説明

車両用ヘッドランプ制御装置の結像システム

【課題】ヘッドランプ制御装置に用いられるイメージを提供する。
【解決手段】車のヘッドランプの制御装置に用いられる結像システムが、アパーチュア、イメージセンサ、アパーチュアとイメージセンサとの間に設けられた赤補色光線を遮断する赤色レンズと、アパーチュアとイメージセンサとの間に設けられた赤色光線を遮断する赤補色レンズとを有する。各レンズは、光をイメージセンサの互いに異なるウィンドウ上に合焦させる。結像システムにより、処理制御ロジックは、ヘッドランプの制御を目的として、到来する車のヘッドランプ及び後ろから近づいてくる車のテールランプがあるかどうかを検出することができる。光標本化(サンプリング)レンズを用いると、光線の向きを車両の実質的に上方から車両の前方に及ぶ円弧の状態から実質的に平行な光線にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両又は乗物用ヘッドランプ制御装置のような制御装置に用いられる結像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドランプは、車の前方の領域を照らし、それにより運転手は、周囲の光が不十分な場合にその領域を見ることができる。また、ヘッドランプにより、車は歩行者や別の車の運転手によって見えるようになる。ハイビームヘッドランプにより、照度が高くなり、しかも到達範囲が広くなる。しかしながら、ハイビームヘッドランプは、対向車の運転手やハイビームの届く範囲内で同一方向に走行している車の運転手の目をくらます場合がある。従来、運転手は、手動操作によりヘッドランプをつけたり(オンにしたり)消したりし(オフにし)、またハイビームとロービームを切り替えなければならなかった。
【0003】
手動操作に関する一つの問題は、運転手が夕暮れ時にヘッドランプをつけるのを忘れる場合があり、車が見えにくくなることである。もうひとつの問題は、運転手が対向車又は後ろから別の車に近づいたときにハイビームヘッドランプを暗くするのを忘れる場合があることである。
【0004】
自動車のヘッドランプの操作を自動的に制御する従来方法は、単一の出力信号又は非常に少数の出力信号を関連の制御装置に送るセンサを用いることであった。例えば、ヘッドランプをオンにし又はオフにする時期を決定するために周囲の光を検出する単一の出力センサが用いられた。また、自動車のヘッドランプを暗くする時期を決定するために単一の出力センサが用いられた。単一のセンサ入力を用いるヘッドランプオンオフ制御方式は、自動車用途においては限られた成功しか得られず、単一のセンサを用いるヘッドランプ調光制御方式は、多くの欠点を有しているので現在では用いられていない。
【0005】
アレイイメージセンサ及び種々の走査方式が提案されたが、今日のエレクトロニクスによってコストをできるだけ削減しても、これらセンサ及び方式は、満足のいくヘッドランプ調光機能及びオンオフ制御機能をもたらさなかった。かかる検出方式は代表的には、縦横に配列された数百個の画素(ピクセル)センサを有し、数十万又は数百万の画素を生じさせている。1秒あたり30フレームの代表的なビデオ速度では、これは、1秒あたり数百万の動作回数の変換及びデータ処理速度を必要とする。
【0006】
ヘッドランプオンオフ制御方式は、周囲の光レベルに基づいている。ヘッドランプ調光制御方式は、対向車からのヘッドランプ及び後ろから近づいた車のテールライトを認識したかどうかに基づいている。周囲の光レベルを検出し、ヘッドランプ及びテールライトを検出するのに必要な解像度は、従来のイメージについて必要な解像度よりも小さいので、小さな結像アレイ、それゆえに処理の遅いエレクトロニクスを使用することができる。
【0007】
赤色のテールランプと他のライトを互いに区別するために、結像システムは、少なくとも2つの互いに異なるカラーバンドで読みを生じさせる必要がある。通常、イメージセンサで検出するのに用いられる2つの方法のうち第1は、結像装置中の画素検出視野の1/3を赤色又は赤補色フィルタで覆い、画素の1/3を青色又は青補色フィルタで覆い、そして画素の1/3を緑色又は緑補色フィルタで覆うことである。これは例えば、アレイ状の画素上に赤色、緑色及び青色のストリップを交互に配置することによって行われる場合が多い。各画素位置は、1つの色を記録し、補間法を用いて各画素視野のところにおける2つの脱落した色を埋め合わせる。
【0008】
低解像度の結像装置とを組み合わせた場合、色を検出するこの方法は問題を生じる。用いられる光学系に起因して、結像検出アレイによって見えるヘッドランプ又はテールライトの投影像は、非常に小さく、場合によっては、レンズの解像力よりも小さくなる。この投影像をドットと呼ぶ。画素間隔が、レンズによって投影されたドットサイズよりも非常に小さい場合、特定の色のドットの一部が、その色のセンサ視野に常に当たるとは限らない場合がある。画素のサイズ又は画素1個当たりの光学的カバレージ(coverage)は、画素の数の減少に起因して増大するので、もし複雑な交差指型画素パターンが用いられなければ、同色の画素視野相互間のボイドが大きくなる。特定の色の読み出しが、ドットイメージ全体を別の一色又は複数の色の画素上に投影させることにより完全には失われなくても、読み出しは、ドットのどの部分が画素に当たるかに応じて大まかになる。ヘッドランプ又はテールライトの投影像中の小さな光のスポットが或る色とは別の色の1つの画素上に当たる場合、色の識別は通常は、2又は3以上の色成分相互間のバランスを決定する問題であり、特定の色成分の存否を決定する問題ではないので、測定バランスがそれに応じて変更される。
【0009】
この方法に関するもう一つの欠点は、カラーフィルタを具体的に構成するのに用いられる染料に起因している。染料は通常は有機物であり、熱及び光への暴露に起因する劣化を生じる。染料は個々の画素位置上に直接載っているので、強力な光源、例えば太陽からのエネルギーがレンズ系によって染料上に直接合焦される。
【0010】
この方法に関する更にもう一つの問題は、カラーフィルタ染料をイメージセンサ上の画素センサ視野に塗布し、正確にこれに位置合わせするには費用がかかるということである。カラーフィルタを画素センサ上に直接付け足す費用は、シリコンイメージ検出チップ自体と同じほど高価な場合がある。
【0011】
色を映像化又は画像化する第2の方法は、イメージからの光を、別々のイメージセンサ上に投影される赤色、緑色及び青色成分に分割することであり、イメージセンサは各々、そのカラーフィルタにかけられたイメージを測定する。これには、複雑な光学装置及び3つの別々のイメージセンサが必要になる。色分解(色分離)技術は、あるひとつの色を選択的に反射し、補色を伝送するミラーを利用することが多い。これら光学装置は通常は、大きく離れた非平面状イメージセンサ視野を必要とし、3つのセンサを共通のシリコン基板上に配置し、又は共通のパッケージ内に収納することは不可能ではないまでも困難である。この方法には3つの問題がある。単一のセンサアレイを用いることはできない。単一のシリコンチップを用いることができず、単一のパッケージを用いることもできない。
