説明

車両用灯具

【課題】光源の点灯の有無に拘わらず、反射板によって反射される光は、周囲との明暗差を有すようになり、周囲に対して浮き出ているような見栄えを有する車両用灯具を提供する。
【解決手段】発光素子22は、ヒートシンク21の平坦面の一領域に、その光が平坦面と交差する第1方向に出射するように搭載され、反射板23は、ヒートシンク21の平坦面を被うようにして配置され、発光素子22からの光を反射させた後に前記第1方向と交差する第2方向へ出射させ、漏光処理板24は、反射板23の前記第1方向側の周縁部23Aに配置され、発光素子22からの光のうち前記反射板23に反射されることのない漏光を拡散するように構成される。漏光処理板24は、反射板23の周縁部23Aと隙間Tを有して配置され、第2方向側および第2方向と反対の方向側において反射板23の周縁部23Aを超えて延在されて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に係り、特に、光源として発光素子を用いた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具としては、たとえば、ヒートシンク、発光素子、反射板、とから構成され、発光素子は、ヒートシンクの平坦面の一領域に、その光照射面からの光が該平坦面と交差する第1方向に出射するように搭載され、反射板は、発光素子とともにヒートシンクの平坦面を被うようにして配置され、発光素子からの光を反射させた後に前記第1方向と交差する第2方向へ出射させるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
そして、反射板には、その前記第1方向側の周縁部において、該反射板と一体にいわゆる立ち壁と称する部分が形成され、この立ち壁によって、発光素子からの光のうち前記反射板に反射されることのない漏光をたとえば遮光あるいは拡散させるようにしたものが知られている。この立ち壁は、それが無い場合に、発光素子からの漏光がインナーパネル等の部品に直射し、そこからの反射によってグレア等が発生するのを防止できるようになっている(特許文献2参照)。
【0004】
なお、以下において、前記立ち壁は、上述した機能に基づき、漏光処理板と称して説明をする。
【0005】
本発明に関連する他の文献としては、たとえば、下記特許文献3、特許文献4が挙げられる。特許文献3には、反射板からなるリフレクタに形成されたリブがハウジングに形成されたリブに係合されることにより、リフレクタの位置決めを図った技術が開示されている。また、特許文献4には、リフレクタの開口端の外側のうち、インナーパネルの延長部の表面処理範囲で映し出される部分に、反射処理等の表面処理を施こすことにより、見映えを向上させた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-41558号公報
【特許文献2】特開平6-203612号公報
【特許文献3】特開2010-61841号公報
【特許文献4】特開2001-135107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述した車両用灯具は、上述したように、反射板と漏光処理板とが一体となって構成されたものとなっているため、たとえば反射板を金属等で形成する場合において漏光処理板も同じ金属で形成しなければならず、たとえば反射板の全体の重量が増大してしまうという不都合があった。
【0008】
また、同様の理由によって、たとえば反射板を薄肉化させようとしても、漏光処理板の存在によって、反射板の薄肉化に制限が付されてしまう不都合があった。漏光処理板は、その表面に光拡散のためのプリズム等を形成することから、厚さが比較的大きくなり、反射板も、それに応じて機械的強度を保つために厚さを大きくせざるを得なくなるからである。
【0009】
