説明

身体血行促進具

【課題】本発明は、第2血行促進部材が保持される上層を、第1血行促進部材が保持される下層から容易に剥がすことができる身体血行促進具の提供を目的とする。
【解決手段】下層3と、上層2とを備える。下層2は、その下面に、身体の一部に引き剥がし可能に接着し得る第1粘着層32を備える。又、この第1粘着層32に、磁石が接着される。上層3は、発熱剤21を保持した上層本体30と、上層本体30を下層2の上面に引き剥がし可能に接着した第2粘着層22と、発熱剤21の発熱に伴い加熱されると、その端縁部が上方側に反り返るように変形し得る熱変形部材6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の一部に接着され血行促進部材によって血行を促進する身体血行促進具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
身体の一部に接着され血行促進部材によって血行を促進する身体血行促進具は、従来から知られている。例えば血行促進部材として発熱剤を用いた発熱体貼着具、或いは、血行促進部材として磁石を用いた磁石貼着具等が広く知られている。又、例えば特許文献1に、貼付用温灸磁気治療具が提案されている。このものは、貼付用シールの上に、第1血行促進部材としての発熱剤(発熱体)をつけ、その発熱剤の中央に、第2血行促進部材としての磁石を組み入れたものである。このように構成することにより、身体の一部に貼れば、発熱剤による発熱と磁石の磁力との両方で身体の血行を促進することができ、発熱剤又は磁石の一方の場合に較べて、より一層、血行の促進を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−175089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように身体の一部に貼り付けて使用するような形態では、発熱剤の発熱により血行促進効果を得られる時間は、磁石によるそれよりも通常短く、発熱剤の上記効果が終わった後においても磁石は使用できる。しかしながら、上記特許文献1に記載の貼付用温灸磁気治療具においては、発熱剤の上記効果が終わった後に、磁石だけを使用するような手段がなされていない。従って、上記のものでは、発熱剤の上記効果が終わった後は、全体を身体から剥がして廃棄等するか、或いは、効果のなくなった発熱剤をそのまま身体に貼っておくことになる。全体を廃棄すれば、使用可能な磁石も同時に短時間で取り外して廃棄することになってしまい、不経済なものになってしまう。その一方、ほとんど効果のなくなった発熱剤をそのまま身体に貼っておいたのでは、嵩張って邪魔になり、使用し難い場合も多い。
【0005】
本発明は、第2血行促進部材を保持した上層を、第1血行促進部材を保持した下層から容易に剥がすことができる身体血行促進具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、身体の一部に接着され血行促進部材によって血行を促進できるようにした身体血行促進具であって、第1血行促進部材を保持する下層と、第2血行促進部材を保持する上層とを備え、前記下層は、その下面に、前記身体の一部に引き剥がし可能に接着し得る第1粘着層を備え、前記第2血行促進部材は、発熱剤から構成され、前記上層は、前記発熱剤を保持した上層本体と、その上層本体を前記下層の上面に引き剥がし可能に接着した第2粘着層と、前記上層本体の下方側に配設された熱変形部材とを備え、前記熱変形部材は、前記発熱剤の発熱に伴い加熱されると、その端縁部が上方側に反り返るように変形し得るものから構成されていることを特徴とする身体血行促進具を提供する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に係る前記熱変形部材の端縁部が、前記上層本体の端縁部に配設されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に係る前記熱変形部材の下面における少なくとも端縁部には、第2粘着層が形成されていない非粘着領域が設けられていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に係る前記第1血行促進部材が、磁石から構成されているとともに、その磁石は、前記第1粘着層が前記身体の一部に接着される際に前記第1粘着層に接着可能とされ、前記第1粘着層には、その第1粘着層を剥離可能に覆った剥離紙が設けられ、前記剥離紙は、第1隣接辺を有する第1剥離紙片と、その第1隣接辺と隣接する第2隣接辺を有する第2剥離紙片とを備え、前記第1隣接辺と第2隣接辺とのいずれか一方に、