車両のサスペンション装置
【課題】クロス接続されたサスペンション用油圧シリンダ対の上室・下室の作動油の漏れ等にともなう油圧バランスの悪化を抑制する車両のサスペンション装置を提供する。
【解決手段】第1油圧シリンダ4に開口する第1上側ポート41と第2油圧シリンダ5に開口する第1下側ポート52とを連通接続する第1油路6と、第2油圧シリンダに開口する第2上側ポート51と第1油圧シリンダ4に開口する第2下側ポート42とを連通接続する第2油路7と、第1油路6に設けられた第1油圧減衰機構8と、第2油路7に設けられた第2油圧減衰機構8と、第1補助油圧減衰機構13を有する第1分岐油路64を介して第1油路6に接続された第1アキュムレータ9と、第2補助油圧減衰機構13を有する第2分岐油路74を介して第2油路7に接続された第2アキュムレータ10と、第1分岐油路64と第2分岐油路74との間を接続するブリッジ油路BPとを備える。
【解決手段】第1油圧シリンダ4に開口する第1上側ポート41と第2油圧シリンダ5に開口する第1下側ポート52とを連通接続する第1油路6と、第2油圧シリンダに開口する第2上側ポート51と第1油圧シリンダ4に開口する第2下側ポート42とを連通接続する第2油路7と、第1油路6に設けられた第1油圧減衰機構8と、第2油路7に設けられた第2油圧減衰機構8と、第1補助油圧減衰機構13を有する第1分岐油路64を介して第1油路6に接続された第1アキュムレータ9と、第2補助油圧減衰機構13を有する第2分岐油路74を介して第2油路7に接続された第2アキュムレータ10と、第1分岐油路64と第2分岐油路74との間を接続するブリッジ油路BPとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の上下動(例えば、バウンスやロール)に応じた減衰力を発生させる車両のサスペンション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両のサスペンション装置としては、左の車輪と車体との間、及び、右の車輪と車体との間にそれぞれショックアブソーバを介在させると共に、ショックアブソーバとは別に、左の車輪と車体との間に介在された左油圧シリンダと、右の車輪と車体との間に介在された右油圧シリンダと、前記左油圧シリンダの上シリンダ室と前記右油圧シリンダの下シリンダ室とを連通接続する第1油路と、前記右油圧シリンダの上シリンダ室と前記左油圧シリンダの下シリンダ室とを連通接続する第2油路と、第1油路とリザーバタンクを連通接続する第3油路と、第2油路とリザーバタンクを連通接続する第4油路と、第3油路と第4油路とに夫々設けた可変絞りとを備えた減衰機構を設け、車輪と車体との相対的な上下動の状況に伴って可変絞りの絞り度合を制御して減衰係数を調整する制御機構とを備えたものが、特許文献1に記載されている。
この車両のサスペンション装置によれば、ショックアブソーバと油圧シリンダ方式の減衰機構との両方を並設してあることから、車輪まわりの構造が複雑になっている問題点がある。また、車輪と車体との相対的な上下動(量や速度等)を検出して、それに伴う減衰機構のコントロールが必要となり、装置としての制御が繁雑になり易い問題点がある。
【0003】
さらに、シリンダ内がピストンによって上部オイル室と下部オイル室とに画成された右車輪側油圧シリンダおよび左車輪側油圧シリンダを、車輪側と車体側のうち一方にシリンダ本体を連結し他方にピストンを連結して車輪側と車体側の間に介装し、右車輪側油圧シリンダの上部オイル室と左車輪側油圧シリンダの下部オイル室とを第1連通路を介して連通させ、かつ右車輪側油圧シリンダの下部オイル室と左車輪側油圧シリンダの上部オイル室とを第2連通路を介して連通させ、これら第1連通路と第2連通路に、減衰発生用絞り部材をそれぞれ介装すると共に、シリンダ内がフリーピストンによって高圧ガス室とオイル室とに画成されオイル室が絞りを介して接続口に連通されたダンパをそれぞれ接続した、四輪車両用サスペンション装置が、特許文献2に記載されている。
このサスペンション装置では、車体がローリングすることをバンシングすることによる油圧シリンダの伸縮動作を、作動油が第1第・2連通路中の絞り部材やダンパの絞りを通過するときの通過抵抗によって減衰することで、良好な減衰特性を作り出そうとしている。しかしながら、このサスペンション装置では、左車輪側と右車輪側の油圧シリンダの作動の繰り返しにともなってそれぞれの上室ないしは下室の作動油が内部漏れすると、左側と右側の油圧シリンダにおける油圧バランスが悪くなり、車両が左右に傾斜してしまうという不都合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−193331号公報(段落番号〔0011−0048〕、図2)
【特許文献2】特開平5−213040号公報(段落番号〔0008−0046〕、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記実情に鑑み、車両のサスペンション装置において、クロス接続されたサスペンション用油圧シリンダ対の上室・下室の作動油の漏れ等にともなう油圧バランスの悪化を抑制することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明による車両のサスペンション装置は、左右車輪の一方と車体との間に介在され上室と下室とを有する第1油圧シリンダと、前記左右車輪の他方と前記車体との間に介在され上室と下室とを有する第2油圧シリンダと、前記第1油圧シリンダの上室に開口する第1上側ポートと前記第2油圧シリンダの下室に開口する第1下側ポートとを連通接続する第1油路と、前記第2油圧シリンダの上室に開口する第2上側ポートと前記第1油圧シリンダの下室に開口する第2下側ポートとを連通接続する第2油路と、前記第1油路に設けられた第1油圧減衰機構と、前記第2油路に設けられた第2油圧減衰機構と、第1補助油圧減衰機構を有する第1分岐油路を介して前記第1油路に接続された第1アキュムレータと、第2補助油圧減衰機構を有する第2分岐油路を介して前記第2油路に接続された第2アキュムレータと、一端が前記第1分岐油路における前記第1アキュムレータと前記第1補助油圧減衰機構との間に接続されているとともに、他端が前記第2油路における前記第2アキュムレータと前記第2補助油圧減衰機構との間に接続されているブリッジ油路とを備えている。
【0007】
繰り返される油圧シリンダの作動により油圧シリンダのそれぞれの上室ないしは下室の作動油が内部漏れすると、第1油路と第2油路との間で作動油の油量が変動して油圧バランスが悪くなる。しかしながら、この構成では、第1油路と第2油路との間の油圧バランスを調整する油圧バランス機構としての機能するブリッジ油路によって第1油路と第2油路との油圧バランスも調整される。従って、油圧シリンダの上室と下室との間の内部漏れがあっても、ブリッジ油路(油圧バランス機構)によって油量は平衡化されるので車両が左右に傾斜するという不都合は抑制される。さらに、ブリッジ油路や第1・第2アキュムレータに流れ込む作動油はそれぞれ第1補助油圧減衰機構や第2補助油圧減衰機構によって減衰作用をうけるので、油圧衝撃が低減される。なお、補助油圧減衰機構のもっとも簡単な構成例は、オリフィスである。
【0008】
また、前記ブリッジ油路に流量制御機構が介装されることも好都合である。これにより、第1分岐油路と第2分岐油路とを流量制御機構によって流量調整されるブリッジ油路で連通することで、第1分岐油路と第2分岐油路との間で作動油が流通し、第1分岐油路と第2分岐油路との油圧バランス、結果的には第1油路と第2油路との油圧バランスが調整される。
【0009】
さらには、前記流量制御機構を介して前記ブリッジ油路に第3アキュムレータが接続されることも好適である。ブリッジ油路に第3アキュムレータが接続することにより、ブリッジ油路における油圧変化をスムーズに調整することができ、またこの油圧系の温度補償としても機能することができる。また、この第3アキュムレータは油圧シリンダとともに油圧シリンダサスペンション機能を作り出している第1・第2アキュムレータを容量的に補助することも可能であり、そのことにより第1・第2アキュムレータの容量を小さくすることが可能となる。上述した、ブリッジ油路、前記流量制御機構、第3アキュムレータは、第1油路と第2油路との間の油圧バランスを調整する油圧バランス機構として機能する。
【0010】
さらに、前記流量制御機構は、前記第3アキュムレータと連通する内室を形成するハウジングと、前記第1分岐油路側の前記ブリッジ油路と前記内室との間に配置された第1差圧動作チェック弁と、前記第2分岐油路側の前記ブリッジ油路と前記内室とに接続される第2差圧動作チェック弁とを含むように構成すると好都合である。そのような構成により、流量制御機構における圧力変化を小さくすることができるので、この流量制御機構につながる油路の配管径を小さくすることができ、配管構造的に有利となる。
【0011】
また、前記流量制御機構を、前記ブリッジ油路に前記ブリッジ油路と前記第3アキュムレータとの接続部の両側に設けられたオリフィスで構成することも可能である。これにより、流量制御機構の構造は簡素化される。
【0012】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記ブリッジ油路との接続部より前記第1油路側の前記第1分岐油路に第1補助油圧減衰機構が設けられ、前記ブリッジ油路との接続部より前記第2油路側の前記第2分岐油路に第2補助油圧減衰機構が設けられている。つまり、第1分岐油路におけるアキュムレータと補助油圧減衰機構との間の部位と、第2分岐油路におけるアキュムレータと補助油圧減衰機構との間の部位とをブリッジ油路で連通するのである。これにより、第1油路や第2油路に油圧変動が生じても、補助油圧減衰機構がバッファとなることで第3アキュムレータの動作が安定し、その温度補償機能が安定する。
【0013】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記第1油圧減衰機構は、前記第1油路の前記第1上側ポート側に設けられた第1上側油圧減衰機構と前記第1油路の前記第2下側ポート側に設けられた第1下側油圧減衰機構とを有し、前記第2油圧減衰機構は、前記第2油路の前記第2上側ポート側に設けられた第2上側油圧減衰機構と前記第2油路の前記第1下側ポート側に設けられた第2下側油圧減衰機構とを有し、前記第1分岐油路は前記第1上側油圧減衰機構と前記第1下側油圧減衰機構との間に接続され、前記第2分岐油路は前記第2上側油圧減衰機構と前記第2下側油圧減衰機構との間に接続されている。この構成によれば、各シリンダのポートから出た作動油は、それぞれに対応付けられた油圧減衰機構によって適切な減衰作用を受けることから、車体の安定性が向上する。
