説明

車両用前照灯

【課題】限られた空間の灯室内に複数個のランプユニットを省スペースで効率良く配置すること。
【解決手段】この発明は、ランプハウジング2およびランプレンズ3により画成されている灯室13内に、第1ランプユニット4、5および第2ランプユニット6を、配置する。第1ランプユニット4は、半導体型光源18を有する光源部と、光源部の上側に設けられていて、半導体型光源18からの光をランプレンズ3側に照射する照射部と、から構成されている。第2ランプユニット6は、光源26と、光源26からの光をランプレンズ3側に反射させる反射面27を有するリフレクタ28と、から構成されている。第1ランプユニット4の半導体型光源18は、第2ランプユニット6のリフレクタ28の後側に位置する。この結果、この発明は、限られた空間の灯室内に複数個のランプユニットを省スペースで効率良く配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ランプハウジングおよびランプレンズにより灯室が画成されていて、その灯室内に複数個のランプユニットが配置されている車両用前照灯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用前照灯は、従来からある(たとえば、特許文献1、特許文献2)。以下、従来の車両用前照灯について説明する。前者の従来の車両用前照灯は、ランプボディおよび前面レンズにより灯室が画成されていて、その灯室内にすれ違いビームランプ(投光型ランプ)と走行ビームランプ(リフレクタ型ランプ)とターンシグナルランプ(リフレクタ型ランプ)がそれぞれ配置されている。後者の従来の車両用前照灯は、ランプハウジングおよびカバーにより灯室が画成されていて、その灯室内に第1のランプユニットと第2のランプユニットがそれぞれ配置されている。
【0003】
かかる車両用前照灯においては、限られた空間の灯室内に複数個のランプユニットを省スペースで効率良く配置することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−329011号公報
【特許文献2】特開2011−51555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、限られた空間の灯室内に複数個のランプユニットを省スペースで効率良く配置することが重要である、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、灯室を画成するランプハウジングおよびランプレンズと、その灯室内に配置されている第1ランプユニットおよび第2ランプユニットと、を備え、第1ランプユニットが、半導体型光源を有する光源部と、その光源部の上側に設けられていて、半導体型光源からの光をランプレンズ側に照射する照射部と、から構成されていて、第2ランプユニットが、光源を有し、その光源からの光をランプレンズ側に照射するランプユニットであり、第1ランプユニットの光源部のうち少なくとも半導体型光源が、車両の前後方向で第2ランプユニットの後側に位置する、ことを特徴とする。
【0007】
この発明(請求項2にかかる発明)は、第1ランプユニットが、ヒートシンク部材に取り付けられていて、第2ランプユニットが、取付ブラケットに取り付けられていて、ヒートシンク部材が、取付ブラケットに取り付けられていて、取付ブラケットが、光軸調整機構を介してランプハウジングに取り付けられている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項3にかかる発明)は、第1ランプユニットが、スポットランプユニットと、拡散ランプユニットと、から構成されている、ことを特徴とする。
【0009】
この発明(請求項4にかかる発明)は、第1ランプユニットが、楕円反射面の第1反射面と、第1反射面の第1焦点もしくはその近傍に配置されている半導体型光源と、第1反射面からの反射光を制御して所定の配光パターンとしてランプレンズ側に反射させる放物線反射面の第2反射面と、から構成されている、ことを特徴とする。
【0010】
この発明(請求項5にかかる発明)は、第1ランプユニットが、楕円または楕円を基本とする反射面を有するリフレクタと、発光部が反射面の第1焦点もしくはその近傍に位置するように配置されている半導体型光源と、レンズ光軸が水平(ほぼ水平も含む)をなす投影レンズと、投影レンズと投影レンズのレンズ焦点との間にレンズ光軸に交差して配置されており、所定の配光パターンを投影レンズ側に反射させる平面反射面と、を備え、レンズ焦点が、平面反射面により平面反射面に対して対称である位置に擬似レンズ焦点として存在し、擬似レンズ焦点が、反射面の第2焦点もしくはその近傍に位置し、水平なレンズ光軸が、平面反射面により水平なレンズ光軸に対して直交(ほぼ直交も含む)する垂直(ほぼ垂直も含む)な擬似レンズ光軸として存在し、垂直な擬似レンズ光軸が、反射面の光軸に一致し、投影レンズが、平面反射面により反射された所定の配光パターンを所定の方向に投影する、ことを特徴とする。
【0011】
この発明(請求項6にかかる発明)は、取付ブラケットには、装飾部材が第1ランプユニットの光源部と第2ランプユニットとの間を覆うように取り付けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、第1ランプユニットの光源部のうち少なくとも半導体型光源が車両の前後方向で第2ランプユニットの後側に位置するので、第2ランプユニットの後側の空間(スペース)を有効に利用することができる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、限られた空間の灯室内に複数個のランプユニットすなわち第1ランプユニットおよび第2ランプユニットを省スペースで効率良く配置することができる。
【0013】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、第1ランプユニットにおいて照射部が光源部の上側に設けられているので、第1ランプユニットの光源部のうち少なくとも半導体型光源を第2ランプユニットの後側に位置させたとしても、第1ランプユニットの照射部を第2ランプユニットよりも上側に位置させることができる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用前照灯は、第1ランプユニットの光源部のうち少なくとも半導体型光源を第2ランプユニットの後側に位置させたとしても、第1ランプユニットの照射部からランプレンズ側に照射される光が第2ランプユニットにより遮られるようなことがない。
【0014】
この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、単一の取付ブラケットに第1ランプユニットをヒートシンク部材を介して取り付けると共に第2ランプユニットを直接取り付けるものであるから、部品点数を軽減することができる。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、限られた空間の灯室内に複数個のランプユニットすなわち第1ランプユニットおよび第2ランプユニットとヒートシンク部材と単一の取付ブラケットを省スペースで効率良く配置することができる。
【0015】
しかも、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用前照灯は、単一の取付ブラケットにより、部品点数を軽減することができるので、組立工程数を軽減することができ、その結果、製造コストを安価にすることができる。
