車両用空気調和システム

【課題】車室内への水の流れ落ちを抑制する。
【解決手段】空気調和システムは、キャブ5の車室内に設置され、冷媒との熱交換によって車室の空気を冷却する室内機ユニット1と、車室の外部に設置され、外気との熱交換によって室内機ユニットで吸熱した冷媒から熱を放出させる室外機ユニット2とを備える。室内機ユニットは、蒸発によって温度が下げられた冷媒と車室内の空気とを熱交換させる蒸発器11と、蒸発器よりも下方に設けられ、蒸発器からの水を車室の外部へ排出するためのドレンパイプ34、ドレンパイプの一端が接続された底部33a、及び底部の側縁から底部を囲む様に立設された側部33bを有するドレン容器33とを有する。ドレン容器の底部には、ドレンパイプとの接続部に向かって下り傾斜し、その傾斜角度が車両の駐車時に想定される基準傾斜角度よりも大きく定められた傾斜面33d〜33gが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トラック等の車両に用いられるエアコン(空気調和機)には、キャブの内部に室内機を設ける一方、キャブの上面に室外機を設けるものが知られている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−81078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トラック等の車両内で睡眠をとる場合には、エアコンの運転が長時間に亘って行われることがある。この場合において車室は、発汗による水分や呼気中の水分等によって湿度の高い環境になっていることが多い。このような高湿環境においてエアコンを運転すると、室内機が有する蒸発器で結露が生じ、水滴となって落下してしまう。建物に設置される一般的なエアコンにおいて、この水滴は、蒸発器よりも下方に配置されたドレンパンで受け止められ、ドレンホースを通じて建物の外部に排出される。
【0005】
しかし、車両用のエアコンでは、傾斜した場所に駐車した状態で長時間の運転が行われることがある。このため、家庭用エアコンに用いられているドレンパンをそのまま用いたのでは、駐車位置の傾斜によって、ドレンパンに受け止められた水がドレンパイプに導かれず、車室内に流れ落ちてしまう虞がある。また、ドレンパンに水が残ったまま車両のエンジンを始動してしまうと、始動時の振動でドレンパンに残った水が車室内に流れ落ちてしまう虞もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車室内への水の流れ落ちを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の空気調和システムは、車室の内部に設置され、冷媒との熱交換によって前記車室の空気を冷却する室内機ユニットと、前記車室の外部に設置され、外気との熱交換によって前記室内機ユニットで吸熱した前記冷媒から熱を放出させる室外機ユニットとを備え、前記室内機ユニットは、蒸発によって温度が下げられた前記冷媒と前記車室内の空気とを熱交換させる蒸発器と、前記蒸発器よりも下方に設けられ、前記蒸発器からの水を前記車室の外部へ排出するためのドレンパイプ、前記ドレンパイプの一端が接続された底部、及び前記底部の側縁部から前記底部を囲む様に立設された側部を有するドレン容器とを有し、前記ドレン容器の底部には、前記ドレンパイプとの接続部に向かって下り傾斜し、その傾斜角度が前記車両の駐車時に想定される基準傾斜角度よりも大きく定められた案内面が設けられていることを特徴とする。
【0008】
かかる空気調和システムにおいて、前記ドレン容器は、前記底部よりも上方で、前記側部で区画される開口を塞ぐ蓋部を有し、前記蓋部は、外周よりも内側の位置に厚さ方向を貫通する通水孔が形成されるとともに、その上面を、前記通水孔へ向かって下り傾斜した他の案内面としてもよい。
【0009】
かかる空気調和システムにおいて、前記室内機ユニットをトラックのキャブにおけるバックウィンドに取り付け、前記ドレンパイプを、前記ドレン容器と接続されていない側の端部が前記キャブの後部から外部に突出するように設けてもよい。
【0010】
