説明

車両周辺監視システム

【課題】車両側部後方の状況及び車両側部下方の状況を、車両速度に応じて確認可能な車両周辺監視システムを提供する。
【解決手段】ドアミラー装置10は、車両側部後方を撮像するカメラ18と、カメラ18の光軸上に進退可能な反射ミラーを有する反射ミラーユニット20とが設けられ、車両速度が所定値以下のときは、前記反射ミラーをカメラ18の光軸に対して傾斜した状態で当該光軸上に進出させることにより、カメラ18には車両側部下方の画像が前記反射ミラーで反射されて取り込まれ、車両速度が所定値を超えたときは、前記反射ミラーをカメラ18の光軸上から退避させることにより、カメラ18には車両側部後方の画像が直接取り込まれるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両周辺監視システムに係り、特に、ドアミラー装置にカメラを装着し、該カメラで撮像した撮像画像を運転席前方のモニタ上に表示する車両周辺監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両のドアミラー装置にカメラを装着し、このカメラで当該車両の側部後方を撮像し、その撮像画像を運転席前方に設置されたモニタ上に表示するようにした車両周辺監視システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1の車両周辺監視システムを利用すれば、運転者が、ドアミラー装置では確認できない、車両斜め後方の死角領域をモニタ上で容易に視認することができ、事故防止の上で非常に役に立っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006−519427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、カメラはドアミラー装置に固定されており、カメラのレンズ方向を変えることができない構造であるので、ドアミラー装置の下方(つまり、車両側部下方)を撮像することはできないという問題がある。
【0006】
一般に、車両を止めようとする低速時には、ドライバにとっては車両側部後方の状況よりも車両側部下方の状況(例えば、駐車場において各車両の停止位置を区切った線など)を確認できた方が便利である。
【0007】
本発明の課題は、車両側部後方の状況及び車両側部下方の状況を、車両速度に応じて確認可能な車両周辺監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両速度を検出する車速センサと、ドアミラー装置に搭載された撮像手段と、前記撮像手段で撮像された画像を表示するためのモニタと、前記車速センサで検出した車両速度の情報と、前記撮像手段で撮像した撮像画像とを取り込んで、前記車両速度が所定値以下のときは、前記撮像画像のうち車両側部下方の画像を前記モニタに表示させ、前記車両速度が所定値を超えたときは、前記撮像画像のうち車両側部後方の画像を前記モニタに表示させる表示画像制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、車両速度が所定値を超えているとき、つまり走行時には車両側部後方の画像がモニタ上に表示され、車両速度が所定値以下のとき、つまり駐車場等に停車しようとしている時は車両側部下方の画像がモニタ上に表示される。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ドアミラー装置は、前記撮像手段として車両側部後方を撮像するカメラと、前記カメラの光軸上に進退可能に設けられた反射ミラーとを有し、前記表示画像制御手段は、前記車両速度が所定値以下のときは、前記反射ミラーを前記カメラの光軸に対して傾斜した状態で当該光軸上に進出させることにより、前記カメラには車両側部下方の画像が前記反射ミラーで反射されて取り込まれ、前記車両速度が所定値を超えたときは、前記反射ミラーを前記カメラの光軸上から退避させることにより、前記カメラには車両側部後方の画像が直接取り込まれるよう制御することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記ドアミラー装置は、前記撮像手段として、撮像方向が車両側