車両用前照灯
【目的】 1個の光源を装備した1個のランプユニットで所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる車両用前照灯を提供する。
【構成】 リフレクタ1に移動可能に取り付けた放電灯(1個の光源)とシェード4とに、移動機構5(若しくは光源移動機構6およびシェード移動機構7)を装備する。その結果、前記移動機構5を作動させて、放電灯2を焦点F近傍に、シェード4を放電灯2からの光を遮断しない位置に、それぞれ移動させると、走行用の配光パターンが得られる。また、放電灯2をその他の位置に、シェード4を放電灯2からの光を遮断する位置に、それぞれ移動させると、すれ違い用の配光パターンが得られる。従って、1個の光源を装備した1個のランプユニットで、所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる。
【構成】 リフレクタ1に移動可能に取り付けた放電灯(1個の光源)とシェード4とに、移動機構5(若しくは光源移動機構6およびシェード移動機構7)を装備する。その結果、前記移動機構5を作動させて、放電灯2を焦点F近傍に、シェード4を放電灯2からの光を遮断しない位置に、それぞれ移動させると、走行用の配光パターンが得られる。また、放電灯2をその他の位置に、シェード4を放電灯2からの光を遮断する位置に、それぞれ移動させると、すれ違い用の配光パターンが得られる。従って、1個の光源を装備した1個のランプユニットで、所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、1個の光源を装備した車両用前照灯に係り、特に1個の光源を装備した1個のランプユニットで所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる車両用前照灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1個の光源を装備した車両用前照灯は、レンズとリフレクタ(およびハウジング)とにより画成された灯室内に1個の光源を配設してなる。
かかる1個の光源からなる車両用前照灯は、図7に示すような前方までも照射する走行用の配光パターンが得られる走行用のランプユニットと、図8に示すような対向車にグレア光を与えないようにカットラインを有するすれ違い用の配光パターンが得られるすれ違い用のランプユニットとを1組として、車両の前部の左右にそれぞれ1組ずつ配置される。そして、スイッチの操作で、すれ違い用ランプユニットの光源を点灯すると、すれ違い用の配光パターンが得られ、また走行用のランプユニットの光源を点灯すると、走行用の配光パターンが得られる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、上述の従来の車両用前照灯は、1個のランプユニットに1個の光源を配設したものであるから、1個のランプユニットでは1通りの配光パターンしか得られない。このために、走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとを得るためには、走行用のランプユニットとすれ違い用のランプユニットとをそれぞれ装備する必要があるなどの問題がある。
【0004】
本考案の目的は、1個の光源を装備した1個のランプユニットで所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる車両用前照灯を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案は、光源をホルダに保持し、そのホルダをリフレクタに移動可能に取り付け、一方リフレクタにシェードを移動可能に取り付け、前記ホルダに光源移動機構を装備し、前記ホルダを介して前記光源を、前記リフレクタの焦点近傍とその他の地点との間を往復移動させるように構成し、一方前記シェードに前記光源移動機構と連動するシェード移動機構を装備し、前記シェードを、前記光源が焦点近傍に位置する場合には光源からの光を遮断しないで走行用の配光パターンが得られる位置と、前記光源がその他の位置に位置する場合には光源からの光を遮断してすれ違い用の配光パターンが得られる位置との間を往復移動させるように構成したことを特徴とする。
【0006】
【作用】
本考案は、上記の構成により、光源移動機構とシェード移動機構とを連動させて、光源を焦点近傍に、シェードを光源からの光を遮断しない位置に、それぞれ移動させると、走行用の配光パターンが得られる。また、光源をその他の位置に、シェードを光源からの光を遮断する位置に、それぞれ移動させると、すれ違い用の配光パターンが得られる。このように、1個の光源を装備した1個のランプユニットで、所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる。
