説明

車両用灯具

【課題】リフレクタをアジャストスクリューの軸方向から挿入して配置することに限定されることなく、アジャストスクリューの軸と交差する方向、たとえばアジャストスクリューの上方側から挿入して配置できるようにした車両用灯具を提供する。
【解決手段】ハウジング10の開口部に前面レンズ20が閉塞されて構成される灯室30内に、光源40と光源40からの光を前面レンズ20側へ反射させるリフレクタ50とが配置される。少なくともハウジング10に周軸方向に回転可能に支持されリフレクタ50に設けられる螺入孔50Aに螺入される螺子形成部65Aを有するアジャストスクリュー65を備えて構成される光軸調整装置が具備され、アジャストスクリュー65は螺入孔50Aに螺入される螺子形成部65Aの径よりも小さな径を有する小径部65Dを有し、螺入孔50Aにはアジャストスクリュー65の小径部65Dを挿入し得る切欠き部51が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に係り、特に、光軸調整装置が具備される車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のたとえば前照灯(ヘッドライト)は、ハウジングの開口部に前面レンズが閉塞されて構成される灯室内に、光源とこの光源からの光を前記前面レンズ側へ反射させるリフレクタとが配置されて構成されている。リフレクタは、たとえば放物線の回転面を有する形状をなし、その内側は反射面として構成され、光源は、リフレクタの焦点に配置させることによって、該リフレクタによって反射された光を効率よく車両の前方へ出射させるようになっている。
【0003】
そして、リフレクタは、たとえば下記特許文献1あるいは特許文献2に開示されるように、ハウジングと光軸調整装置を介して取り付けられており、この光軸調整装置によって、ハウジングに対するリフレクタの微移動調整を行い、リフレクタの光軸と前面レンズの光軸とを一致させることができるようになっている。
【0004】
光軸調整装置は、特許文献1あるいは特許文献2に示されるように、ハウジングとリフレクタの間に、たとえば光源を間にして描かれる仮想の三角形の各頂点の位置に3個設けられ、その一つは、ハウジングに対してリフレクタを回転可能に軸支するいわゆる玉継手から構成され、他の二つは、ハウジングに周軸方向に回転可能に支持されリフレクタに設けられる螺入孔(ナット部)に螺入される螺子部を有するアジャストスクリューから構成されている。
【0005】
このように構成される光軸調整装置は、アジャストスクリューのそれぞれを適当に回転させることによって、リフレクタの螺子孔(ナット部)が形成される部分を微移動させることができる。これにより、玉継手が設けられている個所を中心として、ハウジングに対するリフレクタの傾きを変動させることができ、リフレクタの光軸と前面レンズの光軸とを一致させることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-140668号公報
【特許文献2】特開平07-230705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した光軸調整装置は、ハウジングに対するリフレクタの取り付の際に、アジャストスクリューの先端をリフレクタに設けた螺入孔に挿入しなければならないことから、リフレクタのハウジング内への挿入方向が、アジャストスクリューの軸方向に限定されてしまう構成となっていた。この場合、アジャストスクリューは、このアジャストスクリューの長手方向に沿ってリフレクタを移動させなければならないことから、比較的長く構成せざるを得ず、その長さに対応してリフレクタの挿入方向に制限が付されてしまうことになる。このため、車両用灯具において、限られたスペース内に様々な機能を有する部品を配置させるような場合、これら部品が邪魔となりハウジングに対するリフレクタの配置が円滑に行えないという不都合が生じる。
【0008】
また、上述したアジャストスクリューは、リフレクタをハウジングに対して支持するいわゆる片持ち支持軸として機能させるようになっている。このため、リフレクタの重量が増加しつつある近年において、片持ち支持軸からなるアジャストスクリューのみではリフレクタを充分に支持できないという不都合が生じてきている。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、アジャストスクリューからなる光軸調整装置を備えるものにあって、リフレクタをアジャストスクリューの軸方向から挿入して配置することに限定されることなく、アジャストスクリューの軸と交差する方向、たとえばアジャストスクリューの上方側から挿入して配置できるようにした車両用灯具を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、アジャストスクリューからなる光軸調整装置を備えるものにあって、光軸調整を行う以前からアジャストスクリューを両持ち構造として構成できる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明は、アジャストスクリューを、その軸の両端を除くほぼ中央部から、リフレクタの螺入孔に挿入できるように、アジャストスクリューおよびリフレクタの螺入孔に改良を施したものとしたものである。また、本発明は、上述の改良を前提として、アジャストスクリューの先端をハウジングに固定される支持部材によって支持するようにしたものである。
