説明

車両用灯具

【課題】集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとを有効にかつ効率良く照射することが重要である。
【解決手段】この発明は、2個のリフレクタ51L、52L、51R、52Rと、2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rと、1個のレンズ3L、3Rと、を備える。1個のレンズは、非球面レンズ部31Lと、シリンドリカルレンズ部32Lと、から構成されている。シリンドリカルレンズ部と対をなす反射面92L、92Rの光軸Z2L−Z2L、Z2R−Z2Rは、非球面レンズ部のレンズ軸Z1L−Z1L、Z1R−Z1Rおよびその非球面レンズ部と対をなす反射面91L、91Rの光軸に対して、外側に向いている。この結果、この発明は、集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとを有効にかつ効率良く照射することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源を光源とし、かつ、1個のレンズを共有する複数個のランプユニットから構成されている車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1)。従来の車両用灯具は、集光タイプの配光パターンを照射する第1ランプユニットと、拡散タイプの配光パターンを照射する第2ランプユニットおよび第3ランプユニットと、から構成されているものである。3個のランプユニットは、3個の半導体型光源と、楕円を基調とした自由曲面の反射面を有する3個のリフレクタと、1個のレンズと、1個のシェードと、を備えるものである。
【0003】
半導体型光源の光量は、ハロゲン電球やメタルハライド放電灯と比較して少ない。このために、従来の車両用灯具は、複数個のランプユニットから照射される複数の配光パターン、たとえば、第1ランプユニットから照射される集光タイプの配光パターンと、第2ランプユニットおよび第3ランプユニットから照射される拡散タイプの配光パターンと、を合成して、半導体型光源の少ない光量を補って、所定の配光パターン、たとえば、すれ違い用配光パターンを形成するものである。
【0004】
かかる車両用灯具においては、集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとを有効にかつ効率良く照射することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−218964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、車両用灯具においては、集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとを有効にかつ効率良く照射することが重要である、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明(請求項1にかかる発明)は、複数個のランプユニットが、少なくとも、回転楕円面を基本とした自由曲面からなる反射面をそれぞれ有する2個のリフレクタと、その2個のリフレクタの反射面の第1焦点(第1焦点およびその第1焦点近傍)に配置されている2個の半導体型光源と、その2個の半導体型光源からの光であって2個のリフレクタの反射面で反射された反射光を外部に照射する1個のレンズと、を備え、1個のレンズが、車両の中央側に配置されていて集光タイプの配光パターンを外部に照射する非球面レンズ部と、車両の外側に配置されていて拡散タイプの配光パターンを外部に照射するシリンドリカルレンズ部と、から一体に構成されていて、シリンドリカルレンズ部と対をなす反射面の光軸が、非球面レンズ部のレンズ軸およびその非球面レンズ部と対をなす反射面の光軸に対して、外側に向いている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項2にかかる発明)は、2個の半導体型光源が、それぞれ、1列に配列されている複数個の発光チップを備え、その2個の半導体型光源が、それぞれ、複数個の発光チップの配列軸が非球面レンズ部のレンズ軸およびその非球面レンズ部と対をなす反射面の光軸に対して直交(直交もしくはほぼ直交)するように配置されている、ことを特徴とする。
【0009】
この発明(請求項3にかかる発明)は、非球面レンズ部と対をなす反射面が、回転楕円面を左右方向に光軸から遠ざかる方向に広げた自由曲面からなり、シリンドリカルレンズ部と対をなす反射面が、回転楕円面に近似した自由曲面からなる、ことを特徴とする。
【0010】
この発明(請求項4にかかる発明)は、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源と1個のレンズとの間に配置されていて、2個の半導体型光源からの光であって2個のリフレクタの反射面で反射された反射光の一部を遮蔽してカットオフラインを有する配光パターンを形成する1個のシェードを、備える、ことを特徴とする。
【0011】
この発明(請求項5にかかる発明)は、1個のシェードには、対向車線側の第1水平カットオフラインを形成する第1水平エッジと、その第1水平エッジよりも下位に位置していて走行車線側の第2水平カットオフラインを形成する第2水平エッジと、中央斜めカットオフラインを形成する中央斜めエッジと、がそれぞれ設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、少なくとも2個のリフレクタと2個の半導体型光源と1個のレンズとを備える複数個のランプユニットから照射される複数の配光パターン、たとえば、集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンとを合成するものであるから、半導体型光源の少ない光量を補うことができる。
【0013】
その上、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源に対して、レンズを共有化すなわち1個に一体化することができるので、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源の位置相関性を向上させることができ、かつ、部品点数や組付工数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0014】