【0007】
【実施例】
以下、本考案の車両用前照灯の実施例のうちの2例を添付図面を参照して説明する。
図1乃至図8は本考案の車両用前照灯の第1の実施例を示す。
図において、1はリフレクタである。このリフレクタ1は、前面側を開口し、かつ後部側を閉塞してなる。このリフレクタ1の前面開口部側にレンズ(図示せず)を配設し、一方後部の中心に光源挿入用の挿入孔10を設けると共に、その後部の前面側(内面側)に例えば回転放物面の反射面11を設ける。このリフレクタ1は、後述する放電灯2からの光を反射面11で前方のレンズ側に反射させるものである。
図中、12は断面ほぼL字形をなすブラケットである。こんブラケット12を、前記いリフレクタ1の底面側壁にスクリュウ16などにより固定すると共に、リフレクタ1の後部側に空所を開けて位置させる。このブラケット12の水平板部とリフレクタ1の底面側壁とに長穴13を、後述する光軸Z−Z方向に設ける。前記ブラケット12の垂直板部に複数本のガイドピン14の一端を加締て固定すると共に、そのガイドピン14の他端をリフレクタ1側に向ける。このブラケット12の垂直板部に透孔15を前記ガイドピン14の植設方向と平行に設ける。
図中、Fは前記リフレクタ1の反射面11の焦点、Z−Zは前記リフレクタ1の反射面11の回転軸、すなわち光軸である。
【0008】
図において、2は1個の光源で、この例では放電灯である。この放電灯2は、発光管20を有する外管21と、その外管21の後部に設けた口金22と、その口金22から引き出したリード線23とからなる。
【0009】
図において、3はホルダである。このホルダ3は、図1に示すように、断面ほぼL字形をなし、一端部に筒形の光源保持部30を設け、一方他端にガイド穴31を設けると共に、進退凸部32を前記ガイド穴31の方向と平行に一体に突設する。
このホルダ3の保持部30に前記放電灯2の口金22を挿入してスクリュウ33により固定する。このホルダ3のガイド穴31に前記ブラケット12のガイドピン14を通すと共に、ホルダ3の進退凸部32をブラケット12の透孔15に進退可能に挿入する。この結果、1個の光源放電灯2は、ホルダ3を介してブラケット12すなわちリフレクタ1に対して、前記ガイドピン14および進退凸部32の突設方向に、移動可能に取り付けられることとなる。
前記ガイドピン14の他端にEリングなどのストッパ34を固定して、ホルダ3がガイドピン14から離脱するの防ぐ。また、前記ホルダ3の進退凸部32の先端にストッパ35を設け若しくは固定すると共に、そのストッパ35と前記ブラケット12との間に圧縮スプリング36を介在させる。
【0010】
図において、4はシェードである。このシェード4は、半円筒形(図3中、左側の縁は水平線より下方の位置に位置する。)をなし、中央の下面から脚部40を突設する。
41は一対のガイドレールである。このガイドレール41は、前記リフレクタ1およびブラケット12の長穴13の両側縁にスクリュウ42などにより、その長穴13に沿ってそれぞれ固定する。
43はベースである。このベース43は、前記一対のガイドレール41の間に前記長穴13方向にスライド可能に係合すると共に、下部45を前記長穴13中に通す。このベース43の上面に前記シェード4の脚部40をスクリュウ44などにより固定する。この結果、シェード4は、ベース43およびガイドレール41を介して、前記リフレクタ1およびブラケット12に対して、前記長穴13方向に、移動可能に取り付けられることとなる。
図において、5は光源移動機構およびシェード移動機構を兼用する移動機構である。この移動機構5は、前記ブラケット12にスクリュウ50などにより取り付けたモータ51およびギヤボックス52と、そのギヤボックス52の出力軸53に同心軸に固定したカム54およびギヤ55と、そのギヤ55と噛み合うラック56とからなる。前記カム54を前記ブラケット12の進退凸部32の先端面に当接し、一方前記ラック56を前記シェード4のベース43の下面に、前記ガイドレール41および長穴13の方向に、スクリュウ57などにより固定する。
この実施例における本考案の車両用前照灯は、以上の如き構成からなり、以下その操作作動について説明する。
