説明

車両用灯具

【課題】 発光素子および偏光レンズの配置に自由度をもたせ、この際において、灯室から出射される光の輝度の均一化を図った車両用灯具を提供する。
【解決手段】 車両の前方向あるいは後方向に沿って、発光素子(14)を搭載する基板(12)、発光素子(14)を被って配置される偏光レンズ(20)、並設された複数のプリズム(32)を備えるプリズムレンズ(30)が順次に配設されて内蔵されて構成される。基板(14)、偏光レンズ(20)、プリズムレンズ(30)は、車両の走方向あるいは後方向に対して傾斜して配置されている。偏光レンズ(20)は、発光素子(14)からの光をプリズムレンズ(30)の照射目標範囲に照射されるように連続した自由曲面を有して構成されている。プリズムレンズ(30)は、偏光レンズ(20)からの光を車両の前方向あるいは後方向に指向させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に係り、特に、発光ダイオード等の発光素子を光源とする車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用灯具の光源として、発光ダイオード等の発光素子が採用されるようになってきている。
【0003】
この場合、発光ダイオードからの光をたとえばスクリーンに照射させた場合の照射領域が上下幅の狭い横長形状となるようにできることが要望される場合がある。
【0004】
このため、たとえば下記特許文献1に開示されているように、該発光ダイオードの光照射方向における前方にいわゆる偏光レンズを配置させたものが知られている。この偏光レンズは、横長の形状をなし、その横方向にほぼ同型の二つの凸レンズを互いに重ね合わせ部をもつようにして並設させた形状からなる非球面レンズとなっている。発光ダイオードは、該偏光レンズの前記重ね合わせ部に対向するようにして配置されるようになっている。これにより、発光ダイオードからの光は前記二つの凸レンズによって横方向に偏光されて照射されるとともに、この光の輝度は、各凸レンズの前記重ね合わせ部を通した発光ダイオードからの光の輝度とほぼ等しくなり、たとえばスクリーンに照射させた場合の照射領域の全体がほぼ均一な明るさで光って見えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】

【特許文献1】特開2007-48470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した偏光レンズは、その中心軸を発光素子の光出射面に垂直な軸に一致づけて配置させ、該偏光レンズからの光は、前記軸を中心として放射状に出射させるように構成されたものとなっている。
【0007】
このため、発光素子を搭載する基板、該発光素子を被って配置させる偏光レンズを、車両用灯具のアウターレンズとほぼ平行に、しかも発光素子をアウターレンズのほぼ中央に対向させて配置させなければならず、該発光素子および偏光レンズの配置に制限が付されることになる。
【0008】
したがって、車両用灯具の室内が狭いスペースになりつつある近年において、発光素子および偏光レンズの配置に自由度をもたせることが要望される。また、この場合においても、車両用灯具の室内から出射される光を均一に光らせることが必要となることはいうまでもない。
【0009】
本発明の目的は、発光素子および偏光レンズの配置に自由度をもたせ、その際において、灯室から出射される光の輝度の均一化を図った車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の車両用灯具は、発光素子、偏光レンズを車両の前方向あるいは後方向に対して傾斜させて配置させ、偏光レンズからの光をプリズムレンズによって車両の前方向あるいは後方向に指向させるように構成したものである。
【0011】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の車両用灯具は、車両の前方向あるいは後方向に沿って、発光素子を搭載する基板、前記発光素子を被って配置される偏光レンズ、並設された複数のプリズムを備えるプリズムレンズが順次に配設されて内蔵される車両用灯具であって、前記基板、前記偏光レンズ、および前記プリズムレンズは、車両の走方向あるいは後方向に対して傾斜して配置され、前記偏光レンズは、前記発光素子からの光を前記プリズムレンズの照射目標範囲に照射されるように連続した自由曲面を有して構成され、前記プリズムレンズは、前記偏光レンズからの光を車両の前方向あるいは後ろ方向に指向させるように構成されていることを特徴とする。
