車両用前照灯
【課題】オーバーヘッドサイン用の配光パターンを高精度に配光制御する。
【解決手段】この発明は、放電灯２と、リフレクタ３と、投影レンズ４と、シェード５と、反射部材６と、を備える。シェード５の窓部１２には、カットオフラインＣＬを形成するエッジ１０が設けられている。反射部材６は、シェード５の窓部１２のエッジ１０に近接して配置されている。反射部材６には、オーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰの一部Ｃ１を抜く開口部１３が設けられている。この結果、この発明は、オーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰを高精度に配光制御することができる。
【解決手段】この発明は、放電灯２と、リフレクタ３と、投影レンズ４と、シェード５と、反射部材６と、を備える。シェード５の窓部１２には、カットオフラインＣＬを形成するエッジ１０が設けられている。反射部材６は、シェード５の窓部１２のエッジ１０に近接して配置されている。反射部材６には、オーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰの一部Ｃ１を抜く開口部１３が設けられている。この結果、この発明は、オーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰを高精度に配光制御することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、カットオフラインを有する配光パターンとオーバーヘッドサイン用の配光パターンとを車両の前方に照射させるプロジェクタタイプの車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
この種の車両用前照灯は、従来からある（たとえば、特許文献１）。以下、従来の車両用前照灯について説明する。従来の車両用前照灯は、リフレクタからの反射光の一部をシェードで遮蔽して、シェードを通過した残りの反射光でカットオフラインを有する配光パターンを形成し、かつ、シェードを通過した残りの反射光の一部をオーバーヘッドサイン用受光面で反射させてオーバーヘッドサイン用の配光パターンを形成するものである。
【０００３】
かかるプロジェクタタイプの車両用前照灯から照射されるオーバーヘッドサイン用の配光パターンにおいては、所定のポイント（図５、図７〜図９、図１１中のポイントＰ１であって、以下、「第１ポイントＰ１」と称する）には光を抜き、また、所定のポイント（図５、図７〜図９、図１１中のポイントＰ２、Ｐ３であって、以下、「第２ポイントＰ２」、「第３ポイントＰ３」と称する）には光を配するようにする必要がある。
【０００４】
このように、かかるプロジェクタタイプの車両用前照灯においては、オーバーヘッドサイン用の配光パターンを高精度に配光制御する必要がある、という課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００８−２１４６３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
この発明が解決しようとする課題は、オーバーヘッドサイン用の配光パターンを高精度に配光制御する必要がある、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
この発明（請求項１にかかる発明）は、光源と、光源からの光を反射させる反射面を有するリフレクタと、反射面からの反射光を前方に投影する投影レンズと、反射面からの反射光の一部を遮蔽して残りの反射光でカットオフラインを有する配光パターンを形成する窓部を有するシェードと、窓部を通過する反射光の一部を反射させてオーバーヘッドサイン用の配光パターンを形成する反射部材と、を備え、窓部には、カットオフラインを形成するエッジが設けられていて、反射部材が、投影レンズとシェードとの間にかつエッジに近接して配置されていて、反射部材には、オーバーヘッドサイン用の配光パターンの一部を抜く開口部が設けられている、ことを特徴とする。
【０００８】
この発明（請求項２にかかる発明）は、開口部の縁のうち、エッジから離れた縁には、一部が抜かれたオーバーヘッドサイン用の配光パターンの一部をさらに抜く切欠が設けられている、ことを特徴とする。
【０００９】
この発明（請求項３にかかる発明）は、開口部の縁のうち、エッジに近い縁には、窓部を通過しかつ開口部を通過する反射光の一部であって、投影レンズに入射する反射光を遮蔽する遮蔽部が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
この発明（請求項１にかかる発明）の車両用前照灯は、シェードの窓部によりカットオフラインを有する配光パターンを形成し、かつ、反射部材によりオーバーヘッドサイン用の配光パターンを形成することができる。
【００１１】
特に、この発明（請求項１にかかる発明）の車両用前照灯は、反射部材をシェードの窓部のエッジに近接することにより、オーバーヘッドサイン用の配光パターンの下側縁を配光パターンの上側縁のカットオフラインに近づけることができるので、オーバーヘッドサイン用の配光パターンで所定のポイント（第１ポイントＰ１および第２ポイントＰ２および第３ポイントＰ３）に光を配することができる。また、この発明（請求項１にかかる発明）の車両用前照灯は、反射部材に開口部を設けることにより、オーバーヘッドサイン用の配光パターンのうち所定のポイント（第１ポイントＰ１）の光を抜くことができる。この結果、この発明（請求項１にかかる発明）の車両用前照灯は、オーバーヘッドサイン用の配光パターンを高精度に配光制御することができる。
【００１２】
この発明（請求項２にかかる発明）の車両用前照灯は、反射部材の開口部の縁に切欠を設けることにより、オーバーヘッドサイン用の配光パターンのうち所定のポイント（第１ポイントＰ１）の光をさらに抜くことができる。この結果、この発明（請求項２にかかる発明）の車両用前照灯は、オーバーヘッドサイン用の配光パターンをさらに高精度に配光制御することができる。
【００１３】
この発明（請求項３にかかる発明）の車両用前照灯は、反射部材の開口部の縁に設けた遮蔽部により、シェードの窓部を通過しかつ反射部材の開口部を通過する反射光の一部であって、投影レンズに入射する反射光を遮蔽することができる。この結果、この発明（請求項３にかかる発明）の車両用前照灯は、シェードの窓部を通過しかつ反射部材の開口部を通過して投影レンズに入射する反射光による迷光を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】図１は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例１を示す縦断面図（垂直断面図）である。
