説明

車両用灯具

【課題】導光板に発光素子からの光を効率よく入射させ、その際に、該導光板の側壁面である帯状の細長い光照射面において幅方向への光拡散が充分になされるように構成した車両用灯具を提供する。
【解決手段】導光板16の光入射面16Bにおいて、その中央から、レンズ面22A、平坦傾斜面22B、突条部21の外側面に設けたテーパー面22Cが備えられ、レンズ面22Aは、発光素子17からの光を導光板16の表裏面にほぼ平行になるように光照射面16Aから出射され、平坦傾斜面22Bは、発光素子17からの光を導光板16の表裏面の間に反射が繰り返されるように光照射面16Aから出射され、テーパー面22Cは、発光素子17からの光を導光板16の表裏面にほぼ平行になるように、あるいは発光素子17からの光を導光板16の表面あるいは裏面に反射させて導光板16の表裏面にほぼ平行になるように光照射面16Aから出射されるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用灯具に係り、特に、発光素子と導光板とから構成される車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具として、一端から他端にかけて細長に延在する導光板の該一端に発光素子を配設させた構成のものが知られている。発光素子からの光は導光板の一端の側壁面から導光板内に導かれ、該一端から他端に及んで相対向して配置される一対の側壁面との間に反射が繰り返されるとともに、該一対の側壁面のうち一方の側壁面から光が出射されるようになっている。この場合、光照射面として機能する前記一方の側壁面は帯状の細長い矩形形状となっており、たとえばディタイムランプ、クリアランスランプ、あるいはフロントターンランプとして用いるのに好適となる。
【0003】
なお、本発明に関連する公知の技術として、発光素子からの光を導光板に効率よく入射させるため、たとえば、下記特許文献1あるいは特許文献2に開示されたものが知られている。特許文献1には、導光板の光入射面に、光源と対向する側に凸となるほぼ球面からなるレンズ面を形成し、このレンズ面の周囲に該光源を囲むように円筒状の突起部を導光板と一体に取り付けたものが開示されている。また、特許文献2には、導光板の光入射面に、光源に対向する側に凸状となり導光板の厚さ方向に中心軸を有するようにほぼ円柱面からなるレンズ面を形成し、このレンズ面の両脇に突起部を導光板と一体に取り付けたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-63304号公報
【特許文献2】特開2009-117270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、導光板の帯状の細長い側壁面を光照射面とする車両用灯具は、光照射面から出射される光が該光照射面の幅方向(導光板の厚さ方向に相当する方向)に拡散させるようにすることが好ましくなる。このような構成とすることによって、車両用灯具の点灯を幅広い範囲で視認できるようになるからである。
【0006】
しかし、特許文献1あるいは特許文献2に開示されている車両用灯具は、いずれも、発光素子からの光を導光板に効率よく入射させる構成の開示に止まり、帯状の細長い光照射面の幅方向への光拡散がなされないものとなっている。
【0007】
ちなみに、帯状の細長い光照射面において幅方向への光拡散を実現するためには、たとえば導光板の光照射面において特殊な形状等を施すことによっても達成できるが、目視される光照射面の形状は制限が付され易く、光照射面以外の個所において光照射面の幅方向への光拡散を実現することが望まれる場合がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、導光板に発光素子からの光を効率よく入射させ、その際に、該導光板の側壁面である帯状の細長い光照射面において幅方向への光拡散が充分になされるように構成した車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明による車両用灯具は、導光板の光入射面に、発光素子からの光を、該導光板の表裏面にほぼ平行に出射させて導光板の光照射面に導くレンズ面およびテーパー面からなる反射面を形成するとともに、該導光板の表裏面のそれぞれに反射を繰り返させて導光板の光照射面に導く平坦傾斜面を形成するようにしたものである。
【0010】
本発明は、以下の構成によって把握することができる。