(2)本発明の車両用灯具は、(1)の構成において、前記プリズムレンズは、車両の前方向あるいは後方向に沿って前記発光素子と対向する領域において平板として構成され、この平板の領域を除いた他の領域にプリズムが並設されて構成されていることを特徴とする。
(3)本発明の車両用灯具は、(2)の構成において、前記プリズムは補正プリズムを備えて構成され、前記プリズムレンズからの出射光の輝度が均一になっていることを特徴とする。
(4)本発明の車両用灯具は、(1)の構成において、前記発光素子、および該発光素子を被って配置される偏光レンズは、車両の前方向あるいは後方向に交差する方向に複数並設されて設けられ、
前記プリズムレンズ面において互いに隣接する前記発光素子からの照射光のラップ部を有するとともに、このラップ部において一方の前記発光素子と他方の前記発光素子との出射光の連続性をもたせたことを特徴とする。
(5)本発明の車両用灯具は、(4)の構成において、複数の前記発光素子は同一の基板に搭載されていることを特徴とする。
(6)本発明の車両用灯具は、(4)の構成において、複数の前記発光素子は同一の基板に搭載され、前記基板と前記プリズムレンズは、それらの互いに対応する端部において離間距離が異なっていることを特徴とする。
(7)本発明の車両用灯具は、(1)ないし(6)のいずれかの構成において、前記偏光レンズは、平面的に観て、第1方向の幅が前記第1方向と直交する第2方向の幅よりも大きく形成され、前記第2方向における各辺が、それぞれ、外側に凸となる第1弧状辺および第2弧状辺をなすとともに、前記第1弧状辺は前記第2弧状辺よりも径が大きく形成され、前記第1方向における各辺は、それぞれ、前記第1弧状辺および第2弧状辺を連結する滑らかな曲線をなし、
前記第2方向に沿った断面は、その中心において高い凸状をなし、この凸状の高さは、前記第1弧状辺から前記第2弧状辺にかけて大きくなった後に徐々に小さくなるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このように構成した車両用灯具によれば、発光素子および偏光レンズの配置に自由度をもたせ、この際において、灯室から出射される光の輝度の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図2に対応させて描いた図で、該プリズムレンズを拡大して示した図である。
【図2】本発明の車両用灯具の実施態様1を示し、室内に内蔵される光源、偏光レンズ、プリズムレンズを示した図である。
【図3】プリズムレンズを偏光レンズの側から観た斜視図である。
【図4】プリズムレンズにおいて、プリズムの傾斜面の一部に補助プリズムが形成されている状態を示した図である。
【図5】図4に対応させて描いた図で、補助プリズムが形成されていない場合を示した図である。
【図6】偏光レンズの構成を示した図である。
【図7】前記偏光レンズを基台と一体化して構成した偏光レンズ体の構成を示す図である。
【図8】本発明の車両用灯具の実施態様2を示した構成図である。
【図9】本発明の車両用灯具の実施態様3を示した構成図である。
【図10】図8に示す構成において、プリズムレンズを正面側から観た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施態様1)
〈全体の構成〉
図2は、本発明の車両用灯具の室内に内蔵される光源10、偏光レンズ20、プリズムレンズ30を示した図である。図2に示す灯具はたとえばクリアランスランプとして用いられるようになっている。なお、図2において、車両の前方向αは図中z方向に一致づけて示している。
【0015】
図2において、光源10は、車両の前方向αに対して図中時計廻りに若干傾いて配置される基板12と、この基板12に搭載されたたとえば発光ダイオード等の発光素子14とから構成されている。発光素子14は表面(基板12と反対側の表面)において光出射面を備え、該光出射面に対して垂直な軸Pを中心に放射状の広がりを有して光を照射できるようになっている。ここで、発光素子14を搭載する基板12を傾けて配置させたのは、比較的狭いスペースで構成される車両用灯具の室内において、光源10の光照射方向を車両の前方向αと異ならしめて配置させる場合があるからである。