特に、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、車両の外側に配置されているシリンドリカルレンズ部と対をなす反射面の光軸が、車両の中央側に配置されている非球面レンズ部のレンズ軸およびその非球面レンズ部と対をなす反射面の光軸に対して、外側に向いている。このために、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、車両の外側に配置されているシリンドリカルレンズ部から照射される拡散タイプの配光パターンが、車両の中央側に配置されている非球面レンズ部から照射される集光タイプの配光パターンに対して、外側に配光される。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、拡散タイプの配光パターンを、車両の中央側に配置されている非球面レンズ部およびその非球面レンズ部と対をなすリフレクタにより遮蔽されること無く有効にかつ効率良く、集光タイプの配光パターンと共に照射することができる。
【0015】
この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、2個の半導体型光源の複数個の発光チップの配列軸を、それぞれ、非球面レンズ部のレンズ軸およびその非球面レンズ部と対をなす反射面の光軸に対して直交(直交もしくはほぼ直交)する一直線上に配置することができる。このために、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、非球レンズ部側の半導体型光源とシリンドリカルレンズ部側の半導体型光源との位置合わせが容易であるから、灯具の製造が容易となり、その分、製造コストを安価にすることができる。すなわち、一方の1個の半導体型光源が、複数個の発光チップの配列軸が非球面レンズ部のレンズ軸およびその非球面レンズ部と対をなす反射面の光軸に対して直交(直交もしくはほぼ直交)するように配置されていて、他方の1個の半導体型光源が、複数個の発光チップの配列軸がシリンドリカルレンズ部のレンズ軸およびそのシリンドリカルレンズ部と対をなす反射面の光軸に対して直交(直交もしくはほぼ直交)するように配置されている車両用灯具の場合。この車両用灯具の場合においては、一方の1個の半導体型光源の複数個の発光チップの配列軸と他方の1個の半導体型光源の複数個の発光チップの配列軸とが交差するので、非球レンズ部側の半導体型光源とシリンドリカルレンズ部側の半導体型光源との位置合わせが煩雑であるから、灯具の製造が煩雑である。これに対して、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具は、前記の通り、灯具の製造が容易である。
【0016】
この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具は、回転楕円面を左右方向に光軸から遠ざかる方向に広げた自由曲面からなる反射面からの反射光を、非球面レンズ部から集光タイプの配光パターンとしてさらに有効にかつ効率良く照射することができ、かつ、回転楕円面に近似した自由曲面からなる反射面からの反射光を、シリンドリカルレンズ部から拡散タイプの配光パターンとしてさらに有効にかつ効率良く照射することができる。
【0017】
この発明(請求項4にかかる発明)の車両用灯具は、少なくとも2個のリフレクタと2個の半導体型光源と1個のレンズと1個のシェードとを備える複数個のランプユニットから、カットオフラインを有する集光タイプの配光パターンとカットオフラインを有する拡散タイプの配光パターンとをそれぞれ照射して、そのカットオフラインを有する集光タイプの配光パターンとカットオフラインを有する拡散タイプの配光パターンとを合成してカットオフラインを有する配光パターンを形成することができる。
【0018】
その上、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用灯具は、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源に対して、シェードを共有化すなわち1個に一体化することができるので、同じく共有化すなわち1個に一体化したレンズと共に、2個のリフレクタおよび2個の半導体型光源の位置相関性をさらに向上させることができ、かつ、部品点数や組付工数をさらに軽減することができ、その分、製造コストをさらに安価にすることができる。
【0019】
この発明(請求項5にかかる発明)の車両用灯具は、少なくとも2個のリフレクタと2個の半導体型光源と1個のレンズと1個のシェードとを備える複数個のランプユニットから、少なくとも集光タイプの配光パターンであって、対向車線側の第1水平カットオフラインと走行車線側の第2水平カットオフラインと中央斜めカットオフラインとを有する集光タイプの配光パターンと、カットオフラインを有する拡散タイプの配光パターンと、をそれぞれ照射して、その対向車線側の第1水平カットオフラインと走行車線側の第2水平カットオフラインと中央斜めカットオフラインとを有する集光タイプの配光パターンと、カットオフラインを有する拡散タイプの配光パターンと、を合成して、対向車線側の第1水平カットオフラインと走行車線側の第2水平カットオフラインと中央斜めカットオフラインとを有する配光パターンすなわちすれ違い用配光パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す斜視図である。
【図2】図2は、同じく、要部の水平断面図(要部の横断面図、図1におけるII−II線断面図)である。
【図3】図3は、同じく、要部の2個のリフレクタと2個の半導体型光源を示す拡大水平断面図である。
【図4】図4は、同じく、レンズの正面図(図1におけるIV矢視図)である。
【図5】図5は、同じく、レンズの正面図(図1におけるIV矢視図)である。
【図6】図6は、同じく、要部の垂直断面図(要部の縦断面図、図1におけるVI−VI線断面図)である。
【図7】図7は、同じく、車両の前部の左右両側にそれぞれ搭載された状態を示す説明図である。
【図8】図8は、同じく、車両の前部の左側に搭載された車両用灯具から照射された拡散タイプの配光パターンと集光タイプの配光パターンを示す説明図である。