【図２】図２は、同じく、シェードおよび反射部材の正面図（図１におけるＩＩ矢視図）である。
【図３】図３は、同じく、反射部材の拡大正面図である。
【図４】図４は、同じく、反射部材の拡大平面図（図３におけるＩＶ矢視図）である。
【図５】図５は、同じく、スクリーン上における配光パターンを示す説明図である。
【図６】図６は、開口部が設けられていない反射部材の拡大平面図である。
【図７】図７は、図６に示す反射部材により形成されるオーバーヘッドサイン用の配光パターンをスクリーン上において示す説明図である。
【図８】図８は、図６に示す反射部材をシェードの窓部のエッジに近接させた場合のオーバーヘッドサイン用の配光パターンをスクリーン上において示す説明図である。
【図９】図９は、図６に示す反射部材に開口部を設けた場合（実施例２）のオーバーヘッドサイン用の配光パターンと、図６に示す反射部材に開口部および切欠を設けた場合（実施例１）のオーバーヘッドサイン用の配光パターンと、をスクリーン上において示す説明図である。
【図１０】図１０は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例２を示す反射部材の拡大平面図である。
【図１１】図１１は、同じく、スクリーン上における配光パターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００１５】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施例のうちの２例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図５、図７〜図９、図１１において、符号「ＶＵ−ＶＤ」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「ＨＬ−ＨＲ」は、スクリーンの左右の水平線を示す。また、この明細書あるいは特許請求の範囲において、「上、下、前、後、左、右」は、この発明にかかる車両用灯具を車両に装備した際の「上、下、前、後、左、右」である。
【実施例１】
【００１６】
（構成の説明）
図１〜図９は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例１を示す。以下、この実施例１にかかる車両用前照灯の構成について説明する。図１において、符号１は、この実施例１にかかるプロジェクタタイプの車両用前照灯（たとえば、ヘッドランプやフォグランプなど）である。前記車両用前照灯１は、自動車（車両）の前部の左右にそれぞれ装備される。前記車両用前照灯１は、左側通行用の車両用前照灯である。
【００１７】
前記車両用前照灯１は、図１に示すように、光源としての放電灯２と、リフレクタ３と、投影レンズ（集光レンズ、凸レンズ）４と、シェード５と、反射部材６と、取付ブラケット７（フレーム）と、ランプハウジング（図示せず）と、図示しないランプレンズ（たとえば、素通しのアウターレンズなど）と、を備えるものである。
【００１８】
前記放電灯２および前記リフレクタ３および前記投影レンズ４および前記シェード５および前記反射部材６および前記取付ブラケット７は、プロジェクタランプユニットを構成する。前記プロジェクタランプユニットは、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室（図示せず）内に、たとえば光軸調整機構（図示せず）を介して配置されている。
【００１９】
前記放電灯２は、メタルハライドランプなどの高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯（ＨＩＤ）などの放電灯である。前記放電灯２は、前記リフレクタ３にソケット８を介して着脱可能に取り付けられている。なお、前記放電灯２以外に、ハロゲン電球、白熱電球を使用しても良い。
【００２０】
前記リフレクタ３は、前側（前記車両用前照灯１の光の照射方向側）が開口し、かつ、後側が閉塞した中空の凹形状をなす。前記リフレクタ３の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、反射面９が形成されている。前記反射面９は、前記放電灯２から放射される光を前記シェード５および前記反射部材６および前記投影レンズ４側に反射させるものである。前記反射面９は、楕円反射面である。すなわち、前記反射面９は、楕円を基本（基準、基調）とする自由曲面（ＮＵＲＢＳ曲面）の反射面である。
【００２１】
前記リフレクタ３の後側の閉塞部のうち、前記反射面９の光軸Ｚ−Ｚが交差する箇所には、透孔１１が設けられている。前記放電灯２が前記透孔１１中から前記リフレクタ３内に挿入された状態で、前記ソケット８が前記透孔１１の縁に着脱可能に取り付けられている。この結果、前記放電灯２は、前記リフレクタ３に前記ソケット８を介して着脱可能に取り付けられている。
【００２２】
前記投影レンズ４は、非球面レンズの凸レンズである。前記投影レンズ４の前方側は、凸非球面をなし、一方、前記投影レンズ４の後方側は、平非球面（平面）をなす。前記投影レンズ４のレンズ軸は、前記反射面９の光軸Ｚ−Ｚと一致（ほぼ一致も含む）する。前記投影レンズ４は、前記反射面９からの反射光を前方に投影する。
【００２３】
前記シェード５および前記反射部材６は、製造コストが安価である板部材（たとえば、薄鋼板）からなる。前記シェード５と前記反射部材６とは、適宜固定手段（ボルトナット、スクリュー、加締め付け、溶接など）により、固定されている。前記シェード５は、前記リフレクタ３の前側の開口部全体を覆う板形状をなす。前記シェード５は、前記リフレクタ３と前記投影レンズ４との間に配置されている。図１、図２に示すように、前記シェード５の中央部（中央部から上部にかけて）には、横長の長方形形状の窓部１２が設けられている。前記シェード５は、前記反射面９からの反射光の一部を遮蔽し、前記窓部１２を通過して遮蔽されなかった残りの反射光Ｌ１で、カットオフラインＣＬを有する配光パターン（以下、「ロービーム用配光パターン」と称する）ＬＰを形成する。
【００２４】
前記窓部１２の下側縁すなわちエッジ１０は、前記ロービーム用配光パターンＬＰの前記カットオフラインＣＬを形成する。前記窓部１２は、前記ロービーム用配光パターンＬＰを形成する。
【００２５】
