説明

車両用ドアミラー装置

【課題】自車両の周囲の他車両のドライバーや同乗者や歩行者に違和感を与えるようなことがない車両用ドアミラー装置を提供する。
【解決手段】ベースと、ミラーアセンブリ3と、延長部4と、発光ユニット5と、を備える。延長部4は、ベースにウインドウガラス7の外面に沿ってかつ近接して延設されている。発光ユニット5の光表示部は、延長部4のウインドウガラス7に対向する面に設けられている。この結果、自車両の周囲の他車両のドライバーや同乗者や歩行者に違和感を与えるようなことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のドアに装備される車両用ドアミラー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インジケータシステムの発光ユニットを備えた車両用ドアミラー装置は、従来からある(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)。以下、従来の車両用ドアミラー装置について説明する。従来の車両用ドアミラー装置は、インジケータシステムの作用により、発光ユニットが発光すると、発光ユニットの光表示部から光が放射されてウインドウガラスを透過して車内のドライバーや同乗者の目に届く。これにより、ドライバーや同乗者が光表示部からの光を視認して自車両の周囲環境の状況、たとえば、自車両に他車両や物や人が近づくことを認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7−23652号公報
【特許文献2】特開2005−346372号公報
【特許文献3】特表2007−537916号公報
【特許文献4】米国特許第7492281号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の車両用ドアミラー装置は、発光ユニットの光表示部から放射される光が車両のウインドウガラスに反射して、その反射光が自車両の周囲の他車両のドライバーや同乗者や歩行者に視認されて違和感を与える場合がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、自車両の周囲の他車両のドライバーや同乗者や歩行者に違和感を与えるようなことがない車両用ドアミラー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、車両のドアに固定されるベースと、ベースに設けられているミラーアセンブリと、ベースに車両のウインドウガラス面に沿ってかつ近接して延設されている延長部と、光表示部を有する発光ユニットと、を備え、光表示部が延長部のウインドウガラス面に対向する面に設けられている、ことを特徴とする。
【0007】
この発明(請求項2にかかる発明)は、延長部が車両の後側方向に延設されている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項3にかかる発明)は、延長部には、光遮蔽部が、光表示部のうち少なくとも車両の後側の部分を覆うように、設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用ドアミラー装置は、延長部が車両のウインドウガラス面に沿ってかつ近接して延設されていて、かつ、発光ユニットの光表示部が延長部のウインドウガラス面に対向する面に設けられているので、発光ユニットの光表示部から放射された光であってウインドウガラス面で反射した反射光を延長部で遮蔽することができる。これにより、ウインドウガラス面で反射した反射光により、自車両の周囲の他車両のドライバーや同乗者や歩行者に違和感を与えるようなことがない。
【0010】
この発明(請求項2にかかる発明)の車両用ドアミラー装置は、延長部が車両の後側方向に延設されているので、自車両の周囲のうち特に後側の他車両のドライバーや同乗者や歩行者に違和感を確実に与えるようなことがない。
【0011】
この発明(請求項3にかかる発明)の車両用ドアミラー装置は、発光ユニットの光表示部のうち少なくとも車両の後側の部分を覆うように設けられている光遮蔽部により、自車両の周囲のうち特に後側の他車両のドライバーや同乗者や歩行者に違和感をさらに確実に与えるようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用ドアミラー装置の実施形態1を示した使用状態の車内から見た斜視図である。
【図2】図2は、使用状態を示す車外から見た斜視図である。
【図3】図3は、使用状態を示す上から見た一部断面の平面図である。