【0012】
本発明は、以下の構成によって把握することができる。
(1)本発明の車両用灯具は、ハウジングの開口部に前面レンズが閉塞されて構成される灯室内に、光源と前記光源からの光を前記前面レンズ側へ反射させるリフレクタとが配置される車両用灯具であって、少なくとも前記ハウジングに周軸方向に回転可能に支持され前記リフレクタに設けられる螺入孔に螺入される螺子形成部を有するアジャストスクリューを備えて構成される光軸調整装置が具備され、前記アジャストスクリューは前記螺入孔に螺入される前記螺子形成部の径よりも小さな径を有する小径部を有し、前記螺入孔には前記アジャストスクリューの前記小径部を挿入し得る切欠き部が形成されていることを特徴とする。
(2)本発明の車両用灯具は、(1)の構成において、前記アジャストスクリューは、前記ハウジングに回転可能に支持される側と反対の先端側において前記ハウジングに対して支持される支持部材によって支持されていることを特徴とする。
(3)本発明の車両用灯具は、(1)の構成において、車両用灯具を車両に組み込んだ場合に、前記螺入孔に形成される前記切欠き部は、その開口が下方側に指向されるように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように構成された車両用灯具によれば、アジャストスクリューからなる光軸調整装置を備えるものにあって、リフレクタをアジャストスクリューの軸方向から挿入して配置することに限定されることなく、アジャストスクリューの軸と交差する方向、たとえばアジャストスクリューの上方側から挿入して配置できるようになる。
【0014】
また、このように構成された車両用灯具によれば、アジャストスクリューからなる光軸調整装置を備えるものにあって、光軸調整を行う以前からアジャストスクリューを両持ち構造として構成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の車両用灯具の実施態様1においてアジャストスクリューとナット部を拡大して示した斜視図である。
【図2】本発明の車両用灯具の実施態様1を示す断面図である。
【図3】本発明の車両用灯具を前方から観た正面図で、光軸調整機構の配置を示した図である。
【図4】光軸調整機能の回転支軸部の球体軸受を示した正面図および断面図である。
【図5】光軸調整機構のアジャストスクリューを示した斜視図である。
【図6】光軸調整機構のナット部を示した正面図である。
【図7】ハウジングにリフレクタを配置させる際の該リフレクタの挿入方向を示した断面図である。
【図8】リフレクタのナット部がアジャストスクリューの螺子非形成部に挿入(嵌合)した場合を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施態様1)
図2は、本発明の車両用灯具の実施態様1を示す断面図である。図2に示す車両用灯具はたとえば前照灯(ヘッドライト)を示しており、図中右側が車両の前方方向となっている。
【0017】
図2において、車両用灯具1は、車両の前方側が開口されたハウジング10とこのハウジング10の開口を閉塞する前面レンズ20とで灯室30を構成している。ハウジング10、前面レンズ20は車両の流線形状に合わせた形状をなし、たとえば前面レンズ20は車両の前方のみならず上方にまで延在された湾曲面状をなして形成されている。ハウジング10の開口の周縁には該周縁に沿った溝部11が形成され、前面レンズ20は、その周辺部が該溝部11に挿入されるとともに該溝部11に予め塗布されたホットメルト12等によってハウジング10の開口を密封させるようになっている。
【0018】