部後方と車両側部下方とに切替可能なカメラを有し、前記表示画像制御手段は、前記車両速度が所定値以下のときは、撮像方向が車両側部下方に向くよう、前記車両速度が所定値を超えたときは、撮像方向が車両側部後方に向くよう前記カメラを制御することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1において、前記ドアミラー装置は、前記撮像手段として、車両側部後方及び車両側部下方を撮像するカメラを有し、前記表示画像制御手段は、前記車両速度が所定値以下のときは、前記カメラで撮像した撮像画像のうち車両側部下方の画像を切り抜いて前記モニタに送り、前記車両速度が所定値を超えたときは、前記カメラで撮像した撮像画像のうち車両側部後方の画像を切り抜いて前記モニタに送ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドライバは、モニタ上に表示される画像を見ることによって、走行時には車両側部後方の状況を、停車させる際の低速時には車両側部下方の状況を確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1による車両周辺監視システムの要部構成を示しており、(a)は車両側部後方撮像時のドアミラー装置の斜視図、(b)は車両側部下方撮像時のドアミラー装置の斜視図である。
【図2】反射ミラーユニットを示しており、(a)は反射ミラーユニットを斜め下方から見たときの斜視図、(b)は反射ミラーユニットを斜め上方から見たときの斜視図である。
【図3】図1に示した車両周辺監視システムのブロック図である。
【図4】図1の車両周辺監視システムにおける動作を示すフローチャートである。
【図5】実施例2による車両周辺監視システムの要部構成を示しており、(a)は車両側部後方撮像時のドアミラー装置の斜視図、(b)は車両側部下方撮像時のドアミラー装置の斜視図である。
【図6】実施例2による車両周辺監視システムの要部構成を示しており、ドアミラー装置の斜視図である。
【図7】図6に示した車両周辺監視システムのブロック図である。
【図8】図6の車両周辺監視システムにおける動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例】
【0016】
《実施例1》
図1は、実施例1による車両周辺監視システムの要部構成を示しており、(a)は車両側部後方を撮像しているときのドアミラー装置の斜視図、(b)は車両側部下方を撮像しているときのドアミラー装置の斜視図である。なお、(a)及び(b)共に、ドアミラー装置を斜め下方から見上げたときの図である。また、(a)及び(b)共に、ドアミラー装置はサイドミラーとして使用されているときの状態であり、いわゆるセット状態を示している。
【0017】
ドアミラー装置10はミラー装置本体11とステー12とを有し、このミラー装置本体11は、ステー12を介して車両13に固定されている。すなわち、車両13はフロントウインド14を有し、このフロントウインド14の前端に設けられたガセットプレート15にステー12の一端が取り付けられ、このステー12の他端にミラー装置本体11が取り付けられている。
【0018】
ミラー装置本体11には、車両後部側にミラー16が組み込まれ、他の部分はケーシング17で覆われている。また、ステー12には、車両後部側に車両13の中心軸に垂直な平坦面12Aが設けられ、この平坦面12Aにはレンズ穴12Bが形成されている。そして、ステー12には撮像手段としてのカメラ18が内蔵され、このカメラ18は、その対物レンズ18Aが前記レンズ穴12Bに合致するよう設置されている。
【0019】
また、ミラー装置本体11には、ケーシング17の底壁17Aに四角形の開口部17Bが形成されている。この開口部17Bは、カメラ18の対物レンズ18Aの光軸(図示省略)の丁度真上に位置している。
【0020】
開口部17Bには、反射ミラーユニット20が装着されている。反射ミラーユニット20は、矢印A1のように動作してケーシング17から突出したり、矢印A2のように動作してケーシング17の内部に収納されたりする。図1(a)は、反射ミラーユニット20がケーシング17の内部に収納された状態を示している。
【0021】