【0016】
この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、第1ランプユニットのスポットランプユニットにより主な配光規格を満足させかつ光軸の基準となるスポット用配光パターンを形成し、第1ランプユニットの拡散ランプユニットにより商品性を向上させる拡散用配光パターンを形成する。この結果、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、主な配光規格を満足させかつ光軸の基準となるスポット用配光パターンを形成するスポットランプユニットを1個とすることにより、配光調整が容易となり、かつ、配光調整を精度良く行うことができる。
【0017】
しかも、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用前照灯は、配光調整が容易となりかつ配光調整を精度良く行うことができるので、1個のスポットランプユニットにより形成されるスポット用配光パターンに水平カットオフラインおよび斜めカットオフラインを有し、かつ、拡散ランプユニットにより形成される拡散用配光パターンに水平カットオフラインを有する場合においては、有用である。すなわち、スポット用配光パターンの水平カットオフラインおよび斜めカットオフラインを基準とすれば、スポット用配光パターンの水平カットオフラインおよび斜めカットオフラインと拡散用配光パターンの水平カットオフラインとの誤認を防止することができ、かつ、カットオフラインの誤認による迷光を防止することができて有用である。
【0018】
この発明(請求項4にかかる発明)の車両用前照灯は、楕円反射面の第1反射面および半導体型光源を第1ランプユニットの光源部とし、かつ、放物線反射面の第2反射面を第1ランプユニットの照射部とすることにより、第1ランプユニットの光源部のうち少なくとも半導体型光源を第2ランプユニットの後側に確実に位置させ、かつ、第1ランプユニットの照射部を第2ランプユニットのリフレクタよりも上側に確実に位置させることができる。
【0019】
この発明(請求項5にかかる発明)の車両用前照灯は、リフレクタおよび半導体型光源を第1ランプユニットの光源部とし、かつ、投影レンズおよび平面反射面を第1ランプユニットの照射部とすることにより、第1ランプユニットの光源部のうち少なくとも半導体型光源を第2ランプユニットの後側に確実に位置させ、かつ、第1ランプユニットの照射部を第2ランプユニットよりも上側に確実に位置させることができる。
【0020】
この発明(請求項6にかかる発明)の車両用前照灯は、取付ブラケットに装飾部材が第1ランプユニットの光源部と第2ランプユニットとの間を覆うように取り付けられているので、ランプレンズから灯室内を見た際に、装飾部材により、第1ランプユニットの光源部と第2ランプユニットとの間の部分を覆い隠すことができ、見栄えが向上される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例1を示し、この実施例1の車両用前照灯を搭載した車両の斜視図である。
【図2】図2は、同じく、この実施例1の車両用前照灯の縦断面図(垂直断面図)である。
【図3】図3は、同じく、主要構成部品(第1ランプユニット、第2ランプユニット、ヒートシンク部材、取付ブラケット、装飾部材)を示す斜視図である。
【図4】図4は、同じく、主要構成部品(第1ランプユニットの半導体型光源、ヒートシンク部材、取付ブラケット)を示す斜視図である。
【図5】図5は、同じく、主要構成部品(第1ランプユニット、ヒートシンク部材、取付ブラケット、装飾部材)を示す正面図である。
【図6】図6は、同じく、主要構成部品(第1ランプユニット、第2ランプユニット、ヒートシンク部材、取付ブラケット)を示す正面斜め上から見た斜視図である。
【図7】図7は、同じく、図5におけるVII−VII線断面図である。
【図8】図8は、同じく、第1ランプユニットのスポットランプユニットの概要を示す縦断面説明図(垂直断面説明図)である。
【図9】図9は、同じく、第1ランプユニットのスポットランプユニットの配光パターンおよび第1ランプユニットの拡散ランプユニットの配光パターンを示す説明図である。
【図10】図10は、同じく、第2ランプユニットの配光パターンを示す説明図である。
【図11】図11は、同じく、取付ブラケットを示す正面図である。
【図12】図12は、同じく、図11におけるXII−XII線矢視図である。
【図13】図13は、同じく、図11におけるXIII−XIII線矢視図である。
【図14】図14は、同じく、図11におけるXIV−XIV線断面図である。
【図15】図15は、同じく、図11におけるXV−XV線断面図である。
【図16】図16は、同じく、図11におけるXVI−XVI線断面図である。
【図17】図17は、同じく、図11におけるXVII−XVII線断面図である。
【図18】図18は、同じく、図11におけるXVIII−XVIII線断面図である。
【図19】図19は、同じく、図11におけるXIX−XIX線断面図である。
【図20】図20は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例2を示す第1ランプユニットの概要を示す縦断面説明図(垂直断面説明図)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明にかかる車両用前照灯の実施例のうちの2例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図面において、符号「F」は、車両Cの前方側(車両Cの前進方向側)を示す。符号「B」は、車両Cの後方側を示す。符号「U」は、ドライバー側から前方側を見た上方側を示す。符号「D」は、ドライバー側から前方側を見た下方側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前方側を見た場合の左側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前方側を見た場合の右側を示す。前記の前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用前照灯を車両Cに装備した際の前、後、上、下、左、右である。また、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。
【実施例1】
【0023】
(構成の説明)
以下、この実施例1における車両用前照灯の構成について説明する。図中、符号1L、1Rは、この実施例1における車両用前照灯(たとえば、ヘッドランプなど)である。前記車両用前照灯1L、1Rは、図1に示すように、車両Cの前部の左右両端部に搭載されている。
【0024】
前記車両Cは、図1、図2に示すように、側面(左側Lあるいは右側R)から見ると(側面視)、前方側Fの部分から後方側Bの部分にかけて、下方側Dから上方側Uに上り勾配にスラント(傾斜)している。また、平面(上方側U)から見ると(平面視)、前方側Fの部分から後方側Bの部分にかけて、中央側から外側にスラント(傾斜)している。
【0025】
前記車両用前照灯1L、1Rは、前記車両Cの前後方向(F−B)の長さが長くかつ前記車両Cの左右方向の幅が狭い形状をなす。以下、前記車両Cの左側Lに搭載される前記車両用前照灯1Lについて説明する。なお、前記車両Cの右側Rに搭載される前記車両用前照灯1Rの構成は、前記車両Cの左側Lに搭載される前記車両用前照灯1Lの構成の左右逆となるので、説明を省略する。