【0012】
例えばヘッドランプ制御装置に用いられる費用効果の良い結像システムが要望されている。コスト及び光学系、センサアレイ、プロセッサ及びプロセッサインターフェースの複雑さを抑えるために、好ましくは、満足の行く画像表示を得るには小さすぎると考えられる範囲に最小数の画素を用いるべきである。結像システムは、レンズ系の焦点に染料又は色素、あるいは色選択材料を配置するスペクトルフィルタリングを用いるべきではない。結像システムは、ヘッドランプ調光制御、ヘッドランプオンオフ制御又はこれら両方を決定するのに適した信号を出すべきである。結像システムはまた、過度の光又は熱による損傷から保護されるべきである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ヘッドランプ制御装置に用いられるイメージを提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、イメージアレイ内に景色の互いに異なる色成分を検出するサブウィンドウを設けることにある。
【0015】
本発明の更に別の目的は、低解像度イメージセンサをヘッドランプ制御装置に用いることができるようにする光学系を提供することにある。
【0016】
本発明の別の目的は、フィルタを光学系の焦点面内に配置しない光学系を用いて景色の互いに異なる色成分を生じさせることにある。
【0017】
本発明の更に別の目的は、ヘッドランプをオンにするかオフにするかをイメージセンサを利用する態様で決定する際に用いられる高さ方向の光レベルを検出することにある。
【0018】
本発明の更に別の目的は、ヘッドランプ制御結像システムの構成要素を過度の光及び熱から保護することにある。
【0019】
本発明の上記目的及び他の目的の達成にあたり、車両用ヘッドランプ制御装置に用いられる結像システムが提供される。結像システムは、全体として景色に向いて開口したアパーチュアを構成するハウジングと、アパーチュアから見て反対側でハウジング内に設けられたイメージセンサと、ハウジング内に設けられていてアパーチュアとイメージセンサとの間に第1の開口部及びアパーチュアとイメージセンサとの間に第2の開口部を構成する支持体と、第1の開口部内に設けられていて、景色からの光をイメージセンサの第1の部分上に合焦させる第1のレンズと、第2の開口部内に設けられていて、景色間の光をイメージセンサの第2の部分上に合焦させる第2のレンズとを有し、イメージセンサの第2の部分は、第1の部分から離れている。
【0020】
一実施形態では、第1のレンズは、光を第1の波長でイメージセンサ上に合焦させることができ、第2のレンズは、光を第2の波長でイメージセンサ上に合焦させることができる。変形例では、第1の波長の第1のレンズの焦点距離は、第2の波長の第2のレンズの焦点距離と実質的に同一である。好ましい実施形態では、第1のレンズは、色が実質的に青緑の光を減衰させることができ、第2のレンズは、色が実質的に赤の光を減衰させることができる。
【0021】
別の実施形態では、イメージセンサは、低解像度を有している。
【0022】
更に別の実施形態では、隔壁が、第1のレンズと第2のレンズとの間の領域からイメージセンサに向かって延びている。隔壁は、第1のレンズを通った光がイメージセンサの第2の部分に当たるのを抑制するとともに第2のレンズを通った光がイメージセンサの第1の部分に当たるのを抑制する。
【0023】
別の実施形態では、結像システムは、アパーチュアに入る光の強度を減少させるシャッタを有する。好ましい実施形態では、シャッタは、エレクトロクロミックウィンドウである。
【0024】
更に別の実施形態では、最大焦点距離は、第1のレンズの焦点距離及び第2のレンズの焦点距離のうち最も大きなものである。ハウジングは、第1のレンズ及び第2のレンズから最大焦点距離の少なくとも2倍の距離のところにアパーチュアを構成している。更に別の実施形態では、アパーチュアを構成するハウジングの第1の部分が、もしこれが設けられていなければ第1のレンズを通ってイメージセンサの第2の部分上に迷光として当たる光を遮断するよう位置決めされており、アパーチュアを構成するハウジングの第2の部分が、もしこれが設けられていなければ第2のレンズを通ってイメージセンサの第1の部分上に迷光として当たる光を遮断するよう位置決めされている。
【0025】
また、全体として車両の前方に広がる景色に向かって開口したアパーチュアを構成するハウジングと、ハウジング内に設けられたイメージセンサと、アパーチュアの近くに設けられた光標本化レンズとを有するヘッドランプ制御装置用結像システムが提供される。光標本化レンズは、アパーチュアの実質的に上方からアパーチュアの実質的に前方まで延びる垂直方向の円弧によって構成された領域からの光線を集め、集めた光線の向きを変えてこれをイメージセンサに差し向ける。光標本化レンズは、アパーチュアの全体的に前方に位置する狭い水平方向の円弧によって構成された領域からの光線を集める。
【0026】
一実施形態では、光標本化レンズは、高さ方向に互いに離れた領域からの光線を集め、集めた光線の向きを変えてこれを高さ方向に互いに離れた領域の各々から互いに異なる一組の画素センサに差し向け、イメージセンサは、互いに異なる角度的高さ位置における光のレベルを検出する。高さ方向に互いに離れた領域は、10°の仰角だけ離れる領域であるのがよい。
【0027】
別の実施形態では、結像システムは、画素センサの第1のサブウィンドウと、画素センサの第2のサブウィンドウと、光標本化レンズとイメージセンサとの間でハウジング内に設けられていて、向きが変えられた光線の実質的に赤色成分を第1のサブウィンドウ上に投影する赤色レンズと、光標本化レンズとイメージセンサとの間でハウジング内に設けられていて、向きが変えられた光線の実質的に赤補色成分を第2のサブウィンドウ上に投影する赤補色レンズとを更に有する。
【0028】
少なくとも1つのヘッドランプを制御するシステムが、ヘッドランプと連絡していて、受け取ったオンオフ制御信号に基づいてヘッドランプをオンにしたりオフにするヘッドランプコントローラと、アレイ状に配列された画素センサで構成されるイメージセンサと、車両の実質的に上から車両の実質的に前まで延びる垂直方向の円弧によって構成される領域からの光線を集め、集めた光線の向きを変えてこれをイメージセンサに差し向けるレンズ系と、イメージセンサ及びヘッドランプコントローラと連絡している処理制御装置とを有し、処理制御装置は、画素センサからの光レベルを読み取って、光レベルと閾値の比較に基づいてオンオフ制御信号を定める。
【0029】
一実施形態では、処理制御装置は、第1及び第2のサブウィンドウ上に投影された色成分に基づいて閾値を定める。変形例として、処理制御装置は、垂直方向円弧によって定められた領域が、青色の空を画像化するか曇った空を画像化するかを決定し、曇った空の場合よりも青色の空の場合について低い閾値を用いる。
【0030】