かかる空気調和システムにおいて、前記室外機ユニットを前記キャブの上面に配置するとともに、エアーディフレクタと荷室の隙間へ熱交換後の外気を導くように排出するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車室内への水の流れ落ちを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】車両用空気調和システムの構成を説明する図である。
【図2】車両用空気調和システムのブロック図である。
【図3】カバー部材を外した状態の室内機ユニットを側方から見た図である。
【図4】カバー部材を外した状態の室内機ユニットの正面図である。
【図5】カバー部材を外した室内機ユニットを斜め前方から見た図である。
【図6】(a)はドレン容器のハウジングの正面図、(b)はハウジングの平面図である。
【図7】(a)は図6(b)におけるA−A矢視図、(b)はハウジングの背面図である。
【図8】(a)は蓋部の平面図、(b)は(a)におけるB−B矢視図、(c)は(a)におけるC−C矢視図である。
【図9】(a)は室外機ユニットの外観を説明する図、(b)は室外機ユニットの内部構造を説明する図である。
【図10】エアコン運転時における外気の流れを説明する図である。
【図11】他の形態のドレン容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<システムの構成について>
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2に示すように、車両用空気調和システムは、室内機ユニット1と、室外機ユニット2と、バッテリー3と、DC/DCコンバータ4を有する。そして、室内機ユニット1と室外機ユニット2の組は、エアコン(空気調和機)に相当する。
【0014】
室内機ユニット1は、キャブ5の内部空間(車室内)の温度を調整する部分であり、バックウィンド5aに取り付けられる。なお、室内機ユニット1の構造については、後で詳しく説明することとし、ここでは内部構成について説明する。
【0015】
この室内機ユニット1は、蒸発器11と、クロスフローファン12と、第1温度センサ13と、表示基板14と、スイッチ群15と、第1制御基板16とを有している。
【0016】
蒸発器11は、室外機ユニット2からの冷媒と車室内の空気とを熱交換をすることで、冷媒を蒸発させるとともに空気を冷却する。クロスフローファン12は、ファンモータ12a(図4を参照)によって回転され、蒸発器11で冷却された空気をキャブ5内に送出する。第1温度センサ13は、車室内の温度を検出し、検出温度に応じた信号を出力する。表示基板14は表示器を備えた基板であり、例えば、エアコンの設定温度や風速を表示する。スイッチ群15は、例えば、運転開始や運転停止を指示するON/OFFスイッチといった各種のスイッチによって構成されている。
【0017】
第1制御基板16は、室内機ユニット1における各種の制御を行う。例えば、表示基板14を制御して各種の情報を表示したり、第1温度センサ13からの検出信号に基づき、検出温度を認識したり、ファンモータ12aを制御したりする。そして、この第1制御基板16には、車両のキースイッチ6が電気的に接続されており、キースイッチ6のポジションに応じてバッテリー3からの電源がシステムに供給される。
【0018】
室外機ユニット2は、キャブ5の外部(室外)で冷媒の熱交換や圧縮をする部分であり、キャブ5の上面に、エアーディフレクタ7にて囲まれた状態で取り付けられる。なお、室外機ユニット2についても構造は後で説明するので、ここでは内部構成について説明する。
【0019】
この室外機ユニット2は、アキュムレータ21と、圧縮機22と、凝縮器23と、プロペラファン24と、キャピラリーチューブ25と、第2温度センサ26と、駆動基板27と、第2制御基板28とを有している。
【0020】
アキュムレータ21は、冷媒の液溜まりとして機能し、気体状の冷媒を圧縮機22に戻す。圧縮機22は、気体状の冷媒を圧縮して高温高圧の半液体状にする。凝縮器23は、高温高圧の冷媒と外気とを熱交換し、冷媒を液体状にする。プロペラファン24は、ファンモータ24a(図9(b)参照)によって回転され、空気流を生じさせて凝縮器23との間で熱交換を行わせる。キャピラリーチューブ25は、凝縮器23からの冷媒を減圧し、冷媒の液状化を促進する。第2温度センサ26は、圧縮機22の温度を検出する。駆動基板27は、第2制御基板28からの制御信号に基づいて圧縮機22の駆動制御を行う。第2制御基板28は、室外機ユニット2における各種の制御を行う。例えば、駆動基板27に対して圧縮機22の動作を制御するための制御信号を出力したり、ファンモータ24aを制御したりする。また、第2制御基板28は、室内機ユニット1の第1制御基板16と通信可能に構成されており、必要な情報を第1制御基板16との間で送受信している。
