説明

車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット、車両用灯具

【課題】光源ユニットを小型化すること。
【解決手段】この発明は、基板3と、複数個の発光チップ40〜44と、制御素子と、配線素子と、導電金属部材17と、給電部材91、92、93と、を備える。導電金属部材17は、基板3に埋設されている。前記導電金属部材17は、配線素子と電気的に接続されている。導電金属部材17は、給電部材91、92、93に機械的にかつ電気的に接続されている。この結果、この発明は、光源ユニット1を小型化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットに関するものである。また、この発明は、半導体型光源を光源とする車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の光源ユニットは、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の光源ユニットについて説明する。従来の光源ユニットは、ベース部に複数のLEDチップをアレイ状(縦横)に設け、かつ、ベース部に複数のプリント配線部を設け、LEDチップとプリント配線部とにワイヤをボンディングしてなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−21264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光源ユニットは、ベース部に複数のLEDチップの発光を制御する制御素子および複数のLEDチップに給電する給電部材を設けると、ベース部すなわち光源ユニットが大型化する傾向にある。かかる光源ユニットにおいては、バルブタイプの光源ユニットとほぼ同等の大きさに小型化することが重要である。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、光源ユニットを小型化することが重要であるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、基板と、基板に実装されている複数個の半導体型光源の発光チップと、基板に実装されていて発光チップの発光を制御する制御素子と、基板に実装されていて制御素子を介して発光チップに給電する配線素子と、基板に埋設されていて(埋め込まれていて)かつ配線素子と電気的に接続されている導電金属部材と、導電金属部材に機械的にかつ電気的に接続されていて発光チップに給電する給電部材と、を備える、ことを特徴とする。
【0007】
この発明(請求項2にかかる発明)は、基板が取り付けられていて基板で発生する熱を外部に放射させる放熱部材と、基板のうち発光チップに対応する箇所に埋設されていて発光チップで発生する熱を放熱部材に伝導させる導熱金属部材と、を備える、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項3にかかる発明)は、灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されている前記請求項1または2に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットと、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットは、配線素子と給電部材とを電気的に接続する仲介部材としての導電金属部材を基板に埋設するので、導電金属部材の基板の実装面における占有面積を大幅に縮小することができる。これにより、基板を小型化、すなわち、光源ユニット自体を小型化することができる。
【0010】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットは、導電金属部材を基板に埋設するので、導電金属部材と基板とを一体構造で製造することができる。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットは、導電金属部材に給電部材を機械的に接続することにより、導電金属部材を介して基板と給電部材との相対位置精度を向上させることができる。これにより、基板(光源部)側の発光チップを給電部材(ソケット部および光学部品としてのカバー部)側に対して高精度に位置決めすることができるので、光学性能を向上させることができ、かつ、光学性能のばらつきを低減することができる。
【0011】
その上、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットは、導電金属部材が基板に埋設されているので、基板と別個の導電金属部材と比較して、導電金属部材を基板に組み付ける工程を省略することができる。
【0012】
この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットは、導熱金属部材により、発光チップで発生する熱を基板から放熱部材に伝導させることができる。この結果、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットは、基板の熱伝導率を導熱金属部材の熱伝導率の分上げることができ、その熱伝導率を上げた分、基板および放熱部材の大きさを小さくすることができる。これにより、光源ユニット自体を小型化することができる。
【0013】
この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、前記の課題を解決するための手段により、前記の請求項1または2に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットと同様の効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの実施形態、および、この発明にかかる車両用灯具の実施形態を示し、光源ユニットを車両用灯具に組み付けた状態の縦断面図(垂直断面図)である。
【図2】図2は、光源ユニットの光源部とソケット部とを組み付けた状態を示す平面図である。
【図3】図3は、光源ユニットの光源部とソケット部の絶縁部材および放熱部材および給電部材とを示す分解斜視図である。
【図4】図4は、光源ユニットの光源部とソケット部とを示す分解斜視図である。
【図5】図5は、光源ユニットの光源部とソケット部とを組み付けた状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、光源ユニットの光源部を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図7】図7は、図2におけるVII−VII線断面図である。