前記反射部材６は、前記投影レンズ４と前記シェード５との間に配置されている。前記反射部材６は、図３、図４に示すように、薄鋼板を折り曲げた一方の反射部１４と他方の固定部１５とからなる。前記固定部１５は、正面から見て左右の横長の長方形状をなす。前記反射部材６の前記固定部１５は、前記シェード５の正面（前側の面）の前記窓部１２よりも下側の箇所に、前記シェード５の前記窓部１２のエッジ１０に近接して固定されている。
【００２６】
前記反射部材６の前記反射部１４は、平面から見て左右が前記固定部１５より短い長方形状をなす。前記反射部材６の前記反射部１４は、前記シェード５の正面の前記窓部１２よりも下側の箇所で、前記シェード５の前記窓部１２のエッジ１０に近接した箇所から前方側に向けて斜め下方に延設されている。
【００２７】
前記反射部材６の前記反射部１４の前記投影レンズ４と対向する面には、反射面が設けられている。前記反射部材６の前記反射部１４は、前記シェード５の前記窓部１２を通過する反射光の一部Ｌ２を前記投影レンズ４側に反射させ前記投影レンズ４を透過させて、前記ロービーム用配光パターンＬＰを反転させた形状のオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ２（図８参照）を形成する。
【００２８】
前記反射部材６の前記反射部１４には、図８の前記オーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ２の一部Ｃ１（図９参照）を抜く開口部１３が設けられている。
【００２９】
前記反射部材６の前記反射部１４の前記開口部１３の縁のうち、前記シェード５の前記窓部１２の前記エッジ１０から離れた縁の一方側には、一部Ｃ１が抜かれた前記オーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３の一部Ｃ２（図９参照）をさらに抜く切欠１６が設けられている。
【００３０】
前記反射部材６の前記反射部１４の前記開口部１３の縁のうち、前記シェード５の前記窓部１２の前記エッジ１０に近い縁には、前記シェード５の前記窓部１２を通過しかつ前記反射部材６の前記反射部１４の前記開口部１３を通過する反射光の一部Ｌ３であって、前記投影レンズ４に入射する反射光Ｌ４（図１中の破線矢印で示す反射光）を遮蔽する遮蔽部１７が設けられている。
【００３１】
（作用の説明）
この実施例１における車両用前照灯１は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【００３２】
プロジェクタランプユニットの放電灯２を点灯する。すると、放電灯２から放射される光は、リフレクタ３の反射面９でシェード５および反射部材６および投影レンズ４側に反射される。
【００３３】
すると、反射面９からの反射光の一部（図示せず）は、シェード５により遮蔽される。一方、図１に示すように、シェード５の窓部１２を通過してシェード５で遮蔽されなかった反射面９からの反射光の大部分Ｌ１は、投影レンズ４を透過して、図５に示すカットオフラインＣＬを有するロービーム用配光パターンＬＰを形成して、車両の前方に照射される。
【００３４】
また、図１に示すように、シェード５の窓部１２を通過してシェード５で遮蔽されなかった反射面９からの反射光の一部Ｌ２は、反射部材６の反射部１４で投影レンズ４側に反射されて、投影レンズ４を透過して、図５に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰを形成して、車両の前方に照射される。
【００３５】
さらに、図１に示すように、シェード５の窓部１２を通過しかつ反射部材６の反射部１４の開口部１３を通過する反射光の一部Ｌ３であって、投影レンズ４に入射する反射光Ｌ４は、反射部材６の遮蔽部１７により遮蔽される。
【００３６】
（効果の説明）
この実施例１における車両用前照灯１は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【００３７】
この実施例１における車両用前照灯１は、図５に示すように、シェード５の窓部１２によりカットオフラインＣＬを有するロービーム用配光パターンＬＰを形成し、かつ、反射部材６の反射部１４によりオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰを形成することができる。
【００３８】
この実施例１における車両用前照灯１から照射されるオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰは、図５に示すように、所定のポイント（第１ポイントＰ１）の光を抜き、かつ、所定のポイント（第２ポイントＰ２および第３ポイントＰ３）に光を配することができる。
【００３９】
これに対して、図６に示す反射部材６００、すなわち、反射部１４０に開口部１３および切欠１６が設けられていない反射部材６００であって、シェード５の窓部１２のエッジ１０から若干離れた位置に配置されている反射部材６００の場合について以下説明する。この場合においては、図７に示すように、反射面９からの反射光の一部Ｌ２が反射部材６００の反射部１４０で反射されることにより、ロービーム用配光パターンＬＰを反転させた形状のオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ１が形成される。このオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ１の下側縁は、ロービーム用配光パターンＬＰの上側縁のカットオフラインＣＬより上方に離れている。このために、このオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ１では、所定のポイントの第１ポイントＰ１および第２ポイントＰ２および第３ポイントＰ３の全てにおいて、光が抜けている。すなわち、光を配する第２ポイントＰ２および第３ポイントＰ３において光が抜けている。
【００４０】
そこで、この実施例１における車両用前照灯１は、図６に示す反射部材６００をシェード５の窓部１２のエッジ１０に近づける。すると、図７に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ１（図８中において、破線で示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ１）は、図８に示すように、下方に下がったオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ２となる。この図８に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ２の下側縁は、下がって、ロービーム用配光パターンＬＰの上側縁のカットオフラインＣＬに近接する。このために、このオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ２では、所定のポイントの第１ポイントＰ１および第２ポイントＰ２および第３ポイントＰ３の全てにおいて、光が配されている。すなわち、光を抜く第１ポイントＰ１において光が配されている。