そして、上述した車両用灯具は、反射板と漏光処理板とが一体となって構成されていることによって、反射板からの光は、その周辺において漏光処理板からの光が入射されるため、漏光処理板との境界が曖昧に(明暗差なくぼけるように)なり、周囲に対して沈んでいるように目視される不都合を有する。このような不都合は、車両用灯具を点灯している場合のみならず、非点灯の場合においても同様に観察される。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、反射板と漏光処理板は、それぞれ、他方の制約がなされることなく、独自の機能に基づいた構成とすることができ、また、光源の点灯の有無に拘わらず、反射板によって反射される光は、周囲との明暗差を有すようになり、周囲に対して浮き出ているような見栄えを有する車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明は、漏光処理板を反射板と別体として構成し、漏光処理板は、反射板に反射された発光素子からの光の方向をA方向とした場合に、反射板の前記A方向の周縁部と隙間を有して配置され、前記A方向側および前記A方向と反対側において、それぞれ、反射板の前記周縁部を超えて延在されるように構成したものである。
これにより、反射板と漏光処理板は別体として構成されているために、それぞれ、他方の制約がなされることなく、独自の機能に基づいた構成とすることができる効果を奏するようになる。また、反射板と漏光処理板との間に隙間があることから、反射板によって反射される光は、光源の点灯の有無に拘わらず、周囲との明暗差を有するようになり、該周囲に対して浮き出ているような見栄えを有する効果を奏する。
【0012】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の車両用灯具は、少なくとも、ヒートシンク、発光素子、反射板、漏光処理板を有し、前記ヒートシンクは、平坦面を有して形成され、前記発光素子は、前記ヒートシンクの前記平坦面の一領域に、その光出射面からの光が前記平坦面と交差する第1方向に出射するように搭載され、前記反射板は、前記ヒートシンクの平坦面を被うようにして配置され、前記発光素子からの光を反射させた後に前記第1方向と交差する第2方向へ出射させ、前記漏光処理板は、前記反射板の前記第1方向側の周縁部に配置され、前記発光素子からの光のうち前記反射板に反射されることのない漏光を遮光あるいは拡散するように構成された車両用灯具であって、前記漏光処理板は、前記反射板の前記周縁部と隙間を有して配置され、前記第2方向側において前記反射板の前記周縁部を超えて延在され、前記第2方向と反対の方向側において前記反射板の前記周縁部を超えて延在されて構成されていることを特徴とする。
(2)本発明の車両用灯具は、(1)の構成において、前記ヒートシンクの前記発光素子が搭載される領域の近傍に、前記第1方向から観た場合に前記発光素子の目視または直射光の漏光を防止するシェードが取り付けられていることを特徴とする。
(3)本発明の車両用灯具は、(1)の構成において、前記漏光処理板は、前記第1方向と反対の方向に前記反射板の前記周縁部を超えて延在される延在部に、前記ヒートシンク側に突出するリブが設けられていることを特徴とする。
(4)本発明の車両用灯具は、(1)の構成において、前記漏光処理板は、その比重が前記反射板の比重よりも小さい材料で構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述した構成の車両用灯具によれば、反射板と漏光処理板は、それぞれ、他方の制約がなされることなく、独自の機能に基づいた構成とすることができ、また、光源の点灯の有無に拘わらず、反射板によって反射される光は、周囲との明暗差を有すようになり、周囲に対して浮き出ているような見栄えを有するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の車両用灯具の実施態様1に具備されるランプを示す断面図である。
【図2】本発明の車両用灯具の実施態様1の全体を示す断面図である。
【図3】本発明の車両用灯具の実施態様1に具備されるランプを示す正面図、左側面図、右側面図、上面図である。
【図4】本発明の車両用灯具の実施態様1に具備されるランプの背面図である。
【図5】図3(c)のV−V線における断面図である。
【図6】本発明の車両用灯具の実施態様1に具備されるランプの分解斜視図である。
【図7】本発明の車両用灯具の実施態様2に具備されるランプを示す正面図である。
【図8】本発明の車両用灯具の実施態様3に具備されるランプを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施態様1)
図2は、本発明の車両用灯具の実施態様1の概略を示す断面図である。図2に示す車両用灯具10は、たとえば前照灯(ヘッドランプ)を示している。図2中x、y、z方向は、該車両用灯具10を車両に取り付けた場合において、それぞれ、車両の前方方向、幅方向、高さ方向に一致させて示している。
