説明

身体装着具

【課題】簡単な構成で排便を促す効果の得られる身体装着具を提供することを目的とする。
【解決手段】人体の下腹部を覆う下腹部領域7を有する本体部1と、本体部1から人体に向かって直接又は間接的に接触乃至圧接する押圧部材2とを備えた身体装着具である。押圧部材2は、本体部1の下腹部領域7の左下腹部対応部L、右下腹部対応部R、及び上方下腹部対応部Uの少なくとも1つに、連続状又は不連続状に設けられた突起部11を備える。突起部11は、左下腹部対応部L及び右下腹部対応部Rでは、人体身長方向Hに沿うように延設され、上方下腹部Uでは、人体幅方向Wに沿うように延設されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の下腹部を覆う領域を有する身体装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
人体には多数のツボが存在しており、ツボを指圧することにより健康維持や病気の回復を促進する方法が知られている。例えば、人体には排便を促進するツボが存在し、排便促進効果のあるツボを指圧することにより便秘を改善するような指圧療法がある。
【0003】
ところで、日常生活を行いながら、前記のような指圧療法ができるものが提案されている(特許文献1、特許文献2)。特許文献1のものは、肌着類や靴下類等のアンダーウエアに関するものであって、アンダーウエアの人体のツボの当接部位に突起体を設けている。これにより、特許文献1のアンダーウエアを着用すると、突起体がツボに当接するとともに、アンダーウエアの弾性によって突起体がツボを押圧して、着用中は常時指圧療法を行うことができる。特許文献2のものは、アンダーウエアに設ける突起体をシリコンゴム等の弾性体にて構成し、弾性体の素材の一部をアンダーウエアの織目内に含侵させて、アンダーウエアに突起体を固着するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−222号公報
【特許文献2】特開平10−60702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記各特許文献のものは、ツボを押圧することにより、その症状の改善を図るものである。この場合、症状の改善に適したツボを正確に指圧できない場合は、指圧療法の効果は期待できない。このため、前記各特許文献のものは、症状に適したツボの位置を正確に認識し、そのツボに当接するアンダーウエアの位置に正確に突起体を設ける必要がある。しかしながら、ツボの位置は人によって異なり、また、1つのツボのエリアは小さいため、所望のツボに正確に当接するように突起体を設けることは難しい。仮に適切な位置に突起体を設けたとしても、使用者の体位が変化すること等により使用中においてアンダーウエアに伸縮が生じた場合、突起体はアンダーウエアの伸縮に追従して位置が変化する。このため、使用中に突起体がツボの位置から外れる可能性がある。このため、前記各特許文献のものでは、例えば便秘解消のために、排便促進効果のあるツボに当接するように突起体を設けても、ツボを正確に押圧できない場合があり、十分な排便促進効果が得られない可能性がある。
【0006】
本発明は、これら従来技術の問題を解決し、簡単な構成で排便を促す効果の得られる身体装着具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するため、人体の下腹部を覆う下腹部領域を有する本体部と、前記本体部から人体に向かって直接又は間接的に接触乃至圧接する押圧部材とを備えた身体装着具であって、前記押圧部材は、前記本体部の下腹部領域の左下腹部対応部、右下腹部対応部、及び上方下腹部対応部の少なくとも1つに、連続状又は不連続状に設けられた突起部を備え、この突起部は、左下腹部対応部及び右下腹部対応部では、人体身長方向に沿うように延設され、上方下腹部では、人体幅方向に沿うように延設された身体装着具を提供するものである。
【0008】
本発明に係る身体装着具によれば、押圧部材を設けているため、人体の下腹部のうち、突起部が当接する部位は、突起部にて押圧されることになる。この場合、突起部は、左下腹部、右下腹部、及び上方下腹部の少なくとも1つに当接乃至圧接することになる。左下腹部には大腸の下行結腸、右下腹部には大腸の上行結腸、上方下腹部には大腸の横行結腸が存在するため、突起部は、大腸のこれらの部位のいずれかを押圧することになり、大腸にたまった便を出口側へ物理的に押し流すとともに、大腸の蠕動運動を促進させて排便を促すことができる。しかも、押圧部材は、本体部の下腹部領域に設けられているので、呼吸による下腹部の往復動により下腹部への接触圧に強弱が発生する。これにより、使用者は、装着するだけでマッサージ効果を得ることができる。
【0009】
便秘には、大腸の蠕動運動の低下に起因する弛緩性便秘、腸の神経の鈍化に起因する直腸性便秘等があり、大腸の機能低下が起因している場合が多い。従って、大腸を直接マッサージすることにより、腸の神経を刺激して蠕動運動を促進させることができる。これにより、本発明の身体装着具を日常的に使用すれば、大腸の機能の回復を図ることもでき、慢性的な便秘の改善にも有効なものとなる。しかも、大腸は下腹部の大半を占めているため、押圧対象を大腸とすることによって突起部が押圧すべきエリアを広くできる。これにより、突起部の細かい位置調節が必要なく、使用中の体位変化が生じても、突起部は高い確率で大腸を押圧することができる。