【図8】図8は、光源ユニットの光源部の基板を示す拡大平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明にかかる車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの実施形態(実施例)およびこの発明にかかる車両用灯具の実施形態(実施例)を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、図2〜図7中においては、制御素子および配線素子の図示を省略してある。
【0016】
(構成の説明)
以下、この実施形態における車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットおよびこの実施形態における車両用灯具の構成について説明する。図1において、符号100は、この実施形態における車両用灯具である。図8において、符号「X−X」は、前記車両用灯具100を車両(図示せず)に装備した際の水平方向(左右方向)であり、かつ、符号「Y−Y」は、前記水平方向X−Xと直交する垂直方向(上下方向)である。
【0017】
(車両用灯具100の説明)
前記車両用灯具100は、この例では1灯式のテール・ストップランプである。すなわち、前記車両用灯具100は、1灯(1個のランプ、1個の灯具)でテールランプ機能とストップランプ機能とを併用するものである。前記車両用灯具100は、車両(図示せず)の後部の左右にそれぞれ装備される。前記車両用灯具100は、図示しない他のランプ機能(たとえば、バックアップランプ機能、ターンシグナルランプ機能)と組み合わせられてリヤコンビネーションランプを構成する場合がある。
【0018】
前記車両用灯具100は、図1に示すように、ランプハウジング101およびランプレンズ102およびリフレクタ103と、半導体型光源を光源とする光源ユニット、すなわち、この実施形態における車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット1と、前記光源ユニット1の前記半導体型光源の駆動回路(図示せず)と、を備えるものである。
【0019】
前記ランプハウジング101は、たとえば、光不透過性の部材(例えば、樹脂部材)から構成されている。前記ランプハウジング101は、一方が開口し、他方が閉塞されている中空形状をなす。前記ランプハウジング101の閉塞部には、透孔104が設けられている。前記透孔104は、円形形状をなす。前記透孔104の縁には、複数個の凹部(図示せず)と複数個のストッパ部(図示せず)とがほぼ等間隔に設けられている。
【0020】
前記ランプレンズ102は、たとえば、光透過性の部材(例えば、透明樹脂部材やガラス部材)から構成されている。前記ランプレンズ102は、一方が開口し、他方が閉塞されている中空形状をなす。前記ランプレンズ102の開口部の周縁部と前記ランプハウジング101の開口部の周縁部とは、水密に固定されている。前記ランプハウジング101および前記ランプレンズ102により、灯室105が区画されている。
【0021】
前記リフレクタ103は、前記光源ユニット1から放射される光を焦点F(図2参照)に集光するように配光制御する配光制御部である。前記リフレクタ103は、前記灯室105内に配置されていて、かつ、前記ランプハウジング101などに固定されている。前記リフレクタ103は、たとえば、光不透過性の部材(例えば、樹脂部材や金属部材)から構成されている。前記リフレクタ103は、一方が開口し、他方が閉塞されている中空形状をなす。前記リフレクタ103の閉塞部には、透孔106が前記ランプハウジング101の前記透孔104と連通するように設けられている。前記リフレクタ103の内面には、反射面107が設けられている。なお、前記リフレクタ103は、前記ランプハウジング101と別個の部材からなるものであるが、ランプハウジングと一体のリフレクタの場合であっても良い。この場合においては、ランプハウジングの一部に反射面を設けてリフレクタ機能を設けるものである。
【0022】
(光源ユニット1の説明)
前記光源ユニット1は、図2〜図8に示すように、光源部10と、ソケット部11と、光学部品としてのカバー部12と、を備える。前記光源部10および前記カバー部12は、前記ソケット部11の一端部(上端部)に取り付けられている。前記光源部10は、前記カバー部12によりカバーされている。
【0023】
前記光源ユニット1は、図1に示すように、前記車両用灯具100に装備されている。すなわち、前記ソケット部11が前記ランプハウジング101にパッキン(Oリング)108を介して着脱可能に取り付けられている。前記光源部10および前記カバー部12が前記ランプハウジング101の前記透孔104および前記リフレクタ103の前記透孔106を経て前記灯室105内であって、前記リフレクタ103の前記反射面107側に配置されている。
【0024】
(光源部10の説明)
前記光源部10は、図2〜図8に示すように、基板3と、前記半導体型光源の複数個この例では5個の発光チップ40、41、42、43、44(以下、「40〜44」と記載する場合がある)と、制御素子としての抵抗RS、RT、RPおよびダイオードDS、DTと、配線素子としての導体51、52、53、54、55、56(以下、「51〜56」と記載する場合がある)およびワイヤ6および導電性接着剤(図示せず)および実装パッド60およびワイヤパッド61と、導電金属部材17と、導熱金属部材170と、包囲壁部材18と、封止部材180と、を備えるものである。
【0025】
(基板3の説明)
前記基板3は、この例では、セラミックからなる。前記基板3は、図2〜図8に示すように、平面(上)から見てほぼ八角形の板形状をなす。前記基板3は、図6に示すように、この例では、3層300、301、302の積層構造をなす。一面(上面)側の層300の厚さおよび他面(下面)側の層301の厚さは、たとえば、約50μである。中間の層302の厚さは、上下の層よりも厚い。
【0026】
前記基板3には、図示していないが、嵌合部としての固定兼位置決め(位置出し)用の嵌合孔(もしくは嵌合凹部)が少なくとも2個(この例では、2個)設けられている。前記基板3の3辺(右辺、左辺、下辺)のほぼ中央には、前記ソケット部11の給電部材91、92、93が挿通する挿通孔31、32、33がそれぞれパンチングにより設けられている。前記基板3の一面(上面)には、平面の実装面34が設けられている。前記基板3の他面(下面)には、平面の当接面35が設けられている。なお、高反射部材のセラミック製の前記基板3の実装面34に、さらに高反射塗料や高反射蒸着などの高反射面30を設けても良い。
【0027】
前記基板3の前記実装面34には、前記5個の発光チップ40〜44および前記制御素子RS、RT、RP、DS、DTおよび前記配線素子51〜56、6、61、62および前記包囲壁部材18が実装されている(すなわち、印刷、焼成、蒸着、接着、嵌合などにより、設けられている)。