【図9】図9は、同じく、車両の前部の右側に搭載された車両用灯具から照射された集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンを示す説明図である。
【図10】図10は、同じく、車両の前部の左右両側にそれぞれ搭載された車両用灯具から照射される配光パターンを合成してなるすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図11】図11は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示し、車両の前部の左側に搭載された車両用灯具から照射された拡散タイプの配光パターンと集光タイプの配光パターンを示す説明図である。
【図12】図12は、同じく、車両の前部の右側に搭載された車両用灯具から照射された集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンを示す説明図である。
【図13】図13は、同じく、車両の前部の左右両側にそれぞれ搭載された車両用灯具から照射される配光パターンを合成してなるすれ違い用配光パターンを示す説明図である。
【図14】図14は、この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示し、車両の前部の左側に搭載された車両用灯具から照射された拡散タイプの配光パターンと集光タイプの配光パターンを示す説明図である。
【図15】図15は、同じく、車両の前部の右側に搭載された車両用灯具から照射された集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンを示す説明図である。
【図16】図16は、同じく、車両の前部の左右両側にそれぞれ搭載された車両用灯具から照射される配光パターンを合成してなるフォグ用配光パターンを示す説明図である。
【図17】図17は、この発明にかかる車両用灯具の実施例4を示し、車両の前部の左側に搭載された車両用灯具から照射された拡散タイプの配光パターンと集光タイプの配光パターンを示す説明図である。
【図18】図18は、同じく、車両の前部の右側に搭載された車両用灯具から照射された集光タイプの配光パターンと拡散タイプの配光パターンを示す説明図である。
【図19】図19は、同じく、車両の前部の左右両側にそれぞれ搭載された車両用灯具から照射される配光パターンを合成してなる走行用配光パターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、この発明にかかる車両用灯具の実施例のうちの4例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。図面において、符号「F」は、車両の前方向側(車両の前進方向側)を示す。符号「B」は、車両の後方向側を示す。符号「U」は、ドライバー側から前方向側を見た上方向側を示す。符号「D」は、ドライバー側から前方向側を見た下方向側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前方向側を見た場合の左方向側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前方向側を見た場合の右方向側を示す。前記の前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用灯具を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。また、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。さらに、図8〜図19は、スクリーン上の配光パターンを簡略化して示す等光度曲線の説明図であって、中央の等光度曲線は、高光度帯であって、その他の曲線は、外に行くにしたがって低くなる光度帯である。
【実施例1】
【0022】
(構成の説明)
図1〜図10は、この発明にかかる車両用灯具の実施例1を示す。以下、この実施例1における車両用灯具の構成について説明する。この例は、たとえば、自動車用前照灯のヘッドランプについて説明する。この実施例1の車両用灯具は、左側通行の車両用灯具について説明する。右側通行の車両用灯具は、この実施例1の車両用灯具とほぼ左右逆の配光パターンとなる。なお、車両Cの前部の左側に搭載される車両用灯具の主な部品や光路には、符号「L」が、車両Cの前部の右側に搭載される車両用灯具の主な部品や光路には、符号「R」が、それぞれ、基本的に付されている。また、車両Cの前部の左側に搭載される車両用灯具1Lの部品であっても、符号「L」を省略してある部品も有る。
【0023】
図において、符号1L、1Rは、この実施例1における車両用灯具である。前記車両用灯具1L、1Rは、図7に示すように、車両Cの前部の左右両側にそれぞれ搭載されている。前記左右の車両用灯具1L、1Rは、図に示すように、それぞれ、半導体型光源21L、22L、21R、22Rを光源とし、かつ、1個のレンズ3L、3Rを共有する複数個、この例では2個のランプユニット41L、42L、41R、42Rから構成されている。
【0024】
前記左右の2個のランプユニット41L、42L、41R、42Rは、それぞれ、プロジェクタタイプのランプユニットから構成されている。前記左右の2個のランプユニット41L、42L、41R、42Rは、それぞれ、自動車用前照灯のランプハウジング10L、10Rおよびランプレンズ(たとえば、素通しのアウターレンズなど)11L、11Rにより区画されている灯室12L、12R内に光軸調整機構(図示せず)を介して光軸調整可能に配置されている。前記左右の2個のランプユニット41L、42L、41R、42Rは、それぞれ、前記車両Cの幅方向(左右方向)に配置されている。
【0025】
前記左右の2個のランプユニット41L、42L、41R、42Rは、それぞれ、少なくとも、2個のリフレクタ51L、52L、51R、52Rと、2個の前記半導体型光源21L、22L、21R、22Rと、1個の前記レンズ3L、3Rと、1個のシェード6L、6Rと、1個のヒートシンク部材7(なお、図2、図3、図7において図示を省略してある)と、保持部材8(なお、図2、図3、図6、図7において図示を省略してある)と、を備える。
【0026】