(1)本発明の車両用灯具は、一端から他端にかけて細長に延在する導光板と、前記導光板の前記一端の第1側壁面から光を入射させる発光素子とを備え、前記発光素子からの光は、前記導光板の前記他端に及んで相対向して配置される第2側壁面と第3側壁面との間に反射が繰り返され、前記第2側壁面を光照射面として構成する車両用灯具であって、前記第1側壁面に、導光板の厚さ方向である第1方向と直交する第2方向に延在する凹陥部と、この凹陥部の両脇に前記第2方向に延在する突起部とが形成され、前記凹陥部の底面に、前記底面の中央において前記発光素子側に凸状となり前記第2方向に中心軸を有するほぼ円柱面として形成されるレンズ面と、前記レンズ面の両脇から前記各突起部に至って形成される平坦傾斜面とを有し、前記突起部は、導光板の表裏面側の面においてテーパー面を有するように構成され、前記レンズ面は、前記発光素子からの光を前記導光板の表裏面にほぼ平行になるように前記光照射面から出射させ、前記平坦傾斜面は、前記発光素子からの光を前記導光板の表裏面の間に反射が繰り返されるように前記光照射面から出射させ、前記テーパー面は、前記発光素子からの光を前記導光板の表裏面にほぼ平行になるように、あるいは前記発光素子からの光を前記導光板の表面あるいは裏面に反射させて前記導光板の表裏面にほぼ平行になるように前記光照射面から出射させるように構成されていることを特徴とする。
(2)本発明の車両用灯具は、(1)の構成において、前記平坦傾斜面は、該平坦傾斜面の垂直軸方向が前記発光素子側に指向するように傾斜を有して形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
このように構成した車両用灯具によれば、導光板に発光素子からの光を効率よく入射させ、その際に、該導光板の側壁面である帯状の細長い光照射面において幅方向への光拡散が充分になされるように構成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の車両用灯具の実施態様を示した断面図で、図3(b)のI−I線における断面図である。
【図2】本発明の車両用灯具が適用される自動車のヘッドライトの概略を示した正面図である。
【図3】(a)は本発明の車両用灯具の実施態様を示した全体斜視図、(b)は(a)の点線枠の部分を拡大して示した拡大図である。
【図4】本発明の車両用灯具において発光素子から光照射面に至る光路を示した説明図である。
【図5】本発明の車両用灯具の導光板に形成されるレンズ面、平坦傾斜面、およびテーパー面の位置関係を示す説明図である。
【図6】本発明の車両用灯具の導光板に形成される平坦傾斜面の傾斜角度を示す説明図である。
【図7】本発明の車両用灯具の導光板に形成されるレンズ面、平坦傾斜面、およびテーパー面を通過する発光素子からの光の経路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
(実施態様1)
図2は、本発明の車両用灯具が具備されるたとえば自動車のヘッドランプ(前照灯)の概略を示した正面図である。該ヘッドランプは、複数の車両用灯具が具備されたいわゆるコンビネーション型のランプとなっている。図2に示すヘッドランプ10は自動車を前方から観た場合にたとえば右側に取り付けられたものを示している。
【0014】
図2において、ランプボディ11があり、このランプボディ11は、前方部が開口されたランプ室12を備えて構成されている。ランプ室12には、たとえば、すれ違いビームランプ13、走行ビームランプ14、およびクリアランスランプ15が配置されている。
【0015】
すれ違いビームランプ13は、たとえば、回転楕円面を有するリフレクタ(図示せず)内に光源(図示せず)が配置され、該リフレクタの前面にレンズ13Aが取り付けられることによって構成され、ランプ室12ズんクラョン型のヘッドにおいてたとえば上段の位置に配置されている。走行ビームランプ14は、たとえば、図中左右に延在し上下方向等の断面が放物面として形成されるリフレクタ14A内に光源14Bが配置されることによって構成され、ランプ室12においてたとえば中段の位置に配置されている。クリアランスランプ15は、図中左右に延在する導光板16と、この導光板16の一端A(他端を図中符号Bで示す)側に配置されるたとえば発光ダイオードからなる発光素子17A、17Bとによって構成され、ランプ室12においてたとえば下段の位置に配置されている。導光板16は、その厚さ方向を図中上下方向に一致づけられて配置され、自動車の前方に指向される側壁面を光照射面16Aとして機能させるようになっている。クリアランスランプ15は、発光素子17A、17Bからの光が導光板16の内部に導かれた後に、光照射面16Aである前記側壁面とこの側壁面と対向する他の側壁面(図示せず)との間に反射を繰り返しながら、前記光照射面16Aから光が出射され、これにより、前記光照射面16Aの一端Aから他端Bにかけて均一な輝度が図れるように構成されている。なお、このクリアランスランプ15については後にさらに詳述する。
【0016】
