説明

車両用充電装置

【課題】充電装置側との通信機能を有していない車両に充電する場合にも、充電コネクタの嵌合を検知してから充電を開始することが可能な車両用充電装置を提供する。
【解決手段】車両側コネクタ91の第5端子915から出力される電流の変化によって充電コネクタ11の離脱又は離脱の準備操作が行われたことを検知し、この検知に基づいて蓄電池94への充電を停止する車両9に対して充電を行う車両用充電装置1は、車両9に対して充電を行うためのリレー回路21と、充電コネクタ11が嵌合され、かつ離脱の準備操作が行われていない状態で、第5端子915から出力される電流の経路を切り替えることにより、この電流の電流値を変化させ、車両9にリレー回路922を開状態とさせる切替回路22と、リレー回路21及び切替回路22を制御する制御部20とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所謂プラグインハイブリッド車(Plug-in Hybrid Vehicle)や電気自動車等の、走行用の駆動源として電動機を有する車両に充電するための車両用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に配慮して、車両の走行のための駆動源として電動機を用いた車両が普及しつつある。このような車両に対して充電を行うための充電スタンドとして、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の充電スタンドは、スタンド本体に複数の収容空所を設け、それぞれの収容空所にコンセントユニットを収容して構成されている。この充電スタンドでは、スタンド本体に接続された複数の電気自動車を同時に充電することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−182640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、充電を行う際に車両が引き込む充電電流は、車種によって様々である。複数の車両に同時に充電可能な充電スタンドでは、仮に大きな充電電流を引き込む車両ばかりが接続された場合に必要となる最大の電力に合わせて電力供給会社との契約を行うと、電気料金が嵩み、結果として充電スタンドの利用者の負担が大きくなるため、プラグインハイブリッド車や電気自動車等の利用の拡大が妨げられることとなる。一方、電力供給会社との契約アンペア数が低い場合には、充電スタンドに接続された複数の車両のうち、一部の車両には充電を全く行えない場合が生じ得る。
【0006】
いみじくも、近年では、充電スタンド側と車両側との通信仕様等を定めた国際規格であるSAEJ1772に準拠した車両が増えてきている。この規格に準拠した車両であれば、車両側との通信によって車両に供給する充電電流を調節したり、他の車両に充電電流を割り当てるために一時的に充電を停止したりすることにより、充電スタンドに接続された複数の車両間の充電量を調整することができるが、この規格に準拠していない車両に対しては、このような調整を行うことができない。
【0007】
そこで、本発明は、通信によって充電の停止と再開を制御することができない車両に対しても、充電の停止と再開を制御することが可能な車両用充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、コネクタ端子から出力される電流の変化によってコネクタの離脱又は離脱の準備操作が行われたことを検知し、この検知に基づいて蓄電池への充電を停止する車両に対して充電を行う車両用充電装置であって、前記車両に対して充電を行う充電手段と、前記コネクタが嵌合され、かつ前記離脱の準備操作が行われていない状態で、前記コネクタ端子から出力される電流の経路を切り替えることにより前記電流を変化させ、前記車両に前記充電用のリレーを開状態とさせる模擬動作手段とを有する車両用充電装置を提供する。
【0009】
また、前記模擬動作手段は、前記コネクタ端子から出力される電流の経路を遮断することにより、前記車両に前記コネクタの離脱を検知させるとよい。
【0010】
また、前記模擬動作手段は、前記コネクタ端子から出力される電流が、前記準備操作が行われたときの電流と等しくなるように前記電流の経路を切り替え、前記車両に前記コネクタの離脱の準備操作を検知させるとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通信によって充電の停止と再開を制御することができない車両に対しても、充電の停止と再開を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両用充電装置を示す概略構成図である。
【図2】車両用充電装置、及び車両を示す概略構成図である。
【図3】充電コネクタの構成を示す正面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る車両用充電装置及び車両の概略の構成例を示す回路図である。
【図5】第2の実施の形態に係る車両用充電装置及び車両の概略の構成例を示す回路図である。
【図6】第3の実施の形態に係る車両用充電装置及び車両の概略の構成例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態に係る車両用充電装置及び車両用充電システムの一例を、図1〜図4を参照して説明する。
【0014】
(車両用充電装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用充電装置を示す概略構成図である。
【0015】