【0028】
図6、図7に示すように、前記基板3には、前記導電金属部材17と前記導熱金属部材170とがそれぞれ埋設されている。すなわち、前記基板3の前記挿通孔31、32、33に対応する上面層300と中間層302とには、パンチングにより凹部303が設けられている。前記凹部303中に前記導電金属部材17が埋設されている。前記基板3の前記5個の発光チップ40〜44に対応する下面層301と中間層302とには、パンチングにより孔部304が設けられている。前記孔部304中に前記導熱金属部材170が埋設されている。
【0029】
(発光チップ40〜44の説明)
前記5個の発光チップ40〜44からなる前記半導体型光源は、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施形態ではLED)を使用する。前記発光チップ40〜44は、図2〜図8に示すように、平面(上、前記基板3の実装面34に対して垂直方向)から見て微小な矩形(正方形もしくは長方形)形状の半導体チップ(光源チップ)からなり、この例では、ベアチップからなる。前記5個の発光チップ40〜44は、前記基板3に実装されている面以外の一正面および四側面から光を放射する。
【0030】
前記5個の発光チップ40〜44は、図2〜図8に示すように、光学系の前記リフレクタ103の焦点F、および、前記光源ユニット1の前記ソケット部11の中心(取付回転中心)O近傍に1個(40)配置されていて、かつ、前記焦点Fおよび前記中心Oを中心とする円周上に4個(41〜44)ほぼ等間隔の隙間を開けて配置されている。
【0031】
前記5個の発光チップ40〜44は、小電流が供給される発光チップであって、テールランプの光源である1個の発光チップ40すなわち第1グループの発光チップ40と、大電流(前記発光チップ40に供給される電流と比較して大電流)が供給される発光チップであって、ストップランプの光源である4個の発光チップ41〜44すなわち第2グループの発光チップ41〜44と、に区分されている。
【0032】
前記テールランプ機能(テールランプの光源)の1個の発光チップ40は、前記焦点Fおよび前記中心Oであって、円周上に配置されている前記ストップランプ機能(ストップランプの光源)の4個の発光チップ41〜44の中心に配置されている。すなわち、前記テールランプ機能の1個の発光チップ40は、前記5個の発光チップ40〜44の真中に位置する。前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44は、順方向(電流が流れる方向)に直列に接続されている。
【0033】
前記5個の発光チップ40〜44のうち、前記テールランプ機能の1個の発光チップ40は、前記基板3の中心Oであって後記放熱部材8の中心Oもしくはその近傍に配置されている。すなわち、前記テールランプ機能の1個の発光チップ40の中心と、前記基板3の中心O(後記放熱部材8の中心O)とは、一致もしくはほぼ一致する。
【0034】
(制御素子RS、RT、RP、DS、DTの説明)
前記制御素子は、図8に示すように、抵抗RS、RT、RPと、ダイオードDS、DTと、から構成されている。前記制御素子は、前記5個の発光チップ40〜44の発光を制御するものである。
【0035】
前記抵抗RS、RT、RPは、たとえば、薄膜抵抗もしくは厚膜抵抗もしくはSMDタイプの抵抗などからなる。前記抵抗RS、RTは、所定の駆動電流の値を得るための調整用の抵抗である。すなわち、前記発光チップ40〜44のVf(順方向電圧特性)のばらつきにより、前記発光チップ40〜44に供給される駆動電流の値が変化して前記発光チップ40〜44の明るさ(光束、輝度、光度、照度)においてばらつきが発生する。このために、前記抵抗RS、RTの値を調整して(トリミングして)前記発光チップ40〜44に供給される駆動電流の値を所定値にほぼ一定に設定することにより、前記発光チップ40〜44の明るさ(光束、輝度、光度、照度)のばらつきを調整(吸収)することができる。あるいは、直接、前記発光チップ40〜44の明るさ(光束、輝度、光度、照度)をモニターしながら前記発光チップ40〜44の明るさ(光束、輝度、光度、照度)が一定になるように前記抵抗RS、RTの値をトリミング調整することができる。前記トリミングは、たとえば、レーザーで前記抵抗RS、RTの一部を切り欠いてあるいは全部を切り欠いて(オープン)抵抗値を調整するものである。なお、オープンおよびトリミングにより抵抗値は増加する。
【0036】
前記抵抗RPは、ストップランプの光源である第2グループの4個の前記発光チップ41〜44の断線を検出するためのプルダウン抵抗である。前記抵抗RPは、ストップランプ機能の前記ダイオードDSの後段(カソード側)と、グランド側の前記給電部材93との間に直列に接続されている。
【0037】
前記テールランプ機能の1個の発光チップ40に直列に接続されている前記抵抗RTと、前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44に直列に接続されている前記抵抗RSと、前記ストップランプ機能のダイオードDSの後段に直列に接続されている前記抵抗RPとは、それぞれ1個、3個、2個配置されているが、抵抗の容量および調整する抵抗の可変幅により、配置する個数を変える場合がある。すなわち、前記抵抗RS、RT、RPの個数は、限定しない。なお、前記抵抗RSにおいて、図8に示すように、左側2個の抵抗RSは相互に並列に接続されていて、右側1個の抵抗RSは、左側2個の抵抗RSに直列に接続されている。
【0038】
前記大電流供給のストップランプ機能の発熱容量が大きい前記抵抗RSは、前記光源ユニット1を前記車両用灯具100に装備した際(図1参照)に、5個の前記発光チップ40〜44よりも上位の位置に位置するように配置されている。これは、熱が上昇する性質を利用することにより、前記抵抗RSにおいて発生した熱を、5個の前記発光チップ40〜44に影響を与えずに、上方に逃がすことができる。
【0039】
前記ダイオードDS、DTは、たとえば、ベアチップダイオードもしくはSMDダイオードなどからなる。前記テールランプ機能の1個の発光チップ40と前記抵抗RTとに直列に接続されているダイオードDTと、前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44と前記抵抗RSとに直列に接続されているダイオードDSとは、逆接防止機能および逆方向からのパルスノイズ保護機能のダイオードである。
【0040】
(配線素子51〜56、6、60、61の説明)