車両用灯具1の灯室30内には、バルブからなる光源40と、この光源40からの光を車両前方に反射させるためのリフレクタ50が備えられている。リフレクタ50はたとえば回転放物面からなる反射面を有し、光源40は該反射面の焦点に配置されるようになっている。なお、光源40とリフレクタ50は、たとえば灯室30の後方(車両後方)側に配置され、光源40とリフレクタ50の上方には前面レンズ20が車両前方側から延在されて配置されている。リフレクタ50は光軸調整機構60を介してハウジング10に取り付けられている。図3は、車両用灯具1を車両前方から観た図であり、光軸調整機構60は、たとえば、一つの回転支軸部60Aと二つの調整軸部60Bとから構成されている。二つの調整軸部60Bはそれぞれ同様の構成となっている。回転支軸部60Aは光源40に対してたとえば図中左上側に配置され、調整軸部60Bの一方は光源40に対してたとえば図中右上側に、他方は光源40に対してたとえば図中左下側に配置されている。このような光軸調整機構60(60A、60B)は、調整軸部60Bをそれぞれ独立に操作することにより、ハウジング10と該調整軸部60Bが形成されたリフレクタ50の水平方向(図3の表裏方向)の距離を調整でき、回転支軸部60Aに対するリフレクタ50の傾きを調整することができるようになっている。なお、図2の断面図は、図3におけるII−II線における断面に相当する図となっている。光軸調整機構60(60A、60B)についてはさらに後において詳述する。
【0019】
図2に戻り、光源40はソケット41を介してリフレクタ50に固定されるとともに、該ソケット41の電源供給側の一部はハウジング10に形成された開口14を通してハウジング10の外部に配置されるようになっている。ハウジング10の開口14とソケット41の間の隙間は、円環状のゴムキャップ70によって閉塞されている。ゴムキャップ70は、その内周辺部がソケット41に、外周辺部がハウジング10に密着され、防水性等を確保するようになっている。また、ゴムキャップ70は、リフレクタ50を光軸調整機構60(60A、60B)によって光軸調整する際に、変形できるようになっている。これにより、リフレクタ50はハウジング10に対して変位可能になっている。
【0020】
回転支持部60Aは、図2に示すように、ハウジング10に固定され先端に球体部61Aを有する球体支軸61と、リフレクタ50に取り付けられ前記球体部61Aを内包する球体軸受62とから構成されている。このように構成される回転支持部60Aは、球体軸受62に内包された球体支軸61の球体部61Aが一定の範囲内で回転できるようになっている。これにより、リフレクタ50はハウジング10に対して回転支持部60Aを中心にして一定の範囲内で回転できるようになる。この場合、球体軸受62の正面図である図4(a)および図4(a)のb−b線の断面図である図4(b)に示すように、球体軸受62は、内壁面62Aの一部において球面部62Bを有する円筒形からなっている。球面部62Bは、その径が球体支軸61の球体部61Aの径よりも若干大きく形成され、該球体部61Aを内包できるようになっている。また、球体軸受62の先端部は軸方向に沿ったたとえば3個の切り欠き62Dが周方向にほぼ等間隔に形成されている。これにより、球体軸受62の先端部は外方に変位し易い構成にでき、球体部61Aを球体軸受62に圧入させることによって、球体軸受62と球体支軸61との連結が容易に行うことができるようになっている。
【0021】
また、図2に戻り、調整軸部60Bは、ハウジング10に軸支され該ハウジング10の外側から回転させることのできるアジャストスクリュー65と、リフレクタ50に取り付けられアジャスタスクリュー65の螺子形成部65Aを螺合できるナット部(この明細書において螺入孔と称する場合がある)50Aとから構成されている。このように構成される調整軸部60Bは、アジャストスクリュー65を回転させることによって、リフレクタ50のナット部50Aが取り付けられた部分を該アジャストスクリュー65の軸方向に沿った前後方向に移動させることができる。これにより、リフレクタ50は回転支持部60Aを中心にして傾動させることができるようになっている。なお、アジャストスクリュー65のハウジング10に軸支される側と反対側の先端部は、ハウジング10に固定された支持部材80によって支持されるようになっている。
【0022】
この支持部材80は、アジャストスクリュー65をハウジング10に対して両持ち構造とすることによって、近年において重量が増加する傾向にあるリフレクタ50を充分に支持できるようになっている。支持部材80の上面にはたとえば溝(図1にて符号81で示す)が形成され、この溝81内にアジャストスクリュー65の先端部が載置されることにより、アジャスタスクリュー65は、その先端部を定位置に固定された状態で、軸廻りに自由に回転できるように構成されている。この趣旨から、支持部材80には孔を形成し、この孔にアジャストスクリュー65の先端部を挿入させるようにして同様の効果を奏するようにしてもよい。アジャストスクリュー65は、図5に示すように、回転操作する側の端部においてたとえば六角柱の頭部65Bを有し、この頭部65Bから先端部にかけて、順次、ハウジング10との軸支部65C、螺子形成部65A、螺子非形成部65Dが形成されている。アジャストスクリュー65をハウジング10に軸支した場合、頭部65Bはハウジング10の外側に突出され、図示せぬ工具を該頭部65Bに係合させてアジャストスクリュー65を回転できるようになっている。また、軸支部65Cは、アジャストスクリュー65をハウジング10に軸支した場合に、該ハウジング10に対してアジャストスクリュー65が軸方向へ移動してしまうのを規制するためのフランジ65Fが設けられている。