別の実施形態では、処理制御装置は、光レベルとヒステリシス閾値との比較に基づいてオンオフ制御信号を定めることができる。
【0031】
更に別の実施形態では、処理制御装置は、オンオフ制御信号中の先の変化からの時間遅れに基づいてオンオフ制御信号定めることができる。
【0032】
本発明の上記目的及び他の目的並びに特徴及び利点は、添付の図面を参照して本発明の最適実施形態についての以下の詳細な説明を読むと明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
今、図1を参照すると、本発明を組み込んだシステムのブロック図が示されている。ヘッドランプ制御装置20が、1又は2以上のヘッドランプ22を制御するために乗物又は車の中に用いられている。制御の動作としては、ヘッドランプ22を自動的にオンにしたりオフにし、そしてヘッドランプ22についてハイビームとロービームとの間で自動的に切り替えることが挙げられる。
【0034】
景色24が一般に車の前に広がっている。景色24からの光線26は、先ず最初に光学系30を通ることにより結像システム28に入る。光学系30からの合焦光線32は、光学系30の焦点面内に位置したイメージセンサ34に当たる。処理制御システム36は、イメージセンサ出力38を受け取り、イメージセンサ制御信号40を出す。処理制御システム36は又、自動ヘッドランプ制御信号42を発生し、この信号はヘッドランプコントローラ44によって受け取られる。
【0035】
処理制御システム36は、景色24の中にヘッドランプ及びテールライトがあるかどうかをチェックする連続サイクルを実行することができる。各サイクル中、2つのイメージがイメージセンサ34から得られる。以下に詳細に説明するように、一方のイメージは、主として赤色成分を有し、もう一方のイメージは、主として赤補色成分を有する。赤色のイメージ中に明るいスポット(ブライトスポット)があると、これにより景色24内にテールライトがあることが分かる。赤色のイメージ及び赤補色イメージの両方にライトスポットがあると、これにより景色24内にヘッドランプがあることが分かる。計数器を用いると、ブライトスポットがほぼ同一の方向に検出された連続して並ぶフレームの数を指示することができる。いったんカウントが閾値に達すると、ブライトスポットは、別の車からのものであるとみなされ、適当な動作、例えばヘッドランプ22の調光措置がとられる。上述の説明は、関連の米国特許出願第08/831,232号に記載された実施形態の簡単な説明である。
【0036】
ヘッドランプコントローラ44は、ヘッドランプコントローラ信号46を発生し、この信号はヘッドランプ22によって受け取られ、それによりヘッドランプ22をオンにしたりオフにし、或いはハイビームとロービームを切り替える。ヘッドランプ22は、景色24の一部を照らすヘッドランプ照明光48を生じさせる。ヘッドランプコントローラ44は又、手動オンオフ制御装置52からの手動オンオフ信号50及び手動調光制御装置56からの手動調光信号54を更に受け取る。手動オンオフ制御装置52及び手動調光制御装置56により、ドライバーは、ヘッドランプ22の動作を手動で制御することができる。変形実施形態では、ヘッドランプオンオフ信号50と手動調光信号54のうち一方又は両方を処理制御装置36によって用いると、ヘッドランプ22の状態を決定することができる。
【0037】
変形実施形態では、シャッタ58は、結像システム28の前に置かれる。この場合、シャッタ58は、景色24からの光線26を受け取り、減衰した光線60を光学系30に出力する。シャッタ58は、景色24からの光が過度であるとき、例えば、太陽が水平線の近くに位置する夜明け又は夕暮れ時にイメージセンサ34に到達する光の量を減少させ又は無くす。シャッタ58を、シャッタ制御信号62によって行われる処理制御装置36の制御の下で、機械的手段、例えばブラインド、アイリス等を用いて具体的に構成できる。変形例として、シャッタ58は、感光性ガラス又はプラスチックであってもよい。さらに別の変形実施形態では、シャッタ58は、エイチ・ジェイ・ベイカー氏に付与された米国特許第4,902,108号(発明の名称:Single-Compartment, Self-Erasing, Solution-Phase Electrochromic Device, Solutions For Use Therein, And Uses Thereof )に記載されているようなエレクトロクロミックウィンドウであってもよい。なお、かかる米国特許の内容を本明細書の一部を形成するものとしてここに引用する。
【0038】
イメージセンサ34は、処理上の要件及びコストを減少させるために最小数の検出素子を有するべきである。比較的少数の画素センサを備えたイメージセンサ34を効率的に用いるためには、景色24内の遠くに位置したテールライト又はヘッドランプの投影像は、イメージセンサ34内の単一の画素とサイズが同等であるか、あるいはこれよりも小さいことが必要である。かかる投影像からのイメージデータを生ずることにより計算された色成分の相対強度は、一般に、アレイ上の投影像の特定の部分とは無関係であることが必要である。したがって、景色24の別々にフィルタにかけられたイメージを、好ましくは同一の画素アレイ又は変形例として別々の画素アレイ内の空間的に離れたフレーム上に同時に投影することが望ましい。1又は2以上の画素アレイは好ましくは、同一基板上且つ同一パッケージ内に位置する。
【0039】
好ましい構成は、フレームを別々のサブウィンドウ内に含むと共に多数のフレームの露出と処理を同時に行う手段を構成する共通の制御ロジックを用いるのに十分大きな共通アレイ上に別々のフレームを投影することにある。この種の制御は、同時係属米国特許出願第08/933,210号(発明の名称:Control Circuit for Image Array Sensors )に記載されている。イメージアレイ及びレンズ系についての説明は、以下の図2〜図8を参照して行う。
【0040】
好ましい実施形態では、小さな領域の光源を検出すると、フレームを分析して、周囲の画素の背景レベルよりも実質的に高い照明レベルを有する隣り合う画素の単一又は小さなグループを求める。この光の読みを、この画素のグループにわたって積算し又は合計し、この場合、平均背景レベルを差し引くが、このようにするかどうかは任意である。この方法を、各色成分に相当するフレームについて繰り返し実施する。このようにすると、読みは、照明光が、ひとつの画素センサ上に含まれるか、あるいは照明光がその境界部に当たり、光の部分を2又は3以上の隣り合う画素センサ上に注ぐかどうかとは比較的無関係である。この方法により、所与の小領域光源の種々の色成分の比率計による比較が行われた場合に、互いに異なる色成分についてのサブウィンドウ相互間の小さな位置決め誤差に関する許容度が大きくなる。
【0041】