【００４１】
そして、この実施例１における車両用前照灯１は、反射部材６の反射部１４に開口部１３を設けることにより、図８および図９に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ２のうち所定の第１ポイントＰ１に配されている一部Ｃ１を抜いたオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３（図９中において、一点鎖線で示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３）が形成される。このオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３は、所定のポイントの第１ポイントＰ１において光が抜けていて、かつ、所定のポイントの第２ポイントＰ２および第３ポイントＰ３において光が配されている。この結果、この実施例１における車両用前照灯１は、オーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３を高精度に配光制御することができる。
【００４２】
さらに、この実施例１における車両用前照灯１は、反射部材６の反射部１４の開口部１３の縁（シェード５の窓部１２のエッジ１０から離れた縁）に切欠１６を設けることにより、図９の一点鎖線で示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３のうち所定の第１ポイントＰ１に近接している一部Ｃ２を抜いたオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ（図９中において、破線で示すオーバーヘッドサイン用配光パターンＯＳＰ、すなわち、図５に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ）が形成される。このオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰは、所定の第１ポイントＰ１の付近の光をさらに抜くことができる。この結果、この実施例１における車両用前照灯１は、オーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰをさらに高精度に配光制御することができる。
【００４３】
さらにまた、この実施例１における車両用前照灯１は、反射部材６の反射部１４の開口部１３の縁（シェード５の窓部１２のエッジ１０に近い縁）に設けた遮蔽部１７により、シェード５の窓部１２を通過しかつ反射部材６の反射部１４の開口部１３を通過する反射光の一部Ｌ３であって、投影レンズ４に入射する反射光Ｌ４を遮蔽することができる。この結果、この実施例１における車両用前照灯１は、シェード５の窓部１２を通過しかつ反射部材６の反射部１４の開口部１３を通過して投影レンズ４に入射する反射光Ｌ４による迷光を確実に防止することができる。
【実施例２】
【００４４】
（実施例２の説明）
図１０、図１１は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例２を示す。以下、この実施例２における車両用前照灯について説明する。図中、図１〜図９と同符号は、同一のものを示す。
【００４５】
前記の実施例１の車両用前照灯１は、反射部材６の反射部１４の開口部１３の縁（シェード５の窓部１２のエッジ１０から離れた縁）に切欠１６を設けるものである。この実施例２の車両用前照灯は、反射部材６の反射部１４の開口部１３の縁に切欠１６を設けないものである。
【００４６】
この実施例２の車両用前照灯は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例１の車両用前照灯１とほぼ同様の作用効果を達成することができる。この実施例２の車両用前照灯は、図１１に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３を照射することができる。この図１１に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３は、前記の実施例１の車両用前照灯１により照射されるオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ（図１１中において、破線で示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ）と比較して、下側縁が所定の第１ポイントＰ１に近い。
【符号の説明】
【００４７】
１ 車両用前照灯
２ 放電灯（光源）
３ リフレクタ
４ 投影レンズ
５ シェード
６、６００ 反射部材
７ 取付ブラケット
８ ソケット
９ 反射面
１０ エッジ
１１ 透孔
１２ 窓部
１３ 開口部
１４、１４０ 反射部
１５ 固定部
１６ 切欠
１７ 遮蔽部
Ｚ−Ｚ 光軸
ＬＰ ロービーム用配光パターン
ＣＬ カットオフライン
ＯＳＰ、ＯＳＰ１、ＯＳＰ２、ＯＳＰ３ オーバーヘッドサイン用の配光パターン
Ｌ１〜Ｌ４ 反射光
Ｃ１、Ｃ２ オーバーヘッドサイン用の配光パターンのうち光が抜かれる部分
【技術分野】
【０００１】
この発明は、カットオフラインを有する配光パターンとオーバーヘッドサイン用の配光パターンとを車両の前方に照射させるプロジェクタタイプの車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
この種の車両用前照灯は、従来からある（たとえば、特許文献１）。以下、従来の車両用前照灯について説明する。従来の車両用前照灯は、リフレクタからの反射光の一部をシェードで遮蔽して、シェードを通過した残りの反射光でカットオフラインを有する配光パターンを形成し、かつ、シェードを通過した残りの反射光の一部をオーバーヘッドサイン用受光面で反射させてオーバーヘッドサイン用の配光パターンを形成するものである。
【０００３】
かかるプロジェクタタイプの車両用前照灯から照射されるオーバーヘッドサイン用の配光パターンにおいては、所定のポイント（図５、図７〜図９、図１１中のポイントＰ１であって、以下、「第１ポイントＰ１」と称する）には光を抜き、また、所定のポイント（図５、図７〜図９、図１１中のポイントＰ２、Ｐ３であって、以下、「第２ポイントＰ２」、「第３ポイントＰ３」と称する）には光を配するようにする必要がある。
【０００４】