少なくとも1つの凹部が設けられ、前記いずれか他方に、前記凹部を覆い得るように形成された凸部が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に係る前記凹部は、前記第1隣接辺又は第2隣接辺から、前記磁石を配置し得るように切り込まれた切り込み凹部から構成され、前記凸部は、前記第2隣接辺又は第1隣接辺から前記他方側に突出された突片から構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1及び2によれば、第2血行促進部材は、発熱剤から構成され、上層は、発熱剤を保持する上層本体を備えているとともに、上層本体の下方側に配設された熱変形部材を備える。又、熱変形部材は、発熱剤の発熱に伴い加熱されると、その端縁部が上方側に反り返るように変形し得るものから構成される。
【0012】
これにより、発熱剤の発熱に伴って熱変形部材の端縁部が上方側に反り返ると、例えば上層本体の端縁部を上方に押し上げることが可能になり、上層本体の端縁部を上層を下層から引き離すことができる。従って、上層の発熱剤による効果が得られなくなって上層を下層から引き剥がす場合は、その上層本体の端縁部を、熱変形部材の端縁部と共に把持し易くでき、上層の引き剥がし操作を容易なものにできる。
【0013】
又、熱変形部材の端縁部が上方側に反り返る際に、第2粘着層に、下層に対して引き剥がす力をかけることができ、下層に接着した第2粘着層の接着力を弱めることができる。従って、上層を下層から引き剥がしやすいものにでき、例えば身体に接着した状態から上層を引っ張れば、下層を身体に接着した状態を維持させながら上層を下層から引き剥がしすることも可能になる。
【0014】
請求項3によれば、熱変形部材の下面における少なくとも端縁部には、第2粘着層が形成されていない非粘着領域が設けられている。
【0015】
これにより、例えば熱変形部材の下面の端縁部に粘着層を形成した場合に較べ、熱変形部材の端縁部を、より一層、上方側に反り返らせることができる。従って、下層から上層を引き剥がす際には、その反り返った部分を把持して引き剥がし操作をでき、より一層、容易に引き剥がすことができる。又、非粘着領域を把持した際、第2粘着層が手に触れることがなく、操作し易いものにできる。
【0016】
請求項4によれば、剥離紙は、第1隣接辺を有する第1剥離紙片と、その第1隣接辺と隣接する第2隣接辺を有する第2剥離紙片とを備え、第1隣接辺と第2隣接辺とのいずれか一方に、凹部が設けられる。又、いずれか他方に、凹部を覆い得るように形成された凸部が設けられている。
【0017】
これにより、磁石を、第1粘着層に接着させて保持させる場合は、例えば凸部を剥離すれば磁石を配置できる程度に第1粘着層を露出させることもできる。そして、その状態で、その部分に磁石を配置すれば第1粘着層に磁石を接着できる。従って、磁石を第1粘着層に接着させて保持させる際に、手を第1粘着層に触れ難くでき、容易に行なうことができる。
【0018】
請求項5によれば、凹部は、第1隣接辺又は第2隣接辺から、磁石を配置し得るように切り込まれた切り込み凹部から構成され、凸部は、第2隣接辺又は第1隣接辺から他方側に突出された突片から構成されている。
【0019】
これにより、より一層、磁石を第1粘着層に接着させる作業を容易なものにできる。しかも、磁石を、第1粘着層における所定位置に接着でき、例えば切り込み凹部を第1粘着層の中央に設定しておけば、磁石を、第1粘着層の中央に接着できる。従って、磁石を第1粘着層で確実に保持でき、例えば使用中に磁石が外れるおそれの少ないものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態の身体血行促進具の分解斜視図である。
【図2】その身体血行促進具の底面図である。
【図3】上層の底面図である。
【図4】第2剥離紙片の突片を剥離した際の断面説明図である。
【図5】磁石配置部に磁石を配置した状態の断面説明図である。
【図6】本発明の身体血行促進具を身体に接着させた状態の断面図である。
【図7】上層の発熱剤の発熱が終了した際の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態の身体血行促進具の分解斜視図、図2は、その身体血行促進具の底面図、図3は、上層の底面図である。
【0022】
本実施形態の身体血行促進具1は、図1に示すように、上層2と、下層3と、剥離紙4とを備えている。上層2は、上層本体20と、上層本体20を下層3の上面に引き剥がし可能に接着した図3に示す第2粘着層22と、熱変形部材6とを備えている。
【0023】