【0016】
図2において、車両用灯具10は、前面レンズ11とハウジング12によって灯室13を画成するようになっている。ハウジング12は車両の前方部に開口12Aを有し、その開口12Aの縁において前面レンズ11の周縁部11Aを挿入させる溝部14が形成されている。ハウジング12の溝部14にはホットメルト15が塗布され、このホットメルト15によって前面レンズ11の周縁部11Aを固着させるとともに水分侵入を防止するシール性を確保できるようになっている。
【0017】
車両用灯具10の灯室13にはランプ20が配設されている。このランプ20は、概略を示すと、ヒートシンク21と、このヒートシンク21に搭載された発光ダイオード(発光素子)22と、この発光ダイオード22から光Lを反射させ前面レンズ11側に出射させる反射板23と、この反射板23の前面レンズ11側の周縁部23Aの近傍に配置され該反射板23の背後にまで延在されて形成される漏光処理板24とから構成されている。漏光処理板24は、反射板23と別体で構成され、発光ダイオード22からの光のうち該反射板23に反射されることのない漏光(図2中符号L’で示す)をたとえば遮光あるいは拡散させるような表面処理が施されて構成されている。なお、このように構成されるランプ20とハウジング12の間には、それらの間隙を塞ぐようにしてインナーパネル25が配置され、このインナーパネル25によってランプ20の背部が目視されないようになっている。
【0018】
図3(a)、(b)、(c)、(d)は、上述したランプ20の詳細を示す構成図である。図3(a)は正面図、図3(b)は左側面図、図3(c)は右側面図、図3(d)は上面図である。図3(a)、(b)、(c)、(d)に示すx、y、z方向は、それぞれ、図2に示したx、y、z方向と一致づけて示しており、この図3以降の他の図においても同様となっている。
【0019】
図3(a)、(b)、(c)、(d)において、まず、ランプ20の上部にはヒートシンク21が配置されている。このヒートシンク21は、図中xy面に対して図中y方向に角度θの傾きを有する板状放熱材21Aと、この板状放熱材21Aの上面に形成される放熱フィン21Bとから構成されている。
【0020】
板状放熱材21Aは、たとえば意匠上の観点から、たとえば、車両の内側(図1(a)中左側)において低く、車両の外側(図1(a)中右側)において高くなるように傾いて配置されている。板状放熱材21Aは、比較的大きな面積で構成され、ランプ20の外枠の一部を構成するようになっている。放熱フィン21Bは、複数からなり、たとえば、図中y方向に並設され、図中x方向に延在されて形成されている。また、この放熱フィン21Bは、たとえば、ランブ20の背面図である図4に示すように、板状放熱材21Aの後端部において下側に屈曲されて延在されるように構成され、これにより、放熱フィン21Bの表面積を増大させ、放熱効果の向上を図っている。
【0021】
板状放熱材21Aの下面は、放熱フィン21Bを具備しない平坦面として形成され、図3(a)のI−I線における断面図である図1に示すように、前記下面の後端部であって図中y方向のほぼ中央の一領域に発光ダイオード22が搭載されるようになっている。発光ダイオード22は、チップ状の半導体素子からなり、その主面の一部に光照射領域22Aが形成されている。発光ダイオード22は、板状放熱材21Aの下面に対して前記光照射領域22Aが下になるように配置され、これにより、発光ダイオード22の光照射領域22Aからの光Lは図中下側(図中矢印α方向:この明細書において第1方向と称する場合がある)へ照射されるようになっている。また、図1に示すように、板状放熱材21Aの下面において、発光ダイオード22が配置される近傍部は、周辺の他の平坦面に対して段差を有する凹部平坦面21Hが形成され、これにより、発光ダイオード22は該凹部平坦面21Hに埋設されて搭載されるようになっている。さらに、凹部平坦面21Hには発光ダイオード22よりも車両前方側(図中x方向)においてシェード26が取り付けられ、このシェード26は、発光ダイオード22の光照射領域22Aを除く前方部を覆うように配置されている。これにより、ランプ20を前方から観た場合に、発光ダイオード22はシェード26によって目視できないようになっているとともに、発光ダイオード22からの光の前方側(図中x方向)の光照射範囲の限界を規定し直射光の漏光を防止するようになっている。
【0022】