【0023】
螺子形成部65Aは、アジャストスクリュー65の軸方向に沿った螺子形成長さLが、たとえば、アジャストスクリュー65の回転によるリフレクタ50の調整範囲である最大可動範囲の長さにほぼ対応した長さとなっている。螺子非形成部65Dは、螺子形成部65Aからアジャストスクリュー65の先端部にまで及んで螺子が形成されていない部分となっており、この螺子非形成部65Dにおけるアジャストスクリュー65の直径2rは螺子形成部65Aにおけるアジャストスクリュー65の直径2R(R>r)よりも小さく形成されている。なお、このように構成されるアジャストスクリュー65は、その先端部が支持部材80に支持された状態では、螺子非形成部65Dの一部において該支持部材80によって支持され、残りの大部分において該支持部材80によって支持されていない部分となっている。この螺子非形成部65Dの支持部材80によって支持されていない部分は、後述の説明から明かとなるように、リフレクタ50のナット部50Aが嵌合されるリフレクタ嵌合部として機能するようになっている。
【0024】
ここで、図7に示すように、前面レンズ20を外した状態のハウジング10に、ハウジング10の上方(矢印α方向)からリフレクタ50を挿入させることによってハウジング10内に配置させることを想定する。なお、図7においては、光源40(ソケット41)、ゴムキャップ70はいまだ取り付けられていない状態となっている。この場合において、リフレクタ50のナット部50Aは、図6に示すように、図中下側に向かって開放される切り欠き51が形成されている。すなわち、リフレクタ50のナット部50Aの切り欠き51は、その開放される方向が、リフレクタ50のハウジング10への挿入方向とほぼ一致づけられるようにして形成されている。具体的には、ナット部50Aに形成される前記切り欠き51の開口は下方側(車両用灯具1を車両に組み込んだ場合における下方側)に指向されるように設けられている。なお、図6は、ナット部50Aをその軸方向から観た図である。図6に示すように、ナット部50Aの切り欠き51は、ナット部50Aの中心軸から約45°の開き角を有し、これにより径が大きくなる方向に向かうに従って切欠幅が大きくなるように構成されている。この場合の切り欠き51の最小となる切欠幅wは、アジャストスクリュー65の螺子非形成部65Dの直径2rよりも若干小さくなるように設定されている。すなわち、リフレクタ50を図7に示した方向からハウジング10へ挿入させる場合、アジャストスクリュー65とナット部50Aの近傍を斜視的に示した図1に示すように、ナット部50Aの切り欠き51に、予めハウジング10に取り付けられているアジャストスクリュー65の螺子非形成部65Dが配置できるようになり、そのまま、リフレクタ50を図中下方に若干の力を加えることにより、ナット部50A内にアジャストスクリュー65の螺子非形成部65Dを圧入させることができる。
【0025】
図8は、図7に対応付けて描いた断面図であり、リフレクタ50のナット部50Aが、アジャストスクリュー65の螺子非形成部65Dを通して該アジャストスクリュー65に挿入(嵌合)されている状態を示した図である。これにより、リフレクタ50のナット部50Aが、切り欠き51を通してアジャストスクリュー65に嵌合するようになる。この後は、リフレクタ50を、アジャストスクリュー65の螺子形成部65Aの側にナット部50Aが近接するように移動させ、アジャストスクリュー65を回転させることによって、ナット部50Aはアジャストスクリュー65の螺子形成部65Aに容易に螺合されるようになる。この場合、回転支軸部60Aにおいて、球体支軸61と球体軸受62との連結をも行うことにより、リフレクタ50は、光軸調整機構60(60A、60B)を介してハウジング10に取り付けられるようになる。
【0026】
このように構成された車両用灯具1は、リフレクタ50を、アジャストスクリュー65の軸方向からでなく、該軸方向と直交する方向から、ハウジング10内に収納させることによって、リフレクタ50のナット部50Aをアジャストスクリュー65に嵌合(挿入)させることができるようになる。このため、ハウジング10のスペース的な制約によって、アジャストスクリュー65の軸方向からリフレクタ50を収納させることができない場合であっても、該リフレクタ50のハウジング10内への収納を可能とすることができるようになる。上述した実施態様の場合、ハウジング10の開口に塞ぐ前面レンズ20は、車両の前方方向のみならず上側にも延在した流線形状をなしており、前面レンズ20を外した状態では、ハウジング10の開口は上側にも大きな面積を有して形成されていることから、リフレクタ50をハウジング10の上側から容易に収納すると同時に、ハウジング10に予め取り付けられたアジャストスクリュー65にリフレクタ50のナット部50Aを嵌合(挿入)させることができるようになる。