この車両用充電装置1は、充電コネクタ11が先端部に設けられた充電ガン12と、充電ガン12の内部にて充電コネクタ11に接続された充電ケーブル13と、充電ケーブル13及び充電コネクタ11を介して後述する車両9への充電を行う装置本体10とを備えて構成されている。装置本体10には、200Vの商用電源が電源ケーブル14を介して供給されている。車両用充電装置1の各部の仕様は、SAEJ1772に準拠している。
【0016】
この車両用充電装置1は、例えば高速道路のサービスエリアや商業施設の駐車場、あるいは集合住宅の駐車場等に設けられた充電スタンドに複数台設置され、不特定の利用者に充電サービスを提供する。装置本体10は、駐車場等の地面に自立して設置される。
【0017】
充電ガン12にはリリースボタン120及び係合部としての係止突起120aが設けられている。係止突起120aは、リリースボタン120の押し込み操作に連動して動作するように構成されている。
【0018】
(車両用充電システムの構成)
図2は、本発明の実施の形態に係る車両用充電装置の使用状態を示す概略構成図である。
【0019】
車両用充電装置1に接続された車両9は、車体90に走行用の駆動源として電動機96を搭載した電気自動車である。また、車体90には、充電コネクタ11に嵌合される車両側コネクタ91と、車両側コネクタ91の入力端子に接続された充電制御回路92と、充電制御回路92を制御する制御装置93と、蓄電池94と、蓄電池94に蓄えられた電力をPWM(Pulse Width Modulation)制御によりスイッチングされたモータ電流として電動機96に供給するインバータ95と、電動機96の出力を変速して前輪98に伝達する変速機97とが搭載されている。
【0020】
電動機96は、例えばIPM(Interior Permanent Magnet Motor:埋込磁石型モータ)からなる。蓄電池94は、例えば複数のセルを有するリチウムイオン電池からなる。
【0021】
なお、車両9は、電動機96に加え、ガソリン等の揮発性の液体を燃料とする内燃機関(エンジン)を駆動源として備えたプラグインハイブリッド車であってもよい。また、変速機97の出力を後輪99に伝達する後輪駆動車であってもよい。
【0022】
充電ガン12の係止突起120a(図1参照)は、車両側コネクタ91に係合(掛かり合うこと)し、充電コネクタ11の車両側コネクタ91からの意図しない離脱を抑止するように構成されている。係止突起120aは、リリースボタン120の押し込み操作と連動するように連結されており、リリースボタン120を押すことにより係止突起120aと車両側コネクタ91との係合が解除され、充電コネクタ11の抜き取り操作が可能となる。
【0023】
(充電コネクタ11の構成)
図3は、車両用充電装置1の充電コネクタ11の構成を端子側から示す正面図である。
【0024】
充電コネクタ11は、ハウジング110と、車両9の充電のための電圧を出力する一対の充電電流出力端子としてのL端子111及びN端子112と、電気的に接地されたGND端子113と、充電制御端子としてのC端子114と、車両側コネクタ91との嵌合を検知するための嵌合検知端子としてのP端子115とを有している。
【0025】
(車両用充電装置1の回路構成)
図4は、車両用充電装置1、ならびに車両9側の車両側コネクタ91,充電制御回路92,制御装置93,蓄電池94の概略の構成例を示す回路図である。
【0026】
車両用充電装置1の装置本体10は、車両9側への充電電流の供給及び遮断等を制御する制御部20を有している。制御部20は、例えば予め記憶されたプログラムに従って動作するCPU(Central Processing Unit)、及びその周辺回路からなる。
【0027】
制御部20は、装置本体10に設けられたリレー回路21のオン(継電)又はオフ(遮断)を制御する。制御部20及びリレー回路21は、本発明の充電手段の一例である。リレー回路21は、第1接点部21aと、第2接点部21bと、第1接点部21a及び第2接点部21bを動作させるためのコイル21cとを有し、コイル21cに制御部20から電流が供給されたときは第1接点部21a及び第2接点部21bがオン状態(閉状態)となり、コイル21cに電流が供給されないときは、第1接点部21a及び第2接点部21bが共にオフ状態(開状態)となる。
【0028】
リレー回路21の第1接点部21aは、電源ケーブル14の電圧線140aと、装置本体10に充電ケーブル13を介して接続された充電コネクタ11のL端子111との間に設けられている。また、第2接点部21bは、電源ケーブル14の中性線140bと装置本体10に充電ケーブル13を介して接続された充電コネクタ11のN端子112との間に設けられている。これにより、制御部20からコイル21cに電流が供給されると、電圧線140aとL端子111、及び中性線140bとN端子112がそれぞれ導通状態となる。
【0029】
第1接点部21aとL端子111との間の配線には、電流センサ24が設けられている。電流センサ24は、例えばホール素子センサからなり、L端子111から出力される電流を検出して、その電流値を示す検出信号を制御部20に出力する。
【0030】
また、制御部20は、装置本体10に設けられた切替回路22を制御する。切替回路22は、第1コイル221及び第2コイル222を備え、第1コイル221及び第2コイル222への電流の供給を個別に制御することにより、第1〜第6接点22a〜22fの間の接続状態を切り替え可能である。
【0031】
第1コイル221の非通電時には、第1接点22aと第2接点22bとが接続された状態となり、第1コイル221の通電時には、第1接点22aと第3接点22cとが接続された状態となる。また、第2コイル222の非通電時には、第4接点22dと第6接点22efとが接続された状態となり、第2コイル222の通電時には、第4接点22dと第5接点22eとが接続された状態となる。装置本体10の初期状態(車両9に接続されていない状態)では、第1コイル221及び第2コイル222が共に非通電である。