【0010】
上記構成において、前記突起部は、少なくとも前記左下腹部対応部に設けられるのが望ましい。下行結腸は大腸の下流側に相当し、出口に近い部位となる。便秘でない場合は、この部位に粥状の軟らかい便しか存在しないのに対し、便秘になると、この部位に固形の便がたまる。また、下行結腸周辺には、大腸の蠕動運動を司る神経や排便を促進させるツボが多数存在する。従って、突起部が左下腹部を押圧することにより、最も効果的に排便を促進することができる。
【0011】
上記構成において、装着状態で前記突起部は、人の大腸の延在方向に沿うように配設されたものであり、突起部の本体部からの高さ寸法は、大腸の始部側から出口側に向かって順次小さくするのが望ましい。これにより、突起部は、大腸の始部側から出口側に向かって段階的な強さで下腹部を押圧することができるので、便を物理的に押し流す効果が得られ易いものとなる。
【0012】
前記突起部は、その延設方向と直交する方向に複列設けられるのが望ましい。大腸の大きさや位置、排便を促すツボの位置は、使用者により異なる。しかしながら、突起部を複列設けることにより、いずれかの突起部が大腸やツボを刺激することができる。これにより、使用者の体型によらず、多くの使用者にとって排便を促進する効果が得られ易いものとなる。
【0013】
前記突起部の少なくとも人体への接触部位が、弾性を有する材料にて構成されるのが望ましい。これにより、例えば就寝時に伏臥位等のような状態であっても、下腹部に痛み、異物感等の不快感が緩和され、使用者に快適な使用感を与える。
【0014】
少なくとも前記下腹部領域は、人体への着圧が高い高着圧部とするのが望ましい。これにより、突起部は、装着状態において下腹部を強く押圧できるため、より効果的な押圧効果、及びツボ押し効果を得ることができる。
【0015】
前記構成において、前記本体部は足口を有する下半身用下着とするのが望ましい。足口を有することで、装着したときに下半身用下着の人体に対する位置が固定されてずれにくくなる。これにより、押圧部材の突起部が、大腸やツボを有する位置に維持されやすくなる。また、人が普段使用する下半身用下着に、大腸を押圧する機能を備えるようにできるため、使用者は装着に対する違和感がなく、長時間使用しやすいものとなる。
【発明の効果】
【0016】
上に述べたように、本発明によれば、簡単な構成で排便を促す効果の得られる身体装着具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る身体装着具の第1実施形態の正面図である。
【図2】図1に示す身体装着具の下腹部領域を示す説明図であり、(a)は左下腹部対応部及び右下腹部対応部、(b)は上方下腹部対応部を示す。
【図3】図1に示す身体装着具のA−A断面矢視図である。
【図4】図1に示す身体装着具を装着した状態を示す正面図である。
【図5】本発明に係る身体装着具の第2実施形態の正面図である。
【図6】図5に示す身体装着具のB−B断面矢視図である。
【図7】本発明に係る身体装着具の第3実施形態の正面図である。
【図8】図7に示す身体装着具のC−C断面矢視図である。
【図9】本発明に係る身体装着具の第4実施形態の正面図である。
【図10】図9に示す身体装着具の押圧部材の平面図である。
【図11】図9に示す身体装着具の押圧部材の側面図である。
【図12】図9に示す身体装着具のD−D断面矢視図である。
【図13】本発明に係る身体装着具の第5実施形態の押圧部材の取付状態を示す断面図であり、(a)は単一の構成体からなる突起部、(b)は複数の構成体からなる突起部を示す。
【図14】実施品α及び実施品βの形態を示す図であり、(a)は実施品αの押圧部材の平面図及び側面図、(b)は実施品βの押圧部材の平面図及び側面図である。
【図15】被験者が実施品α及び実施品βを使用した後の便秘解消効果、及び半球体が被験者の下腹部に与える押圧力を示す結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態に係る身体装着具を具体的に説明する。図面中の同一又は同種の部分については、同じ番号を付して説明を一部省略する。
【0019】
図1は、第1実施形態に係る身体装着具を示す正面図である。図1に示すように、身体装着具は、本体部1と押圧部材2とを備える。
【0020】
本体部1は、人体の下腹部を覆う下半身用下着(本実施形態ではショーツ)である。この下半身用下着は、下方開放状の足口3を左右対称に形成した伸縮性を有する前身頃4と、伸縮性を有する後身頃5と、前身頃4の下端の内股前部と後身頃5の下端の内股後部との間に配設されるマチ部6とを備えている。図2に示すように、本体部1のうち、装着状態で人体の下腹部を覆う部分を下腹部領域7としている。前身頃4の下腹部領域7において、図2(a)に示すように、人体の左下腹部に対応する部位を左下腹部対応部L、人体の右下腹部に対応する部位を右下腹部対応部R、図2(b)に示すように、人体の上方下腹部に対応する部位を上方下腹部対応部Uとしている。ここで、左下腹部とは、本発明の身体装着具が装着される人体にとって左側の下腹部をいい、図面上右側に相当する。また、右下腹部とは、本発明の身体装着具が装着される人体にとって右側の下腹部をいい、図面上左側に相当する。上方下腹部対応部Uは、左下腹部対応部L及び右下腹部対応部Rと一部重複する。