【0026】
前記車両用前照灯1Lは、図1〜図8、図11〜図19に示すように、ランプハウジング2と、ランプレンズ3と、第1ランプユニットのスポットランプユニット4および拡散(ワイド)ランプユニット5と、第2ランプユニット6と、ヒートシンク部材7と、1個の(単一の)取付ブラケット8と、光軸調整機構9、10、11と、装飾部材(フィニッシャー)12と、を備えるものである。
【0027】
前記ランプハウジング2および前記ランプレンズ3は、灯室13を画成する。前記灯室13内には、前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4および前記拡散ランプユニット5、前記第2ランプユニット6、前記ヒートシンク部材7、前記取付ブラケット8、前記光軸調整機構9、10、11、前記装飾部材12がそれぞれ配置されている。
【0028】
前記ランプハウジング2は、図2に示すように、下方側Dの部分から後方側Bの部分にかけて閉塞されていて、かつ、前方側Fの部分から上方側Uの部分にかけて開口されている。前記ランプハウジング2の開口部の縁には、シール凹部14が設けられている。
【0029】
前記ランプレンズ3は、図1、図2に示すように、前方側Fの部分から上方側Uの部分にかけて閉塞されていて、かつ、下方側Dの部分から後方側Bの部分にかけて開口されている。前記ランプレンズ3の開口部の縁には、シール脚部15が設けられている。
【0030】
前記ランプハウジング2の前記シール凹部14に前記ランプレンズ3の前記シール脚部15をシール材16を介して固定することにより、前記灯室13が画成される。前記ランプレンズ3は、この例では、素通しのアウターレンズをなす。前記ランプレンズ3は、前記車両Cから突出した長円形のドーム形状をなす。
【0031】
前記第1ランプユニットは、前記スポットランプユニット4と、前記拡散ランプユニット5と、から構成されている。前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4および前記拡散ランプユニット5は、図9(C)に示すすれ違い用配光パターン(ロービーム用配光パターン)LPを前記車両Cの前方側に照射するものである。
【0032】
前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4および前記拡散ランプユニット5は、図2〜図8に示すように、1個の(単一の)リフレクタ17と、半導体型光源18、19と、から構成されている。前記スポットランプユニット4は、前記拡散ランプユニット5に対して、車両Cの中央側に位置する。
【0033】
前記半導体型光源18、19は、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例1ではLED)を使用する。前記半導体型光源18、19は、基板(図示せず)と、前記基板に設けられている発光チップ(図示せず)と、前記発光チップを封止する封止樹脂部材(図示せず)と、から構成されている。前記発光チップは、複数個の正方形のチップを配列してなるものである。なお、1個の長方形のチップを使用しても良い。
【0034】
前記半導体型光源18、19は、ホルダ部材(ベース部材)に搭載されている。前記ホルダ部材は、コネクタ部を有し、前記コネクタ部を介して電流を前記半導体型光源18、19に供給するものである。前記ホルダ部材は、絶縁性を有し、かつ、熱伝導率が高い部材から構成されている。
【0035】
前記半導体型光源18、19は、前記リフレクタ17と共に、前記ヒートシンク部材7に取り付けられている。この結果、前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4および前記拡散ランプユニット5は、前記ヒートシンク部材7に取り付けられている。
【0036】
前記リフレクタ17には、前記スポットランプユニット4用の第1反射面20および前記拡散ランプユニット5用の第1反射面21と、前記スポットランプユニット4用の第2反射面22および前記拡散ランプユニット5用の第2反射面23と、前記スポットランプユニット4用のシェード24および前記拡散ランプユニット5用のシェード25とが、それぞれ設けられている。
【0037】
前記第1反射面20、21は、楕円反射面(楕円を基調(基本、基準)とする自由曲面からなる反射面、あるいは、回転楕円面からなる反射面)からなるものであって、前記半導体型光源18、19からの光L1を反射光L2として前記第2反射面22、23側にそれぞれ反射させるものである。
【0038】
前記シェード24、25は、前記第1反射面20、21からの前記反射光L2の一部をカットオフして、図9(A)に示すスポット用配光パターンSPの15°(斜め)カットオフラインCL1と水平カットオフラインCL2、図9(B)に示す拡散(ワイド)用配光パターンWPの水平カットオフラインCL3をそれぞれ形成するものである。
【0039】
前記第2反射面22、23は、放物線反射面(放物線を基調(基本、基準)とする自由曲面からなる反射面、あるいは、回転放物面からなる反射面)からなるものであって、前記第1反射面20、21からの前記反射光L2(前記シェード24、25でカットオフされなかった前記反射光L2)を反射光L3として前記ランプレンズ3側に反射させて、図9(A)に示すスポット用配光パターンSP、図9(B)に示す拡散用配光パターンWPを車両Cの前方側Fにそれぞれ照射するものである。
【0040】
図7、図8において、前記スポットランプユニット4における光路L1、L2、L3を示し、前記拡散ランプユニット5における光路L1、L2、L3を省略する。また、前記スポット用配光パターンSPの前記水平カットオフラインCL2は、前記拡散用配光パターンWPの前記水平カットオフラインCL3よりも上方に位置する。なお、前記スポット用配光パターンSPの前記水平カットオフラインCL2と前記拡散用配光パターンWPの前記水平カットオフラインCL3とは、ほぼ同位であっても良い。また、前記スポット用配光PターンSPの15°カットオフラインCL1の代わりに、Z(斜め)カットオフラインでも良い。すなわち、斜めカットオフラインであれば良い。
【0041】
前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4および前記拡散ランプユニット5は、前記半導体型光源18、19を有する光源部と、前記光源部の上側(上方側U)に設けられていて、前記半導体型光源18、19からの光L1を前記ランプレンズ3側に照射する照射部と、から構成されている。前記光源部は、少なくとも前記半導体型光源18、19からなり、この例では、前記半導体型光源18、19と、前記第1反射面20、21の全部もしくは一部と、からなる。前記照射部は、少なくとも前記第2反射面22、23からなる。
【0042】
前記第2ランプユニット6は、図10に示す走行用配光パターン(ハイビーム用配光パターン)HPを前記車両Cの前方側Fに照射するものである。前記第2ランプユニット6は、図2、図3、図6、図7に示すように、光源26と、前記光源26からの光を前記ランプレンズ3側に反射させる反射面27を有するリフレクタ28と、から構成されている。
【0043】
前記リフレクタ28は、前方側Fの部分が開口されていて、その他の部分が閉塞されている。前記リフレクタ28は、前記光源26と共に前記取付ブラケット8に取り付けられている。この結果、前記第2ランプユニット6は、前記取付ブラケット8に取り付けられている。
