足の動的特性の評価システム及び評価方法

【課題】簡易かつ容易に足の動的特性を評価することができるようにする。
【解決手段】被測定者の座位における足の荷重と、被測定者の立位における足の荷重とを測定可能な荷重測定手段6と、被測定者の座位における足の内側の側部の画像と、被測定者の立位における足の内側の側部の画像とを取得する撮像手段2と、撮像手段2によって得られる座位及び立位における足の内側の側部の画像から被測定者の足の舟状骨鉛直変化量Aと、被測定者における座位の荷重と立位の荷重との荷重変化量Bとを演算する演算手段3と、を備え、さらに、演算手段3は、B/Aの値をアーチ剛性として演算しかつこのアーチ剛性の値に基づいて、被測定者の足の着地衝撃度合いを評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の足の動的特性を評価するための評価システム及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行中やランニング中のランナーの足の特性を評価するために、様々な手法が研究・開発されている。一般に、足の特性としては、足の静的特性と動的特性とに大別される。
【0003】
特に、足の動的特性を評価する場合には、例えば、「着地衝撃度合い」、「踵部外反角度合い」、「下腿内旋角度合い」という評価基準が採用される。
【0004】
これらの評価基準については、例えば、着地衝撃度合いを評価するために、ランニング中のランナーの身体に係る負荷を、脛に貼付した加速度計によって測定する手法が採用される。
【0005】
また、踵部外反角度合いを評価するために、ビデオカメラ等によって、ランニング中にランナーの足の着地状態における踵部又はシューズに貼付されたマーカの位置を連続的に撮影して評価する手法が採用される。また、歩行中(又は走行中)の足の裏に作用する荷重分布を測定し、この荷重分布データを基にして、所定の演算を行うことにより、踵部外反角度合いを評価する手法が採用されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
また、下腿内旋角度合いを評価するために、3次元解析装置や複数台のビデオカメラ等によって、ランニング中のランナーを撮影するとともに、足の挙動について3次元動作分析を行う手法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−11527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来の評価手法では、いずれも測定に必要な器具や設備が複雑であり、大型のものが多い。このことから、測定の準備及び測定自体に時間がかかるとともに、測定場所も限定的になってしまっていた。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、簡易かつ容易に足の動的特性を評価することができるシステム及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る足の動的特性の評価システムは、被測定者の座位における足の荷重と、被測定者の立位における足の荷重とを測定可能な荷重測定手段と、被測定者の座位における足の内側の側部の画像と、被測定者の立位における足の内側の側部の画像とを取得する撮像手段と、撮像手段によって得られる座位及び立位における足の内側の側部の画像から被測定者の足の舟状骨鉛直変化量Aと、被測定者における座位の荷重と立位の荷重との荷重変化量Bとを演算する演算手段と、を備え、さらに、演算手段は、B/Aの値をアーチ剛性として演算しかつこのアーチ剛性の値に基づいて、被測定者の足の着地衝撃度合いを評価することを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、撮像手段によって取得された足の画像に基づき、演算手段によって、舟状骨鉛直変化量Aと、荷重変化量Bとを演算し、B/A(アーチ剛性)の値によって、足の着地衝撃度合いを評価することができる。このように、本発明では、容易に測定できる評価指標を新たに採用することにより、簡易かつ容易に被測定者の足の動的特性を評価することができるようになる。
【0012】