このように、かかるプロジェクタタイプの車両用前照灯においては、オーバーヘッドサイン用の配光パターンを高精度に配光制御する必要がある、という課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００８−２１４６３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
この発明が解決しようとする課題は、オーバーヘッドサイン用の配光パターンを高精度に配光制御する必要がある、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
この発明（請求項１にかかる発明）は、光源と、光源からの光を反射させる反射面を有するリフレクタと、反射面からの反射光を前方に投影する投影レンズと、反射面からの反射光の一部を遮蔽して残りの反射光でカットオフラインを有する配光パターンを形成する窓部を有するシェードと、窓部を通過する反射光の一部を反射させてオーバーヘッドサイン用の配光パターンを形成する反射部材と、を備え、窓部には、カットオフラインを形成するエッジが設けられていて、反射部材が、投影レンズとシェードとの間にかつエッジに近接して配置されていて、反射部材には、オーバーヘッドサイン用の配光パターンの一部を抜く開口部が設けられている、ことを特徴とする。
【０００８】
この発明（請求項２にかかる発明）は、開口部の縁のうち、エッジから離れた縁には、一部が抜かれたオーバーヘッドサイン用の配光パターンの一部をさらに抜く切欠が設けられている、ことを特徴とする。
【０００９】
この発明（請求項３にかかる発明）は、開口部の縁のうち、エッジに近い縁には、窓部を通過しかつ開口部を通過する反射光の一部であって、投影レンズに入射する反射光を遮蔽する遮蔽部が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
この発明（請求項１にかかる発明）の車両用前照灯は、シェードの窓部によりカットオフラインを有する配光パターンを形成し、かつ、反射部材によりオーバーヘッドサイン用の配光パターンを形成することができる。
【００１１】
特に、この発明（請求項１にかかる発明）の車両用前照灯は、反射部材をシェードの窓部のエッジに近接することにより、オーバーヘッドサイン用の配光パターンの下側縁を配光パターンの上側縁のカットオフラインに近づけることができるので、オーバーヘッドサイン用の配光パターンで所定のポイント（第１ポイントＰ１および第２ポイントＰ２および第３ポイントＰ３）に光を配することができる。また、この発明（請求項１にかかる発明）の車両用前照灯は、反射部材に開口部を設けることにより、オーバーヘッドサイン用の配光パターンのうち所定のポイント（第１ポイントＰ１）の光を抜くことができる。この結果、この発明（請求項１にかかる発明）の車両用前照灯は、オーバーヘッドサイン用の配光パターンを高精度に配光制御することができる。
【００１２】
この発明（請求項２にかかる発明）の車両用前照灯は、反射部材の開口部の縁に切欠を設けることにより、オーバーヘッドサイン用の配光パターンのうち所定のポイント（第１ポイントＰ１）の光をさらに抜くことができる。この結果、この発明（請求項２にかかる発明）の車両用前照灯は、オーバーヘッドサイン用の配光パターンをさらに高精度に配光制御することができる。
【００１３】
この発明（請求項３にかかる発明）の車両用前照灯は、反射部材の開口部の縁に設けた遮蔽部により、シェードの窓部を通過しかつ反射部材の開口部を通過する反射光の一部であって、投影レンズに入射する反射光を遮蔽することができる。この結果、この発明（請求項３にかかる発明）の車両用前照灯は、シェードの窓部を通過しかつ反射部材の開口部を通過して投影レンズに入射する反射光による迷光を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】図１は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例１を示す縦断面図（垂直断面図）である。
【図２】図２は、同じく、シェードおよび反射部材の正面図（図１におけるＩＩ矢視図）である。
【図３】図３は、同じく、反射部材の拡大正面図である。
【図４】図４は、同じく、反射部材の拡大平面図（図３におけるＩＶ矢視図）である。
【図５】図５は、同じく、スクリーン上における配光パターンを示す説明図である。
【図６】図６は、開口部が設けられていない反射部材の拡大平面図である。
【図７】図７は、図６に示す反射部材により形成されるオーバーヘッドサイン用の配光パターンをスクリーン上において示す説明図である。
【図８】図８は、図６に示す反射部材をシェードの窓部のエッジに近接させた場合のオーバーヘッドサイン用の配光パターンをスクリーン上において示す説明図である。
【図９】図９は、図６に示す反射部材に開口部を設けた場合（実施例２）のオーバーヘッドサイン用の配光パターンと、図６に示す反射部材に開口部および切欠を設けた場合（実施例１）のオーバーヘッドサイン用の配光パターンと、をスクリーン上において示す説明図である。
【図１０】図１０は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例２を示す反射部材の拡大平面図である。
【図１１】図１１は、同じく、スクリーン上における配光パターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００１５】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施例のうちの２例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図５、図７〜図９、図１１において、符号「ＶＵ−ＶＤ」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「ＨＬ−ＨＲ」は、スクリーンの左右の水平線を示す。また、この明細書あるいは特許請求の範囲において、「上、下、前、後、左、右」は、この発明にかかる車両用灯具を車両に装備した際の「上、下、前、後、左、右」である。
【実施例１】
【００１６】
（構成の説明）
図１〜図９は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例１を示す。以下、この実施例１にかかる車両用前照灯の構成について説明する。図１において、符号１は、この実施例１にかかるプロジェクタタイプの車両用前照灯（たとえば、ヘッドランプやフォグランプなど）である。前記車両用前照灯１は、自動車（車両）の前部の左右にそれぞれ装備される。前記車両用前照灯１は、左側通行用の車両用前照灯である。