【0044】
前記リフレクタ28の前記閉塞部の前面(正面)には、前記反射面27が設けられている。前記反射面27は、放物線反射面(放物線を基調(基本、基準)とする自由曲面からなる反射面、あるいは、回転放物面からなる反射面)からなるものであって、前記光源26からの光を前記ランプレンズ3側に反射させて、走行用配光パターン(ハイビーム用配光パターン)HPを前記車両Cの前方側Fに照射するものである。
【0045】
前記リフレクタ28の閉塞部のほぼ中央部には、光源取付孔29が設けられている。前記光源取付孔29の縁には、前記光源26が着脱可能に取り付けられている。前記光源26は、放電灯、ハロゲン電球、白熱電球などのバルブタイプの光源、あるいは、半導体型光源である。前記光源26は、コネクタ(図示せず)などを介して電源(バッテリー)と電気的に接続されている。
【0046】
前記リフレクタ28の閉塞部のうち、前記光源取付孔29よりも前記車両Cの中央側の部分には、透孔30が設けられている。前記透孔30中から前記リフレクタ28の反射面27側に、クリアランスランプ用バルブ31が挿入されている。前記クリアランスランプ用バルブ31は、前記取付ブラケット8に着脱可能に取り付けられている。前記クリアランスランプ用バルブ31は、コネクタ(図示せず)などを介して電源(バッテリー)と電気的に接続されている。
【0047】
前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4および前記拡散ランプユニット5は、前記ヒートシンク部材7に取り付けられている。前記第2ランプユニット6は、前記取付ブラケット8に取り付けられている。前記ヒートシンク部材7は、前記取付ブラケット8に取り付けられている。前記装飾部材12は、前記取付ブラケット8に取り付けられている。すなわち、単一の前記取付ブラケット8には、前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4および前記拡散ランプユニット5が取り付けられている前記ヒートシンク部材7と、前記第2ランプユニット6と、前記装飾部材12と、前記クリアランスランプ用バルブ31とが、それぞれ取り付けられている。前記取付ブラケット8は、前記光軸調整機構9、10、11を介して前記ランプハウジング2に取り付けられている。
【0048】
前記光軸調整装置は、ピボット機構用のアジャストスクリューおよびスクリューマウンティング9と、上下用のアジャストスクリューおよびスクリューマウンティング10と、左右用のアジャストスクリューおよびスクリューマウンティング11と、から構成されている。前記上下用のアジャストスクリューは、オートレベル装置32に接続されている。この結果、上下方向の光軸調整は、前記オートレベル装置32により自動的に行われる場合と、前記上下用のアジャストスクリューにより手動的に行われる場合とが有る。
【0049】
前記ヒートシンク部材7は、図2〜図8に示すように、前方側Fの部分のランプ取付部33と、後方側Bの部分のフィン部34と、から一体に構成されている。前記ランプ取付部33の前面(正面)は、側面から見ると、前方側Fから後方側Bにかけて、下方側Dから上方側Uに上り勾配にスラント(傾斜)している。
【0050】
図4に示すように、前記ランプ取付部33には、前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4および前記拡散ランプユニット5の前記リフレクタ17および前記半導体型光源18、19が取り付けられている。
【0051】
すなわち、前記ランプ取付部33には、半導体型光源用取付部35が設けられている。前記半導体型光源用取付部35には、前記半導体型光源18、19がスクリューや位置決め部など(図示せず)を介して取り付けられている。また、前記ランプ取付部33には、リフレクタ取付用のボス部36が設けられていて、一方、前記リフレクタ17には、取付片37が設けられている。前記ヒートシンク部材7の前記ボス部36に、前記リフレクタ17の取付片37がスクリュー38により取り付けられている。
【0052】
図2〜図7、図11〜図19に示すように、前記取付ブラケット8には、前記ヒートシンク部材7用の取付部39と、前記第2ランプユニット6用の取付部40と、前記光軸調整機構9、10、11用の取付部41と、前記装飾部材12用の取付部42と、前記クリアランスランプ用バルブ31用の取付部43と、がそれぞれ設けられている。
【0053】
図17、図19に示すように、前記取付ブラケット8の前記ヒートシンク部材7用の取付部39には、取付孔44が設けられていて、一方、前記ヒートシンク部材7には、ボス部45が設けられている。スクリュー46が前記取付ブラケット8の前記ヒートシンク部材7用の取付部39の取付孔44を通して前記ヒートシンク部材7のボス部45にねじ込まれることにより、前記ヒートシンク部材7が前記取付ブラケット8の前記ヒートシンク部材7用の取付部39に取り付けられている。
【0054】
図18に示すように、前記取付ブラケット8の前記ヒートシンク部材7用の取付部39には、位置決め孔47が設けられていて、前記ヒートシンク部材7には、位置決めピン48が設けられている。前記位置決めピン48が前記位置決め孔47に挿入されることにより、前記ヒートシンク部材7と前記取付ブラケット8とが相互に位置決めされている。
【0055】
図14、図16に示すように、前記取付ブラケット8の前記第2ランプユニット6用の取付部40には、取付孔49が設けられていて、一方、前記第2ランプユニット6の前記リフレクタ28には、ボス部50が設けられている。スクリュー51が前記取付ブラケット8の前記第2ランプユニット6用の取付部40の取付孔49を通して前記第2ランプユニット6の前記リフレクタ28のボス部50にねじ込まれることにより、前記第2ランプユニット6の前記リフレクタ28が前記取付ブラケット8の前記第2ランプユニット6用の取付部40に取り付けられている。
【0056】
図14、図16に示すように、前記取付ブラケット8の前記第2ランプユニット6用の取付部40には、位置決め孔52が設けられていて、前記第2ランプユニット6の前記リフレクタ28には、位置決めピン53が設けられている。前記位置決めピン53が前記位置決め孔52に挿入されることにより、前記第2ランプユニット6と前記取付ブラケット8とが相互に位置決めされている。
【0057】
図16、図17に示すように、前記取付ブラケット8の前記光軸調整機構9、10、11用の取付部41には、取付孔54が設けられている。前記ピボット機構用のアジャストスクリューおよびスクリューマウンティング9と、前記上下用のアジャストスクリューおよびスクリューマウンティング10と、前記左右用のアジャストスクリューおよびスクリューマウンティング11が前記取付ブラケット8の前記光軸調整機構9、10、11用の取付部41の取付孔54に嵌合されることにより、前記光軸調整機構9、10、11が前記取付ブラケット8の前記光軸調整機構9、10、11用の取付部41に取り付けられている。
【0058】
図2〜図7、図11〜図19に示すように、前記取付ブラケット8の前記装飾部材12用の取付部42には、ボス部55が設けられていて、一方、前記装飾部材12には、取付片56が設けられている。前記取付片56には、取付孔57が設けられている。スクリュー58が前記取付孔57を通して、前記取付ブラケット8の前記装飾部材12用の取付部42のボス部55にねじ込まれることにより、前記装飾部材12が前記取付ブラケット8の前記装飾部材12用の取付部42に取り付けられている。