前記配線素子は、図8に示すように、導体(パターン、導体パターン)51〜56と、5本のワイヤ(配線ワイヤ、金ワイヤ、ボンディングワイヤ)6と、5個の実装パッド(ファーストパッド)60と、5個のワイヤパッド(セカンドパッド、ボンディング部、ボンディングパッド)61と、から構成されている。前記配線素子51〜56、6、60、61は、前記導電金属部材17を介して前記ソケット部11の給電部材91、92、93と電気的に接続されていて、前記制御素子RS、RT、RP、DS、DTを介して前記5個の発光チップ40〜44に給電するものである。
【0041】
前記導体51〜56は、たとえば、導電性部材の薄膜配線もしくは厚膜配線などからなる。前記導体51〜56には、前記抵抗RS、RT、RPおよび前記ダイオードDS、DTが接続されている。前記導体51〜56には、前記実装パッド60と前記ワイヤパッド61とがそれぞれ設けられている。前記導体51〜56のうち、前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44に大電流を供給する導体52〜56の面積は、ほぼ均等とする。これにより、前記導体52〜56において発生する熱を前記基板3を介して外部(後記放熱部材8)にほぼ均等に逃がすことができる。
【0042】
前記実装パッド60は、5個の前記発光チップ40〜44と同数個、この例では、5個配置されている。5個の前記実装パッド60には、5個の前記発光チップ40〜44が、銀ペーストなどの前記導電性接着剤を介して、それぞれ接着されている。前記実装パッド60は、平面(上、前記基板3の実装面34に対して垂直方向)から見て微小な矩形(正方形もしくは長方形)形状をなす。
【0043】
前記ワイヤパッド61は、5個の前記発光チップ40〜44と同数個、この例では、5個設けられている(実装されている)。前記ワイヤパッド61は、平面(上、前記基板3の実装面34に対して垂直方向)から見て微小な矩形(正方形もしくは長方形)形状をなす。
【0044】
前記ワイヤ6は、5個の前記発光チップ40〜44と同数本、この例では、5本ボンディングされている。すなわち、5本の前記ワイヤ6の両端は、5個の前記発光チップ40〜44と5個の前記ワイヤパッド61とにそれぞれ電気的に接続されている。前記発光チップ40〜44の前記ワイヤ6がボンディングされる箇所と、前記発光チップ40〜44の前記導電性接着剤を介して前記実装パッド60に接着される箇所とには、電極がそれぞれ設けられている。
【0045】
(導電金属部材17の説明)
前記導電金属部材17は、導電性の金属、この例では、前記基板(セラミック基板)3の焼成時に耐えられる銅系合金(CuW、CuMoなど)からなる。特に、前記基板(セラミック基板)3の線膨張率とほぼ同等もしくは近傍の線膨張率を有するCuWからなる。前記導電金属部材17は、四角筒形状をなす。前記導電金属部材17は、前記基板3の上面層300および中間層302の前記凹部303中に埋設されている。前記導電金属部材17の一面(上面)と前記基板3の実装面34とは、面一である。前記導電金属部材17の他面(下面)の一部は、前記基板3の下面層301により覆われている。
【0046】
前記導電金属部材17は、前記光源部10と前記ソケット部11とを電気的に接続するものである。前記導電金属部材17の一面には、前記光源部10の前記基板3の実装面34に実装されている前記配線素子の導体51、52、53が半田または導電性接着剤(図示せず)により、電気的に接続されている。前記導電金属部材17には、前記ソケット部11の給電部材91〜93の一端部がたとえば溶接(レザー溶接)などにより電気的にかつ機械的に接続されている。
【0047】
(導熱金属部材170の説明)
前記導熱金属部材170は、熱伝導率が高い金属、この例では、前記導電金属部材17と同様に、前記基板(セラミック基板)3の焼成時に耐えられる銅系合金(CuW、CuMoなど)からなる。特に、前記基板(セラミック基板)3の線膨張率とほぼ同等もしくは近傍の線膨張率を有するCuWからなる。前記導熱金属部材170は、円形もしくは四角形(形状は限定しない)の板形状をなす。前記導熱金属部材170は、前記基板3の下面層301および中間層302の前記孔部304中に埋設されている。前記導熱金属部材170の一面(上面)は、前記基板3の上面層300により覆われている。前記導熱金属部材170の他面(下面)と前記基板3の当接面35とは、面一である。前記導熱金属部材170は、前記発光チップ40〜44で発生する熱であって、前記基板3の上面層300を通して伝達された熱を前記ソケット部11の放熱部材8に伝導させるものである。
【0048】
(包囲壁部材18の説明)
前記包囲壁部材18は、絶縁性部材たとえば樹脂、この例では、前記封止部材180の膨張収縮に追随できる柔軟性を持つエラストマー性を有する樹脂(熱可塑性エラストマー、オレフィン系TPO樹脂)から構成されている。前記包囲壁部材18は、図2〜図7に示すように、5個の前記発光チップ40〜44全部と、前記配線素子の一部(すなわち、前記導体51〜56の一部および5本の前記ワイヤ6全部および5個の前記実装パッド60全部および5個の前記ワイヤパッド61全部)を包囲する円環状形状をなすものである。すなわち、前記包囲壁部材18は、中央部が中空部181であり、かつ、周囲部が壁部182である円環状形状をなすものである。前記包囲壁部材18の前記壁部182の肉厚(前記壁部182の内周面から外周面までの厚さ)は、ほぼ均一(均等)である。
【0049】
前記包囲壁部材18は、前記発光チップ40〜44および前記配線素子の前記ワイヤ6の高さよりも十分な高さを有する。前記包囲壁部材18は、前記封止部材180を充填(注入、モールド、モールディング)する容量(範囲)を小容量に規制する部材(土手、ダム)である。前記包囲壁部材18の前記壁部182の一端面(下端面)には、嵌合部としての固定兼位置決め(位置出し)用の嵌合凸部(図示せず)が少なくとも2個(この例では、2個)前記基板3の前記嵌合孔と対応して設けられている。前記嵌合凸部と前記嵌合孔とを相互に嵌合することにより、前記包囲壁部材18と前記基板3とは、相互に固定されかつ位置決めされる。
【0050】
前記嵌合凸部と前記嵌合孔とにより前記基板3と相互に固定されかつ位置決めされた前記包囲壁部材18の前記壁部182の一端面(下端面)は、前記基板3の前記実装面34に接着剤(図示せず)により接着固定(実装)されている。前記接着剤は、この例では、前記発光チップ40〜44の上限温度近傍にガラス転移温度を有し、かつ、ガラス転移温度の約20°C前から弾性率が低下するエポキシ樹脂を使用する。
【0051】
前記基板3に実装された前記包囲壁部材18の前記中空部181中であって、前記基板3の前記実装面34と前記包囲壁部材18の前記壁部182の内周面とにより区画されている空間中には、5個の前記発光チップ40〜44と5個の前記ワイヤパッド61とがそれぞれ実装されていて、5本の前記ワイヤ6がそれぞれボンディングされていて、前記封止部材180が充填されている。前記封止部材180を前記包囲壁部材18の前記中空部181中に充填するための箇所は、前記ワイヤ6が配線されていない箇所である。