上層本体20は、この実施形態では、1辺が40mm程度の正方形状のものから構成されており、図4に示すように上壁20aと、下壁20b(図4では、上壁20aの上側に表れている)と、それらの上壁20aと下壁20bと間に保持された第2血行促進部材としての発熱剤21とを備えている。
【0024】
上壁20aと下壁20bとは、上下に重ね合わされるとともに、その間に発熱剤21を配設した状態で、外周縁部が全周にわたって互いに連結されており、下壁20bの下面が上層本体20の下面を構成している。
【0025】
発熱剤21は、この実施形態では、従来から使い捨てカイロ等の発熱剤として用いられているものと同様のもので、酸化作用によって発熱するものから構成されている。より詳しくは、発熱剤21は、鉄粉、反応触媒としての水及び食塩、それを保持する高分子吸収剤、活性炭、バーミキュライト等を含むものから構成されている。
【0026】
そして、図示しないが、身体血行促進具1の全体が合成樹脂製のフィルム包装材で密封包装されており、使用に際してフィルム包装材から身体血行促進具1が取り出されるようになっている。これにより、上層本体20の上壁20aに設けられた通気孔21c(図1に図示)から空気が入り、その空気が発熱剤21に触れて発熱剤21が発熱するようになっている。
【0027】
又、この実施形態では、発熱剤21の量は、設定温度で3時間〜4時間程度、発熱し続けることができるように設定されている。尚、発熱剤21の種類や量は、特に限定されず、適宜変更使用できる。
【0028】
熱変形部材6は、所定の形状を与えた温度に戻すとその与えられた所定の形状に回復する機能を有する形状記憶部材から構成されている。詳しくは、熱変形部材6は、細長板状の形状記憶樹脂片から構成されており、所定の温度、例えば40°C程度になると、両端縁部が上方側に反り返った形状になるように構成されている(図7参照)。
【0029】
そして、この熱変形部材6は、図1、図3に示すように、その長手方向の前端縁部(一端縁部)が上層本体20の前端縁部(一端縁部)に、その後端縁部(他端縁部)が上層本体20の後前端縁部(他端縁部)に夫々配設されているとともに、上層本体20の下面に接着剤等の固定手段によって固定されている。
【0030】
又、このようにして熱変形部材6が上層本体20の下面に配設されることによって、熱変形部材6の下面の全体と、上層本体20の下面の一部とが、下層3の上面と対向する対向面25を構成している。
【0031】
第2粘着層22は、この実施形態では、図3に示すように、上記下壁20bの下面の前後左右の中央部及び熱変形部材6の下面における前後の中央部に配設されており、下壁20bの下面の外周縁部及び熱変形部材6の下面の前後の両端縁部には配設されずに上記対向面25の一部にだけ形成されたものとされている。
【0032】
従って、この実施形態の熱変形部材6の両端縁部の下面には、第2粘着層22が形成された前後中央部の粘着領域23と、第2粘着層22が形成されていない両端縁部の非粘着領域24とが設けられている。
【0033】
又、この実施形態では、第2粘着層22は、下層3に接着した後の下層3からの引き剥がし力が、後述する下層3の第1粘着層32の身体からの引き剥がし力よりも小さくなるように設定されている。
【0034】
この実施形態では、第2粘着層22の下層3からの引き剥がし力(JIS Z0237(2000)に規定される粘着力の試験方法に基づく引き剥がし力)が、0.2ニュートン/25mm〜1.0ニュートン/25mmになるように設定されている。
【0035】
上記引き剥がし力が0.2ニュートン/25mmよりも小さくなると、使用中に下層3から剥がれてしまうおそれが生じる。一方、1.0ニュートン/25mmを越えると下層3から引き剥がし難くなってしまう。
【0036】
尚、第2粘着層22の上記引き剥がし力は、上記設定範囲内に限らず、適宜変更できる。
【0037】
下層3は、図1に示すように下層本体30と、下層本体30の下面に設けられた第1粘着層32とを備えている。下層本体30は、この実施形態では、上記上層本体20と同形状及び同じ大きさの布から構成されている。
【0038】
第1粘着層32は、身体(皮膚)の一部に接着されるとともに、第1血行促進部材としての磁石を接着させて保持する。この実施形態では、上記第2粘着層22を構成した粘着剤と同じ粘着剤から構成され、図4に示すように下層本体30の下面の全体に、第2粘着層22と略同厚さで形成されている。
【0039】
従って、この実施形態では、第1粘着層32の面積は、上記第2粘着層22の面積よりも大きい。
【0040】
又、この実施形態における第1粘着層32は、身体に接着した後の身体からの引き剥がし力(上記JIS Z0237(2000)に基づくもの)が、上記上層の第2粘着層22の引き剥がし力よりも少なくとも0.8ニュートン/25mm、大きくなるように設定されている。