【0059】
図14に示すように、前記取付ブラケット8の前記クリアランスランプ用バルブ31用の取付部43には、取付孔59が設けられている。前記クリアランスランプ用バルブ31が前記取付ブラケット8の前記クリアランスランプ用バルブ31用の取付部43の取付孔59および前記第2ランプユニット6の前記リフレクタ28の透孔30中に挿入されて前記第2ランプユニット6の前記リフレクタ28の前記反射面27(前面、正面)側に位置させた状態で、前記取付孔59の縁部に着脱可能に取り付けることにより、前記クリアランスランプ用バルブ31が前記取付ブラケット8の前記クリアランスランプ用バルブ31用の取付部43に着脱可能に取り付けられている。
【0060】
図17に示すように、前記ヒートシンク部材7には、取付孔60が設けられていて、一方、前記装飾部材12には、ボス部61が設けられている。スクリュー64が前記取付孔60を通して前記装飾部材12のボス部61にねじ込まれている。図3、図4、図5、図6に示すように、前記ヒートシンク部材7には、ボス部65が設けられていて、一方、前記装飾部材12には、取付片62が設けられていて、前記取付片62には、取付孔(図示せず)が設けられている。スクリュー63が前記取付孔を通して前記ヒートシンク部材7のボス部65にねじ込まれている。この結果、前記装飾部材12が前記ヒートシンク部材7に補強的に取り付けられている。
【0061】
前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4の前記光源部のうち少なくとも前記半導体型光源18は、図7、図8に示すように、前記車両Cの前後方向(F−B)で、前記第2ランプユニット6の後方側Bに位置する。すなわち、前記半導体型光源18は、前記第2ランプユニット6の前記リフレクタ28よりも前記反射面27の反射方向と反対側(後方側B)に位置する。あるいは、前記半導体型光源18は、前記第2ランプユニット6よりも前記第2ランプユニット6の光照射方向と反対側に位置する。前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4の前記照射部のうち少なくとも前記第2反射面22は、図7、図8に示すように、前記第2ランプユニット6の前記リフレクタ28よりも上方側Uに位置する。すなわち、前記スポットランプユニット4の前記第2反射面22は、前記第2ランプユニット6の前記リフレクタ28の最上端部を通る水平線H−Hよりも上方側Uに位置する。
【0062】
前記取付ブラケット8および前記ヒートシンク部材7にそれぞれ取り付けられている前記装飾部材12は、前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4および前記拡散ランプユニット5の前記光源部と前記第2ランプユニット6の前記リフレクタ28との間を覆う。前記装飾部材12は、前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4および前記拡散ランプユニット5、前記第2ランプユニット6、前記ヒートシンク部材7、前記取付ブラケット8、前記光軸調整機構9、10、11、前記装飾部材12の取付箇所(前記スクリュー、前記取付部、前記取付孔、前記ボス部、前記位置決め孔、前記位置決めピンなど)を覆い隠すものである。前記装飾部材12には、前記第1ランプユニットの前記スポットランプユニット4および前記拡散ランプユニット5の前記第1反射面20、21から前記第2反射面22、23に向かう反射光L2を遮蔽しないように、開口66が設けられている。
【0063】
(作用の説明)
この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0064】
スポットランプユニット4の半導体型光源18を点灯発光させる。すると、図7、図8に示すように、半導体型光源18からの光L1がスポットランプユニット4の第1反射面20で反射する。この反射光L2の一部がスポットランプユニット4のシェード24でカットオフされて、残りの反射光L2がスポットランプユニット4の第2反射面22で反射する。この反射光L3が図9(A)に示すスポット用配光パターンSPとしてランプレンズ3を透過して車両Cの前方側Fに照射される。
【0065】
一方、拡散ランプユニット5の半導体型光源19を点灯発光させる。すると、前記のスポットランプユニット4と同様に、半導体型光源19からの光(図示せず)が拡散ランプユニット5の第1反射面21で反射する。この反射光(図示せず)の一部が拡散ランプユニット5のシェード25でカットオフされて、残りの反射光が拡散ランプユニット5の第2反射面23で反射する。この反射光(図示せず)が図9(B)に示す拡散用配光パターンWPとしてランプレンズ3を透過して車両Cの前方側Fに照射される。
【0066】
図9(A)に示すスポット用配光パターンSPと図9(B)に示す拡散用配光パターンWPとが重畳されて図9(C)に示す合成配光パターンすなわちすれ違い用配光パターンLPが車両Cの前方側Fに照射される。
【0067】
また、第2ランプユニット6の光源26を点灯する。すると、光源26からの光(図示せず)が第2ランプユニット6のリフレクタ28の反射面27で反射する。この反射光(図示せず)が図10に示す走行用配光パターンHPとしてランプレンズ3を透過して車両Cの前方側Fに照射される。
【0068】
さらに、クリアランスランプ用バルブ31を点灯する。すると、クリアランスランプ用バルブ31からの光がクリアランスランプ用配光パターン(図示せず)としてランプレンズ3を透過して車両Cの前方側Fに照射される。
【0069】
(効果の説明)
この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0070】
この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の光源部のうち少なくとも半導体型光源18が、図7、図8に示すように、車両Cの前後方向(F−B)で第2ランプユニット6の後側、すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28よりも反射面27の反射方向と反対側(リフレクタ28の後方側Bあるいは裏側)に位置するので、第2ランプユニット6の後側の空間(スペース)、すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28の後側の空間(スペース)を有効に利用することができる。この結果、この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、限られた空間の灯室13内に複数個のランプユニットすなわち第1ランプユニットのスポットランプユニット4(および拡散ランプユニット5)および第2ランプユニット6を省スペースで効率良く配置することができる。
【0071】