また、本発明に係る足の動的特性の評価システムは、被測定者の座位における後方からの足の踵部の画像と、被測定者の立位における後方からの足の踵部の画像とを取得する撮像手段と、撮像手段によって得られる座位及び立位における後方からの足の踵部の画像から、被測定者の足の踵部角度変化量を演算する演算手段と、を備え、さらに、演算手段は、被測定者の足の踵部角度変化量に基づいて、被測定者の足の踵部外反角度合いを評価することを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、撮像手段によって取得された足の画像に基づき、演算手段によって、踵部角度変化量を求めることで、被測定者の足の踵部外反角度合いを評価することができる。このように、本発明では、容易に測定できる評価指標を新たに採用することにより、簡易かつ容易に被測定者の足の動的特性を評価することができるようになる。
【0014】
また、本発明に係る足の動的特性の評価システムは、被測定者の座位における足の内側の側部の画像と、被測定者の立位における足の内側の側部の画像とを取得する撮像手段と、撮像手段によって得られる座位及び立位における足の内側の側部の画像から、被測定者の足の舟状骨鉛直変化量を演算する演算手段と、を備え、さらに、演算手段は、座位における足の舟状骨鉛直高さに対する被測定者の足の舟状骨鉛直変化量の比を演算し、この比に基づいて、被測定者の足の下腿内旋角度合いを評価することを特徴とする。
【0015】
かかる構成によれば、撮像手段によって取得された足の画像に基づき、演算手段によって、舟状骨鉛直変化量、及び、座位における足の舟状骨鉛直高さに対する被測定者の足の舟状骨鉛直変化量の比を求めることで、被測定者の足の下腿内旋角度合いを評価することができる。このように、本発明では、容易に測定できる評価指標を新たに採用することにより、簡易かつ容易に被測定者の足の動的特性を評価することができるようになる。
【0016】
また、本発明に係る足の動的特性の評価方法は、被測定者の座位における足の荷重と、被測定者の立位における足の荷重とを荷重測定手段によって測定し、被測定者の座位における足の内側の側部の画像と、被測定者の立位における足の内側の側部の画像とを撮像手段によって取得し、撮像手段によって得られる座位及び立位における足の内側の側部の画像から被測定者の足の舟状骨鉛直変化量Aと、被測定者における座位の荷重と立位の荷重との荷重変化量Bとを演算手段によって演算し、さらに、演算手段により、B/Aの値を演算しかつこのB/Aの値に基づいて、被測定者の足の着地衝撃度合いを評価することを特徴とする。
【0017】
かかる方法によれば、撮像手段によって取得された足の画像を演算手段による画像処理によって、舟状骨鉛直変化量Aと、荷重変化量Bとを演算し、B/A(アーチ剛性)の値によって、足の着地衝撃度合いを評価することができる。このように、本発明では、容易に測定できる評価指標を新たに採用することにより、簡易かつ容易に被測定者の足の動的特性を評価することができるようになる。
【0018】
また、本発明に係る足の動的特性の評価方法は、被測定者の座位における後方からの足の踵部の画像と、被測定者の立位における後方からの足の踵部の画像とを撮像手段によって取得し、撮像手段によって得られる座位及び立位における後方からの足の踵部の画像から、被測定者の足の踵部角度変化量を演算手段によって演算し、さらに、演算手段により、被測定者の足の踵部角度変化量に基づいて、被測定者の足の踵部外反角度合いを評価することを特徴とする。
【0019】
かかる方法によれば、撮像手段によって取得された足の画像に基づき、演算手段によって、踵部角度変化量を求めることで、被測定者の足の踵部外反角度合いを評価することができる。このように、本発明では、容易に測定できる評価指標を新たに採用することにより、簡易かつ容易に被測定者の足の動的特性を評価することができるようになる。
【0020】
また、本発明に係る足の動的特性の評価方法は、被測定者の座位における足の内側の側部の画像と、被測定者の立位における足の内側の側部の画像とを撮像手段によって取得し、撮像手段によって得られる座位及び立位における足の内側の側部の画像から、被測定者の足の舟状骨鉛直変化量を演算手段によって演算し、演算手段により、座位における足の舟状骨鉛直高さに対する被測定者の足の舟状骨鉛直変化量の比を演算し、この比に基づいて、被測定者の足の下腿内旋角度合いを評価することを特徴とする。
【0021】
かかる方法によれば、撮像手段によって取得された足の画像に基づき、演算手段によって、舟状骨鉛直変化量、及び、座位における足の舟状骨鉛直高さに対する被測定者の足の舟状骨鉛直変化量の比を求めることで、被測定者の足の下腿内旋角度合いを評価することができる。このように、本発明では、容易に測定できる評価指標を新たに採用することにより、簡易かつ容易に被測定者の足の動的特性を評価することができるようになる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、簡易かつ容易に足の動的特性を評価することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る足の動的特性の評価システムを概略的に示すブロック図である。
