説明

車両用ドアミラー装置

【課題】ミラーの傾斜角度を調整する際に生じる叩き音の発生を防ぐことのできる車両用ドアミラー装置を提供する。
【解決手段】ミラー40を有するホルダーベース21と、先端部がホルダーベース21に結合されて軸回りの回転が阻止され、かつ基部36Cの外壁面に係合爪36Eが設けられたロッド36Aと、基部36Cを覆うように配置され、内壁面に係合爪36Eが係合するネジ溝22Eが形成され、外壁面にヘリカルギヤが設けられた円筒状のギヤ部材と、前記ヘリカルギヤと噛み合い、かつモータで回転駆動される駆動ギヤとを備え、前記ヘリカルギヤを円筒状の部分から分離して、円環状のヘリカルギヤ部22C’と円筒部22Fの2つの部材にする一方、円筒部22Fの外壁面に板バネ41を設け、板バネ41とヘリカルギヤ部22C’の内壁面との摩擦力で、ヘリカルギヤ部22C’を円筒部22Fの外壁面に固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ドアミラー装置に係り、特に、ミラーの傾斜角度を調整する駆動機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来技術による車両用ドアミラー装置の要部断面図である。この車両用ドアミラー装置は、ミラーの傾斜角度を調整する駆動機構として、ミラー40が取り付けられるホルダーベース21と、先端の球形状部36Dがホルダーベース21に結合されて軸回りの回転が阻止されているとともに、基部36Cの外壁面に係合爪36Eが設けられたロッド36Aと、ロッド36Aの基部36Cを覆うように配置され、内壁面にロッド36Aの係合爪36Eが係合するネジ溝22E(図10も参照)が形成され、外壁面にヘリカルギヤ22C(図10も参照)が設けられた円筒状のギヤ部材22Aと、ヘリカルギヤ22Cと噛み合い、かつモータ24A(図10参照)で回転駆動されるウォームギヤ28A(図10参照)とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、ヘリカルギヤ22Cが回転駆動され、その回転に伴ってギヤ部材22Aが回転したとき、ネジ溝22Eへの係合爪36Eの係合により、ロッド36Aがホルダーベース21に対して直角方向へ往復移動してホルダーベース21を傾斜させ、ミラー40の傾斜角度を調整することができるようになっている。
【0004】
図10は車両用ドアミラー装置の分解斜視図である。図9では1つのロッド36Aだけを示したが、実際には、図10に示すように、2つのロッド36A,36Bが設けられている。また、これらロッド36A,36Bを駆動するための機構も2つずつ設けられている。
【0005】
図10において、20はハウジング、21はホルダーベースである。ハウジング20は下ハウジング20Aと上ハウジング20Bとから構成されている。下ハウジング20Aにはギヤ部材22A,22Bを回転可能に載置するための軸受け凹所23A,23B、モータ24A,24Bを固定載置するための載置部25A,25B、及びターミナル26を挿入固定するためのコネクト部27が形成されている。
【0006】
ターミナル26は共通部26A、+部26B,26Cから形成され、モータ24A,24Bの−端子は共通部26Aに、モータ24Aの+端子は+部26Bにそれぞれ接続され、さらにモータ24Bの+端子は+部26Cに接続される。
【0007】
モータ24A,24Bの出力軸24A’,24B’にはウォームギヤ28A,28Bがそれぞれ圧入固定されている。それらウォームギヤ28A,28Bはそれぞれギヤ部材22A,22Bのヘリカルギヤ22C,22Dに噛み合わされる。
【0008】
上ハウジング20Bには半球形状支承部29、貫通穴30A,30Bが形成されているとともに、半球形状支承部29を挟んでその両側に一対の支承壁31A,31Bが形成されている。貫通穴30A,30Bにはパッキン部材32A,32Bがそれぞれ嵌合される。
【0009】
下ハウジング20Aと上ハウジング20Bとは、上ハウジング20Bに形成されている係合耳部20Dを、下ハウジング20Aに形成されている係合突起20Cに係合させることにより、一体化される。
【0010】
ホルダーベース21には、半球形状支承部29に傾動可能に支承される湾曲形状凹部を下部に有する被支承部33と、一対の支承壁31A,31Bにそれぞれ支承される支承棒部34A,34Bとが形成されている。
【0011】
また、ホルダーベース21には、スプリング部材35を被支承部33に嵌合させることによりハウジング20に対する抜け止めが図られている。
【0012】