そして、ランプボディ11の開口部には、前面レンズ18が取り付けられ、すれ違いビームランプ13、走行ビームランプ14、およびクリアランスランプ15からの光は、該前面レンズ18を通して自動車の前方に出射されるようになっている。なお、図2に示すランプボディ11の開口部は、自動車の流線型デザインに合わせて、図中左側端部及び下側端部が自動車の前方に位置づけられ、図中右側端部および上側端部が自動車の後方に位置づけられるようにスラントして構成されている。そして。前面レンズ18もランプボディ11の開口部の形状に合わせた湾曲形状となっている。
【0017】
図3(a)は、前記クリアランスランプ15の構成の詳細を示した斜視図である。クリアランスランプ15は、上述したように、2個の発光素子17A、17Bと、これらの発光素子17A、17Bからの光を一部の側壁面の一部から入射させ他の部分の側壁面から出射させる導光板16とで構成されている。なお、発光素子17A、17Bの数は必ずしも2個に限定されることはなく、1個、あるいは3個以上であってもよい。
【0018】
導光板16は、図中上下方向に厚さを有する表裏面がほぼ平行な透光性の板材からなり、図中一端A側から他端B側にかけて細長のほぼ湾曲形状をなして構成されている。なお、図中に示す方向αは車両の前方方向に一致づけて示し、導光板16は、方向αに対して若干傾けられて配置されている。すなわち、前記ヘッドランプ10の前面レンズ18の形状に合わせ、たとえば、導光板16の一端A側は、車両の後方側に位置づけられているのに対し、他端B側は、車両の前方側に位置付けられるように配置されるようになっている。
【0019】
このように配置される導光板16は、車両の前方(方向α)に指向する側壁面(第2側壁面と称する場合がある)はそのほぼ全域に亘って光照射面16Aとして、一端A側において前記光照射面16Aに対向する側壁面(発光素子17A、17Bと対向する側壁面:第1側壁面と称する場合がある)は光入射面16Bとして、この光入射面16Bから他端B側にかけて前記光照射面16Aと対向する側壁面(第3側壁面と称する場合がある)は光反射面16Cとして構成されている。
【0020】
導光板16の光入射面16Bは、図3(a)の点線丸の部分を拡大して示した図3(b)に示すように(発光素子17A、17Bは省略している)、平面的に観て光照射面16A側から突起する台形突起部19A、19Bの上辺に相当する辺の側壁面に形成されるようになっている。これにより、導光板16は、台形突起部19A、19Bによって、光入射面16Bから光照射面16A側にかけて幅広となるように構成され、発光素子17A、17Bのそれぞれから所定の角度範囲で放射される光のほとんどを導光板16内に効率良く導くことができるようになっている。なお、この実施態様の場合、発光素子17A、17Bは2個備えられており、その数に対応させて台形からなる突起部19A、19Bも2個並設させて設けられている。
【0021】
また、導光板16の光照射面16Aは、導光板16の一端A側から他端B側にかけて光出射機能と光反射機能を有するように構成されている。このような機能を有する光照射面16Aは、一端A側から他端B側にかけて並設して設けられるたとえば断面が半円形のいわゆるかまぼこ状のプリズムによって構成されている。そして、このような構成からなる光照射面16Aと対向する導光板16の側壁面には、上述した構成からなる光入射面16Bが形成されているととともに、該光入射面16Bから導光板16の他端Bにかけて光反射機能のみを有する光反射面16Cが形成されている。このような機能を有する光反射面16Cは、前記光入射面16Bから他端B側にかけて並設して設けられるたとえば断面が三角形のいわゆる平面プリズムによって構成されている。
【0022】
このように構成されたクリアランスランプ15は、図4に示すように、光入射面16Bから入射された各発光素子17A、17Bからの光L1は、その一部が導光板16の一端A側の光照射面16Aから光出射がなされるとともに、残りの部分が反射されるようになっている。光照射面16Aで反射された光L2は、その大部分が導光板16の他端B側へ指向されて伝達されるようになる。そして、導光板16の他端B側へ指向された光L2は光反射面16Cによって反射され、この反射された光L3は該光反射面16Cに対向する光照射面16Aから光出射がなされる。この場合、導光板16の光照射面16Aに入射される光L3の一部は反射され、その反射された光L4は、さらに導光板16の他端B側へ伝達され、上述した動作が繰り返される。これにより、導光板16の光照射面16Aにおいて、導光板16の一端A側から他端B側にかけて輝度がほぼ均一な光の照射がなされるようになる。
【0023】
図1は、図3(b)のI−I線における断面を示す図である。図1に示すように、導光板16の光入射面16Bには、導光板16の厚さ方向(図中t方向)に直交する方向(紙面表裏方向)に延在する溝状の凹陥部20が形成され(図3(b)参照)、この凹陥部20の形成によって該凹陥部20のt方向における両側(導光板16の表面16P側および裏面16Q側)のそれぞれに突条部21が形成されるようになっている(図3(b)参照)。