以下、車両の左側に搭載される車両用灯具1Lについて詳細に説明する。なお、車両の右側に搭載される車両用灯具1Rは、車両の左側に搭載される車両用灯具1Lとほぼ左右逆の構成からなるので、説明を省略する。
【0027】
前記ヒートシンク部材7は、たとえば、樹脂や金属製ダイカスト(アルミダイカスト)などの熱伝導率が高い材料からなる。前記ヒートシンク部材7は、中央部分の垂直板部と、中央部分から前側部分にかけての水平板部と、中央部分から後側部分にかけて縦形のフィン形状部と、から構成されている。
【0028】
前記2個のリフレクタ51L、52Lは、一体構造をなす。前記2個のリフレクタ51L、52Lは、たとえば、樹脂部材や金属製ダイカスト(アルミダイカスト)などの熱伝導率が高くかつ光不透過性の材料からなる。前記2個のリフレクタ51L、52Lは、前記ヒートシンク部材7の水平板部の上面に固定されている。前記2個のリフレクタ51L、52Lは、前側部分および下側部分が開口し、かつ、後側部分および上側部分および左右両側部分が閉塞した中空形状をなす。前記2個のリフレクタ51L、52Lの閉塞部分の凹内面には、回転楕円面を基本とした自由曲面からなる反射面91L、92Lがそれぞれ設けられている。
【0029】
前記反射面91L、92Lは、自由曲面から構成されている。このために、前記反射面91L、92Lの第1焦点F1L、F2Lおよび第2焦点(図示せず)においては、厳密な意味での単一の焦点を有していないが、複数の反射面相互の焦点距離の差異が僅少であり、ほぼ同一の焦点を共有している。そこで、この明細書および図面においては、ただ単に第1焦点および第2焦点と称する。また、同様に、前記反射面91L、92Lの光軸Z1L−Z1L、Z2L−Z2Lにおいては、厳密な意味での単一の光軸を有していないが、複数の反射面相互の光軸の差異が僅少であり、ほぼ同一の光軸を共有している。そこで、この明細書および図面においては、ただ単に光軸と称する。
【0030】
前記2個の半導体型光源21L、22Lは、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例1ではLED)の半導体型光源を使用する。前記2個の半導体型光源21L、22Lは、前記ヒートシンク部材7の水平板部の上面であって、前記2個のリフレクタ51L、52Lの前記反射面91L、92Lの第1焦点(第1焦点およびその第1焦点近傍)F1L、F2Lに左右にそれぞれ配置されている。
【0031】
前記1個のレンズ3Lは、たとえば、PC材、PMMA材、PCO材などの樹脂製のレンズからなるものである。すなわち、前記2個の半導体型光源21L、22Lから放射される光は、高い熱を持たないので、前記1個のレンズ3Lとして樹脂製のレンズを使用することができる。前記1個のレンズ3Lは、前記保持部材8を介して前記ヒートシンク部材7の水平板部に保持されている。前記1個のレンズ3Lは、前記2個の半導体型光源21L、22Lおよび前記2個のリフレクタ51L、52Lの前側に配置されていて、前記2個の半導体型光源21L、22Lからの光であって前記2個のリフレクタ51L、52Lの前記反射面91L、92Lで反射された反射光L1L、L2Lを外部に照射する。
【0032】
前記1個のレンズ3Lは、非球面レンズ部31Lと、シリンドリカルレンズ部32Lと、から一体に構成されている。図4に示すように、前記シリンドリカルレンズ部32Lは、正面視(前側から見て)左右に横長の長方形形状をなす。一方、前記非球面レンズ部31Lは、正面視、前記シリンドリカルレンズ部32Lが突き合わせられた円形形状をなす。なお、非球面レンズ部310Lは、図5に示すように、前記シリンドリカルレンズ部32Lが突き合わせられた四角形(正方形)形状をなすものであっても良い。前記非球面レンズ部31Lは、車両Cの中央側(右側。なお、車両Cの右側に搭載される車両用灯具1Rの場合においては、左側)に配置されている。前記非球面レンズ部31Lは、集光タイプの配光パターン(以下、単に「集光配光パターン」と称する)SPLを外部に照射する(図8(B)を参照)。前記シリンドリカルレンズ部32Lは、車両Cの外側(左側。なお、車両Cの右側に搭載される車両用灯具1Rの場合においては、右側)に配置されている。前記シリンドリカルレンズ部32Lは、拡散タイプの配光パターン(以下、単に「拡散配光パターン」と称する)WPLを外部に照射する(図8(A)を参照)。
【0033】
前記非球面レンズ部31Lのレンズ軸Z1L−Z1Lは、前記非球面レンズ部31Lと対をなす前記反射面91Lの光軸Z1L−Z1Lと一致もしくはほぼ一致する。前記非球面レンズ部31Lの図示していないレンズ焦点(物空間側の焦点面であるメリジオナル像面)は、前記非球面レンズ部31Lと対をなす前記反射面91Lの第2焦点に一致もしくはほぼ一致する。前記非球面レンズ部31Lと対をなす前記反射面91Lの第2焦点は、前記非球面レンズ部31Lの図示していないレンズ焦線上にもしくはその近傍に位置する。
【0034】
前記シリンドリカルレンズ部32Lと対をなす前記反射面92Lの光軸Z2L−Z2Lは、前記非球面レンズ部31Lのレンズ軸Z1L−Z1Lおよび前記非球面レンズ部31Lと対をなす前記反射面91Lの光軸Z1L−Z1Lに対して、外側(左側。なお、車両Cの右側に搭載される車両用灯具1Rの場合においては、右側)に向いている。
【0035】
図3に示すように、前記2個の半導体型光源21L、22Lは、それぞれ、1列に配列されている複数個この例では4個の発光チップ2を備える。前記2個の半導体型光源21L、22Lは、それぞれ、前記4個の発光チップ2の配列軸Z−Zが前記非球面レンズ部31Lのレンズ軸Z1L−Z1Lおよび前記非球面レンズ部31Lと対をなす前記反射面91Lの光軸Z1L−Z1Lに対して直交もしくはほぼ直交するように配置されている。
【0036】
前記非球面レンズ部31Lと対をなす前記反射面91Lは、回転楕円面に近似した自由曲面からなる。すなわち、前記非球面レンズ部31Lと対をなす前記反射面91Lは、回転楕円面を左右方向に前記光軸Z1L−Z1Lから遠ざかる方向に広げた自由曲面からなる。
【0037】
前記シリンドリカルレンズ部32Lと対をなす前記反射面92Lは、回転楕円面に近似した自由曲面からなる。すなわち、前記シリンドリカルレンズ部32Lと対をなす前記反射面92Lは、回転楕円面に近似した自由曲面からなる。
【0038】