このように発光ダイオード22が搭載されたヒートシンク21の下側には、該ヒートシンク21の下面を被うようにして反射板23が配置されている。反射板23は、たとえば金属板から構成され、たとえば回転放物面、放物柱面等を組み合わせた曲面を有し、ランプ20の前方部における周縁部23Aにおいて、ヒートシンク21とともに比較的大きな開口を有するように配置されている。そして、反射板23の発光ダイオード22の光照射領域22Aと対向する側の内面は光反射処理がなされた光反射面を備えて構成されている。これにより、発光ダイオード22からの光は、反射板23の前記光反射面によって反射され、反射板23の開口側(図中矢印β方向:この明細書において第2方向と称する場合がある)に出射されるようになっている。なお、反射板23の開口側の周縁部23Aは、図3(a)に示すように、ヒートシンク21の板状放熱材21Aを図中xy面に対して図中y方向に傾けて配置させたことから、非対称の形状となっており、これにより、反射板23からの反射光の配光の均一化を図っている。
【0023】
ここで、反射板23は、発光ダイオード22からの光を車両の前方側へ反射させる機能のみを有するものとして構成されている。すなわち、反射板23は、従来の構成に観られるように、車両前方側の周縁部23Aにおいて、発光ダイオード22からの光のうち該反射板23に反射されることのない漏光(図2において符号L’で示す)を遮光あるいは拡散させるようにした立ち壁としての領域を備えていないものとして構成されている。このため、反射板23を、前記立ち壁の構成に制約されることなく、機械的強度を許容できる範囲において薄肉化させることができる効果を奏する。
【0024】
本発明では、従来に観られた立ち壁の機能は、前記反射板23とは別体として構成した漏光処理板24によって担当させるようになっている。漏光処理板24は、たとえば合成樹脂によって構成されている。漏光処理板24を、その比重がたとえば金属板からなる反射板23の比重よりも小さい材料である合成樹脂によって構成することにより、反射板23と漏光処理板24の合計重量を、従来の反射板と立ち壁の合計重量よりも軽く構成できる効果を奏することができる。
【0025】
また、漏光処理板24は、図3(a)に示すように、反射板23の下方に配置され、反射板23の周縁部23Aのほぼ全域に及んで、該周縁部23Aとの間に隙間Tを有して配置されている。この間隙Tの値は、たとえば、反射板23の周縁部23Aのほぼ全域に及んでほぼ等しく設定されている。漏光処理板24は、図1に示すように、車両の前方方向(図中x方向:第2方向)側において反射板23の周縁部23Aを超えて延在する延在部24P(前方延在部24Pと称する場合がある)を有して構成されている。この前方延在部24Pの発光ダイオード22側の面の全域あるいは一部においてたとえば図中y方向に並設され図中x方向に延在する複数のプリズム等が形成され、これらプリズム等によって発光ダイオードからの光のうち該反射板に反射されることのない漏光を拡散させるようになっている。なお、漏光処理板24の前方延在部24Pは、上述したような光拡散機能をもたせる他に、たとえば、光反射率を低くするような加工を施し、あるいは光遮光機能をもたせるような加工を施すようにしてもよいことはもちろんである。このように構成することによって、反射板23は、その周縁部23Aにおいて、漏光処理板24と間隙Tを有して配置されることになり、発光ダイオード22の反射板23によって反射される光は、漏光処理板24からの拡散光の存在があっても、周囲との明暗差を明確にでき、該周囲に対して浮かんでいるような見栄えを有する効果を奏する。このような効果は、発光ダイオード22の非点灯時においても同様に得られる。
【0026】
さらに、漏光処理板24は、車両の後方方向(図中x方向と反対の方向)において、反射板23の周縁部23Aを超え、ヒートシンク21側に屈曲する屈曲部24Cを介してヒートシンク21側に延在する延在部24Q(後方延在部24Qと称する場合がある)を有して構成されている。この後方延在部24Qの端部は、後に説明するようにヒートシンク21にたとえば螺子によって固定されるようになっている。ここで、漏光処理板24の後部延在部24Qは、図3(c)のV−V線の断面図である図5に示すように、反射板23との間の間隙(図中符号T’、T”等で示す)をほぼ等しく設定する必要はなく、ヒートシンク21との固定において信頼性よくできる形状として構成されている。
【0027】
