説明

車両の荷台のサイドパネル構造

【課題】サイドパネルアウタの張り剛性や耐デント性能を向上させ、且つ車両重量の増加やコストの上昇を抑制することができる車両の荷台のサイドパネル構造の提供。
【解決手段】車両1の荷台3のサイドパネル5を構成するサイドパネルインナ9と、サイドパネルアウタ14との間の内部空間13に、アンチドラム19を配置する。アンチドラム19は、上下方向が前後方向よりも長い矩形長板状であり、上端部20がサイドパネルアウタ14のアウタ上縁部15と、下端部21がサイドパネルアウタ14のアウタ下縁部17とそれぞれ接合される。上端部20と下端部21との間で上下方向に延びる補強板部22は、サイドパネルアウタ14のアウタパネル部16の上下方向のほぼ全域わたって車幅方向内側からアウタパネル部16の内面16aに近接し、部分的に内面16aに固着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷台のサイドパネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006−35936号公報に記載の荷台の補強構造では、荷台外板のアウタパネルと荷台内板のインナパネルとの間の内部空間に、中空又は中実のパイプ状のつなぎ部材が配置され、つなぎ部材の上方取付面は、インナパネルの内部空間側の側面と締結され、つなぎ部材の下方取付面は、アウタパネルの下部面に締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−35936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の構造では、アウタパネルの下部面が車幅方向の外側から押圧された場合は、下面部に締結されたつなぎ部材の剛性によってアウタパネル下部面の強度が確保されるが、アウタパネルの下面部よりも上方の平面部分などが押圧された場合は、アウタパネル自体の剛性で押圧力に対抗することになるので、押圧力の大きさによってはアウタパネルの剛性が不足し、凹み(デント)等の変形を生じるおそれがある。
【0005】
このような不都合は、サイドパネルアウタ(アウタパネル)の板厚の増大や、デントの発生を防止するデントシートの貼着等によりサイドパネルアウタの張り剛性や耐デント性能を向上して回避することが可能であるが、車両重量の増加やコストの上昇を招くという新たな問題を生じる。
【0006】
そこで本発明は、サイドパネルアウタの張り剛性や耐デント性能を向上させ、且つ車両重量の増加やコストの上昇を抑制することができる車両の荷台のサイドパネル構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明の車両の荷台のサイドパネル構造は、車両前後方向に沿って起立した状態で車体側に固定されて荷台の側方を区画する車両の荷台のサイドパネル構造であって、サイドパネルインナと、サイドパネルアウタと、アンチドラムとを備える。サイドパネルインナは、車両前後方向に延びて荷台の床パネルに結合されるインナ下端部と、このインナ下端部から車両上方へ延びるインナパネル部と、このインナパネル部の上端で車両前後方向に延びるインナ上縁部とを有する。サイドパネルアウタは、車両前後方向に延びてインナ上縁部に結合されるアウタ上縁部と、アウタ上縁部から車両下方へ延びるアウタパネル部と、このアウタパネル部の下端で車両前後方向に延びるアウタ下縁部とを有し、アウタパネル部は、インナパネル部との間に内部空間を形成する。アンチドラムは、内部空間に配置され、アウタ上縁部に接合される上端部と、アウタ下縁部に接合される下端部と、アウタパネル部の内面に車幅方向内側から近接し且つ少なくとも複数箇所で接触する補強板部とを有する。
【0008】
上記構成では、例えば、サイドパネルの車両前後方向の中間位置にアンチドラムが配置された場合、この中間位置のアウタパネル部の車両上下方向の領域は、車幅方向内側から近接し且つ少なくとも複数箇所で接触するアンチドラムの補強板部によって支持される。すなわち、この中間位置では、車幅方向外側から押圧されてもアウタパネル部に凹みなどの変形は発生しない。また、この中間位置のアウタパネル部の車両上下方向の領域が補強板部によって車幅方向の内側から支持されているので、前側領域のアウタパネル部のうち車幅方向内側から支持されずに張り剛性が低下する範囲が補強板部によって車両前後に分割されて短縮する。このため、補強板部の前側及び後側においても、アウタパネル部の張り剛性が高くなり、車幅方向外側から押圧されても凹みなどの変形が発生しにくくなる。このように、サイドパネルの車両前後方向の中間位置にアンチドラムを配置することによって、サイドパネルの全域において、アウタパネル部の張り剛性を高めることができ、アウタパネル部の凹みなどの変形が発生しにくくなり、耐デント性能が向上する。また、アウタパネル部の張り剛性や耐デント性能を向上させるためにサイドパネルアウタの板厚の増大や、アウタパネル部へのデントシートの貼着等の必要がないので、車両重量の増加やコストの上昇を抑制することができる。