前記1個のレンズ3Lの前記シリンドリカルレンズ部32Lの左右方向(水平方向)の長さ(幅)は、左右の前記2個のリフレクタ51L、52Lが相互に干渉しない程度、あるいは、前記シリンドリカルレンズ部32Lと対をなす前記反射面92Lからの反射光L2Lが前記非球面レンズ部31Lに入射しない程度、とする。
【0039】
前記1個のシェード6Lは、前記2個のリフレクタ51L、52Lおよび前記2個の半導体型光源21L、22Lと前記1個のレンズ3Lとの間に配置されている。前記1個のシェード6Lは、前記2個の半導体型光源21L、22Lからの光であって前記2個のリフレクタ51L、52Lの前記反射面91L、92Lで反射された反射光L1L、L2Lの一部を遮蔽してカットオフラインCL1、CL2、CL3およびエルボー点Eを有する配光パターン、すなわち、図10に示すすれ違い用配光パターンLPを形成する。
【0040】
前記1個のシェード6Lには、第1水平エッジ61と、第2水平エッジ62と、中央斜めエッジ63と、がそれぞれ設けられている。前記第1水平エッジ61は、対向車線側の第1水平カットオフラインCL1を形成する。前記第2水平エッジ62は、前記第1水平エッジ61よりも下位に位置し、前記第1水平カットオフラインCL1よりも上位に位置する走行車線側の第2水平カットオフラインCL2を形成する。前記中央斜めエッジ63は、前記第1エッジ61と前記第2エッジ62との間に位置し、前記第1水平カットオフラインCL1と前記第2水平カットオフラインCL2との間に位置する中央斜めカットオフラインCL3を形成する。前記第2水平エッジ62および前記中央斜めエッジ63は、前記1個のシェード6Lのうち、前記非球面レンズ部31Lに対応する部分であって、車両Cの中央側(右側。なお、車両Cの右側に搭載される車両用灯具1Rの場合においては、車両Cの外側であって同じく右側)の部分に設けられている。前記1個のシェード6Lの前記第1水平エッジ61と前記中央斜めエッジ63との間の角部は、前記エルボー点Eを形成する。
【0041】
この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。なお、非球面レンズ部側の部品や光路を「第1」と称する。また、シリンドリカルレンズ部側の部品や光路を「第2」と称する。
【0042】
(作用の説明)
図7に示すように、左右の車両用灯具1L、1Rの2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rをそれぞれ点灯発光させる。すると、2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rから光が放射される。この2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rから放射される光は、2個のリフレクタ51L、52L、51R、52Rの反射面91L、92L、91R、92Rで反射される。この反射光L1L、L1R、L2L、L2Rの一部は、シェード6L、6Rによりカットオフされる。一方、シェード6L、6Rによりカットオフされなかった反射光L1L、L1R、L2L、L2Rの残りは、1個のレンズ3L、3Rの非球面レンズ部31Lおよびシリンドリカルレンズ部32Lを透過して、図8(A)に示す拡散配光パターンWPLと図8(B)に示す集光配光パターンSPLと、図9(A)に示す集光配光パターンSPRと図9(B)に示す拡散配光パターンWPRとが合成された(重畳された)図10に示すすれ違い用配光パターンLPとして車両の前方に照射される。
【0043】
すなわち、左側の車両用灯具1Lの第1ランプユニット41Lの第1反射面91Lで反射された反射光L1Lは、図2、図7中の実線矢印に示すように、1個のレンズ3Lの非球面レンズ部31Lを透過して、図8(B)に示すように、第1水平カットオフラインCL1および第2水平カットオフラインCL2および中央斜めカットオフラインCL3およびエルボー点Eを有する集光配光パターンSPLとして車両の前方に照射される。
【0044】
また、左側の車両用灯具1Lの第2ランプユニット42Lの第2反射面92Lで反射された反射光L2Lは、図2、図7中の実線矢印に示すように、1個のレンズ3Lのシリンドリカルレンズ部32Lを透過して、図8(A)に示すように、第1水平カットオフラインCL1と同レベルもしくはほぼ同レベルの第1水平カットオフラインCL1を有する拡散配光パターンWPLとして車両の前方に照射される。
【0045】
一方、右側の車両用灯具1Rの第1ランプユニット41Rの第1反射面91Rで反射された反射光L1Rは、図7中の実線矢印に示すように、1個のレンズ3Rの非球面レンズ部Lを透過して、図9(A)に示すように、第1水平カットオフラインCL1および第2水平カットオフラインCL2および中央斜めカットオフラインCL3およびエルボー点Eを有する集光配光パターンSPRとして車両の前方に照射される。
【0046】
また、右側の車両用灯具1Rの第2ランプユニット42Rの第2反射面92Rで反射された反射光L2Rは、図7中の実線矢印に示すように、1個のレンズ3Rのシリンドリカルレンズ部を透過して、図9(B)に示すように、第1水平カットオフラインCL1と同レベルもしくはほぼ同レベルの第1水平カットオフラインCL1を有する拡散配光パターンWPRとして車両の前方に照射される。
【0047】
そして、左側の車両用灯具1Lから照射される図8(B)に示す集光配光パターンSPLと図8(A)に示す拡散配光パターンWPLと、右側の車両用灯具1Rから照射される図9(A)に示す集光配光パターンSPRと図9(B)に示す拡散配光パターンWPRとが合成され(重畳され)、図10に示すように、第1水平カットオフラインCL1および第2水平カットオフラインCL2および中央斜めカットオフラインCL3およびエルボー点Eを有するすれ違い用配光パターンLPが車両の前方に照射される。
【0048】
(効果の説明)
この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0049】
この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、それぞれ、2個のリフレクタ51L、52L、51R、52Rと2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rと1個のレンズ3L、3Rとを備える2個のランプユニット41L、42L、41R、42Rから照射される2つの配光パターン、すなわち、左側の車両用灯具1Lから照射される図8(B)に示す集光配光パターンSPLと図8(A)に示す拡散配光パターンWPLとを、一方、右側の車両用灯具1Rから照射される図9(A)に示す集光配光パターンSPRと図9(B)に示す拡散配光パターンWPRとを、合成するものであるから、2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rの少ない光量を補うことができる。