【図2】撮像手段による足の撮影の態様を示す概略図である。
【図3】足の内側の側部の画像処理を示す図である。
【図4】後方からの足の踵部の画像処理を示す図である。
【図5】本発明の効果を確認するための図である。
【図6】本発明の効果を確認するための図である。
【図7】本発明の効果を確認するための図である。
【図8】本発明の妥当性を確認するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図1〜図4は、本発明に係る足の動的特性の評価システム及び評価方法(以下、それぞれを単に「評価システム」、「評価方法」という)の一実施形態を示す。
【0025】
図1に示すように、評価システム1は、足の所定の画像を撮像するための撮像装置(撮像手段)2と、撮像装置2によって撮像された画像データを取得するとともに、所定の画像処理等の演算を行う演算装置(演算手段)3と、演算装置3に所定のデータを入力可能な入力装置4と、演算装置3による演算、入力装置4による入力の際に、所定のデータを表示可能な表示装置5と、被測定者の足に作用する荷重を測定するための荷重測定装置(荷重測定手段)6とを備える。
【0026】
撮像装置2としては、例えば、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の機器が採用される。撮像装置2によって撮像された画像データは、演算装置3に送信され、又は読み取られる。撮像装置2は、図2に示すように、側方からの足の内側の側面の画像(図2において符号Yの位置から撮像した画像)と、後方からの足の踵部の画像(図2において符号Xの位置から撮像した画像)とを撮影するためのものである。この画像データは、撮像装置2のメモリ等の記憶媒体に記憶される。
【0027】
演算装置3としては、例えば、パーソナルコンピュータ等の機器が採用される。この演算装置3は、所定の演算を行う演算部11と、所定のデータを記憶する記憶部12と、外部の記憶媒体からのデータを読み取り可能な読取部13とを備える。
【0028】
演算部11(CPU)は、記憶部12に記憶されているデータ及びプログラムを用いて足の動的特性を演算及び評価することができる。
【0029】
記憶部12は、所定のプログラム、データを記憶するためのものである。記憶部12には、RAM、ハードディスクその他の種々の記憶機能を有する部品が含まれる。
【0030】
読取部13は、例えば、撮像装置2に対して有線又は無線によって接続され、撮像装置2に記憶されている画像データを読み取ることができる。また、読取部13は、撮像装置2のメモリを取り込んでそのデータを読み取ることも可能である。
【0031】
入力装置4としては、例えば、キーボード、マウス等の機器が採用される。この入力装置4は、演算装置3に電気的に接続されており、演算装置3による画像処理の際に、所定の入力操作を行うことができる。
【0032】
表示装置5としては、例えば、液晶ディスプレイその他の種々のディスプレイが採用される。この表示装置5は、演算装置3に電気的に接続されており、この演算装置3を介して画像データや種々のプログラムによる表示を行うものである。
【0033】
荷重測定装置6は、例えばデジタル又はアナログ表示式の体重計が採用される。この荷重測定装置6は、被測定者の座位及び立位において足に作用する荷重を測定することができる。
【0034】
以上の構成による評価システム1は、撮像装置2によって取得された被測定者の足の画像データに対して、所定の処理(画像処理)を行うことによって、被測定者の足の動的特性を演算し、その特性を評価することができる。
【0035】
以下、評価システム1による足の動的特性の評価方法について説明する。
【0036】
まず、被測定者の足を撮像装置2によって撮影するにあたって、あらかじめ踵部の任意の2点(例えば足の内側の1点と足の外側の1点)にマークを付けておいてから、撮影する。具体的には、撮像装置2によって、被測定者がいすに座った座位の状態における足の状態と、被測定者が座位から立ち上がった立位の状態における足の状態とが撮影される。
【0037】