【0021】
下腹部領域7は、例えばウレタン糸のような弾性を有する糸を含んだ編生地にて構成されている。これにより、下腹部領域7は全体的に伸縮性が高まり、人体への着圧が高い高着圧部8となる。下腹部領域7を構成する編生地は、図3に示すように折り返されて、下腹部領域7の下端部にて縫合された2重構造となっている。これにより、下腹部領域7では保温機能を高めることができる。
【0022】
図3に示すように、押圧部材2は、本体部1の前身頃4に例えば逢着されて取付けられており、前身頃4から人体に当接する側に向かって突出する。押圧部材2は、図1に示すように人体身長方向Hに沿って延設される2列の突起部11a、11bにて構成されている。一方の突起部11aと他方の突起部11bとは同一のものであり、延設方向と直交する方向(人体幅方向W)に沿って配設されている。突起部11a、11bは、3つの構成体(胴側端縁9の側から順に第1構成体12a、12b、第2構成体13a、13b、第3構成体14a、14b)にて構成され、人体身長方向Hに沿って不連続状となっている。3つの構成体は12、13、14は定ピッチで延設されている。本実施形態では、夫々の構成体12、13、14を半球体としている。
【0023】
突起部11a、11bは、図3に示すように本体部1からの高さ寸法が、胴側端縁9の側から足口側にかけて順次小さくなるようにしている。すなわち、本体部1から構成体(半球体)の頂点までの高さ寸法h12、h13、h14は、第1半球体12a、12bでは最も大きく、第2半球体13a、13bでは第1半球体12a、12bよりも小さく、第3半球体14a、14bでは第2半球体13a、13bよりもさらに小さくなっている(h12>h13>h14)。第1半球体12a、12b及び第2半球体13a、13bの寸法差(h12−h13)と、第2半球体13a、13b及び第3半球体14a、14bの寸法差(h13−h14)とは同一としている。
【0024】
夫々の半球体12a、12b〜14a、14bは、スチレンブタジエン共重合体が70〜80%、ポリプロピレンが10〜25%、ミネラルオイル(流動パラフィン)が2〜5%の割合で配合された材料にて構成されている。これにより、突起部11a、11bは弾性を有するものとなる。このように、突起部11a、11bの材質としては弾性を有するもの、例えばシリコン、スチレン、ブタジエン等のゴム、SBR等の共重合体、ウレタン樹脂、コルク、糸玉、布玉のような繊維の塊とするのが望ましい。夫々の半球体12a、12b〜14a、14bの硬度(アスカーC型硬度計)は所望の硬度とすることができるが、人の指の硬さ(約30)程度若しくはそれよりもやや固めの20〜80とするのが望ましく、本実施形態においては60としている。
【0025】
前記本体部1と押圧部材2とを備えた身体装着具を人体に装着した状態では、図4に示すように、本体部1の下腹部領域7は人体の下腹部を覆う。この場合、下腹部領域7は高着圧部8となっており、人体の胴回り全域において下腹部に密着している。しかも、足口3は人体に対して固定部位となる。このように、下腹部領域7と足口3とが人体に対する固定部位となるため、人体身長方向H及び幅方向Wの両方において、押圧部材2の位置ずれを防止することができる。
【0026】
突起部11a、11bは、人体身長方向Hに沿って人体の左下腹部に当接する。このとき、高さ寸法が最も大きい第1半球体12a、12bが左下腹部の上方側に当接し、高さ寸法が最も小さい第3半球体14a、14bが左下腹部の下方側に当接する。
【0027】
人体の下腹部には大腸が延在する。大腸の始部は右下腹部の下方に存在し、右下腹部には始部から人体身長方向Hに沿って延びる上行結腸、上方下腹部には人体幅方向Wに沿って延びる横行結腸、左下腹部には人体身長方向Hに沿って延びる下行結腸が順に延在する。さらに、下行結腸からS字結腸、直腸が存在し、直腸が大腸の出口となる。下行結腸は大腸の下流側に相当し、出口に近い部位となる。便秘でない場合は、この部位に粥状の軟らかい便しか存在しないのに対し、便秘になると、この部位に固形の便がたまる。また、下行結腸周辺には、大腸の蠕動運動を司る神経や排便を促進させるツボが多数存在する。
【0028】
前記したように、突起部11a、11bは人体身長方向Hに沿って左下腹部に当接するため、左下腹部に存在する下行結腸は突起部11a、11bにて押圧されることになる。しかも、呼吸による下腹部の往復動により、突起部11a、11bの下腹部への接触圧に強弱が発生する。これにより、大腸(この場合、下行結腸)にたまった便を出口側へ物理的に押し流すとともに、大腸の蠕動運動を促進させて効果的に排便を促進させることができる。さらに本実施形態では、下腹部領域7を2重構造としているため、突起部11a、11bによる押圧と、下腹部領域7での保温効果とが相俟って排便を促進する効果を一層高めることができる。このようにして、使用者は本発明の身体装着具を装着するだけでマッサージ効果を得ることができる。
【0029】