【0050】
その上、この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、それぞれ、2個のリフレクタ51L、52L51R、52Rおよび2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rに対して、レンズ3L、3Rを共有化すなわち1個に一体化することができるので、2個のリフレクタ51L、52L、51R、52Rおよび2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rの位置相関性を向上させることができ、かつ、部品点数や組付工数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0051】
特に、この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、車両Cの外側に配置されているシリンドリカルレンズ部32Lと対をなす反射面92L、92Rの光軸Z2L−Z2L、Z2R−Z2Rが、車両Cの中央側に配置されている非球面レンズ部31Lのレンズ軸Z1L−Z1L、Z1R−Z1Rおよびその非球面レンズ部31Lと対をなす反射面91L、91Rの光軸Z1L、Z1L、Z1R−Z1Rに対して、外側に向いている。このために、この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、車両Cの外側に配置されているシリンドリカルレンズ部32Lから照射される拡散配光パターンWPL、WPRが、車両Cの中央側に配置されている非球面レンズ部31Lから照射される集光配光パターンSPL、SPRに対して、外側に配光される。この結果、この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、拡散配光パターンWPL、WPRを、車両Cの中央側に配置されている非球面レンズ部31Lおよびその非球面レンズ部31Lと対をなすリフレクタ51L、51Rにより遮蔽されること無く有効にかつ効率良く、集光配光パターンSPL、SPRと共に照射することができる。
【0052】
この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、それぞれ、2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rの4個の発光チップ2の配列軸Z−Zを、それぞれ、非球面レンズ部31Lのレンズ軸Z1L−Z1L、Z1R−Z1Rおよびその非球面レンズ部31Lと対をなす反射面91L、91Rの光軸Z1L−Z1L、Z1R−Z1Rに対して直交(直交もしくはほぼ直交)する一直線上に配置することができる。このために、この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、非球面レンズ部31L側の半導体型光源21L、21Rとシリンドリカルレンズ部32L側の半導体型光源22L、22Rとの位置合わせが容易であるから、灯具の製造が容易となり、その分、製造コストを安価にすることができる。すなわち、一方の1個の半導体型光源が、複数個の発光チップの配列軸が非球面レンズ部のレンズ軸およびその非球面レンズ部と対をなす反射面の光軸に対して直交(直交もしくはほぼ直交)するように配置されていて、他方の1個の半導体型光源が、複数個の発光チップの配列軸がシリンドリカルレンズ部のレンズ軸およびそのシリンドリカルレンズ部と対をなす反射面の光軸に対して直交(直交もしくはほぼ直交)するように配置されている車両用灯具の場合。この車両用灯具の場合においては、一方の1個の半導体型光源の複数個の発光チップの配列軸と他方の1個の半導体型光源の複数個の発光チップの配列軸とが交差するので、非球レンズ部側の半導体型光源とシリンドリカルレンズ部側の半導体型光源との位置合わせが煩雑であるから、灯具の製造が煩雑である。これに対して、この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、前記の通り、灯具の製造が容易である。
【0053】
この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、それぞれ、回転楕円面を左右方向に光軸Z1L−Z1L、Z1R−Z1Rから遠ざかる方向に広げた自由曲面からなる反射面91L、91Rからの反射光L1L、L1Rを、非球面レンズ部31Lから集光配光パターンSPL、SPRとしてさらに有効にかつ効率良く照射することができ、かつ、回転楕円面に近似した自由曲面からなる反射面92L、92Rからの反射光L2L、L2Rを、シリンドリカルレンズ部32Lから拡散配光パターンWPL、WPRとしてさらに有効にかつ効率良く照射することができる。
【0054】
この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、それぞれ、2個のリフレクタ51L、52L、51R、52Rと2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rと1個のレンズ3L、3Rと1個のシェード6L、6Rとを備える2個のランプユニット41L、42L、41R、42Rから、カットオフラインCL1、CL2、CL3およびエルボー点Eを有する集光配光パターンSPL、SPRと、カットオフラインCL1を有する拡散配光パターンWPL、WPRとをそれぞれ照射して、そのカットオフラインCL1、CL2、CL3およびエルボー点Eを有する集光配光パターンSPL、SPRと、カットオフラインCL1を有する拡散配光パターンWPL、WPRとを合成してカットオフラインCL1、CL2、CL3およびエルボー点Eを有する配光パターンを照射することができる。
【0055】