【図4】図4は、図1におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図5は、この発明にかかる車両用ドアミラー装置の実施形態2を示した断面図(図4に対応する断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明にかかる車両用ドアミラー装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この明細書および特許請求の範囲において、「上、下、前、後、左、右」とは、この発明にかかる車両用前照灯を車両(自動車)に取り付けた際の車両の「上、下、前、後、左、右」である。また、図3は、ウインドウガラスのみを断面とし、図4、図5は、ウインドウガラスのハッチングを省略してある。
【0014】
(実施形態1の構成の説明)
図1〜図4は、この発明にかかる車両用ドアミラー装置の実施形態1を示す。以下、この実施形態1における車両用ドアミラー装置の構成について説明する。図において、符号1は、この実施形態1における車両用ドアミラー装置である。前記車両用ドアミラー装置1は、車両(自動車)の左右のドアDにそれぞれ装備される。なお、この実施形態1の車両用ドアミラー装置1は、車両の左側のドアDに装備されるものである。以下、車両の左側のドアDに装備されるこの実施形態1の車両用ドアミラー装置1について説明する。なお、車両の右側のドアDに装備される車両用ドアミラー装置の構成は、この実施形態1の車両用ドアミラー装置1の構成とほぼ左右が逆となるので、説明を省略する。
【0015】
前記車両用ドアミラー装置1は、ベース2と、ミラーアセンブリ3と、延長部4と、発光ユニット5と、を備えるものである。前記ドアDは、ドア本体6と、ウインドウガラス(この例では、左側のフロントドアガラス)7と、を備えるものである。前記ドアDのドアベルトライン8とフロントピラー9との間の三角形のコーナー部には、コーナー部(ドアコーナーピース)10が設けられている。前記コーナー部10の車内の壁面には、前記ベース2の固定箇所や前記車両用ドアミラー装置1のハーネス(図示せず)の取込箇所を覆い隠すカバー11が設けられている。
【0016】
前記ベース2は、前記コーナー部10の車外の壁面に固定されている。前記ベース2には、前記ミラーアセンブリ3がステー12を介して設けられている。前記ミラーアセンブリ3は、一面(後面)が開口したミラーハウジング13を備える。前記ミラーハウジング13の開口部には、ミラー14が上下左右に傾動可能に設けられている。
【0017】
前記ベース2には、前記延長部4が、前記ウインドウガラス7の外面に沿って、かつ、前記ウインドウガラス7の外面に近接して、かつ、車両の後側方向に延設されている。前記延長部4の前記ウインドウガラス7の外面に対向する面には、前記発光ユニット5が、設けられている。前記延長部4には、光遮蔽部15が、前記発光ユニット5のうち少なくとも車両の後側の部分を覆うように、設けられている。この結果、前記発光ユニット5は、前記ウインドウガラス7の外面に対向する部分以外の部分が前記ベース2および前記光遮蔽部15により覆われている。
【0018】
前記発光ユニット5は、光表示部としての光透過板16と、光源17と、を備える。前記光透過板16は、前記発光ユニット5の前記ウインドウガラス7の外面に対向する部分に設けられている。前記光透過板16は、前記ウインドウガラス7の外面に近接している。前記光透過板16には、光が透過するマーク18が設けられている。前記光源17は、この例では、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源からなる。前記光源17は、前記延長部4に前記光透過板16に対向するように設けられている。
【0019】
前記発光ユニット5は、インジケータシステム(図示せず)の発光ユニットである。前記インジケータシステムは、自車両の周囲の環境を検出する検出部(たとえば、カメラやレーダーなど)と、前記検出部からの検出信号に基づいて前記光源17を発光させるか否かを判断する判断部(たとえば、マイクロコンピュータやカーナビのコンピュータやECUなど)と、前記判断部からの発光信号により発光する前記発光ユニット5と、を備えるものである。
【0020】
前記検出部は、自車両の周囲の他車両や物や人を検出してその検出信号を前記判断部に出力する。前記判断部は、前記検出部からの検出信号に基づいて、他車両や物や人が自車両に近づいているか否かを判断して、近づいていると判断したときには発光信号を前記発光ユニット5に出力する。前記発光ユニット5は、前記判断部からの発光信号によって前記光源17を発光させる。
【0021】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1における車両用ドアミラー装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0022】
インジケータシステムの作用により、発光ユニット5の光源17が発光すると、その光Lが光表示部の光透過板16のマーク18を透過して、そのマーク18の光Lがウインドウガラス7を透過して車内に放射される。ドライバーや同乗者は、ウインドウガラス7を透過して車内に放射されるマーク18の光Lを視認して、自車両の周囲環境の状況、たとえば、自車両に他車両や物や人が近づくことを認識することができる。