便秘には、大腸の蠕動運動の低下に起因する弛緩性便秘、腸の神経の鈍化に起因する直腸性便秘等があり、大腸の機能低下が起因している場合が多い。従って、大腸を直接マッサージすることにより、腸の神経を刺激して蠕動運動を促進させることができる。本実施形態では、本体部1として人が普段使用する下半身用下着としているため、使用者は装着に対する違和感がなく、長時間使用しやすいものとなる。このように、本発明の身体装着具を日常的に使用すれば、大腸の機能の回復を図ることもでき、慢性的な便秘の改善にも有効なものとなる。しかも、大腸は下腹部の大半を占めているため、押圧対象を大腸とすることによって突起部11a、11bが押圧すべきエリアを広くできる。これにより、突起部11a、11bの細かい位置調節が必要なく、使用中の体位変化が生じても、突起部11a、11bは高い確率で大腸を押圧することができる。
【0030】
この場合、突起部11a、11bは高着圧部8により強く押圧される。しかも、突起部11a、11bの本体部1からの高さ寸法は、大腸の始部側(下行結腸の上方側)から出口側(下行結腸の下方側)に向かって順次小さくなっている。これにより、突起部11a、11bの押圧力は、下行結腸の上方側で最も大きく、下方側に向かって小さくなり、下行結腸を段階的に押圧できる。さらに、突起部11a、11bは、その延設方向と直交する方向に2列設けられているため、突起部11a、11bの構成体(半球体)の数が増える。これにより、いずれかの半球体が大腸やツボを刺激することができて、使用者の体型によらず、多くの使用者にとって排便を促進する効果が得られ易いものとなる。
【0031】
前記第1実施形態では、左下腹部対応部Lに突起部11を設けたが、右下腹部対応部Rに人体身長方向Hに沿った突起部11を延設して上行結腸を押圧するものとしたり、上方下腹部対応部Uに人体幅方向Wに沿った突起部11を延設して横行結腸を押圧するものとしたりできる。突起部を右下腹部対応部Rに設ける場合は、突起部の高さ寸法を足口側で大きくして胴側端縁側で小さくするのが望ましい。突起部を上方下腹部対応部Uに設ける場合は、突起部の高さ寸法を右下腹部側で大きくして左下腹部側で小さくするのが望ましい。
【0032】
図5及び図6は、本発明の第2実施形態に係る身体装着具を示す。この身体装着具は、本体部21と押圧部材20とを備えている。
【0033】
本体部21の下腹部領域27には、例えばウレタン等の樹脂を塗布している。これにより下腹部領域27の着圧が高まって、この部位は高着圧部28となる。
【0034】
押圧部材20は、図5に示すように、左下腹部、右下腹部、上方下腹部のいずれか2箇所を押圧するものである。すなわち、押圧部材20は、本体部21の下腹部領域27において、左下腹部対応部Lに人体身長方向Hに沿って連続する第1突起部22と、上方下腹部対応部Uに人体幅方向Wに沿って連続する第2突起部23とを備えた略L字状となっている。第1突起部22と第2突起部23との境界は、連続であっても不連続であってもよく、本実施形態では第1突起部22と第2突起部23との境界が不連続状となっている。
【0035】
第1突起部22は単一の構成体24にて構成され、人体身長方向Hに沿って連続状となっている。この構成体24は細長い第1ブロック状体であり、第1ブロック状体24の上面は、図6に示すように、延設方向に傾斜するテーパ面となっている。すなわち、本体部21から第1ブロック状体24の頂点までの高さ寸法は、胴側端縁26の側では最も大きくなっており、足口側へ向けて徐々に小さくなり、足口側では最も小さくなっている。これにより、第1突起部22は、本体部21からの高さ寸法が、胴側端縁側から足口側にかけて順次小さくなっている。
【0036】
第2突起部23は、前記第1突起部22を構成する第1ブロック状体24と同様の形態を有し、延在方向の長さが第1ブロック状体24よりも長い第2ブロック状体25にて構成される。本体部21から第2ブロック状体25の頂点までの高さ寸法は、右下腹部側では最も大きくなっており、左下腹部側へ向けて徐々に小さくなり、左下腹部側では最も小さくなっている。これにより、第2突起部23は、本体部21からの高さ寸法が、右下腹部側から左下腹部側にかけて順次小さくなっている。
【0037】
第2実施形態に係る身体装着具を人体に装着した状態では、本体部1の下腹部領域27は人体の下腹部を覆う。第1突起部22は、人体身長方向Hに沿って人体の左下腹部に当接するとともに、第2突起部23は、人体幅方向Wに沿って人体の上方下腹部に当接する。これにより、下行結腸が第1突起部22にて押圧されるとともに、横行結腸が第2突起部23にて押圧されることになる。このとき、第1ブロック状体24の高さ寸法の大きい側が、左下腹部の上方側に当接するとともに、第2ブロック状体25の高さ寸法の大きい側が、上方下腹部の右下腹部側に当接する。
【0038】
このように、第2実施形態の身体装着具の押圧部材20は、左下腹部及び上方下腹部の2箇所を押圧するものであり、広範囲に大腸を押圧することができるため、排便促進効果を一層向上させることができる。
【0039】
前記第2実施形態では、左下腹部対応部L及び上方下腹部対応部Uに突起部22、23を設けたが、左下腹部対応部L及び右下腹部対応部Rに突起部を設けて下行結腸及び上行結腸を押圧するものとしたり、右下腹部対応部R及び上方下腹部対応部Uに突起部を設けて上行結腸及び横行結腸を押圧するものとしたりできる。また、前記第1実施形態のように、第1突起部及び第2突起部を複数の構成体にて構成してもよく、第1突起部又は第2突起部のうち、いずれか一方を単一の構成体にて構成し、他方を複数の構成体にて構成してもよい。
【0040】
図7及び図8は、本発明の第3実施形態に係る身体装着具を示す。この身体装着具は、本体部31と押圧部材30とを備えている。
【0041】