その上、この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、それぞれ、2個のリフレクタ51L、52L、51R、52Rおよび2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rに対して、シェード6L、6Rを共有化すなわち1個に一体化することができるので、同じく共有化すなわち1個に一体化したレンズ3L、3Rと共に、2個のリフレクタ51L、52L、51R、52Rおよび2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rの位置相関性をさらに向上させることができ、かつ、部品点数や組付工数をさらに軽減することができ、その分、製造コストをさらに安価にすることができる。
【0056】
この実施例1における車両用灯具1L、1Rは、それぞれ、2個のリフレクタ51L、52L、51R、52Rと2個の半導体型光源21L、22L、21R、22Rと1個のレンズ3L、3Rと1個のシェード6L、6Rとを備える2個のランプユニット41L、42L、41R、42Rから、対向車線側の第1水平カットオフラインCL1と走行車線側の第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する集光配光パターンSPL、SPRと、第1水平カットオフラインCL1と同レベルもしくはほぼ同レベルの第1カットオフラインCL1を有する拡散配光パターンWPL、WPRと、をそれぞれ照射して、その対向車線側の第1水平カットオフラインCL1と走行車線側の第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する集光配光パターンSPL、SPRと、第1水平カットオフラインCL1と同レベルもしくはほぼ同レベルの第1カットオフラインCL1を有する拡散配光パターンWPL、WPRと、を合成して、対向車線側の第1水平カットオフラインCL1と走行車線側の第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する配光パターンすなわちすれ違い用配光パターンLPを形成することができる。
【実施例2】
【0057】
(実施例2の説明)
図11〜図13は、この発明にかかる車両用灯具の実施例2を示す。図中、図1〜図10と同符号は、同一のものを示す。
【0058】
前記の実施例1における車両用灯具1L、1Rは、第2水平エッジ62および中央斜めエッジ63を、シェード6Lのうち、非球面レンズ部31Lに対応する部分であって、車両Cの中央側(右側。なお、車両Cの右側に搭載される車両用灯具1Rの場合においては、車両Cの外側であって同じく右側)の部分に設けたものである。これに対して、この実施例2における車両用灯具は、第2水平エッジ62および中央斜めエッジ63を、シェード6Lのうち、非球面レンズ部31Lに対応する部分であって、車両Cの中央側(右側。なお、車両Cの右側に搭載される車両用灯具1Rの場合においては、車両Cの外側であって同じく右側)の部分と、シェード6Lのうち、シリンドリカルレンズ部32Lに対応する部分であって、車両Cの中央側(右側。なお、車両Cの右側に搭載される車両用灯具1Rの場合においては、車両Cの外側であって同じく右側)の部分と、にそれぞれ設けたものである。
【0059】
この実施例2における車両用灯具は、前記のごとき構成からなるので、図11(B)、図12(A)に示す第1水平カットオフラインCL1と第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する集光配光パターンSPL、SPRと、図11(A)、図12(B)に示す同じく第1水平カットオフラインCL1と第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する拡散配光パターンWPL1、WPR1と、をそれぞれ照射して、図13に示す対向車線側の第1水平カットオフラインCL1と走行車線側の第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する配光パターンすなわちすれ違い用配光パターンLP1を形成することができる。
【0060】
この実施例2における車両用灯具は、前記の実施例1における車両用灯具1の作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施例2における車両用灯具は、すれ違い用配光パターンLP1のエルボー点Eから中央斜めカットオフラインCL3にかけての部分の光度が高くなるので、走行車線側の遠方の視認性が向上されて、交通安全に貢献することができる。
【実施例3】
【0061】
(実施例3の説明)
図14〜図16は、この発明にかかる車両用灯具の実施例3を示す。図中、図1〜図13と同符号は、同一のものを示す。
【0062】
前記の実施例1、2における車両用灯具1L、1Rは、1個のシェード6L、6Rに第1水平エッジ61、第2水平エッジ62、中央斜めエッジ63を設けて、図10、図13に示す対向車線側の第1水平カットオフラインCL1と走行車線側の第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する配光パターンすなわちすれ違い用配光パターンLPを、車両の前方に照射するものである。これに対して、この実施例3における車両用灯具は、1個のシェード(図示せず)に同レベルもしくはほぼ同レベルの水平エッジを設けて、図14(B)、図15(A)に示す水平カットオフラインCLを有する集光配光パターンSPL2、SPR2と、図14(A)、図15(B)に示す水平カットオフラインCLを有する拡散配光パターンWPL2、WPR2とを合成して、図16に示す同レベルもしくはほぼ同レベルの水平カットオフラインCLを有するフォグ用配光パターンFPを、車両の前方に照射するものである。
【0063】
この実施例3における車両用灯具は、前記の実施例1、2における車両用灯具1L、1Rの作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【実施例4】
【0064】
(実施例4の説明)
図17〜図19は、この発明にかかる車両用灯具の実施例4を示す。図中、図1〜図16と同符号は、同一のものを示す。
【0065】