その際、上側油圧減衰機構と下側油圧減衰機構との間を接続する接続油路の長さを短くする構成を採用するならば、ロール時等で第1油路や第2油路において左右の油圧シリンダから流れてくる作動油が衝突する場合でも、上側油圧減衰機構及び下側油圧減衰機構によってその流速が低下させられているので衝突による圧損が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるサスペンション装置の基本構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明によるサスペンション装置の基本構成の変形例を示す模式図である。
【図3】本発明によるサスペンション装置の実施形態の一例を模式的に示す正面図である。
【図4】図3による本発明によるサスペンション装置の実施形態の変形例を模式的に示す正面図である。
【図5】ピストン速度と減衰力との関係を示す説明図である。
【図6】制御チェック弁の圧力と流量との関係を示す説明図である。
【図7】ユニット化された油圧バランス機構を示す断面模式図である。
【図8】サスペンション装置の作用を示す模式図である。
【図9】サスペンション装置の作用を示す模式図である。
【図10】サスペンション装置の作用を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による車両のサスペンション装置の実施形態を説明する前に、その基本構成を、図1と図2とを用いて以下に説明する。
このサスペンション装置の中核構成要素は、左車輪2Aと車体1との間に介在する第1油圧シリンダ(以後左油圧シリンダまたは単に油圧シリンダと称する)4と、右車輪2Bと車体1との間に介在する第2油圧シリンダ5(以後右油圧シリンダまたは単に油圧シリンダと称する)である。左油圧シリンダ4はピストンによって区分けられる上室4Uと下室4Lとを有し、そのピストンロッドは下室4Lを貫通している。左油圧シリンダ4の周壁には、上室4Uに開口する第1上側ポート(単に上側ポートとも称する)41と、下室4Lに開口する第1下側ポート(単に下側ポートとも称する)42とが設けられている。同様に、右油圧シリンダ5はピストンによって区分けられる上室5Uと下室5Lとを有し、そのピストンロッドは下室5Lを貫通している。右油圧シリンダ5の周壁には、上室5Uに開口する第2上側ポート(単に上側ポートとも称する)51と、下室5Lに開口する第2下側ポート(単に下側ポートとも称する)52とが設けられている。この例では、左車輪2Aと右車輪2Bとは、模式的にしか示されていないサスペンションリンクにより車体に連結されており、両油圧シリンダ4,5のピストンロッドもサスペンションリンクに連結されている。
【0016】
左油圧シリンダ4の上側ポート41と第2油圧シリンダ5の下側ポート52とは、第1油路6によって連通接続され、右油圧シリンダ5の上側ポート51と第1油圧シリンダ4の下側ポート42とは、第2油路7によって連通接続されている。つまり、左油圧シリンダ4と右油圧シリンダ5はクロス接続されている。
【0017】
第1油路6と第2油路7とには、それぞれ第1油圧減衰機構8と第2油圧減衰機構8が設けられている。ここでは、第1油圧減衰機構8は、第1油路6の第1上側ポート41側に設けられた第1上側油圧減衰機構8aと、第1油路6の第2下側ポート52側に設けられた第1下側油圧減衰機構8bとからなる。同様に、第2油圧減衰機構8は、第2油路7の第2上側ポート51側に設けられた第2上側油圧減衰機構8cと、第2油路7の第1下側ポート42側に設けられた第2下側油圧減衰機構8dとからなる。その際、第1上側油圧減衰機構8aと第1下側油圧減衰機構8bの両者は、第1油路6の経路に介して第1上側ポート41側つまり左油圧シリンダ4の上室4U側に大きく偏って位置している。同様に、第2上側油圧減衰機構8cと第2下側油圧減衰機構8dの両者は、第2上側ポート51側つまり右油圧シリンダ5の上室5U側に大きく偏って位置している。第1上側油圧減衰機構8a、第1下側油圧減衰機構8b、第2上側油圧減衰機構8c、第2下側油圧減衰機構8dは、実質的に共通した構造を有していることから、ここでは単に油圧減衰機構8という共通的に用いられる語句でも記載される。また、第1油圧減衰機構8と第2油圧減衰機構8も、特に区別する必要がない場合には、単に油圧減衰機構8と記載される。油圧減衰機構8は、基本的にはその内部油路に絞られた小径部、例えばオリフィスを有し、クロス接続された油圧シリンダ間の作動油の流通速度を緩くすることで減衰作用を作り出す。
【0018】
第1油路6は、第1上側ポート41と第1上側油圧減衰機構8aとを接続する第1上側油路61、第1上側油圧減衰機構8aと第1下側油圧減衰機構8bとを接続する第1接続油路62、第1下側油圧減衰機構8bと第2下側ポート52とを接続する第1下側油路63とを含んでいる。同様に、第2油路7は、第2上側ポート51と第2上側油圧減衰機構8cとを接続する第2上側油路71、第2上側油圧減衰機構8cと第2下側油圧減衰機構8dとを接続する第2接続油路72、第2下側油圧減衰機構8dと第1下側ポート42とを接続する第2下側油路73とを含んでいる。
【0019】
第1接続油路62から第1分岐油路が分岐しており、第2接続油路72から第2分岐油路が分岐している。第1分岐油路は、第1油路6における圧力変動を吸収する第1アキュムレータ9を第1補助油圧減衰機構としてのアキュムレータ側油圧減衰機構13を介して接続する第1アキュムレータ油路64として形成されており、第2分岐油路は、第2油路7における圧力変動を吸収する第2アキュムレータ10を第2補助油圧減衰機構としてのアキュムレータ側油圧減衰機構13を介して接続する第2アキュムレータ油路74として形成されている。さらには、第1アキュムレータ油路(第1分岐油路)64と第2アキュムレータ油路(第2分岐油路)74との間の油圧バランスを調整する油圧バランス機構14として、ブリッジ油路BPが設けられている。このブリッジ油路BPの一端は、第1分岐油路64における第1アキュムレータ9とアキュムレータ側油圧減衰機構13との間に接続されているとともに、その他端は、第2アキュムレータ10とアキュムレータ側油圧減衰機構13との間に接続されている。さらにブリッジ油路BPに流量制御機構15が介装されている。ここでは、ブリッジ油路BPと流量制御機構15が油圧バランス機構14として機能している。
この油圧バランス機構は、サスペンション機構の作動時に、両油圧シリンダ4,5等に内部漏れが発生して、第1油路6と第2油路7に生じた作動油量のアンバランスを調整する機能を有する。
【0020】
なお、第1油路6を構成する第1上側油路61と第1接続油路62と第1下側油路63の油路長さに関して、及び、第2油路7を構成する第2上側油路71と第2接続油路72と第2下側油路73の油路長さに関して、それぞれ油路長さをL1、L2、L3とすると、次のような条件を有する。
L1<L3
L2<L3。
より厳しい条件として
(L1+L2)<L3、
を採用してもよい。
ピストンロッドが存在する下室における作動油の流通量は上室における作動油の流通量より少ないので、それぞれ、下側油路63,73における作動油の流れ抵抗は上側油路61,71や接続油路62,72におけるそれよりは小さくなる。このため、上記油路長さ条件に基づいて、それぞれ下側油路63,73の長さを上側油路61,71や接続油路62,72より長くすることで、クロス接続された油圧シリンダ間の油路の流れ抵抗のバランスをとることができる。
【0021】
また、上記油路長さ条件:L1<L3及びL2<L3を実現することで、第1接続油路62を短くするとともに、第1上側油圧減衰機構8aと第1下側油圧減衰機構8bと第1接続油路62とが第1油圧減衰ユニットDU1として一体化することが容易となる。その際、上側油路61を短くすることでこの第1油圧減衰ユニットDU1を第1上側ポート51に近接して配置するか、あるいは実質的に上側油路61の長さをゼロに、つまり直接第1上側ポート51に接続してもよい。同様に、第1接続油路72を短くするとともに、第2上側油圧減衰機構8cと第2下側油圧減衰機構8dと第2接続油路72とが第2油圧減衰ユニットDU2として一体化することができる。そして、上側油路71を短くすれば、第2油圧減衰ユニットDU2を第2上側ポート52に近接配置または直接配置することができる。
なお、第1油圧減衰ユニットDU1として、第1上側油圧減衰機構8aと第1下側油圧減衰機構8bと第1接続油路62と第1アキュムレータ9とを一体化してもよい。同様に、第2油圧減衰ユニットDU2として、第2上側油圧減衰機構8cと第2下側油圧減衰機構8dと第2接続油路72と第2アキュムレータ10とを一体化してもよい。
【0022】
図2で示された、本発明によるサスペンション装置の基本構成では、図1で示された基本構成と比較してみると、流量制御機構15を介して第3アキュムレータ16が接続されていることで異なっている。流量制御機構15は第1接続油路62に対応する流量調整機能と第2接続油路72に対応する流量制御機能を有しており、このような流量制御機能はオリフィス等により作り出すことができる。そして、そのように流量制御された作動油が第3アキュムレータ16に作用するように構成されている。第3アキュムレータ16は、このサスペンション装置の油圧系の温度補償を行うとともに、第1アキュムレータ9及び第2アキュムレータ10に対する容量分担を受け持つことができ、第1アキュムレータ9及び第2アキュムレータ10の小型化に貢献する。
【0023】
図2における基本構成では、第1上側油圧減衰機構8a、第1下側油圧減衰機構8b、第1接続油路62、第1アキュムレータ油路11、アキュムレータ側油圧減衰機構13を、そして必要に応じて第1アキュムレータ9を加えて、第1油圧減衰ユニットDU1としてユニット化することができる。同様に、第2上側油圧減衰機構8c、第2下側油圧減衰機構8d、第2接続油路72、第1アキュムレータ油路12、アキュムレータ側油圧減衰機構13、そして必要に応じて第2アキュムレータ10を加えて、第2油圧減衰ユニットDU2としてユニット化することができる。さらに、ブリッジ油路BP、流量制御機構15、第3アキュムレータ16を油圧バランスユニットDU3としてユニット化することができる。このようなユニット化によってサスペンション装置の構成要素がコンパクトとなり、その搭載性が向上する。
