説明

足囲方向に調節可能なひも付きの靴の構成

特に足のローワー面のへりに沿って、靴の有効足囲を調節するため改善された手段を提供する、ひも付きの靴の構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴の有効足囲方向のフィット性を、足のボール部、ウエスト部、および甲部のうちの少なくとも1つに隣接したアッパー面およびローワー面の部分の両方において、足にフィットするように調節するために改善された手段を提供する、靴の構成からなる。
【背景技術】
【0002】
快適な履き心地を目的として、靴が、着用者の足に快適に密接したフィット性を提供するために、適切な長さであるだけでなく、適切な足囲であるべきことは周知である。これは従来、特別仕立ての靴、および、複数のいわゆるウィズ(すなわち足囲)で用意されている工場製の靴で試されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、どちらの試みも、体肢における日々の体液の標準的な蓄積により最大で2ウィズ分まで変化する、通常の1日のうちの足囲変化にぴったり合わせられる、足のローワー面に沿った厳密な足囲調節をもたらさなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、安全に横方向に靴の中心に置いて足を保持すると同時に上記のような調節を、当該全ての調節において提供する。これは、運動競技用および他の活動用の履物において長い間特に必要とされてきた機能である。
【0005】
本発明はさらに、従来方式のシングルウィズの靴を扱う店舗には低在庫をもたらすが、多くの着用者に厳密にフィットするために、1日のうちに変化する典型的な足囲範囲を含め、複合的な一連の足囲範囲にわたって、これらの靴を調整する手段もともに提供する。
【0006】
関連する先行技術に関しては、前述の基準を十分に満たすものがない。当該先行技術は、以下の米国特許番号:第2,691,227号、第3,404,468号、第3,442,031号、第3,541,708号、第3,618,235号、第3,686,777号、第4,279,083号、第4,559,811号、第4,858,341号、第4,967,492,4,969,277号、第5,060,402号、第5,123,181号、第5,163,237号、第5,203,096号、第5,241,762号、第5,325,614号、第5,584,970号、第5,404,658号、第6,725,575号、および第6,883,254号、を含むが、これらに限られるものではない。上記における欠点、および前述の靴の足囲方向調節の問題に関連する他の先行技術が、本発明の改善された靴の足囲調節手段の必要を生じさせた。
【0007】
本発明は、好ましくは比較的弾力性はないが柔軟な織布が材料である、ルーズライニング手段を有する靴の構成を対象とし、前記構成は、(a)たとえば靴ひも手段などによって、靴の足囲を手動で調節するための手段と、(b)靴の有効足囲を調節するために、前記ひも手段によって手動で足囲調節可能な、遊動、好ましくは弾力性のない織布のライニング、とを組み合わせて含み、これにより、靴のアッパー面およびローワー面の両方において、特に前記ひも手段に隣接した部分において、改善された靴のフィット性を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の原理を具象化する、靴20の縦中心線に沿った側面断面である。
【図2】図2は、図1の靴20の、線2−2および線3−3に沿った横断面を示し、より大きな足囲に調節された断面を示す。
【図3】図3は、図1の靴20の、線2−2および線3−3に沿った横断面を示し、より小さな足囲への調節を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の定義は、本開示において用いられる表現および語句に関連して用いられる:
“直接靴底成形”−ゴムまたは他の重合体の単体靴底が、同じプロセス内で、成形され、かつ、靴のアッパー部品に取り付けられるプロセス。
【0010】
“有効足囲”−足に隣接した靴の部品の横断内部円周方向の寸法。
【0011】
“中底”−靴底部品の上方に位置する靴の内部底部品。
【0012】
“ルーズライニング”−隣接して位置する他の靴の部品に連続的に接着されていない靴の裏張り部品。
【0013】
“ローワー面”−足の下位部または足の底部から約1−3cm上方へ伸長する靴の部分。
【0014】