図2は、反射ミラーユニット20を示しており、(a)は反射ミラーユニット20を斜め下方から見たときの斜視図、(b)は反射ミラーユニット20を斜め上方から見たときの斜視図である。
【0022】
反射ミラーユニット20は、図2(a)及び(b)に示すように、左右に設けられた一対の扇形の側板20A,20Aと、これら側板20A,20Aの円弧状外周縁に設けられ側板20A,20Aを連結する連結板20Bと、側板20A,20A間に設けられた反射ミラー20Cとを有している。
【0023】
また、側板20A,20A及び連結板20Bの上下縁部には、外方へ突出したフランジ20D,20Eが形成されている。反射ミラーユニット20をケーシング17から突出させたときは、フランジ20Dが開口部17Bの内周縁に引っ掛かり、反射ミラーユニット20がケーシング17から抜け落ちるのが防止され、かつ反射ミラーユニット20の位置決めが行われる。さらに、反射ミラーユニット20をケーシング17の内部に収納させたときは、フランジ20Eが開口部17Bの内周縁に引っ掛かり、反射ミラーユニット20がケーシング17内に入りすぎるのが防止されている。なお、図には示してないが、ケーシング17は開口部17Bの所で前後に分割できるようになっており、反射ミラーユニット20をケーシング17に組み付ける上では問題はない。
【0024】
反射ミラーユニット20は、図1(b)の矢印A1のように動作してケーシング17から下方へ突出したとき、反射ミラー20Cはカメラ18の対物レンズ18Aの光軸上に位置するように設定されている。この場合、反射ミラー20Cは前記光軸に対して45度傾くように調整されている。
【0025】
反射ミラーユニット20が、矢印A1,A2方向に動作することにより、反射ミラー20Cは対物レンズ18Aの光軸上に進出したり、当該光軸上から退避したりし、つまり反射ミラー20Cは対物レンズ18Aの光軸上に進退可能に設けられている。なお、反射ミラーユニット20を矢印A1,A2方向に動作させるためのモータ等の駆動機構は、図1及び図2では省略されている。
【0026】
図3は、本実施例における車両周辺監視システムのブロック図である。この車両周辺監視システムは、カメラ18、車速センサ21、カメラECU(Electronic Control Unit)22、撮像エリア変更装置23、モニタ24、車両周辺監視ECU25、及び警告又は運転操作介入装置26を備えている。なお、ここでは、カメラECU22及び撮像エリア変更装置23が表示画像制御手段を構成している。
【0027】
前述したように、カメラ18はドアミラー装置10に搭載されている。車速センサ21は車両速度を検出する。モニタ24は運転席前方に設置され、カメラ18で撮像された画像を表示する。そして、カメラECU22は、車速センサ21で検出した車両速度の情報と、カメラ18で撮像した撮像画像とを取り込んで、車両速度が所定値以下のときは、カメラ18で撮像した撮像画像のうち車両側部下方の画像をモニタ24に表示させ、車両速度が所定値を超えたときは、カメラ18で撮像した撮像画像のうち車両側部後方の画像をモニタ24に表示させる。すなわち、車両速度に応じてカメラECU22が撮像エリア変更装置23に信号を送ることにより、撮像エリア変更装置23がカメラ18の撮像エリアを変更させる。
【0028】
また、カメラECU22は、カメラ18で撮像した撮像結果を車両周辺監視ECU25に送り、車両周辺監視ECU25は、送られきた撮像結果のデータに基づいて危険度(自車の側方に他車が後方から急接近している等の危険度)の判定を行い、危険度が大きい場合は、危険度大であるとの情報を警告又は運転操作介入装置26に送る。警告又は運転操作介入装置26は、送られてきた情報に基づいて運転者に警報を発したり、自動的に事故回避のための運転操作(他車が急接近している側に自車のハンドルを切るのを回避させる等の操作)を介入したりする。
【0029】
図4は、本実施例における車両周辺監視システムの動作を示すフローチャートである。先ず、カメラ18による撮像が開始され(ステップS10)、車速センサ21で車速データが取得される(ステップS11)。上述したように車速データはカメラECU22に取り込まれ、カメラECU22は車両速度が所定値以下か否かを判断する(ステップS12)。
【0030】