【0032】
第1接点22aは、充電ケーブル13を介して、充電ガン12内に配置されたスイッチ121に接続されている。スイッチ121は、充電ガン12のリリースボタン120に連動し、リリースボタン120が押されていない通常時に導通状態となり、リリースボタン120が押されると絶縁状態となる2つの接点121a,121bを有している。接点121aは、切替回路22の第1接点22aに接続され、接点121bは充電コネクタ11のP端子115に接続されている。
【0033】
第2接点22bには、装置本体10に設けられた第1の抵抗器Rの一端が接続されている。第1の抵抗器Rの他端は、電圧出力部23に接続されている。電圧出力部23は、電圧線140a及び中性線140bから供給される交流電流を例えば直流の5Vに変換して出力する直流電源である。また、第1の抵抗器Rの抵抗値は、例えば2700Ωである。
【0034】
第3接点22cと第4接点22dとは、切替回路22内で接続されている。また、第5接点22eは、切替回路22の内外の他の何れの回路素子にも接続されておらず、電気的にアイソレート(絶縁)されている。
【0035】
また、第6接点22fには、第2の抵抗器Rの一端が接続されている。第2の抵抗器Rの他端は電気的に接地され、電源ケーブル14のグランド線140cと同電位(基準電位)とされている。第2の抵抗器Rの抵抗値は例えば330Ωである。
【0036】
また、スイッチ121には、第3の抵抗器Rが並列に接続されている。第3の抵抗器Rの一端は接点121aに接続され、他端は接点121bに接続されている。第3の抵抗器Rの抵抗値は、例えば150Ωである。
【0037】
これにより、装置本体10の初期状態では、第1の抵抗器Rがスイッチ121を介してP端子115に接続(短絡)される。この初期状態において、電圧出力部23は、第1の抵抗器R、切替回路22(第2接点22b及び第1接点22a)、及びスイッチ121を介して、P端子115から電圧を出力可能である。
【0038】
また、第2コイル222が非通電のままで第1コイル221に通電されると、第2の抵抗器Rの一端がスイッチ121を介してP端子115に接続(短絡)される。またさらに、第1コイル221及び第2コイル222が共に通電されると、スイッチ121の接点121aが第5接点22eに接続(短絡)される。
【0039】
切替回路22の第2接点22bには、第2接点22bの電圧(基準電位との電位差)を検出する第1の電圧計Vが接続されている。また、切替回路22の第6接点22fには、第6接点22fの電圧(基準電位との電位差)を検出する第2の電圧計Vが接続されている。
【0040】
第1の電圧計V及び第2の電圧計Vとしては、例えばアナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバータを用いてもよく、所定の電圧値との大小を比較するコンパレータを用いてもよい。第1の電圧計V及び第2の電圧計Vで検出した電圧値を示す検出信号は、制御部20に出力される。
【0041】
また、制御部20は、PWM(Pulse Width Modulation)制御されたパルス信号により、充電電流の許容電流値等の情報を車両9側へ送信する通信機能を有している。制御部20からの送信信号は、通信用抵抗器Rcを介して充電コネクタ11のC端子114から車両9側に出力される。また制御部20は、通信用抵抗器RcのC端子114側の電圧をモニタすることが可能である。この通信用抵抗器Rcは、SAEJ1772に準拠した車両との通信を行うためのものである。
【0042】
(車両9側の構成)
車両側コネクタ91は、第1端子911,第2端子912,第3端子913,第4端子914,及び第5端子915を有している。車両側コネクタ91が充電コネクタ11に嵌合すると、第1端子911がL端子111に、第2端子912がN端子112に、第3端子913がGND端子113に、第4端子914がC端子114に、第5端子915がP端子115に、それぞれに接続される。第5端子915は、本発明のコネクタ端子の一例である。第3端子913と第5端子915の間には、第4の抵抗器Rが接続されている。第4の抵抗器Rの抵抗値は、例えば2700Ωである。
【0043】
充電制御回路92は、整流回路部921と、リレー回路922と、直流電源923と、第5の抵抗器Rとを有している。第5の抵抗器R5の抵抗値は、例えば、330Ωである。直流電源923は、その出力の電源電圧が例えば5Vである。第5の抵抗器Rは、一端が直流電源923に接続され、他端が第5端子915に接続されている。直流電源923は、車両9の車種によって、電源電圧を常時出力する場合と、車両用充電装置1から充電電圧が印加されているとき、及び運転者によって操作されるイグニッションスイッチがオンのときに電源電圧を出力する場合との、2つの場合がある。
【0044】
整流回路部921は、車両側コネクタ91の第1端子911及び第2端子912に接続されている。整流回路部921は、第1端子911及び第2端子912から入力される交流電流を整流してリレー回路922に出力する。整流回路部921は、例えばダイオードブリッジ回路からなる。なお、整流回路部921とリレー回路922との間には、充電開始時における突入電流を制限する突入電流制限回路等をさらに設けてもよい。
【0045】
リレー回路922は、制御装置93によってオン(閉状態)又はオフ(開状態)が制御される。リレー回路922がオンすると、第1端子911及び第2端子912から供給される電力によって蓄電池94が充電される。