しかも、この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、第1ランプユニットのスポットランプユニット4において照射部のうち少なくとも第2反射面22が、図7、図8に示すように、光源部の上方側Uに設けられているので、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の光源部のうち少なくとも半導体型光源18を第2ランプユニット6(すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28)の後側に位置させたとしても、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の照射部を第2ランプユニット6(すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28)よりも上方側Uに位置させることができる。すなわち、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の第2反射面22を第2ランプユニット6のリフレクタ28の最上端部を通る水平線H−Hよりも上方側Uに位置させることができる。この結果、この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の光源部のうち少なくとも半導体型光源18を第2ランプユニット6(すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28)の裏側に位置させたとしても、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の照射部からランプレンズ3側に照射される光L3が第2ランプユニット6(すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28)により遮られるようなことがない。
【0072】
この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、単一の取付ブラケット8に第1ランプユニットのスポットランプユニット4および拡散ランプユニット5をヒートシンク部材7を介して取り付けると共に第2ランプユニット6を直接取り付けるものであるから、部品点数を軽減することができる。この結果、この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、限られた空間の灯室13内に複数個のランプユニットすなわち第1ランプユニットのスポットランプユニット4および拡散ランプユニット5および第2ランプユニット6とヒートシンク部材7と単一の取付ブラケット8を省スペースで効率良く配置することができる。
【0073】
しかも、この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、単一の取付ブラケット8により、部品点数を軽減することができるので、組立工程数を軽減することができ、その結果、製造コストを安価にすることができる。
【0074】
この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、第1ランプユニットのスポットランプユニット4により主な配光規格を満足させかつ光軸の基準となるスポット用配光パターンSPを形成し、第1ランプユニットの拡散ランプユニット5により商品性を向上させる拡散用配光パターンWPを形成する。この結果、この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、主な配光規格を満足させかつ光軸の基準となるスポット用配光パターンSPを形成するスポットランプユニット4を1個とすることにより、配光調整が容易となり、かつ、配光調整を精度良く行うことができる。
【0075】
しかも、この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、配光調整が容易となりかつ配光調整を精度良く行うことができるので、1個のスポットランプユニット4により形成されるスポット用配光パターンSPに水平カットオフラインCL2および15°(斜め)カットオフラインCL1を有し、かつ、拡散ランプユニット5により形成される拡散用配光パターンWPに水平カットオフラインCL3を有する場合においては、有用である。すなわち、スポット用配光パターンSPの水平カットオフラインCL2および15°カットオフラインCL1を基準とすれば、スポット用配光パターンSPの水平カットオフラインCL2および15°カットオフラインCL1と拡散用配光パターンWPの水平カットオフラインCL3との誤認を防止することができ、かつ、カットオフラインの誤認による迷光を防止することができて有用である。
【0076】
この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、楕円反射面の第1反射面20および半導体型光源18を第1ランプユニットのスポットランプユニット4の光源部とし、かつ、放物線反射面の第2反射面22を第1ランプユニットのスポットランプユニット4の照射部とすることにより、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の光源部のうち少なくとも半導体型光源18を第2ランプユニット6(すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28)の後側に確実に位置させ、かつ、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の照射部を第2ランプユニット6(すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28)よりも上側に確実に位置させることができる。
【0077】
この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、取付ブラケット8に装飾部材12が第1ランプユニットのスポットランプユニット4の光源部と第2ランプユニット6(すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28)との間を覆うように取り付けられているので、ランプレンズ3から灯室13内を見た際に、装飾部材12により、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の光源部と第2ランプユニット6(すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28)との間の部分を覆い隠すことができ、見栄えが向上される。
【0078】
この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、第2ランプユニット6の後方側B、すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28の後方側Bに第1ランプユニットのスポットランプユニット4の光源部を配置し、かつ、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の光源部の上方側Uに第1ランプユニットのスポットランプユニット4の照射部を配置するので、側面から見ると前方側Fの部分から後方側Bの部分にかけて下方側Dから上方側Uに上り勾配にスラントしている車両Cのデザイン(図1、図2参照)にマッチする。
【0079】
この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、第2ランプユニット6の後方側B、すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28の後方側Bに第1ランプユニットのスポットランプユニット4を配置し、かつ、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の外側に第1ランプユニットの拡散ランプユニット5を配置するので、平面から見ると前方側Fの部分から後方側Bの部分にかけて中央側から外側にスラントしている車両Cのデザイン(図1参照)にマッチする。
