車両用シート調整装置
【課題】部品点数の増大及び構造の複雑化を抑制しつつ、シート姿勢の保持をより安定化することができる車両用シート調整装置を提供する。
【解決手段】ラチェット内歯部24、ブラケット側復帰用壁部28及びブラケット側反転用壁部29を一体的に有する第1ブラケット21と、第1ブラケット21に軸支される第2ブラケット31と、ブラケット21,31を軸線方向に規制する保持部材30と、収容空間S内で第2ブラケット31に軸支されたポール41と、ポール反転用スプリング46とを備える。ポール41は、ラチェット内歯部24に噛合する歯止め部43と、ブラケット側反転用壁部29に当接することでポール反転用スプリング46により逆方向に回動付勢されるように反転させるポール側反転用壁部44とを備える。歯止め部43は、ブラケット側復帰用壁部28に当接することでポール反転用スプリング46により正方向に回動付勢されるように復帰させる。
【解決手段】ラチェット内歯部24、ブラケット側復帰用壁部28及びブラケット側反転用壁部29を一体的に有する第1ブラケット21と、第1ブラケット21に軸支される第2ブラケット31と、ブラケット21,31を軸線方向に規制する保持部材30と、収容空間S内で第2ブラケット31に軸支されたポール41と、ポール反転用スプリング46とを備える。ポール41は、ラチェット内歯部24に噛合する歯止め部43と、ブラケット側反転用壁部29に当接することでポール反転用スプリング46により逆方向に回動付勢されるように反転させるポール側反転用壁部44とを備える。歯止め部43は、ブラケット側復帰用壁部28に当接することでポール反転用スプリング46により正方向に回動付勢されるように復帰させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの姿勢を調整するための車両用シート調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用シート調整装置としては、例えば特許文献1に記載されたシートクッションの上下位置調節装置が知られている。図17に示すように、この装置は、シートクッションを保持するブラケットにそれぞれ回動自在に連結されたラチェット101及びポール106を備える。これらラチェット101及びポール106は、互いの回転軸からずれた位置で噛合しており、ポール106は、ターンオーバースプリング109により通常は噛合方向に付勢されている。
【0003】
従って、ラチェット101は、ポール106との噛合位置が回転軸から離隔する図示反時計回りの回動が許容されるとともに、逆回り(図示時計回り)の回動が係止されている。そして、ラチェット101及びポール106の噛合位置を移動させることで、シートクッション前部の上下位置が調整・保持可能である。
【0004】
ラチェット101の図示反時計回りの回動が進み、ラチェット101の爪部102とポール106の突起107とが係合すると、ポール106の回動に伴いターンオーバースプリング109がターンオーバーして、ラチェット101及びポール106が噛合不能となる。一方、この状態からのラチェット101の図示時計回りの回動に伴い、該ラチェット101の爪部103がポール106の係合面108を押圧すると、ポール106の回動に伴いターンオーバースプリング109がターンオーバーして、ポール106が元の状態に復帰する。これにより、シートクッション前部の上下位置が再び調整・保持可能となる。
【0005】
また、その他の車両用シート調整装置として、例えば特許文献2に記載されたアームレスト装置も知られている。図18に示すように、この装置は、シートフレームに対するアームレスト本体の角度を、軸に固定されたカム部材111及び解除ブロック116の作用と、軸に巻回したいわゆるロックばね119の収縮とを利用して調整・保持するものである。すなわち、アームレスト本体をその使用状態から格納方向に回動させる際には、ロックばね119を拡径させて回動可能とする。そして、アームレスト本体の格納状態では、ロックばね119の拡径状態を保持する。一方、アームレスト本体をその使用状態から展開方向に回動させる際には、ロックばね119を縮径させて回動不能とする。以上により、シートフレームに対するアームレスト本体の角度が無段階で調整・保持可能となる。
【0006】
さらに、その他の車両用シート調整装置として、例えば特許文献3に記載されたオットマン装置も知られている。この装置は、特許文献2に準じてロックばね等を利用して、オットマンの上下位置を調整・保持するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2109194号公報
【特許文献2】特開2010−35862号公報
【特許文献3】国際公開第2008/004696A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1では、板材からなるラチェット101及びポール106がそれらの噛合位置で軸線方向に位置ずれすることを規制できないため、シート姿勢の保持が不安定になる可能性がある。一方、ラチェット101及びポール106の軸線方向への位置ずれを規制すべく、適宜の部材(例えばストッパ)を設けようとしても、ポール106にその軸線方向に隣接してターンオーバースプリング109が配置されることで自ずと制約されることになる。
【0009】
一方、特許文献2では、シートフレームに対するアームレスト本体の角度を調整・保持するためにロックばね119を収縮等させる構造(カム部材111、解除ブロック116等)が必須であり、部品点数の増大及び構造の複雑化を余儀なくされる。特許文献3についても同様である。
【0010】
本発明の目的は、部品点数の増大及び構造の複雑化を抑制しつつ、シート姿勢の保持をより安定化することができる車両用シート調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ラチェット内歯部、ブラケット側反転用壁部及びブラケット側復帰用壁部を一体的に有する第1ブラケットと、前記第1ブラケットとの間に収容空間を形成して該第1ブラケットに軸支され、前記第1ブラケットに対する相対回動に伴ってシートの姿勢を調整可能な第2ブラケットと、前記第1及び第2ブラケットを軸線方向に規制する保持部材と、前記収容空間内で前記第1及び第2ブラケットの軸線方向と平行な軸線周りに前記第2ブラケットに軸支されたポールと、前記収容空間内で前記第2ブラケットに一方の脚部が係止され、前記ポールに他方の脚部が係止されたポール反転用スプリングとを備え、前記ポールは、前記ポール反転用スプリングにより正方向に回動付勢されるとき、前記ラチェット内歯部に噛合することで前記第1及び第2ブラケットの一方向への相対回動を許容するとともに他方向への相対回動を規制する歯止め部と、前記第1及び第2ブラケットの前記一方向への相対回動時、前記ブラケット側反転用壁部に当接することで前記ポール反転用スプリングにより逆方向に回動付勢されるように反転させて前記第1及び第2ブラケットの前記他方向への相対回動を許容させるポール側反転用壁部と、前記第1及び第2ブラケットの前記他方向への相対回動時、前記ブラケット側復帰用壁部に当接することで前記ポール反転用スプリングにより前記正方向に回動付勢されるように復帰させるポール側復帰用壁部とを一体的に有していることを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、前記第1及び第2ブラケットは、前記ポールが前記ポール反転用スプリングにより前記正方向に回動付勢されるとき、前記ラチェット内歯部に前記歯止め部が噛合することで前記一方向への相対回動が許容される。従って、前記第1及び第2ブラケットの前記一方向への相対回動に伴って、前記シートの姿勢を段階的に調整・保持することができる。
【0013】
一方、前記第1及び第2ブラケットは、前記一方向への相対回動時、前記ポールの前記ポール側反転用壁部が前記ブラケット側反転用壁部に当接して前記ポールが前記ポール反転用スプリングにより前記逆方向に回動付勢されるように反転することで前記他方向への相対回動が許容される。従って、前記第1及び第2ブラケットの前記他方向への相対回動に伴って、前記シートの姿勢を速やかに調整することができる。そして、前記第1及び第2ブラケットの前記他方向への相対回動時、前記ポールの前記ポール側復帰用壁部が前記ブラケット側復帰用壁部に当接して前記ポールが前記ポール反転用スプリングにより前記正方向に回動付勢されるように復帰することで、前述のシートの姿勢の段階的な調整・保持が再び可能となる。
【0014】
特に、前記第1ブラケットの前記ラチェット内歯部に前記歯止め部が噛合する前記ポールは、前記保持部材により軸線方向に規制された前記第1及び第2ブラケット間に形成される前記収容空間に配置されるため、これらラチェット内歯部及び歯止め部が軸線方向に位置ずれすることを規制でき、シートの姿勢をより安定した状態で保持することができる。また、シートの姿勢を調整・保持するための構造を、前記収容空間に配置される前記ポール及び前記ポール反転用スプリング等からなる極めて簡易なものにできる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用シート調整装置において、前記ポール反転用スプリングは、前記第1及び第2ブラケットの軸線方向と平行に軸線方向に延びるコイル部を有することを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、前記ポール反転用スプリングの前記コイル部は、軸線方向が前記第1及び第2ブラケットの軸線方向と平行であることで、例えばコイル部の径方向が前記第1及び第2ブラケットの軸線方向と平行である場合に比べて当該方向によりコンパクトに配置することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用シート調整装置において、前記ポール及び前記ポール反転用スプリングを1組とする複数組が、前記収容空間内で回転対称に配置されていることを要旨とする。
【0018】
同構成によれば、例えばシートの姿勢の調整・保持を、前記複数組のポール等でより堅固に行うことができる。また、前記複数組のポール等は、前記収容空間内で回転対称に配置されていることで、シートの姿勢を調整・保持する際に回転方向に均等に荷重を分散することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用シート調整装置において、前記第1ブラケットは、前記ポール反転用スプリングにより前記ポールが前記正方向に回動付勢されるとき、該ポールの反転に先立って前記歯止め部を摺動させて前記第1及び第2ブラケットの相対回動を許容させる空走壁部を有し、前記空走壁部に突設された反転時係合突部と、前記ポールに凹設され、該ポールの反転時に前記反転時係合突部が嵌入する反転時係合凹部とを備えたことを要旨とする。
【0020】
同構成によれば、前記ポールの反転時、前記反転時係合突部が前記反転時係合凹部に嵌入することで、前記第1及び第2ブラケットが前記他方向への相対回動を開始した際に、前記反転時係合凹部が前記反転時係合突部から外れる(乗り越える)ことになり、節度感を付与できる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用シート調整装置において、前記第1ブラケットは、前記ポール反転用スプリングにより前記ポールが前記正方向に回動付勢されるとき、前記第1及び第2ブラケットの前記一方向への相対回動時に前記ラチェット内歯部及び前記歯止め部の噛合に先立って前記歯止め部を摺動させる助走壁部を有し、前記助走壁部に突設された復帰時係合突部と、前記歯止め部に凹設され、前記ポールの復帰時に前記復帰時係合突部が嵌入する復帰時係合凹部とを備えたことを要旨とする。
【0022】
同構成によれば、前記ポールの復帰時、前記復帰時係合突部が前記復帰時係合凹部に嵌入することで、前記第1及び第2ブラケットが前記一方向への相対回動を開始した際に、前記歯止め部の前記助走壁部の摺動に先立って、前記復帰時係合凹部が前記復帰時係合突部から外れる(乗り越える)ことになり、節度感を付与できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、部品点数の増大及び構造の複雑化を抑制しつつ、シート姿勢の保持をより安定化することができる車両用シート調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明が適用されるシートの斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態の動作を説明する側面図。
【図3】同実施形態を示す分解斜視図。
【図4】(a)は(b)のA−A線に沿った断面図であり、(b)は(a)のB−B線に沿った断面図。
【図5】同実施形態を示す分解斜視図。
【図6】空走時の調整機構の動作を示す説明図。
【図7】反転開始時の調整機構の動作を示す説明図。
【図8】反転完了時の調整機構の動作を示す説明図。
【図9】反転(復帰)開始時の調整機構の動作を示す説明図。
【図10】本発明の第2の実施形態の初期状態(復帰状態)を説明する断面図。
【図11】同実施形態の反転状態を説明する断面図。
【図12】本発明の第3の実施形態の動作を説明する側面図。
【図13】同実施形態の初期状態(復帰状態)を説明する断面図。
【図14】同実施形態の反転状態を説明する断面図。
【図15】本発明の変形形態の初期状態(復帰状態)を説明する断面図。
【図16】同変形形態の反転状態を説明する断面図。
【図17】従来形態を示す模式図。
【図18】別の従来形態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