車両速度が所定値以下ではない、つまり所定値を超えていると判断した場合は、撮像エリア変更装置23は、カメラECU22から送られてきた信号に基づいて、図1(a)に示すように、反射ミラーユニット20をケーシング17の内部に収納して、カメラ18による撮像エリアを車両側部後方に設定する(ステップS13)。
【0031】
カメラECU22は、カメラ18で撮像した車両側部後方の画像データを車両周辺監視ECU25にも送っており、車両周辺監視ECU25は、送られてきた画像データに基づいて自車の危険度を判定する(ステップS14)。そして、その危険度が大きいか否か判断し(ステップS15)、危険度が大きい場合は、車両側部後方の視界情報をモニタ24上に表示する。このとき、危険度大の情報を警告又は運転操作介入装置26に送れば、上述したように、警告又は運転操作介入装置26は、送られてきた情報に基づいて運転者に警報を発したり、自動的に事故回避のための運転操作(他車が急接近している側に自車のハンドルを切るのを回避させる等の操作)を介入したりすることができる。なお、ステップS15において、危険度大ではないと判断したときは、処理はステップS11へ戻される。
【0032】
また、ステップS12において、車両速度が所定値以下であると判断した場合は、撮像エリア変更装置23は、カメラECU22から送られてきた信号に基づいて、図1(b)に示すように、反射ミラーユニット20をケーシング17から突出させて、反射ミラー20Cを対物レンズ18Aの光軸上に位置させる。これにより、カメラ18は反射ミラー20Cに写った車両側部下方の状況を撮像することができる。すなわち、撮像エリア変更装置23によって、撮像エリアが車両側部下方に設定される(ステップS17)。そして、モニタ24には、カメラ18で撮像した車両側部下方の視界情報が表示される(ステップS18)。
【0033】
最後に、自車が減速して停車したか否か判断され(ステップS19)、停車していると判断されたときは、処理は終了し、停車していないと判断されたときは、処理はステップS11に戻される。
【0034】
本実施例によれば、車両速度が所定値を超えているとき、つまり走行時には車両側部後方の画像がモニタ24上に表示され、車両速度が所定値以下のとき、つまり駐車場等に停車しようとしている時は車両側部下方の画像がモニタ24上に表示され、車両の走行速度に応じた画像をモニタ24上に自動的に切替表示することができる。
【0035】
《実施例2》
図5は実施例2を示している。本実施例では、フロントウインド31の前端のガセットプレート32にステー33が取り付けられ、このステー33の先端にミラー装置本体34が取り付けられている。ミラー装置本体34はミラー(図示省略)を有し、このミラー以外の部分はケーシング35で覆われている。
【0036】
そして本実施例では、ケーシング35の底壁35Aに、撮像手段として、撮像方向が車両側部後方と車両側部下方とに切替可能なカメラ36が設けられている。カメラ36には、先端部に対物レンズ36Aを有するエルボウ型の鏡筒部36Bが設けられている。このエルボウ型の鏡筒部36Bは矢印B1,B2方向に進退可能となっている。
【0037】
本実施例における車両周辺監視システムをブロック図で示せば、図3と同じになる。すなわち、カメラECU22は、車速センサ21で検出した車両速度の情報と、カメラ36で撮像した撮像画像とを取り込んで、車両速度が所定値以下のときは、カメラ36で撮像した撮像画像のうち車両側部下方の画像をモニタ24に表示させ、車両速度が所定値を超えたときは、カメラ36で撮像した撮像画像のうち車両側部後方の画像をモニタ24に表示させる。
【0038】
例えば、車両速度が所定値を超えたときは、カメラECU22が撮像エリア変更装置23に信号を送ることにより、撮像エリア変更装置23がカメラ36を制御し、図5(a)に示すように、鏡筒部36Bが矢印B1方向に進出して、カメラ36の撮像方向が車両側部後方へ向けられる。
【0039】
車両速度が所定値以下のときは、同様にカメラECU22が撮像エリア変更装置23に信号を送ることにより、撮像エリア変更装置23がカメラ36を制御し、鏡筒部36Bが矢印B2方向に退避して、図5(b)に示すように、カメラ36の撮像方向が車両側部下方へ向けられる。
【0040】