次に、図2を参照すると、本発明のイメージセンサを表す略図が示されている。イメージセンサ34は、縦横に並べられたアレイ状の画素センサ(これらのうちの1つが符号70で示されている)を有している。例示の実施形態では、イメージセンサ34は、横に80個、縦に64個の画素センサから成り、これらのうち大部分は、分かりやすくするために図示されていない。イメージセンサ34は、上境界72、下境界74、左境界76、右境界78を有し、これらは画素センサ70によって覆われた領域を構成している。説明を容易にするために方向を表す用語、例えば「上」、「下」、「左」、「右」を用いたが、かかる用語は、本発明を特定の向きに限定するものではない。
【0042】
イメージセンサ34は、数個のサブウィンドウに分割されている。一実施形態では、2つのサブウィンドウは、景色24を2つの色成分の状態に画像化するよう用いられる。上側サブウィンドウ94は、線78,80,82,84によって境界付けられ、赤色の光を通すよう着色されたレンズを通して投影されるイメージの当たる画素センサ70を有している。下側サブウィンドウ96は、線78,86,82,88によって境界付けられ、青緑色又は赤補色光を通すよう着色されたレンズを通して投影されるイメージの当たる画素センサ70を有している。
【0043】
レンズは、例えば横の広がりが22°、縦の広がりが9°の景色24の視野をもたらす。線80と頂面72との間及び線84,90相互間の空間により、車の中における結像システム28のミスアラインメントを修正する高さ調節が可能になる。この高さ調節を行うため、線80,84によってそれぞれ表された上側サブウィンドウ94の境界を頂縁72と線90との間の範囲内で上又は下に動かす。同様に、線86,88は、下側サブウィンドウ96の境界を表しており、これら境界を底縁74と線92との間で動かすことができる。例示の実施形態では、約4.8°の範囲の高さ調節が可能である。サブウィンドウ94,96を通常は一緒に上又は下に動かすが、一方に対する他方の原点もまた、一方に対する他方のサブウィンドウの位置決めのばらつきを補償するよう調節できる。
【0044】
線90,92によって境界付けられた領域内に位置する画素センサ70は、赤色レンズと赤補色レンズの両方からの光を受け取ることができる。したがって、この領域は、有効結像領域の一部として通常は使用されない。画素センサ70をこの領域から取り去ると、他の回路のための余地が得られるが、面積の損失分の割合が比較的少なくかつ他の用途において64×80の画素アレイ全体を用いる融通性が得られるので、画素センサ70を線90,92によって境界付けられた領域内に残しておくことは、一層有利な場合がある。また、信号経路をアレイ中の縦の列に沿って遮ることは有利ではない。例示の実施形態では、8.5%未満の画素センサ70が、線90,92の間の範囲に属する。線90,92の間に必要な幅を限定する実施形態については、以下の図5を参照して説明する。赤色レンズ及び赤補色レンズについては、以下の図3〜図6及び図8を参照して説明する。
【0045】
本発明の実施形態では、左縁76と線82との間に位置する画素センサ70は、ヘッドランプオンオフ制御装置に用いられる。この使用法については、以下の図8を参照して説明する。
【0046】
本発明の別の実施形態では、イメージセンサ34は、景色24を複数の色成分に画像化するための3以上のサブウィンドウに分割されている。例えば、上側サブウィンドウ94及び下側サブウィンドウ96をそれぞれ、2つのサブウィンドウに分けて、4つのサブウィンドウを形成するのがよい。多数のサブウィンドウを2×2の格子又は1×4の格子の状態に配列するのがよい。サブウィンドウ相互間の間隔により、垂直方向及び水平方向の調節が可能になる。
【0047】
イメージセンサ34内の画素センサ70は、電荷結合素子(CCD)、フォトダイオード等であるのがよい。好ましい実施形態では、画素センサ70は、CMOS活性画素センサある。APSイメージセンサが、同時係属米国特許出願第09/002,400号(発明の名称:Wide Dynamic Range Optical Sensor )に記載されており、この米国特許出願の内容を本明細書の一部を形成するのとしてここに引用する。
【0048】
次に、図3を参照すると、本発明の例示の実施形態が示されている。結像システム28は、景色24に向かって開口したアパーチュア102を備えたハウジング100を有している。イメージセンサ34が、アパーチュア102の反対側でハウジング100内に設けられている。支持体104が、ハウジング100内に設けられており、この支持体は、イメージセンサ34とアパーチュア102との間に赤色レンズ106及び赤補色レンズ108を保持している。支持体104はまた、アパーチュア102を通ってやってきた光が赤色レンズ106又は赤補色レンズ108を通過しない場合にイメージセンサ34に当たるのを防止する。上側サブウィンドウ94、即ち頂縁72及び線90を形成するとともに下側サブウィンドウ96、即ち底縁74及び線92を形成するのに用いられる画素センサ70のレンジ又は範囲は、イメージセンサ34上に示されている。
【0049】
好ましくは、アパーチュア102は、レンズ106,108の前でレンズ106,108の焦点距離の数倍のところに置かれている。アパーチュア102は、イメージセンサ34上に別々に投影される2つのイメージの境界相互間の距離を最小限にし、それにより上側サブウィンドウ94と下側サブウィンドウ96との間のオプティカルクロストークの量を減少させるという特徴を備えている。これは、アパーチュア102の一方の境界を用いることによって達成され、これは、もしこれが設けられていなければレンズ108を通過して上側サブウィンドウ94への迷光として当たる光を遮断するよう位置決めされている。同様に、アパーチュアは102の別の境界が設けられていて、もしこれが設けられていなければレンズ106を通り、下側サブウィンドウ96に迷光として当たる光を遮断するようになっている。オプティカルクロストークを制限するアパーチュア102の使用法については、以下の図4を参照して説明する。もう一つの改良策は、レンズ系106,108の間に位置決めされ、イメージセンサ34に向かって延びて、上側サブウィンドウ94と下側サブウィンドウ96との間に必要な距離を一段と減少させてオプティカルクロストークを適当に最小限にする隔壁又は遮光板を用いることにある。隔壁の使用法については、図5を参照して以下に説明する。もう一つの改造例として、集光光学系をアパーチュア102の一部の中に配置し、使用可能なイメージをイメージセンサ34の第3の領域中に投影しながら3つのイメージ相互間の適当な光学的離間距離を維持するようにする。集光光学系及びその用途については図7及び図8を参照して以下に説明する。赤色レンズ106及び赤補色レンズ108が、概念的に示されている。赤色レンズ106及び赤補色レンズ108の形状及び詳細な動作原理についての説明は、図6を参照して以下に行う。
【0050】
本発明の実施形態では、光学系30は、景色24の複数のカラーフィルタにかけられた画像をイメージセンサ34上に投影するよう3つ以上のレンズ系106,108を有している。例えば、4つのレンズを、2×2アレイのレンズの状態に配列するのがよい。レンズのうち3つは、真の色の画像化が得られるよう互いに異なるカラーバンド、例えば赤色、緑色及び青色の光を通過させることができる。第4のレンズは、低い光レベルの結像が得られるよう実質的にフィルタにかけられなかった光を通過させることができる。