図1〜図10を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。図1に示すように、車両フロアには、乗員の着座部を形成するシート1が設置されている。このシート1は、座面を形成するシートクッション2と、該シートクッション2の後端部に傾動(回動)自在に支持されたシートバック3と、該シートバック3の上端部に支持されたヘッドレスト4と、シートバック3の高さ方向中間部においてそのシート幅方向両側に配設された一対のアームレスト5と、シートクッション2の前端部に傾動(回動)自在に支持されたオットマン6とを備えて構成される。そして、シート1は、シートクッション2に対するシートバック3の傾斜角度が調整可能であるとともに、該シートバック3に対する両アームレスト5の傾斜角度が調整可能である。また、シート1は、シートクッション2に対するオットマン6の傾斜角度が調整可能である。これにより、当該シート1の着座者は、例えばその体格に合わせて目線の位置を調整可能である。あるいは、当該シート1の着座者は、例えばその求める快適性に合わせて着座姿勢を調整可能である。
【0026】
ここで、シートバック3に対する各アームレスト5の傾斜角度について説明する。図2に示すように、シートバック3に対するアームレスト5の傾斜角度θには、アームレスト5が略前方に延在する所定の初期位置A0からアームレスト5が斜め上方に延在する所定の境界位置A1までの調整範囲Z1と、境界位置A1からアームレスト5が略上方に延在する所定の反転位置A2までの空走範囲Z2とが設定されている。なお、アームレスト5がシートバック3に沿って配置される反転位置A2は、アームレスト5の格納位置となっている。
【0027】
調整範囲Z1では、アームレスト5が初期位置A0から境界位置A1に向かう図示時計回りの回動、即ちアームレスト5の上動が許容されるとともに、逆回り(図示反時計回り)の回動、即ちアームレスト5の下動が係止される。そして、アームレスト5の傾斜角度θが、所定角度ごとに多段階(本実施例では5段階)で調整・保持可能となっている。
【0028】
一方、空走範囲Z2では、アームレスト5の両方向の回動、即ちアームレスト5の上下動が許容される。特に、アームレスト5が反転位置A2に到達した後は、調整範囲Z1でのアームレスト5の下動も許容されるようにその動作が切り替えられる。
【0029】
次に、アームレスト5及びその周辺構造について説明する。図3に示すように、シートバック3の骨格をなすシートバックフレーム3aは、下方に開いた略U字形状を呈しており、その高さ方向中間部には、シート幅方向両外側に突設された一対の略円卓状のブラケット7が固着されている。一方、各アームレスト5の骨格をなすアームレスト本体11は、長箱状の一対のアームレストフレーム12,13がそれらの開口側同士の突き合わされた状態で結合されており、円盤状の調整機構20を介してシート幅方向に延びる軸線周りに前記ブラケット7に回動自在に連結されている。つまり、アームレスト本体11を内包するアームレスト5は、調整機構20を介することで、シートバック3に傾動(回動)自在に支持されている。
【0030】
次に、調整機構20について説明する。図4(a)(b)に示すように、調整機構20は、シート幅方向に中心線(軸線)O1の延びる円盤状の第1ブラケット21及び第2ブラケット31を備えている。第1ブラケット21は、例えばブラケット7(シートバック3側)に固定され、第2ブラケット31は、アームレストフレーム12(アームレスト5側)に固定される。
【0031】
第1ブラケット21は、例えば金属板の半抜き(ハーフブランキング)により成形されたもので、中心線O1を中心とする円形の外周面22を有するとともに、第2ブラケット31側に開口する略円形の凹部23を有している。この凹部23は、中心線O1に関して点対称(回転対称)に成形されており、中心線O1を挟む内壁面の両側に一対のラチェット内歯部24、該ラチェット内歯部24に連続する円弧面状の空走壁部25、及びラチェット内歯部24と反対側の空走壁部25との間で中心線O1側に突出する切替壁部26を一体的に有する。また、第1ブラケット21は、中心線O1を含むその周辺で第2ブラケット31側に突設された略平行四辺形の柱状のスプリング押さえ壁部27を有する。
【0032】
なお、切替壁部26のラチェット内歯部24に隣接する側の壁面は、基端部が中心線O1に向かう方向よりもラチェット内歯部24寄りに直線状に延びるように突出してブラケット側復帰用壁部28を形成する。一方、切替壁部26の空走壁部25に隣接する側の壁面は、基端部が中心線O1に向かう方向よりも空走壁部25寄りに直線状に延びるように突出してブラケット側反転用壁部29を形成する。
【0033】
第2ブラケット31は、例えば金属板の半抜きにより成形されたもので、図5に示すように、第1ブラケット21側に開口する円形の凹部32を有している。凹部32は、第1ブラケット21の外周面22の外径と同等の内径の内周面33を有する。この凹部32内は、中心線O1に関して点対称(回転対称)に成形されており、第2ブラケット31は、凹部32の中央部から第1ブラケット21の反対側に凹設された略小判形のスプリング収容部34を有する。そして、スプリング収容部34内には、中心線O1と略平行に延びる一対のブラケット側スプリング係止穴35が形成されるとともに、スプリング収容部34の外側縁部には、一対の略円柱状のポール軸部36が突設され、更に該ポール軸部36に隣接して一対の略半円柱状のポール支持部37が突設されている。なお、ポール軸部36及びポール支持部37の突出方向は、中心線O1と略平行に設定されている。
【0034】
図4(b)に示すように、第1ブラケット21は、その外周面22で、第2ブラケット31の内周面33と摺接するように嵌合されている。そして、第1及び第2ブラケット21,31の外周部には、第1ブラケット21の外周面22と第2ブラケット31の内周面33とが嵌合された状態で、金属板からなるリング状の保持部材30が装着されている。第1及び第2ブラケット21,31は、この保持部材30によって相対回動が許容された状態で軸線方向に抜け止めされており、それらの間に収容空間Sを形成する。なお、第2ブラケット31のポール軸部36及びポール支持部37は、第1及び第2ブラケット21,31の相対回動範囲内(アームレスト5の傾斜角度θが初期位置A0から反転位置A2までの範囲に相当)で、第1ブラケット21の凹部23内に収まるように配置されている。
【0035】
収容空間Sには、例えば鋼材からなる一対のポール41が収容されている。このポール41は、ポール軸部36に軸支される円形の軸受孔42を有するとともに、該軸受孔42を中心とする互いに異なる径方向に延びる爪状のポール側復帰用壁部としての歯止め部43及びポール側反転用壁部44を有する。なお、ポール側反転用壁部44の先端部には、中心線O1と略平行に延びるポール側スプリング係止穴45が形成されている。
【0036】
また、収容空間Sには、例えば捩りばねからなる一対のポール反転用スプリング46がスプリング収容部34の空間を利用して収容されている。このポール反転用スプリング46は、中心線O1と略平行に軸線方向の延びるコイル部47を有する。また、ポール反転用スプリング46は、コイル部47の第2ブラケット31から離隔する側の端末から中心線O1と略平行に屈曲してブラケット側スプリング係止穴35に嵌入される第1脚部48を有するとともに、コイル部47のポール41から離隔する側の端末から中心線O1と略平行に屈曲してポール側スプリング係止穴45に嵌入される第2脚部49を有する。つまり、第1及び第2脚部48,49は、コイル部47の外周部に被さってブラケット側スプリング係止穴35及びポール側スプリング係止穴45にそれぞれ固定されている。
【0037】
従って、収容空間Sには、ポール41及びポール反転用スプリング46を1組とする複数組(2組)が、収容空間S内で回転対称に配置されている。なお、スプリング収容部34に配置されたコイル部47は、第1ブラケット21のスプリング押さえ壁部27が当接又は近接することで、軸線方向に規制されている。
【0038】
このような構成にあって、アームレスト5が初期位置A0にあるときの第1及び第2ブラケット21,31の相対回転位置は、図4(a)に示す状態となっている。このとき、ポール41は、ポール反転用スプリング46によりポール軸部36(軸受孔42)を中心に図示反時計回り(以下、「正方向」ともいう)に回動付勢されて、その歯止め部43をラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合する。この状態で、例えば第1ブラケット21に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに回動すると、ポール41は、ラチェット内歯部24の歯部に歯止め部43が案内される態様でポール反転用スプリング46の付勢力に抗して揺動しつつラチェット内歯部24の歯部を順次乗り越える。従って、第2ブラケット31は、ポール41の歯止め部43がラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合する相対回転位置から終段の歯部24bに歯合する相対回転位置までの範囲では、第1ブラケット21に対して図示反時計回りに回動可能であるとともに、図示時計回りに回動不能である。ポール41の歯止め部43がラチェット内歯部24の終段の歯部24bに歯合するときの第1及び第2ブラケット21,31の相対回転位置は、アームレスト5の境界位置A1に相当する。
【0039】
第1ブラケット21に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、図6に示すようにラチェット内歯部24の終段の歯部24bを乗り越えたポール41の歯止め部43が空走壁部25を摺動する。そして、第1ブラケット21に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、図7に示すようにポール41は、ポール側反転用壁部44が切替壁部26のブラケット側反転用壁部29に押圧され始めることで、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して図示時計回りに回動し始める。そして、第1ブラケット21に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、図8に示すようにポール41の図示時計回りへの更なる回動に伴いポール反転用スプリング46がターンオーバーする。これにより、ポール反転用スプリング46によりポール41がポール軸部36(軸受孔42)を中心に図示時計回り(以下、「逆方向」ともいう)に回動付勢される。つまり、ポール41は、ポール反転用スプリング46により前記逆方向に回動付勢されるように反転する。
【0040】
ポール41が反転すると、そのポール側反転用壁部44がポール支持部37に保持されて回り止めされる。このようにポール41の反転した状態では、該ポール41は凹部23等(第1ブラケット21)から離脱しており、ポール41によって第1ブラケット21に対する第2ブラケット31の図示時計回りの回動(戻り回動)が阻害されることはない。ポール41が反転するときの第1及び第2ブラケット21,31の相対回転位置は、アームレスト5の反転位置A2に相当する。
【0041】
ポール41の反転した状態で、第1ブラケット21に対して第2ブラケット31が図示時計回りに回動(戻り回動)すると、図9に示すようにポール41は、歯止め部43が切替壁部26のブラケット側復帰用壁部28に押圧され始めることで、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して図示反時計回りに回動し始める。そして、第1ブラケット21に対して第2ブラケット31が図示時計回りに更に回動すると、図4(a)に示すようにポール41の図示反時計回りへの更なる回動に伴いポール反転用スプリング46がターンオーバーして、該ポール反転用スプリング46によりポール41が前記正方向に回動付勢される。つまり、ポール41は、ポール反転用スプリング46により前記正方向に回動付勢されるように反転(復帰)する。
【0042】
ポール41が反転(復帰)すると、その歯止め部43がラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合して回り止めされる。このときの第1及び第2ブラケット21,31の相対回転位置がアームレスト5の初期位置A0に相当することはいうまでもない。
【0043】
次に、アームレスト5が最下端の初期位置A0に配置される初期状態にあるものとして、その動作を説明する。
既述のように、アームレスト5が初期位置A0にあるとき、ポール反転用スプリング46により前記正方向に回動付勢されるポール41は、その歯止め部43をラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合する。そして、アームレスト5の傾斜角度θが調整範囲Z1内にある範囲でアームレスト5を上動させると、ポール41の歯止め部43がラチェット内歯部24の歯部に順次歯合することで、最下端の状態からアームレスト5の傾斜角度θが段階的に調整・保持可能である。
【0044】
また、アームレスト5の傾斜角度θが調整範囲Z1を超えて空走範囲Z2に達するまでアームレスト5を上動させると、ポール41の歯止め部43が空走壁部25を摺動することで、アームレスト5を反転位置A2へと速やかに上動させる(跳ね上げる)ことが可能となる。
【0045】
アームレスト5が反転位置A2に達すると、ポール41は、ポール反転用スプリング46により前記逆方向に回動付勢されるように反転する。そして、ポール41が第1ブラケット21から離脱する。これにより、例えばアームレスト5を初期位置A0へと速やかに下動させることが可能となる。なお、アームレスト5の反転位置A2での姿勢保持は、第1及び第2ブラケット21,31間の摩擦力によって実現している。