本体部31の下腹部領域37にはストレッチ性のある細かいネット状の生地(パワーネット)を逢着している。これにより下腹部領域37の着圧が高まって、この部位は高着圧部43となる。なお、パワーネットに替えて、ゴムひもを逢着してもよい。
【0042】
押圧部材30は、図7に示すように、左下腹部、右下腹部、上方下腹部の全てを押圧するものである。すなわち、押圧部材30は、本体部31の下腹部領域37において左下腹部対応部Lに人体身長方向Hに沿って連続する第1突起部32と、上方下腹部対応部Uに人体幅方向Wに沿って連続する第2突起部33と、右下腹部対応部Rに人体身長方向Hに沿って不連続となる第3突起部34とを備えた略U字状となっている。第1突起部32と第2突起部33との境界、及び第2突起部33と第3突起部34との境界は、連続であっても不連続であってもよく、本実施形態では、第1突起部32と第2突起部33との境界が連続状となり、第2突起部33と第3突起部34との境界が不連続状となっている。
【0043】
第1突起部32は単一の構成体35にて構成され、人体身長方向Hに沿って連続状となっている。この構成体35は細長い第1ブロック状体35であり、第1ブロック状体35は、図8に示すように、本体部31から隆起して連続的に延在する隆起部41と、この隆起部上から延在方向に沿って所定間隔で設けられる3つの凸部42a、42b、42cとを備えた2層構造としている。凸部42a、42b、42cは平面視円形の半球状としている。本体部31から凸部42の頂点までの高さ寸法は、胴側端縁44の側では最も大きくなっており、足口側へ向けて徐々に小さくなり、足口側では最も小さくなっている。これにより、第1突起部32は、本体部31からの高さ寸法が、胴側端縁側から足口側にかけて順次小さくなっている。
【0044】
第2突起部33は、前記第1突起部32を構成する第1ブロック状体35と同様の形態を有し、延在方向の長さが第1ブロック状体35よりも長い第2ブロック状体36にて構成される。第2突起部33において、本体部31から第2ブロック状体36の頂点までの高さ寸法は、右下腹部側では最も大きくなっており、左下腹部側へ向けて徐々に小さくなり、左下腹部側では最も小さくなっている。これにより、第2突起部33は、本体部31からの高さ寸法が、右下腹部側から左下腹部側にかけて順次小さくなっている。
【0045】
第3突起部34は3つの構成体38、39、40にて構成され、人体身長方向Hに沿って不連続状となっている。この構成体は前記第1実施形態と同様の半球体(胴側端縁側から順に第1半球体38、第2半球体39、第3半球体40)としている。第3突起部34において、本体部31から半球体の頂点までの高さ寸法は、足口側の第3半球体40では最も大きくなっており、第2半球体39ではさらに小さく、胴側端縁側の第1半球体38では最も小さくなっている。これにより、第3突起部34は、本体部31からの高さ寸法が、足口側から胴側端縁側にかけて順次小さくなっている。
【0046】
第3実施形態に係る身体装着具を人体に装着した状態では、本体部1の下腹部領域37は人体の下腹部を覆う。第1突起部32は、人体身長方向Hに沿って人体の左下腹部に当接し、第2突起部33は、人体幅方向Wに沿って人体の上方下腹部に当接し、第3突起部34は、人体身長方向Hに沿って人体の右下腹部に当接する。これにより、下行結腸が第1突起部32にて押圧され、横行結腸が第2突起部33にて押圧され、上行結腸が第3突起部34にて押圧されることになる。このとき、第1ブロック状体35の高さ寸法の大きい側が、左下腹部の上方側に当接し、第2ブロック状体36の高さ寸法の大きい側が、上方下腹部の右下腹部側に当接し、半球体の中で高さ寸法の最も大きい第3半球体40が右下腹部の下方側に当接する。
【0047】
このように、第3実施形態の身体装着具の押圧部材30は、左下腹部、右下腹部、上方下腹部の全てを押圧するものであり、より広範囲に大腸を押圧することができるため、排便促進効果を一層向上させることができる。
【0048】
図9〜図12は、本発明の第4実施形態に係る身体装着具を示す。この身体装着具は、本体部51と押圧部材52とを備えている。
【0049】
本体部51の下腹部領域57は、例えばポリエステル、ナイロン、ウレタンのように熱可塑性を有する糸にてこの領域を形成した後、熱をかけて糸を溶かすことにより形成されている。これにより下腹部領域57の着圧が高まって、この部位は高着圧部54となる。
【0050】
本体部51は、下腹部領域57の前身頃4の人体当接側に、押圧部材52を取付けるための取付手段53が設けられている。本実施形態では、取付手段53は左下腹部対応部Lに設けられ、胴側端縁58に開口するポケットにて構成している。ポケット53のサイズは押圧部材52を収納可能な大きさとなっており、底が直角となった平面視矩形状としている。
【0051】
押圧部材52は、図10に示すように、基板部60と、この基板部60から基板部短手方向に沿って延設される2列の突起部61a、61bとから構成されている。基板部60はコーナー部が面取りされた、厚さが例えば2mmの矩形平板体である。基板部60及び突起部61a、61bの材質は、第1実施形態の突起部と同様の材質であり、基板部60では可撓性を有するものとなる。なお、基板部60と突起部61a、61bとは別の素材にて構成してもよい。
【0052】