【００１７】
前記車両用前照灯１は、図１に示すように、光源としての放電灯２と、リフレクタ３と、投影レンズ（集光レンズ、凸レンズ）４と、シェード５と、反射部材６と、取付ブラケット７（フレーム）と、ランプハウジング（図示せず）と、図示しないランプレンズ（たとえば、素通しのアウターレンズなど）と、を備えるものである。
【００１８】
前記放電灯２および前記リフレクタ３および前記投影レンズ４および前記シェード５および前記反射部材６および前記取付ブラケット７は、プロジェクタランプユニットを構成する。前記プロジェクタランプユニットは、前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズにより区画されている灯室（図示せず）内に、たとえば光軸調整機構（図示せず）を介して配置されている。
【００１９】
前記放電灯２は、メタルハライドランプなどの高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯（ＨＩＤ）などの放電灯である。前記放電灯２は、前記リフレクタ３にソケット８を介して着脱可能に取り付けられている。なお、前記放電灯２以外に、ハロゲン電球、白熱電球を使用しても良い。
【００２０】
前記リフレクタ３は、前側（前記車両用前照灯１の光の照射方向側）が開口し、かつ、後側が閉塞した中空の凹形状をなす。前記リフレクタ３の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、反射面９が形成されている。前記反射面９は、前記放電灯２から放射される光を前記シェード５および前記反射部材６および前記投影レンズ４側に反射させるものである。前記反射面９は、楕円反射面である。すなわち、前記反射面９は、楕円を基本（基準、基調）とする自由曲面（ＮＵＲＢＳ曲面）の反射面である。
【００２１】
前記リフレクタ３の後側の閉塞部のうち、前記反射面９の光軸Ｚ−Ｚが交差する箇所には、透孔１１が設けられている。前記放電灯２が前記透孔１１中から前記リフレクタ３内に挿入された状態で、前記ソケット８が前記透孔１１の縁に着脱可能に取り付けられている。この結果、前記放電灯２は、前記リフレクタ３に前記ソケット８を介して着脱可能に取り付けられている。
【００２２】
前記投影レンズ４は、非球面レンズの凸レンズである。前記投影レンズ４の前方側は、凸非球面をなし、一方、前記投影レンズ４の後方側は、平非球面（平面）をなす。前記投影レンズ４のレンズ軸は、前記反射面９の光軸Ｚ−Ｚと一致（ほぼ一致も含む）する。前記投影レンズ４は、前記反射面９からの反射光を前方に投影する。
【００２３】
前記シェード５および前記反射部材６は、製造コストが安価である板部材（たとえば、薄鋼板）からなる。前記シェード５と前記反射部材６とは、適宜固定手段（ボルトナット、スクリュー、加締め付け、溶接など）により、固定されている。前記シェード５は、前記リフレクタ３の前側の開口部全体を覆う板形状をなす。前記シェード５は、前記リフレクタ３と前記投影レンズ４との間に配置されている。図１、図２に示すように、前記シェード５の中央部（中央部から上部にかけて）には、横長の長方形形状の窓部１２が設けられている。前記シェード５は、前記反射面９からの反射光の一部を遮蔽し、前記窓部１２を通過して遮蔽されなかった残りの反射光Ｌ１で、カットオフラインＣＬを有する配光パターン（以下、「ロービーム用配光パターン」と称する）ＬＰを形成する。
【００２４】
前記窓部１２の下側縁すなわちエッジ１０は、前記ロービーム用配光パターンＬＰの前記カットオフラインＣＬを形成する。前記窓部１２は、前記ロービーム用配光パターンＬＰを形成する。
【００２５】
前記反射部材６は、前記投影レンズ４と前記シェード５との間に配置されている。前記反射部材６は、図３、図４に示すように、薄鋼板を折り曲げた一方の反射部１４と他方の固定部１５とからなる。前記固定部１５は、正面から見て左右の横長の長方形状をなす。前記反射部材６の前記固定部１５は、前記シェード５の正面（前側の面）の前記窓部１２よりも下側の箇所に、前記シェード５の前記窓部１２のエッジ１０に近接して固定されている。
【００２６】
前記反射部材６の前記反射部１４は、平面から見て左右が前記固定部１５より短い長方形状をなす。前記反射部材６の前記反射部１４は、前記シェード５の正面の前記窓部１２よりも下側の箇所で、前記シェード５の前記窓部１２のエッジ１０に近接した箇所から前方側に向けて斜め下方に延設されている。
【００２７】
前記反射部材６の前記反射部１４の前記投影レンズ４と対向する面には、反射面が設けられている。前記反射部材６の前記反射部１４は、前記シェード５の前記窓部１２を通過する反射光の一部Ｌ２を前記投影レンズ４側に反射させ前記投影レンズ４を透過させて、前記ロービーム用配光パターンＬＰを反転させた形状のオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ２（図８参照）を形成する。
【００２８】
前記反射部材６の前記反射部１４には、図８の前記オーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ２の一部Ｃ１（図９参照）を抜く開口部１３が設けられている。
【００２９】
前記反射部材６の前記反射部１４の前記開口部１３の縁のうち、前記シェード５の前記窓部１２の前記エッジ１０から離れた縁の一方側には、一部Ｃ１が抜かれた前記オーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３の一部Ｃ２（図９参照）をさらに抜く切欠１６が設けられている。
【００３０】
前記反射部材６の前記反射部１４の前記開口部１３の縁のうち、前記シェード５の前記窓部１２の前記エッジ１０に近い縁には、前記シェード５の前記窓部１２を通過しかつ前記反射部材６の前記反射部１４の前記開口部１３を通過する反射光の一部Ｌ３であって、前記投影レンズ４に入射する反射光Ｌ４（図１中の破線矢印で示す反射光）を遮蔽する遮蔽部１７が設けられている。
【００３１】
（作用の説明）
この実施例１における車両用前照灯１は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【００３２】
プロジェクタランプユニットの放電灯２を点灯する。すると、放電灯２から放射される光は、リフレクタ３の反射面９でシェード５および反射部材６および投影レンズ４側に反射される。
【００３３】
すると、反射面９からの反射光の一部（図示せず）は、シェード５により遮蔽される。一方、図１に示すように、シェード５の窓部１２を通過してシェード５で遮蔽されなかった反射面９からの反射光の大部分Ｌ１は、投影レンズ４を透過して、図５に示すカットオフラインＣＬを有するロービーム用配光パターンＬＰを形成して、車両の前方に照射される。