【0046】
アームレスト5が初期位置A0に達すると、ポール41は、ポール反転用スプリング46により前記正方向に回動付勢されるように反転(復帰)する。そして、ポール41の歯止め部43がラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合し、アームレスト5が初期状態に復帰する。これにより、前述のアームレスト5の傾斜角度θの段階的な調整・保持が再び可能となる。
【0047】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、第1ブラケット21のラチェット内歯部24に歯止め部43が噛合するポール41は、保持部材30により軸線方向に規制された第1及び第2ブラケット21,31間に形成される収容空間Sに配置される。このため、これらラチェット内歯部24及び歯止め部43が軸線方向に位置ずれすることを規制でき、アームレスト5の傾斜角度θをより安定した状態で保持することができる。また、アームレスト5の傾斜角度θを調整・保持するための構造を、収容空間Sに配置されるポール41及びポール反転用スプリング46等からなる極めて簡易なものにできる。
【0048】
(2)本実施形態では、ポール反転用スプリング46のコイル部47は、軸線方向が第1及び第2ブラケット21,31の軸線方向(中心線O1)と平行であることで、例えばコイル部の径方向が第1及び第2ブラケット21,31の軸線方向と平行である場合に比べて当該方向によりコンパクトに配置することができる。
【0049】
(3)本実施形態では、ポール41及びポール反転用スプリング46を1組とする複数組(2組)が、収容空間S内で回転対称(点対称)に配置されている。従って、例えばアームレスト5の傾斜角度θの調整・保持を、複数組のポール41等でより堅固に行うことができる。また、複数組のポール41等は、収容空間S内で回転対称に配置されていることで、アームレスト5の傾斜角度θを調整・保持する際に回転方向に均等に荷重を分散することができる。
【0050】
(4)本実施形態では、第1ブラケット21のスプリング押さえ壁部27は、第2ブラケット31のスプリング収容部34との間でポール反転用スプリング46のコイル部47を軸線方向に押さえることで、該コイル部47の浮き上がりを抑えることができる。
【0051】
(5)本実施形態では、ポール反転用スプリング46の第1及び第2脚部48,49は、コイル部47の外周部に被さるように屈曲していることで、該コイル部47の倒れを抑制することができる。
【0052】
(6)本実施形態では、アームレスト5の傾斜角度θに空走範囲Z2(空走壁部25)が設定されていることで、アームレスト5を格納位置(反転位置A2)へと速やかに上動させることができる。特に、例えばシートバック3の前倒しに連動してアームレスト5が格納位置(反転位置A2)に向かうようにこれに連係されている場合には、アームレスト5を格納しつつシートバック3を円滑に前倒しすることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図10及び図11を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態において復帰運動開始時に節度感を付与するように変更した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0054】
図10に示すように、本実施形態の調整機構50が備える第1ブラケット51のブラケット側反転用壁部52は、中心線O1に向かう方向よりも空走壁部25寄りに曲線状に延びるように突出している。そして、空走壁部25には、ブラケット側反転用壁部52の近傍で突起状の反転時係合突部53が中心線O1に向かって突設されている。
【0055】
一方、本実施形態のポール56のポール側反転用壁部57には、凹部23の内壁面に対向する先端に反転時係合凹部58が凹設されている。図11に示すように、この反転時係合凹部58には、ポール56の反転時に反転時係合突部53が嵌入する。なお、ポール56の反転時にこれを回り止めするポール支持部59は、略円柱状となっている。
【0056】
次に、本実施形態の動作を説明する。なお、アームレスト5が最下端の初期位置A0から反転位置A2に向かって上動する(跳ね上がる)直前までの動作については前記第1の実施形態と同様であるため、その説明を割愛する。
【0057】
既述のように、ポール56の反転時(即ちアームレスト5の反転位置A2への到達時)には、図11に示すように反転時係合凹部58に反転時係合突部53が嵌入する。このとき、ポール56は、反転時係合凹部58及び反転時係合突部53の係合を除いて第1ブラケット51から離脱する。なお、アームレスト5の反転位置A2での姿勢保持は、第1及び第2ブラケット21,31間の摩擦力に加えて、反転時係合凹部58及び反転時係合突部53の係合力によって実現している。
【0058】
この状態で、アームレスト5を初期位置A0に向かって下動させると、第1ブラケット51に対して第2ブラケット31が図示時計回りに回動(戻り回動)することで、ポール56は、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して揺動しつつ、その反転時係合凹部58を反転時係合突部53から外す(乗り越えさせる)。これにより、復帰運動開始時に節度感が生まれる。
【0059】
そして、反転時係合凹部58が反転時係合突部53から外れると、例えばアームレスト5を初期位置A0へと速やかに下動させることが可能となる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態と同様の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
【0060】
(1)本実施形態では、ポール56の反転時、反転時係合突部53が反転時係合凹部58に嵌入することで、第1ブラケット51に対して第2ブラケット31が図示時計回りの回動(戻り回動)を開始した際に、反転時係合凹部58が反転時係合突部53から外れる(乗り越える)ことになり、節度感を付与できる。
【0061】
(第3の実施形態)
図12〜図14を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態は、シートクッション2に対するオットマン6の傾斜角度を調整するための調整機構に具体化した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0062】
図12に示すように、シートクッション2側部の骨格をなす、例えば金属板からなるシートクッションサイドフレーム2aの前端部には、例えば金属板からなるブラケット61が固着されている。そして、オットマン6を支持する、例えば金属板からなる支持ブラケット62は、リンク機構63を介してブラケット61に連結されている。リンク機構63の各支持軸は、シート幅方向に延びる軸線を有する。なお、シートクッションサイドフレーム2aに固定等されるブラケット61、支持ブラケット62及びリンク機構63は、シート幅方向両側に対をなして配設されている。
【0063】
各リンク機構63は、いわゆるパンタグラフリンクを構成するもので、主回動リンク64と、副回動リンク65と、第1揺動リンク66と、第2揺動リンク67とを備える。主回動リンク64は、一方の端部が円盤状の調整機構70を介してブラケット61の上端部に回動自在に連結されており、他方の端部が第1揺動リンク66の一方の端部に回動自在に連結されている。そして、第1揺動リンク66の他方の端部は、支持ブラケット62の先端部に回動自在に連結されている。
【0064】
副回動リンク65は、一方の端部がブラケット61の下端部に回動自在に連結されており、他方の端部が第2揺動リンク67の一方の端部に回動自在に連結されている。そして、第2揺動リンク67の他方の端部は、支持ブラケット62の基端部に回動自在に連結されている。なお、主回動リンク64の長手方向中間部には、第2揺動リンク67の長手方向中間部が回動自在に連結されている。
【0065】
そして、例えば主回動リンク64が略下方に延在する状態から図示時計回りに回動すると、図示2点鎖線で描画したように、第1及び第2揺動リンク66,67がシート前方に突き出され、支持ブラケット62に支持されたオットマン6が展開される。一方、オットマン6の展開状態(主回動リンク64が略前方に延在する状態)から主回動リンク64が図示反時計回りに回動すると、第1及び第2揺動リンク66,67がシート後方に折り畳まれ、支持ブラケット62に支持されたオットマン6が格納される。
【0066】
ここで、シートクッション2に対するオットマン6の傾斜角度について説明する。図12に示すように、シートクッション2に対するオットマン6の傾斜角度θ1に相関する主回動リンク64の回動位置には、支持ブラケット62(オットマン6)と共に主回動リンク64が略下方に延在する所定の格納位置B0から主回動リンク64が斜め下方に延在する所定の第1境界位置B1までの助走範囲Z11と、第1境界位置B1から主回動リンク64が略前方に延在する所定の第2境界位置B2までの調整範囲Z12と、第2境界位置B2から主回動リンク64が略斜め上方に延在する所定の反転位置B3までの空走範囲Z13とが設定されている。
【0067】
調整範囲Z12では、調整機構70により、主回動リンク64が第1境界位置B1から第2境界位置B2に向かう図示時計回りの回動、即ちオットマン6の上動が許容されるとともに、逆回り(図示反時計回り)の回動、即ちオットマン6の下動が係止される。そして、主回動リンク64の回動位置、即ちオットマン6の傾斜角度θ1が、所定角度ごとに多段階(本実施例では7段階)で調整・保持可能となっている。
【0068】
一方、助走範囲Z11では、調整機構70により、主回動リンク64の両方向の回動、即ちオットマン6の上下動が許容される。同様に、空走範囲Z13では、調整機構70により、主回動リンク64の両方向の回動、即ちオットマン6の上下動が許容される。特に、主回動リンク64が反転位置B3に到達した後は、調整機構70により、調整範囲Z12でのオットマン6の下動も許容されるようにその動作が切り替えられる。
【0069】
なお、主回動リンク64の格納位置B0は、オットマン6の格納状態に相当し、第2境界位置B2は、オットマン6の展開状態に相当する。
次に、調整機構70について説明する。なお、本実施形態の調整機構70は、主に主回動リンク64の回動位置(オットマン6の傾斜角度θ1)に助走範囲Z11を設定するために前記調整機構20の構造を変更したものであるため、該調整機構20との相違点を中心に説明する。
【0070】
図13に示すように、調整機構70は、シート幅方向に中心線(軸線)O2の延びる円盤状の第1ブラケット71及び前記第2ブラケット31を備えている。第1ブラケット71は、例えばブラケット61(シートクッション2側)に固定され、第2ブラケット31は、主回動リンク64(オットマン6側)に固定される。
【0071】
第1ブラケット71に形成された略円形の凹部72は、中心線O2に関して点対称(回転対称)に成形されており、中心線O2を挟む内壁面の両側に一対の円弧面状の助走壁部73、該助走壁部73に連続する前記ラチェット内歯部24、前記空走壁部25、及び前記切替壁部26を一体的に有する。そして、助走壁部73には、前記ブラケット側復帰用壁部28の近傍で突起状の復帰時係合突部74が中心線O2に向かって突設されている。
【0072】
一方、本実施形態のポール76の歯止め部77には、凹部72の内壁面に対向する先端に復帰時係合凹部78が凹設されている。この復帰時係合凹部78には、ポール76の復帰時に復帰時係合突部74が嵌入する。
【0073】
このような構成にあって、主回動リンク64が格納位置B0にあるときの第1及び第2ブラケット71,31の相対回転位置は、図13に示す状態となっている。このとき、ポール76は、前記ポール反転用スプリング46によりポール軸部36(軸受孔42)を中心に図示反時計回り(正方向)に回動付勢されて、その復帰時係合凹部78に復帰時係合突部74が嵌入する。なお、主回動リンク64の格納位置B0でのオットマン6の姿勢保持は、第1及び第2ブラケット71,31間の摩擦力に加えて、復帰時係合凹部78及び復帰時係合突部74の係合力等によって実現している。
【0074】
この状態で、主回動リンク64が第1境界位置B1に向かうようにオットマン6を上動させると、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに回動することで、ポール76は、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して揺動しつつ、その復帰時係合凹部78を復帰時係合突部74から外す(乗り越えさせる)。これにより、第2ブラケット31の図示反時計回りへの回動開始時に節度感が生まれる。
【0075】
そして、復帰時係合凹部78が復帰時係合突部74から外れると、例えば主回動リンク64が第1境界位置B1に向かうようにオットマン6を速やかに上動させることが可能となる。このとき、ポール反転用スプリング46により正方向に回動付勢されるポール76は、第2ブラケット31の図示反時計回りの回動に伴い、助走壁部73に歯止め部77を摺動させる。
【0076】
第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、ポール反転用スプリング46により正方向に回動付勢されるポール76は、その歯止め部77をラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合する。歯止め部77がラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合するときの第1及び第2ブラケット71,31の相対回転位置は、主回動リンク64の第1境界位置B1に相当する。