【0052】
前記包囲壁部材18の前記壁部182の内周面には、前記発光チップ40〜44(特に、前記発光チップ40〜44の四側面)から放射される光(図示せず)を所定の方向(たとえば、前記発光チップ40〜44の一正面から放射される光の方向とほぼ同方向)に反射させる反射面184が設けられている。前記反射面184は、前記壁部182の内周面の一端(下端)から他端(上端)にかけて末広がりに傾斜している。前記反射面184は、前記包囲壁部材18全体を高反射率の部材で構成したり、たとえば、エラストマー性樹脂に酸化チタンを含有して前記包囲壁部材18全体を白色化したり、あるいは、前記包囲壁部材18の前記壁部182の内周面のみを高反射率の部材で構成したりして形成する。
【0053】
(封止部材180の説明)
前記封止部材180は、光透過性部材、たとえば、エポキシ樹脂から構成されている。前記封止部材180は、この例では、前記接着剤とほぼ同様に、前記発光チップ40〜44の上限温度近傍にガラス転移温度を有し、かつ、ガラス転移温度の約20°C前から弾性率が低下するエポキシ樹脂を使用する。
【0054】
前記封止部材180は、前記基板3に、前記発光チップ40〜44が実装され、かつ、前記ワイヤ6がボンディング配線された後に、前記基板3に実装された前記包囲壁部材18の前記中空部181中であって、前記基板3の前記実装面34と前記包囲壁部材18の前記壁部182の内周面とにより区画されている空間中に充填される。前記封止部材180が硬化することにより、5個の前記発光チップ40〜44全部と、前記導体51〜56の一部および前記ワイヤ6全部および前記実装パッド60全部および前記ワイヤパッド61全部および前記導電性接着剤が前記封止部材180により封止されることとなる。
【0055】
前記封止部材180は、5個の前記発光チップ40〜44全部と、前記導体51〜56の一部および前記ワイヤ6全部および前記実装パッド60全部および前記ワイヤパッド61全部および前記導電性接着剤を外からの影響、たとえば、他のものが接触したり、塵埃が付着したりするのを防ぎ、かつ、紫外線や硫化ガスやNOxや水から保護するものである。すなわち、前記封止部材180は、前記5個の発光チップ40〜44などを外乱から保護するものである。
【0056】
(ソケット部11の説明)
前記ソケット部11は、図2〜図5、図7に示すように、絶縁部材7と、放熱部材8と、3本の給電部材91、92、93と、を備えるものである。熱伝導性と導電性を有する前記放熱部材8と、導電性を有する前記給電部材91〜93とは、絶縁性を有する前記絶縁部材7中に、相互に絶縁状態で一体に組み込まれている。
【0057】
前記ソケット部11は、前記絶縁部材7と、前記放熱部材8と、前記給電部材91〜93との一体構造からなるものである。たとえば、前記絶縁部材7と前記放熱部材8と前記給電部材91〜93とをインサート成形(一体成形)により一体に構成している構造である。あるいは、前記絶縁部材7と前記給電部材91〜93とをインサート成形(一体成形)により一体に構成し、一体構成の前記絶縁部材7および前記給電部材91〜93に前記放熱部材8を一体に取り付けてなる構造である。あるいは、前記絶縁部材7に前記給電部材91〜93を一体に組み付け、一体組付の前記絶縁部材7および前記給電部材91〜93に前記放熱部材8を一体に取り付けてなる構造である。
【0058】
(絶縁部材7の説明)
前記絶縁部材7は、前記光源ユニット1を前記車両用灯具100に、着脱可能にあるいは固定的に取り付けるための取付部が設けられているものである。前記絶縁部材7は、たとえば、絶縁性の樹脂部材からなる。前記絶縁部材7は、外径が前記ランプハウジング101の前記透孔104の内径より若干小さいほぼ円筒形状をなす。前記絶縁部材7の一端部(上端部)には、円板形状の鍔部71が一体に設けられている。前記絶縁部材7の一端部(上端部)には、複数個この例では4個の取付部70が、前記ランプハウジング101の前記凹部と対応させて、一体に設けられている。なお、前記取付部70は、図3〜図5において3個しか図示されていない。
【0059】
前記取付部70は、前記光源ユニット1を前記車両用灯具100に装備するものである。すなわち、前記ソケット部11の前記カバー部12側の一部および前記取付部70を前記ランプハウジング101の前記透孔104および前記凹部中に挿入する。その状態で、前記ソケット部11を中心O軸回りに回転させて、前記取付部70を前記ランプハウジング101の前記ストッパ部に当てる。この時点において、前記取付部70と前記鍔部71とが前記パッキン108を介して前記ランプハウジング101の前記透孔104の縁部を上下から挟み込む(図1参照)。
【0060】
この結果、前記光源ユニット1の前記ソケット部11は、図1に示すように、前記車両用灯具100の前記ランプハウジング101に前記パッキン108を介して着脱可能にあるいは固定的に取り付けられる。この時点において、図1に示すように、ソケット部11のうちランプハウジング101から外側に突出している部分(図1中のランプハウジング101よりも下側の部分)がソケット部11のうち灯室105内に収納されている部分(図1中のランプハウジング101よりも上側の部分)よりも大である。
【0061】
前記絶縁部材7の一端面(上端面)には、凸部72が一体に設けられている。前記絶縁部材7の他端部(下端部)には、光源側のコネクタ部13が一体に設けられている。前記コネクタ部13には、電源側のコネクタ14が機械的に着脱可能にかつ電気的に断続可能に取り付けられている。
【0062】
(放熱部材8の説明)
前記放熱部材8は、前記光源部10で発生する熱を外部に放射させるものである。前記放熱部材8は、たとえば、熱伝導性(導電性をも有する)のアルミダイカストや樹脂部材からなる。前記放熱部材8は、一端部(上端部)84が円板形状をなし、中間部から他端部(下端部)85にかけてフィン形状をなす。前記放熱部材8の一端部の上面には、当接面80が設けられている。前記放熱部材8の当接面80には、前記基板3の前記当接面35が相互に当接されている状態で、熱伝導性媒体(図示せず)により接着されている。この結果、前記発光チップ40〜44は、前記基板3を介して前記放熱部材8の中心O(前記ソケット部11の中心O)近傍部分が位置する箇所に対応して位置することとなる。
【0063】
前記熱伝導性媒体は、たとえば、熱伝導性接着剤であって、材質として、エポキシ系樹脂接着剤、シリコン系樹脂接着剤、アクリル系樹脂接着剤などからなり、形態として、液状形態、流動状形態、テープ形態などからなる。なお、前記熱伝導性媒体は、熱伝導性接着剤のほかに、熱伝導性グリースであっても良い。