【００３４】
また、図１に示すように、シェード５の窓部１２を通過してシェード５で遮蔽されなかった反射面９からの反射光の一部Ｌ２は、反射部材６の反射部１４で投影レンズ４側に反射されて、投影レンズ４を透過して、図５に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰを形成して、車両の前方に照射される。
【００３５】
さらに、図１に示すように、シェード５の窓部１２を通過しかつ反射部材６の反射部１４の開口部１３を通過する反射光の一部Ｌ３であって、投影レンズ４に入射する反射光Ｌ４は、反射部材６の遮蔽部１７により遮蔽される。
【００３６】
（効果の説明）
この実施例１における車両用前照灯１は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【００３７】
この実施例１における車両用前照灯１は、図５に示すように、シェード５の窓部１２によりカットオフラインＣＬを有するロービーム用配光パターンＬＰを形成し、かつ、反射部材６の反射部１４によりオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰを形成することができる。
【００３８】
この実施例１における車両用前照灯１から照射されるオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰは、図５に示すように、所定のポイント（第１ポイントＰ１）の光を抜き、かつ、所定のポイント（第２ポイントＰ２および第３ポイントＰ３）に光を配することができる。
【００３９】
これに対して、図６に示す反射部材６００、すなわち、反射部１４０に開口部１３および切欠１６が設けられていない反射部材６００であって、シェード５の窓部１２のエッジ１０から若干離れた位置に配置されている反射部材６００の場合について以下説明する。この場合においては、図７に示すように、反射面９からの反射光の一部Ｌ２が反射部材６００の反射部１４０で反射されることにより、ロービーム用配光パターンＬＰを反転させた形状のオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ１が形成される。このオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ１の下側縁は、ロービーム用配光パターンＬＰの上側縁のカットオフラインＣＬより上方に離れている。このために、このオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ１では、所定のポイントの第１ポイントＰ１および第２ポイントＰ２および第３ポイントＰ３の全てにおいて、光が抜けている。すなわち、光を配する第２ポイントＰ２および第３ポイントＰ３において光が抜けている。
【００４０】
そこで、この実施例１における車両用前照灯１は、図６に示す反射部材６００をシェード５の窓部１２のエッジ１０に近づける。すると、図７に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ１（図８中において、破線で示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ１）は、図８に示すように、下方に下がったオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ２となる。この図８に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ２の下側縁は、下がって、ロービーム用配光パターンＬＰの上側縁のカットオフラインＣＬに近接する。このために、このオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ２では、所定のポイントの第１ポイントＰ１および第２ポイントＰ２および第３ポイントＰ３の全てにおいて、光が配されている。すなわち、光を抜く第１ポイントＰ１において光が配されている。
【００４１】
そして、この実施例１における車両用前照灯１は、反射部材６の反射部１４に開口部１３を設けることにより、図８および図９に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ２のうち所定の第１ポイントＰ１に配されている一部Ｃ１を抜いたオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３（図９中において、一点鎖線で示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３）が形成される。このオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３は、所定のポイントの第１ポイントＰ１において光が抜けていて、かつ、所定のポイントの第２ポイントＰ２および第３ポイントＰ３において光が配されている。この結果、この実施例１における車両用前照灯１は、オーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３を高精度に配光制御することができる。
【００４２】
さらに、この実施例１における車両用前照灯１は、反射部材６の反射部１４の開口部１３の縁（シェード５の窓部１２のエッジ１０から離れた縁）に切欠１６を設けることにより、図９の一点鎖線で示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３のうち所定の第１ポイントＰ１に近接している一部Ｃ２を抜いたオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ（図９中において、破線で示すオーバーヘッドサイン用配光パターンＯＳＰ、すなわち、図５に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ）が形成される。このオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰは、所定の第１ポイントＰ１の付近の光をさらに抜くことができる。この結果、この実施例１における車両用前照灯１は、オーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰをさらに高精度に配光制御することができる。
【００４３】