【0024】
また、流量制御機構15を第1油圧減衰ユニットDU1と第2油圧減衰ユニットDU2の間に配置していることから、外乱による圧力変化が小さくなる。これにより、流量制御機構15として、圧力差などを利用し開閉する安価なバルブを使用することができ、その機能も安定する。またブリッジ油路BPとして細い油圧配管を用いることができ、油圧バランスユニットDU3の搭載性も高まる。
【0025】
以下に本発明に係る車両のサスペンション装置の具体的な実施形態の1つが図3に示され、他の1つが図4に示されている。図3によるサスペンション装置は、図1を用いて説明した本発明の基本構成に基づく車両のサスペンション装置を示すもので、一対の前輪(又は後輪)部分を模式的に示す正面図である。図4によるサスペンション装置は、図4によるサスペンション装置は、図2を用いて説明した本発明の基本構成に基づく車両のサスペンション装置を示す正面図である。図3によるサスペンション装置は図4によるサスペンション装置の簡易タイプであるので、以下の実施形態の説明では、図4によるサスペンション装置を例として取り挙げることにする。
【0026】
このサスペンション装置を搭載した車両では、左車輪2A、右車輪2Bは、それぞれ回転軸芯周りに回転自在な状態で、車体1に取り付けられている。左車輪2Aと右車輪2Bは、共通的には車輪2と記載される。
車体1への車輪2の取り付けは、左油圧シリンダ4、及び、右油圧シリンダ5を介して上下に移動可能な状態に取り付けられている。
具体的には、車輪2は、車体1の下端部1aから側方に延びた上下揺動自在なサスペンションリンク3を介して車体1に取り付けられている。
また、左油圧シリンダ4、及び、右油圧シリンダ5は、その上端部は、車体1の支持部1bに取り付けられ、下端部は、サスペンションリンク3の中間部3aに取り付けられ、車体1と車輪2との上下相対移動に対して伸縮して減衰を図れるように構成されている。
【0027】
サスペンション装置は、車体1の左右の各支持部1bと左右の各サスペンションリンク3の中間部3aとにわたって取り付けられた左油圧シリンダ4と右油圧シリンダ5、及び左油圧シリンダ4の上室4Uと右油圧シリンダ5の下室5Lとを連通接続する第1油路6と右油圧シリンダ5の上室5Uと左油圧シリンダ4の下室4Lとを連通接続する第2油路7とを備えている。第1油路6と第2油路7には、それぞれ、各上・下室4U,4L,5U,5Lのポートである第1上側ポート41、第1下側ポート42、第2上側ポート51、第2下側ポート52に対応させて、作動油の圧力ないしは流れ速度に差をつける油圧減衰機構8と、第1・第2アキュムレータ9,10とが設けられている。
尚、第1・第2アキュムレータ9,10は、車両のロール剛性を付与するために設けられている。第1・第2アキュムレータ9,10の容器の中には気体が充填されており、作動油の体積により、その気体の体積が変化することで気体のバネとして作用する。すなわち、第1・第2アキュムレータ9,10に作動油が流入すると、気体が圧縮され、気体のバネ力による反発力が作動油に付加され、車両のロール剛性(スタビライザ機能)を付与する。
【0028】
第1油路6と第1アキュムレータ9とは、第1アキュムレータ油路11によって連通接続してある一方、第2油路7と第2アキュムレータ10とは、第2アキュムレータ油路12によって連通接続してある。第1アキュムレータ油路11、及び、第2アキュムレータ油路12には、第1・第2アキュムレータ9,10に作動油が進入する際に負荷を与えるアキュムレータ側油圧減衰機構13がそれぞれ設けてある。さらに、第1油路6と第2油路7の油路どうしの作動油体積が増減し、差が生じることによる車両傾き等を抑制する油圧バランス機構14が設けられている。この実施形態では、油圧バランス機構14は、第1アキュムレータ油路11の第1アキュムレータ9側部位と第2アキュムレータ油路12の第2アキュムレータ10側部位とを接続し、互いの作動油の移動を許容して作動油体積のバランスをとるブリッジ油路BPを有する。このブリッジ油路BPにおける互いの作動油の移動を相互の圧力差によって制御する流量制御機構15がブリッジ油路BPに設けられている。ここでは、流量制御機構15は、3ポート流量制御弁として形成され、内部室に連通する1つのポートに、主に温度補償用及び第1・第2アキュムレータ9,10の補助用として機能する第3アキュムレータ16が接続されている。
【0029】
なお、両油圧シリンダ4,5は、それぞれピストンによって各上下室が分割されており、ピストンロッドは、下室4L,5Lをそれぞれ貫通する状態に設けられている。
【0030】
各油圧減衰機構8は、対応する上・下室への作動油の進入のみを許容する非制御チェック弁81と、対応する上・下室からの作動油の排出のみを許容すると共に差圧が所定の圧力値以上で開弁しつつ差圧に基づいて流量を調整する制御チェック弁82と、作動油の流れに抵抗を付与する為のオリフィス83とを設けて構成してある。
制御チェック弁82の差圧と流量との関係は、図6に示すとおりである。
非制御チェック弁81、制御チェック弁82には、弁体に閉じ付勢力を与えるスプリング15が備えられており、このスプリング15の付勢力が大きいと、作動油の流動抵抗も大きくなり、逆に、付勢力が小さいと、作動油の流動抵抗も小さくなるように構成されていても良く、リーフ弁構造でもよい。但し、この非制御チェック弁81は、流入時は作動油が流入し易いようにする為に、高い流動抵抗には設定しない。
制御チェック弁82は、流量、差圧に応じて開弁量が変わり、相応した減衰力を発生させるため、例えば、板バネ等による弾性付勢力を流路閉弁方向に作用させるように構成されたものを採用することができる。
【0031】
また、制御チェック弁82と、オリフィス83によって、ピストン速度と流動抵抗(減衰力に相当)との関係は、図5に示すように、ピストン速度の小さい時には、オリフィス83による流動抵抗の立ち上がりが支配的に表れ、ピストン速度が大きくなると、制御チェック弁82による流動抵抗の変化が支配的に表れる。
この図から見られるように、ピストン速度に対して所望する適切な減衰を得ることができる。
【0032】
アキュムレータ側油圧減衰機構13も、図4に示すように、第1・第2アキュムレータ9,10への作動油の進入のみを許容すると共にその圧力が所定の圧力値以上で開弁しつつ圧力値に基づいて流量を調整する制御チェック弁13aと、第1・第2アキュムレータ9,10からの作動油の排出のみを許容する非制御チェック弁13bと、オリフィス13cとを設けて構成している。制御チェック弁13aと非制御チェック弁13bには、弁体に閉じ付勢力を与えるスプリングが備えられており、このスプリングの付勢力が大きいと、作動油の流動抵抗も大きくなり、逆に、付勢力が小さいと、作動油の流動抵抗も小さくなるように構成されていても良く、リーフ弁構造でもよい。非制御チェック弁13bは、第1・第2アキュムレータ9,10から作動油がスムーズに流出するように低い流動抵抗に設定され、制御チェック弁13aは、適切な減衰力が発生するように構成されている。
また、オリフィス13cは、オリフィス83と同様、ピストン速度が小さい領域での減衰力を調整できる。なお、このオリフィス13cは必ずしも必要ではなく、サスペンション装置に要求される性能によっては無くてもよい。
【0033】
3ポート流量制御弁として形成された流量制御機構15の一例が図7に示されている。この流量制御機構15は、第3アキュムレータ16と連通する内室151を形成するハウジング150と、第1分岐油路11側(第1油路6側)のブリッジ油路BPと内室151との間に配置された第1差圧動作チェック弁15aと、第2分岐油路12側(第2油路7側)のブリッジ油路BPと内室151とに接続される第2差圧動作チェック弁15bとを含む。第1差圧動作チェック弁15aは、作動油が第1分岐油路11の側から第2分岐油路12へ流れるときに生ずる圧力差が所定値以上となったときに、その作動油の流れを阻止する。第2差圧動作チェック弁15bは、作動油が第2分岐油路12側から第1分岐油路11へ流れるときに生ずる圧力差が所定値以上となったときに、その作動油の流れを阻止する。これにより、走行安定性の確保を容易に両立させることができる。例えば、平坦な路面を直進走行している場合や停車中の場合のように、左右の車輪がストロークしていない場合には、ブリッジ油路BPは相互に連通した状態にあり、流体は自由に移動し得るので、2つの油路の油量の平衡が維持される。また、車両の旋回運動によりローリングが生じ、左右油圧シリンダ4,5の一方側がストロークし、ブリッジ油路BPの一方側から他方側への作動油の流れによる圧力差が所定値以上の状態が、所定時間以上継続したときには、流量制御機構15によって流体の移動が阻止されるので、確実にローリングが抑制され、走行安定性が確保される。
【0034】
第1差圧動作チェック弁15aと第2差圧動作チェック弁15bは、図7で概略的に示すように、同一構造に形成されている。つまり、ボール152が弁室153に収容され、弁座154に対し、着座したときには弁室153と内室151との連通を遮断するように配設されている。また、ボール152に当接するようにスリーブ155が配設され、スリーブ155はボール152を弁座154から離座させる位置とボール152を弁座154に着座させる位置との間を変位可能である。ボール152に当接するスリーブ155の端面側には、溝が形成されており、ボール152が弁座154に着座していない場合には、スリーブ155がボール152に当接していても、第1の弁室31、第2の弁室32及び第3の弁室33が相互に連通する。両方のスリーブ155は、ボール152を弁座154から離座させる方向にスプリング156によって付勢されている。なお、第3アキュムレータ16は、上記のように流量制御機構15と接続されていること、及び油圧シリンダ4,5に対して補助油圧減衰機構13を経由しているため、油圧シリンダ4,5のストローク等による強い油圧変動を受け難くなっている。このため、第3アキュムレータ16は、第1・第2アキュムレータ9,10ほどの耐久性が要求されず、より安価なものを採用できる。