【0046】
第5の抵抗器Rはまた、その一端が制御装置93に接続されている。制御装置93は、第5の抵抗器Rの一端の電圧(基準電位との電位差)を検出可能である。
【0047】
なお、本実施の形態における車両9は、SAEJ1772に準拠しておらず、車両用充電装置1との通信機能を有していないので、車両用充電装置1の制御部20からC端子114に出力される送信信号は制御装置93に入力されない。車両が通信機能を有している場合には、制御部20が車両側との通信が成立したことを以て充電コネクタ11が車両側コネクタ91に嵌合されたことを検知できるが、車両が通信機能を有していない場合には、他の方法によって充電コネクタ11と車両側コネクタ91との嵌合を検出する必要がある。
【0048】
本実施の形態では、第1の電圧計Vによって検出した電圧に基づいて、充電コネクタ11と車両側コネクタ91との嵌合を検知する。次に、この嵌合検出方法について説明する。
【0049】
(嵌合検出方法)
充電コネクタ11が車両側コネクタ91に嵌合されていない未嵌合状態では、切替回路22が、第1接点22aと第2接点22bとが接続された第1の接続状態にある。
【0050】
この未嵌合状態では、第2接点22bに第1の抵抗器Rを介して電圧出力部23から直流の+5Vが供給される一方、第1接点22aにスイッチ121を介して接続されたP端子115は絶縁された状態であるので、第1の電圧計Vによって検出される第2接点22bの電圧、すなわちP端子115の電圧は+5Vとなる。
【0051】
直流電源923が、車両用充電装置1から充電電圧が印加されているとき及びイグニッションスイッチがオンのときに電源電圧を出力する場合、充電コネクタ11が車両側コネクタ91に嵌合されると、この時点では直流電源923が電源電圧を出力していないので、電圧出力部23から供給される電圧により第1の抵抗器R及び第4の抵抗器Rに電流Iが流れ、第1の電圧計Vによって検出される第2接点22bの電圧は、第1の抵抗器Rにおける電圧降下によって未嵌合状態よりも低下する。本実施の形態において、第1の抵抗器R及び第4の抵抗器Rの抵抗値を同じにしているので、第1の電圧計Vによって検出される電圧は、電圧出力部23の出力電圧の2分の1である+2.5Vとなる。制御部20は、この電圧の変化によって、充電コネクタ11と車両側コネクタ91との嵌合を検知することができる。
【0052】
一方、直流電源923が常時電源電圧を出力する場合でも、充電コネクタ11が車両側コネクタ91に嵌合されると、第1の電圧計Vによって検出される電圧が+5Vから+4.51Vに変化するので、制御部20は、この電圧の変化によって充電コネクタ11と車両側コネクタ91との嵌合を検知することができる。
【0053】
また、制御部20は、充電コネクタ11と車両側コネクタ91とが嵌合された際の電圧の変化量によって、車両9の直流電源923が常時電源電圧を出力するか、車両用充電装置1から充電電流が供給されているとき及びイグニッションスイッチがオンのときに電源電圧を出力するかを判別することができる。より具体的には、制御部20は、充電コネクタ11と車両側コネクタ91とが嵌合された際の電圧計Vの検出電圧が+2.5Vであれば、嵌合した車両が車両用充電装置1から充電電圧が印加されているとき及びイグニッションスイッチがオンのときに電源電圧を出力する車両であると判別できる。ただし、当該電圧が例えば+4.51Vであっても、ただイグニッションスイッチがオンになっている状況かもしれないため、必ずしも直流電源923が常時電源電圧を出力する車両であるとは判別できない。しかしこの場合でも、充電における安全性の担保には何ら問題はない。制御部20は、この判別結果を記憶する。
【0054】
制御部20は、充電コネクタ11と車両側コネクタ91との嵌合を検知すると、リレー回路21のコイル21cに電流を供給し、第1接点部21a及び第2接点部21bを共にオンさせる。これにより、車両用充電装置1は、L端子111及びN端子112からの充電電流の出力が可能な状態となる。また、充電電圧が印加されたことから、直流電源923が電源電圧を出力する。
【0055】
また、制御部20は、充電コネクタ11と車両側コネクタ91との嵌合を検知したとき、直ちに切替回路22の第1コイル221に電流を供給し、切替回路22を、第1接点22aと第3接点22cとが接続された第2の接続状態に切り替える。これにより、第1の抵抗器RとP端子115との接続が遮断され、第2の抵抗器RとP端子115とがスイッチ121を介して接続される。
【0056】
この第2の接続状態への切り替えは、車両9側の制御装置93が、充電ガン12のリリースボタン120が押されたことを検知することができるようにするための処置である。次に、充電コネクタ11の車両側コネクタ91からの離脱、及びその準備操作としてのリリースボタン120の押し込み操作が行われたことを検知する方法について説明する。
【0057】
(離脱及びその準備操作の検出方法)
利用者によってリリースボタン120が押された場合、充電コネクタ11が車両側コネクタ91から抜かれる可能性が高いので、活線状態でL端子111と第1端子911、及びN端子112と第2端子912が離間することによるスパークの発生等を抑えるべく、制御装置93は、充電コネクタ11が車両側コネクタ91から離脱する前に、蓄電池94への充電を停止する。本実施の形態では、リレー回路922をオフ状態にすることにより、蓄電池94への充電を停止する。車両9側でこの措置が実施されない場合は、制御部20は、リレー回路21をオフ状態にする。
【0058】