まず、図1に示す状態、すなわち放電灯2の発光管20(光源)がリフレクタ1の焦点Fから前方(レンズ側)にかつ上方に離れた位置に位置し、またシェード4が放電灯2のほぼ下半分からの光を遮断するようにその放電灯2の真下に位置している状態において、放電灯2を点灯する。すると、図6に示すように、放電灯2の下半分からの光はシェード4により遮断されるが、その放電灯2の上半分からの光はリフレクタ1の反射面11で光軸ZーZに対してほぼ下向きに反射され、レンズを経て図8に示すようなすれ違い用の配光パターンが得られる。 次に、上述の状態からモータ51を駆動させて、カム54およびギヤ55を同時に図1中の矢印方向(時計方向)に回転させる。すると、カム54の外径が徐々に小さくなり、それに伴って進退凸部32がスプリング36の弾性力により右側に移動し、かつホルダ3がガイドピン14に沿って右側に移動する。この結果、前記ホルダ32を介して放電灯2の発光管20(光源)が図2に示すように、リフレクタ1の焦点F近傍に位置する。また、前記ギヤ55と噛み合うラック56が左側に移動し、それに伴ってベース43がガイドレール41および長穴13に沿って左側に移動する。この結果、前記ベース43を介してシェード4が図2に示すように、放電灯2の真下から左側に移動して放電灯2の下半分からの光を遮断しない位置に位置する。この状態において、放電灯2を点灯する。すると、図5に示すように、放電灯2からの光はリフレクタ1の反射面11で光軸ZーZに対してほぼ平行に反射され、レンズを経て図7に示すような走行用の配光パターンが得られる。
そして、上述の状態からモータ51を駆動させて、カム54およびギヤ55を図2中の反時計方向に回転させる。すると、カム54の外径が徐々に大きくなり、それに伴って進退凸部32がスプリング36の弾性力に抗して左側に移動し、かつホルダ3がガイドピン14に沿って左側に移動する。この結果、前記ホルダ32を介して放電灯2の発光管20(光源)が図1に示すように、リフレクタ1の焦点Fより前方かつ上方に離れた位置に位置する。また、前記ギヤ55と噛み合うラック56が右側に移動し、それに伴ってベース43がガイドレール41および長穴13に沿って右側に移動する。この結果、前記ベース43を介してシェード4が図1に示すように、放電灯2の左側から真下に移動して放電灯2の下半分からの光を遮断する位置に位置する。
このように、1個の光源としての放電灯2を装備した1個のランプユニットで、所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる。
【0011】
図9乃至図11は本考案の車両用前照灯の第2の実施例を示す。図中、図1乃至図8と同符号は同一のものを示す。
図において、6は光源移動機構である。この光源移動機構6は、エアシリンダ60と、一端を前記エアシリンダ60のピストンロッドに固定し、かつ他端をブラケット12を挿通してホルダ3に固定したワイヤ61と、そのワイヤ61を挿通し、一端を前記エアシリンダ60に固定し、かつ他端を前記ブラケット12に固定したワイヤガイド62とからなる。
図において7はシェード移動機構である。このシェード移動機構7は、エアシリンダ70と、一端を前記エアシリンダ70のピストンロッドに固定し、かつ他端をベース43に固定したワイヤ71と、そのワイヤ71を挿通し、一端を前記エアシリンダ70に固定し、かつ他端を前記ベース43に固定したワイヤガイド72とからなる。
【0012】
この実施例における本考案の車両用前照灯は、以上の如き構成からなり、以下その操作作動について説明する。
まず、図9に示す状態、すなわち放電灯2の発光管20(光源)がリフレクタ1の焦点Fから前方(レンズ側)にかつ上方に離れた位置に位置し、またシェード4が放電灯2のほぼ下半分からの光を遮断するようにその放電灯2の真下に位置している状態においては、すれ違い用の配光パターンが得られる。
この状態から光軸移動機構6のエアシリンダ60と、シェード移動機構7のエアシリンダ70とを連動させて後退させる。すると、ホルダ3がガイドピン14に沿って右側に移動する。この結果、ホルダ32を介して放電灯2の発光管20(光源)が図10に示すように、リフレクタ1の焦点F近傍に位置する。また、ベース43がガイドレール41に沿って左側に移動する。この結果、前記ベース43を介してシェード4が図10に示すように、放電灯2の真下から左側に移動して放電灯2の下半分からの光を遮断しない位置に位置する。この状態においては、走行用の配光パターンが得られる。
そして、上述の状態から光軸移動機構6のエアシリンダ60と、シェード移動機構7のエアシリンダ70とを連動させて前進させる。すると、ホルダ3がガイドピン14に沿って左側に移動する。この結果、ホルダ32を介して放電灯2の発光管20(光源)が図9に示すように、リフレクタ1の焦点Fから前方かつ上方の離れた位置に位置する。また、ベース43がガイドレール41に沿って右側に移動する。この結果、前記ベース43を介してシェード4が図9に示すように、放電灯2の左側から真下に移動して放電灯2の下半分からの光を遮断する位置に位置する。
この実施例のものは、上述の第1の実施例のものと同様の作用効果を達成することができる。
【0013】
なお、上述の実施例において、1個の光源としては放電灯2について説明したが、この放電灯以外の光源、例えば白熱灯などでも良い。