【0016】
そして、基板12上に発光素子14を被うようにして偏光レンズ20が配置されている。この偏光レンズ20は連続した自由表面を有し、たとえば前記基板12に固定されるようにして配置されている。この偏光レンズ20の構成については後に詳述するが、概略、図中x方向の幅が図中y方向(紙面に垂直方向)の幅よりも大きく形成され、図中y方向に沿った断面は中心において最も高い凸状をなし、この凸状の高さは、図中x方向に沿った一辺側(図中左側辺)から他辺(図中右側辺)にかけて大きくなった後に徐々に小さくなるように構成されている。
【0017】
発光素子14からの光は偏光レンズ20に入射し、偏光レンズ20からの出射光は前記基板12に対向されて配置されたプリズムレンズ30に照射されるようになっている。プリズムレンズ30は長方形をなす板状からなり、該プリズムレンズ30の一方の面に幅方向に延在するプリズム32が長手方向に多数配置されて構成されている。プリズムレンズ30は、前記基板12と同様に、車両の前方向αに対して図中時計廻りに若干傾いて配置されている。この場合、基板12とプリズムレンズ30は必ずしも平行になっている必要はなく、それらの互いに対応する端部において離間距離が異なるような配置であってもよい。このようにすることにより、光源10、偏光レンズ20、プリズムレンズ30の配置における裕度を向上させることができるようになる。そして、図3に示すように、偏光レンズ20を透過した発光素子12からの光はプリズムレンズ30の照射目標範囲(この場合、プリズムレンズ30の裏面全域になっている)において輝度を等しくして照射されるようになっている。すなわち、偏光レンズ20を透過した発光素子14からの光は、偏光レンズ20の後述する構成によって、プリズムレンズ30の照射目標範囲からはみ出すことなく、またプリズムレンズ30の照射目標範囲において非照射部を有することなく照射されるようになっている。このように構成することによって、発光素子12からの光の無駄をなくした有効利用が図れるようになっている。なお、図3は、プリズムレンズ30を偏光レンズ20の側から観た斜視図で、基板12、発光素子14を省略して示した図である。
【0018】
プリズムレンズ30は、偏光レンズ20からの光を車両の前方向αに指向させて照射されるように構成されている。図1は、図2と対応させて描くとともに該プリズムレンズ30を拡大して示した図である。図1において、プリズムレンズ30のたとえば発光素子14と反対側の面において、複数のプリズム32が形成され、これらプリズム32は、図中y方向(紙面に垂直方向)に延在し断面がほぼ三角形状をなし、該y方向に直交する方向に複数並設されて設けられている。この場合、発光素子14と車両の前方向αに沿った対向面は平板となってプリズム32が形成されていない領域Mとなっており、この領域Mの両脇の領域にそれぞれプリズムが並設されるようになっている。プリズムレンズ30において上述のようにプリズム32が形成されていない領域Mを設けたのは、この領域Mを通過する偏光レンズ20からの光は車両の前方向αに照射されるようになり、光の配向を行う必要がないからである。
【0019】
そして、プリズムレンズ30の図中右側に形成される複数のプリズム32からなるプリズム群PRによって、偏光レンズ20からの光は図中反時計廻りに傾倒するように屈折され、車両の前方向αに平行となって出射されるようになっている。また、プリズムレンズ30の図中左側に形成される複数のプリズム32からなるプリズム群PLによって、偏光レンズ20からの光は図中時計廻りに傾倒するように屈折され、車両の前方向αに平行となって出射されるようになっている。
【0020】
この場合、図中右側のプリズム群PRにおいて、偏光レンズ20からの光の入射方向に対する車両の前方向αの開き角度(たとえばプリズムレンズ30の右端においてθ1で示す)が他方のプリズム群PLよりも大きいことから、プリズム群PRの各プリズム32において断面形状が他方のプリズム群PLの各プリズム32よりも大きく形成されているとともに、プリズムレンズ30の右端から中央部(領域M)にかけて配向角(前記θ1に対応する角度)が順次大きくなるように各プリズム32の断面形状を小さくしている。また、図中左側のプリズム群PLにおいて、偏光レンズ20からの光の入射方向に対する車両の前方向αの開き角度(たとえばプリズムレンズの左端においてθ2(<θ1)で示す)が他方のプリズム群PRよりも小さいことから、プリズム群PLの各プリズム32において断面形状が他方のプリズム群PRの各プリズム32よりも比較的小さく形成されているとともに、プリズムレンズ30の左端から中央部(領域M)にかけて配向角(前記θ2に対応する角度)を順次大きくなるように各プリズム32の断面形状を大きくしている。