【0064】
前記放熱部材8の3辺(右辺、左辺、下辺)のほぼ中央には、切欠81、82、83が、前記基板3の前記挿通孔31〜33および前記絶縁部材7の前記凸部72にそれぞれ対応して設けられている。前記放熱部材8の切欠81〜83および前記基板3の前記挿通孔31〜33には、前記3本の給電部材91〜93がそれぞれ配置されている。前記放熱部材8と前記給電部材91〜93との間には、前記絶縁部材7が介在されている。前記放熱部材8は、前記絶縁部材7に密着している。前記給電部材91〜93は、前記絶縁部材7に密着している。
【0065】
前記放熱部材8の中間部には、円板形状の鍔部86が前記絶縁部材7の前記鍔部71に対応して一体に設けられている。図7に示すように、前記鍔部86の前記一端部84側の面には、食い込み凹部87(もしくは食い込み凸部)が円環状に2本(もしくは1本、複数本)設けられている。前記絶縁部材7と前記放熱部材8とをインサート成形(一体成形)した際に、前記絶縁部材7の樹脂が前記放熱部材8の前記食い込み凹部87に食い込む。この結果、前記絶縁部材7と前記放熱部材8との間の高い水密性が維持される。なお、図3においては、前記食い込み凹部87の図示を省略してある。
【0066】
(給電部材91〜93の説明)
前記給電部材91〜93は、前記光源部10に給電するものである。前記給電部材91〜93は、たとえば、導電性の金属部材からなる。前記給電部材91〜93の一端部(上端部)は、末広形状をなしていて、前記放熱部材8の切欠81〜83および前記基板3の前記挿通孔31〜33および前記導電金属部材17中にそれぞれ位置する。前記給電部材91〜93の一端部は、前記絶縁部材7の前記凸部72から突出して、前記導電金属部材17にたとえば溶接(レザー溶接)などにより電気的にかつ機械的に接続されている。
【0067】
前記給電部材91〜93の他端部(下端部)は、窄まった形状をなしていて、前記コネクタ部13中に配置されている。前記給電部材91〜93の他端部は、オスターミナル(おす型端子)910、920、930を構成するものである。
【0068】
(コネクタ部13およびコネクタ14の説明)
前記コネクタ14には、前記コネクタ部13の前記オスターミナル910〜930に電気的に断続するメスターミナル(めす型端子)(図示せず)が設けられている。前記コネクタ14を前記コネクタ部13に取り付けることにより、前記メスターミナルが前記オスターミナル910〜930に電気的に接続する。また、前記コネクタ14を前記コネクタ部13から取り外すことにより、前記メスターミナルと前記オスターミナル910〜930との電気的接続が遮断される。
【0069】
図1に示すように、前記コネクタ14の前記メスターミナルのうちの第1メスターミナルおよび第2メスターミナルは、ハーネス144、145およびスイッチ(図示せず)を介して電源(直流電源のバッテリー)(図示せず)に接続されている。前記コネクタ14の前記メスターミナルのうちの第3メスターミナルは、ハーネス146を介してアースされている(グランドされている)。前記コネクタ部13および前記コネクタ14は、3ピン(前記3本の給電部材91〜93、前記3本のオスターミナル910〜930、前記3本のメスターミナル)タイプのコネクタ部およびコネクタである。
【0070】
(カバー部12の説明)
前記カバー部12は、光透過性部材からなる。前記カバー部12には、前記5個の発光チップ40〜44からの光を光学制御して射出するプリズムなどの光学制御部(図示せず)が設けられている。前記カバー部12は、光学部品である。
【0071】
前記カバー部12は、図1に示すように、前記光源部10をカバーするように、円筒形状の前記ソケット部11の一端部(一端開口部)に取り付けられている。前記カバー部12は、前記封止部材180と共に、前記5個の発光チップ40〜44を外からの影響、たとえば、他のものが接触したり、塵埃が付着したりするのを防ぎ、かつ、紫外線や硫化ガスやNOxや水から保護するものである。すなわち、前記カバー部12は、前記5個の発光チップ40〜44を外乱から保護するものである。また、前記カバー部12は、前記5個の発光チップ40〜44以外に、前記制御素子の前記抵抗RS、RT、RP、前記ダイオードDS、DTおよび前記配線素子の前記導体51〜56、前記ワイヤ6、前記実装パッド60、前記ワイヤパッド61、前記導電性接着剤をも外乱から保護するものである。なお、前記カバー部12には、通気孔(図示せず)を設ける場合がある。
【0072】
(作用の説明)
この実施形態における車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット1およびこの実施形態における車両用灯具100(以下、「この実施形態における光源ユニット1および車両用灯具100」と称する)は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0073】
まず、スイッチをテールランプ点灯に操作する。すると、電流(駆動電流)は、テールランプ機能の制御素子および配線素子を経て、テールランプ機能の1個の発光チップ40に供給される。この結果、テールランプ機能の1個の発光チップ40が発光する。
【0074】
このテールランプ機能の1個の発光チップ40から放射された光は、封止部材180、空気層、光源ユニット1のカバー部12を透過して配光制御される。なお、発光チップ40から放射された光の一部は、基板3の高反射面30でカバー部12側に反射される。配光制御された光は、車両用灯具100のランプレンズ102を透過して再度配光制御されて外部に照射される。これにより、車両用灯具100は、テールランプ機能の配光を外部に照射する。
【0075】
つぎに、スイッチをストップランプ点灯に操作する。すると、電流(駆動電流)は、ストップランプ機能の制御素子および配線素子を経て、ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44に供給される。この結果、ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44が発光する。
【0076】
このストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44から放射された光は、封止部材180、空気層、光源ユニット1のカバー部12を透過して配光制御される。なお、発光チップ41〜44から放射された光の一部は、基板3の高反射面30でカバー部12側に反射される。配光制御された光は、車両用灯具100のランプレンズ102を透過して再度配光制御されて外部に照射される。これにより、車両用灯具100は、ストップランプ機能の配光を外部に照射する。このストップランプ機能の配光は、前記のテールランプ機能の配光と比較して、明るい(光束、輝度、光度、照度が大である)。