本実施例の場合も、走行時には車両側部後方の画像がモニタ24上に表示され、駐車場等に停車しようとしている時は車両側部下方の画像がモニタ24上に表示され、車両の走行速度に応じた画像をモニタ24上に自動的に切替表示することができる。
【0041】
《実施例3》
図6は実施例3を示している。本実施例では、撮像手段として、車両側部後方及び車両側部下方を常時撮影可能なカメラ41が設けられている。このカメラ41は、ミラー装置本体11のケーシング17の底壁17Aに取り付けられている。
【0042】
図7は、本実施例における車両周辺監視システムのブロック図である。この車両周辺監視システムは、カメラ41、車速センサ42、カメラECU(Electronic Control Unit)43、モニタ44、画像処理兼車両周辺監視ECU45、及び警告又は運転操作介入装置46を備えている。ここでは、カメラECU43及び画像処理兼車両周辺監視ECU45が表示画像制御手段を構成している。
【0043】
カメラECU43は、車速センサ42で検出した車両速度の情報と、カメラ41で撮像した撮像画像とを取り込んで、車両速度が所定値以下のときは、カメラ41で撮像した撮像画像のうち車両側部下方の画像をモニタ44に表示させ、車両速度が所定値を超えたときは、カメラ41で撮像した撮像画像のうち車両側部後方の画像をモニタ44に表示させるよう画像処理兼車両周辺監視ECU45を制御する。すなわち、画像処理兼車両周辺監視ECU45は、車両速度が所定値以下のときは、カメラ41で撮像した撮像画像のうち車両側部下方の画像を切り抜いてモニタ44に送り、車両速度が所定値を超えたときは、カメラ41で撮像した撮像画像のうち車両側部後方の画像を切り抜いてモニタ44に送る。
【0044】
また、画像処理兼車両周辺監視ECU45は、送られきた撮像結果のデータに基づいて危険度(自車側方に他車が後方から急接近している等の危険度)の判定を行い、危険度が大きい場合は、危険度大であるとの情報を警告又は運転操作介入装置46に送る。警告又は運転操作介入装置46は、送られてきた情報に基づいて運転者に警報を発したり、自動的に事故回避のための運転操作(他車が急接近している側に自車のハンドルを切るのを回避させる等の操作)を介入したりする。
【0045】
図8は、本実施例における車両周辺監視システムの動作を示すフローチャートである。先ず、カメラ41による撮像が開始され(ステップS20)、車速センサ42で車速データが取得される(ステップS21)。車速データはカメラECU43に取り込まれ、カメラECU43は車両速度が所定値以下か否かを判断する(ステップS22)。
【0046】
車両速度が所定値を超えていると判断した場合は、カメラECU43は、カメラ41で撮像した画像データを画像処理兼車両周辺監視ECU45に送り、画像処理兼車両周辺監視ECU45は、送られてきた画像データに対して画像処理を行って車両側部後方の画像を切り抜く(ステップS23)。そして、画像処理兼車両周辺監視ECU45は、切り抜いた車両側部後方の画像に基づいて自車の危険度を判定する(ステップS24)。さらに、画像処理兼車両周辺監視ECU45は、その危険度が大きいか否か判断し(ステップS25)、危険度が大きい場合は、車両側部後方の視界情報をモニタ44上に表示する。このとき、危険度大の情報を警告又は運転操作介入装置46に送れば、警告又は運転操作介入装置46は、送られてきた情報に基づいて運転者に警報を発したり、自動的に事故回避のための運転操作(他車が急接近している側に自車のハンドルを切るのを回避させる等の操作)を介入したりすることができる。なお、ステップS25において、危険度大ではないと判断したときは、処理はステップS21へ戻される。
【0047】
また、ステップS22において、車両速度が所定値以下であると判断した場合も、カメラECU43はカメラ41で撮像した画像データを画像処理兼車両周辺監視ECU45に送っており、画像処理兼車両周辺監視ECU45は、送られてきた画像データに対して画像処理を行って車両側部下方の画像を切り抜く(ステップS27)。そして、その車両側部下方の画像データはモニタ44に送られ、モニタ44上に車両側部下方の画像が表示される(ステップS28)。
【0048】