【0021】
さらに、プリズムレンズ30には、該プリズムレンズ30からの出射光の輝度を均一にさせるために、各プリズム32において、補助プリズムを設けるように構成されている。図4は、プリズムレンズ32において形状の大きなプリズム32(図中左側)と形状の小さなプリズム32(図中右側)を併せて示し、これらプリズムの傾斜面の一部に補助プリズム32aが形成されていることを示している。なお、図4は、プリズム32の延在方向に直交する面で薄くスライスした形状で示すことによって補助プリズム32aの形成個所を明確にしている。図4において、プリズムレンズ30に入射する光のうち前記補助プリズム32aに入射する光は車両の前方向αに平行に出射されるようになっている。ちなみに、図5は、図4と対応づけて描いたプリズムレンズ30であり、上述の補助プリズム32aが形成されていない場合を示した図である。この場合、図4と比較して明かとなるように、補助プリズム32aが形成されていない個所にて出射される光は車両の前方向αに平行とならずに散乱し、この散乱光がプリズムレンズ30の輝度の均一化を妨げる要因となってしまう。このことから、図4に示すように、各プリズム32において補助プリズムを設けることによって、プリズムレンズ30からの出射光の輝度を均一にできる効果を奏するようになる。
〈偏光レンズ〉
次に、上述した偏光レンズ20の構成の詳細について説明する。図6は偏光レンズ20の構成を示した図で、(a)は平面図、(b)は底面図、(c)は(a)のc−c線における断面図、(d)は図(a)のd−d線における断面図である。
【0022】
まず、偏光レンズ20は、図6(a)に示すように、平面的に観た場合、図中x方向(第1方向と称する場合がある)の幅が図中y方向(第2方向と称する場合がある)の幅よりも大きく形成されている。そして、図中x方向における各辺(y方向辺)が、それぞれ、外側に凸となる第1弧状辺20Aおよび第2弧状辺20Bをなしている。この場合、たとえば、第1弧状辺20Aは第2弧状辺20Bよりも径が大きく形成されている。そして、図中y方向における各辺(x方向辺)は、それぞれ、前記第1弧状辺20Aおよび第2弧状辺20Bを連結させた滑らかな曲線20Cをなしている。
【0023】
また、図中y方向に沿った断面である図6(d)に示すように、中心において最も高い凸状をなし、この凸状の高さは、図中x方向に沿った断面である図(c)に示すように、第1弧状辺30A側から前記第2弧状辺30B側にかけて大きくなった後に徐々に小さくなるように構成されている。
【0024】
さらに、偏光レンズ20は、その底面である図(b)に示すように、発光素子14と対向する面に凹面20Dが形成され、この凹面20Dは図中y方向に延在する仮想の軸Qを中心とする円弧面(円柱面)で構成されている。なお、図6(a)、(b)には、偏光レンズ20の他に発光素子14をも併せ描画しており、発光素子14は、偏光レンズ20の円弧面の図中x方向における中心に位置づけられるにようになっている。偏光レンズ20の凹面20Dは、この凹面20Dを通して発光素子14からの光をほとんど反射させることなく効率的に偏光レンズ20内に入射できる効果を奏するようになっている。
【0025】
図7は、前記偏光レンズ20を具備した偏光レンズ体25を示した図である。図7(a)は斜視図、図7(b)は平面図、図7(c)は図7(b)のc−c線における断面図、図7(d)は正面図、および図7(e)は側面図である。図7において、偏光レンズ体25は、偏光レンズ20を比較的小さく形成する場合もあることに鑑み、基台27とともに一体化して構成し、取り扱いが容易になる構成となっている。また、これにより、偏光レンズ20は、基台27によってたとえば基板12に取り付け易い構成となっている。
【0026】