より具体的には、撮像装置2によって、座位の状態における足の内側の側部の状態と、後方からの踵部の状態とが撮影される。その後、被測定者が座位の状態から立ち上がったときの立位の状態における足の内側の側部の状態と、後方からの踵部の状態とが撮影される。
【0038】
この撮影の際に、座位の状態において足に作用する荷重Wbと、立位の状態において足に作用する荷重Wcとが荷重測定装置6によって測定され、そのデータが記録される。
【0039】
このような撮影の後に、撮像装置2に記録される画像データが、演算装置3の読取部13によって読み取られる。そして、読み取られた画像データが記憶部12に記憶される。
【0040】
演算装置3の演算部11は、記憶部12から所定のプログラムとともに、前記画像データを読み取るとともに、画像データを表示装置5に表示させる。
【0041】
図3、図4は、表示装置5に表示される画像データの例を示す。図3に示すように、表示装置5には、まず、座位の状態の足の内側の側部の画像(左側)と、立位の状態の足の側部の画像(右側)とが左右に並んだ状態で表示される。
【0042】
この状態において、オペレータによって所定の画像処理が行われる。この画像処理は、入力装置4によって表示装置5に表示される。このとき、オペレータは、入力装置4を介して、被測定者の座位における足の舟状骨鉛直高さhbを測定する。さらに、オペレータは、入力装置4を介して、立位における舟状骨鉛直高さhcを測定する。これらの測定は、表示装置5に表示されながらビジュアル的に行われることが望ましい。
【0043】
図3に示すように、足の舟状骨鉛直高さhb、hcを測定するに際し、予め被測定者の足の舟状骨最突出部(又は舟状骨粗面部)の位置にマークを付しておき、表示装置5に表示されたそれぞれの画像において、入力装置4を介して、このマークを通る水平線を引く。さらに、足の裏と床面の接触位置を通る水平線を引き、この水平線の間隔を測定することによって、舟状骨鉛直高さhb、hcが求められる。
【0044】
このように、座位における足の舟状骨鉛直高さhbと、立位における足の舟状骨鉛直高さを比較すると、座位においては、足に被測定者の体重が作用していないため、座位における舟状骨鉛直高さhbは、立位における舟状骨鉛直高さhcよりも大きい。
【0045】
演算装置3では、座位における舟状骨鉛直高さhbと立位における舟状骨鉛直高さhcとの差(以下「舟状骨鉛直変化量」という)Aが演算により求められる。さらに、座位における荷重Wbと立位における荷重Wcとの差(以下「荷重変化量」という)Bが演算により求められる。
【0046】
そして、舟状骨鉛直変化量Aに対する荷重変化量Bの比B/A、すなわち、(Wb−Wc)/(hb−hc)が演算装置3による演算によって求められる。以下、この比を「アーチ剛性」という。演算装置3は、このアーチ剛性を求めることによって、被測定者の足の「着地衝撃度合い」を評価することができる。
【0047】
さらに、座位における舟状骨鉛直高さhbに対する、舟状骨鉛直変化量の比(hb−hc)/hbが演算装置3の演算によって求められる。演算装置3は、この比を求めることによって、被測定者の足の「下腿内旋角度合い」を評価することができる。
【0048】
さらに、図4に示すように、表示装置5には、演算装置3を介して、後方から撮影された足の踵部の画像データが表示される。より具体的には、座位における踵部の画像(左側)と、立位における画像(右側)とが左右に並んだ状態で表示される。
【0049】
この状態において、オペレータは、入力装置4を介して、踵部の幅方向の中央付近に垂線を引くとともに、あらかじめ踵部に付したマーク2点を結ぶ直線を引く。座位および立位のそれぞれにおいて、この直線と垂線とのなす角度を算出し、座位と立位との角度の差(以下「踵部角度変化量」という)αを演算することができる。演算装置3は、踵部角度変化量αを求めることによって、被測定者の「踵部外反角度合い」を評価することができる。なお、この踵部角度変化量αに関しては、足の踵部が、図4に示すように外反位に傾斜したときに正の値がとられ、足の踵部が足の内反位に傾斜したときに、負の値がとられる(正及び負の値については後述の図6参照)。
【0050】
演算装置3は、アーチ剛性、踵部角度変化量、座位における舟状骨鉛直高さhbに対する、舟状骨鉛直変化量の比、を求めることで、被測定者の足の動的特性を総合的に評価することができる。演算装置3は、その評価に基づき、例えば、最適なシューズの候補を表示装置5に表示させることができる。
【0051】
このように、本発明では、大型の器具・装置を必要とすることがなく、足の動的特性を評価するための指標であるアーチ剛性等についても、簡単な処理で求めることができる。したがって、本発明に係る評価システム1及び評価方法によって、簡易かつ容易に足の動的特性を評価することが可能になる。