【0009】
なお、インナ下端部とインナパネル部とインナ上縁部とを一体的に形成してもよく、アウタ下端部とアウタパネル部とアウタ上縁部とを一体的に形成してもよい。また、アウタパネル部は、インナパネル部から車幅方向外側に離間した状態でアウタ上縁部から下方に延びてもよく、アンチドラムは、上端部と下端部と補強板部とを一体的に有していてもよい。
【0010】
また、サイドパネルアウタのアウタ下縁部の一部は、タイヤ収容空間の上方を区画するホイールハウス部の車幅方向外縁となるホイールアーチ部を形成してもよく、アンチドラムは、内部空間のうちホイールハウス部とは車両前後方向で異なる位置に配置されてもよい。
【0011】
上記構成では、ホイールハウス部の車幅方向外縁となるホイールアーチ部においては、アウタ下縁部とアウタ上縁部との間の上下方向の長さは、ホイールハウス部とは車両前後方向で異なる位置のアウタ下縁部とアウタ上縁部との間の上下方向の長さに比べて短かいので、アウタ下縁部とアウタ上縁部との間のアウタパネル部では張り剛性が高く、アウタパネル部が車幅方向外側から押圧された場合にも凹みなどの変形が発生しにくい。一方、ホイールハウス部とは車両前後方向で異なる位置の内部空間にはアンチドラムが配置されるので、アウタパネル部がアンチドラムに支持されて張り剛性や耐デント性能が向上する。従って、サイドパネル構造がホイールハウス部を有している場合に対しても、本発明を適用してアウタパネル部の全域において張り剛性及び耐デント性能を向させることができる。
【0012】
また、サイドパネル構造は、車両前側領域と車両後側領域との間の中間領域にホイールハウス部を有してもよく、車両前側領域と車両後側領域との双方において、アウタパネル部は前記インナパネル部との間に内部空間を形成するとともに、インナ下端部よりも下方に延びてもよい。アンチドラムは、車両上下方向が車両前後方向よりも長い長板状であってもよい。
【0013】
上記構成では、車両前側領域と車両後側領域との双方において、アウタパネル部は、インナ下端部よりも車両下方に延びる。このため、アウタパネル部の車両上下方向の長さが増大するが、内部空間にアンチドラムを配置することによって、車両上下方向の長さが増大したアウタパネル部の張り剛性や耐デント性能を向上させることができる。また、アンチドラムは、車両上下方向が車両前後方向よりも長い長板状であるので、アンチドラムの装着による車両重量の増加をさらに抑制することができる。
【0014】
また、補強板部は、アウタパネル部の内面に接合されてもよい。
【0015】
上記構成では、補強板部がアウタパネル部の内面に接合されているので、アウタパネル部に対して外側からの押圧力や車両の振動等の外力が負荷された場合であっても、アンチドラムの補強板部とアウタパネル部の内面との相対位置が変化しにくい。従って、アンチドラムの補強板部によるアウタパネル部の支持状態が安定し、サイドパネルアウタの張り剛性や耐デント性能をより確実に向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両の荷台のサイドパネルアウタの張り剛性や耐デント性能を向上させ、且つ車両重量の増加やコストの上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係わる車両の荷台の斜視図である。
【図2】荷台のサイドパネル構造の展開斜視図である。
【図3】サイドパネルの前側領域の正面図である。
【図4】図1のIV−IV矢視断面図である。
【図5】図3のV−V矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、図中FRは車両前方を、図中UPは車両上方を、図中INは車幅方向内側をそれぞれ示している。また、以下の説明における前後方向は、車両の前後方向を意味し、左右方向は、車両前方を向いた状態での左右方向を意味し、上下方向は車両の上下方向を意味する。
【0019】
図1に示すように、本実施形態のサイドパネル構造が適用される車両1は、例えば小型ピックアップトラック等であり、車両1の荷台3は、フロントパネル4とサイドパネル5とテールゲート6と床パネル7等とから構成されている。
【0020】
フロントパネル4は、キャブ2の後面後方に対向配置されて荷台3の前端を区画する。