【0077】
この状態で、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、ポール76は、ラチェット内歯部24の歯部に歯止め部77が案内される態様でポール反転用スプリング46の付勢力に抗して揺動しつつラチェット内歯部24の歯部を順次乗り越える。従って、第2ブラケット31は、ポール76の歯止め部77がラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合する相対回転位置から終段の歯部24bに歯合する相対回転位置までの範囲では、第1ブラケット71に対して図示反時計回りに回動可能であるとともに、図示時計回りに回動不能である。ポール76の歯止め部77がラチェット内歯部24の終段の歯部24bに歯合するときの第1及び第2ブラケット71,31の相対回転位置は、主回動リンク64の第2境界位置B2に相当する。
【0078】
第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、ラチェット内歯部24の終段の歯部24bを乗り越えたポール76の歯止め部77が空走壁部25を摺動する。そして、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、ポール76は、前記ポール側反転用壁部44が切替壁部26のブラケット側反転用壁部52に押圧され始めることで、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して図示時計回りに回動し始める。そして、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、図14に示すようにポール76の図示時計回りへの更なる回動に伴いポール反転用スプリング46がターンオーバーして、該ポール反転用スプリング46によりポール76がポール軸部36(軸受孔42)を中心に図示時計回り(逆方向)に回動付勢される。
【0079】
ポール76が反転すると、そのポール側反転用壁部44が前記ポール支持部59に保持されて回り止めされる。このようにポール76の反転した状態では、該ポール76は凹部72等(第1ブラケット71)から離脱しており、ポール76によって第1ブラケット71に対する第2ブラケット31の図示時計回りの回動(戻り回動)が阻害されることはない。ポール76が反転するときの第1及び第2ブラケット71,31の相対回転位置は、主回動リンク64の反転位置B3に相当する。
【0080】
ポール76の反転した状態で、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示時計回りに回動(戻り回動)すると、ポール76は、歯止め部77が切替壁部26のブラケット側復帰用壁部28に押圧され始めることで、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して図示反時計回りに回動し始める。そして、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示時計回りに更に回動すると、図13に示すようにポール76の図示反時計回りへの更なる回動に伴いポール反転用スプリング46がターンオーバーして、該ポール反転用スプリング46によりポール76が前記正方向に回動付勢される。
【0081】
ポール76が反転(復帰)すると、その復帰時係合凹部78に復帰時係合突部74が嵌入する。このときの第1及び第2ブラケット21,31の相対回転位置が主回動リンク64の格納位置B0に相当することはいうまでもない。
【0082】
次に、主回動リンク64が最下端の格納位置B0に配置されるオットマン6の格納状態にあるものとして、その動作を説明する。
既述のように、主回動リンク64が格納位置B0にあるとき、ポール反転用スプリング46により前記正方向に回動付勢されるポール76は、その復帰時係合凹部78に復帰時係合突部74を嵌入する。この状態で、主回動リンク64が第1境界位置B1に向かうようにオットマン6を上動させると、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに回動することで、ポール76は、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して揺動しつつ、その復帰時係合凹部78を復帰時係合突部74から外す(乗り越えさせる)。これにより、第2ブラケット31の図示反時計回りへの回動開始時に節度感が生まれる。
【0083】
そして、主回動リンク64が助走範囲Z11内で第1境界位置B1に向かうようにオットマン6を更に上動させると、ポール76の歯止め部77が助走壁部73を摺動することで、オットマン6を速やかに上動させることが可能となる。
【0084】
主回動リンク64が第1境界位置B1に達すると、ポール76の歯止め部77がラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合する。そして、主回動リンク64が調整範囲Z12内にある範囲でオットマン6を上動させると、ポール76の歯止め部77がラチェット内歯部24の歯部に順次歯合することで、主回動リンク64の回動位置、即ちオットマン6の傾斜角度θ1が段階的に調整・保持可能である。
【0085】
また、主回動リンク64が調整範囲Z12を超えて空走範囲Z13に達するまでオットマン6を上動させると、ポール76の歯止め部77が空走壁部25を摺動することで、主回動リンク64が反転位置B3に向かうようにオットマン6を速やかに上動させることが可能となる。
【0086】
主回動リンク64が反転位置B3に達すると、ポール76は、ポール反転用スプリング46により前記逆方向に回動付勢されるように反転する。そして、ポール76が第1ブラケット71から離脱する。これにより、例えば主回動リンク64が格納位置B0に向かうようにオットマン6を速やかに下動させることが可能となる。
【0087】
主回動リンク64が格納位置B0に達すると、ポール76は、ポール反転用スプリング46により前記正方向に回動付勢されるように反転(復帰)する。そして、ポール76の復帰時係合凹部78に復帰時係合突部74が嵌入し、オットマン6が格納状態に復帰する。
【0088】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態の(1)〜(5)と同様の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ポール76の復帰時、復帰時係合突部74が復帰時係合凹部78に嵌入することで、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りの回動(戻り回動)を開始した際に、復帰時係合凹部78が復帰時係合突部74から外れる(乗り越える)ことになり、節度感を付与できる。
【0089】
(2)本実施形態では、主回動リンク64が格納位置B0から調整範囲Z12に向かうようにオットマン6を格納状態から上動させる際に、助走範囲Z11でこれに勢いを付けることができ、オットマン6の展開を円滑に行うことができる。
【0090】
(3)本実施形態では、ポール76の復帰時、即ちオットマン6の格納状態で復帰時係合突部74が復帰時係合凹部78に嵌入することで、これらの間の係合力によってオットマン6の格納状態をより堅固に保持できる。
【0091】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図15及び図16に示すように、前記各実施形態において、復帰運動開始時及び調整範囲に向かう回動開始時に共に節度感を付与する調整機構80を採用してもよい。すなわち、この調整機構80の第1ブラケット81に形成された略円形の凹部82は、前記助走壁部73、前記ラチェット内歯部24、前記空走壁部25、及び前記切替壁部26を一体的に有する。そして、空走壁部25には、前記反転時係合突部53が突設されており、助走壁部73には、前記復帰時係合突部74が突設されている。一方、ポール86は、前記反転時係合凹部58及び前記復帰時係合凹部78を有する。このように変更することで、前記第2の実施形態の(1)と同様の効果及び第3の実施形態の(1)と同様の効果を同時に得ることができる。
【0092】
・前記第1又は第2の実施形態において、調整機構20,50に代えて調整機構70を採用してもよい。
・前記第3実施形態において、調整機構70に代えて調整機構20,50を採用してもよい。
【0093】
・前記第3実施形態において、調整機構70は、オットマン6の姿勢を規定するリンク機構63(主回動リンク64、副回動リンク65、第1及び第2揺動リンク66,67)の各支持軸の任意箇所に配置すればよい。ただし、シートクッション2側(ブラケット61)との連結部に配置することがより好ましい。
【0094】
・前記第3実施形態において、シートクッション2側へのオットマン6の支持構造は一例である。例えば、シートクッション2側(ブラケット61)に対して調整機構を介して回動自在に連結される片持ち支持のアームによってオットマン6を上下動させてもよい。
【0095】
・前記各実施形態において、収容空間S内に配置されるポール及びポール反転用スプリング等の組は、1組であってもよいし、回転対称に配置された3組以上であってもよい。
・前記各実施形態において、ポールの反転が可能であれば、第1ブラケットの空走壁部25はなくてもよい。
【0096】
・前記各実施形態では、歯止め部43,77をポール側復帰用壁部として兼用したが、歯止め部43,77とは別にポール側復帰用壁部を設けてもよい。
・前記各実施形態において、第1ブラケット21,51,71,81を可動側(アームレスト5、オットマン6側)に固定し、第2ブラケット31をシート1側(シートバック3、シートクッション2側)に固定してもよい。
【0097】
・前記各実施形態において、ポール反転用スプリング46は、例えば板ばねなどであってもよい。要は、ポールが反転するようにターンオーバーできればよい。
・前記各実施形態において、ラチェット内歯部24及びこれに噛合する歯止め部43,77の少なくとも一方に、消音用の樹脂コーティングを施してもよい。
【符号の説明】
【0098】
S…収容空間、1…シート、2…シートクッション、3…シートバック、5…アームレスト、6…オットマン、21,51,71,81…第1ブラケット、24…ラチェット内歯部、25…空走壁部、28…ブラケット側復帰用壁部、29,52…ブラケット側反転用壁部、30…保持部材、31…第2ブラケット、41,56,76,86…ポール、43,77…歯止め部(ポール側復帰用壁部)、44,57…ポール側反転用壁部、46…ポール反転用スプリング、47…コイル部、48…第1脚部(脚部)、49…第2脚部(脚部)、53…反転時係合突部、58…反転時係合凹部、73…助走壁部、74…復帰時係合突部、78…復帰時係合凹部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの姿勢を調整するための車両用シート調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用シート調整装置としては、例えば特許文献1に記載されたシートクッションの上下位置調節装置が知られている。図17に示すように、この装置は、シートクッションを保持するブラケットにそれぞれ回動自在に連結されたラチェット101及びポール106を備える。これらラチェット101及びポール106は、互いの回転軸からずれた位置で噛合しており、ポール106は、ターンオーバースプリング109により通常は噛合方向に付勢されている。
【0003】
従って、ラチェット101は、ポール106との噛合位置が回転軸から離隔する図示反時計回りの回動が許容されるとともに、逆回り(図示時計回り)の回動が係止されている。そして、ラチェット101及びポール106の噛合位置を移動させることで、シートクッション前部の上下位置が調整・保持可能である。
【0004】
ラチェット101の図示反時計回りの回動が進み、ラチェット101の爪部102とポール106の突起107とが係合すると、ポール106の回動に伴いターンオーバースプリング109がターンオーバーして、ラチェット101及びポール106が噛合不能となる。一方、この状態からのラチェット101の図示時計回りの回動に伴い、該ラチェット101の爪部103がポール106の係合面108を押圧すると、ポール106の回動に伴いターンオーバースプリング109がターンオーバーして、ポール106が元の状態に復帰する。これにより、シートクッション前部の上下位置が再び調整・保持可能となる。
【0005】
また、その他の車両用シート調整装置として、例えば特許文献2に記載されたアームレスト装置も知られている。図18に示すように、この装置は、シートフレームに対するアームレスト本体の角度を、軸に固定されたカム部材111及び解除ブロック116の作用と、軸に巻回したいわゆるロックばね119の収縮とを利用して調整・保持するものである。すなわち、アームレスト本体をその使用状態から格納方向に回動させる際には、ロックばね119を拡径させて回動可能とする。そして、アームレスト本体の格納状態では、ロックばね119の拡径状態を保持する。一方、アームレスト本体をその使用状態から展開方向に回動させる際には、ロックばね119を縮径させて回動不能とする。以上により、シートフレームに対するアームレスト本体の角度が無段階で調整・保持可能となる。
【0006】