【0027】
そして、リフレクタ50のナット部50Aをアジャストスクリュー65の先端側から挿入する必要がないことから、予め、アジャストスクリュー65の先端を、ハウジング10に固定させて取り付けた支持部材80によって支持する両持ち構造とすることによって、重量が増大するリフレクタ50を充分に支持することができるようになる。この場合、リフレクタ50のナット部50Aをアジャストスクリュー65の先端側から挿入する構成の場合と比較すると、支持部材80をリフレクタ50のナット部50Aのアジャストスクリュー65への挿入後においてのみ取り付けなければならない煩雑さを回避できる効果を奏することができる。
【0028】
さらに、リフレクタ50のナット部50Aが嵌合(挿入)するアジャストスクリュー65の部分は、螺子形成部65Aの径よりも小さな径を有する部分となっていることから、該ナット部50Aのアジャストスクリュー65への嵌合(挿入)後において、該ナット部50Aとアジャストスクリュー65の螺子形成部65Aの螺合を信頼性よく行うことができるようになる。このことは、たとえば、アジャストスクリュー65において先端部にまで及んで同径の螺子形成部65Aを形成した場合、ナット部50Aのアジャストスクリュー65への嵌合の際の該ナット部50Aと螺子形成部65Aとの螺合がスムーズに行なうことができない不都合を否めなくなる。
【0029】
上述した実施態様1では、ハウジング10と前面レンズ20で構成される灯室30内に、1個の光源40およびリフレクタ50を配置させた構成について説明したものである。しかし、これに限定されることはなく、光源およびリフレクタは灯室30内に複数個配置されていてもよいことはもちろんである。
また、上述した実施態様1では、灯室30内に配置されるランプは、光源40とリフレクタ50からなるいわゆるリフレクタタイプのランプユニットを示したものである。しかし、これに限定されることはなく、ランプ自体をスイブル動作あるいはレベリング動作させるための機構部を備えたいわゆるプロジェクタタイプのランプユニットにあっても適用できることはいうまでもない。この場合、実施態様1に示したナット部50Aは、たとえばランプユニットに取り付けたブラケットに設けられるようになり、このナット部50Aが実施態様1に示したアジャストスクリュー65に嵌合(挿入)されるように構成される。
【0030】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0031】
1……車両用灯具、10……ハウジング、11……溝部、12……ホットメルト、14……開口、20……前面レンズ、30……灯室、40……光源、41……ソケット、50……リフレクタ、50A……ナット部、51……切り欠き、60……光軸調整機構、60A……回転支軸部、60B……調整軸部、61……球体支軸、61A……球体部、62……球体軸受、62A……内壁面、62B……球面部、65……アジャストスクリュー、65A……螺子形成部、65B……頭部、65C……軸支部、65D……螺子非形成部、65F……フランジ、70……ゴムキャップ、80……支持部材、81……溝。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの開口部に前面レンズが閉塞されて構成される灯室内に、光源と前記光源からの光を前記前面レンズ側へ反射させるリフレクタとが配置される車両用灯具であって、
少なくとも前記ハウジングに周軸方向に回転可能に支持され前記リフレクタに設けられる螺入孔に螺入される螺子形成部を有するアジャストスクリューを備えて構成される光軸調整装置が具備され、
前記アジャストスクリューは前記螺入孔に螺入される前記螺子形成部の径よりも小さな径を有する小径部を有し、
前記螺入孔には前記アジャストスクリューの前記小径部を挿入し得る切欠き部が形成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記アジャストスクリューは、前記ハウジングに回転可能に支持される側と反対の先端側において前記ハウジングに対して支持される支持部材によって支持されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
車両用灯具を車両に組み込んだ場合において、前記螺入孔に形成される前記切欠き部は、その開口が下方側に指向されるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−37786(P2013−37786A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170492(P2011−170492)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】