【0041】
尚、第1粘着層32の引き剥がし力は、上記設定のものに限らず、適宜変更できる。ただし、第1粘着層32の引き剥がし力を上記のように設定しておけば、下層3を身体の一部に接着した状態を維持しながら上層2を下層3から容易に引き剥がすことができ、その点で好ましい。
【0042】
そして、この下層3は、上層2の下方側に重ね合わされて積層されるようにして、その上面が上層2の第2粘着層22に接着される。
【0043】
剥離紙4は、第1粘着層を剥離可能に覆っている。この実施形態では、図1、図2に示すように第1隣接辺41aを有する第1剥離紙片41と、その第1隣接辺41aと隣接する第2隣接辺42aを有する第2剥離紙片42とを備えている。
【0044】
第1剥離紙片41の第1隣接辺41aには、第2剥離紙片42と反対側に凹まされるようにして形成された凹部が設けられている。この実施形態では、凹部は、第1隣接辺41aから切り込まれるようにして形成された切り込み凹部43から構成されている。
【0045】
この切り込み凹部43は、磁石5を配置する磁石配置部43aと、第1隣接辺41aと磁石配置部43aとを連通するように形成された幅狭部43bとから構成されている。
【0046】
磁石配置部43aは、内周壁43cによって、磁石5の外周とほぼ同じ形状及び大きさの円形状に区画形成されていることにより磁石5を第1粘着層32に接着し易い形状に形成されている。又、この実施形態では、磁石配置部43aは、その中心が第1粘着層32の中心Oに一致するように形成されている。
【0047】
幅狭部43bは、その幅L1が、磁石配置部43aの幅L2よりも狭くなるように構成されている。
【0048】
一方、第2剥離紙片42の第2隣接辺42aには、第1剥離紙片41側に突出するように形成された凸部が設けられている。この実施形態では、凸部は、第2隣接辺42aから第1剥離紙片41側に突出された突片44から構成されている。この突片44は、磁石配置部43aに対応する位置に配設された磁石配置部用被覆片44aと、幅狭部43bに対応する位置に配設された幅狭部被覆片44bとを備えている。
【0049】
磁石配置部用被覆片44aは、磁石配置部43aの全体を覆い得る形状及び大きさのものから構成される。この実施形態では、磁石配置部43aと略同形状及び略同じ大きさに形成されている。
【0050】
幅狭部被覆片44bは、幅狭部43bの全体を覆い得る形状及び大きさのものから構成される。この実施形態では、幅狭部43bと略同形状及び略同じ大きさに形成されている。
【0051】
尚、この磁石配置部用被覆片44aや幅狭部被覆片44bは、磁石配置部43a、幅狭部43bよりも大きくても良く、適宜変更できる。
【0052】
又、凹部は、切り込み凹部43から構成される形態のものに限らず、例えば第1隣接辺41aの全体を湾曲状に窪ませるようにして第1隣接辺41aの全体に形成されるものであっても良く、適宜変更できる。
【0053】
又、凹部を、切り込み凹部43から構成する場合、切り込み凹部43を1つだけ設ける形態のものに限らず、複数の切り込み凹部43を設けても良い。
【0054】
以上のように構成された本発明の身体血行促進具1の動作について説明する。まず、本発明の身体血行促進具1を、図示しないフィルム包装材から取り出す。これにより、上層2の発熱剤21が酸化作用によって発熱し始める。
【0055】
又、別途準備した磁石5を下層3の第1粘着層32に接着させる。又、その接着を、例えば、次のようにして行なうことができる。例えば剥離紙4を上側にして、図2、図5に示すように、折り目線7を、第1剥離紙片41の磁石配置部43aを横切るように形成し、その折り目線7に沿って山折りする。
【0056】
これにより、第2剥離紙片42の磁石配置部用被覆片44aの先端部を、磁石配置部43aから離すことができる。そして、この状態から、その先端部を、前方側(図5の左側)の幅狭部被覆片44b側に回動操作する。
【0057】
その際、幅狭部被覆片44bの幅が磁石配置部43aよりも幅狭に形成されているため、幅狭部被覆片44bが折り曲がって回動の軸になり、容易に回動操作できる。
【0058】
又、この磁石配置部用被覆片44aの回動により、第1粘着層32における磁石配置部43aに対応する部分が露出する。そして、この状態で、図6に示すように磁石5を当該部分に接着させる。
【0059】
その接着に際しては、第1粘着層32における当該部分以外の他の部分は露出していないため、第1粘着層32に手が触れるようなことがなく、容易に磁石5を接着できる。
【0060】