【0035】
次に、車輪2の動きに対するサスペンション装置の作動状況について説明する。
車輪2の動きとしては、図8に示すような、左油圧シリンダ4,右油圧シリンダ5が共に伸びる「伸びバウンス」と、図9に示すような、左油圧シリンダ4,右油圧シリンダ5が共に縮む「縮みバウンス」と、図10に示すような、左油圧シリンダ4,右油圧シリンダ5の一方が伸び他方が縮む「ロール」とについて説明する。
【0036】
「伸びバウンス」は、両車輪2がリバウンドした場合に生じ、作動油は、図8に示すように、両下室4L,5Lから排出されて、対応する油圧減衰機構8を経由して、反対側シリンダの上室5U,4Uに流入する。この時、一方の下室4L(5L)と他方の上室5U(4U)との間においては、伸び縮の量の絶対値は等しいから、下室4L(5L)から排出されるピストンロッドの容積分の作動油が、アキュムレータ10(9)から非制御チェック弁を経由して上室5U(4U)にスムーズに流れる。以上の作動油の流れにおいては、主に、下室4L,5Lに対応した油圧減衰機構8を経由して作動油が排出されることで、減衰力が発生する。
尚、この時、上室4U,5Uに対応した油圧減衰機構8は、対応する上・下室の油圧を充分に確保するため、スムーズに作動油が流入するような特性に非制御チェック弁が設定されている。
【0037】
「縮みバウンス」は、両車輪2がバウンドした場合に生じ、作動油は、図9に示すように、両上室4U,5Uから排出されて、対応する油圧減衰機構8を経由して、反対側シリンダの下室5L,4Lに流入する。この時、一方の上室4U(5U)と他方の下室5L(4L)との間においては、伸び縮みの量の絶対値は等しいから、上室4U(5U)に進入するピストンロッドの容積分の作動油が、アキュムレータ側油圧減衰機構13を経由してアキュムレータ9(10)に流入する。以上の作動油の流れにおいては、上室4U,5Uに対応した油圧減衰機構8を経由して作動油が排出されることで、減衰力が発生する。
尚、この時、アキュムレータ側油圧減衰機構13を通過するロッド容積分の作動油の流量は小さく、アキュムレータ側油圧減衰機構13により発生する減衰力は小さい。また、下室4L,5Lに対応した油圧減衰機構8は、対応する上・下室の油圧を充分確保するため、スムーズに作動油が流入するような特性に非制御チェック弁が設定されている。
【0038】
「ロール」は、車両が右又は左に旋回した時に生じ、ここでは、左旋回した場合を説明する。
左車輪2A(旋回内輪)は、相対的にリバウンド方向に動き、作動油は、図10に示すように、下室4Lから排出されて、対応する油圧減衰機構8、及び、アキュムレータ側油圧減衰機構13を経由して、アキュムレータ10に流入する。右車輪2B(旋回外輪)は、相対的にバウンド方向に動き、作動油は、図10に示すように、上室5Uから排出されて、対応する油圧減衰機構8、及び、アキュムレータ側油圧減衰機構13を経由して、アキュムレータ10に流入する。この時、左油圧シリンダ4の下室4Lに対応した油圧減衰機構8と、右油圧シリンダ5の上室5Uに対応した油圧減衰機構8と、アキュムレータ10に対応したアキュムレータ側油圧減衰機構13とによって、大きな減衰効果を発揮できる。
また、左油圧シリンダ4の上室4U、及び、右油圧シリンダ5の下室5Lには、アキュムレータ9から作動油が供給されるが、それぞれに対応した油圧減衰機構8は、対応する上・下室4L,5Uの油圧を充分確保するため、スムーズに作動油が流入するように上室4Uと下室5Lの非制御チェック弁81は設定されている。
【0039】
以上の「伸びバウンス」、「縮みバウンス」、「ロール」に対する衝撃減衰力の特性は、図5のように表すことができる。破線は、「伸びバウンス」、「縮みバウンス」を示し、実線は「ロール」を示しており、横軸がピストン速度であり、縦軸は減衰力を示している。ピストン速度の変化に伴って、線形が屈曲しており、初期の急勾配のエリアは、主に油圧減衰機構8のオリフィスによる減衰効果が現れている。緩やかな勾配のエリアは、各油圧減衰機構8、アキュムレータ側油圧減衰機構13による減衰効果が現れている。
【0040】
上述したサスペンション装置によれば、車輪2の上下の動きに応じた油圧減衰機構8やアキュムレータ側油圧減衰機構13の作用によって、複雑な機械機構や制御機構を設けなくても、「伸びバウンス」や「縮みバウンス」や「ロール」に対して良好な衝撃減衰を図ることができ、走行安定性の確保と、良好な乗り心地の確保とを両立することが可能となる。
また、本実施形態のサスペンション装置によれば、アブソーバー機能とスタビライザ機能を兼ねることができ、スタビライザバーを省略することも可能となって、車輪2まわりの構造の簡単化を図ることができる。
【0041】
なお、第1油圧減衰ユニットDU1では、ロール時の作動油の流れが、第1上側ポート41から流れ込んでくる作動油の流速が第1上側油圧減衰機構8aによって低下し、第1下側ポート52から流れ込んでくる作動油の流速が第1下側油圧減衰機構8bによって低下するように油路形成されている。その際、さらに双方の流速が低下した、相反する方向ベクトルを有する作動油が第1接続油路62で合流することで、圧損ができるだけ抑えられるように油路形成されている。また、合流した作動油に圧力変動が生じた場合には、その圧力変動は、合流した作動油が第1アキュムレータ油路11を通じて第1アキュムレータ9に流れ込むことによって吸収される。従って、第1アキュムレータ油路11と第1接続油路62の油路形成も第1接続油路62で合流した作動油がスムーズに第1アキュムレータ油路11に流れ込むことができるように形成されている。このような第1油圧減衰ユニットDU1の油路構成はもちろん第2油圧減衰ユニットDU2にも適用されている。
【0042】
また、油圧減衰機構8やアキュムレータ側油圧減衰機構13や流量制御機構15は、上述した実施形態で説明したような具体構成に限るものではなく、開弁状態を電気的に制御する構成を組み込むものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、前輪、後輪における車両のサスペンション装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 車体
2A 左車輪
2B 右車輪
4 左油圧シリンダ(第1油圧シリンダ)
4U 上室
4L 下室
41 上側ポート(第1上側ポート)
42 下側ポート(第1下側ポート)
5 右油圧シリンダ(第2油圧シリンダ)
5U 上室
5L 下室
51 上側ポート(第2上側ポート)
52 下側ポート(第2下側ポート)
6 第1油路
61 上側油路(第1上側油路)
62 接続油路(第1接続油路)
63 下側油路(第1下側油路)
11 第1アキュムレータ油路(第1分岐油路)
7 第2油路
71 上側油路(第2上側油路)
72 接続油路(第2接続油路)
73 下側油路(第2下側油路)
12 第2アキュムレータ油路(第2分岐油路)
8 油圧減衰機構
8a 第1上側油圧減衰機構
8b 第1下側油圧減衰機構
8c 第2上側油圧減衰機構
8d 第2下側油圧減衰機構
81 非制御チェック弁
82 制御チェック弁
83 オリフィス
9 第1アキュムレータ
10 第2アキュムレータ
13 アキュムレータ側油圧減衰機構(第1・第2補助油圧減衰機構)
14 油圧バランス機構
15 流量制御機構
16 第3アキュムレータ
DU1 第1油圧減衰ユニット
DU2 第2油圧減衰ユニット
DU3 油圧バランスユニット
BP ブリッジ油路
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の上下動(例えば、バウンスやロール)に応じた減衰力を発生させる車両のサスペンション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両のサスペンション装置としては、左の車輪と車体との間、及び、右の車輪と車体との間にそれぞれショックアブソーバを介在させると共に、ショックアブソーバとは別に、左の車輪と車体との間に介在された左油圧シリンダと、右の車輪と車体との間に介在された右油圧シリンダと、前記左油圧シリンダの上シリンダ室と前記右油圧シリンダの下シリンダ室とを連通接続する第1油路と、前記右油圧シリンダの上シリンダ室と前記左油圧シリンダの下シリンダ室とを連通接続する第2油路と、第1油路とリザーバタンクを連通接続する第3油路と、第2油路とリザーバタンクを連通接続する第4油路と、第3油路と第4油路とに夫々設けた可変絞りとを備えた減衰機構を設け、車輪と車体との相対的な上下動の状況に伴って可変絞りの絞り度合を制御して減衰係数を調整する制御機構とを備えたものが、特許文献1に記載されている。
この車両のサスペンション装置によれば、ショックアブソーバと油圧シリンダ方式の減衰機構との両方を並設してあることから、車輪まわりの構造が複雑になっている問題点がある。また、車輪と車体との相対的な上下動(量や速度等)を検出して、それに伴う減衰機構のコントロールが必要となり、装置としての制御が繁雑になり易い問題点がある。
【0003】
さらに、シリンダ内がピストンによって上部オイル室と下部オイル室とに画成された右車輪側油圧シリンダおよび左車輪側油圧シリンダを、車輪側と車体側のうち一方にシリンダ本体を連結し他方にピストンを連結して車輪側と車体側の間に介装し、右車輪側油圧シリンダの上部オイル室と左車輪側油圧シリンダの下部オイル室とを第1連通路を介して連通させ、かつ右車輪側油圧シリンダの下部オイル室と左車輪側油圧シリンダの上部オイル室とを第2連通路を介して連通させ、これら第1連通路と第2連通路に、減衰発生用絞り部材をそれぞれ介装すると共に、シリンダ内がフリーピストンによって高圧ガス室とオイル室とに画成されオイル室が絞りを介して接続口に連通されたダンパをそれぞれ接続した、四輪車両用サスペンション装置が、特許文献2に記載されている。
このサスペンション装置では、車体がローリングすることをバンシングすることによる油圧シリンダの伸縮動作を、作動油が第1第・2連通路中の絞り部材やダンパの絞りを通過するときの通過抵抗によって減衰することで、良好な減衰特性を作り出そうとしている。しかしながら、このサスペンション装置では、左車輪側と右車輪側の油圧シリンダの作動の繰り返しにともなってそれぞれの上室ないしは下室の作動油が内部漏れすると、左側と右側の油圧シリンダにおける油圧バランスが悪くなり、車両が左右に傾斜してしまうという不都合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−193331号公報(段落番号〔0011−0048〕、図2)