そして、このように偏光レンズ20と基台27を具備する偏光レンズ体25はたとえば樹脂材の一体成形によって形成されるようになっている。図7(a)、(b)において、基台27において偏光レンズ20の両脇に一対の孔27Aが形成されており、これら孔27Aは樹脂材の成形を行い易くするための孔となっている。
【0027】
このように構成した車両用灯具は、光源10(基板12、発光素子14)を車両の前方向αに対して傾けて配置させることができ、比較的狭いスペースからなる室内において光学部材の配置の自由度を向上させることができる。また、車両の前方向αに対して傾けて配置させた光源10からの光を偏光させる偏光レンズ20によって光の輝度の均一化を図っており、該偏光レンズ20からの光をプリズムレンズ30によって車両の前方向αに光を指向させる場合において、該プリズムレンズ30の輝度の均一化をはかることができる。
【0028】
(実施態様2)
図8は、本発明の車両用灯具の他の実施態様を示す構成図である。図8に示すように、車両用灯具の室内には、図2に示した基板12、発光素子14、偏光レンズ20、およびプリズムレンズ30を一単位(ユニット)とし、これらを複数(図ではたとえば3個)図中x方向へ並設させて構成されたものとなっている。
【0029】
そして、たとえば、それぞれのプリズムレンズ30は、同一平面内に位置づけられるように配置されている。この場合、各ユニットは幾何学的に同じとなっていることから、各光源10における基板12は異なる平面内に位置づけられるようになっている。なお、この場合、各プリズムレンズ30は連続された一枚のプリズムレンズとして構成するようにしてもよい。
【0030】
また、それぞれの基板12を同一平面内に位置づけるようにしてもよい。この場合においても、各ユニットは幾何学的に同じとなっていることから、各プリズムレンズ30は異なる平面内に位置づけられるようになる。なお、この場合、各基板12は連続された一枚の基板として構成するようにしてもよい。
【0031】
このように構成された車両用灯具は、光源10(発光素子14、偏光レンズ20)の数に応じて、光照射領域を拡大させることができる効果を奏する。
【0032】
(実施態様3)
図9は、本発明の車両用灯
具の他の実施態様を示す構成図である。図9に示す構成は、基板12、発光素子14、偏光レンズ20、およびプリズムレンズ30を一単位(ユニット)とし、これらを複数図中x方向へ並設させて構成させた点は図8の場合と同様となっている。しかし、各基板12、各プリズムレンズ30において、それぞれ同一平面内に位置づけ互いに連結された一枚の基板、一枚のプリズムレンズとして構成していることにある。このようにした場合、部品の点数の低減を図ることができ、組み立てを容易にすることができる。
【0033】
また、図9に示すように、プリズムレンズ30の面に、隣接する光源10(発光素子14、偏光レンズ20)からの照射領域が互いに重畳されるラップ部PLが設けられるようになっている。この場合、図10は、プリズムレンズ30を正面側(偏光レンズ20と反対の面側)から観た斜視図であり、プリズムレンズ30面の前記ラップ部PLにおける各プリズム32は、該ラップ部PLを除いた領域であって隣接する光源10(発光素子14、偏光レンズ20)のそれぞれの照射領域の間に、輝度の段差を生じさせることなく連続性をもたせるように構成されている。すなわち、ラップ部PLにおける各プリズム32は、該ラップ部PLに照射される光を車両の前方向α(図中z方向)に指向するように構成され、さらに、該ラップ部PLの両脇のプリズム32と大きさ、傾斜角度を連続させるように構成されている。
【0034】
なお、図9では、基板12、プリズムレンズ30において、図中右端におけるそれらの離間距離は、図中左端におけるそれらの離間距離よりも小さくなるように配置させたものである。しかし、これに限らず、基板12、プリズムレンズ30は互いに平行となるように配置させてもよい。
【0035】
(実施態様4)
上述した実施態様では、偏光レンズ20は、いずれも図6、図7に示したように構成され、これにより、偏光レンズ20は、該偏光レンズ20を透過した発光素子14からの光が、プリズムレンズ30の照射目標範囲からはみ出すことなく、またプリズムレンズ20の照射目標範囲において非照射部を有することなく照射されるような自由曲面を有するものとなっている。しかし、偏光レンズ20は、このような構成に限定されることはなく、たとえば、プリズムレンズ30の照射目標範囲から若干はみ出すように構成されていてもよい。このような場合であっても、本発明の目的が達成できるからである。