さらに、その他の車両用シート調整装置として、例えば特許文献3に記載されたオットマン装置も知られている。この装置は、特許文献2に準じてロックばね等を利用して、オットマンの上下位置を調整・保持するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第2109194号公報
【特許文献2】特開2010−35862号公報
【特許文献3】国際公開第2008/004696A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1では、板材からなるラチェット101及びポール106がそれらの噛合位置で軸線方向に位置ずれすることを規制できないため、シート姿勢の保持が不安定になる可能性がある。一方、ラチェット101及びポール106の軸線方向への位置ずれを規制すべく、適宜の部材(例えばストッパ)を設けようとしても、ポール106にその軸線方向に隣接してターンオーバースプリング109が配置されることで自ずと制約されることになる。
【0009】
一方、特許文献2では、シートフレームに対するアームレスト本体の角度を調整・保持するためにロックばね119を収縮等させる構造(カム部材111、解除ブロック116等)が必須であり、部品点数の増大及び構造の複雑化を余儀なくされる。特許文献3についても同様である。
【0010】
本発明の目的は、部品点数の増大及び構造の複雑化を抑制しつつ、シート姿勢の保持をより安定化することができる車両用シート調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ラチェット内歯部、ブラケット側反転用壁部及びブラケット側復帰用壁部を一体的に有する第1ブラケットと、前記第1ブラケットとの間に収容空間を形成して該第1ブラケットに軸支され、前記第1ブラケットに対する相対回動に伴ってシートの姿勢を調整可能な第2ブラケットと、前記第1及び第2ブラケットを軸線方向に規制する保持部材と、前記収容空間内で前記第1及び第2ブラケットの軸線方向と平行な軸線周りに前記第2ブラケットに軸支されたポールと、前記収容空間内で前記第2ブラケットに一方の脚部が係止され、前記ポールに他方の脚部が係止されたポール反転用スプリングとを備え、前記ポールは、前記ポール反転用スプリングにより正方向に回動付勢されるとき、前記ラチェット内歯部に噛合することで前記第1及び第2ブラケットの一方向への相対回動を許容するとともに他方向への相対回動を規制する歯止め部と、前記第1及び第2ブラケットの前記一方向への相対回動時、前記ブラケット側反転用壁部に当接することで前記ポール反転用スプリングにより逆方向に回動付勢されるように反転させて前記第1及び第2ブラケットの前記他方向への相対回動を許容させるポール側反転用壁部と、前記第1及び第2ブラケットの前記他方向への相対回動時、前記ブラケット側復帰用壁部に当接することで前記ポール反転用スプリングにより前記正方向に回動付勢されるように復帰させるポール側復帰用壁部とを一体的に有していることを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、前記第1及び第2ブラケットは、前記ポールが前記ポール反転用スプリングにより前記正方向に回動付勢されるとき、前記ラチェット内歯部に前記歯止め部が噛合することで前記一方向への相対回動が許容される。従って、前記第1及び第2ブラケットの前記一方向への相対回動に伴って、前記シートの姿勢を段階的に調整・保持することができる。
【0013】
一方、前記第1及び第2ブラケットは、前記一方向への相対回動時、前記ポールの前記ポール側反転用壁部が前記ブラケット側反転用壁部に当接して前記ポールが前記ポール反転用スプリングにより前記逆方向に回動付勢されるように反転することで前記他方向への相対回動が許容される。従って、前記第1及び第2ブラケットの前記他方向への相対回動に伴って、前記シートの姿勢を速やかに調整することができる。そして、前記第1及び第2ブラケットの前記他方向への相対回動時、前記ポールの前記ポール側復帰用壁部が前記ブラケット側復帰用壁部に当接して前記ポールが前記ポール反転用スプリングにより前記正方向に回動付勢されるように復帰することで、前述のシートの姿勢の段階的な調整・保持が再び可能となる。
【0014】
特に、前記第1ブラケットの前記ラチェット内歯部に前記歯止め部が噛合する前記ポールは、前記保持部材により軸線方向に規制された前記第1及び第2ブラケット間に形成される前記収容空間に配置されるため、これらラチェット内歯部及び歯止め部が軸線方向に位置ずれすることを規制でき、シートの姿勢をより安定した状態で保持することができる。また、シートの姿勢を調整・保持するための構造を、前記収容空間に配置される前記ポール及び前記ポール反転用スプリング等からなる極めて簡易なものにできる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用シート調整装置において、前記ポール反転用スプリングは、前記第1及び第2ブラケットの軸線方向と平行に軸線方向に延びるコイル部を有することを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、前記ポール反転用スプリングの前記コイル部は、軸線方向が前記第1及び第2ブラケットの軸線方向と平行であることで、例えばコイル部の径方向が前記第1及び第2ブラケットの軸線方向と平行である場合に比べて当該方向によりコンパクトに配置することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用シート調整装置において、前記ポール及び前記ポール反転用スプリングを1組とする複数組が、前記収容空間内で回転対称に配置されていることを要旨とする。
【0018】
同構成によれば、例えばシートの姿勢の調整・保持を、前記複数組のポール等でより堅固に行うことができる。また、前記複数組のポール等は、前記収容空間内で回転対称に配置されていることで、シートの姿勢を調整・保持する際に回転方向に均等に荷重を分散することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用シート調整装置において、前記第1ブラケットは、前記ポール反転用スプリングにより前記ポールが前記正方向に回動付勢されるとき、該ポールの反転に先立って前記歯止め部を摺動させて前記第1及び第2ブラケットの相対回動を許容させる空走壁部を有し、前記空走壁部に突設された反転時係合突部と、前記ポールに凹設され、該ポールの反転時に前記反転時係合突部が嵌入する反転時係合凹部とを備えたことを要旨とする。
【0020】
同構成によれば、前記ポールの反転時、前記反転時係合突部が前記反転時係合凹部に嵌入することで、前記第1及び第2ブラケットが前記他方向への相対回動を開始した際に、前記反転時係合凹部が前記反転時係合突部から外れる(乗り越える)ことになり、節度感を付与できる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用シート調整装置において、前記第1ブラケットは、前記ポール反転用スプリングにより前記ポールが前記正方向に回動付勢されるとき、前記第1及び第2ブラケットの前記一方向への相対回動時に前記ラチェット内歯部及び前記歯止め部の噛合に先立って前記歯止め部を摺動させる助走壁部を有し、前記助走壁部に突設された復帰時係合突部と、前記歯止め部に凹設され、前記ポールの復帰時に前記復帰時係合突部が嵌入する復帰時係合凹部とを備えたことを要旨とする。
【0022】
同構成によれば、前記ポールの復帰時、前記復帰時係合突部が前記復帰時係合凹部に嵌入することで、前記第1及び第2ブラケットが前記一方向への相対回動を開始した際に、前記歯止め部の前記助走壁部の摺動に先立って、前記復帰時係合凹部が前記復帰時係合突部から外れる(乗り越える)ことになり、節度感を付与できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、部品点数の増大及び構造の複雑化を抑制しつつ、シート姿勢の保持をより安定化することができる車両用シート調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明が適用されるシートの斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態の動作を説明する側面図。
【図3】同実施形態を示す分解斜視図。
【図4】(a)は(b)のA−A線に沿った断面図であり、(b)は(a)のB−B線に沿った断面図。
【図5】同実施形態を示す分解斜視図。
【図6】空走時の調整機構の動作を示す説明図。
【図7】反転開始時の調整機構の動作を示す説明図。
【図8】反転完了時の調整機構の動作を示す説明図。
【図9】反転(復帰)開始時の調整機構の動作を示す説明図。
【図10】本発明の第2の実施形態の初期状態(復帰状態)を説明する断面図。
【図11】同実施形態の反転状態を説明する断面図。
【図12】本発明の第3の実施形態の動作を説明する側面図。
【図13】同実施形態の初期状態(復帰状態)を説明する断面図。
【図14】同実施形態の反転状態を説明する断面図。
【図15】本発明の変形形態の初期状態(復帰状態)を説明する断面図。
【図16】同変形形態の反転状態を説明する断面図。
【図17】従来形態を示す模式図。
【図18】別の従来形態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
図1〜図10を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。図1に示すように、車両フロアには、乗員の着座部を形成するシート1が設置されている。このシート1は、座面を形成するシートクッション2と、該シートクッション2の後端部に傾動(回動)自在に支持されたシートバック3と、該シートバック3の上端部に支持されたヘッドレスト4と、シートバック3の高さ方向中間部においてそのシート幅方向両側に配設された一対のアームレスト5と、シートクッション2の前端部に傾動(回動)自在に支持されたオットマン6とを備えて構成される。そして、シート1は、シートクッション2に対するシートバック3の傾斜角度が調整可能であるとともに、該シートバック3に対する両アームレスト5の傾斜角度が調整可能である。また、シート1は、シートクッション2に対するオットマン6の傾斜角度が調整可能である。これにより、当該シート1の着座者は、例えばその体格に合わせて目線の位置を調整可能である。あるいは、当該シート1の着座者は、例えばその求める快適性に合わせて着座姿勢を調整可能である。
【0026】
ここで、シートバック3に対する各アームレスト5の傾斜角度について説明する。図2に示すように、シートバック3に対するアームレスト5の傾斜角度θには、アームレスト5が略前方に延在する所定の初期位置A0からアームレスト5が斜め上方に延在する所定の境界位置A1までの調整範囲Z1と、境界位置A1からアームレスト5が略上方に延在する所定の反転位置A2までの空走範囲Z2とが設定されている。なお、アームレスト5がシートバック3に沿って配置される反転位置A2は、アームレスト5の格納位置となっている。
【0027】
調整範囲Z1では、アームレスト5が初期位置A0から境界位置A1に向かう図示時計回りの回動、即ちアームレスト5の上動が許容されるとともに、逆回り(図示反時計回り)の回動、即ちアームレスト5の下動が係止される。そして、アームレスト5の傾斜角度θが、所定角度ごとに多段階(本実施例では5段階)で調整・保持可能となっている。
【0028】
一方、空走範囲Z2では、アームレスト5の両方向の回動、即ちアームレスト5の上下動が許容される。特に、アームレスト5が反転位置A2に到達した後は、調整範囲Z1でのアームレスト5の下動も許容されるようにその動作が切り替えられる。
【0029】
次に、アームレスト5及びその周辺構造について説明する。図3に示すように、シートバック3の骨格をなすシートバックフレーム3aは、下方に開いた略U字形状を呈しており、その高さ方向中間部には、シート幅方向両外側に突設された一対の略円卓状のブラケット7が固着されている。一方、各アームレスト5の骨格をなすアームレスト本体11は、長箱状の一対のアームレストフレーム12,13がそれらの開口側同士の突き合わされた状態で結合されており、円盤状の調整機構20を介してシート幅方向に延びる軸線周りに前記ブラケット7に回動自在に連結されている。つまり、アームレスト本体11を内包するアームレスト5は、調整機構20を介することで、シートバック3に傾動(回動)自在に支持されている。
【0030】
次に、調整機構20について説明する。図4(a)(b)に示すように、調整機構20は、シート幅方向に中心線(軸線)O1の延びる円盤状の第1ブラケット21及び第2ブラケット31を備えている。第1ブラケット21は、例えばブラケット7(シートバック3側)に固定され、第2ブラケット31は、アームレストフレーム12(アームレスト5側)に固定される。
【0031】
第1ブラケット21は、例えば金属板の半抜き(ハーフブランキング)により成形されたもので、中心線O1を中心とする円形の外周面22を有するとともに、第2ブラケット31側に開口する略円形の凹部23を有している。この凹部23は、中心線O1に関して点対称(回転対称)に成形されており、中心線O1を挟む内壁面の両側に一対のラチェット内歯部24、該ラチェット内歯部24に連続する円弧面状の空走壁部25、及びラチェット内歯部24と反対側の空走壁部25との間で中心線O1側に突出する切替壁部26を一体的に有する。また、第1ブラケット21は、中心線O1を含むその周辺で第2ブラケット31側に突設された略平行四辺形の柱状のスプリング押さえ壁部27を有する。
【0032】