図1に戻り、漏光処理板24は、その後部延在部24Qにおいて、屈曲部24Cの手前に、前記ヒートシンク21側に突出するリブ24Rが設けられている。このリブ24Rは、漏光処理板24の幅方向(図中y方向)に延在して設けられ、その高さHは、反射板23の周縁部23Aと漏光処理板24との前記隙間Tよりも大きな値に設定されている。これにより、車両の前方方向からランプ20を観た場合、リブ24Rによって漏光処理板24の屈曲部24C側の背部が目視されるのを妨げるようになっている。なお、漏光処理板24には、前記屈曲部24を設ける構成としなくてもよく、この場合においても、前記リブ24Rを形成することによって、その背面側に配置されるようなたとえば配線等を隠すようないわゆる奥見え防止の効果をもたせることができる。
【0028】
図6は、上述したランプ20のヒートシンク21、発光ダイオード22、シェード26、反射板23、漏光処理板24を分解した状態を固定手段である螺子31、32、33、34とともに示した斜視図である。
【0029】
図6において、発光ダイオード22は、たとえば2個の螺子31によってヒートシンク21の板状放熱材21Aに取り付けられるようになっている。シェード26は、たとえば1個の螺子32によってヒートシンク21の板状放熱材21Aに取り付けられるようになっている。反射板23は、たとえば3個の螺子33によってヒートシンク21の板状放熱材21Aに取り付けられるようになっている。反射板23は、前記周縁部23Aを除く他の周縁部23Bにおいてヒートシンク21の板状放熱材21Aに当接する個所となっており、この周縁部23Bにおいて前記螺子33が挿入される切り欠き23Eが形成されている。漏光処理板24は、たとえば3個の螺子34によってヒートシンク21の板状放熱材21Aに取り付けられるようになっている。漏光処理板24の板状放熱材21Aへの取り付け個所は、後部延在部24Qの後端部となっており、この後端部には漏光処理板24の幅方向(図中y方向)に順次高さの異なる3個の螺子挿入筒24Nが並設されて設けられている。各螺子挿入筒24Nは、それらが取り付けられる漏光処理板24の面が図中xy面に平行であるのに対し、ヒートシンク21の板状放熱材21Aは図中xy面の図中y方向に角度θを有して配置される(図3(a)参照)ことから、それらの間隙を埋めるように、高さが異なるように構成されている。各螺子34は、それぞれの螺子挿入筒24Nに挿入されてヒートシンク21の板状放熱材21Aに螺入されるようになっている。
【0030】
これら発光ダイオード22、シェード26、反射板23、漏光処理板24のヒートシンク21への取り付けは、全て、一方向(図中z方向)から螺子31、32、33、34によって行うことができ、ランプ20の組み立てを容易にできるという効果を奏する。また、螺子31、32は、ヒートシンク21の板状放熱材21Aの凹部平坦面21Hに螺入され、螺子33、34は反射板23の背部に配置されて螺入されることとから、ランプ20を正面側から観た場合に、これら螺子31、32、33、34を目視することができないという効果を奏する。
【0031】
このように構成された車両用灯具は、反射板23と漏光処理板24は別体として構成されているために、それぞれ、他方の制約がなされることなく、独自の機能に基づいた構成とすることができる。これにより、たとえば反射板23を薄肉化でき、あるいは反射板23と漏光処理板24の合計重量を軽くできる効果等を奏するようにできる。また、反射板23と漏光処理板24との間に隙間Tがあることから、反射板23によって反射される光は、発光ダイオード22の点灯の有無に拘わらず、周囲との明暗差をもたせることができ、該周囲に対して浮き出ているような見栄えをもたせるようにできる。
(実施態様2)
実施態様1に示した車両用灯具10は、ヒートシンク21の板状放熱材21Aを、水平面(図中xy面)に対して傾きを有するように配置するようにしたものである。しかし、これに限定されることはなく、たとえば、図3(a)に対応づけて描いた図7に示すように、ヒートシンク21の板状放熱材21Aを、水平面(図中xy面)とほぼ平行になるように配置させるようにしてもよいことはもちろんである。同様の効果が得られるからである。
(実施態様3)