突起部61a、61bは基板部長手方向に沿った3つの構成体(第1半球体63a、63b、第2半球体64a、64b、第3半球体65a、65b)からなり、基板部長手方向に沿って不連続状となっている。3つの半球体は定ピッチで延設されている。
【0053】
突起部61a、61bは、図11に示すように基板部表面67からの高さ寸法が、一端部から他端部にかけて順次小さくなるようにしている。すなわち、基板部表面67から半球体の頂点までの高さ寸法h63、h64、h65は、第1半球体63では最も大きく、第2半球体64では第1半球体63よりも小さく、第3半球体65では第2半球体64よりもさらに小さくなっている(h63>h64>h65)。第1半球体63及び第2半球体64の寸法差(h63−h64)と、第2半球体64及び第3半球体65の寸法差(h64−h65)とは同一としている。
【0054】
押圧部材52は、図12に示すように、突起部61a、61bの夫々の半球体63a、63b〜65a、65bが人体側に向かって突出するとともに、第3半球体65a、65bがポケット53の底側に位置するように収納されている。
【0055】
第4実施形態に係る身体装着具を人体に装着した状態では、本体部51の下腹部領域57は人体の下腹部を覆う。この場合、高さ寸法が最も大きい第1半球体63a、63bが左下腹部の上方側に当接し、高さ寸法が最も小さい第3半球体65a、65bが左下腹部の下方側に当接して、下行結腸は突起部61a、61bにて押圧される。
【0056】
このように、第4実施形態の身体装着具でも前記各実施形態と同様の効果を奏する。特に、押圧部材52は基板部60を有していることから、突起部61が腹部と反対側に飛び出すことがなく、確実に下腹部を押圧することができる。また、本体部51と押圧部材52とを独立することができるため、本体部51に伸縮が生じた場合に、突起部61a、61bはその伸縮に追従することがない。このため、装着状態における突起部61a、61bの位置ずれを防止することができる。また、押圧部材52の位置の調節が可能となり、多くの人にとって適用しやすいものとなる。押圧部材52は本体部51に対して着脱自在となることから、使用者は必要なときのみに押圧部材52を本体部51に取付けることができる。これにより、本体部51を通常の下着として使用することができて、汎用性に優れたものとなる。しかも、本体部51のみを洗濯することができて衛生面でも優れたものとなり、使用者にとって使用しやすいものとなる。
【0057】
前記第4実施形態において、ポケット53の形状は前記のものに限られず、例えば底に凸曲面を有する略U字のものや、開口部側(実施形態では胴側端縁)に向かってポケット幅が徐々に小さくなるような形状であってもよい。ポケットの開口部は胴側端縁に限られず、下腹部領域の人体身長方向Hに沿って開口するものとしてもよい。また、ポケット53を開閉自在として、ポケット53からの押圧部材52の抜け出しを防止するポケット閉口手段を設けてもよい。ポケット閉口手段は、例えば面ファスナ、線ファスナ、ボタン等としたり、蓋部材としたりできる。
【0058】
取付手段はポケットに限られない。例えば、本体部51及び基板部60に面ファスナを設けて両者を固定してもよい。また、本体部51に可撓性を有するフック状のものを取付るとともに、基板部60に孔部を設け、フックを孔部に挿入して固定してもよい。また、取付手段を省略することもできる。例えば、基板部60に粘着性を持たせて基板部60を本体部51に直接貼り付ける。基板部60の形状は、正方形、楕円形、多角形等種々の形状とすることができる。突起部61a、61bの構成体は単一であっても複数であってもよく、前記第2実施形態又は第3実施形態のようなブロック状体にて構成してもよい。
【0059】
次に、図13は、本発明の第5実施形態に係る身体装着具を示す。この身体装着具は、押圧部材の形状を前記各実施形態と異にする。
【0060】
図13(a)に示すように、押圧部材72は、単一の構成体79からなる突起部73と、突起部73を支持する支持体74とから構成されている。すなわち、支持体74は本体部71に取付けられており、この支持体74を介して突起部73が本体部71に取付けられることになる。また、図13(b)に示すように、押圧部材72は、3つの構成体76、77、78からなる突起部73と、突起部73を支持する3つの支持体74a、74b、74cと、基板部75とから構成されている。すなわち、支持体74a、74b、74cは基板部75に取付けられており、夫々の支持体74を介して各構成体76、77、78が基板部75に取付けられることになる。
【0061】
本実施形態では、支持体74a、74b、74cは圧縮ばねにて構成している。第5実施系形態の身体装着具を人体に装着すると、下腹部からの押圧力により支持体74a、74b、74cは、その弾発力に抗して本体部側へ付勢される。圧縮ばねの全長や太さ、巻数、材質は所望のものに種々設定することができる。支持体74は、ばねの他、構成体と同一の弾性体等の弾性部材としてもよい。また、支持体74は、人体の下腹部の動きに追従するように可撓性を持たせる等、その性質や材料は問わず種々のものとできる。
【0062】