【0014】
【考案の効果】
以上から明らかなように、本考案の車両用前照灯は、リフレクタに移動可能に取り付けた1個の光源とシェードとに、光源移動機構とシェード移動機構とを、それぞれ装備したものであるから、前記光源移動機構とシェード移動機構とを連動させて、光源を焦点近傍に、シェードを光源からの光を遮断しない位置に、それぞれ移動させると、走行用の配光パターンが得られる。また、光源をその他の位置に、シェードを光源からの光を遮断する位置に、それぞれ移動させると、すれ違い用の配光パターンが得られる。従って、1個の光源を装備した1個のランプユニットで、所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の車両用前照灯の第1の実施例を示し、すれ違い用の配光パターンの照射可能状態を表した要部の縦断面図である。
【図2】走行用の配光パターンの照射可能状態を表した要部の縦断面図である。
【図3】図1におけるIII矢視図である。
【図4】図1におけるIV矢視図である。
【図5】走行用の配光パターンの照射状態を表した1個の光源とリフレクタとの概略を表した説明図である。
【図6】すれ違い用の配光パターンの照射状態を表した1個の光源とリフレクタとシェードとの概略を表した説明図である。
【図7】走行用の配光パターンの説明図である。
【図8】すれ違い用の配光パターンの説明図である。
【図9】本考案の車両用前照灯の第2の実施例を示し、すれ違い用の配光パターンの照射可能状態を表した要部の縦断面図である。
【図10】走行用の配光パターンの照射可能状態を表した要部の縦断面図である。
【図11】図9におけるIX矢視図である。
【符号の説明】
1 リフレクタ
2 放電灯(1個の光源)
3 ホルダ
4 シェード
5 移動機構
6 光源移動機構
7 シェード移動機構
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、1個の光源を装備した車両用前照灯に係り、特に1個の光源を装備した1個のランプユニットで所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる車両用前照灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1個の光源を装備した車両用前照灯は、レンズとリフレクタ(およびハウジング)とにより画成された灯室内に1個の光源を配設してなる。
かかる1個の光源からなる車両用前照灯は、図7に示すような前方までも照射する走行用の配光パターンが得られる走行用のランプユニットと、図8に示すような対向車にグレア光を与えないようにカットラインを有するすれ違い用の配光パターンが得られるすれ違い用のランプユニットとを1組として、車両の前部の左右にそれぞれ1組ずつ配置される。そして、スイッチの操作で、すれ違い用ランプユニットの光源を点灯すると、すれ違い用の配光パターンが得られ、また走行用のランプユニットの光源を点灯すると、走行用の配光パターンが得られる。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
ところが、上述の従来の車両用前照灯は、1個のランプユニットに1個の光源を配設したものであるから、1個のランプユニットでは1通りの配光パターンしか得られない。このために、走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとを得るためには、走行用のランプユニットとすれ違い用のランプユニットとをそれぞれ装備する必要があるなどの問題がある。
【0004】
本考案の目的は、1個の光源を装備した1個のランプユニットで所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる車両用前照灯を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案は、光源をホルダに保持し、そのホルダをリフレクタに移動可能に取り付け、一方リフレクタにシェードを移動可能に取り付け、前記ホルダに光源移動機構を装備し、前記ホルダを介して前記光源を、前記リフレクタの焦点近傍とその他の地点との間を往復移動させるように構成し、一方前記シェードに前記光源移動機構と連動するシェード移動機構を装備し、前記シェードを、前記光源が焦点近傍に位置する場合には光源からの光を遮断しないで走行用の配光パターンが得られる位置と、前記光源がその他の位置に位置する場合には光源からの光を遮断してすれ違い用の配光パターンが得られる位置との間を往復移動させるように構成したことを特徴とする。
【0006】
【作用】