【0052】
図5〜図7は、本発明の効果を確認するために行われた試験の結果を示す。この試験は、本発明に係る評価システム1による評価方法を複数の被験者に実施して、アーチ剛性と着地衝撃度合いとの関係(図5)、踵部傾斜角度と走行時の最大外反角度との関係(図6)、及び、座位における舟状骨鉛直高さhbに対する舟状骨鉛直変化量の比と下腿内旋角度合いとの関係(図7参照)を確認したものである。
【0053】
図5(a)は、本発明のアーチ剛性と着地衝撃度合いとの関係を示すグラフである。この図5(a)では、横軸にアーチ剛性、縦軸に着地衝撃力がとられている。なお、図中に示す菱形の各点は、各被験者(合計8人)の試験結果を示している(以下、図6、図7において同じ)。この図5(a)に示すように、試験結果により、アーチ剛性と着地衝撃力との間に相関関係(比例関係)を見出すことができた。
【0054】
図5(b)は、従来使用されてきた指標であるアーチ高率と着地衝撃力との関係を示す(アーチ高率について特開2004−305374号公報参照)。この図5(b)では、横軸にアーチ高率、縦軸に着地衝撃力がとられている。この図5(b)に示すように、アーチ高率と着地衝撃力とは比例関係になることが判る。
【0055】
図5(a)と、図5(b)とを比較すると、両方ともほぼ同様な傾向を示している。このことから、本発明によるアーチ剛性は、着地衝撃度合いを評価するのに適していると考えられる。
【0056】
なお、図5(a)に示すアーチ剛性と着地衝撃力との関係から、その相関係数R1を求めたところ、R1=0.82であった。一方、図5(b)に示すアーチ高率と着地衝撃力との関係から、その相関係数R2を求めたところ、R2=0.65であった。このように、本発明に係るアーチ剛性と着地衝撃力との関係は、従来よりも強い相関関係を示し、このことからもアーチ剛性が着地衝撃度合いを評価するのに適していると考えられる。
【0057】
図6(a)は、本発明の踵部角度変化量と走行時最大外反角度との関係を示すグラフである。この図6(a)では、横軸に踵部角度変化量、縦軸に走行時最大外反角度(踵部外反角度合い)がとられている。図6(a)に示すように、試験結果により、踵部角度変化量と走行時最大外反角度との間に相関関係(比例関係)を見出すことができた。
【0058】
図6(b)は、従来使用されてきた指標である踵の傾斜角度と走行時最大外反角度との関係を示す。従来における踵の傾斜角度の測定には、例えば、比較的大型の3次元足型測定器が使用される。ここでは、3次元足型測定器として、株式会社アイウェアラボラトリー製の「INFOOT」(登録商標)を使用した。図6(b)では、横軸に踵の傾斜角度、縦軸に走行時最大外反角度(踵部外反角度合い)がとられている。図6(b)に示すように、従来の踵の傾斜角度と走行時最大外反角度比例関係になることが判る。
【0059】
図6(a)と図6(b)とを比較すると、両方ともほぼ同様な傾向を示している。このことから、本発明による踵部角度変化量は、踵部外反角度合いを評価するのに適していると考えられる。
【0060】
なお、図6(a)に示す踵部角度変化量と踵部外反角度合いとの関係から、その相関係数R3を求めたところ、R3=0.82であった。一方、図6(b)に示す踵の傾斜角度と踵部外反角度合いとの関係から、その相関係数R4を求めたところ、R4=0.58であった。このように、本発明に係る踵部角度変化量と踵部外反角度合いとの関係は、従来よりも強い相関関係を示し、このことからも踵部角度変化量が踵部外反角度合いを評価するのに適していると考えられる。
【0061】
図7は、本願発明における座位の舟状骨鉛直高さに対する舟状骨鉛直変化量の比(鉛直方向落ち込み量)と、走行時最大内旋角度(下腿内旋角度合い)との関係を示すグラフである。図7では、横軸に前記比がとられ、縦軸に走行時最大内旋角度(下腿内旋角度合い)がとられている。この図7に示すように、試験結果により、前記比と下腿内旋角度合いとの間に相関関係(比例関係)を見出すことができた。
【0062】
なお、この図7に示す前記比と下腿内旋角度合いとの関係から、その相関係数R5を求めたところ、R5=0.85であった。このように、前記比と下腿内旋角度合いとの関係には非常に強い相関関係があり、この点から前記比が下腿内旋角度合いを評価するのに適していると考えられる。
【0063】