次に、本発明の第6実施形態にかかる身体装着具として、前記第1〜第5実施形態の突起体の全部又は一部が磁気を帯びたものとする。すなわち、前記各実施形態の半球体やブロック状体等の構成体に磁石を埋設することにより、突起体は磁性を帯びたものとなる。また、磁性材料により突起体の全部又は一部を構成することもできる。これにより、第6実施形態の身体装着具では、指圧効果の更なる促進や血行の促進を図ることができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく種々の変更が可能である。本体部は、人体の下腹部を覆う下腹部領域7を有しているものであれば下半身用下着に限られず、ズボン、ストッキング等の下股までを覆うもの、腹巻、コルセット等の腹部のみを覆うもの、ボディースーツ、肌着等の上半身までを覆うもの、ベルト類等にて構成してもよい。
【0064】
突起部は、少なくとも人体への接触部位が、弾性を有する材料にて構成されていればよく、本体部側は弾性を有さない他の材質にて構成されていてもよい。夫々の突起部の高さ寸法は、大腸の始部側から出口側に向かって順次小さくするのが望ましいが、一定であってもよい。突起部の本体部への固定方法は、逢着、接着等種々の方法により固定することができる。
【0065】
突起部が延在方向に沿って不連続状となる場合、突起部の構成体(前記実施形態では半球体)の数は3つに限られず、2つ以上であればその数は問わない。突起部の構成体の配設ピッチはランダムであってもよく、ある部分を密としてそれ以外の部分を疎としてもよい。突起部の構成体の形状としては半球体でなくてもよく、平面視で楕円形や多角形のものとしたり、延設方向と直交する方向に長細いものとしたり等種々のものとできる。隣り合う構成体の寸法差は一定でなくてもよく、ある部分の寸法差のみを大きくしたり小さくしたりしてもよい。1つの突起部の中で、構成体の大きさや形状、材質は全て同一である必要はなく、同一形状で大きさを段階的に小さくしたり(相似形)、形状や材質を相違させたりすることができる。
【0066】
突起部は1つ、つまり単列であってもよい。突起部を複列設ける場合は、3列以上であってもよい。このとき、夫々の突起部において、同一の大きさ・形状のものを設ける必要はなく、夫々の突起部の大きさや形状を相違させてもよい。例えば、連続状に延在する突起部と不連続状に延在する突起部とを混在させてもよい。延在方向に沿って不連続状となる突起部を複列設ける場合は、突起部の構成体が格子状に配列されるように、隣り合う突起部をずらして配置してもよい。
【0067】
本体部に対する下腹部領域の範囲は任意に設定することができる。下腹部領域は1重であってもよい。高着圧部を形成する場合、前記各実施形態で説明した方法を複数組み合わせてもよい。
【実施例】
【0068】
本発明の身体装着具を実際に使用して、その効果を確認する試験を行った。具体的には、日常的に便秘を訴える被験者A、B、C、D、E(20~35歳女性)が、身体装着具α(以下、実施品αという)と身体装着具β(以下、実施品βという)との2種類の身体装着具を後述するような条件で装着した。実施品α、実施品βともに被験期間は夫々2週間とした。実施品α、実施品βともに、実施品を装着する条件としては、2週間の被験期間中のうち便秘が気になった日の晩に各実施品を装着して就寝するようにした。実施品の1回の装着期間は最低1晩以上とした。実施品αと実施品βとでは本体部が同一であり、押圧部材を異なるものとした。実施品α及び実施品βの本体部は、図9に示すようなポケットを有するショーツタイプの下半身用下着とした。
【0069】
実施品αの押圧部材は、基板部と、第1半球体(図14(a)の1)、第2半球体(図14(a)の2)、第3半球体(図14(a)の3)からなる突起部2列とを有するものであり、第1〜第3半球体の基板部からの高さは同一である。実施品βの押圧部材は、基板部と、第1半球体(図14(b)の1)、第2半球体(図14(b)の2)、第3半球体(図14(b)の3)からなる突起部2列とを有するものであり、第1半球体の基板部からの高さが最も高く、第2半球体、第3半球体と順次小さくなる。実施品α及び実施品βにおいて、基板部に対する半球体の配設位置、配設ピッチは略同一とした。実施品α及び実施品βは、いずれも突起部が各被験者の左下腹部に人体身長方向に沿って当接するようにして、第1半球体が上方側、第3半球体が下方側となるように配置した。
【0070】
実施品αの押圧部材及び実施品βの押圧部材は同一の材料にて構成した。すなわち、実施品αの基板部と第1〜第3半球体、及び実施品βの基板部と第1〜第3半球体を、スチレンブタジエン共重合体が70〜80%、ポリプロピレンが10〜25%、ミネラルオイル(流動パラフィン)が2〜5%の割合で配合された材料にて構成した。
【0071】
図14に示す押圧部材の主な寸法は、以下の通りである。
実施品α
・基板部の長手方向寸法α1:80mm
・基板部の短手方向寸法α2:70mm
・第1〜第3半球体の最大径α3:20mm
・第1〜第3半球体の基板部表面からの高さα4:8mm
・基板部の厚み寸法α5:2mm
実施品β
・基板部の長手方向寸法β1:80mm
・基板部の短手方向寸法β2:70mm
・第1〜第3半球体の最大径β3:20mm
・第1半球体の基板部表面からの高さβ4:14mm
・第2半球体の基板部表面からの高さβ5:11mm
・第3半球体の基板部表面からの高さβ6:8mm
・基板部の厚み寸法β7:2mm
【0072】