本考案は、上記の構成により、光源移動機構とシェード移動機構とを連動させて、光源を焦点近傍に、シェードを光源からの光を遮断しない位置に、それぞれ移動させると、走行用の配光パターンが得られる。また、光源をその他の位置に、シェードを光源からの光を遮断する位置に、それぞれ移動させると、すれ違い用の配光パターンが得られる。このように、1個の光源を装備した1個のランプユニットで、所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる。
【0007】
【実施例】
以下、本考案の車両用前照灯の実施例のうちの2例を添付図面を参照して説明する。
図1乃至図8は本考案の車両用前照灯の第1の実施例を示す。
図において、1はリフレクタである。このリフレクタ1は、前面側を開口し、かつ後部側を閉塞してなる。このリフレクタ1の前面開口部側にレンズ(図示せず)を配設し、一方後部の中心に光源挿入用の挿入孔10を設けると共に、その後部の前面側(内面側)に例えば回転放物面の反射面11を設ける。このリフレクタ1は、後述する放電灯2からの光を反射面11で前方のレンズ側に反射させるものである。
図中、12は断面ほぼL字形をなすブラケットである。こんブラケット12を、前記いリフレクタ1の底面側壁にスクリュウ16などにより固定すると共に、リフレクタ1の後部側に空所を開けて位置させる。このブラケット12の水平板部とリフレクタ1の底面側壁とに長穴13を、後述する光軸Z−Z方向に設ける。前記ブラケット12の垂直板部に複数本のガイドピン14の一端を加締て固定すると共に、そのガイドピン14の他端をリフレクタ1側に向ける。このブラケット12の垂直板部に透孔15を前記ガイドピン14の植設方向と平行に設ける。
図中、Fは前記リフレクタ1の反射面11の焦点、Z−Zは前記リフレクタ1の反射面11の回転軸、すなわち光軸である。
【0008】
図において、2は1個の光源で、この例では放電灯である。この放電灯2は、発光管20を有する外管21と、その外管21の後部に設けた口金22と、その口金22から引き出したリード線23とからなる。
【0009】
図において、3はホルダである。このホルダ3は、図1に示すように、断面ほぼL字形をなし、一端部に筒形の光源保持部30を設け、一方他端にガイド穴31を設けると共に、進退凸部32を前記ガイド穴31の方向と平行に一体に突設する。
このホルダ3の保持部30に前記放電灯2の口金22を挿入してスクリュウ33により固定する。このホルダ3のガイド穴31に前記ブラケット12のガイドピン14を通すと共に、ホルダ3の進退凸部32をブラケット12の透孔15に進退可能に挿入する。この結果、1個の光源放電灯2は、ホルダ3を介してブラケット12すなわちリフレクタ1に対して、前記ガイドピン14および進退凸部32の突設方向に、移動可能に取り付けられることとなる。
前記ガイドピン14の他端にEリングなどのストッパ34を固定して、ホルダ3がガイドピン14から離脱するの防ぐ。また、前記ホルダ3の進退凸部32の先端にストッパ35を設け若しくは固定すると共に、そのストッパ35と前記ブラケット12との間に圧縮スプリング36を介在させる。
【0010】
図において、4はシェードである。このシェード4は、半円筒形(図3中、左側の縁は水平線より下方の位置に位置する。)をなし、中央の下面から脚部40を突設する。
41は一対のガイドレールである。このガイドレール41は、前記リフレクタ1およびブラケット12の長穴13の両側縁にスクリュウ42などにより、その長穴13に沿ってそれぞれ固定する。
43はベースである。このベース43は、前記一対のガイドレール41の間に前記長穴13方向にスライド可能に係合すると共に、下部45を前記長穴13中に通す。このベース43の上面に前記シェード4の脚部40をスクリュウ44などにより固定する。この結果、シェード4は、ベース43およびガイドレール41を介して、前記リフレクタ1およびブラケット12に対して、前記長穴13方向に、移動可能に取り付けられることとなる。
図において、5は光源移動機構およびシェード移動機構を兼用する移動機構である。この移動機構5は、前記ブラケット12にスクリュウ50などにより取り付けたモータ51およびギヤボックス52と、そのギヤボックス52の出力軸53に同心軸に固定したカム54およびギヤ55と、そのギヤ55と噛み合うラック56とからなる。前記カム54を前記ブラケット12の進退凸部32の先端面に当接し、一方前記ラック56を前記シェード4のベース43の下面に、前記ガイドレール41および長穴13の方向に、スクリュウ57などにより固定する。
この実施例における本考案の車両用前照灯は、以上の如き構成からなり、以下その操作作動について説明する。