【0080】
この実施例1における車両用前照灯1L、1Rは、1個の取付ブラケット8で第1ランプユニットのスポットランプユニット4および拡散ランプユニット5および第2ランプユニット6およびヒートシンク部材7および装飾部材12を光軸調整機構9、10、11を介してランプハウジング2に取り付けることができるので、1個の取付ブラケット8を介してスポットランプユニット4の光軸および拡散ランプユニット5の光軸、また、第2ランプユニット6の光軸を高精度に調整することができる。
【実施例2】
【0081】
(実施例2の説明)
図20は、この発明にかかる車両用前照灯の実施例2を示す。以下、この実施例2における車両用前照灯について説明する。図中、図1〜図19と同符号は、同一のものを示す。
【0082】
前記の実施例1の車両用前照灯1L、1Rは、第1ランプユニットのスポットランプユニット4および拡散ランプユニット5として、半導体型光源18、19と、第1反射面20、21と、第2反射面22、23と、から構成されているランプユニット(たとえば、特開2009−277482号公報参照)を使用するものである。この実施例2の車両用前照灯100は、第1ランプユニットとして、反射面67を有するリフレクタ68と、半導体型光源69と、投影レンズ70と、平面反射面71と、を備えるランプユニット(たとえば、特開2007−311141号公報参照)を使用するものである。
【0083】
すなわち、楕円または楕円を基本とする反射面67を有するリフレクタ68と、発光部が前記反射面67の第1焦点F1もしくはその近傍に位置するように配置されている半導体型光源69と、レンズ光軸Z1−Z1が水平をなす投影レンズ70と、前記投影レンズ70と前記投影レンズ70のレンズ焦点FL1との間に前記レンズ光軸Z1−Z1に交差して配置されており、所定の配光パターン(たとえば、図9(A)に示すスポット用配光パターンSP、図9(B)に示す拡散用配光パターンWP)を前記投影レンズ70側に反射させる平面反射面71と、を備えるものである。前記レンズ焦点FL1は、前記平面反射面71により前記平面反射面71に対して対称である位置に擬似レンズ焦点FL2として存在する。前記擬似レンズ焦点FL2は、前記反射面67の第2焦点F2もしくはその近傍に位置する。水平な前記レンズ光軸Z1−Z1は、前記平面反射面71により水平な前記レンズ光軸Z1−Z1に対して直交する垂直な擬似レンズ光軸Z2−Z2として存在する。垂直な前記擬似レンズ光軸Z2−Z2は、前記反射面67の光軸Z3−Z3に一致する。前記投影レンズ70は、前記平面反射面71により反射された前記所定の配光パターンを所定の方向に投影する。
【0084】
この実施例2の車両用前照灯100の第1ランプユニットは、前記半導体型光源69を有する光源部と、前記光源部の上側(上方側U)に設けられていて、前記半導体型光源69からの光L4、L5(前記反射面67で反射された反射光)、L6(前記投影レンズ70から放射される光)をランプレンズ3側に照射する照射部と、から構成されている。前記光源部は、少なくとも前記半導体型光源69からなり、この例では、前記半導体型光源69と、前記反射面67の全部もしくは一部と、からなる。前記照射部は、少なくとも前記投影レンズ70および前記平面反射面71からなる。
【0085】
この実施例2の車両用前照灯100の第1ランプユニットの前記光源部のうち少なくとも前記半導体型光源69は、車両Cの前後方向で、第2ランプユニットの後側に位置する。この実施例2の車両用前照灯100の第1ランプユニットの前記照射部のうち少なくとも前記投影レンズ70および前記平面反射面71は、図20に示すように、前記第2ランプユニットの前記リフレクタよりも上方側Uに位置する。すなわち、この実施例2の車両用前照灯100の第1ランプユニットの前記投影レンズ70および前記平面反射面71は、前記第2ランプユニットの前記リフレクタの最上端部を通る水平線H−Hよりも上方側Uに位置する。
【0086】
この実施例2の車両用前照灯100は、リフレクタ68および半導体型光源69を第1ランプユニットの光源部とし、かつ、投影レンズ70および平面反射面71を第1ランプユニットの照射部とすることにより、第1ランプユニットの光源部のうち少なくとも半導体型光源69を第2ランプユニットの後側に確実に位置させ、かつ、第1ランプユニットの照射部を第2ランプユニットのリフレクタよりも上側に確実に位置させることができる。
【0087】
(実施例以外の例の説明)
なお、前記の実施例1においては、第1ランプユニットのスポットランプユニット4および拡散ランプユニット5として、第1反射面20、21と、半導体型光源18、19と、第2反射面22、23と、から構成されているランプユニットを使用するものである。また、前記の実施例2においては、第1ランプユニットとして、反射面67を有するリフレクタ68と、半導体型光源69と、投影レンズ70と、平面反射面71と、から構成されているランプユニットを使用するものである。ところが、この発明においては、その他のランプユニット、すなわち、半導体型光源を有する光源部と、その光源部の上側に設けられていて、半導体型光源からの光をランプレンズ側に照射する照射部と、から構成されているランプユニットを使用しても良い。
【0088】
また、前記の実施例1においては、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の光源部のうち少なくとも半導体型光源18を車両Cの前後方向で第2ランプユニット6の後側、すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28よりも反射面27の反射方向と反対側(後方側B)に位置させ、第1ランプユニットのスポットランプユニット4の照射部のうち少なくとも第2反射面22を第2ランプユニット6のリフレクタ28よりも上方側Uに位置させるものである。ところが、この発明においては、第1ランプユニットの拡散ランプユニット5の光源部のうち少なくとも半導体型光源19を車両Cの前後方向で第2ランプユニット6の後側、すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28よりも反射面27の反射方向と反対側(後方側B)に位置させ、第1ランプユニットの拡散ランプユニット5の照射部のうち少なくとも第2反射面23を第2ランプユニット6のリフレクタ28よりも上方側Uに位置させるものであっても良い。また、第1ランプユニットのスポットランプユニット4および拡散ランプユニット5の光源部のうち少なくとも半導体型光源18、19を車両Cの前後方向で第2ランプユニット6の後側、すなわち、第2ランプユニット6のリフレクタ28よりも反射面27の反射方向と反対側(後方側B)に位置させ、第1ランプユニットのスポットランプユニット4および拡散ランプユニット5の照射部のうち少なくとも第2反射面22、23を第2ランプユニット6のリフレクタ28よりも上方側Uに位置させるものであっても良い。
【0089】