【特許文献2】特開平5−213040号公報(段落番号〔0008−0046〕、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記実情に鑑み、車両のサスペンション装置において、クロス接続されたサスペンション用油圧シリンダ対の上室・下室の作動油の漏れ等にともなう油圧バランスの悪化を抑制することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明による車両のサスペンション装置は、左右車輪の一方と車体との間に介在され上室と下室とを有する第1油圧シリンダと、前記左右車輪の他方と前記車体との間に介在され上室と下室とを有する第2油圧シリンダと、前記第1油圧シリンダの上室に開口する第1上側ポートと前記第2油圧シリンダの下室に開口する第1下側ポートとを連通接続する第1油路と、前記第2油圧シリンダの上室に開口する第2上側ポートと前記第1油圧シリンダの下室に開口する第2下側ポートとを連通接続する第2油路と、前記第1油路に設けられた第1油圧減衰機構と、前記第2油路に設けられた第2油圧減衰機構と、第1補助油圧減衰機構を有する第1分岐油路を介して前記第1油路に接続された第1アキュムレータと、第2補助油圧減衰機構を有する第2分岐油路を介して前記第2油路に接続された第2アキュムレータと、一端が前記第1分岐油路における前記第1アキュムレータと前記第1補助油圧減衰機構との間に接続されているとともに、他端が前記第2油路における前記第2アキュムレータと前記第2補助油圧減衰機構との間に接続されているブリッジ油路とを備えている。
【0007】
繰り返される油圧シリンダの作動により油圧シリンダのそれぞれの上室ないしは下室の作動油が内部漏れすると、第1油路と第2油路との間で作動油の油量が変動して油圧バランスが悪くなる。しかしながら、この構成では、第1油路と第2油路との間の油圧バランスを調整する油圧バランス機構としての機能するブリッジ油路によって第1油路と第2油路との油圧バランスも調整される。従って、油圧シリンダの上室と下室との間の内部漏れがあっても、ブリッジ油路(油圧バランス機構)によって油量は平衡化されるので車両が左右に傾斜するという不都合は抑制される。さらに、ブリッジ油路や第1・第2アキュムレータに流れ込む作動油はそれぞれ第1補助油圧減衰機構や第2補助油圧減衰機構によって減衰作用をうけるので、油圧衝撃が低減される。なお、補助油圧減衰機構のもっとも簡単な構成例は、オリフィスである。
【0008】
また、前記ブリッジ油路に流量制御機構が介装されることも好都合である。これにより、第1分岐油路と第2分岐油路とを流量制御機構によって流量調整されるブリッジ油路で連通することで、第1分岐油路と第2分岐油路との間で作動油が流通し、第1分岐油路と第2分岐油路との油圧バランス、結果的には第1油路と第2油路との油圧バランスが調整される。
【0009】
さらには、前記流量制御機構を介して前記ブリッジ油路に第3アキュムレータが接続されることも好適である。ブリッジ油路に第3アキュムレータが接続することにより、ブリッジ油路における油圧変化をスムーズに調整することができ、またこの油圧系の温度補償としても機能することができる。また、この第3アキュムレータは油圧シリンダとともに油圧シリンダサスペンション機能を作り出している第1・第2アキュムレータを容量的に補助することも可能であり、そのことにより第1・第2アキュムレータの容量を小さくすることが可能となる。上述した、ブリッジ油路、前記流量制御機構、第3アキュムレータは、第1油路と第2油路との間の油圧バランスを調整する油圧バランス機構として機能する。
【0010】
さらに、前記流量制御機構は、前記第3アキュムレータと連通する内室を形成するハウジングと、前記第1分岐油路側の前記ブリッジ油路と前記内室との間に配置された第1差圧動作チェック弁と、前記第2分岐油路側の前記ブリッジ油路と前記内室とに接続される第2差圧動作チェック弁とを含むように構成すると好都合である。そのような構成により、流量制御機構における圧力変化を小さくすることができるので、この流量制御機構につながる油路の配管径を小さくすることができ、配管構造的に有利となる。
【0011】
また、前記流量制御機構を、前記ブリッジ油路に前記ブリッジ油路と前記第3アキュムレータとの接続部の両側に設けられたオリフィスで構成することも可能である。これにより、流量制御機構の構造は簡素化される。
【0012】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記ブリッジ油路との接続部より前記第1油路側の前記第1分岐油路に第1補助油圧減衰機構が設けられ、前記ブリッジ油路との接続部より前記第2油路側の前記第2分岐油路に第2補助油圧減衰機構が設けられている。つまり、第1分岐油路におけるアキュムレータと補助油圧減衰機構との間の部位と、第2分岐油路におけるアキュムレータと補助油圧減衰機構との間の部位とをブリッジ油路で連通するのである。これにより、第1油路や第2油路に油圧変動が生じても、補助油圧減衰機構がバッファとなることで第3アキュムレータの動作が安定し、その温度補償機能が安定する。
【0013】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記第1油圧減衰機構は、前記第1油路の前記第1上側ポート側に設けられた第1上側油圧減衰機構と前記第1油路の前記第2下側ポート側に設けられた第1下側油圧減衰機構とを有し、前記第2油圧減衰機構は、前記第2油路の前記第2上側ポート側に設けられた第2上側油圧減衰機構と前記第2油路の前記第1下側ポート側に設けられた第2下側油圧減衰機構とを有し、前記第1分岐油路は前記第1上側油圧減衰機構と前記第1下側油圧減衰機構との間に接続され、前記第2分岐油路は前記第2上側油圧減衰機構と前記第2下側油圧減衰機構との間に接続されている。この構成によれば、各シリンダのポートから出た作動油は、それぞれに対応付けられた油圧減衰機構によって適切な減衰作用を受けることから、車体の安定性が向上する。
その際、上側油圧減衰機構と下側油圧減衰機構との間を接続する接続油路の長さを短くする構成を採用するならば、ロール時等で第1油路や第2油路において左右の油圧シリンダから流れてくる作動油が衝突する場合でも、上側油圧減衰機構及び下側油圧減衰機構によってその流速が低下させられているので衝突による圧損が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるサスペンション装置の基本構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明によるサスペンション装置の基本構成の変形例を示す模式図である。
【図3】本発明によるサスペンション装置の実施形態の一例を模式的に示す正面図である。
【図4】図3による本発明によるサスペンション装置の実施形態の変形例を模式的に示す正面図である。
【図5】ピストン速度と減衰力との関係を示す説明図である。
【図6】制御チェック弁の圧力と流量との関係を示す説明図である。
【図7】ユニット化された油圧バランス機構を示す断面模式図である。
【図8】サスペンション装置の作用を示す模式図である。
【図9】サスペンション装置の作用を示す模式図である。
【図10】サスペンション装置の作用を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による車両のサスペンション装置の実施形態を説明する前に、その基本構成を、図1と図2とを用いて以下に説明する。
このサスペンション装置の中核構成要素は、左車輪2Aと車体1との間に介在する第1油圧シリンダ(以後左油圧シリンダまたは単に油圧シリンダと称する)4と、右車輪2Bと車体1との間に介在する第2油圧シリンダ5(以後右油圧シリンダまたは単に油圧シリンダと称する)である。左油圧シリンダ4はピストンによって区分けられる上室4Uと下室4Lとを有し、そのピストンロッドは下室4Lを貫通している。左油圧シリンダ4の周壁には、上室4Uに開口する第1上側ポート(単に上側ポートとも称する)41と、下室4Lに開口する第1下側ポート(単に下側ポートとも称する)42とが設けられている。同様に、右油圧シリンダ5はピストンによって区分けられる上室5Uと下室5Lとを有し、そのピストンロッドは下室5Lを貫通している。右油圧シリンダ5の周壁には、上室5Uに開口する第2上側ポート(単に上側ポートとも称する)51と、下室5Lに開口する第2下側ポート(単に下側ポートとも称する)52とが設けられている。この例では、左車輪2Aと右車輪2Bとは、模式的にしか示されていないサスペンションリンクにより車体に連結されており、両油圧シリンダ4,5のピストンロッドもサスペンションリンクに連結されている。
【0016】
左油圧シリンダ4の上側ポート41と第2油圧シリンダ5の下側ポート52とは、第1油路6によって連通接続され、右油圧シリンダ5の上側ポート51と第1油圧シリンダ4の下側ポート42とは、第2油路7によって連通接続されている。つまり、左油圧シリンダ4と右油圧シリンダ5はクロス接続されている。
【0017】
第1油路6と第2油路7とには、それぞれ第1油圧減衰機構8と第2油圧減衰機構8が設けられている。ここでは、第1油圧減衰機構8は、第1油路6の第1上側ポート41側に設けられた第1上側油圧減衰機構8aと、第1油路6の第2下側ポート52側に設けられた第1下側油圧減衰機構8bとからなる。同様に、第2油圧減衰機構8は、第2油路7の第2上側ポート51側に設けられた第2上側油圧減衰機構8cと、第2油路7の第1下側ポート42側に設けられた第2下側油圧減衰機構8dとからなる。その際、第1上側油圧減衰機構8aと第1下側油圧減衰機構8bの両者は、第1油路6の経路に介して第1上側ポート41側つまり左油圧シリンダ4の上室4U側に大きく偏って位置している。同様に、第2上側油圧減衰機構8cと第2下側油圧減衰機構8dの両者は、第2上側ポート51側つまり右油圧シリンダ5の上室5U側に大きく偏って位置している。第1上側油圧減衰機構8a、第1下側油圧減衰機構8b、第2上側油圧減衰機構8c、第2下側油圧減衰機構8dは、実質的に共通した構造を有していることから、ここでは単に油圧減衰機構8という共通的に用いられる語句でも記載される。また、第1油圧減衰機構8と第2油圧減衰機構8も、特に区別する必要がない場合には、単に油圧減衰機構8と記載される。油圧減衰機構8は、基本的にはその内部油路に絞られた小径部、例えばオリフィスを有し、クロス接続された油圧シリンダ間の作動油の流通速度を緩くすることで減衰作用を作り出す。