前記の実施例1、2における車両用灯具1L、1Rは、1個のシェード6L、6Rに第1水平エッジ61、第2水平エッジ62、中央斜めエッジ63を設けて、図10、図13に示す対向車線側の第1水平カットオフラインCL1と走行車線側の第2水平カットオフラインCL2と中央斜めカットオフラインCL3とエルボー点Eを有する配光パターンすなわちすれ違い用配光パターンLPを、車両の前方に照射するものである。また、前記の実施例3における車両用灯具は、1個のシェードに同レベルもしくはほぼ同レベルの水平エッジを設けて、図16に示す同レベルもしくはほぼ同レベルの水平カットオフラインCLを有するフォグ用配光パターンFPを、車両の前方に照射するものである。これに対して、この実施例4における車両用灯具は、1個のシェード(図示せず)を使用せずに、図17(B)、図18(A)に示す集光配光パターンSPL3、SPR3と、図17(A)、図18(B)に示す拡散配光パターンWPL3、WPR3とを合成して、図19に示す走行用配光パターンHPを、車両の前方に照射するものである。
【0066】
この実施例4における車両用灯具は、前記の実施例1、2、3における車両用灯具1L、1Rの作用効果とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0067】
(実施例以外の例の説明)
なお、前記の実施例においては、2個のランプユニット41L、42L、41R、42Rを使用するものである。ところが、この発明においては、2個のランプユニット41L、42L、41R、42Rにその他のランプユニット、たとえば、半導体型光源を一体構造のリフレクタ51L、52L、51R、52Rもしくは1個のシェード6L、6Rもしくはヒートシンク部材7に取り付けて、その半導体型光源からの光を、1個のレンズ3L、3Rのシリンドリカルレンズ部32Lを透過させて、オーバーヘッドサイン用配光パターンやクリアランス用配光パターンなどを車両の前方や外部に照射するようにしても良い。
【符号の説明】
【0068】
1L、1R 車両用灯具
21L、22L、21R、22R 半導体型光源
2 発光チップ
3L、3R レンズ
31L、310L 非球面レンズ部
32L シリンドリカルレンズ部
41L、42L、41R、42R ランプユニット
51L、52L、51R、52R リフレクタ
6L、6R シェード
61 第1水平エッジ
62 第2水平エッジ
63 中央斜めエッジ
7 ヒートシンク部材
8 保持部材
91L、92L、91R、92R 反射面
10L、10R ランプハウジング
11L、11R ランプレンズ
12L、12R 灯室
F 前
B 後
U 上
D 下
L 左
R 右
HL−HR スクリーンの左右の水平線
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
C 車両
F1L、F2L 第1焦点
Z1L−Z1L、Z1R−Z1R 反射面の光軸、非球面レンズ部のレンズ軸
Z2L−Z2L、Z2R−Z2R 反射面の光軸
Z−Z 4個の発光チップの配列軸
L1L、L2L、L1R、L2R 反射面からの反射光
SPL、SPR、SPL2、SPR2、SPL3、SPR3 集光配光パターン
WPL、WPR、WPL1、WPR1、WPL2、WPR2、WPL3、WPR3 拡散配光パターン
CL1 第1水平カットオフライン
CL2 第2水平カットオフライン
CL3 中央斜めカットオフライン
E エルボー点
CL 水平カットオフライン
LP、LP1 すれ違い用配光パターン
FP フォグ用配光パターン
HP 走行用配光パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体型光源を光源とし、かつ、1個のレンズを共有する複数個のランプユニットから構成されている車両用灯具において、
前記複数個のランプユニットは、少なくとも、回転楕円面を基本とした自由曲面からなる反射面をそれぞれ有する2個のリフレクタと、前記2個のリフレクタの前記反射面の第1焦点に配置されている2個の半導体型光源と、前記2個の半導体型光源からの光であって前記2個のリフレクタの前記反射面で反射された反射光を外部に照射する1個のレンズと、を備え、
前記1個のレンズは、車両の中央側に配置されていて集光配光パターンを外部に照射する非球面レンズ部と、車両の外側に配置されていて拡散配光パターンを外部に照射するシリンドリカルレンズ部と、から一体に構成されていて、
前記シリンドリカルレンズ部と対をなす前記反射面の光軸は、前記非球面レンズ部のレンズ軸および前記非球面レンズ部と対をなす前記反射面の光軸に対して、外側に向いている、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記2個の半導体型光源は、それぞれ、1列に配列されている複数個の発光チップを備え、
前記2個の半導体型光源は、それぞれ、前記複数個の発光チップの配列軸が前記非球面レンズ部のレンズ軸および前記非球面レンズ部と対をなす前記反射面の光軸に対して直交するように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記非球面レンズ部と対をなす前記反射面は、回転楕円面を左右方向に前記光軸から遠ざかる方向に広げた自由曲面からなり、
前記シリンドリカルレンズ部と対をなす前記反射面は、回転楕円面に近似した自由曲面からなる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記2個のリフレクタおよび前記2個の半導体型光源と前記1個のレンズとの間に配置されていて、前記2個の半導体型光源からの光であって前記2個のリフレクタの前記反射面で反射された反射光の一部を遮蔽してカットオフラインを有する配光パターンを形成する1個のシェードを、備える、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記1個のシェードには、対向車線側の第1水平カットオフラインを形成する第1水平エッジと、前記第1水平エッジよりも下位に位置していて走行車線側の第2水平カットオフラインを形成する第2水平エッジと、中央斜めカットオフラインを形成する中央斜めエッジと、がそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−238451(P2012−238451A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106063(P2011−106063)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】