又、回動の軸になった幅狭部被覆片44bを、例えば磁石配置部43aと同程度の幅又はそれ以上の幅に形成した場合には、回動した磁石配置部用被覆片44aが弾性によって元の状態に近い状態にまで戻って磁石配置部43aを覆い、磁石配置部用被覆片44aが邪魔になって磁石5を磁石配置部43aに置き難い。
【0061】
しかし、この実施形態では、幅狭部被覆片44bを磁石配置部43aよりも幅狭に形成しているため、幅狭部被覆片44bの弾性力を小さくでき、回動した磁石配置部用被覆片44aを戻り難くできる。
【0062】
又、磁石5を磁石配置部43aに置くことで、磁石5を、常に第1粘着層32の中心部に配設できる。従って、磁石を第1粘着層で確実に保持でき、例えば使用中に磁石が外れるおそれの少ないものにできる。
【0063】
次に、第1剥離紙片41及び第2剥離紙片42を第1粘着層32から剥離し、図6に示すように、身体の患部(一部)、例えば肩部Kに、磁石5を当てるとともに第1粘着層32を接着させる。これにより、磁石5の磁力及び発熱剤21の発熱によって肩部Kの血行を促進できる。
【0064】
又、発熱剤21が発熱し熱変形部材6が変形し、所定の温度になると、図7に示すように、熱変形部材6の前後の両端縁部が上方側に反り上がる。また、それに伴い、上層本体20の前後の両端縁部も上方側に押し上げられて反り返っていく。尚、図6、図7では、発熱剤21を省略している。
【0065】
又、その際、上層本体20の下面における前後の両端縁部には、非粘着領域24が形成されているため、非粘着領域24を形成していない場合に較べて、容易に上方側に反り上がるとともに、反り上がり量を多くできる。
【0066】
そして、発熱剤21が発熱できなくなって発熱による血行促進効果が期待できなくなった状態で(この実施形態では、発熱開始から3〜4時間後)は、上層2の前後夫々の端縁部が下層3から引き離され、両者間に、上層2の端縁部を把持できる程度の隙間10を形成できる。
【0067】
従って、発熱剤21が発熱できなくなった後は、上層本体20及び熱変形部材6の端縁部を把持し、例えば上方側に引っ張る。これにより、下層3を肩部Kに接着した状態を維持させながら上層2を下層3から剥がすことができる。
【0068】
又、その際、上層2の第2粘着層22における下層3からの引き剥がし力が下層3の第1粘着層32における肩部Kからの引き剥がし力よりも小さく設定されているとともに、第2粘着層22の面積を第1粘着層32の面積よりも小さく設定しているため、より一層、容易に上層2を下層3から剥がすことができる。
【0069】
従って、上層2の下層3からの引き剥がしを容易に行なうことができ、例えば上層2を下層3から引き剥がすよりも先に下層3が肩部から剥がれてしまうということを防止でき、その下層3から上層2を引き剥がした後に、再度、下層3を肩部に貼り付けるという面倒な作業を行なう必要のないものにできる。
【0070】
上層2を引き剥がした後は、下層3に保持させた磁石5によって血行の促進を図ることができる。
【0071】
尚、上記実施形態では、第2粘着層22における下層3からの引き剥がし力を下層3の第1粘着層32における身体からの引き剥がし力よりも小さくするとともに、第2粘着層22の面積を第1粘着層32の面積よりも小さくしているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。
【0072】
例えば、第2粘着層22の上記引き剥がし力を第1粘着層32の上記引き剥がし力と同じ又はそれよりも大きくし、或いは、第2粘着層22の面積を第1粘着層32の面積と同じ又は第1粘着層32の面積よりも大きくしても良い。
【0073】
又、第2粘着層22の上記引き剥がし力を第1粘着層32の上記引き剥がし力よりも小さくする場合、第2粘着層22を、下層3の第1粘着層32と同程度の粘着力を有する粘着剤を用いてもよいが、粘着力の異なる粘着剤を用いてもよい。
【0074】
例えば、上層2の第2粘着層22を、下層3の第1粘着層32と同程度の粘着力を有する粘着剤を用いて、第2粘着層22の厚さを、第1粘着層32の厚さよりも薄くすることによって、第2粘着層22の上記引き剥がし力を第1粘着層32の上記引き剥がし力よりも小さくする。
【0075】
或いは、上層2の第2粘着層22を構成する粘着剤を、下層3の第1粘着層32を構成する粘着剤よりも粘着力の小さいものを用いることによって、第2粘着層22の上記引き剥がし力を第1粘着層32の上記引き剥がし力よりも小さくする。
【0076】
又は、例えば上層2の第2粘着層22を構成する粘着剤として、発熱剤21の熱によって硬化して粘着力が低下し得るものを用い、発熱剤21が発熱できなくなった時点で、第2粘着層22の上記引き剥がし力を第1粘着層32の上記引き剥がし力よりも小さくするようにしてもよい。