【0018】
第1油路6は、第1上側ポート41と第1上側油圧減衰機構8aとを接続する第1上側油路61、第1上側油圧減衰機構8aと第1下側油圧減衰機構8bとを接続する第1接続油路62、第1下側油圧減衰機構8bと第2下側ポート52とを接続する第1下側油路63とを含んでいる。同様に、第2油路7は、第2上側ポート51と第2上側油圧減衰機構8cとを接続する第2上側油路71、第2上側油圧減衰機構8cと第2下側油圧減衰機構8dとを接続する第2接続油路72、第2下側油圧減衰機構8dと第1下側ポート42とを接続する第2下側油路73とを含んでいる。
【0019】
第1接続油路62から第1分岐油路が分岐しており、第2接続油路72から第2分岐油路が分岐している。第1分岐油路は、第1油路6における圧力変動を吸収する第1アキュムレータ9を第1補助油圧減衰機構としてのアキュムレータ側油圧減衰機構13を介して接続する第1アキュムレータ油路64として形成されており、第2分岐油路は、第2油路7における圧力変動を吸収する第2アキュムレータ10を第2補助油圧減衰機構としてのアキュムレータ側油圧減衰機構13を介して接続する第2アキュムレータ油路74として形成されている。さらには、第1アキュムレータ油路(第1分岐油路)64と第2アキュムレータ油路(第2分岐油路)74との間の油圧バランスを調整する油圧バランス機構14として、ブリッジ油路BPが設けられている。このブリッジ油路BPの一端は、第1分岐油路64における第1アキュムレータ9とアキュムレータ側油圧減衰機構13との間に接続されているとともに、その他端は、第2アキュムレータ10とアキュムレータ側油圧減衰機構13との間に接続されている。さらにブリッジ油路BPに流量制御機構15が介装されている。ここでは、ブリッジ油路BPと流量制御機構15が油圧バランス機構14として機能している。
この油圧バランス機構は、サスペンション機構の作動時に、両油圧シリンダ4,5等に内部漏れが発生して、第1油路6と第2油路7に生じた作動油量のアンバランスを調整する機能を有する。
【0020】
なお、第1油路6を構成する第1上側油路61と第1接続油路62と第1下側油路63の油路長さに関して、及び、第2油路7を構成する第2上側油路71と第2接続油路72と第2下側油路73の油路長さに関して、それぞれ油路長さをL1、L2、L3とすると、次のような条件を有する。
L1<L3
L2<L3。
より厳しい条件として
(L1+L2)<L3、
を採用してもよい。
ピストンロッドが存在する下室における作動油の流通量は上室における作動油の流通量より少ないので、それぞれ、下側油路63,73における作動油の流れ抵抗は上側油路61,71や接続油路62,72におけるそれよりは小さくなる。このため、上記油路長さ条件に基づいて、それぞれ下側油路63,73の長さを上側油路61,71や接続油路62,72より長くすることで、クロス接続された油圧シリンダ間の油路の流れ抵抗のバランスをとることができる。
【0021】
また、上記油路長さ条件:L1<L3及びL2<L3を実現することで、第1接続油路62を短くするとともに、第1上側油圧減衰機構8aと第1下側油圧減衰機構8bと第1接続油路62とが第1油圧減衰ユニットDU1として一体化することが容易となる。その際、上側油路61を短くすることでこの第1油圧減衰ユニットDU1を第1上側ポート51に近接して配置するか、あるいは実質的に上側油路61の長さをゼロに、つまり直接第1上側ポート51に接続してもよい。同様に、第1接続油路72を短くするとともに、第2上側油圧減衰機構8cと第2下側油圧減衰機構8dと第2接続油路72とが第2油圧減衰ユニットDU2として一体化することができる。そして、上側油路71を短くすれば、第2油圧減衰ユニットDU2を第2上側ポート52に近接配置または直接配置することができる。
なお、第1油圧減衰ユニットDU1として、第1上側油圧減衰機構8aと第1下側油圧減衰機構8bと第1接続油路62と第1アキュムレータ9とを一体化してもよい。同様に、第2油圧減衰ユニットDU2として、第2上側油圧減衰機構8cと第2下側油圧減衰機構8dと第2接続油路72と第2アキュムレータ10とを一体化してもよい。
【0022】
図2で示された、本発明によるサスペンション装置の基本構成では、図1で示された基本構成と比較してみると、流量制御機構15を介して第3アキュムレータ16が接続されていることで異なっている。流量制御機構15は第1接続油路62に対応する流量調整機能と第2接続油路72に対応する流量制御機能を有しており、このような流量制御機能はオリフィス等により作り出すことができる。そして、そのように流量制御された作動油が第3アキュムレータ16に作用するように構成されている。第3アキュムレータ16は、このサスペンション装置の油圧系の温度補償を行うとともに、第1アキュムレータ9及び第2アキュムレータ10に対する容量分担を受け持つことができ、第1アキュムレータ9及び第2アキュムレータ10の小型化に貢献する。
【0023】
図2における基本構成では、第1上側油圧減衰機構8a、第1下側油圧減衰機構8b、第1接続油路62、第1アキュムレータ油路11、アキュムレータ側油圧減衰機構13を、そして必要に応じて第1アキュムレータ9を加えて、第1油圧減衰ユニットDU1としてユニット化することができる。同様に、第2上側油圧減衰機構8c、第2下側油圧減衰機構8d、第2接続油路72、第1アキュムレータ油路12、アキュムレータ側油圧減衰機構13、そして必要に応じて第2アキュムレータ10を加えて、第2油圧減衰ユニットDU2としてユニット化することができる。さらに、ブリッジ油路BP、流量制御機構15、第3アキュムレータ16を油圧バランスユニットDU3としてユニット化することができる。このようなユニット化によってサスペンション装置の構成要素がコンパクトとなり、その搭載性が向上する。
【0024】
また、流量制御機構15を第1油圧減衰ユニットDU1と第2油圧減衰ユニットDU2の間に配置していることから、外乱による圧力変化が小さくなる。これにより、流量制御機構15として、圧力差などを利用し開閉する安価なバルブを使用することができ、その機能も安定する。またブリッジ油路BPとして細い油圧配管を用いることができ、油圧バランスユニットDU3の搭載性も高まる。
【0025】
以下に本発明に係る車両のサスペンション装置の具体的な実施形態の1つが図3に示され、他の1つが図4に示されている。図3によるサスペンション装置は、図1を用いて説明した本発明の基本構成に基づく車両のサスペンション装置を示すもので、一対の前輪(又は後輪)部分を模式的に示す正面図である。図4によるサスペンション装置は、図4によるサスペンション装置は、図2を用いて説明した本発明の基本構成に基づく車両のサスペンション装置を示す正面図である。図3によるサスペンション装置は図4によるサスペンション装置の簡易タイプであるので、以下の実施形態の説明では、図4によるサスペンション装置を例として取り挙げることにする。
【0026】
このサスペンション装置を搭載した車両では、左車輪2A、右車輪2Bは、それぞれ回転軸芯周りに回転自在な状態で、車体1に取り付けられている。左車輪2Aと右車輪2Bは、共通的には車輪2と記載される。
車体1への車輪2の取り付けは、左油圧シリンダ4、及び、右油圧シリンダ5を介して上下に移動可能な状態に取り付けられている。
具体的には、車輪2は、車体1の下端部1aから側方に延びた上下揺動自在なサスペンションリンク3を介して車体1に取り付けられている。
また、左油圧シリンダ4、及び、右油圧シリンダ5は、その上端部は、車体1の支持部1bに取り付けられ、下端部は、サスペンションリンク3の中間部3aに取り付けられ、車体1と車輪2との上下相対移動に対して伸縮して減衰を図れるように構成されている。
【0027】
サスペンション装置は、車体1の左右の各支持部1bと左右の各サスペンションリンク3の中間部3aとにわたって取り付けられた左油圧シリンダ4と右油圧シリンダ5、及び左油圧シリンダ4の上室4Uと右油圧シリンダ5の下室5Lとを連通接続する第1油路6と右油圧シリンダ5の上室5Uと左油圧シリンダ4の下室4Lとを連通接続する第2油路7とを備えている。第1油路6と第2油路7には、それぞれ、各上・下室4U,4L,5U,5Lのポートである第1上側ポート41、第1下側ポート42、第2上側ポート51、第2下側ポート52に対応させて、作動油の圧力ないしは流れ速度に差をつける油圧減衰機構8と、第1・第2アキュムレータ9,10とが設けられている。
尚、第1・第2アキュムレータ9,10は、車両のロール剛性を付与するために設けられている。第1・第2アキュムレータ9,10の容器の中には気体が充填されており、作動油の体積により、その気体の体積が変化することで気体のバネとして作用する。すなわち、第1・第2アキュムレータ9,10に作動油が流入すると、気体が圧縮され、気体のバネ力による反発力が作動油に付加され、車両のロール剛性(スタビライザ機能)を付与する。
【0028】
第1油路6と第1アキュムレータ9とは、第1アキュムレータ油路11によって連通接続してある一方、第2油路7と第2アキュムレータ10とは、第2アキュムレータ油路12によって連通接続してある。第1アキュムレータ油路11、及び、第2アキュムレータ油路12には、第1・第2アキュムレータ9,10に作動油が進入する際に負荷を与えるアキュムレータ側油圧減衰機構13がそれぞれ設けてある。さらに、第1油路6と第2油路7の油路どうしの作動油体積が増減し、差が生じることによる車両傾き等を抑制する油圧バランス機構14が設けられている。この実施形態では、油圧バランス機構14は、第1アキュムレータ油路11の第1アキュムレータ9側部位と第2アキュムレータ油路12の第2アキュムレータ10側部位とを接続し、互いの作動油の移動を許容して作動油体積のバランスをとるブリッジ油路BPを有する。このブリッジ油路BPにおける互いの作動油の移動を相互の圧力差によって制御する流量制御機構15がブリッジ油路BPに設けられている。ここでは、流量制御機構15は、3ポート流量制御弁として形成され、内部室に連通する1つのポートに、主に温度補償用及び第1・第2アキュムレータ9,10の補助用として機能する第3アキュムレータ16が接続されている。