なお、車両9側で蓄電池94への充電を停止する際には、リリースボタン120が押されたことを検知したとき、直ちにリレー回路922をオフ状態にしてもよいが、充電電流をわずかな電流値(例えば、0.1〜1A)に低減させたのち、リレー回路922をオフ状態にしてもよい。これにより、充電コネクタ11と車両側コネクタ91との間に発生する火花を低減し、充電コネクタ11及び車両側コネクタ91の損傷を低減できる。また、リレー回路922におけるリレー溶着を低減することも可能となる。
【0059】
リリースボタン120が押されると、スイッチ121の接点121aと接点121bとの接続が解除され、第5の抵抗器Rの一端から接地電位までの抵抗値が変化するので、第5の抵抗器Rを介して第5端子915から出力される電流が変化する。制御装置93は、この電流の電流値の変化に伴う第5の抵抗器Rの一端の電圧の変化によって、リリースボタン120が押されたことを検知する。
【0060】
より具体的には、第5の抵抗器Rの他端から接地電位までの抵抗値が、リリースボタン120が押される前の抵抗値(第2の抵抗器Rと第4の抵抗器Rの並列抵抗値)から、第2の抵抗器R及び第3の抵抗器Rの直列抵抗と第4の抵抗器Rとの並列抵抗値に変化し、第5の抵抗器Rの一端から接地電位までの抵抗値が大きくなる。この結果、第5の抵抗器Rを流れる電流Iの電流値が変化するので、第5の抵抗器Rの一端の電圧が変化する。制御装置93は、この電圧の変化によってリリースボタン120が押されたことを検知し、リレー回路922をオフ状態にする。
【0061】
また、装置本体10の制御部20は、第2の電圧計Vによって検出される切替回路22の第6接点22fの電圧の変化によって、リリースボタン120が押されたことを検知する。つまり、第5の抵抗器Rの一端から接地電位までの抵抗値がリリースボタン120が押されることにより変化し、これに伴って第2の抵抗器Rを流れる電流が変動するので、第6接点22fの電圧の変化によってリリースボタン120が押されたことを検知する。制御部20は、この検知に基づいて前述のようにリレー回路21のコイル21cへの電流の供給を停止し、第1接点部21a及び第2接点部21bを共に開状態とする。例えば、第6接点22fの電圧は、リリースボタン120が押される前後で、+1.51Vから+0.86Vに低下する。
【0062】
また、制御装置93は、充電コネクタ11が車両側コネクタ91から離脱したことを検知し、この離脱を検知したときにもリレー回路922をオフ状態にする機能を有している。このような動作は、例えば制御装置93が第5の抵抗器Rの一端の電圧をサンプリングする1周期の間にリリースボタン120が押され、かつ充電コネクタ11が車両側コネクタ91から離脱した場合に生じ得る。
【0063】
充電コネクタ11が車両側コネクタ91から離脱したことは、リリースボタン120が押されたときと同様、第5の抵抗器Rの一端の電圧の変化によって検知することができる。つまり、充電コネクタ11が車両側コネクタ91から離脱すると、第5端子915から車両用充電装置1側に電流が流れなくなるので、第5の抵抗器Rを流れる電流Iが減少し、これに伴って第5の抵抗器Rにおける電圧降下が小さくなり、第5の抵抗器Rの一端の電圧が変化する。制御装置93は、この電圧の変化によって、充電コネクタ11の離脱を検知し、この検知に基づいてリレー回路922をオフ状態にする。
【0064】
また、制御部20は、充電コネクタ11の離脱によって第2の抵抗器Rに電流が流れなくなるので、これに伴う第2の電圧計Vによって、充電コネクタ11の離脱を検出する。具体的には、充電コネクタ11が車両側コネクタ91から離脱すると、第6端子22fの電圧が接地電位に等しくなるので、この電圧の変化を第2の電圧計Vによって検出し、リレー回路21のコイル21cへの電流の供給を停止する。
【0065】
(充電中断方法)
車両用充電装置1は、車両9に異常を報知させることなく、車両9への充電を中断する充電中断機能を備えている。つまり、単に車両用充電装置1のリレー回路21をオフにするだけでは、車両9が系統電源の停電あるいは車両用充電装置1の故障と認知して運転者等に異常を報知し、その後の充電の再開を行えなくなる場合があるが、この充電中断機能によれば、一定時間の経過後に、充電を再開することが可能である。
【0066】
この充電中断機能は、車両9の制御装置93に充電コネクタ11の離脱を疑似的に検知させることにより行い、制御部20及び切替回路22からなる模擬動作手段によって実現される。この模擬動作手段による充電中断の動作は、例えば充電スタンドの負荷増大により電力使用量が定格を超えそうになったとき等に、充電スタンド全体を統括する統括コントローラからの指令を受けて実行される。
【0067】
この指令は、図略の信号線を介して制御部20に伝達される。制御部20は、車両9への充電を中断すべき指令を受けると、切替回路22の第2コイル222に電流を供給する。なお、この際、第1コイル221には電流が供給されており、第1接点22aと第3接点22cが接続されている。第2コイル222の通電により、切替回路22は、第4接点22dと第6接点22fとの接続が遮断されると共に、第4接点22dと第5接点22eが接続された第3の接続状態となる。
【0068】
前述のように、第5接点22eは他の何れの回路素子にも接続されていないので、切替回路22の第2コイル222に電流を供給することにより、P端子115から車両用充電装置1側に流れ込む電流の行き場がなくなる。すなわち、第5端子915から出力される電流の経路が遮断され、車両用充電装置1側に電流が流れ込まなくなるので、第5の抵抗器Rを流れる電流Iが減少し、これに伴って第5の抵抗器Rにおける電圧降下が小さくなり、第5の抵抗器Rの一端の電圧が変化する。制御装置93は、この電圧の変化によって、実際には充電コネクタ11が車両側コネクタ91から離脱していないのに、充電コネクタ11が離脱したと判断し、前述のようにリレー回路922をオフ状態にする。