【0077】
それから、スイッチを消灯に操作する。すると、電流(駆動電流)は、遮断される。この結果、1個の発光チップ40もしくは4個の発光チップ41〜44は、消光する。これにより、車両用灯具100は、消灯する。
【0078】
ここで、光源部10の発光チップ40〜44および制御素子の抵抗およびダイオードおよび配線素子の導体において発生した熱は、基板3および導熱金属部材170および熱伝導性媒体を介して放熱部材8に伝達し、この放熱部材8から外部に放射される。
【0079】
(効果の説明)
この実施形態における光源ユニット1および車両用灯具100は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0080】
この実施形態における光源ユニット1および車両用灯具100は、配線素子の導体51、52、53と給電部材91、92、93とを電気的に接続する仲介部材としての導電金属部材17を基板3に埋設するので、導電金属部材17の基板3の実装面34における占有面積を大幅に縮小することができる。これにより、基板3を小型化、すなわち、光源ユニット1自体を小型化することができる。
【0081】
しかも、この実施形態における光源ユニット1および車両用灯具100は、導電金属部材17を基板3に埋設するので、導電金属部材17と基板3とを一体構造で製造することができる。この結果、この実施形態における光源ユニット1および車両用灯具100は、導電金属部材17に給電部材91、92、93を溶接(レザー溶接)などにより機械的に接続することにより、導電金属部材17を介して基板3と給電部材91、92、93との相対位置精度を向上させることができる。これにより、基板3(光源部10)側の発光チップ40〜44を給電部材91、92、93(ソケット部11および光学部品としてのカバー部12)側に対して高精度に位置決めすることができるので、光学性能を向上させることができ、かつ、光学性能のばらつきを低減することができる。
【0082】
その上、この実施形態における光源ユニット1および車両用灯具100は、導電金属部材17が基板3に埋設されているので、基板3と別個の導電金属部材と比較して、導電金属部材17を基板3に組み付ける工程を省略することができる。
【0083】
この実施形態における光源ユニット1および車両用灯具100は、導熱金属部材170により、発光チップ40〜44で発生する熱を基板3から放熱部材8に伝導させることができる。この結果、この実施形態における光源ユニット1および車両用灯具100は、基板3の熱伝導率を導熱金属部材170の熱伝導率の分上げることができ、その熱伝導率を上げた分、基板3および放熱部材8の大きさを小さくすることができる。これにより、光源ユニット1自体を小型化することができる。
【0084】
この実施形態における光源ユニット1および車両用灯具100は、導電金属部材17と導熱金属部材170とを基板3に同時に埋設することにより、基板3の製造工程を簡略化して製造コストを安価に抑制することができる。
【0085】
ここで、導電金属部材17および導熱金属部材170を、基板(セラミック基板)3の線膨張率とほぼ同等もしくは近傍の線膨張率を有する金属(CuW)から構成することにより、導電金属部材17および導熱金属部材170と基板3との間の熱膨張熱収縮によって発生する応力を軽減することができる。この結果、発光チップ40〜44の剥離やワイヤ6の断線などを確実に防止することができる。
【0086】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、5個の発光チップ40〜44を使用するものである。ところが、この発明においては、発光チップとして、2個〜4個、6個以上であっても良い。テールランプ機能として使用する発光チップの個数やレイアウト、および、ストップランプ機能として使用する発光チップの個数やレイアウトは、特に限定しない。すなわち、複数個の発光チップが一列にあるいは円周上に実装されていれば良い。しかも、複数個の発光チップを円周上に配置する場合において、円周の中心に発光チップを配置しなくても良い。その上、2個以上の発光チップを円周上に配置する場合において、等間隔に配置しなくても良い。
【0087】
また、前記の実施形態においては、テール・ストップランプの複機能のランプに使用するものである。ところが、この発明においては、テール・ストップランプの複機能のランプ以外のコンビネーションランプの複機能のランプにも使用することができる。すなわち、小電流が供給され発光量が小さい発光チップと大電流が供給され発光量が大きい発光チップとを、発光量が小さいサブフィラメントと発光量が大きいメインフィラメントとに、代用することができる。
【0088】
さらに、前記の実施形態においては、テール・ストップランプの複機能のランプに使用するものである。ところが、この発明においては、単機能のランプにも使用することができる。すなわち、複数個の発光チップをシングルフィラメントに代用して単機能のランプに使用することができる。単機能のランプとしては、ターンシグナルランプ、バックアップランプ、ストップランプ、テールランプ、ヘッドランプのロービームランプ(すれ違い用ヘッドランプ)、ヘッドランプのハイビームランプ(走行用ヘッドランプ)、フォグランプ、クリアランスランプ、コーナリングランプ、ディタイムランニングランプなどがある。
【0089】
さらにまた、前記の実施形態においては、テールランプとストップランプとの2個のランプの切替に使用するものである。ところが、この発明においては、3個以上のランプの切替にも使用でき、または、切替を行わない1個のランプにも使用できる。
【0090】
さらにまた、前記の実施形態においては、ソケット部11にコネクタ部13を一体に設けたものである。ところが、この発明においては、ソケット部11にコネクタ部13を一体に設けなくても良い。この場合においては、ソケット部11と別個に光源側のコネクタを設け、この光源側のコネクタをハーネスを介して光源ユニット1の給電部材(実施形態の給電部材91〜93参照)に電気的に接続するものである。この光源側のコネクタに電源側のコネクタ14を取り付けることにより、光源部10に電気が供給され、また、光源側のコネクタから電源側のコネクタ14を取り外すことにより、光源部10への電気供給が遮断される。
【0091】
さらにまた、前記の実施形態においては、基板3に嵌合孔(嵌合凹部)を設け、一方、包囲壁部材18に嵌合凸部を設けたものである。ところが、この発明においては、基板3に嵌合凸部を設け、一方、包囲壁部材18に嵌合孔(嵌合凹部)を設けても良いし、また、基板3に嵌合孔(嵌合凹部)と嵌合凸部とをそれぞれ設け、一方、包囲壁部材18に嵌合凸部と嵌合孔(嵌合凹部)とをそれぞれ設けても良い。
【0092】