まず、図1に示す状態、すなわち放電灯2の発光管20(光源)がリフレクタ1の焦点Fから前方(レンズ側)にかつ上方に離れた位置に位置し、またシェード4が放電灯2のほぼ下半分からの光を遮断するようにその放電灯2の真下に位置している状態において、放電灯2を点灯する。すると、図6に示すように、放電灯2の下半分からの光はシェード4により遮断されるが、その放電灯2の上半分からの光はリフレクタ1の反射面11で光軸ZーZに対してほぼ下向きに反射され、レンズを経て図8に示すようなすれ違い用の配光パターンが得られる。 次に、上述の状態からモータ51を駆動させて、カム54およびギヤ55を同時に図1中の矢印方向(時計方向)に回転させる。すると、カム54の外径が徐々に小さくなり、それに伴って進退凸部32がスプリング36の弾性力により右側に移動し、かつホルダ3がガイドピン14に沿って右側に移動する。この結果、前記ホルダ32を介して放電灯2の発光管20(光源)が図2に示すように、リフレクタ1の焦点F近傍に位置する。また、前記ギヤ55と噛み合うラック56が左側に移動し、それに伴ってベース43がガイドレール41および長穴13に沿って左側に移動する。この結果、前記ベース43を介してシェード4が図2に示すように、放電灯2の真下から左側に移動して放電灯2の下半分からの光を遮断しない位置に位置する。この状態において、放電灯2を点灯する。すると、図5に示すように、放電灯2からの光はリフレクタ1の反射面11で光軸ZーZに対してほぼ平行に反射され、レンズを経て図7に示すような走行用の配光パターンが得られる。
そして、上述の状態からモータ51を駆動させて、カム54およびギヤ55を図2中の反時計方向に回転させる。すると、カム54の外径が徐々に大きくなり、それに伴って進退凸部32がスプリング36の弾性力に抗して左側に移動し、かつホルダ3がガイドピン14に沿って左側に移動する。この結果、前記ホルダ32を介して放電灯2の発光管20(光源)が図1に示すように、リフレクタ1の焦点Fより前方かつ上方に離れた位置に位置する。また、前記ギヤ55と噛み合うラック56が右側に移動し、それに伴ってベース43がガイドレール41および長穴13に沿って右側に移動する。この結果、前記ベース43を介してシェード4が図1に示すように、放電灯2の左側から真下に移動して放電灯2の下半分からの光を遮断する位置に位置する。
このように、1個の光源としての放電灯2を装備した1個のランプユニットで、所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる。
【0011】
図9乃至図11は本考案の車両用前照灯の第2の実施例を示す。図中、図1乃至図8と同符号は同一のものを示す。
図において、6は光源移動機構である。この光源移動機構6は、エアシリンダ60と、一端を前記エアシリンダ60のピストンロッドに固定し、かつ他端をブラケット12を挿通してホルダ3に固定したワイヤ61と、そのワイヤ61を挿通し、一端を前記エアシリンダ60に固定し、かつ他端を前記ブラケット12に固定したワイヤガイド62とからなる。
図において7はシェード移動機構である。このシェード移動機構7は、エアシリンダ70と、一端を前記エアシリンダ70のピストンロッドに固定し、かつ他端をベース43に固定したワイヤ71と、そのワイヤ71を挿通し、一端を前記エアシリンダ70に固定し、かつ他端を前記ベース43に固定したワイヤガイド72とからなる。
【0012】
この実施例における本考案の車両用前照灯は、以上の如き構成からなり、以下その操作作動について説明する。
まず、図9に示す状態、すなわち放電灯2の発光管20(光源)がリフレクタ1の焦点Fから前方(レンズ側)にかつ上方に離れた位置に位置し、またシェード4が放電灯2のほぼ下半分からの光を遮断するようにその放電灯2の真下に位置している状態においては、すれ違い用の配光パターンが得られる。
この状態から光軸移動機構6のエアシリンダ60と、シェード移動機構7のエアシリンダ70とを連動させて後退させる。すると、ホルダ3がガイドピン14に沿って右側に移動する。この結果、ホルダ32を介して放電灯2の発光管20(光源)が図10に示すように、リフレクタ1の焦点F近傍に位置する。また、ベース43がガイドレール41に沿って左側に移動する。この結果、前記ベース43を介してシェード4が図10に示すように、放電灯2の真下から左側に移動して放電灯2の下半分からの光を遮断しない位置に位置する。この状態においては、走行用の配光パターンが得られる。
そして、上述の状態から光軸移動機構6のエアシリンダ60と、シェード移動機構7のエアシリンダ70とを連動させて前進させる。すると、ホルダ3がガイドピン14に沿って左側に移動する。この結果、ホルダ32を介して放電灯2の発光管20(光源)が図9に示すように、リフレクタ1の焦点Fから前方かつ上方の離れた位置に位置する。また、ベース43がガイドレール41に沿って右側に移動する。この結果、前記ベース43を介してシェード4が図9に示すように、放電灯2の左側から真下に移動して放電灯2の下半分からの光を遮断する位置に位置する。