実施態様1に示した車両用灯具10は、漏光処理板24において、その車両の前方方向(図中x方向)の端面を車両の前方方向に向くように構成したものである。しかし、図1に対応づけて描いた図8に示すように、漏光処理板24の車両前方方向(図中x方向)の端部を、その端面がヒートシンク21側に向くように、折り返し部24Mを設けるようにしてもよい。そして、この折り返し部24Mの車両前方方向(図中x方向)側の面に所定の色からなる塗装を施すようにしてもよい。このように構成することにより、反射板23と漏光処理板24との遠近関係が明確になり、発光ダイオード22の反射板23によって反射される光は、周囲との明暗差をより一層明確にでき、該周囲に対して浮かんでいるような見栄えをもたらすようになる。
(実施態様4)
実施態様1に示した車両用灯具10は、ヒートシンク21が上に、反射板23、漏光処理板24が下になるように灯室13内に配置されるものについて説明したものである。しかし、これに限定されることはなく、上下配置を逆にして、反射板23、漏光処理板24が上に、ヒートシンク21が上になるように灯室13内に配置させるようにしてもよいことはいうまでもない。
(実施態様5)
実施態様1に示したランプ20は、ヒートシンク21、発光ダイオード22、反射板23、漏光処理板24とで構成したものである。しかし、これに限定されることはなく、たとえば、該ランプ20の光照射角度を変化できるような駆動機構を具備するように構成されたものであってもよいことはいうまでもない。
(実施態様6)
実施態様1に示した車両用灯具10は、前照灯(ヘッドランプ)として用いる場合を例に挙げて示したものである。しかし、これに限定されることはなく、他のランプにも適用できることはいうまでもない。
【0032】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0033】
10……車両用灯具、11……前面レンズ、11A……周縁部(前面レンズの)、12……ハウジング、12A……開口(ハウジングの)、13……灯室、14……溝部、15……ホットメルト、20……ランプ、21……ヒートシンク、21A……板状放熱材、21B……放熱フィン、21H……凹部平坦面、22……発光ダイオード、22A……光照射領域、23……反射板、23A……周縁部(反射板の)、24……漏光処理板、24P……前方延在部(漏光処理板の)、24Q……後方延在部(漏光処理板の)、24C……屈曲部、24R……リブ、24N……螺子挿入筒、24M……折り返し部、25……インナーパネル、26……シェード、31、32、33、34……螺子、L……光。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ヒートシンク、発光素子、反射板、漏光処理板を有し、
前記ヒートシンクは、平坦面を有して形成され、
前記発光素子は、前記ヒートシンクの前記平坦面の一領域に、その光出射面からの光が前記平坦面と交差する第1方向に出射するように搭載され、
前記反射板は、前記ヒートシンクの平坦面を被うようにして配置され、前記発光素子からの光を反射させた後に前記第1方向と交差する第2方向へ出射させ、
前記漏光処理板は、前記反射板の前記第1方向側の周縁部に配置され、前記発光素子からの光のうち前記反射板に反射されることのない漏光を拡散するように構成された車両用灯具であって、
前記漏光処理板は、前記反射板の前記周縁部と隙間を有して配置され、前記第2方向側において前記反射板の前記周縁部を超えて延在され、前記第2方向と反対の方向側において前記反射板の前記周縁部を超えて延在されて構成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記ヒートシンクの前記発光素子が搭載される領域の近傍に、前記第1方向から観た場合に前記発光素子の目視または直射光の漏光を防止するシェードが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記漏光処理板は、前記第1方向と反対の方向に前記反射板の前記周縁部を超えて延在される延在部であって前記屈曲部の手前に、前記ヒートシンク側に突出するリブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記漏光処理板は、その比重が前記反射板の比重よりも小さい材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−69422(P2013−69422A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205149(P2011−205149)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】