【0051】
次に、図3及び図4を参照して、結像システム28の作用を説明する。低いところにある点110は、イメージセンサ34上に点112として投影される景色24内の遠くに位置する点を示している。この低点110は、視野の下限のところに位置し、赤補色レンズ108によって投影されたイメージの遮られた部分の線92によって示されるように下側サブウィンドウ96の上限のところに位置した点112上に写る。低点110は、大抵のヘッドランプコントローラの動作を開始させた時に、対向車のヘッドランプ及び後方に近づいた車のテールライトの場合、代表的には50〜200m離れたところに位置しているので、下方光線114、上方光線116及び中央光線118によって表された光線26は、赤補色レンズ108に当たる前は互いにほぼ平行である。赤補色レンズ108は、下方光線114、上方光線116及び中央光線118をイメージセンサ34上の点112へ合焦させる。アパーチュア102のアパーチュア下縁120は、下方光線114が、アパーチュア下縁120及び符号122によって示された赤補色レンズ108の下縁をちょうど通過するよう位置決めされている。この構成によれば、アパーチュア102は、低点110からの光を遮断することがないほど十分な大きさのものである。なお、この光は、上記のように構成されていなければ、赤補色レンズ108に当たって点112上に合焦されることになる。
【0052】
光線124は、アパーチュア下縁120を通過し、赤補色レンズ108を通り抜ける最も上方に差し向けられた光線である。光線114と比較して、光線124は、符号126で示されたレンズ108の頂部のところで赤補色レンズ108に入った時に、光線114よりもレンズ1つ分の直径だけ多くなるような分量、上方に傾斜した光路を通る。平行な光線114,116,118からの光線124のこの角度的なずれは、光線124が赤補色レンズ108を出る時もほぼ保存される。光線124は、符号128で示された点のところで上側窓94の下境界部90のところでイメージセンサ34に当たる。
【0053】
一実施形態では、赤色レンズ106及び赤補色レンズ108は、Fナンバーが4であり、直径が公称1mmであり、焦点距離(寸法A)が4mmである。アパーチュア102は、赤色レンズ106及び赤補色レンズ108から焦点距離3つ分のところにある。ハウジング100の直径Bは、約28mmである。
【0054】
小型化の利点の1つは、アパーチュア102を、過度に大きな構造にしないで、赤色レンズ106及び赤補色レンズ108から焦点距離の十分に何倍ものところに間隔を置いて配置できるということにある。アパーチュア102がレンズ106,108から遠くにあればあるほど、線90,92相互間の距離をいっそう減少させて、アパーチュア102からレンズ106,108までの間隔の選択がサイズと検知領域の損失との兼合いに関する実用上の問題であるようにすることができる。
【0055】
上述の例示の実施形態の場合、光線124が赤補色レンズ108からイメージセンサ34まで進む距離は、アパーチュア102から赤補色レンズ108まで進む距離の1/6である。したがって、光線124は、点112の上方の赤補色レンズ108の直径のほぼ1/6のところの点でイメージセンサ34に当たる。
【0056】
高いところに位置した点130は、景色24の視野の上限に位置している。赤補色レンズ108を通るこの高点130の投影像は、下側サブウィンドウ96によって覆われた領域よりも下の点のところでイメージセンサ34に当たる。これら光線は描かれていない。というのは、投影像は、サブウィンドウ94又は96のいずれにも入らないからである。
【0057】
高点130はまた、アパーチュア102から遠くに位置しているので、上方光線132,下方光線134及び中間光線136は、赤色レンズ106に当たる前は、実質的に互いに平行である。赤色レンズ106は、光線132,134,136を、線90によって印されているように上側サブウィンドウ94の下限のところでイメージセンサ134上の点128上に合焦させる。上述した光線124の場合と同様、光線138は、アパーチュア上縁140を通過することができ、そして依然として赤色レンズ106によって合焦される最も下に向いた光線であり、イメージセンサ34に点112のところで当たる。かくして、赤補色レンズ108からの迷光は、線92から線90に進む際に減少して実質的に0になる一方、赤色レンズ106からの迷光は、線90から線92に進む際に減少して実質的に0になる。
【0058】
次に、図5を参照すると、本発明の変形実施形態が示されている。図5は、図4で見たのと同一の結像システム28の部分を示している。図5に示す実施形態は、隔壁142が追加されていることを除き、図4に示す形態と同一である。隔壁142は、赤色レンズ106及び赤補色レンズ108の両方からの光が当たることができるイメージセンサ34の領域を減少させる。
【0059】
大雑把に言えば、焦点が無限であり、アパーチュア直径がdのレンズの場合、レンズの前に焦点距離のn倍のところにあるストップ又は隔壁を、ストップによって影響を受けない像の部分からd/nよりも長い距離離れたところで焦点面に当たる光線を遮断するよう位置決めできる。
【0060】
隔壁142は、イメージセンサ34に向かって支持体104に実質的に垂直に延びている。理想的には、隔壁142は、イメージセンサ34にほぼ当たるところまで延びる。しかしながら、イメージセンサ34は、隔壁142の広がりを制限することができるセンサパッケージカバーガラス144を有するのがよい。
【0061】
隔壁142は、光線124がイメージセンサ34に当たらないよう遮断する。隔壁142が定位置に配置された状態では、光線146は、アパーチュア下縁120を通り、赤補色レンズ108を通過し、そして点148のところでイメージセンサ34に当たる最も下に位置する光線を表す。点148は、線92から線90までの距離の約2/3のところに位置している。
【0062】
光線150は、赤補色レンズ108を通って、アパーチュア下縁120がない場合にはイメージセンサ34上に合焦できる最も上に向いた光線である。光線150は、符号152で示された点のところでイメージセンサ34に当たり、赤色レンズ106からの像について保存された領域中に十分入る。
【0063】
隔壁142の良好な光学的処理が得られる余地は殆ど無く、浅い角度で隔壁142に当たる光線、例えば光線124は、最も黒くした表面からさえも相当反射することになる。レンズ106,108の前に位置するアパーチュア102は、図示の例示の実施形態では隔壁142よりも一層よく機能するが、アパーチュア102及び隔壁142の組合せは、上側サブウィンドウ94と下側サブウィンドウ96を隔てる距離を最小限に抑えてレンズ106又は108のうち一方に入射する相当な量の光が、他方のレンズによって投影されるサブウィンドウ上に当たることがないようにする上で最もよい性能を発揮する。注目すべきこととして、線90,92相互間の距離だけサブウィンドウ94,96を互いに間隔を置くかわりに、隔壁142に似ているがこれよりも薄い隔壁を適用し、サブウィンドウの離間距離を減少させてレンズ106,108を再中心合せしてアパーチュア102を再寸法決めすることにより減少させることができる。