【0029】
なお、両油圧シリンダ4,5は、それぞれピストンによって各上下室が分割されており、ピストンロッドは、下室4L,5Lをそれぞれ貫通する状態に設けられている。
【0030】
各油圧減衰機構8は、対応する上・下室への作動油の進入のみを許容する非制御チェック弁81と、対応する上・下室からの作動油の排出のみを許容すると共に差圧が所定の圧力値以上で開弁しつつ差圧に基づいて流量を調整する制御チェック弁82と、作動油の流れに抵抗を付与する為のオリフィス83とを設けて構成してある。
制御チェック弁82の差圧と流量との関係は、図6に示すとおりである。
非制御チェック弁81、制御チェック弁82には、弁体に閉じ付勢力を与えるスプリング15が備えられており、このスプリング15の付勢力が大きいと、作動油の流動抵抗も大きくなり、逆に、付勢力が小さいと、作動油の流動抵抗も小さくなるように構成されていても良く、リーフ弁構造でもよい。但し、この非制御チェック弁81は、流入時は作動油が流入し易いようにする為に、高い流動抵抗には設定しない。
制御チェック弁82は、流量、差圧に応じて開弁量が変わり、相応した減衰力を発生させるため、例えば、板バネ等による弾性付勢力を流路閉弁方向に作用させるように構成されたものを採用することができる。
【0031】
また、制御チェック弁82と、オリフィス83によって、ピストン速度と流動抵抗(減衰力に相当)との関係は、図5に示すように、ピストン速度の小さい時には、オリフィス83による流動抵抗の立ち上がりが支配的に表れ、ピストン速度が大きくなると、制御チェック弁82による流動抵抗の変化が支配的に表れる。
この図から見られるように、ピストン速度に対して所望する適切な減衰を得ることができる。
【0032】
アキュムレータ側油圧減衰機構13も、図4に示すように、第1・第2アキュムレータ9,10への作動油の進入のみを許容すると共にその圧力が所定の圧力値以上で開弁しつつ圧力値に基づいて流量を調整する制御チェック弁13aと、第1・第2アキュムレータ9,10からの作動油の排出のみを許容する非制御チェック弁13bと、オリフィス13cとを設けて構成している。制御チェック弁13aと非制御チェック弁13bには、弁体に閉じ付勢力を与えるスプリングが備えられており、このスプリングの付勢力が大きいと、作動油の流動抵抗も大きくなり、逆に、付勢力が小さいと、作動油の流動抵抗も小さくなるように構成されていても良く、リーフ弁構造でもよい。非制御チェック弁13bは、第1・第2アキュムレータ9,10から作動油がスムーズに流出するように低い流動抵抗に設定され、制御チェック弁13aは、適切な減衰力が発生するように構成されている。
また、オリフィス13cは、オリフィス83と同様、ピストン速度が小さい領域での減衰力を調整できる。なお、このオリフィス13cは必ずしも必要ではなく、サスペンション装置に要求される性能によっては無くてもよい。
【0033】
3ポート流量制御弁として形成された流量制御機構15の一例が図7に示されている。この流量制御機構15は、第3アキュムレータ16と連通する内室151を形成するハウジング150と、第1分岐油路11側(第1油路6側)のブリッジ油路BPと内室151との間に配置された第1差圧動作チェック弁15aと、第2分岐油路12側(第2油路7側)のブリッジ油路BPと内室151とに接続される第2差圧動作チェック弁15bとを含む。第1差圧動作チェック弁15aは、作動油が第1分岐油路11の側から第2分岐油路12へ流れるときに生ずる圧力差が所定値以上となったときに、その作動油の流れを阻止する。第2差圧動作チェック弁15bは、作動油が第2分岐油路12側から第1分岐油路11へ流れるときに生ずる圧力差が所定値以上となったときに、その作動油の流れを阻止する。これにより、走行安定性の確保を容易に両立させることができる。例えば、平坦な路面を直進走行している場合や停車中の場合のように、左右の車輪がストロークしていない場合には、ブリッジ油路BPは相互に連通した状態にあり、流体は自由に移動し得るので、2つの油路の油量の平衡が維持される。また、車両の旋回運動によりローリングが生じ、左右油圧シリンダ4,5の一方側がストロークし、ブリッジ油路BPの一方側から他方側への作動油の流れによる圧力差が所定値以上の状態が、所定時間以上継続したときには、流量制御機構15によって流体の移動が阻止されるので、確実にローリングが抑制され、走行安定性が確保される。
【0034】
第1差圧動作チェック弁15aと第2差圧動作チェック弁15bは、図7で概略的に示すように、同一構造に形成されている。つまり、ボール152が弁室153に収容され、弁座154に対し、着座したときには弁室153と内室151との連通を遮断するように配設されている。また、ボール152に当接するようにスリーブ155が配設され、スリーブ155はボール152を弁座154から離座させる位置とボール152を弁座154に着座させる位置との間を変位可能である。ボール152に当接するスリーブ155の端面側には、溝が形成されており、ボール152が弁座154に着座していない場合には、スリーブ155がボール152に当接していても、第1の弁室31、第2の弁室32及び第3の弁室33が相互に連通する。両方のスリーブ155は、ボール152を弁座154から離座させる方向にスプリング156によって付勢されている。なお、第3アキュムレータ16は、上記のように流量制御機構15と接続されていること、及び油圧シリンダ4,5に対して補助油圧減衰機構13を経由しているため、油圧シリンダ4,5のストローク等による強い油圧変動を受け難くなっている。このため、第3アキュムレータ16は、第1・第2アキュムレータ9,10ほどの耐久性が要求されず、より安価なものを採用できる。
【0035】
次に、車輪2の動きに対するサスペンション装置の作動状況について説明する。
車輪2の動きとしては、図8に示すような、左油圧シリンダ4,右油圧シリンダ5が共に伸びる「伸びバウンス」と、図9に示すような、左油圧シリンダ4,右油圧シリンダ5が共に縮む「縮みバウンス」と、図10に示すような、左油圧シリンダ4,右油圧シリンダ5の一方が伸び他方が縮む「ロール」とについて説明する。
【0036】
「伸びバウンス」は、両車輪2がリバウンドした場合に生じ、作動油は、図8に示すように、両下室4L,5Lから排出されて、対応する油圧減衰機構8を経由して、反対側シリンダの上室5U,4Uに流入する。この時、一方の下室4L(5L)と他方の上室5U(4U)との間においては、伸び縮の量の絶対値は等しいから、下室4L(5L)から排出されるピストンロッドの容積分の作動油が、アキュムレータ10(9)から非制御チェック弁を経由して上室5U(4U)にスムーズに流れる。以上の作動油の流れにおいては、主に、下室4L,5Lに対応した油圧減衰機構8を経由して作動油が排出されることで、減衰力が発生する。
尚、この時、上室4U,5Uに対応した油圧減衰機構8は、対応する上・下室の油圧を充分に確保するため、スムーズに作動油が流入するような特性に非制御チェック弁が設定されている。
【0037】
「縮みバウンス」は、両車輪2がバウンドした場合に生じ、作動油は、図9に示すように、両上室4U,5Uから排出されて、対応する油圧減衰機構8を経由して、反対側シリンダの下室5L,4Lに流入する。この時、一方の上室4U(5U)と他方の下室5L(4L)との間においては、伸び縮みの量の絶対値は等しいから、上室4U(5U)に進入するピストンロッドの容積分の作動油が、アキュムレータ側油圧減衰機構13を経由してアキュムレータ9(10)に流入する。以上の作動油の流れにおいては、上室4U,5Uに対応した油圧減衰機構8を経由して作動油が排出されることで、減衰力が発生する。
尚、この時、アキュムレータ側油圧減衰機構13を通過するロッド容積分の作動油の流量は小さく、アキュムレータ側油圧減衰機構13により発生する減衰力は小さい。また、下室4L,5Lに対応した油圧減衰機構8は、対応する上・下室の油圧を充分確保するため、スムーズに作動油が流入するような特性に非制御チェック弁が設定されている。
【0038】
「ロール」は、車両が右又は左に旋回した時に生じ、ここでは、左旋回した場合を説明する。
左車輪2A(旋回内輪)は、相対的にリバウンド方向に動き、作動油は、図10に示すように、下室4Lから排出されて、対応する油圧減衰機構8、及び、アキュムレータ側油圧減衰機構13を経由して、アキュムレータ10に流入する。右車輪2B(旋回外輪)は、相対的にバウンド方向に動き、作動油は、図10に示すように、上室5Uから排出されて、対応する油圧減衰機構8、及び、アキュムレータ側油圧減衰機構13を経由して、アキュムレータ10に流入する。この時、左油圧シリンダ4の下室4Lに対応した油圧減衰機構8と、右油圧シリンダ5の上室5Uに対応した油圧減衰機構8と、アキュムレータ10に対応したアキュムレータ側油圧減衰機構13とによって、大きな減衰効果を発揮できる。
また、左油圧シリンダ4の上室4U、及び、右油圧シリンダ5の下室5Lには、アキュムレータ9から作動油が供給されるが、それぞれに対応した油圧減衰機構8は、対応する上・下室4L,5Uの油圧を充分確保するため、スムーズに作動油が流入するように上室4Uと下室5Lの非制御チェック弁81は設定されている。
【0039】
以上の「伸びバウンス」、「縮みバウンス」、「ロール」に対する衝撃減衰力の特性は、図5のように表すことができる。破線は、「伸びバウンス」、「縮みバウンス」を示し、実線は「ロール」を示しており、横軸がピストン速度であり、縦軸は減衰力を示している。ピストン速度の変化に伴って、線形が屈曲しており、初期の急勾配のエリアは、主に油圧減衰機構8のオリフィスによる減衰効果が現れている。緩やかな勾配のエリアは、各油圧減衰機構8、アキュムレータ側油圧減衰機構13による減衰効果が現れている。
【0040】
上述したサスペンション装置によれば、車輪2の上下の動きに応じた油圧減衰機構8やアキュムレータ側油圧減衰機構13の作用によって、複雑な機械機構や制御機構を設けなくても、「伸びバウンス」や「縮みバウンス」や「ロール」に対して良好な衝撃減衰を図ることができ、走行安定性の確保と、良好な乗り心地の確保とを両立することが可能となる。