さらにまた、前記の実施形態においては、ソケット部11の放熱部材8のフィン形状の他端部85が絶縁部材7から露出しているものである。ところが、この発明においては、ソケット部11の放熱部材8の他端部が絶縁部材7で覆われているものであっても良い。
【0093】
さらにまた、前記の実施形態においては、電源側のコネクタ14のコネクタ部13への取付方向と光源ユニット1の車両用灯具100への取付方向とが一致する(平行である)ものである。ところが、この発明においては、電源側のコネクタ14のコネクタ部13への取付方向と光源ユニット1の車両用灯具100への取付方向とが交差(直交)するものであっても良い。
【0094】
さらにまた、前記の実施形態においては、ソケット部11が絶縁部材7と放熱部材8と3本の給電部材91、92、93とを備えるものである。ところが、この発明においては、ソケット部11として放熱部材8がないものでも良い。
【0095】
さらにまた、前記の実施形態においては、基板3にワイヤパッド61および実装パッド60を実装した後に、その基板3に包囲壁部材18を実装し、それから、その基板3に発光チップ40〜44を実装しかつワイヤ6をボンディングするものである。ところが、この発明においては、包囲壁部材の実装工程と、発光チップの実装工程およびワイヤのボンディング工程とを入れ替えても良い。
【0096】
さらにまた、前記の実施形態においては、封止部材180としてエポキシ樹脂を使用するものである。ところが、この発明においては、封止部材180としてエポキシ樹脂以外の樹脂、たとえば、シリコンを使用しても良い。
【0097】
さらにまた、前記の実施形態においては、包囲壁部材18としてエラストマー性樹脂を使用するものである。ところが、この発明においては、包囲壁部材18としてエラストマー性樹脂以外の樹脂を使用しても良い。ただし、封止部材180としてエポキシ樹脂を使用した場合においては、エポキシ樹脂の膨張収縮による応力の緩和のために、包囲壁部材18としてエラストマー性樹脂を使用する。
【0098】
さらにまた、前記の実施形態においては、包囲壁部材18の壁部182の内周面の一端(下端)から他端(上端)にかけて末広がりに傾斜している反射面184が設けられているものである。ところが、この発明においては、包囲壁部材の壁部の内周面に反射面を設けなくても良い。この場合において、包囲壁部材の壁部の内周面は、傾斜面ではなく、垂直面であっても良い。
【0099】
さらにまた、前記の実施形態においては、包囲壁部材18の壁部182の肉厚(壁部182の内周面から外周面までの厚さ)がほぼ均一(均等)である。ところが、この発明においては、包囲壁部材の壁部の肉厚がほぼ均一でなくても良い。
【0100】
さらにまた、前記の実施形態においては、包囲壁部材18の壁部182の内周面の形状が円形状、すなわち、基板3の実装面34に対して垂直方向に見て、4個の発光チップ41〜44の円周と同心円の円形状である。ところが、この発明においては、包囲壁部材18の壁部182の内周面の形状が、楕円形状、あるいは、楕円を基調とした形状(すなわち、基準楕円の長軸方向の両端部の曲線を基準楕円の中心側に変位させた形状)であっても良い。この場合においては、複数個の発光チップを楕円あるいは基準楕円の長軸方向に一列に配置する。
【0101】
さらにまた、前記の実施形態においては、導熱金属部材170を基板3に埋設したものである。ところが、この発明においては、導熱金属部材170を基板3に埋設しなくても良い。この場合においては、基板3には、導電金属部材17のみが埋設されることとなる。
【0102】
さらにまた、前記の実施形態においては、基板3が3層300、301、302の積層構造からなるものである。ところが、この発明においては、基板が2層の積層構造、もしくは、4層以上の積層構造であっても良い。
【符号の説明】
【0103】
100 車両用灯具
101 ランプハウジング
102 ランプレンズ
103 リフレクタ
104 透孔
105 灯室
106 透孔
107 反射面
108 パッキン
1 光源ユニット
10 光源部
11 ソケット部
12 カバー部
13 コネクタ部
14 コネクタ
144、145、146 ハーネス
17 導電金属部材
170 導熱金属部材
18 包囲壁部材
180 封止部材
181 中空部
182 壁部
184 反射面
3 基板
30 高反射面
31、32、33 挿通孔
34 実装面
35 当接面
300 上面層
301 下面層
302 中間層
303 凹部
304 孔部
40、41、42、43、44 発光チップ
51、52、53、54、55、56 導体(配線素子)
6 ワイヤ(配線素子)
60 実装パッド(配線素子)
61 ワイヤパッド(配線素子)
7 絶縁部材
70 取付部
71 鍔部
72 凸部
8 放熱部材
80 当接面
81、82、83 切欠
84 一端部
85 他端部
86 鍔部
87 食い込み凹部
91、92、93 給電部材
910、920、930 オスターミナル
DS、DT ダイオード(制御素子)
F 焦点
O 中心
RS、RT、RP 抵抗(制御素子)
X−X 水平方向(左右方向)
Y−Y 垂直方向(上下方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットにおいて、
基板と、
前記基板に実装されている複数個の半導体型光源の発光チップと、
前記基板に実装されていて、前記発光チップの発光を制御する制御素子と、
前記基板に実装されていて、前記制御素子を介して前記発光チップに給電する配線素子と、
前記基板に埋設されていて、かつ、前記配線素子と電気的に接続されている導電金属部材と、
前記導電金属部材に機械的にかつ電気的に接続されていて、前記発光チップに給電する給電部材と、
を備える、
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項2】
前記基板が取り付けられていて、前記基板で発生する熱を外部に放射させる放熱部材と、
前記基板のうち前記発光チップに対応する箇所に埋設されていて、前記発光チップで発生する熱を前記放熱部材に伝導させる導熱金属部材と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項3】
半導体型光源を光源とする車両用灯具において、
灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されている前記請求項1または2に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットと、
を備える、ことを特徴とする車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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