さらに、前記の実施例1においては、第1ランプユニットとして、スポットランプユニット4と拡散ランプユニット5との2個のランプユニットを使用するものである。ところが、この発明においては、第1ランプユニットとして、1個のランプユニット、あるいは、3個以上のランプユニットを使用しても良い。なお、この第1ランプユニットの場合において、少なくとも1個のランプユニットは、半導体型光源を有する光源部と、その光源部の上側に設けられていて、半導体型光源からの光をランプレンズ側に照射する照射部と、から構成されているランプユニットを使用し、かつ、そのランプユニットの光源部を車両Cの前後方向で第2ランプユニットの後側に位置させる必要がある。
【0090】
さらにまた、前記の実施例1においては、第2ランプユニット6として、走行用配光パターンHPを車両Cの前方側Fに照射するハイビームランプのランプユニットを使用するものである。ところが、この発明においては、第2ランプユニットとしては、ハイビームランプ以外のランプユニット、たとえば、コーナリングランプやデイタイムランニングランプなどのランプユニットを使用するものであっても良い。
【0091】
さらにまた、前記の実施例1においては、第2ランプユニット6として、光源26と、光源26からの光をランプレンズ3側に反射させる反射面27を有するリフレクタ28と、から構成されている反射タイプのランプユニットを使用するものである。ところが、この発明においては、第2ランプユニットとしては、光源からの光を直接車両の前方に照射する直射タイプのランプユニット、あるいは、プロジェクタタイプのランプユニットを使用するものであっても良い。すなわち、第2ランプユニットとしては、光源を有し、その光源からの光をランプレンズ側に照射するランプユニットであれば良い。
【符号の説明】
【0092】
1L、1R、100 車両用前照灯
2 ランプハウジング
3 ランプレンズ
4 スポットランプユニット(第1ランプユニット)
5 拡散ランプユニット(第1ランプユニット)
6 第2ランプユニット
7 ヒートシンク部材
8 取付ブラケット
9、10、11 光軸調整機構
12 装飾部材
13 灯室
14 シール凹部
15 シール脚部
16 シール材
17 リフレクタ
18、19 半導体型光源
20、21 第1反射面
22、23 第2反射面
24、25 シェード
26 光源
27 反射面
28 リフレクタ
29 光源取付孔
30 透孔
31 クリアランスランプ用バルブ
32 オートレベル装置
33 ランプ取付部
34 フィン部
35 半導体型光源用取付部
36、45、50、55、61、65 ボス部
37、56、62 取付片
38、46、51、58、63、64 スクリュー
39、40、41、42、43 取付部
44、49、54、57、59、60 取付孔
47、52 位置決め孔
48、53 位置決めピン
66 開口
67 反射面
68 リフレクタ
69 半導体型光源
70 投影レンズ
71 平面反射面
C 車両
F 前方側
B 後方側
U 上方側
D 下方側
L 左側
R 右側
HL−HR スクリーンの左右の水平線
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
H−H 水平線
LP すれ違い用配光パターン(ロービーム用配光パターン)
CL1 15°カットオフライン
CL2 水平カットオフライン
CL3 水平カットオフライン
SP スポット用配光パターン
WP 拡散用配光パターン
HP 走行用配光パターン(ハイビーム用配光パターン)
L1 スポットランプユニットの半導体型光源からの光
L2 スポットランプユニットの第1反射面からの反射光
L3 スポットランプユニットの第2反射面からの反射光
L4 半導体型光源からの光
L5 反射面からの反射光
L6 平面反射面からの反射光(投影レンズから放射される光)
F1 第1焦点
F2 第2焦点
FL1 レンズ焦点
FL2 擬似レンズ焦点
Z1−Z1 レンズ光軸
Z2−Z2 擬似レンズ光軸
Z3−Z3 反射面の光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯室を画成するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されている第1ランプユニットおよび第2ランプユニットと、
を備え、
前記第1ランプユニットは、半導体型光源を有する光源部と、前記光源部の上側に設けられていて、前記半導体型光源からの光を前記ランプレンズ側に照射する照射部と、から構成されていて、
前記第2ランプユニットは、光源を有し、前記光源からの光を前記ランプレンズ側に照射するランプユニットであり、
前記第1ランプユニットの前記光源部のうち少なくとも前記半導体型光源は、車両の前後方向で前記第2ランプユニットの後側に位置する、
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
前記第1ランプユニットは、ヒートシンク部材に取り付けられていて、
前記第2ランプユニットは、取付ブラケットに取り付けられていて、
前記ヒートシンク部材は、前記取付ブラケットに取り付けられていて、
前記取付ブラケットは、光軸調整機構を介して前記ランプハウジングに取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯。
【請求項3】
前記第1ランプユニットは、スポットランプユニットと、拡散ランプユニットと、から構成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記第1ランプユニットは、
楕円反射面の第1反射面と、
前記第1反射面の第1焦点もしくはその近傍に配置されている前記半導体型光源と、
前記第1反射面からの反射光を制御して所定の配光パターンとして前記ランプレンズ側に反射させる放物線反射面の第2反射面と、
から構成されている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記第1ランプユニットは、
楕円または楕円を基本とする反射面を有するリフレクタと、
発光部が前記反射面の第1焦点もしくはその近傍に位置するように配置されている前記半導体型光源と、
レンズ光軸が水平をなす投影レンズと、
前記投影レンズと前記投影レンズのレンズ焦点との間に前記レンズ光軸に交差して配置されており、前記所定の配光パターンを前記投影レンズ側に反射させる平面反射面と、
を備え、
前記レンズ焦点は、前記平面反射面により前記平面反射面に対して対称である位置に擬似レンズ焦点として存在し、前記擬似レンズ焦点は、前記反射面の第2焦点もしくはその近傍に位置し、
水平な前記レンズ光軸は、前記平面反射面により水平な前記レンズ光軸に対して直交する垂直な擬似レンズ光軸として存在し、垂直な前記擬似レンズ光軸は、前記反射面の光軸に一致し、
前記投影レンズは、前記平面反射面により反射された前記所定の配光パターンを所定の方向に投影する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記取付ブラケットには、装飾部材が前記第1ランプユニットの前記光源部と前記第2ランプユニットとの間を覆うように取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用前照灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−252802(P2012−252802A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122505(P2011−122505)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】