残存する微量の酸素・水を吸着除去する除去管であり、中でもSUPELCO製、商品名;OMI-4が特に好ましい。
【0029】
<微量不純物吸着管による微量成分除去>
前記微量酸素・水除去管により、残存する微量の酸素・水が吸着除去された圧縮空気について、微量不純物吸着管を用いることにより、残存する微量の成分を除去する。本発明の微量不純物吸着管は、ジルコニウムが充填され、残存する微量の成分を除去する除去管であり、中でもSUPELCO製、商品名;23800-Uが特に好ましい。
【0030】
なお、前記「微量酸素・水除去管による酸素・水除去」と「微量不純物吸着管による酸素・水除去」の処理工程は、処理工程順序が異なっても構わない。前記の各処理により窒素の純度は、希ガスを除き99.9999%以上となり、Oの濃度はECD-GCの検出下限以下となる。
【0031】
なお前記「微量不純物吸着管による有機物除去」又は「微量酸素・水除去管による酸素・水除去」のうち後の処理工程には、1ppmのOを検出する能力を有する酸素インジケーターを付属させることが好ましい。前記酸素インジケーターのフィルターが変色していないことにより、精製された窒素ガスのO濃度が1ppm以下であることを認識できる。
【0032】
前記の各処理を直列に接続することにより、99.9999%以上の高純度精製窒素を得ることができる。また本過程終了後の空気は、200〜400kPaで直接ガスクロマトグラフへ等への供給が可能である。
【0033】
なお、大気中の主要成分のうち、アルゴンは元素であるため、原理的に化学反応による除去は不可能であるが、ガスクロマトグラフィーにおいては、検出感度に影響しない。
【実施例】
【0034】
本発明について、以下の実施例でさらに具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
<STEP-1 空気の圧縮>
室内の空気から、日立ベビコン社製、商品名;無給油式スーパーオイルフリーコンプレッサー、型式;0.4LE-8Sを使用し、圧縮空気出力を600kPaの圧縮空気を製造して、以下の各処理に用いた。圧縮空気の通気管としては外径5mmの316ステンレス製管を用いた。
【0035】
<STEP-2 モイスチャートラップによる水分の除去>
前記の圧縮空気を、モイスチャートラップとしてCKD社製エアフィルター、商品名;F3000型を2段直列に用い、水分を除去した。
【0036】
<STEP-3 オイルミストラップによる油分の除去>
前記STEP-2後の圧縮空気を、オイルミストラップとしてCKD社製エアフィルター、商品名;M3000型を用い、油分を除去した。
【0037】
<STEP-4 水分離膜内蔵管による乾燥空気精製>
前記STEP-3後の圧縮空気を、水分離膜を用いることにより水分を完全に除去した。該水分離膜としては、宇部興産製、商品名;UMS-B2Vを用いた。
【0038】
<STEP-5 炭化水素除去管による微量有機物除去>
前記STEP-4後の圧縮空気を、活性炭を充填した炭化水素除去管を用いることにより、微量の残存有機物を吸着により除去した。該活性炭充填管として、島津製作所製、商品名;221-05619-01を用いた。本処理により、窒素の純度が99.99%(残存O量0.01%)の空気が得られた。
【0039】
<STEP-6 酸素窒素分離膜内蔵管による酸素除去>
前記STEP-5後の圧縮空気を、酸素窒素分離膜内蔵管を用いることにより、残存酸素を膜分離により除去した。該酸素窒素分離膜内蔵管として、宇部興産製、商品名;NM-B01Aを用いた。
【0040】
<STEP-7 有機物燃焼触媒管による有機物除去>
前記STEP-6後の圧縮空気を、有機物燃焼触媒管を用いることにより、炭化水素を焼却除去した。有機物燃焼触媒管として、島津製作所製、商品名; HCトラップを用いた。
【0041】
<STEP-8 吸湿剤管によるCO吸着除去>
前記STEP-7後の圧縮空気を、吸湿剤管を用いることにより、COを吸着により除去した。吸湿剤管として、島津製作所製、商品名;A11-00020-01を用いた。
【0042】
<STEP-9〜12 反復処理>
前記STEP-8後の圧縮空気について、前記STEP-5からSTEP-8までの処理を、反復処理した。該反復処理により、窒素の純度が99.999%の空気が得られたが、0.001%のOが残存した。また本処理後の圧縮空気の出力は、400kPaであった。
【0043】
<STEP-13 微量不純物吸着管による微量成分除去>
前記反復処理後の圧縮空気について、微量不純物吸着管を用いることにより、残存する微量の成分を除去した。該微量不純物吸着管として、SUPELCO製、商品名;23800-Uを用いた。本処理により窒素の純度は、希ガスを除き99.9999%以上となり、Oの濃度は0.0001%と推定された。
【0044】
<STEP-14 微量酸素・水除去管による酸素・水除去>
前記STEP-13後の圧縮空気を、酸素・窒素分離膜を用い残存酸素を除去した。該酸素・窒素分離膜として、酸素インジケーター付きのSUPELCO製、商品名;OMI-4を用いた。
【0045】
前記微量酸素・水除去管処理により、前記酸素インジケーターのフィルターが変色しないことから、窒素の純度が99.9999%以上の精製窒素ガスが得られ、Oの濃度はECDガスクロマトグラフの検出下限以下であった。
【0046】
前記のSTEP-0からSTEP-14までの処理を行うことにより、99.9999%以上の高純度窒素ガスが、300kPaの圧力で、直接ガスクロマトグラフへ供給されることができた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明により、99.999%以上の高純度窒素ガスを、ガスボンベを使用せずに製造することができることから、研究所・事業所等における利用が期待され、離島、遠隔地等ガスボンベの頻繁な運搬に適さない場所においても、超高純度窒素ガスの簡易な利用が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の空気をコンプレッサーにより5〜8気圧に圧縮した空気を、モイスチャートラップ及びオイルミストラップを通過させる第1の工程と、水分離膜内蔵管を通過させる第2の工程と、炭化水素除去管および酸素窒素分離膜内蔵管を少なくとも反復通過させる第3の工程とからなることを特徴とする高純度窒素ガスの精製方法。
【請求項2】
前記第3の工程後に微量不純物吸着管および微量酸素・水除去管を通過させる第4の工程が含まれる請求項1に記載の高純度窒素ガスの精製方法。
【請求項3】
前記第2の工程後で、第3の工程の前又は後に、有機物燃焼触媒管および吸湿剤管を通過させる工程が含まれる請求項1又は請求項2に記載の高純度窒素ガスの精製方法。
【請求項4】
室内の空気をコンプレッサーにより5〜8気圧に圧縮した空気を、モイスチャートラップを2段直列し、次にオイルミストラップに連結し、次に水分離膜内蔵管に連結し、次に炭化水素除去管および酸素窒素分離膜内蔵管に少なくとも反復連結し、次に微量不純物除去管および微量酸素・水除去管に連結した、高純度窒素ガスが連続的に供給される装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−112547(P2013−112547A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258366(P2011−258366)
【出願日】平成23年11月26日(2011.11.26)
【出願人】(501245414)独立行政法人農業環境技術研究所 (60)
【Fターム(参考)】