【0064】
次に、図6を参照すると、本発明に用いられる対をなす非球面レンズの例示の形態が示されている。図面は、レンズの作用を説明するために作成されており、レンズの正確な形状又は位置決めを表すものではない。
【0065】
赤色レンズ106は、イメージセンサ34から遠ざかる方向に向いた前面200及びイメージセンサ34に向いた後面202を有している。前面200は、その最も遠くに位置する点のところにおいてはイメージセンサ34から4.25mmの寸法Cのところに位置している。前面200は、以下の等式(1)によって表される楕円面である。
【0066】
【数1】

上式において、Zは、光軸から半径方向距離rの関数として光軸に沿うレンズ表面の高さの値、cは曲率、kは、円錐係数、係数C2nは、偶数次の整式の係数である。前面200については、cは、0.7194、kは、−0.4529である。後面202は、半径が4.05mmの球面である。寸法Dとして示された赤補色レンズ108の直径は、1.2mmである。赤補色レンズ108の中心における寸法Eとして示された厚さは、0.2mmである。赤色レンズ106の焦点距離は、波長で決まり、波長が680nmの場合4.25mmである。
【0067】
赤補色レンズ108は、イメージセンサ34から遠ざかる方向に向いた前面204及びイメージセンサ34に向いた後面206を有している。前面204は、その最も遠くに位置する点のところにおいてはイメージセンサ34から4.25mmの寸法Cのところに位置している。前面204も又、上記の等式(1)によって表される楕円面であり、曲率cは、0.7059、円錐係数kは、−0.4444である。後面206は、半径が4.05mmの球面である。寸法Fとして示された赤補色レンズ108の直径は、1.2mmである。赤補色レンズ108の中心における寸法Eとして示された厚さは、0.2mmである。赤補色レンズ108の焦点距離は、波長で決まり、波長が420nmの場合4.25mmである。
【0068】
再び図6を参照すると、レンズ106,108の波長依存性焦点距離の効果が記載されている。赤色レンズ106及び赤補色レンズ108の互いに異なる非球面上の前面に起因して、赤色光線210及び青色光線212は、各レンズを通って別々に合焦される。赤色レンズ106を通る赤色光線210の焦点は、イメージセンサ34の表面のところに位置し、これに対し、赤色レンズ106を通った青色光線212は、イメージセンサ34の前に距離をおいたところに合焦する。同様に、赤補色レンズ108を通った青色光線212は、イメージセンサ34の表面上に合焦し、赤補色レンズ108を通った赤色光線210は、イメージセンサ34の後ろに距離をおいたところに合焦する。
【0069】
好ましい実施形態では、赤色レンズ106は、赤色レンズ106を通って伝送される赤補色光の大きさを減少させる染料を有するポリマーから作られる。赤補色レンズ108は、赤補色レンズ108を通って伝送される赤光の大きさを減少させる染料を有するポリマーから作られる。変形例として、赤色レンズ106及び赤補色レンズ108の少なくとも一方の面を、それぞれ赤色のフィルタリング及び赤補色フィルタリングを達成するようコーティングするのがよい。もう1つの変形例は、景色24とイメージセンサ34との間に別々のフィルタを用いることである。特に、フィルタをレンズ106,108の前又は後のいずれかに直接支持体104に取り付けるのがよい。
【0070】
本発明の実施形態では、3以上のレンズ106,108が用いられる。各レンズを、互いに異なる色波長を通すよう着色又は色合い付けするのがよい。好ましくは、各レンズは、そのレンズの通過波長のところの任意のレンズ106,108の焦点距離が、他のレンズの通過波長のところの任意他のレンズ106,108の焦点距離と同一であるよう付形される。
【0071】
次に、図7を参照すると、ヘッドランプオンオフ制御のための本発明の実施形態に用いられるレンズが示されている。光標本化レンズ250が、水平方向前方の方向から垂直方向上方の方向まで光線251〜260として示された方向範囲から光を集光する。光線251〜260の勾配は、約10°単位で間隔を置いている。レンズ250は、入射光線251〜260の方向を変えてほぼ水平の経路に沿って出射光線261〜270にする。
【0072】
ほぼ垂直の光線251は、レンズ250の前面272のところで屈折して光線271になる。光線271は、表面274のところで内部で反射して光線273になり、光線273は屈折して光線261になる。表面275は、光線271に対してほぼ平行であり、或いは、表面275を光線271に平行にする角度よりも僅かに大きな角度表面274に対してなしている。表面275が、表面275を光線271に対して平行にする角度よりも小さな角度を表面274に対してなしていれば、光線271は、光線251が表面272上の高い位置にある点のところで入射すると遮断され、それにより好ましくない影を、光線271と表面275の高点の近くで表面274上に落とす。レンズ250は、出射光線262〜265を生じさせるよう同様な方法で入射光線252〜255を曲げる。表面274は、頂点が全体として前面272から遠ざかる方向に向いた三角形の下方側部を形成し、表面275はその上方側部を形成する。
【0073】
光線256は、表面280のところで屈折して光線281になり、光線281は後面282のところで屈折して光線266になる。同様に、光線257は、表面283のところで屈折して光線284になり、光線284は後面282のところで屈折して光線267になる。表面285は、光線281にほぼ平行であり、表面286は光線256と光線284との間の角度をほぼ2等分するよう差し向けられている。レンズ250は、入射光線258〜260を同様な仕方で屈折させて出射光線268〜270を生じさせる。表面280は、頂点が全体として前面282から遠ざかる方向に向いた三角形の下方側部を形成し、表面285はその上方側部を形成する。
【0074】
レンズ250の好ましい実施形態では、出射光線261〜270は、光線261について僅かに下方から光線270に付いて僅かに上方まで次第に傾斜している。
【0075】
一実施形態では、レンズ250は、図7全体に示すような断面を備えたアクリル樹脂から作られる。この実施形態は、光を、水平方向に比較的小さな角度を持ち、垂直方向に向けられた90°の扇形の状態で光を集光することになる。変形実施形態では、前面272及び後面282を設計変更することにより、水平方向の有効カバレージの増大が得られる。表面272を、円柱軸をレンズ250の長さ方向に平行にした状態で凹の円柱形に形成するのがよい。表面282を、円柱軸をこの場合も又、レンズ250の長さ方向に平行にした状態で凹の円柱形に形成するのがよい。