【0023】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1における車両用ドアミラー装置1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0024】
この実施形態1における車両用ドアミラー装置1は、延長部4が車両のウインドウガラス7面に沿ってかつ近接して延設されていて、かつ、発光ユニット5の光表示部の光透過板16が延長部4のウインドウガラス7面に対向する面に設けられているので、発光ユニット5の光源17から放射された光Lであってウインドウガラス7の外面で反射した反射光(図示せず)を延長部4で遮蔽することができる。これにより、ウインドウガラス7の外面で反射した反射光により、自車両の周囲の他車両のドライバーや同乗者や歩行者に違和感を与えるようなことがない。
【0025】
この実施形態1における車両用ドアミラー装置1は、延長部4が車両の後側方向に延設されているので、自車両の周囲のうち特に後側の他車両のドライバーや同乗者や歩行者に違和感を確実に与えるようなことがない。
【0026】
この実施形態1における車両用ドアミラー装置1は、発光ユニット5のうち少なくとも車両の後側の部分を覆うように設けられている光遮蔽部15により、自車両の周囲のうち特に後側の他車両のドライバーや同乗者や歩行者に違和感をさらに確実に与えるようなことがない。
【0027】
(実施形態2の説明)
図5は、この発明にかかる車両用ドアミラー装置の実施形態2を示す。以下、この実施形態2における車両用ドアミラー装置について説明する。図中、図1〜図4と同符号は、同一のものを示す。
【0028】
この実施形態2における車両用ドアミラー装置は、前記の実施形態1における車両用ドアミラー装置1と同様に発光ユニット50を備える。前記発光ユニット50は、インジケータシステムの発光ユニットであって、光表示部の導光板19と、光源20と、を備える。前記導光板19は、延長部4および光遮蔽部15内にウインドウガラス7に沿ってかつ近接して設けられている。前記導光板19には、光が透過するマークが設けられている。前記光源20は、前記導光板19の一端(前端)に設けられている。
【0029】
この実施形態2における車両用ドアミラー装置は、以上のごとき構成からなるので、インジケータシステムの作用により、発光ユニット50の光源20が発光すると、その光が光表示部の導光板19内に入射してその導光板19内を進んでその導光板19のマークを透過して、そのマークの光Lがウインドウガラス7を透過して車内に放射される。ドライバーや同乗者は、ウインドウガラス7を透過して車内に放射されるマークの光Lを視認して、自車両に他車両や物や人が近づくことを認識することができる。
【0030】
この実施形態2における車両用ドアミラー装置は、以上のごとき構成、作用からなるので、前記の実施形態1における車両用ドアミラー装置1とほぼ同様の効果を達成することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 車両用ドアミラー装置
2 ベース
3 ミラーアセンブリ
4 延長部
5、50 発光ユニット
6 ドア本体
7 ウインドウガラス
8 ドアベルトライン
9 フロントピラー
10 コーナー部
11 カバー
12 ステー
13 ミラーハウジング
14 ミラー
15 光遮蔽部
16 光透過板(光表示部)
17 光源
18 マーク
19 導光板(光表示部)
20 光源
D ドア
L 光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアに装備される車両用ドアミラー装置において、
車両のドアに固定されるベースと、
前記ベースに設けられているミラーアセンブリと、
前記ベースに車両のウインドウガラス面に沿ってかつ近接して延設されている延長部と、
光表示部を有する発光ユニットと、
を備え、
前記光表示部は、前記延長部の前記ウインドウガラス面に対向する面に設けられている、
ことを特徴とする車両用ドアミラー装置。
【請求項2】
前記延長部は、車両の後側方向に延設されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアミラー装置。
【請求項3】
前記延長部には、光遮蔽部が、前記光表示部のうち少なくとも車両の後側の部分を覆うように、設けられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ドアミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−60173(P2013−60173A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201433(P2011−201433)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】