【0021】
サイドパネル5は、フロントパネル4と略同じ高さで前後方向に沿って左右に起立してフロントパネル4の車幅方向両端から後方へ延び、車幅方向両側部で相対向して荷台3の側方を区画する。サイドパネル5は、前後方向の前側の前側領域30と後側の後側領域32と前側領域30と後側領域32の中間の中間領域31とを有している。また、中間領域31の下部は、上側に凹んで車両1の後部タイヤ(図示省略)の収容空間の上方を区画するホイールハウス部8を有している。なお、サイドパネル5は、右側と左側とがそれぞれ同様の構成を有するため、以下ではその一方(左側)について説明し、他方(右側)についての説明を省略する。
【0022】
床パネル7は、キャブ2の後方に配置されて略水平の荷台3の床面を区画する。
【0023】
テールゲート6は、荷台3の後端で車幅方向に沿ってサイドパネル5と略同じ高さで起立し、荷台3の後端を区画する。テールゲート6の下端部は床パネル7の後端部に回転自在に連結され、起立した閉止位置と床パネル7の後端から後方へ略水平に延びる開放位置との間を開閉移動する。
【0024】
サイドパネル5は、図2及び図3に示すように、サイドパネルインナ9とサイドパネルアウタ14とアンチドラム19とを有する。サイドパネルインナ9は、車幅方向内側に曲折し前後方向に延びて床パネル7の下面に下方から結合するインナ下端部12と、インナ下端部12から上方へ起立して延びるインナパネル部11と、インナパネル部11の上端で前後方向に延びるインナ上縁部10とを一体的に有しており、インナ下端部12は、車両1の車体側に固定されている。中間領域31のインナ下端部12は、車幅方向内側上方へ半円弧状に湾曲して突出し、ホイールハウス部8の上面部8aを形成している。ホイールハウス部8の車幅方向内側は、上面部8aの車幅方向内端縁に接合される側面パネル8bによって区画される。なお、ホイールハウス部8の上面部8aは、床パネル7の下面に結合されない。また、側面パネル8bは、サイドパネルインナ9に一体的に曲折成形されてもよい。
【0025】
サイドパネルアウタ14は、サイドパネルインナ9の車幅方向外側に配置され、前後方向に延びるアウタ上縁部15と、アウタ上縁部15から下方に延びるアウタパネル部16と、アウタパネル部16の下端で前後方向に延びるアウタ下縁部17を一体的に有している。アウタ上縁部15とインナ上縁部10とは、前後方向に沿った複数箇所でスポット溶接等で結合される。アウタパネル部16は、車両1の荷台3の側方の意匠面(外面)を形成し、図4に示すように、車幅方向外側に凸形断面の曲面形状を有している。アウタ上縁部15とインナ上縁部10とが結合された状態で、前側領域30及び後側領域32のアウタパネル部16とインナパネル部11との間には内部空間13が形成される。前側領域30及び後側領域32のアウタパネル部16は、インナ下端部12よりも下方に延び、インナ下端部12から下方に延びるブラケット26,27,28,29の下端部と結合してサイドパネルインナ9に固定される。中間領域31のアウタ下縁部17は、上方へ半円弧状に湾曲し、ホイールハウス部8の車幅方向外側の外縁となるホイールアーチ部18を形成している。
【0026】
アンチドラム19は、上下方向が前後方向よりも長い矩形長板状の金属薄板である。アンチドラム19は、内部空間13のうち、ホイールハウス部8とは前後方向で異なる位置に配置される。本実施形態では、図3及び図4に示すように、前側領域30の前後方向の中間位置の内部空間13に、アウタパネル部16の内面16aに沿って上下方向に延びて配置される。アンチドラム19は、上端部20と下端部21と補強板部22とを一体的に有しており、上端部20及び下端部21は平板状である。上端部20と下端部21との間で上下方向に延びる補強板部22は、前後方向の中央部分が車幅方向内側に突出して上下方向に延びる凸面部23と、凸面部23の前後方向の両側で上下方向に延びて上端部20及び下端部21に連続する平面部24とを有する略断面ハット形状である。凸面部23には略矩形の開口部23aが上下方向に複数設けられ、複数の開口部23aによってアンチドラム19は梯子形状となる。開口部23aはアンチドラム19の軽量化のために設けられているため、その形状は任意であり、また開口部を設けなくてもよい。平面部24の上下方向の形状は、アウタパネル部16の内面16aの上下方向の曲面形状と略同一の曲面形状に形成されている。
【0027】