ハウジング20には、ミラー40の傾斜角度調整用のロッド36A,36Bが設けられる。例えば、ロッド36Aはミラーの左右方向傾動用に、ロッド36Bはミラーの上下方向傾動用にそれぞれ用いられる。ロッド36A,36Bは、その下部に互いに対向する一対の係合爪36Eを有し、また、ロッド36A,36Bの先端部には球形状部36Dが設けられている。
【0013】
ロッド36A,36Bは、それらの内側に中空部を有し、その中空部には断面逆U字形状のスプリング37が挿入固定される。そのスプリング37は対向する一対の係合爪36Eを互いに離間する方向に付勢する。ギヤ部材22A,22Bには、その内周部にネジ溝22Eが形成され、前記各係合爪36Eがそのネジ溝22Eに係合される。
【0014】
ロッド36A,36Bは貫通穴30A,30Bを通してホルダーベース21に向かって案内される。そのロッド36A,36Bの球形状部36Dには半径方向外方に向かって突出する回り止め突起38が形成されている。この回り止め突起38により、ロッド36A,36Bはその軸回りの回転が阻止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004−230918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、上記従来技術では、ミラー40の傾斜角度を調整する際に、ロッド36A,36Bが移動範囲の上限又は下限に達したときや、ホルダーベース21やハウジング20等を収容するケーシングとホルダーベース21との間に異物が挟まったときなどは、ロッド36A,36Bの上下移動が阻止されており、これにより、ヘリカルギヤ22C,22D(ギヤ部材22A,22B)の回転も阻止されている。このような状態のときに、モータ24A,24Bを駆動してウォームギヤ28A,28Bを無理矢理に回転させようとすると、モータ24A,24Bに過剰な負荷が掛かり、モータ24A,24Bがストール(停止)してしまう。
【0017】
そこで、従来技術では、ロッド36A,36Bの係合爪36Eを弾性形状(弾性体)にして、ある一定以上の荷重(負荷)が掛かると、係合爪36Eが弾性変形してギヤ部材22A,22Bの内周ネジ溝22Eの山部を乗り越えて噛み合い位置をずらすことにより、モータ24A,24Bに過剰な負荷が掛かるのを防ぐ構造となっている。
【0018】
しかしながら、係合爪36Eがネジ溝22Eの山部を乗り越える際、ロッド36A,36B内に設定されたスプリング37は、ロッド36A,36Bの中心軸側に一旦押圧変形され、係合爪36Eがネジ溝22Eの山部を乗り越えてネジ溝22Eの谷部に嵌合するとき、スプリング37は前記押圧変形が瞬時に解放されて元の形状に戻ろうとする。このスプリング37の復元力によって、係合爪36Eはネジ溝22Eの谷部に激しくぶつかるため、叩き音が生じる。この叩き音は構造上生じる音であり異音ではないが、駆動機構の故障により生じる音と感じるユーザも存在する。特に、このような叩き音が生じない構造を採用している海外(主に欧州)ではその傾向が強いため、この叩き音が、従来構造駆動機構の採用の妨げとなっているという問題がある。
【0019】
本発明の課題は、ミラーの傾斜角度を調整する際に生じる叩き音の発生を防ぐことのできる車両用ドアミラー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ミラーが取り付けられるホルダーベースと、先端部が前記ホルダーベースに結合されて軸回りの回転が阻止されているとともに、基部の外壁面に係合爪が設けられたロッドと、前記ロッドの基部を覆うように配置され、内壁面に前記ロッドの係合爪が係合するネジ溝が形成され、外壁面にヘリカルギヤが設けられた円筒状のギヤ部材と、前記ヘリカルギヤと噛み合い、かつモータで回転駆動される駆動ギヤとを備え、前記ヘリカルギヤが回転駆動され、その回転に伴って前記ギヤ部材が回転したとき、前記ネジ溝への前記係合爪の係合により、前記ロッドが前記ホルダーベースに対して直角方向へ往復移動して前記ホルダーベースを傾斜させ、前記ミラーの傾斜角度を調整する車両用ドアミラー装置であって、前記ヘリカルギヤを前記円筒状の部分から分離して、円環状のヘリカルギヤ部と円筒部の2つの部材にする一方、前記円筒部の外壁面に当接部を設け、該当接部と前記ヘリカルギヤ部の内壁面との摩擦力で、前記ヘリカルギヤ部を前記円筒部の外壁面に固定したことを特徴とする。
【0021】