【0024】
凹陥部20は、その底面において、凹陥部20の開口側に凸状となる湾曲面からなるレンズ面22Aを構成するようになっている。該レンズ面22Aの最も高い部分は導光板16の厚さ方向(図中t方向)のほぼ中央に位置づけられるようになっている(以下、レンズ面22Aの最も高い部分を含む導光板16の表面16Pおよび裏面16Qと平行な面を光軸面Mと称する場合がある)。そして、レンズ面22Aは、紙面表裏方向と平行な中心軸を有するほぼ円柱面の一部を形成するかまぼこ状の面として構成されるようになっている。レンズ面22Aで構成されるレンズの一方の焦点Fは、前記各突条部21の先端を結ぶ面(図中Nで示す)と前記光軸面Mの交点上に位置づけられるようになっている。発光素子17A(17B)は、その光出射面が前記焦点Fにほぼ一致づけられるようにして配置され、これにより、発光素子17A(17B)からの光はレンズ面22Aによって屈折され導光板16の内部を光軸面Mとほぼ平行に伝達されるようになっている。すなわち、レンズ面22Aに入射された発光素子17A(17B)からの光は、図1と対応づけて描いた図7の光路L10で示すように、導光板16の内部を該導光板16の表面16Pあるいは裏面16Qに反射されることなく、光照射面16Aに向かって伝達され、該光照射面16Aから出射されるようになる。なお、レンズ面22Aを、上述のように、図中紙面表裏方向と平行な中心軸を有するほぼ円柱面の一部によって構成することにより、発光素子17A、17Bの配置において図中紙面表裏方向に若干の位置ずれが生じても、その位置ずれによる不都合が生じることのない効果を奏するようになる。
【0025】
また、図1に戻り、凹陥部20の底面には、レンズ面22Aの図中t方向における各端辺から突条部21の内側面21Aに至って延在する平坦傾斜面22Bが形成されている。なお、突条部21の内側面21Aは、それぞれ、導光板16の表面16Pあるいは裏面16Qとほぼ平行となるようにして形成されている。そして、図1に対応して描かれた図5に示すように、平坦傾斜面22Bの内側面21Aとの境界部Sは、平坦傾斜面22Bのレンズ面22Aとの境界部Eよりも凹陥部20の開口側に位置づけられ、該境界部Sは、レンズ面22Aの最も高い個所を通って前記光軸面Mと直交して配置される仮想の垂直面L内にほぼ位置づけられるようになっている。これにより、平坦傾斜面22Bは、その垂直軸方向が発光素子17A(17B)側に指向するように傾斜を有して形成されている。この実施態様1では、たとえば、図1に対応して描かれた図6に示すように、該平坦傾斜面22Bの垂直軸Xが前記レンズ面22Aの焦点Fをほぼ通過するような傾斜(光軸面Mに対して)を有して形成されるようなっている。これにより、平坦傾斜面22Bは、該平坦傾斜面22Bの垂直軸Xが光軸面Mに対してほぼ45°となるような傾斜角度を有して形成されている。平坦傾斜面22Bの傾斜角度をこのように設定したのは、発光素子17A(17B)からの光が該平坦傾斜面22Bにほぼ垂直方向から入射できるようにし、該平坦傾斜面22Bにおいて屈折することなく入射できるようにするためである。なお、平坦傾斜面22Bの垂直軸Xは、必ずしもレンズ面22Aの焦点Fを通過する必要はなく、該焦点Fから若干外れていてもよい。要は、平坦傾斜面22Bは、その垂直軸方向が発光素子17A(17B)側に指向するように傾斜を有していればよい。このような場合でも本発明の効果を奏すからである。このようにした場合、平坦傾斜面22Bを入射する発光素子17A(17B)からの光は、図7の光路L11で示すように、該平坦傾斜面22Bにおいて大きく屈折することなく、導光板の表面16Pあるいは裏面16Qに向かって入射したのち該表面16Pあるいは裏面16Qで反射され、さらに、導光板の裏面16Qあるいは表面16Pに向かって入射したのち該裏面16Qあるいは表面16Pで反射される動作を繰り返し、光照射面16Aから出射されるようになる。この場合の光照射面16Aからの光は導光板16の厚さ方向(図中t方向)に対して比較的大きく拡散する方向に出射されることになる。このため、導光板16の上下方向において広い角度から光照射面16Aからの光を認識することができ、車両用灯具の点灯を幅広い範囲で視認できる効果を奏するようになる。
【0026】