最後に、自車が減速して停車したか否か判断され(ステップS29)、停車していると判断されたときは、処理は終了し、停車していないと判断されたときは、処理はステップS21に戻される。
【0049】
本実施例によれば、前記各実施例と同様、走行時には車両側部後方の画像がモニタ44上に表示され、駐車場等に停車しようとしている時は車両側部下方の画像がモニタ44上に表示され、車両の走行速度に応じた画像をモニタ44上に自動的に切替表示することができる。
【0050】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記各実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記各実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0051】
例えば、実施例3におけるカメラ41を、ケーシング17の底壁17Aではなく、ステー12に設けることもできる。
【符号の説明】
【0052】
10 ドアミラー装置
11 ミラー装置本体
12 ステー
13 車両
16 ミラー
18 カメラ
20 反射ミラーユニット
20C 反射ミラー
21 車速センサ
22 カメラECU
23 撮像エリア変更装置
24 モニタ
25 車両周辺監視ECU
26 警告又は運転操作介入装置
33 ステー
34 ミラー装置本体
36 カメラ
41 カメラ
42 車速センサ
43 カメラECU
44 モニタ
45 画像処理兼車両周辺監視ECU
46 警告又は運転操作介入装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両速度を検出する車速センサと、
ドアミラー装置に搭載された撮像手段と、
前記撮像手段で撮像された画像を表示するためのモニタと、
前記車速センサで検出した車両速度の情報と、前記撮像手段で撮像した撮像画像とを取り込んで、前記車両速度が所定値以下のときは、前記撮像画像のうち車両側部下方の画像を前記モニタに表示させ、前記車両速度が所定値を超えたときは、前記撮像画像のうち車両側部後方の画像を前記モニタに表示させる表示画像制御手段と、を備えたことを特徴とする車両周辺監視システム。
【請求項2】
前記ドアミラー装置は、前記撮像手段として車両側部後方を撮像するカメラと、前記カメラの光軸上に進退可能に設けられた反射ミラーとを有し、
前記表示画像制御手段は、前記車両速度が所定値以下のときは、前記反射ミラーを前記カメラの光軸に対して傾斜した状態で当該光軸上に進出させることにより、前記カメラには車両側部下方の画像が前記反射ミラーで反射されて取り込まれ、前記車両速度が所定値を超えたときは、前記反射ミラーを前記カメラの光軸上から退避させることにより、前記カメラには車両側部後方の画像が直接取り込まれるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の車両周辺監視システム。
【請求項3】
前記ドアミラー装置は、前記撮像手段として、撮像方向が車両側部後方と車両側部下方とに切替可能なカメラを有し、
前記表示画像制御手段は、前記車両速度が所定値以下のときは、撮像方向が車両側部下方に向くよう、前記車両速度が所定値を超えたときは、撮像方向が車両側部後方に向くよう前記カメラを制御することを特徴とする請求項1に記載の車両周辺監視システム。
【請求項4】
前記ドアミラー装置は、前記撮像手段として、車両側部後方及び車両側部下方を撮像するカメラを有し、
前記表示画像制御手段は、前記車両速度が所定値以下のときは、前記カメラで撮像した撮像画像のうち車両側部下方の画像を切り抜いて前記モニタに送り、前記車両速度が所定値を超えたときは、前記カメラで撮像した撮像画像のうち車両側部後方の画像を切り抜いて前記モニタに送ることを特徴とする請求項1に記載の車両周辺監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−60172(P2013−60172A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201387(P2011−201387)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】