【0069】
また、制御部20は、電流センサ24によって車両9への充電電流の出力が停止もしくは低減したことを確認した後、リレー回路21をオフ状態にする。これにより、車両9のリレー回路922、及び車両用充電装置1のリレー回路21が共にオフ状態となり、充電中断状態となる。
【0070】
(充電待機処理方法)
車両9への充電を中断したまま車両を待機させる際の車両用充電装置1側の処理は、車両9が直流電源923の電圧を常時出力するか、あるいは車両用充電装置1から充電電流が供給されているとき及びイグニッションスイッチがオンのときに直流電源923の電圧を出力するかによって異なる。
【0071】
車両9が直流電源923の電圧を常時出力する場合、制御部20は、リレー回路21をオフにしたまま第1コイル221に通電し、第2コイル222に通電しない第2の接続状態とする。これにより、充電コネクタ11が車両側コネクタ91から実際に離脱した際に、第2の電圧計Vによって車両9及び車両用充電装置1が充電コネクタ11の離脱を検知することが可能となる。
【0072】
一方、車両9が、充電電流が供給されているとき及びイグニッションスイッチがオンのときに電圧を出力する場合、制御部20は、第1コイル221及び第2コイル222への電流の供給を遮断し、切替回路22を第1の接続状態とする。これにより、制御部20は、充電コネクタ11が車両側コネクタ91から実際に離脱した際に、これを検知することが可能となる。ここで、第1コイル221及び第2コイル222への電流遮断は、一定時間毎に間歇的に実行してもよく、また充電スタンド全体を統括する統括コントローラからの指令を受けて実行してもよい。
【0073】
また、イグニッションスイッチがオンにされた場合には、制御部20が第1の電圧計Vによって検出される電圧の変化によってこれを検知し、第1コイル221に通電して切替回路22を第2の接続状態とする。これにより、車両9は、充電コネクタ11と車両側コネクタ91とが嵌合状態にあることを検知でき、この嵌合状態のまま車両9が走行することを防止することができる。
【0074】
(充電再開処理方法)
車両9への充電の再開は、例えば充電スタンド全体を統括する統括コントローラからの指令を受けて実行される。この指令を受けた際の制御部20の処理は、車両9が直流電源923の電圧を常時出力するか、あるいは車両用充電装置1から充電電流が供給されているとき及びイグニッションスイッチがオンのときに直流電源923の電圧を出力するかによって異なる。
【0075】
車両9が直流電源923の電圧を常時出力する場合、制御部20は、一旦第2コイル222に通電し、その所定時間後に第2コイル222への電流の供給を遮断する。第2コイル222への通電時間は、車両9が確実に切替回路22の接続状態の変化(第5の抵抗器Rの一端の電圧の変化)を認識できる時間であり、例えば1秒以上、望ましくは3〜5秒である。これにより、車両用充電装置1(制御部20及び切替回路22からなる模擬動作手段)は、充電コネクタ11が車両側コネクタ91から一旦離脱し再び嵌合した状態を車両9の制御装置93に疑似的に検知させる。この措置は、車両9側に確実に充電を再開させるための措置である。
【0076】
制御部20は、第2コイル222への電流の供給を遮断した後、直ちにリレー回路21をオン状態とする。また、車両9側でも充電コネクタ11が車両側コネクタ91に嵌合されたと判断し、リレー回路922をオン状態とする。これにより、車両9への充電が再開される。
【0077】
一方、車両9が、充電電流が供給されているとき及びイグニッションスイッチがオンのときに電圧を出力する場合、制御部20は、切替回路22の接続状態を第1の接続状態としたまま、リレー回路21をオン状態とする。これに応じて直流電源923が電源電圧を出力し、充電コネクタ11と車両側コネクタ91との嵌合を検知した車両9はリレー回路922をオン状態とし、車両9への充電が再開される。制御部20は、電流センサ24によって充電が再開されたことを確認し、この充電状態で直流電源923の電圧が出力されたことを第1の電圧計Vによって検知すると、第1コイル221に通電し、切替回路22を第2の接続状態とする。
【0078】
切替回路22を第2の接続状態とすることにより、制御部2は、第2の電圧計Vによって、充電コネクタ11と車両側コネクタ91との嵌合及び離脱を検知可能な状態となる。
【0079】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下のような作用及び効果が得られる。
【0080】
(1)充電コネクタ11と車両側コネクタ91とが実際には嵌合されている状態で、車両9に充電コネクタ11が離脱したと認識させることにより、車両9に異常を報知させることなく、その後に充電を再開できる状態で、充電を中断することができる。
【0081】
(2)充電を再開する際には、車両用充電装置1の利用者(車両9の運転者等)による何らかの操作を要することなく、制御部20及び切替回路22の動作によって、充電を再開することができる。
【0082】
(3)充電スタンドでは、複数の車両への充電の負荷が増大して電力使用量が定格を超えそうになったとき等に、一部の車両への充電を一時的に停止することで、電力使用量が定格を超えることを回避できると共に、他の一部の車両には充電を継続することが可能となる。
【0083】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図5を参照して説明する。図5は、第2の実施の形態に係る車両用充電装置1A、ならびに車両9側の車両側コネクタ91,充電制御回路92,制御装置93,蓄電池94の概略の構成例を示す回路図である。図5において、第1の実施の形態について説明したものと共通する機能を有する要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0084】