なお、切替壁部26のラチェット内歯部24に隣接する側の壁面は、基端部が中心線O1に向かう方向よりもラチェット内歯部24寄りに直線状に延びるように突出してブラケット側復帰用壁部28を形成する。一方、切替壁部26の空走壁部25に隣接する側の壁面は、基端部が中心線O1に向かう方向よりも空走壁部25寄りに直線状に延びるように突出してブラケット側反転用壁部29を形成する。
【0033】
第2ブラケット31は、例えば金属板の半抜きにより成形されたもので、図5に示すように、第1ブラケット21側に開口する円形の凹部32を有している。凹部32は、第1ブラケット21の外周面22の外径と同等の内径の内周面33を有する。この凹部32内は、中心線O1に関して点対称(回転対称)に成形されており、第2ブラケット31は、凹部32の中央部から第1ブラケット21の反対側に凹設された略小判形のスプリング収容部34を有する。そして、スプリング収容部34内には、中心線O1と略平行に延びる一対のブラケット側スプリング係止穴35が形成されるとともに、スプリング収容部34の外側縁部には、一対の略円柱状のポール軸部36が突設され、更に該ポール軸部36に隣接して一対の略半円柱状のポール支持部37が突設されている。なお、ポール軸部36及びポール支持部37の突出方向は、中心線O1と略平行に設定されている。
【0034】
図4(b)に示すように、第1ブラケット21は、その外周面22で、第2ブラケット31の内周面33と摺接するように嵌合されている。そして、第1及び第2ブラケット21,31の外周部には、第1ブラケット21の外周面22と第2ブラケット31の内周面33とが嵌合された状態で、金属板からなるリング状の保持部材30が装着されている。第1及び第2ブラケット21,31は、この保持部材30によって相対回動が許容された状態で軸線方向に抜け止めされており、それらの間に収容空間Sを形成する。なお、第2ブラケット31のポール軸部36及びポール支持部37は、第1及び第2ブラケット21,31の相対回動範囲内(アームレスト5の傾斜角度θが初期位置A0から反転位置A2までの範囲に相当)で、第1ブラケット21の凹部23内に収まるように配置されている。
【0035】
収容空間Sには、例えば鋼材からなる一対のポール41が収容されている。このポール41は、ポール軸部36に軸支される円形の軸受孔42を有するとともに、該軸受孔42を中心とする互いに異なる径方向に延びる爪状のポール側復帰用壁部としての歯止め部43及びポール側反転用壁部44を有する。なお、ポール側反転用壁部44の先端部には、中心線O1と略平行に延びるポール側スプリング係止穴45が形成されている。
【0036】
また、収容空間Sには、例えば捩りばねからなる一対のポール反転用スプリング46がスプリング収容部34の空間を利用して収容されている。このポール反転用スプリング46は、中心線O1と略平行に軸線方向の延びるコイル部47を有する。また、ポール反転用スプリング46は、コイル部47の第2ブラケット31から離隔する側の端末から中心線O1と略平行に屈曲してブラケット側スプリング係止穴35に嵌入される第1脚部48を有するとともに、コイル部47のポール41から離隔する側の端末から中心線O1と略平行に屈曲してポール側スプリング係止穴45に嵌入される第2脚部49を有する。つまり、第1及び第2脚部48,49は、コイル部47の外周部に被さってブラケット側スプリング係止穴35及びポール側スプリング係止穴45にそれぞれ固定されている。
【0037】
従って、収容空間Sには、ポール41及びポール反転用スプリング46を1組とする複数組(2組)が、収容空間S内で回転対称に配置されている。なお、スプリング収容部34に配置されたコイル部47は、第1ブラケット21のスプリング押さえ壁部27が当接又は近接することで、軸線方向に規制されている。
【0038】
このような構成にあって、アームレスト5が初期位置A0にあるときの第1及び第2ブラケット21,31の相対回転位置は、図4(a)に示す状態となっている。このとき、ポール41は、ポール反転用スプリング46によりポール軸部36(軸受孔42)を中心に図示反時計回り(以下、「正方向」ともいう)に回動付勢されて、その歯止め部43をラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合する。この状態で、例えば第1ブラケット21に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに回動すると、ポール41は、ラチェット内歯部24の歯部に歯止め部43が案内される態様でポール反転用スプリング46の付勢力に抗して揺動しつつラチェット内歯部24の歯部を順次乗り越える。従って、第2ブラケット31は、ポール41の歯止め部43がラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合する相対回転位置から終段の歯部24bに歯合する相対回転位置までの範囲では、第1ブラケット21に対して図示反時計回りに回動可能であるとともに、図示時計回りに回動不能である。ポール41の歯止め部43がラチェット内歯部24の終段の歯部24bに歯合するときの第1及び第2ブラケット21,31の相対回転位置は、アームレスト5の境界位置A1に相当する。
【0039】
第1ブラケット21に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、図6に示すようにラチェット内歯部24の終段の歯部24bを乗り越えたポール41の歯止め部43が空走壁部25を摺動する。そして、第1ブラケット21に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、図7に示すようにポール41は、ポール側反転用壁部44が切替壁部26のブラケット側反転用壁部29に押圧され始めることで、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して図示時計回りに回動し始める。そして、第1ブラケット21に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、図8に示すようにポール41の図示時計回りへの更なる回動に伴いポール反転用スプリング46がターンオーバーする。これにより、ポール反転用スプリング46によりポール41がポール軸部36(軸受孔42)を中心に図示時計回り(以下、「逆方向」ともいう)に回動付勢される。つまり、ポール41は、ポール反転用スプリング46により前記逆方向に回動付勢されるように反転する。
【0040】
ポール41が反転すると、そのポール側反転用壁部44がポール支持部37に保持されて回り止めされる。このようにポール41の反転した状態では、該ポール41は凹部23等(第1ブラケット21)から離脱しており、ポール41によって第1ブラケット21に対する第2ブラケット31の図示時計回りの回動(戻り回動)が阻害されることはない。ポール41が反転するときの第1及び第2ブラケット21,31の相対回転位置は、アームレスト5の反転位置A2に相当する。
【0041】
ポール41の反転した状態で、第1ブラケット21に対して第2ブラケット31が図示時計回りに回動(戻り回動)すると、図9に示すようにポール41は、歯止め部43が切替壁部26のブラケット側復帰用壁部28に押圧され始めることで、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して図示反時計回りに回動し始める。そして、第1ブラケット21に対して第2ブラケット31が図示時計回りに更に回動すると、図4(a)に示すようにポール41の図示反時計回りへの更なる回動に伴いポール反転用スプリング46がターンオーバーして、該ポール反転用スプリング46によりポール41が前記正方向に回動付勢される。つまり、ポール41は、ポール反転用スプリング46により前記正方向に回動付勢されるように反転(復帰)する。
【0042】
ポール41が反転(復帰)すると、その歯止め部43がラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合して回り止めされる。このときの第1及び第2ブラケット21,31の相対回転位置がアームレスト5の初期位置A0に相当することはいうまでもない。
【0043】
次に、アームレスト5が最下端の初期位置A0に配置される初期状態にあるものとして、その動作を説明する。
既述のように、アームレスト5が初期位置A0にあるとき、ポール反転用スプリング46により前記正方向に回動付勢されるポール41は、その歯止め部43をラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合する。そして、アームレスト5の傾斜角度θが調整範囲Z1内にある範囲でアームレスト5を上動させると、ポール41の歯止め部43がラチェット内歯部24の歯部に順次歯合することで、最下端の状態からアームレスト5の傾斜角度θが段階的に調整・保持可能である。
【0044】
また、アームレスト5の傾斜角度θが調整範囲Z1を超えて空走範囲Z2に達するまでアームレスト5を上動させると、ポール41の歯止め部43が空走壁部25を摺動することで、アームレスト5を反転位置A2へと速やかに上動させる(跳ね上げる)ことが可能となる。
【0045】
アームレスト5が反転位置A2に達すると、ポール41は、ポール反転用スプリング46により前記逆方向に回動付勢されるように反転する。そして、ポール41が第1ブラケット21から離脱する。これにより、例えばアームレスト5を初期位置A0へと速やかに下動させることが可能となる。なお、アームレスト5の反転位置A2での姿勢保持は、第1及び第2ブラケット21,31間の摩擦力によって実現している。
【0046】
アームレスト5が初期位置A0に達すると、ポール41は、ポール反転用スプリング46により前記正方向に回動付勢されるように反転(復帰)する。そして、ポール41の歯止め部43がラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合し、アームレスト5が初期状態に復帰する。これにより、前述のアームレスト5の傾斜角度θの段階的な調整・保持が再び可能となる。
【0047】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、第1ブラケット21のラチェット内歯部24に歯止め部43が噛合するポール41は、保持部材30により軸線方向に規制された第1及び第2ブラケット21,31間に形成される収容空間Sに配置される。このため、これらラチェット内歯部24及び歯止め部43が軸線方向に位置ずれすることを規制でき、アームレスト5の傾斜角度θをより安定した状態で保持することができる。また、アームレスト5の傾斜角度θを調整・保持するための構造を、収容空間Sに配置されるポール41及びポール反転用スプリング46等からなる極めて簡易なものにできる。
【0048】
(2)本実施形態では、ポール反転用スプリング46のコイル部47は、軸線方向が第1及び第2ブラケット21,31の軸線方向(中心線O1)と平行であることで、例えばコイル部の径方向が第1及び第2ブラケット21,31の軸線方向と平行である場合に比べて当該方向によりコンパクトに配置することができる。
【0049】
(3)本実施形態では、ポール41及びポール反転用スプリング46を1組とする複数組(2組)が、収容空間S内で回転対称(点対称)に配置されている。従って、例えばアームレスト5の傾斜角度θの調整・保持を、複数組のポール41等でより堅固に行うことができる。また、複数組のポール41等は、収容空間S内で回転対称に配置されていることで、アームレスト5の傾斜角度θを調整・保持する際に回転方向に均等に荷重を分散することができる。
【0050】
(4)本実施形態では、第1ブラケット21のスプリング押さえ壁部27は、第2ブラケット31のスプリング収容部34との間でポール反転用スプリング46のコイル部47を軸線方向に押さえることで、該コイル部47の浮き上がりを抑えることができる。
【0051】
(5)本実施形態では、ポール反転用スプリング46の第1及び第2脚部48,49は、コイル部47の外周部に被さるように屈曲していることで、該コイル部47の倒れを抑制することができる。
【0052】
(6)本実施形態では、アームレスト5の傾斜角度θに空走範囲Z2(空走壁部25)が設定されていることで、アームレスト5を格納位置(反転位置A2)へと速やかに上動させることができる。特に、例えばシートバック3の前倒しに連動してアームレスト5が格納位置(反転位置A2)に向かうようにこれに連係されている場合には、アームレスト5を格納しつつシートバック3を円滑に前倒しすることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図10及び図11を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態において復帰運動開始時に節度感を付与するように変更した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0054】
図10に示すように、本実施形態の調整機構50が備える第1ブラケット51のブラケット側反転用壁部52は、中心線O1に向かう方向よりも空走壁部25寄りに曲線状に延びるように突出している。そして、空走壁部25には、ブラケット側反転用壁部52の近傍で突起状の反転時係合突部53が中心線O1に向かって突設されている。
【0055】
一方、本実施形態のポール56のポール側反転用壁部57には、凹部23の内壁面に対向する先端に反転時係合凹部58が凹設されている。図11に示すように、この反転時係合凹部58には、ポール56の反転時に反転時係合突部53が嵌入する。なお、ポール56の反転時にこれを回り止めするポール支持部59は、略円柱状となっている。
【0056】