【0021】
バッテリー3は、この空気調和システムの動作用電源として機能する。本実施形態のバッテリー3は、車両に搭載されたエンジンの始動時にも電力を供給するものであり、DC24Vの電源電圧に定められている。そして、前述のプロペラファン24用のファンモータ24aは、DC24Vの電源で動作をする。なお、前述の第1制御基板16には、リレー回路及び整流回路が組み込まれている(いずれも図示せず)。このため、商用交流電源が電源プラグを介して供給された場合、空気調和システムの大部分の電力を必要とする圧縮機22に電力が供給され、バッテリー3への負荷を大幅に軽減することができる。
【0022】
DC/DCコンバータ4は、バッテリー3からのDC24V電源を圧縮機22等の動作に適した電圧まで昇圧する。本実施形態では、DC24VをDC300Vまで昇圧する。そして、昇圧されたDC300Vは、室外機ユニット2の圧縮機22やクロスフローファン12用のファンモータ12aに用いられる。
【0023】
この空気調和システムでは、キャピラリーチューブ25から送られた液体状の冷媒を蒸発器11で気化させる。これにより、冷媒の温度が低下して蒸発器11が冷却されるため、クロスフローファン12を動作させて室内空気を吸い込み、吸い込んだ空気を蒸発器11に接触させる。この空気が蒸発器11に接触すると、気化された冷媒と空気との間で熱交換が行われ、空気の冷却と冷媒での吸熱が行われる。そして、冷却された空気は、クロスフローファン12の動作によって車室内に放出される。このとき、蒸発器11の表面には、冷やされることで凝集した空気中の水分が付着する。蒸発器11の表面に付着した水分が増えると、この水分は水滴となって蒸発器11から落下する。この水滴は、蒸発器11の下方に配置されたドレン容器32(図3等を参照)によって受けられる。
【0024】
吸熱後の冷媒は圧縮機22に送られて圧縮される。これにより、冷媒は高温高圧の半液体状になる。この半液体状の冷媒を凝縮器23に導いて外気と熱交換させる。この熱交換によって、冷媒に吸収された熱が外気に放出される。凝縮器23から送出された冷媒は、キャピラリーチューブ25で減圧され、液状化が促進される。そして、キャピラリーチューブ25からの冷媒は、蒸発器11に送られて気化され、空気の冷却に再度用いられる。
【0025】
<室内機ユニット1の構造について>
次に、室内機ユニット1の構造について説明する。図3〜図5に示すように、室内機ユニット1は、蒸発器11や第1制御基板16等を備える本体部31と、この本体部31の下部に配置され、蒸発器11の底部を下側から覆うドレン容器32とを有する。本体部31は、ほぼ横長直方体状をしたブロック状に構成され、前面上部に設けられた送風口31aから、熱交換で冷却された空気を送出する。そして、蒸発器11は、本体部31における背面側に露出した状態で配置されている。また、図4における蒸発器11の左側には、クロスフローファン12用のファンモータ12aが配置され、このファンモータ12aの左側には、第1制御基板16が配置されている。
【0026】
ドレン容器32は、蒸発器11で凝集されて落下した水滴を捕集し、キャブ5外部に排出するための部材である。ドレン容器32は、ハウジング33とドレンパイプ34とを有する。また、ハウジング33の上端部には蓋部35(図8(a)〜(c)を参照)が、ハウジング33における上端開口を塞ぐように取り付けられている。
【0027】
図6,図7に示すように、ハウジング33は底部33aと側部33bとを有しており、平面視で横長矩形状の皿状容器として設けられている。
【0028】
底部33aは、ドレンパイプ34の一端が接続された部材であり、容器内の水をドレンパイプ34との接続部(接続開口33c)に向かって案内する部材である。平面方向から見て底部33aの中心部には、ドレンパイプ34の一端が接続されており、ハウジング33の内部空間とドレンパイプ34とが連通されている。この底部33aの内側表面は水の案内面に相当し、ドレンパイプ34との接続開口33cに向かって下り傾斜する下り傾斜面となっている。本実施形態の底部33aは、頂部が下向きとされた四角錐状の内部空間を区画する。このため、底部33aの内表面は、矩形における各頂部から中心部に向かって下り傾斜する4つの三角形状の傾斜面によって構成される。