また、本実施形態のサスペンション装置によれば、アブソーバー機能とスタビライザ機能を兼ねることができ、スタビライザバーを省略することも可能となって、車輪2まわりの構造の簡単化を図ることができる。
【0041】
なお、第1油圧減衰ユニットDU1では、ロール時の作動油の流れが、第1上側ポート41から流れ込んでくる作動油の流速が第1上側油圧減衰機構8aによって低下し、第1下側ポート52から流れ込んでくる作動油の流速が第1下側油圧減衰機構8bによって低下するように油路形成されている。その際、さらに双方の流速が低下した、相反する方向ベクトルを有する作動油が第1接続油路62で合流することで、圧損ができるだけ抑えられるように油路形成されている。また、合流した作動油に圧力変動が生じた場合には、その圧力変動は、合流した作動油が第1アキュムレータ油路11を通じて第1アキュムレータ9に流れ込むことによって吸収される。従って、第1アキュムレータ油路11と第1接続油路62の油路形成も第1接続油路62で合流した作動油がスムーズに第1アキュムレータ油路11に流れ込むことができるように形成されている。このような第1油圧減衰ユニットDU1の油路構成はもちろん第2油圧減衰ユニットDU2にも適用されている。
【0042】
また、油圧減衰機構8やアキュムレータ側油圧減衰機構13や流量制御機構15は、上述した実施形態で説明したような具体構成に限るものではなく、開弁状態を電気的に制御する構成を組み込むものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、前輪、後輪における車両のサスペンション装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 車体
2A 左車輪
2B 右車輪
4 左油圧シリンダ(第1油圧シリンダ)
4U 上室
4L 下室
41 上側ポート(第1上側ポート)
42 下側ポート(第1下側ポート)
5 右油圧シリンダ(第2油圧シリンダ)
5U 上室
5L 下室
51 上側ポート(第2上側ポート)
52 下側ポート(第2下側ポート)
6 第1油路
61 上側油路(第1上側油路)
62 接続油路(第1接続油路)
63 下側油路(第1下側油路)
11 第1アキュムレータ油路(第1分岐油路)
7 第2油路
71 上側油路(第2上側油路)
72 接続油路(第2接続油路)
73 下側油路(第2下側油路)
12 第2アキュムレータ油路(第2分岐油路)
8 油圧減衰機構
8a 第1上側油圧減衰機構
8b 第1下側油圧減衰機構
8c 第2上側油圧減衰機構
8d 第2下側油圧減衰機構
81 非制御チェック弁
82 制御チェック弁
83 オリフィス
9 第1アキュムレータ
10 第2アキュムレータ
13 アキュムレータ側油圧減衰機構(第1・第2補助油圧減衰機構)
14 油圧バランス機構
15 流量制御機構
16 第3アキュムレータ
DU1 第1油圧減衰ユニット
DU2 第2油圧減衰ユニット
DU3 油圧バランスユニット
BP ブリッジ油路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右車輪の一方と車体との間に介在され上室と下室とを有する第1油圧シリンダと、
前記左右車輪の他方と前記車体との間に介在され上室と下室とを有する第2油圧シリンダと、
前記第1油圧シリンダの上室に開口する第1上側ポートと前記第2油圧シリンダの下室に開口する第1下側ポートとを連通接続する第1油路と、
前記第2油圧シリンダの上室に開口する第2上側ポートと前記第1油圧シリンダの下室に開口する第2下側ポートとを連通接続する第2油路と、
前記第1油路に設けられた第1油圧減衰機構と、
前記第2油路に設けられた第2油圧減衰機構と、
第1補助油圧減衰機構を有する第1分岐油路を介して前記第1油路に接続された第1アキュムレータと、
第2補助油圧減衰機構を有する第2分岐油路を介して前記第2油路に接続された第2アキュムレータと、
一端が前記第1分岐油路における前記第1アキュムレータと前記第1補助油圧減衰機構との間に接続されているとともに、他端が前記第2油路における前記第2アキュムレータと前記第2補助油圧減衰機構との間に接続されているブリッジ油路と、
を備える車両のサスペンション装置。
【請求項2】
前記第1補助油圧減衰機構及び前記第2補助油圧減衰機構はオリフィスを含む請求項1に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項3】
流量制御機構を介して前記ブリッジ油路に接続される第3アキュムレータが備えられている請求項1または2に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項4】
前記流量制御機構は、前記第3アキュムレータと連通する内室を形成するハウジングと、前記第1分岐油路側の前記ブリッジ油路と前記内室との間に配置された第1差圧動作チェック弁と、前記第2分岐油路側の前記ブリッジ油路と前記内室とに接続される第2差圧動作チェック弁とを含む請求項3に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項5】
前記流量制御機構は、前記ブリッジ油路と前記第3アキュムレータとの接続部の両側に設けられたオリフィスである請求項3に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項6】
前記ブリッジ油路との接続部より前記第1油路側の前記第1分岐油路に第1補助油圧減衰機構が設けられ、前記ブリッジ油路との接続部より前記第2油路側の前記第2分岐油路に第2補助油圧減衰機構が設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項7】
前記第1油圧減衰機構は、前記第1油路の前記第1上側ポート側に設けられた第1上側油圧減衰機構と前記第1油路の前記第2下側ポート側に設けられた第1下側油圧減衰機構とを有し、前記第2油圧減衰機構は、前記第2油路の前記第2上側ポート側に設けられた第2上側油圧減衰機構と前記第2油路の前記第1下側ポート側に設けられた第2下側油圧減衰機構とを有し、
前記第1分岐油路は前記第1上側油圧減衰機構と前記第1下側油圧減衰機構との間に接続され、前記第2分岐油路は前記第2上側油圧減衰機構と前記第2下側油圧減衰機構との間に接続されている請求項1から6のいずれか一項に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項1】
左右車輪の一方と車体との間に介在され上室と下室とを有する第1油圧シリンダと、
前記左右車輪の他方と前記車体との間に介在され上室と下室とを有する第2油圧シリンダと、
前記第1油圧シリンダの上室に開口する第1上側ポートと前記第2油圧シリンダの下室に開口する第1下側ポートとを連通接続する第1油路と、
前記第2油圧シリンダの上室に開口する第2上側ポートと前記第1油圧シリンダの下室に開口する第2下側ポートとを連通接続する第2油路と、
前記第1油路に設けられた第1油圧減衰機構と、
前記第2油路に設けられた第2油圧減衰機構と、
第1補助油圧減衰機構を有する第1分岐油路を介して前記第1油路に接続された第1アキュムレータと、
第2補助油圧減衰機構を有する第2分岐油路を介して前記第2油路に接続された第2アキュムレータと、
一端が前記第1分岐油路における前記第1アキュムレータと前記第1補助油圧減衰機構との間に接続されているとともに、他端が前記第2油路における前記第2アキュムレータと前記第2補助油圧減衰機構との間に接続されているブリッジ油路と、
を備える車両のサスペンション装置。
【請求項2】
前記第1補助油圧減衰機構及び前記第2補助油圧減衰機構はオリフィスを含む請求項1に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項3】
流量制御機構を介して前記ブリッジ油路に接続される第3アキュムレータが備えられている請求項1または2に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項4】
前記流量制御機構は、前記第3アキュムレータと連通する内室を形成するハウジングと、前記第1分岐油路側の前記ブリッジ油路と前記内室との間に配置された第1差圧動作チェック弁と、前記第2分岐油路側の前記ブリッジ油路と前記内室とに接続される第2差圧動作チェック弁とを含む請求項3に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項5】
前記流量制御機構は、前記ブリッジ油路と前記第3アキュムレータとの接続部の両側に設けられたオリフィスである請求項3に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項6】
前記ブリッジ油路との接続部より前記第1油路側の前記第1分岐油路に第1補助油圧減衰機構が設けられ、前記ブリッジ油路との接続部より前記第2油路側の前記第2分岐油路に第2補助油圧減衰機構が設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項7】
前記第1油圧減衰機構は、前記第1油路の前記第1上側ポート側に設けられた第1上側油圧減衰機構と前記第1油路の前記第2下側ポート側に設けられた第1下側油圧減衰機構とを有し、前記第2油圧減衰機構は、前記第2油路の前記第2上側ポート側に設けられた第2上側油圧減衰機構と前記第2油路の前記第1下側ポート側に設けられた第2下側油圧減衰機構とを有し、
前記第1分岐油路は前記第1上側油圧減衰機構と前記第1下側油圧減衰機構との間に接続され、前記第2分岐油路は前記第2上側油圧減衰機構と前記第2下側油圧減衰機構との間に接続されている請求項1から6のいずれか一項に記載の車両のサスペンション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−100059(P2013−100059A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245827(P2011−245827)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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