次に、本実施形態の動作を説明する。なお、アームレスト5が最下端の初期位置A0から反転位置A2に向かって上動する(跳ね上がる)直前までの動作については前記第1の実施形態と同様であるため、その説明を割愛する。
【0057】
既述のように、ポール56の反転時(即ちアームレスト5の反転位置A2への到達時)には、図11に示すように反転時係合凹部58に反転時係合突部53が嵌入する。このとき、ポール56は、反転時係合凹部58及び反転時係合突部53の係合を除いて第1ブラケット51から離脱する。なお、アームレスト5の反転位置A2での姿勢保持は、第1及び第2ブラケット21,31間の摩擦力に加えて、反転時係合凹部58及び反転時係合突部53の係合力によって実現している。
【0058】
この状態で、アームレスト5を初期位置A0に向かって下動させると、第1ブラケット51に対して第2ブラケット31が図示時計回りに回動(戻り回動)することで、ポール56は、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して揺動しつつ、その反転時係合凹部58を反転時係合突部53から外す(乗り越えさせる)。これにより、復帰運動開始時に節度感が生まれる。
【0059】
そして、反転時係合凹部58が反転時係合突部53から外れると、例えばアームレスト5を初期位置A0へと速やかに下動させることが可能となる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態と同様の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
【0060】
(1)本実施形態では、ポール56の反転時、反転時係合突部53が反転時係合凹部58に嵌入することで、第1ブラケット51に対して第2ブラケット31が図示時計回りの回動(戻り回動)を開始した際に、反転時係合凹部58が反転時係合突部53から外れる(乗り越える)ことになり、節度感を付与できる。
【0061】
(第3の実施形態)
図12〜図14を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態は、シートクッション2に対するオットマン6の傾斜角度を調整するための調整機構に具体化した構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明は省略する。
【0062】
図12に示すように、シートクッション2側部の骨格をなす、例えば金属板からなるシートクッションサイドフレーム2aの前端部には、例えば金属板からなるブラケット61が固着されている。そして、オットマン6を支持する、例えば金属板からなる支持ブラケット62は、リンク機構63を介してブラケット61に連結されている。リンク機構63の各支持軸は、シート幅方向に延びる軸線を有する。なお、シートクッションサイドフレーム2aに固定等されるブラケット61、支持ブラケット62及びリンク機構63は、シート幅方向両側に対をなして配設されている。
【0063】
各リンク機構63は、いわゆるパンタグラフリンクを構成するもので、主回動リンク64と、副回動リンク65と、第1揺動リンク66と、第2揺動リンク67とを備える。主回動リンク64は、一方の端部が円盤状の調整機構70を介してブラケット61の上端部に回動自在に連結されており、他方の端部が第1揺動リンク66の一方の端部に回動自在に連結されている。そして、第1揺動リンク66の他方の端部は、支持ブラケット62の先端部に回動自在に連結されている。
【0064】
副回動リンク65は、一方の端部がブラケット61の下端部に回動自在に連結されており、他方の端部が第2揺動リンク67の一方の端部に回動自在に連結されている。そして、第2揺動リンク67の他方の端部は、支持ブラケット62の基端部に回動自在に連結されている。なお、主回動リンク64の長手方向中間部には、第2揺動リンク67の長手方向中間部が回動自在に連結されている。
【0065】
そして、例えば主回動リンク64が略下方に延在する状態から図示時計回りに回動すると、図示2点鎖線で描画したように、第1及び第2揺動リンク66,67がシート前方に突き出され、支持ブラケット62に支持されたオットマン6が展開される。一方、オットマン6の展開状態(主回動リンク64が略前方に延在する状態)から主回動リンク64が図示反時計回りに回動すると、第1及び第2揺動リンク66,67がシート後方に折り畳まれ、支持ブラケット62に支持されたオットマン6が格納される。
【0066】
ここで、シートクッション2に対するオットマン6の傾斜角度について説明する。図12に示すように、シートクッション2に対するオットマン6の傾斜角度θ1に相関する主回動リンク64の回動位置には、支持ブラケット62(オットマン6)と共に主回動リンク64が略下方に延在する所定の格納位置B0から主回動リンク64が斜め下方に延在する所定の第1境界位置B1までの助走範囲Z11と、第1境界位置B1から主回動リンク64が略前方に延在する所定の第2境界位置B2までの調整範囲Z12と、第2境界位置B2から主回動リンク64が略斜め上方に延在する所定の反転位置B3までの空走範囲Z13とが設定されている。
【0067】
調整範囲Z12では、調整機構70により、主回動リンク64が第1境界位置B1から第2境界位置B2に向かう図示時計回りの回動、即ちオットマン6の上動が許容されるとともに、逆回り(図示反時計回り)の回動、即ちオットマン6の下動が係止される。そして、主回動リンク64の回動位置、即ちオットマン6の傾斜角度θ1が、所定角度ごとに多段階(本実施例では7段階)で調整・保持可能となっている。
【0068】
一方、助走範囲Z11では、調整機構70により、主回動リンク64の両方向の回動、即ちオットマン6の上下動が許容される。同様に、空走範囲Z13では、調整機構70により、主回動リンク64の両方向の回動、即ちオットマン6の上下動が許容される。特に、主回動リンク64が反転位置B3に到達した後は、調整機構70により、調整範囲Z12でのオットマン6の下動も許容されるようにその動作が切り替えられる。
【0069】
なお、主回動リンク64の格納位置B0は、オットマン6の格納状態に相当し、第2境界位置B2は、オットマン6の展開状態に相当する。
次に、調整機構70について説明する。なお、本実施形態の調整機構70は、主に主回動リンク64の回動位置(オットマン6の傾斜角度θ1)に助走範囲Z11を設定するために前記調整機構20の構造を変更したものであるため、該調整機構20との相違点を中心に説明する。
【0070】
図13に示すように、調整機構70は、シート幅方向に中心線(軸線)O2の延びる円盤状の第1ブラケット71及び前記第2ブラケット31を備えている。第1ブラケット71は、例えばブラケット61(シートクッション2側)に固定され、第2ブラケット31は、主回動リンク64(オットマン6側)に固定される。
【0071】
第1ブラケット71に形成された略円形の凹部72は、中心線O2に関して点対称(回転対称)に成形されており、中心線O2を挟む内壁面の両側に一対の円弧面状の助走壁部73、該助走壁部73に連続する前記ラチェット内歯部24、前記空走壁部25、及び前記切替壁部26を一体的に有する。そして、助走壁部73には、前記ブラケット側復帰用壁部28の近傍で突起状の復帰時係合突部74が中心線O2に向かって突設されている。
【0072】
一方、本実施形態のポール76の歯止め部77には、凹部72の内壁面に対向する先端に復帰時係合凹部78が凹設されている。この復帰時係合凹部78には、ポール76の復帰時に復帰時係合突部74が嵌入する。
【0073】
このような構成にあって、主回動リンク64が格納位置B0にあるときの第1及び第2ブラケット71,31の相対回転位置は、図13に示す状態となっている。このとき、ポール76は、前記ポール反転用スプリング46によりポール軸部36(軸受孔42)を中心に図示反時計回り(正方向)に回動付勢されて、その復帰時係合凹部78に復帰時係合突部74が嵌入する。なお、主回動リンク64の格納位置B0でのオットマン6の姿勢保持は、第1及び第2ブラケット71,31間の摩擦力に加えて、復帰時係合凹部78及び復帰時係合突部74の係合力等によって実現している。
【0074】
この状態で、主回動リンク64が第1境界位置B1に向かうようにオットマン6を上動させると、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに回動することで、ポール76は、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して揺動しつつ、その復帰時係合凹部78を復帰時係合突部74から外す(乗り越えさせる)。これにより、第2ブラケット31の図示反時計回りへの回動開始時に節度感が生まれる。
【0075】
そして、復帰時係合凹部78が復帰時係合突部74から外れると、例えば主回動リンク64が第1境界位置B1に向かうようにオットマン6を速やかに上動させることが可能となる。このとき、ポール反転用スプリング46により正方向に回動付勢されるポール76は、第2ブラケット31の図示反時計回りの回動に伴い、助走壁部73に歯止め部77を摺動させる。
【0076】
第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、ポール反転用スプリング46により正方向に回動付勢されるポール76は、その歯止め部77をラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合する。歯止め部77がラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合するときの第1及び第2ブラケット71,31の相対回転位置は、主回動リンク64の第1境界位置B1に相当する。
【0077】
この状態で、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、ポール76は、ラチェット内歯部24の歯部に歯止め部77が案内される態様でポール反転用スプリング46の付勢力に抗して揺動しつつラチェット内歯部24の歯部を順次乗り越える。従って、第2ブラケット31は、ポール76の歯止め部77がラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合する相対回転位置から終段の歯部24bに歯合する相対回転位置までの範囲では、第1ブラケット71に対して図示反時計回りに回動可能であるとともに、図示時計回りに回動不能である。ポール76の歯止め部77がラチェット内歯部24の終段の歯部24bに歯合するときの第1及び第2ブラケット71,31の相対回転位置は、主回動リンク64の第2境界位置B2に相当する。
【0078】
第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、ラチェット内歯部24の終段の歯部24bを乗り越えたポール76の歯止め部77が空走壁部25を摺動する。そして、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、ポール76は、前記ポール側反転用壁部44が切替壁部26のブラケット側反転用壁部52に押圧され始めることで、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して図示時計回りに回動し始める。そして、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに更に回動すると、図14に示すようにポール76の図示時計回りへの更なる回動に伴いポール反転用スプリング46がターンオーバーして、該ポール反転用スプリング46によりポール76がポール軸部36(軸受孔42)を中心に図示時計回り(逆方向)に回動付勢される。
【0079】
ポール76が反転すると、そのポール側反転用壁部44が前記ポール支持部59に保持されて回り止めされる。このようにポール76の反転した状態では、該ポール76は凹部72等(第1ブラケット71)から離脱しており、ポール76によって第1ブラケット71に対する第2ブラケット31の図示時計回りの回動(戻り回動)が阻害されることはない。ポール76が反転するときの第1及び第2ブラケット71,31の相対回転位置は、主回動リンク64の反転位置B3に相当する。
【0080】
ポール76の反転した状態で、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示時計回りに回動(戻り回動)すると、ポール76は、歯止め部77が切替壁部26のブラケット側復帰用壁部28に押圧され始めることで、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して図示反時計回りに回動し始める。そして、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示時計回りに更に回動すると、図13に示すようにポール76の図示反時計回りへの更なる回動に伴いポール反転用スプリング46がターンオーバーして、該ポール反転用スプリング46によりポール76が前記正方向に回動付勢される。
【0081】
ポール76が反転(復帰)すると、その復帰時係合凹部78に復帰時係合突部74が嵌入する。このときの第1及び第2ブラケット21,31の相対回転位置が主回動リンク64の格納位置B0に相当することはいうまでもない。
【0082】
次に、主回動リンク64が最下端の格納位置B0に配置されるオットマン6の格納状態にあるものとして、その動作を説明する。