夫々の被験者A〜Eにおいて、実施品αの第1半球体〜第3半球体が腹部に与える圧力を測定するとともに、実施品βの第1半球体〜第3半球体が腹部に与える圧力を測定した(エアパック式接触圧計AMI3037、エアパック型式:2標準(エイエムアイ・テクノ社製))。具体的には、被験者が実施品を装着した状態で、各半球体と腹部との間にエアパックを設置し、エアパックが押圧された際の圧力を接触圧計で測定した。そして、実施品α、実施品βのぞれぞれの実施品につき、便秘解消効果の満足度についての回答を得た。満足度は、「満足」「どちらともいえない」「不満」の3段階とした。その結果を図15に示す。
【0073】
図15(便秘解消効果)に示すように、実施品αを使用した場合、被験者C、被験者D、被験者Eは便秘解消効果の満足度について「どちらともいえない」または「不満」と回答した。これら3名が実施品αを使用したときに、第1〜第3半球体が腹部に与える圧力は、第1半球体において最も弱くなっている。これは、全ての半球体の高さが同じである場合、被験者の腹部の形状によって各半球体が腹部に与える圧力が異なってしまうためであると考えられる。
【0074】
これに対して、実施品βを使用した場合、被験者A、被験者B、被験者C、被験者D、被験者Eの全員が便秘解消効果の満足度について「満足」と回答した。実施品βを使用したときに、第1〜第3半球体が腹部に与える圧力の傾向は全員同じであった。すなわち、第1半球体が腹部に与える圧力が最も高く、第2半球体、第3半球体と順次小さくなり、半球体の高さと半球体が腹部に与える圧力とは比例する。これにより、半球体の高さを段階的に低くすることで、使用者の体型に関わらず、効果的に下行結腸を上側から下側に向かってマッサージできることがわかった。
【0075】
次に、多数の被験者(日常的な便秘を訴える20〜40歳の女性)が、実施品α又は実施品βを4週間の被験期間中、次のような条件で装着し、便秘を解消する効果の満足度について回答を得た。実施品α、実施品βともに、実施品を装着する条件としては、4週間の被験期間中のうち便秘が気になった日の晩に各実施品を装着して就寝するようにした。実施品の1回の装着期間は最低1晩以上とした。満足度は、「満足」「どちらともいえない」「不満」の3段階とした。その結果を表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
表1に示すように、実施品αを使用した場合であっても、実施品βを使用した場合であっても、「満足」と解答した人の割合は5割以上であった。これにより、本発明によれば、半球体の高さが同一であっても、相違する場合であっても日常的に便秘を訴える人の5割以上の人に便秘解消効果を与えることができる。特に、実施品βを装着した場合、「満足」と解答した人の割合が17%弱高い。これにより、半球体の高さを相違させた方が、半球体の高さを同一とするよりも便秘解消効果が得られることがわかった。
【符号の説明】
【0078】
1、21、31、51 本体部
2、20、30、52 押圧部材
3 足口
7、27、37、57 下腹部領域
8、28、43、54 高着圧部
11、22、23、32、33、34、61 突起部
L 左下腹部対応部
R 右下腹部対応部
H 人体身長方向
W 人体幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の下腹部を覆う下腹部領域を有する本体部と、
前記本体部から人体に向かって直接又は間接的に接触乃至圧接する押圧部材とを備えた身体装着具であって、
前記押圧部材は、前記本体部の下腹部領域の左下腹部対応部、右下腹部対応部、及び上方下腹部対応部の少なくとも1つに、連続状又は不連続状に設けられた突起部を備え、
この突起部は、左下腹部対応部及び右下腹部対応部では、人体身長方向に沿うように延設され、上方下腹部では、人体幅方向に沿うように延設されたことを特徴とする身体装着具。
【請求項2】
前記突起部は、少なくとも前記左下腹部対応部に設けられることを特徴とする請求項1の身体装着具。
【請求項3】
装着状態において、前記突起部は、人の大腸の延在方向に沿うように配設されたものであり、突起部の本体部からの高さ寸法は、大腸の始部側から出口側に向かって順次小さくなることを特徴とする請求項1又は請求項2の身体装着具。
【請求項4】
前記突起部は、その延設方向と直交する方向に複列設けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項の身体装着具。
【請求項5】
前記突起部の少なくとも人体への接触部位が、弾性を有する材料にて構成されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項の身体装着具。
【請求項6】
少なくとも前記下腹部領域は、人体への着圧が高い高着圧部であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項の身体装着具。
【請求項7】
前記本体部は、足口を有する下半身用下着であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項の身体装着具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−208317(P2011−208317A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77313(P2010−77313)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】