【0076】
次に、図8を参照すると、図7のレンズを組み込んだ例示の光学系が示されている。隔壁300が、景色24とレンズ106,108との間に配置されている。好ましい実施形態では、隔壁300は、ハウジング100の一部である。隔壁300は、車の水平方向に対し約45°の角度θで傾斜している。隔壁300は、自動車の前の景色24に向かって開いたアパーチュア302を構成している。アパーチュア302は、鉛直面へのアパーチュア302の投影像が、アパーチュア102と類似した鉛直面上に四角形を形成するよう台形であるのがよい。アパーチュア302は、レンズ106によって投影された光を上側サブウィンドウ94中の任意の点に制限しないで、或いはレンズ108によって投影された光を下側サブウィンドウ96中の任意の点に制限しないでできるだけ小さいものである。
【0077】
レンズ150は、アパーチュア302の一方の側部に設けられている。レンズ250の幅は、レンズ106又は108の直径とほぼ同一である。レンズ250は、光線251が車のほぼ上からやってくると共に光線260が車のほぼ前からやってくるように差し向けられる。レンズ250は、レンズ250のぼけた倒立像が赤色レンズ106によって線304と線306との間でイメージセンサ34の一方の縁上に投影されて赤色の空の画像312を形成するよう位置決めされている。レンズ250は、レンズ250のぼけた倒立像が赤補色レンズ108によって線308と線310との間でイメージセンサ34の一方の縁上に投影されて赤補色の空の画像312を形成するよう位置決めされている。視差の誤差に起因して、線306が、上側サブウィンドウ94の下縁の上に位置し、線308が、下側サブウィンドウ96の下に位置している。レンズ250の有効長さを、有効長さ全体を線304,306相互間及び線308,310相互間の領域上に投影できるのに十分短く作られている。
【0078】
赤色空画像312及び赤補色空画像314を走査してこれらを処理制御装置36内に取り込む。ヘッドランプオンオフ制御を行うには荒いイメージを必要とするに過ぎないので、赤色スカイイメージ312及び赤補色スカイイメージ314が焦点のところになくても大きなデメリットではない。一実施形態では、閾値をイメージセンサ34によって検出された光レベルと比較する。もし光レベルが閾値を越えていれば、ベッドランプ22をオフにする。光レベルが閾値を下回っていると、ヘッドランプ22をオンにする。
【0079】
赤色スカイイメージ312及び赤補色スカイイメージ314の画素位置の相関をとって、読みが各々10°の高さ増分について比較できるようにする。赤補色の割合が高いと、青色の空が見えていることが分かる。一実施形態では、用いる閾値点を低くすると、曇りの空の場合についてよりも青色の空についてヘッドランプ22をオン又はオフにすることができる。
【0080】
別の実施形態では、閾値はヒステリシスを示す。さらに別の実施形態では、最後に行ったオンオフ移行後の時間の遅れが用いられる。これら2つの実施形態は、ヘッドランプ22がスイッチ点のあたりでの頻繁なオンオフ移行をしないようにすることができる。
【0081】
本発明の最適実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神及び範囲内で他の形態が存在することが考えられる。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の種々の設計変更例及び改造例を想到できよう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の結像システムを用いることができるヘッドランプ制御装置のブロック図である。
【図2】本発明のイメージセンサの略図である。
【図3】本発明の光学系の略図である。
【図4】図3に示す光学系の拡大部分図である。
【図5】本発明の隔壁を有する画像システムの変形実施形態を示す略図である。
【図6】本発明の実施形態に用いられた2つのレンズの作用を示す略図である。
【図7】ヘッドランプオンオフ制御のための本発明の実施形態に用いられるレンズの略図である。
【図8】図7のレンズを有する例示の光学系の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ヘッドランプ制御装置に用いられる結像システムであって、全体として景色に向いて開口したアパーチュアを構成するハウジングと、アパーチュアから見て反対側でハウジング内に設けられたイメージセンサと、ハウジング内に設けられていてアパーチュアとイメージセンサとの間に第1の開口部及びアパーチュアとイメージセンサとの間に第2の開口部を構成する支持体と、第1の開口部内に設けられていて、景色からの光をイメージセンサの第1の部分上に合焦させる第1のレンズと、第2の開口部内に設けられていて、景色間の光をイメージセンサの第2の部分上に合焦させる第2のレンズとを有し、イメージセンサの第2の部分は、第1の部分から離れていることを特徴とする結像システム。
【請求項2】
第1のレンズは、光を第1の波長でイメージセンサ上に合焦させることができ、第2のレンズは、光を第2の波長でイメージセンサ上に合焦させることができることを特徴とする請求項1記載の結像システム。
【請求項3】
第1の波長の第1のレンズの焦点距離は、第2の波長の第2のレンズの焦点距離と実質的に同一であることを特徴とする請求項2記載の結像システム。
【請求項4】
第1のレンズは、色が実質的に青緑の光を減衰させることができ、第2のレンズは、色が実質的に赤の光を減衰させることができることを特徴とする請求項2記載の結像システム。
【請求項5】
イメージセンサは、低解像度を有していることを特徴とする請求項1記載の結像システム。
【請求項6】
第1のレンズと第2のレンズとの間の領域からイメージセンサに向かって延びる隔壁を更に有し、隔壁は、第1のレンズを通った光がイメージセンサの第2の部分に当たるのを抑制するとともに第2のレンズを通った光がイメージセンサの第1の部分に当たるのを抑制することができることを特徴とする請求項1記載の結像システム。
【請求項7】
アパーチュアに入る光の強度を減少させるシャッタを更に有することを特徴とする請求項1記載の結像システム。
【請求項8】
シャッタは、エレクトロクロミックウィンドウであることを特徴とする請求項7記載の結像システム。
【請求項9】
最大焦点距離は、第1のレンズの焦点距離及び第2のレンズの焦点距離のうち最も大きなものであり、ハウジングは、第1のレンズ及び第2のレンズから最大焦点距離の少なくとも2倍の距離のところにアパーチュアを構成していることを特徴とする請求項1記載の結像システム。
【請求項10】
アパーチュアを構成するハウジングの第1の部分が、もしこれが設けられていなければ第1のレンズを通ってイメージセンサの第2の部分上に迷光として当たる光を遮断するよう位置決めされており、アパーチュアを構成するハウジングの第2の部分が、もしこれが設けられていなければ第2のレンズを通ってイメージセンサの第1の部分上に迷光として当たる光を遮断するよう位置決めされていることを特徴とする請求項1記載の結像システム。