さらにまた、この実施例１における車両用前照灯１は、反射部材６の反射部１４の開口部１３の縁（シェード５の窓部１２のエッジ１０に近い縁）に設けた遮蔽部１７により、シェード５の窓部１２を通過しかつ反射部材６の反射部１４の開口部１３を通過する反射光の一部Ｌ３であって、投影レンズ４に入射する反射光Ｌ４を遮蔽することができる。この結果、この実施例１における車両用前照灯１は、シェード５の窓部１２を通過しかつ反射部材６の反射部１４の開口部１３を通過して投影レンズ４に入射する反射光Ｌ４による迷光を確実に防止することができる。
【実施例２】
【００４４】
（実施例２の説明）
図１０、図１１は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例２を示す。以下、この実施例２における車両用前照灯について説明する。図中、図１〜図９と同符号は、同一のものを示す。
【００４５】
前記の実施例１の車両用前照灯１は、反射部材６の反射部１４の開口部１３の縁（シェード５の窓部１２のエッジ１０から離れた縁）に切欠１６を設けるものである。この実施例２の車両用前照灯は、反射部材６の反射部１４の開口部１３の縁に切欠１６を設けないものである。
【００４６】
この実施例２の車両用前照灯は、以上のごとき構成からなるので、前記の実施例１の車両用前照灯１とほぼ同様の作用効果を達成することができる。この実施例２の車両用前照灯は、図１１に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３を照射することができる。この図１１に示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ３は、前記の実施例１の車両用前照灯１により照射されるオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ（図１１中において、破線で示すオーバーヘッドサイン用の配光パターンＯＳＰ）と比較して、下側縁が所定の第１ポイントＰ１に近い。
【符号の説明】
【００４７】
１ 車両用前照灯
２ 放電灯（光源）
３ リフレクタ
４ 投影レンズ
５ シェード
６、６００ 反射部材
７ 取付ブラケット
８ ソケット
９ 反射面
１０ エッジ
１１ 透孔
１２ 窓部
１３ 開口部
１４、１４０ 反射部
１５ 固定部
１６ 切欠
１７ 遮蔽部
Ｚ−Ｚ 光軸
ＬＰ ロービーム用配光パターン
ＣＬ カットオフライン
ＯＳＰ、ＯＳＰ１、ＯＳＰ２、ＯＳＰ３ オーバーヘッドサイン用の配光パターン
Ｌ１〜Ｌ４ 反射光
Ｃ１、Ｃ２ オーバーヘッドサイン用の配光パターンのうち光が抜かれる部分
【特許請求の範囲】
【請求項１】
カットオフラインを有する配光パターンとオーバーヘッドサイン用の配光パターンとを車両の前方に照射させるプロジェクタタイプの車両用前照灯において、
光源と、
前記光源からの光を反射させる反射面を有するリフレクタと、
前記反射面からの反射光を前方に投影する投影レンズと、
前記反射面からの反射光の一部を遮蔽して残りの反射光で前記カットオフラインを有する配光パターンを形成する窓部を有するシェードと、
前記窓部を通過する反射光の一部を反射させて前記オーバーヘッドサイン用の配光パターンを形成する反射部材と、
を備え、
前記窓部には、前記カットオフラインを形成するエッジが設けられていて、
前記反射部材は、前記投影レンズと前記シェードとの間にかつ前記エッジに近接して配置されていて、
前記反射部材には、前記オーバーヘッドサイン用の配光パターンの一部を抜く開口部が設けられている、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項２】
前記開口部の縁のうち、前記エッジから離れた縁には、一部が抜かれた前記オーバーヘッドサイン用の配光パターンの一部をさらに抜く切欠が設けられている、
ことを特徴とする請求項１に記載の車両用前照灯。
【請求項３】
前記開口部の縁のうち、前記エッジに近い縁には、前記窓部を通過しかつ前記開口部を通過する反射光の一部であって、前記投影レンズに入射する反射光を遮蔽する遮蔽部が設けられている、
ことを特徴とする請求項１または２に記載の車両用前照灯。
【請求項１】
カットオフラインを有する配光パターンとオーバーヘッドサイン用の配光パターンとを車両の前方に照射させるプロジェクタタイプの車両用前照灯において、
光源と、
前記光源からの光を反射させる反射面を有するリフレクタと、
前記反射面からの反射光を前方に投影する投影レンズと、
前記反射面からの反射光の一部を遮蔽して残りの反射光で前記カットオフラインを有する配光パターンを形成する窓部を有するシェードと、
前記窓部を通過する反射光の一部を反射させて前記オーバーヘッドサイン用の配光パターンを形成する反射部材と、
を備え、
前記窓部には、前記カットオフラインを形成するエッジが設けられていて、
前記反射部材は、前記投影レンズと前記シェードとの間にかつ前記エッジに近接して配置されていて、
前記反射部材には、前記オーバーヘッドサイン用の配光パターンの一部を抜く開口部が設けられている、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項２】
前記開口部の縁のうち、前記エッジから離れた縁には、一部が抜かれた前記オーバーヘッドサイン用の配光パターンの一部をさらに抜く切欠が設けられている、
ことを特徴とする請求項１に記載の車両用前照灯。
【請求項３】
前記開口部の縁のうち、前記エッジに近い縁には、前記窓部を通過しかつ前記開口部を通過する反射光の一部であって、前記投影レンズに入射する反射光を遮蔽する遮蔽部が設けられている、
ことを特徴とする請求項１または２に記載の車両用前照灯。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２０１２−２１６４０４（Ｐ２０１２−２１６４０４Ａ）
【公開日】平成２４年１１月８日（２０１２．１１．８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−８０５１２（Ｐ２０１１−８０５１２）
【出願日】平成２３年３月３１日（２０１１．３．３１）
【出願人】（００００００１３６）市光工業株式会社 (774)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年１１月８日（２０１２．１１．８）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年３月３１日（２０１１．３．３１）
【出願人】（００００００１３６）市光工業株式会社 (774)
【Ｆターム（参考）】
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