上記構成によれば、ヘリカルギヤが円筒状の部分から分離されて、円環状のヘリカルギヤ部と円筒部の2つの部材に分けられているので、ロッドが移動範囲の上限又は下限に達したときや、ケーシングとミラーホルダーとの間に異物が挟まったときなどの異常時には、駆動ギヤに駆動されたヘリカルギヤ部は、当接部との摩擦力に抗して円筒部の外周側を摺動する。このように、上記構成においては、ロッドの係合爪がギヤ部材のネジ溝の山部を乗り越えることもないので、叩き音の発生を防ぐことができる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記当接部は、前記円筒部の外壁面に複数箇所設けられていることを特徴とする。
【0023】
上記構成によれば、ヘリカルギヤ部の中心が偏心することなく、ヘリカルギヤ部を円筒部の外壁面にバランス良く固定することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記当接部は、弾性体で形成されていることを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、当接部をヘリカルギヤ部の内壁面に確実に当接させることができる。
【0026】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記弾性体は、円弧状に曲げられた板バネであることを特徴とする。
【0027】
上記構成によれば、ヘリカルギヤ部が円筒部の外周側を摺動する際の動作をスムーズに行わせることができる。
【0028】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記ヘリカルギヤ部の内壁面には段部が形成され、前記板バネの一側の側端部は前記段部に当接していることを特徴とする。
【0029】
上記構成によれば、ヘリカルギヤ部の段部が板バネの一側の側端部に当接することにより、円筒部に対するヘリカルギヤ部の位置決めを容易に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ロッドが移動範囲の上限又は下限に達したときや、ケーシングとミラーホルダーとの間に異物が挟まったときなどに、ミラーの傾斜角度調整を行っても、叩き音の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る車両用ドアミラー装置の要部断面図である。
【図2】円筒部にヘリカルギヤ部が固定され、さらに円筒部の上端部に上部材が嵌め込まれた様子を示す斜視図である。
【図3】円筒部にヘリカルギヤ部が固定された様子を示す斜視図である。
【図4】円筒部とヘリカルギヤ部の分解斜視図である。
【図5】ヘリカルギヤ部を示しており、(a)はヘリカルギヤ部を斜め上方から見たときの斜視図、(b)はヘリカルギヤ部を斜め下方から見たときの斜視図である。
【図6】ヘリカルギヤ部を示しており、(a)はその平面図、(b)は正面図である。
【図7】円筒部を示しており、(a)は円筒部を斜め上方から見たときの斜視図、(b)は円筒部を斜め下方から見たときの斜視図である。
【図8】円筒部を示しており、(a)はその平面図、(b)は正面図である。
【図9】従来技術による車両用ドアミラー装置の要部断面図である。
【図10】車両用ドアミラー装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
【実施例】
【0033】
本実施例における車両用ドアミラー装置も基本的な構成は図10に示したものと同様である。すなわち、この車両用ドアミラー装置は、ミラー40が取り付けられるホルダーベース21と、先端部がホルダーベース21に結合されて軸回りの回転が阻止されているとともに、基部36Cの外壁面に係合爪36Eが設けられたロッド36A,36Bと、ロッド36A,36Bの基部36Cを覆うように配置され、内壁面にロッド36A,36Bの係合爪36Eが係合するネジ溝22Eが形成され、外壁面にヘリカルギヤ22C,22Dが設けられた円筒状のギヤ部材22A,22Bと、ヘリカルギヤ22C,22Dとそれぞれ噛み合い、かつモータ24A,24Bで回転駆動される、駆動ギヤとしてのウォームギヤ28A,28Bとを備えている。
【0034】
そして、ヘリカルギヤ22C,22Dが回転駆動され、その回転に伴ってウォームギヤ28A,28Bがそれぞれ回転したとき、ネジ溝22Eへの係合爪36Eの係合により、ロッド36A,36Bがホルダーベース21に対して直角方向へ往復移動してホルダーベース21を傾斜させ、ミラー40の傾斜角度を調整するようになっている。
【0035】