【0036】
なお、上述した実施態様では、いずれも、車両の前方に設置される灯具について説明したものである。しかし、車両の後方に設置される灯具について適用できることはいうまでもない。この場合においても、発光素子を搭載する基板、発光素子を被って配置される偏光レンズ、並設された複数のプリズムを備えるプリズムレンズは、車両の後方方向に沿って順次配設されるようになる。
【0037】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0038】
10……光源、12……基板、14……発光素子、20……偏光レンズ、20A……第1弧状辺、20B……第2弧状辺、20C……滑らかな曲線、20D……凹面、25……偏光レンズ体、27……基台、27A……孔、30……プリズムレンズ、32……プリズム、32a……補助プリズム、M……プリズムが形成されていない領域、PR、PL……プリズム群、PL……ラップ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方向あるいは後方向に沿って、発光素子を搭載する基板、前記発光素子を被って配置される偏光レンズ、並設された複数のプリズムを備えるプリズムレンズが順次に配設されて内蔵される車両用灯具であって、
前記基板、前記偏光レンズ、および前記プリズムレンズは、車両の走方向あるいは後方向に対して傾斜して配置され、
前記偏光レンズは、前記発光素子からの光を前記プリズムレンズの照射目標範囲に照射されるように連続した自由曲面を有して構成され、
前記プリズムレンズは、前記偏光レンズからの光を車両の前方向あるいは後ろ方向に指向させるように構成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記プリズムレンズは、車両の前方向あるいは後方向に沿って前記発光素子と対向する領域において平板として構成され、この平板の領域を除いた他の領域にプリズムが並設されて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記プリズムは補正プリズムを備えて構成され、前記プリズムレンズからの出射光の輝度が均一になっていることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記発光素子、および該発光素子を被って配置される偏光レンズは、車両の前方向あるいは後方向に交差する方向に複数並設されて設けられ、
前記プリズムレンズ面において互いに隣接する前記発光素子からの照射光のラップ部を有するとともに、このラップ部において一方の前記発光素子と他方の前記発光素子との出射光の連続性をもたせたことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
複数の前記発光素子は同一の基板に搭載されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
複数の前記発光素子は同一の基板に搭載され、前記基板と前記プリズムレンズは、それらの互いに対応する端部において離間距離が異なっていることを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記偏光レンズは、平面的に観て、第1方向の幅が前記第1方向と直交する第2方向の幅よりも大きく形成され、前記第2方向における各辺が、それぞれ、外側に凸となる第1弧状辺および第2弧状辺をなすとともに、前記第1弧状辺は前記第2弧状辺よりも径が大きく形成され、前記第1方向における各辺は、それぞれ、前記第1弧状辺および第2弧状辺を連結する滑らかな曲線をなし、
前記第2方向に沿った断面は、その中心において高い凸状をなし、この凸状の高さは、前記第1弧状辺から前記第2弧状辺にかけて大きくなった後に徐々に小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−199161(P2012−199161A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63534(P2011−63534)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】