【0077】
さらには、例えば上層2の第2粘着層22を構成する粘着剤として、水溶性ゲルを用い、発熱剤21の熱による水分含有量の変化で粘着力が低下し、発熱剤21が発熱できなくなった時点で、第2粘着層22の上記引き剥がし力を第1粘着層32の上記引き剥がし力よりも小さくするようにしてもよい。
【0078】
又、上記実施形態では、第2粘着層22を、熱変形部材6の下面の両端縁部に配設しているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。
【0079】
例えば熱変形部材6の下面の全体に非粘着領域24を形成し、或いは、熱変形部材6の下面の全体に粘着領域23を形成してもよい。熱変形部材6の下面の全体に粘着領域23を形成した場合でも、熱変形部材6の変形によって、熱変形部材6の端縁部が下層3から剥がれ、又は剥がれ易くできる。
【0080】
又、上層2と下層3の形状や大きさは、特に限定されず、適宜変更できる。例えば、上層2を、下層3よりも小さく又は大きくしても良い。
【0081】
又、上記実施形態では、第1血行促進部材として磁石5を用いているが、磁石5を用いる形態のものに限らず、例えば第1血行促進部材として、磁石5に代えて、或いは磁石5と共に、血行促進効果を示す薬剤を用いても良く、適宜変更できる。
【0082】
又、上記実施形態では、身体血行促進具をフィルム包装材から取り出した後に、ユーザが磁石を下層3の第1粘着層32に接着するようにしているが、この形態のものに限らず、予め下層3の下面に保持させたものであっても良い。
【符号の説明】
【0083】
1 身体血行促進具
2 上層
3 下層
4 剥離紙
5 磁石(第1血行促進部材)
21 発熱剤(第2血行促進部材)
22 第2粘着層
32 第1粘着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体の一部に接着され血行促進部材によって血行を促進できるようにした身体血行促進具であって、
第1血行促進部材を保持する下層と、第2血行促進部材を保持する上層とを備え、
前記下層は、その下面に、前記身体の一部に引き剥がし可能に接着し得る第1粘着層を備え、
前記第2血行促進部材は、発熱剤から構成され、
前記上層は、前記発熱剤を保持した上層本体と、その上層本体を前記下層の上面に引き剥がし可能に接着した第2粘着層と、前記上層本体の下方側に配設された熱変形部材とを備え、
前記熱変形部材は、前記発熱剤の発熱に伴い加熱されると、その端縁部が上方側に反り返るように変形し得るものから構成されていることを特徴とする身体血行促進具。
【請求項2】
前記熱変形部材の端縁部は、前記上層本体の端縁部に配設されていることを特徴とする請求項1記載の身体血行促進具。
【請求項3】
前記熱変形部材の下面における少なくとも端縁部には、第2粘着層が形成されていない非粘着領域が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の身体血行促進具。
【請求項4】
前記第1血行促進部材は、磁石から構成されているとともに、その磁石は、前記第1粘着層が前記身体の一部に接着される際に前記第1粘着層に接着可能とされ、
前記第1粘着層には、その第1粘着層を剥離可能に覆った剥離紙が設けられ、
前記剥離紙は、第1隣接辺を有する第1剥離紙片と、その第1隣接辺と隣接する第2隣接辺を有する第2剥離紙片とを備え、
前記第1隣接辺と第2隣接辺とのいずれか一方に、少なくとも1つの凹部が設けられ、
前記いずれか他方に、前記凹部を覆い得るように形成された凸部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の身体血行促進具。
【請求項5】
前記凹部は、前記第1隣接辺又は第2隣接辺から、前記磁石を配置し得るように切り込まれた切り込み凹部から構成され、
前記凸部は、前記第2隣接辺又は第1隣接辺から前記他方側に突出された突片から構成されていることを特徴とする請求項4記載の身体血行促進具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−274056(P2010−274056A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132417(P2009−132417)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000112299)ピップフジモト株式会社 (46)
【出願人】(000000550)オカモト株式会社 (118)
【Fターム(参考)】