【請求項11】
アパーチュア内に設けられた光標本化レンズを更に有し、光標本化レンズは、景色の広角からの光を集め、集めた光の向きを変えてこれを第1のレンズ及び第2のレンズに差し向けることを特徴とする請求項1記載の結像システム。
【請求項12】
広角からの光は、車両の実質的に上方の光から車両の実質的に前方の光までの円弧から成ることを特徴とする請求項11記載の結像システム。
【請求項13】
ヘッドランプ制御装置に用いられる結像システムであって、全体として車両の前方に広がる景色に向かって開口したアパーチュアを構成するハウジングと、ハウジング内に設けられたイメージセンサと、アパーチュアの近くに設けられた光標本化レンズとを有し、光標本化レンズは、アパーチュアの実質的に上方からアパーチュアの実質的に前方まで延びる垂直方向の円弧によって構成された領域からの光線を集め、集めた光線の向きを変えてこれをイメージセンサに差し向けることを特徴とする結像システム。
【請求項14】
光標本化レンズは、アパーチュアの全体的に前方に位置する狭い水平方向の円弧によって構成された領域からの光線を集めることを特徴とする請求項を13記載の結像システム。
【請求項15】
イメージセンサは、複数の画素センサで構成されていることを特徴とする請求項13記載の結像システム。
【請求項16】
光標本化レンズは、高さ方向に互いに離れた領域からの光線を集め、集めた光線の向きを変えてこれを高さ方向に互いに離れた領域の各々から互いに異なる一組の画素センサに差し向け、イメージセンサは、互いに異なる角度的高さ位置における光のレベルを検出することを特徴とする請求項15記載の結像システム。
【請求項17】
高さ方向に互いに離れた領域は、10°の仰角から成ることを特徴とする請求項16記載の結像システム。
【請求項18】
画素センサの第1のサブウィンドウと、画素センサの第2のサブウィンドウと、光標本化レンズとイメージセンサとの間でハウジング内に設けられていて、向きが変えられた光線の実質的に赤色成分を第1のサブウィンドウ上に投影する赤色レンズと、光標本化レンズとイメージセンサとの間でハウジング内に設けられていて、向きが変えられた光線の実質的に赤補色成分を第2のサブウィンドウ上に投影する赤補色レンズとを更に有することを特徴とする請求項15記載の結像システム。
【請求項19】
光標本化レンズは、鉛直面に対して傾斜した前面及び構造的特徴として複数の3角形で構成された後面を備える上側部分を有し、各3角形は、全体として前面から遠ざかる方向に向いた頂点を形成する後側下方側部と後側上方側部を有し、ほぼ鉛直面と上側部分の前面の傾斜角との間の角度で上側部分の前面に入射した光線が、上側部分の前面によって屈折し、後側下方側部から反射し、後側上方側部によって屈折し、レンズから実質的に平行に出射し、前記光標本化レンズは、鉛直面に対して傾斜した後面及び構造的特徴として複数の3角形で構成された前面を備える下側部分を有し、各3角形は、全体として前面から遠ざかる方向に向いた頂点を形成する前側下方側部と前側上方側部を有し、ほぼ水平面と下側部分の後面の傾斜角との間の角度で下側部分の前面に入射した光線が、下側部分の前面によって屈折し、前側後面によって屈折し、レンズから実質的に平行に出射することを特徴とする請求項13記載の結像システム。
【請求項20】
少なくとも1つのヘッドランプを制御するシステムであって、ヘッドランプと連絡していて、受け取ったオンオフ制御信号に基づいてヘッドランプをオンにしたりオフにするヘッドランプコントローラと、アレイ状に配列された画素センサで構成されるイメージセンサと、車両の実質的に上から車両の実質的に前まで延びる垂直方向の円弧によって構成される領域からの光線を集め、集めた光線の向きを変えてこれをイメージセンサに差し向けるレンズ系と、イメージセンサ及びヘッドランプコントローラと連絡している処理制御装置とを有し、処理制御装置は、画素センサからの光レベルを読み取って、光レベルと閾値の比較に基づいてオンオフ制御信号を定めることを特徴とする少なくとも1つのヘッドランプの制御システム。
【請求項21】
画素センサの第1のサブウィンドウと、画素センサの第2のサブウィンドウと、光標本化レンズとイメージセンサとの間でハウジング内に設けられていて、向きが変えられた光線の実質的に赤色成分を第1のサブウィンドウ上に投影する赤色レンズと、光標本化レンズとイメージセンサとの間でハウジング内に設けられていて、向きが変えられた光線の実質的に赤補色成分を第2のサブウィンドウ上に投影する赤補色レンズとを更に有することを特徴とする請求項20記載の少なくとも1つのヘッドランプの制御システム。
【請求項22】
処理制御装置は、第1及び第2のサブウィンドウ上に投影された色成分に基づいて閾値を定めることを特徴とする請求項21記載の少なくとも1つのヘッドランプの制御システム。
【請求項23】
処理制御装置は、垂直方向円弧によって定められた領域が、青色の空を画像化するか曇った空を画像化するかを決定し、曇った空の場合よりも青色の空の場合について低い閾値を用いることを特徴とする請求項21記載の少なくとも1つのヘッドランプの制御システム。
【請求項24】
処理制御装置は、光レベルとヒステリシス閾値との比較に基づいてオンオフ制御信号を定めることを特徴とする請求項20記載の少なくとも1つのヘッドランプの制御システム。
【請求項25】
処理制御装置は、オンオフ制御信号中の先の変化からの時間遅れに基づいてオンオフ制御信号定めることを特徴とする請求項20記載の少なくとも1つのヘッドランプの制御システム。
【請求項26】
少なくとも1つのヘッドランプを制御するシステムであって、少なくとも1つのヘッドランプの前に広がる景色からの光を集め、集めた光の強度を求める結像システムと、結像システムと景色との間に設けられていて、景色からの光の強度を減衰させるシャッタと、結像システム及びシャッタと連絡して設けられていて、結像システムからの光のレベルを読み取って、光のレベルに基づいてシャッタによる光の減衰量を制御する処理制御装置とから成ることを特徴とするシステム。
【請求項27】
シャッタは、エレクトロクロミックウィンドウであることを特徴とする請求項26記載の少なくとも1つのヘッドランプを制御するシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−238097(P2007−238097A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155253(P2007−155253)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【分割の表示】特願2000−553302(P2000−553302)の分割
【原出願日】平成11年6月4日(1999.6.4)
【出願人】(301033260)ジェンテックス コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】