第1の実施の形態では、切替回路22の第5接点22eが絶縁された状態であったが、本実施の形態では、切替回路22の第5接点22eと第2の抵抗器Rとの間に第6の抵抗器R30が接続されている。この他の構成は第1の実施の形態と共通である。第6の抵抗器R30の抵抗値は、第3の抵抗器Rの抵抗値と同じであり、例えば150Ωである。
【0085】
第1の実施の形態では、充電を中断する際に、車両9に充電コネクタ11が離脱したと認識させたが、本実施の形態では、制御部20及び切替回路22からなる模擬動作手段によって、車両9に充電ガン12のリリースボタン120(図1参照)が押されたと認識させる。充電中断時、充電待機時、及び充電再開時における模擬動作手段の動作は、第1の実施の形態と同じである。
【0086】
充電中断時に第2コイル222に通電し、切替回路22が第3の接続状態となると、P端子115がスイッチ121、切替回路22、第6の抵抗器R30、及び第2の抵抗器Rを介して装置本体10の基準電位に接続される。充電中断時には、リリースボタン120が押されていないので、スイッチ121の2つの接点121a,121bは短絡された状態である。従って、P端子115と装置本体10の基準電位との間の抵抗値は、第6の抵抗器R30及び第2の抵抗器Rの抵抗値を合計したもの(例えば150Ω+330Ω=480Ω)となる。
【0087】
この抵抗値は、切替回路22の第2の接続状態において、リリースボタン120が押された場合のP端子115と装置本体10の基準電位との間の抵抗値と同じである。従って、切替回路22が第3の接続状態となると、車両9の制御装置93は、実際にはリリースボタン120が押されていないのに、リリースボタン120が押された(スイッチ121が開状態となった)と判断し、前述のようにリレー回路922をオフ状態にする。制御部20は、電流センサ24によって車両9への充電電流の出力が停止もしくは低減したことを確認し、リレー回路21をオフ状態にする。
【0088】
この後、制御部20は、車両9が直流電源923の電圧を常時出力する場合には、第2コイル222への電流の供給を遮断して、切替回路22を第2の接続状態にし、車両9に充電を待機させる。また、車両9が、充電電流が供給されているとき及びイグニッションスイッチがオンのときに電圧を出力する場合には、第1コイル221及び第2コイル222への電流の供給を遮断して、切替回路22を第1の接続状態とし、車両9に充電を待機させる。前述のように、第1コイル221及び第2コイル222への電流遮断は、一定時間毎に間歇的に実行してもよく、また充電スタンド全体を統括する統括コントローラからの指令を受けて実行してもよい。
【0089】
充電再開時には、車両9が直流電源923の電圧を常時出力する場合、制御部20が一旦第2コイル222に通電し、その所定時間後に第2コイル222への電流の供給を遮断する。第2コイル222への通電時間は、車両9が確実に切替回路22の接続状態の変化(第5の抵抗器Rの一端の電圧の変化)を認識できる時間であり、例えば1秒以上、望ましくは3〜5秒である。これにより、車両用充電装置1(制御部20及び切替回路22からなる模擬動作手段)は、リリースボタン120が一旦押され、その後戻された状態を車両9の制御装置93に疑似的に検知させる。
【0090】
制御部20は、第2コイル222への電流の供給を遮断した後、直ちにリレー回路21をオン状態とする。また、車両9側でも、リリースボタン120が一旦押されて戻されたと判断し、リレー回路922をオン状態とする。これにより、車両9への充電が再開される。
【0091】
一方、車両9が、充電電流が供給されているとき及びイグニッションスイッチがオンのときに電圧を出力する場合、制御部20は、切替回路22の接続状態を第1の接続状態としたまま、リレー回路21をオン状態とする。これに応じて直流電源923が電源電圧を出力し、充電コネクタ11と車両側コネクタ91との嵌合を検知した車両9はリレー回路922をオン状態とし、車両9への充電が再開される。制御部20は、電流センサ24によって充電が再開されたことを確認し、この充電状態で直流電源923の電圧が出力されたことを第1の電圧計Vによって検知すると、第1コイル221に通電し、切替回路22を第2の接続状態とする。
【0092】
このように、本実施の形態によれば、リリースボタン120が実際には押されていない状態で、車両9にリリースボタン120が押されたと認識させることにより、車両9に異常を報知させることなく、その後に充電を再開できる状態で、充電を中断することができる。また、充電を再開する際には、車両用充電装置1の利用者(車両9の運転者等)による何らかの操作を要することなく、制御部20及び切替回路22の動作によって、充電を再開することができる。
【0093】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について、図6を参照して説明する。図6は、第3の実施の形態に係る車両用充電装置1B、ならびに車両9側の車両側コネクタ91,充電制御回路92,制御装置93,蓄電池94の概略の構成例を示す回路図である。図6において、第1及び第2の実施の形態について説明したものと共通する機能を有する要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0094】