“トップライン”−靴のアッパー部品における足を入れる開口部の最上端部。
【0015】
“単体靴底”−靴の典型的な成形ゴムまたは類似した重合体の単独最底部品。
【0016】
“アッパー面”−足または靴のローワー面部分の上方に位置する面の部分。
【0017】
図面を参照すると、本発明の原理を具象化する構成における、典型的ないわゆる運動靴の型が示されており、同様に調節される他の靴のデザインにも適用可能である。
【0018】
本発明において、全ての足囲方向の調節は、好ましくは、少なくとも靴の4つの続いて隣接するウィズ(または‘足囲’)に及び、類似の靴型の従来方式のひも調節にあるような、つま革部品単体によるのではなく、アッパー部品の外部つま革部品のトップラインに取り付けられている、比較的弾力性のない柔軟な、好ましくは織布のルーズライニング部品の手動によるひも調節により提供される。
【0019】
より具体的には、本発明は、手で操作可能で足囲方向に調節可能であり、(i)外部部品および内部要素を有する靴アッパー部品、(ii)靴底および中底を有する靴底部品、および(iii)靴の内部要素の有効足囲方向寸法を調節するための手で操作可能な手段、を含む靴の構成を対象とし、アッパー部品の前記内部要素は、アッパー部品のひもの付いた部分に内部で隣接して位置するルーズライニング手段を含む。ルーズライニングは、縫い合わせ手段によって、靴20の外部つま革のトップラインおよび固定した任意の類似布の中底の両方に、靴を設計する特定の足囲方向の調節範囲の最小足囲を有する足型の底の外周線に対応する線に沿って、取り付けられる。これにより、靴20のアッパーおよびローワーの両方のひもの付いた面の部分が足に密接する快適な足囲方向のフィット性がもたらされる。
【0020】
図1は、つま革24を含むアッパー部品22、および縫い目30によって、つま革24のトップライン28に取り付けられている比較的弾力性のない柔軟な遊動布ライニング26を含む、靴20を示す。アッパー部品22はまた、連結した舌革および先端部部品32を含み、前記アッパー部品22は、突き合わせ縫い46によってつま革24の下方外周に取り付けられている固定中底42を有する。つま革24および固定中底42の両方は、従来方式の直接成形プロセスによって、成形ゴムまたは類似した重合体の単体靴底40に取り付けられている。図1はまた、従来方式の、つま革24をルーズライニング26に取り付けるアイレット36を通るひも付きの靴ひも34を示す。靴ひも34の最後尾の自由端は、普通のちょう結び(図示せず)、または同等手段によって調節可能に取り付けられる。図1はまた、つま革24の下にあるライニング26に任意に縫い合わされた、つま革24上の飾り縫い38を示す。
【0021】
図2および図3は、線2−2および線3−3に沿った靴20の横断立面図を示す。図2−2は、より大きな足囲に調節された靴20を示し、図3−3は、靴20のより小さな足囲への調節を示す。両図は、アッパー部品22、つま革舌革および先端部32、および、遊動つま革ライニング26を含む、上記において開示された、靴の部品を示し、図が示すように、任意で一体型であり、縫い目44によって固定中底42に取り付けられている。固定中底42は、上記ルーズライニング26の材料と同類または類似の材料であることが好ましく、縫い目44は、靴2の特定の足囲調節範囲に適合する最小足囲の足型の下方周辺端部(すなわち“足型の底”)に対応する固定中底42上の線に沿って位置する。固定中底42は、靴20が設計された特定の足囲調節範囲の最大足囲の足型の底の外周に沿ったすそ幅を有する。固定中底42は、上記ルーズライニング26を形成するのに用いられる材料と同類または類似の弾力性のない柔軟な織布であることが好ましく、突き合わせ縫い手段46によって、従来より、つま革24および先端部32の下方外周に取り付けられており、直接靴底成形手段によって単体靴底40に取り付けられている。
【0022】
注目すべきことは、上記において開示された好ましいひも手段と同等である手で操作可能な靴の足囲調節手段は、他の従来方式の手段、たとえば、足囲に調節可能なストラップ、バックル、フックおよびループ締結、および同様の手段などである。
【0023】
本発明の靴の構成は、設計された足囲範囲内で際限なく変化する、手で操作可能な靴の足囲調節を提供することを目的とするものである。一般的に、これにより、各丈寸法の着用者の多くに適切な足囲方向フィット性がもたらされる。
【0024】