図4に示すように、アンチドラム19の上端部20はアウタ上縁部15に、下端部21はアウタ下縁部17にそれぞれスポット溶接等で接合される。上端部20及び下端部21が接合された状態で、平面部24は、アウタパネル部16の上下方向のほぼ全域でアウタパネル部16の内面16aと所定の隙間で近接する。さらに、図3、図4及び図5に示すように、平面部24の前後方向の前側底面24a及び後側底面24bは、アウタパネル部16の内面16aとの隙間にアウタパネル部16の上下方向に沿って複数箇所に塗布したマスチックシーラ(熱硬化性接着剤)25によってアウタパネル部16の内面16aに接着されることにより、アウタパネル部16の内面16aに複数箇所で接触する。
【0028】
なお、サイドパネルインナ9をサイドパネルアウタ14に組付ける際は、予めアンチドラム19の補強板部22の平面部24とアウタパネル部16の内面16aとをマスチックシーラ25を用いて複数箇所で接着し、アンチドラム19の上端部20及び下端部21をサイドパネルアウタ14のアウタ上縁部15及びアウタ下縁部17にそれぞれ接合して、アンチドラム19をサイドパネルアウタ14に組付けたサイドパネルアウタアセンブリを構成する。このサイドパネルアウタアセンブリとサイドパネルインナ9とを組み付けた後、塗装乾燥工程でマスチックシーラ25を加熱しアンチドラム19をアウタパネル部16の内面16aに固着させる。
【0029】
本実施形態では、サイドパネルアウタ14の中間領域31のアウタ下縁部17にはホイールアーチ部18が形成されているので、アウタ下縁部17とアウタ上縁部15との間の上下方向の長さは、前側領域30及び後側領域32に比べて中間領域31の方が短い。このため、中間領域31では、前側領域30及び後側領域32よりもアウタパネル部16の張り剛性が高い。また、前側領域30の前後方向の中間位置にアンチドラム19が配置されており、この中間位置のアウタパネル部16の上下方向のほぼ全域は、車幅方向内側から近接しアウタパネル部16の内面16aに複数箇所で固着されるアンチドラム19の補強板部22によって支持されている。すなわち、この中間位置がアウタパネル部16の車幅方向の外側から押圧されても、アウタパネル部16に凹みなどの変形は発生しない。また、この中間位置のアウタパネル部16の上下方向のほぼ全域が補強板部22によって車幅方向の内側から支持されているので、前側領域30のアウタパネル部16のうち、車幅方向内側から支持されずに張り剛性が低い範囲が補強板部22によって前後に分割されて大幅に短縮する。このため、補強板部22の前側及び後側においても、アウタパネル部16の張り剛性が高くなり、車幅方向外側から押圧された場合でも、凹みなどの変形が発生しにくくなる。このように、前側領域30の中間位置にアンチドラム19を配置することによって、前側領域30の全域において、アウタパネル部16の張り剛性を高めることができ、アウタパネル部16の凹みなどの変形が発生しにくくなり、耐デント性能が向上する。
【0030】
従って、前側領域30の内部空間13にアンチドラム19を配置して前側領域30のアウタパネル部16の張り剛性を高めることによって、荷台3のサイドパネルアウタ14の前側領域30及び中間領域31で高い張り剛性を得ることができ、サイドパネルアウタ14が車幅方向外側から押圧された場合にも凹みなどの変形が発生しにくくなり、耐デント性能が向上する。また、張り剛性や耐デント性能を向上させるためにサイドパネルアウタ14の板厚の増大やデントシートの貼着等の必要がないので、車両重量の増加やコストの上昇を抑制することができる。
【0031】
また、補強板部22の平面部24がアウタパネル部16の内面16aに固着されているので、アウタパネル部16に対して外側からの押圧力や車両の振動等の外力が負荷された場合であっても、アンチドラム19の補強板部22とアウタパネル部16の内面16aとの相対位置が変化しにくい。従って、アンチドラム19の補強板部22によるアウタパネル部16の支持状態が安定し、サイドパネルアウタ14の張り剛性や耐デント性能をより確実に向上させることができる。
【0032】
また、サイドパネルアウタアセンブリを構成し、アンチドラム19を予めアウタパネル部16に取付けることができるので、アンチドラム19の平面部24とアウタパネル部16の内面16aとの隙間寸法のバラツキを抑制してアンチドラム19とアウタパネル部16とを接合することが可能となる。この結果、アンチドラム19とアウタパネル部16との接合に安定した特性が得られ、製品ごとの特性のバラツキも抑制されるので、サイドパネルアウタ14の張り剛性や耐デント特性をより安定して向上させることができる。
【0033】
なお、アンチドラム19の配置位置は本実施形態の前側領域30に限定されるものではなく、例えば、後側領域32のアウタパネル部16の張り剛性を高める必要がある場合には後側領域32に配置してもよく、また前側領域30及び後側領域32の両領域に配置してもよい。また、配置するアンチドラム19の数量は1個に限定されず、例えば前側領域30あるいは後側領域32のアウタパネル部16の前後方向の長さに応じて2個以上配置してもよい。