既述のように、主回動リンク64が格納位置B0にあるとき、ポール反転用スプリング46により前記正方向に回動付勢されるポール76は、その復帰時係合凹部78に復帰時係合突部74を嵌入する。この状態で、主回動リンク64が第1境界位置B1に向かうようにオットマン6を上動させると、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りに回動することで、ポール76は、ポール反転用スプリング46の付勢力に抗して揺動しつつ、その復帰時係合凹部78を復帰時係合突部74から外す(乗り越えさせる)。これにより、第2ブラケット31の図示反時計回りへの回動開始時に節度感が生まれる。
【0083】
そして、主回動リンク64が助走範囲Z11内で第1境界位置B1に向かうようにオットマン6を更に上動させると、ポール76の歯止め部77が助走壁部73を摺動することで、オットマン6を速やかに上動させることが可能となる。
【0084】
主回動リンク64が第1境界位置B1に達すると、ポール76の歯止め部77がラチェット内歯部24の初段の歯部24aに歯合する。そして、主回動リンク64が調整範囲Z12内にある範囲でオットマン6を上動させると、ポール76の歯止め部77がラチェット内歯部24の歯部に順次歯合することで、主回動リンク64の回動位置、即ちオットマン6の傾斜角度θ1が段階的に調整・保持可能である。
【0085】
また、主回動リンク64が調整範囲Z12を超えて空走範囲Z13に達するまでオットマン6を上動させると、ポール76の歯止め部77が空走壁部25を摺動することで、主回動リンク64が反転位置B3に向かうようにオットマン6を速やかに上動させることが可能となる。
【0086】
主回動リンク64が反転位置B3に達すると、ポール76は、ポール反転用スプリング46により前記逆方向に回動付勢されるように反転する。そして、ポール76が第1ブラケット71から離脱する。これにより、例えば主回動リンク64が格納位置B0に向かうようにオットマン6を速やかに下動させることが可能となる。
【0087】
主回動リンク64が格納位置B0に達すると、ポール76は、ポール反転用スプリング46により前記正方向に回動付勢されるように反転(復帰)する。そして、ポール76の復帰時係合凹部78に復帰時係合突部74が嵌入し、オットマン6が格納状態に復帰する。
【0088】
以上詳述したように、本実施形態によれば、前記第1の実施形態の(1)〜(5)と同様の効果に加えて以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ポール76の復帰時、復帰時係合突部74が復帰時係合凹部78に嵌入することで、第1ブラケット71に対して第2ブラケット31が図示反時計回りの回動(戻り回動)を開始した際に、復帰時係合凹部78が復帰時係合突部74から外れる(乗り越える)ことになり、節度感を付与できる。
【0089】
(2)本実施形態では、主回動リンク64が格納位置B0から調整範囲Z12に向かうようにオットマン6を格納状態から上動させる際に、助走範囲Z11でこれに勢いを付けることができ、オットマン6の展開を円滑に行うことができる。
【0090】
(3)本実施形態では、ポール76の復帰時、即ちオットマン6の格納状態で復帰時係合突部74が復帰時係合凹部78に嵌入することで、これらの間の係合力によってオットマン6の格納状態をより堅固に保持できる。
【0091】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図15及び図16に示すように、前記各実施形態において、復帰運動開始時及び調整範囲に向かう回動開始時に共に節度感を付与する調整機構80を採用してもよい。すなわち、この調整機構80の第1ブラケット81に形成された略円形の凹部82は、前記助走壁部73、前記ラチェット内歯部24、前記空走壁部25、及び前記切替壁部26を一体的に有する。そして、空走壁部25には、前記反転時係合突部53が突設されており、助走壁部73には、前記復帰時係合突部74が突設されている。一方、ポール86は、前記反転時係合凹部58及び前記復帰時係合凹部78を有する。このように変更することで、前記第2の実施形態の(1)と同様の効果及び第3の実施形態の(1)と同様の効果を同時に得ることができる。
【0092】
・前記第1又は第2の実施形態において、調整機構20,50に代えて調整機構70を採用してもよい。
・前記第3実施形態において、調整機構70に代えて調整機構20,50を採用してもよい。
【0093】
・前記第3実施形態において、調整機構70は、オットマン6の姿勢を規定するリンク機構63(主回動リンク64、副回動リンク65、第1及び第2揺動リンク66,67)の各支持軸の任意箇所に配置すればよい。ただし、シートクッション2側(ブラケット61)との連結部に配置することがより好ましい。
【0094】
・前記第3実施形態において、シートクッション2側へのオットマン6の支持構造は一例である。例えば、シートクッション2側(ブラケット61)に対して調整機構を介して回動自在に連結される片持ち支持のアームによってオットマン6を上下動させてもよい。
【0095】
・前記各実施形態において、収容空間S内に配置されるポール及びポール反転用スプリング等の組は、1組であってもよいし、回転対称に配置された3組以上であってもよい。
・前記各実施形態において、ポールの反転が可能であれば、第1ブラケットの空走壁部25はなくてもよい。
【0096】
・前記各実施形態では、歯止め部43,77をポール側復帰用壁部として兼用したが、歯止め部43,77とは別にポール側復帰用壁部を設けてもよい。
・前記各実施形態において、第1ブラケット21,51,71,81を可動側(アームレスト5、オットマン6側)に固定し、第2ブラケット31をシート1側(シートバック3、シートクッション2側)に固定してもよい。
【0097】
・前記各実施形態において、ポール反転用スプリング46は、例えば板ばねなどであってもよい。要は、ポールが反転するようにターンオーバーできればよい。
・前記各実施形態において、ラチェット内歯部24及びこれに噛合する歯止め部43,77の少なくとも一方に、消音用の樹脂コーティングを施してもよい。
【符号の説明】
【0098】
S…収容空間、1…シート、2…シートクッション、3…シートバック、5…アームレスト、6…オットマン、21,51,71,81…第1ブラケット、24…ラチェット内歯部、25…空走壁部、28…ブラケット側復帰用壁部、29,52…ブラケット側反転用壁部、30…保持部材、31…第2ブラケット、41,56,76,86…ポール、43,77…歯止め部(ポール側復帰用壁部)、44,57…ポール側反転用壁部、46…ポール反転用スプリング、47…コイル部、48…第1脚部(脚部)、49…第2脚部(脚部)、53…反転時係合突部、58…反転時係合凹部、73…助走壁部、74…復帰時係合突部、78…復帰時係合凹部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラチェット内歯部、ブラケット側反転用壁部及びブラケット側復帰用壁部を一体的に有する第1ブラケットと、
前記第1ブラケットとの間に収容空間を形成して該第1ブラケットに軸支され、前記第1ブラケットに対する相対回動に伴ってシートの姿勢を調整可能な第2ブラケットと、
前記第1及び第2ブラケットを軸線方向に規制する保持部材と、
前記収容空間内で前記第1及び第2ブラケットの軸線方向と平行な軸線周りに前記第2ブラケットに軸支されたポールと、
前記収容空間内で前記第2ブラケットに一方の脚部が係止され、前記ポールに他方の脚部が係止されたポール反転用スプリングとを備え、
前記ポールは、
前記ポール反転用スプリングにより正方向に回動付勢されるとき、前記ラチェット内歯部に噛合することで前記第1及び第2ブラケットの一方向への相対回動を許容するとともに他方向への相対回動を規制する歯止め部と、
前記第1及び第2ブラケットの前記一方向への相対回動時、前記ブラケット側反転用壁部に当接することで前記ポール反転用スプリングにより逆方向に回動付勢されるように反転させて前記第1及び第2ブラケットの前記他方向への相対回動を許容させるポール側反転用壁部と、
前記第1及び第2ブラケットの前記他方向への相対回動時、前記ブラケット側復帰用壁部に当接することで前記ポール反転用スプリングにより前記正方向に回動付勢されるように復帰させるポール側復帰用壁部とを一体的に有していることを特徴とする車両用シート調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シート調整装置において、
前記ポール反転用スプリングは、前記第1及び第2ブラケットの軸線方向と平行に軸線方向に延びるコイル部を有することを特徴とする車両用シート調整装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用シート調整装置において、
前記ポール及び前記ポール反転用スプリングを1組とする複数組が、前記収容空間内で回転対称に配置されていることを特徴とする車両用シート調整装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用シート調整装置において、
前記第1ブラケットは、前記ポール反転用スプリングにより前記ポールが前記正方向に回動付勢されるとき、該ポールの反転に先立って前記歯止め部を摺動させて前記第1及び第2ブラケットの相対回動を許容させる空走壁部を有し、
前記空走壁部に突設された反転時係合突部と、
前記ポールに凹設され、該ポールの反転時に前記反転時係合突部が嵌入する反転時係合凹部とを備えたことを特徴とする車両用シート調整装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用シート調整装置において、
前記第1ブラケットは、前記ポール反転用スプリングにより前記ポールが前記正方向に回動付勢されるとき、前記第1及び第2ブラケットの前記一方向への相対回動時に前記ラチェット内歯部及び前記歯止め部の噛合に先立って前記歯止め部を摺動させる助走壁部を有し、
前記助走壁部に突設された復帰時係合突部と、
前記歯止め部に凹設され、前記ポールの復帰時に前記復帰時係合突部が嵌入する復帰時係合凹部とを備えたことを特徴とする車両用シート調整装置。
【請求項1】
ラチェット内歯部、ブラケット側反転用壁部及びブラケット側復帰用壁部を一体的に有する第1ブラケットと、
前記第1ブラケットとの間に収容空間を形成して該第1ブラケットに軸支され、前記第1ブラケットに対する相対回動に伴ってシートの姿勢を調整可能な第2ブラケットと、
前記第1及び第2ブラケットを軸線方向に規制する保持部材と、
前記収容空間内で前記第1及び第2ブラケットの軸線方向と平行な軸線周りに前記第2ブラケットに軸支されたポールと、
前記収容空間内で前記第2ブラケットに一方の脚部が係止され、前記ポールに他方の脚部が係止されたポール反転用スプリングとを備え、
前記ポールは、
前記ポール反転用スプリングにより正方向に回動付勢されるとき、前記ラチェット内歯部に噛合することで前記第1及び第2ブラケットの一方向への相対回動を許容するとともに他方向への相対回動を規制する歯止め部と、
前記第1及び第2ブラケットの前記一方向への相対回動時、前記ブラケット側反転用壁部に当接することで前記ポール反転用スプリングにより逆方向に回動付勢されるように反転させて前記第1及び第2ブラケットの前記他方向への相対回動を許容させるポール側反転用壁部と、
前記第1及び第2ブラケットの前記他方向への相対回動時、前記ブラケット側復帰用壁部に当接することで前記ポール反転用スプリングにより前記正方向に回動付勢されるように復帰させるポール側復帰用壁部とを一体的に有していることを特徴とする車両用シート調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シート調整装置において、
前記ポール反転用スプリングは、前記第1及び第2ブラケットの軸線方向と平行に軸線方向に延びるコイル部を有することを特徴とする車両用シート調整装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用シート調整装置において、
前記ポール及び前記ポール反転用スプリングを1組とする複数組が、前記収容空間内で回転対称に配置されていることを特徴とする車両用シート調整装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用シート調整装置において、
前記第1ブラケットは、前記ポール反転用スプリングにより前記ポールが前記正方向に回動付勢されるとき、該ポールの反転に先立って前記歯止め部を摺動させて前記第1及び第2ブラケットの相対回動を許容させる空走壁部を有し、
前記空走壁部に突設された反転時係合突部と、
前記ポールに凹設され、該ポールの反転時に前記反転時係合突部が嵌入する反転時係合凹部とを備えたことを特徴とする車両用シート調整装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用シート調整装置において、
前記第1ブラケットは、前記ポール反転用スプリングにより前記ポールが前記正方向に回動付勢されるとき、前記第1及び第2ブラケットの前記一方向への相対回動時に前記ラチェット内歯部及び前記歯止め部の噛合に先立って前記歯止め部を摺動させる助走壁部を有し、
前記助走壁部に突設された復帰時係合突部と、
前記歯止め部に凹設され、前記ポールの復帰時に前記復帰時係合突部が嵌入する復帰時係合凹部とを備えたことを特徴とする車両用シート調整装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−99980(P2013−99980A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243701(P2011−243701)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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