本実施例における車両用ドアミラー装置の特徴部分は、図4に示すように、図10でのギヤ部材22A(22B)において、ヘリカルギヤ22C(22D)を円筒状の部分から分離して、円環状のヘリカルギヤ部22C’(22D’)と、円筒体からなる円筒部22F(22G)の2つの部材とする一方、円筒部22F(22G)の外壁面に当接部(弾性体)として板バネ41を設け、該板バネ41の付勢力(弾性力)でヘリカルギヤ部22C’(22D’)をその半径方向外側に付勢している。すなわち、本実施例においては、円弧状に曲げられた板バネ41の中央突出部とヘリカルギヤ部22C’(22D’)の内壁面との摩擦力によって、ヘリカルギヤ部22C’(22D’)が円筒部22F(22G)の外壁面に固定されている。
【0036】
図5は、ヘリカルギヤ部22C’(22D’)を示しており、(a)はヘリカルギヤ部22C’(22D’)を斜め上方から見たときの斜視図、(b)はヘリカルギヤ部22C’(22D’)を斜め下方から見たときの斜視図である。また、図6もヘリカルギヤ部22C’(22D’)を示しており、(a)はヘリカルギヤ部22C’(22D’)の平面図、(b)はヘリカルギヤ部22C’(22D’)の正面図である。
【0037】
ヘリカルギヤ部22C’(22D’)には、その上部に円環状の突出部42が設けられている。またヘリカルギヤ部22C’(22D’)には、内壁面に段部43(図5(b)参照)が形成され、その段部43よりも下方(図5(b)において上部)には大内径部44が、上方には小内径部45がそれぞれ設けられている。そして、大内径部44に前述した板バネ41が当接するようになっている。小内径部45よりも上方、つまり突出部42の内側は、内径が小内径部45よりも大きく、大内径部44よりも小さい中内径部46となっている。
【0038】
図7は、円筒部22F(22G)を示しており、(a)は円筒部22F(22G)を斜め上方から見たときの斜視図、(b)は円筒部22F(22G)を斜め下方から見たときの斜視図である。また図8も円筒部22F(22G)を示しており、(a)は円筒部22F(22G)の平面図、(b)は円筒部22F(22G)の正面図である。
【0039】
円筒部22F(22G)には、上述したように、その外壁面に円弧状に曲げられた板バネ41が設けられている。板バネ41は、円筒部22F(22G)の外壁面上部に、かつ円筒部22F(22G)の外周面に等間隔で3箇所に設けられている。
【0040】
また、円筒部22F(22G)には、その上部開口端部に、外周に沿って等間隔で3箇所に一対のスリット47が形成されている。これらスリット47は円筒部22F(22G)の軸方向に設けられている。そして、前記板バネ41はスリット47よりも下側に配置されている。
【0041】
板バネ41は円弧状に曲げられているので、その両端が円筒部22F(22G)の外壁面に固定され、中央部は円筒部22F(22G)の外壁面との間に隙間G(図8(a)参照)が形成されている。また、円筒部22F(22G)にヘリカルギヤ部22C’(22D’)を組み付けたとき、板バネ41の一側の側端部(図7(a)において、上側の側端部)がヘリカルギヤ部22C’(22D’)の段部43に当接するよう構成されている。
【0042】
図3は円筒部22F(22G)にヘリカルギヤ部22C’(22D’)を組み付けた様子を示しており、また、図2は円筒部22F(22G)の頂部に上部品48を取り付けた様子を示している。この上部品48の上面に、図10に示したパッキン部材32A(32B)が設けられ、パッキン部材32A(32B)を介してロッド36A(36B)が上ハウジング20B(図10参照)に組み付けられる。
【0043】
本実施例では、板バネ41は22F(22G)に一体的に設けられている。板バネ41を22F(22G)とは別個の部材としても良い。
【0044】
次に、本実施例における車両用ドアミラー装置の作用について説明する。
【0045】
ミラー40を傾動調整させている際に、ロッド36A,36Bが移動範囲の上限又は下限に達したとき、またはケーシングとホルダーベース21との間に異物が挟まったときなどの異常時には、ロッド36A(36B)はその軸方向に沿った往復移動が停止するが、ヘリカルギヤ部22C’(22D’)にはウォームギヤ28A(28B)が噛み合っており、ウォームギヤ28A(28B)はモータ24A(24B)に駆動されているので、ヘリカルギヤ部22C’(22D’)の回転は停止できない。
【0046】
本実施例では、ヘリカルギヤ部22C’(22D’)が円筒部22F(22G)から分離されているので、ヘリカルギヤ部22C’(22D’)は、板バネ41の外表面に摺接しながら円筒部22F(22G)の外側を回転する。すなわち、板バネ41はヘリカルギヤ部22C’(22D’)の回転を許容する弾性力で、ヘリカルギヤ部22C’(22D’)の大内径部44を付勢している。