上記靴は、任意に必要に応じて複数の別の足囲範囲を補うように設計されてもよい。たとえば、ある靴は、B−C−D−Eの男性用の足囲範囲のために設計されてもよいし、別の類似のデザインは、D、E、EE、およびEEEのように一定範囲のより大きな足囲用に設計されてもよい。特定の足囲範囲は、靴の製造業者が自由に選択できる。当該特定の足囲範囲は、適用できる寸法範囲および特定の顧客のカテゴリ、すなわち、男性、女性、または子供、に応じて変わり得る。
【0025】
材料および供給源に関しては、アッパーは、Prime Tanning, Inc.,of Berwick, MEなどからの革を含んでもよい。人工革、他の布地および材料は、Geo. C, Moore, Inc., of Westerly, RIなどによって供給され得る。靴ひもは、Textile Tapes, Inc., of Gonic,NHから供給される。アイレット、座金、および類似の締め具は、Trendware/Goldberg Footwear Components, Inc., of Salem, MA.によって供給される。
【0026】
本発明は、図面および開示においてこのようにして示された上記好ましいひも手段と同等であると見なされた、他の足囲調節手段を含む、また、調節可能な、ストラップ、フックおよびループ締結、バックル、および同様の手段を含む、幅広い靴のデザインに、直ちに適用可能であると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で操作可能な足囲方向に調節可能な靴の構成であって、
(i)少なくとも1つの外部要素および少なくとも1つの内部要素を有するアッパー部品と、
前記内部要素は、靴のボール部、ウエスト部、および甲部のうちの少なくとも1つの周囲に位置しており、
(ii)靴底および固定した中底を含む底部品と、
(iii)靴の有効足囲方向寸法を調整するための手動の手段と、
を含み、
(a)上記内部要素はルーズライニング手段を含み、
(b)上記ルーズライニング手段は、上記固定した中底に、靴が設計されるための約最小足囲の足型の略外周に取り付けられ、上記ルーズライニング手段は、着用者の足に、上記靴のアッパー面およびローワー面の部分の両方に沿って、上記靴の快適に密接したフィット性を提供することを特徴とする靴の構成。
【請求項2】
上記調節はひも手段によるものである、請求項1に記載の靴の構成。
【請求項3】
上記靴は、着用者の好ましい履き心地のレベルに調節可能である、請求項1に記載の靴の構成。
【請求項4】
上記靴の足囲は、靴の設計された調節範囲内で無限に付加的に調節可能である、請求項1に記載の靴の構成。
【請求項5】
上記靴に置かれる足は、該靴の全ての足囲調節において、該靴の中心にあり、横方向に安全に保持される、請求項1に記載の靴の構成。
【請求項6】
手で操作可能な足囲方向に調節可能なひも付きの靴の構成であって、
上記靴が、その中の足のローワー面のへりに沿ってフィットするように、該靴の有効足囲の足囲方向の調節を提供するために、靴ひも、バックル、ストラップ、および、フックおよびループ締結、からなる群から選択される靴調節手段を引き締めるまたは緩めることにより調節可能な、ルーズライニング手段を含むことを特徴とする靴の構成。
【請求項7】
手で操作可能な足囲方向に調節可能な靴の構成であって、
内部ルーズライニング手段および底部品を含む、外部および内部の要素のアッパー部品を含み、上記靴のアッパー面およびローワー面の部分の両方において、着用者の足および好みに上記靴の快適に密接したまたは接触するフィット性を提供するように配置された、靴の有効足囲方向寸法を調節するための手動の手段も含むことを特徴とする靴の構成。
【請求項8】
上記調節は、ひも手段によってなされる、請求項7に記載の靴の構成。
【請求項9】
上記調節は、バックル、ストラップ、および、フックおよびループ締結からなる群から選択される手段によってなされる、請求項7に記載の靴の構成。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−510300(P2012−510300A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524984(P2011−524984)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/004822
【国際公開番号】WO2010/024876
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(500256761)
【Fターム(参考)】