本実施の形態では、切替回路22が、第1コイル221及び第2コイル222に加え、第3コイル223を有している。また、第1〜第6接点22a〜22fに加え、第7接点22g、第8接点22h、第9接点22iを有している。第7接点22gは、第5接点22eと切替回路22内で接続されている。第8接点22hは、切替回路22の内外の他の何れの回路素子にも接続されておらず、電気的にアイソレート(絶縁)されている。第9接点22iには、第6の抵抗器R30の一端が接続されている。
【0095】
本実施の形態に係る切替回路22によれば、第1コイル221及び第2コイル222に通電されたとき、充電コネクタ11の離脱を模擬した状態となるか、リリースボタン120が押されたことを模擬した状態となるかを、第3コイル223の通電又は非通電によって切り替えることが可能となる。第3コイル223の通電時には、第7接点22gが第8接点22hに接続され、この状態で第1コイル221及び第2コイル222に通電されると、充電コネクタ11の離脱を模擬した状態となる。また、第3コイル223の非通電時には、第7接点22gが第9接点22iに接続され、この状態で第1コイル221及び第2コイル222に通電されると、リリースボタン120が押されたことを模擬した状態となる。
【0096】
これにより、例えば車両9の車種によって、第3コイル223に通電するかしないかを切り替えることができる。また、例えばリリースボタン120が押された後に充電コネクタ11が車両側コネクタ91から離脱した状態を模擬することも可能となる。
【0097】
このように、本実施の形態によっても、第1及び第2の実施の形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0098】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0099】
また、本発明は上記第1乃至第3の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。例えば、上記第1乃至第3の実施の形態では、切替回路22の機能を複数のリレー素子によって実現したが、これに限らず、切替回路22の機能をトランジスタ等の半導体スイッチング素子によって実現してもよい。また、上記第1乃至第3の実施の形態では、車両9側における蓄電池94への充電の実行又は停止をリレー回路922の閉成又は開成により切り替える場合について説明したが、これに限らず、例えばパワートランジスタ等の半導体スイッチング素子のオン又はオフにより、充電の実行又は停止を切り替えてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1,1A,1B…車両用充電装置、2…制御部、9…車両、10…装置本体、11…充電コネクタ、12…充電ガン、13…充電ケーブル、14…電源ケーブル、20…制御部(充電手段、模擬動作手段)、21…リレー回路(充電手段)、21a…第1接点部、21b…第2接点部、21c…コイル、22…切替回路(充電手段、模擬動作手段)、22a〜22i…第1〜第9接点、23…電圧出力部、24…電流センサ、90…車体、91…車両側コネクタ、92…充電制御回路、93…制御装置、94…蓄電池、95…インバータ、96…電動機、97…変速機、98…前輪、99…後輪、110…ハウジング、111…L端子、112…N端子、113…GND端子、114…C端子、115…P端子、120…リリースボタン、120a…係止突起、121…スイッチ、121a,121b…接点、140a…電圧線、140b…中性線、140c…グランド線、221…第1コイル、222…第2コイル、223…第3コイル、911〜915…第1〜第5端子(コネクタ端子)、921…整流回路部、922…リレー回路、923…直流電源、924…スイッチ、R…第1の抵抗器、R…第2の抵抗器、R…第3の抵抗器、R30…第6の抵抗器、R…第4の抵抗器、R…第5の抵抗器、Rc…通信用抵抗器、V…第1の電圧計、V…第2の電圧計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ端子から出力される電流の電流値の変化によってコネクタの離脱又は離脱の準備操作が行われたことを検知し、この検知に基づいて蓄電池への充電を停止する車両に対して充電を行う車両用充電装置であって、
前記車両に対して充電を行う充電手段と、
前記コネクタが嵌合され、かつ前記離脱の準備操作が行われていない状態で、前記コネクタ端子から出力される電流の経路を切り替えることにより前記電流値を変化させ、前記車両に前記蓄電池への充電を停止させる模擬動作手段とを有する
車両用充電装置。
【請求項2】
前記模擬動作手段は、前記コネクタ端子から出力される電流の経路を遮断することにより、前記車両に前記コネクタの離脱を検知させる、
請求項1に記載の車両用充電装置。
【請求項3】
前記模擬動作手段は、前記コネクタ端子から出力される電流の電流値が、前記準備操作が行われたときの電流値と等しくなるように前記電流の経路を切り替え、前記車両に前記コネクタの離脱の準備操作を検知させる、
請求項1に記載の車両用充電装置。
【請求項4】
前記模擬動作手段は、前記コネクタ端子から出力される電流の経路を遮断するか、前記コネクタ端子から出力される電流の電流値が、前記準備操作が行われたときの電流値と等しくなるように前記電流の経路を切り替えるかを選択可能である、
請求項1に記載の車両用充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−115850(P2013−115850A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257279(P2011−257279)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】