【0047】
本実施例によれば、ロッド36A(36B)が移動範囲の上限又は下限に達したときや、ケーシングとホルダーベース21との間に異物が挟まったときなどの異常時に、ヘリカルギヤ部22C’(22D’)は回転し続けることができ、スプリング37の復元力によって、係合爪36Eがネジ溝22Eの谷部に激しくぶつかるといったこともないので、叩き音の発生を防ぐことができる。
【0048】
また、本実施例によれば、板バネ41が円筒部22F(22G)の外周面に等間隔で3箇所に設けられているので、ヘリカルギヤ部22C’(22D’)には板バネ41から均等に弾性力が作用する。これにより、ヘリカルギヤ部22C’(22D’)と円筒部22F(22G)とを同心状に位置させることができ、通常時、ヘリカルギヤ部22C’(22D’)及び円筒部22F(22G)の回転を滑らかにすることができる。
【0049】
さらに、本実施例によれば、円筒部22F(22G)にヘリカルギヤ部22C’(22D’)を組み付けたとき、板バネ41の一側の側端部がヘリカルギヤ部22C’(22D’)の段部43に当接するので、円筒部22F(22G)に対するヘリカルギヤ部22C’(22D’)の位置決めを容易に行うことができる。
【0050】
以上、本発明の実施例を図面により詳述してきたが、上記実施例は本発明の例示にしか過ぎないものであり、本発明は上記実施例の構成にのみ限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0051】
例えば、板バネ41は円筒部22F(22G)の外周面に2箇所設けられていても良いし、4箇所以上設けられていても良い。また、板バネ41は円弧状に限らず、ヘリカルギヤ部22C’,22D’の大内径部44に当接できる形状であれば良い。
【符号の説明】
【0052】
20 ハウジング
21 ホルダーベース
22A,22B ギヤ部材
22C,22D ヘリカルギヤ
22C’,22D’ ヘリカルギヤ部
22E ネジ溝
22F,22G 円筒部
24A,24B モータ
28A,28B ウォームギヤ(駆動ギヤ)
36A,36B ロッド
36C 基部
36E 係合爪
40 ミラー
41 板バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーが取り付けられるホルダーベースと、
先端部が前記ホルダーベースに結合されて軸回りの回転が阻止されているとともに、基部の外壁面に係合爪が設けられたロッドと、
前記ロッドの基部を覆うように配置され、内壁面に前記ロッドの係合爪が係合するネジ溝が形成され、外壁面にヘリカルギヤが設けられた円筒状のギヤ部材と、
前記ヘリカルギヤと噛み合い、かつモータで回転駆動される駆動ギヤとを備え、
前記ヘリカルギヤが回転駆動され、その回転に伴って前記ギヤ部材が回転したとき、前記ネジ溝への前記係合爪の係合により、前記ロッドが前記ホルダーベースに対して直角方向へ往復移動して前記ホルダーベースを傾斜させ、前記ミラーの傾斜角度を調整する車両用ドアミラー装置であって、
前記ヘリカルギヤを前記円筒状の部分から分離して、円環状のヘリカルギヤ部と円筒部の2つの部材にする一方、
前記円筒部の外壁面に当接部を設け、該当接部と前記ヘリカルギヤ部の内壁面との摩擦力で、前記ヘリカルギヤ部を前記円筒部の外壁面に固定したことを特徴とする車両用ドアミラー装置。
【請求項2】
前記当接部は、前記円筒部の外壁面に複数箇所設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアミラー装置。
【請求項3】
前記当接部は、弾性体で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ドアミラー装置。
【請求項4】
前記弾性体は、円弧状に曲げられた板バネであることを特徴とする請求項3に記載の車両用ドアミラー装置。
【請求項5】
前記ヘリカルギヤ部の内壁面には段部が形成され、前記板バネの一側の側端部は前記段部に当接していることを特徴とする請求項4に記載の車両用ドアミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−52825(P2013−52825A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193784(P2011−193784)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】