この実施例のものは、上述の第1の実施例のものと同様の作用効果を達成することができる。
【0013】
なお、上述の実施例において、1個の光源としては放電灯2について説明したが、この放電灯以外の光源、例えば白熱灯などでも良い。
【0014】
【考案の効果】
以上から明らかなように、本考案の車両用前照灯は、リフレクタに移動可能に取り付けた1個の光源とシェードとに、光源移動機構とシェード移動機構とを、それぞれ装備したものであるから、前記光源移動機構とシェード移動機構とを連動させて、光源を焦点近傍に、シェードを光源からの光を遮断しない位置に、それぞれ移動させると、走行用の配光パターンが得られる。また、光源をその他の位置に、シェードを光源からの光を遮断する位置に、それぞれ移動させると、すれ違い用の配光パターンが得られる。従って、1個の光源を装備した1個のランプユニットで、所望の走行用の配光パターンとすれ違い用の配光パターンとが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の車両用前照灯の第1の実施例を示し、すれ違い用の配光パターンの照射可能状態を表した要部の縦断面図である。
【図2】走行用の配光パターンの照射可能状態を表した要部の縦断面図である。
【図3】図1におけるIII矢視図である。
【図4】図1におけるIV矢視図である。
【図5】走行用の配光パターンの照射状態を表した1個の光源とリフレクタとの概略を表した説明図である。
【図6】すれ違い用の配光パターンの照射状態を表した1個の光源とリフレクタとシェードとの概略を表した説明図である。
【図7】走行用の配光パターンの説明図である。
【図8】すれ違い用の配光パターンの説明図である。
【図9】本考案の車両用前照灯の第2の実施例を示し、すれ違い用の配光パターンの照射可能状態を表した要部の縦断面図である。
【図10】走行用の配光パターンの照射可能状態を表した要部の縦断面図である。
【図11】図9におけるIX矢視図である。
【符号の説明】
1 リフレクタ
2 放電灯(1個の光源)
3 ホルダ
4 シェード
5 移動機構
6 光源移動機構
7 シェード移動機構
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 レンズと、1個の光源と、その1個の光源からの光をレンズ側に反射させるリフレクタと、前記光源を保持し、前記リフレクタに移動可能に取り付けたホルダと、前記リフレクタに移動可能に取り付けたシェードと、前記ホルダに装備し、そのホルダを介して前記光源を、前記リフレクタの焦点近傍とその他の地点との間を往復移動させる光源移動機構と、前記シェードに装備し、前記光源移動機構と連動して前記シェードを、前記光源が焦点近傍に位置する場合には光源からの光を遮断しないで走行用の配光パターンが得られる位置と、前記光源がその他の位置に位置する場合には光源からの光を遮断してすれ違い用の配光パターンが得られる位置との間を往復移動させるシェード移動機構と、を備えたことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項1】 レンズと、1個の光源と、その1個の光源からの光をレンズ側に反射させるリフレクタと、前記光源を保持し、前記リフレクタに移動可能に取り付けたホルダと、前記リフレクタに移動可能に取り付けたシェードと、前記ホルダに装備し、そのホルダを介して前記光源を、前記リフレクタの焦点近傍とその他の地点との間を往復移動させる光源移動機構と、前記シェードに装備し、前記光源移動機構と連動して前記シェードを、前記光源が焦点近傍に位置する場合には光源からの光を遮断しないで走行用の配光パターンが得られる位置と、前記光源がその他の位置に位置する場合には光源からの光を遮断してすれ違い用の配光パターンが得られる位置との間を往復移動させるシェード移動機構と、を備えたことを特徴とする車両用前照灯。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【公開番号】実開平5−1102
【公開日】平成5年(1993)1月8日
【考案の名称】車両用前照灯
【国際特許分類】
【出願番号】実願平3−46228
【出願日】平成3年(1991)6月19日
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【公開日】平成5年(1993)1月8日
【考案の名称】車両用前照灯
【国際特許分類】
【出願日】平成3年(1991)6月19日
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
[ Back to top ]