図8は、本発明に係る評価方法の妥当性について更に検討を行った結果を示す。この検討では、エクセル統計2000(株式会社社会情報サービス製)を用いて重回帰分析を行い、従来の方法と本発明の評価方法について、P値によってその相関関係の判定を行った。この検討の結果、本発明による評価方法の評価指標(アーチ剛性等)に関して、従来の方法よりも本発明の方が、相関関係が強いということが判った。
【符号の説明】
【0064】
1…足の動的特性の評価システム、2…撮像装置(撮像手段)、3…演算装置(演算手段)、4…入力装置(入力手段)、5…表示装置(表示手段)、6…荷重測定装置(荷重測定手段)、11…演算部、12…記憶部、13…読取部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の座位における足の荷重と、被測定者の立位における足の荷重とを測定可能な荷重測定手段と、
被測定者の座位における足の内側の側部の画像と、被測定者の立位における足の内側の側部の画像とを取得する撮像手段と、
撮像手段によって得られる座位及び立位における足の内側の側部の画像から被測定者の足の舟状骨鉛直変化量Aと、被測定者における座位の荷重と立位の荷重との荷重変化量Bとを演算する演算手段と、を備え、
さらに、演算手段は、B/Aの値をアーチ剛性として演算しかつこのアーチ剛性の値に基づいて、被測定者の足の着地衝撃度合いを評価することを特徴とする足の動的特性を評価するシステム。
【請求項2】
被測定者の座位における後方からの足の踵部の画像と、被測定者の立位における後方からの足の踵部の画像とを取得する撮像手段と、
撮像手段によって得られる座位及び立位における後方からの足の踵部の画像から、被測定者の足の踵部角度変化量を演算する演算手段と、を備え、
さらに、演算手段は、被測定者の足の踵部角度変化量に基づいて、被測定者の足の踵部外反角度合いを評価することを特徴とする足の動的特性を評価するシステム。
【請求項3】
被測定者の座位における足の内側の側部の画像と、被測定者の立位における足の内側の側部の画像とを取得する撮像手段と、
撮像手段によって得られる座位及び立位における足の内側の側部の画像から、被測定者の足の舟状骨鉛直変化量を演算する演算手段と、を備え、
さらに、演算手段は、座位における足の舟状骨鉛直高さに対する被測定者の足の舟状骨鉛直変化量の比を演算し、この比に基づいて、被測定者の足の下腿内旋角度合いを評価することを特徴とする足の動的特性を評価するシステム。
【請求項4】
被測定者の座位における足の荷重と、被測定者の立位における足の荷重とを荷重測定手段によって測定し、
被測定者の座位における足の内側の側部の画像と、被測定者の立位における足の内側の側部の画像とを撮像手段によって取得し、
撮像手段によって得られる座位及び立位における足の内側の側部の画像から被測定者の足の舟状骨鉛直変化量Aと、被測定者における座位の荷重と立位の荷重との荷重変化量Bとを演算手段によって演算し、
さらに、演算手段により、B/Aの値をアーチ剛性として演算しかつこのアーチ剛性の値に基づいて、被測定者の足の着地衝撃度合いを評価することを特徴とする足の動的特性を評価する方法。
【請求項5】
被測定者の座位における後方からの足の踵部の画像と、被測定者の立位における後方からの足の踵部の画像とを撮像手段によって取得し、
撮像手段によって得られる座位及び立位における後方からの足の踵部の画像から、被測定者の足の踵部角度変化量を演算手段によって演算し、
さらに、演算手段により、被測定者の足の踵部角度変化量に基づいて、被測定者の足の踵部外反角度合いを評価することを特徴とする足の動的特性を評価する方法。
【請求項6】
被測定者の座位における足の内側の側部の画像と、被測定者の立位における足の内側の側部の画像とを撮像手段によって取得し、
撮像手段によって得られる座位及び立位における足の内側の側部の画像から、被測定者の足の舟状骨鉛直変化量を演算手段によって演算し、
演算手段により、座位における足の舟状骨鉛直高さに対する被測定者の足の舟状骨鉛直変化量の比を演算し、この比に基づいて、被測定者の足の下腿内旋角度合いを評価することを特徴とする足の動的特性を評価する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−213422(P2012−213422A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78983(P2011−78983)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000310)株式会社アシックス (57)
【Fターム(参考)】