また、図1に戻り、突条部21のそれぞれには、導光板16の表面16Pおよび裏面16Qにおいてテーパー面22Cが形成されている。これらテーパー面22Cは、突条部21の先端に近づくにつれ内側面21Aからの厚さが小さくなるような傾きを有して形成されている。内側面21Aとテーパー面22Cとの間の角度はたとえばほぼ45°に設定されている。また、図5に示すように、該テーパー面22Cは、導光板16の表面16Pおよび裏面16Qにおいて、レンズ面22Aの最も高い個所を通って前記光軸面Mと直交して配置される仮想の垂直面Lと交差する個所から突条部21の先端に及ぶ領域に形成されている。このようにした場合、図7の光路L12で示すように、発光素子17A(17B)から内側面21Aを介して突条部21に入射される光は、テーパー面22Cによって反射された後に、導光板16の表面16Pあるいは裏面16Qに反射されることはあっても、光軸面Mとほぼ平行に伝達され、光照射面16Aから出射されるようになる。この場合、テーパー面22Cによって反射された発光素子17A(17B)からの光は、テーパー面22Cの反射個所によっては、導光板16の表面16Pあるいは裏面16Qに反射されることなく、光軸面Mとほぼ平行に光照射面16Aから出射される場合もある。これにより、発光素子17A、17Bからの光のうち、放射角度が比較的大きく出射される光においても、突条部21を通して導光板16の内部に無駄なく伝達でき、光照射面16Aから出射させることができることから、光の無駄をなくした有効利用が図れる効果を奏する。
【0027】
このように構成されたクリアランスランプ15は、発光素子17A、17Bからの光を無駄なく導光板16の内部に導くことができ、光照射面16Aの全域において均一な輝度を確保できるとともに、上下方向への光の拡散を充分に行うことができる効果を奏するようになる。そして、上下方向への光の拡散を行う手段として、発光素子17A、17Bの光の入射面における工夫によって行っており、たとえば、目視される光照射面16Aにおいて特殊な形状等を施す必要がなくなる等の効果を奏するようにできる。
【0028】
上述した実施態様では、本発明の車両用灯具として、クリアランスランプを例に揚げて示したものである。しかし、これに限定されることはなく、たとえば、ディタイムランプ、ポジションランプ、フロントターンランプ等のような他の車両用灯具としても適用できることはいうまでもない。
【0029】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0030】
10……ヘッドランプ、11……ランプボディ、12……ランプ室、13……すれ違いビームランプ、13A……レンズ、14……走行ビームランプ、14A……リフレクタ、14B……光源、15……クリアランスランプ、16……導光板、16A……光照射面、16B……光入射面、16C……光反射面、16P……表面、16Q……裏面、17A、17B……発光素子、18……前面レンズ、19A、19B……台形突起部、20……凹陥部、21……突条部、21A……内側面、22A……レンズ面、22B……平坦傾斜面、22C……テーパー面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から他端にかけて細長に延在する導光板と、前記導光板の前記一端の第1側壁面から光を入射させる発光素子とを備え、
前記発光素子からの光は、前記導光板の前記他端に及んで相対向して配置される第2側壁面と第3側壁面との間に反射が繰り返され、前記第2側壁面を光照射面として構成する車両用灯具であって、
前記第1側壁面に、導光板の厚さ方向である第1方向と直交する第2方向に延在する凹陥部と、この凹陥部の両脇に前記第2方向に延在する突起部とが形成され、
前記凹陥部の底面に、前記底面の中央において前記発光素子側に凸状となり前記第2方向に中心軸を有するほぼ円柱面として形成されるレンズ面と、前記レンズ面の両脇から前記各突起部に至って形成される平坦傾斜面とを有し、
前記突起部は、導光板の表裏面側の面においてテーパー面を有するように構成され、
前記レンズ面は、前記発光素子からの光を前記導光板の表裏面にほぼ平行になるように前記光照射面から出射させ、
前記平坦傾斜面は、前記発光素子からの光を前記導光板の表裏面の間に反射が繰り返されるように前記光照射面から出射させ、
前記テーパー面は、前記発光素子からの光を前記導光板の表裏面にほぼ平行になるように、あるいは前記発光素子からの光を前記導光板の表面あるいは裏面に反射させて前記導光板の表裏面にほぼ平行になるように前記光照射面から出射させるように構成されていることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記平坦傾斜面は、該平坦傾斜面の垂直軸方向が前記発光素子側に指向するように傾斜を有して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−8525(P2013−8525A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139707(P2011−139707)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】