【0034】
また、サイドパネル5は、ホイールハウス部8を有していなくてもよい。この場合は、例えばサイドパネル5の前後方向の中間位置の内部空間13にアンチドラム19を配置することによって、中間位置ではアンチドラム19に支持されてアウタパネル部16の張り剛性が高くなる。また、アウタパネル部16のうちアンチドラム19によって支持されずに張り剛性が低下する範囲が車両前後に分割されて短縮するので、サイドパネルアウタ14全体の張り剛性や耐デント性能を向上させることができる。
【0035】
また、アンチドラム19の形状は本実施形態の略断面ハット形状に限定されず、例えば単なる平板状等であってもよい。また、アンチドラム19の形状は、上下方向が前後方向よりも長い長板状に限定されず、例えば、前後方向が上下方向よりも長い板状等であってもよい。また、アンチドラム19の形状は、板状に限定されず、例えば線体状等であってもよい。
【0036】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、車両の荷台のサイドパネル構造として広く適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 車両
3 荷台
5 サイドパネル
7 床パネル
8 ホイールハウス部
9 サイドパネルインナ
10 インナ上縁部
11 インナパネル部
12 インナ下端部
13 内部空間
14 サイドパネルアウタ
15 アウタ上縁部
16 アウタパネル部
16a アウタパネル部内面
17 アウタ下縁部
18 ホイールアーチ部
19 アンチドラム
20 上端部
21 下端部
22 補強板部
30 前側領域
31 中間領域
32 後側領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に沿って起立した状態で車体側に固定されて荷台の側方を区画する車両の荷台のサイドパネル構造であって、
車両前後方向に延びて前記荷台の床パネルに結合されるインナ下端部と、このインナ下端部から車両上方へ延びるインナパネル部と、このインナパネル部の上端で車両前後方向に延びるインナ上縁部とを有するサイドパネルインナと、
車両前後方向に延びて前記インナ上縁部に結合されるアウタ上縁部と、前記アウタ上縁部から車両下方へ延びるアウタパネル部と、このアウタパネル部の下端で車両前後方向に延びるアウタ下縁部とを有し、前記アウタパネル部は、前記インナパネル部との間に内部空間を形成するサイドパネルアウタと、
前記内部空間に配置され、前記アウタ上縁部に接合される上端部と、前記アウタ下縁部に接合される下端部と、前記アウタパネル部の内面に車幅方向内側から近接し且つ少なくとも複数箇所で接触する補強板部とを有するアンチドラムと、を備える
ことを特徴とする車両の荷台のサイドパネル構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の荷台のサイドパネル構造であって、
前記サイドパネルアウタのアウタ下縁部の一部は、タイヤ収容空間の上方を区画するホイールハウス部の車幅方向外縁となるホイールアーチ部を形成し、
前記アンチドラムは、前記内部空間のうち前記ホイールハウス部とは車両前後方向で異なる位置に配置される
ことを特徴とする車両の荷台のサイドパネル構造。
【請求項3】
請求項2に記載の車両の荷台のサイドパネル構造であって、
前記サイドパネル構造は、車両前側領域と車両後側領域との間の中間領域の下部に前記ホイールハウス部を有し、
前記車両前側領域と前記車両後側領域との双方において、前記アウタパネル部は、前記インナパネル部との間に前記内部空間を形成するとともに、前記インナ下端部よりも車両下方に延び、
前記アンチドラムは、車両上下方向が車両前後方向よりも長い長板状である
ことを特徴とする車両の荷台のサイドパネル構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載のサイドパネル構造であって、
前記補強板部は、前記アウタパネル部の内面に接合される
ことを特徴とする車両の荷台のサイドパネル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−67325(P2013−67325A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208728(P2011−208728)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)