【0029】
そして、図6(a)に示すように、長辺方向に並ぶ2つの傾斜面33d,33eは、水平面に対して第1所定角度θ1の分だけ中心方向に傾いている。本実施形態では第1所定角度θ1が12.5度に定められている。この第1所定角度θ1は、車両の駐車時に想定される基準傾斜角度よりも大きい角度に定められている。ここで、基準傾斜角度とは、通常の使用状態において想定される路面の傾斜範囲の最大値を意味し、本実施形態では10度に定められている。また、図7(a)に示すように、短辺方向に並ぶ2つの傾斜面33f,33gは、水平面に対して第2所定角度θ2の分だけ中心方向に傾いている。本実施形態では第3所定角度が33度に定められている。この第2所定角度θ2もまた、基準傾斜角度よりも大きい角度に定められている。
【0030】
側部33bは、底部33aの側縁からこの底部33aを囲む様に立設されている。この側部33bにより、蓋部35を底部33aよりも上方に位置付けることができ、底部33aと蓋部35との間に水を貯留可能な空間が形成される。また、側部33bは、底部33aに対するリブとしても機能し、底部33aの剛性を高める。
【0031】
ドレンパイプ34は、底部33aから流入してきた水を、キャブ5の外部に排出するための部材である。このため、図3に示すように、ドレンパイプ34の他端は、バックウィンド5aを通ってキャブ5の外部に導かれている。具体的には、図7(a)に示すように、底部33aに接続されている一端側部分においては、後方に向けて下向きの状態(本実施形態では下方に3度の傾斜)に設けられる。また、図3に示すように、キャブ5よりも外側の他端側部分においては、鉛直下方に向けて屈曲した状態に設けられる。従って、底部33aを流下してドレンパイプ34に流入した水は、ドレンパイプ34の中を後方に向かって流れた後、キャブ5の外側に出たところで下側に流れて排出される。
【0032】
蓋部35は、ハウジング33の上端に取り付けられ、ハウジング33の上面開口を塞ぐ板状の部材である。蓋部35を取り付けることで、ハウジング33の内部には、水を貯留するための空間が区画される。図8に示すように、蓋部35は、平面視で横長略矩形状をしており、短辺方向の中央であって長辺方向の両端から所定範囲を除いた部分(便宜上中間部分という)には、複数の通水孔35aが設けられている。この通水孔35aは略円形状であり、板厚方向を貫通するように設けられ、所定間隔で形成されている。
【0033】
蓋部35の上面もまた水の案内面に相当し、通水孔35aへ向かって下り傾斜する下り傾斜面となっている。本実施形態においてこの上面は、図8における左右両側に位置する2つの三角形状の傾斜面35c,35dと、同じく上下両側に位置する2つの台形状の傾斜面35e,35fによって構成される。そして、図8(b)に示すように、台形状の傾斜面35e,35fは、水平面に対して第3所定角度θ3の分だけ通水孔35aの方向に傾いている。本実施形態では第3所定角度θ3が13.5度に定められている。すなわち、この第3所定角度θ3もまた基準傾斜角度よりも大きい角度に定められている。また、図8(c)に示すように、三角形状の傾斜面35c,35dは、水平面に対して第4所定角度θ4の分だけ通水孔35aの方向に傾いている。本実施形態では第4所定角度θ4が13.5度に定められている。すなわち、この第4所定角度θ4もまた基準傾斜角度よりも大きい角度に定められている。
【0034】
このように、蓋部35の上面が通水孔35aへ向かって下り傾斜する案内面となっているので、蒸発器11から流れ落ちてきた水は、蓋部35の上面(他の案内面)で受けられた後、通水孔35aに向かって流れる。そして、通水孔35aを通じてドレン容器32の内部空間に流入し、底部33aの内側表面(案内面)をドレンパイプ34との接続開口33cへ向けて流れる。
【0035】
<室外機ユニット2の構造について>
次に、室外機ユニット2の構造について説明する。図9(a)に示すように、室外機ユニット2は、平面が略長方形状に構成され、上面が前方から後方へ向けて下り傾斜したブロック形状に構成されている。上面には円形状の開口41が形成されており、プロペラファン24及びファンモータ24aを備えたファンユニットがこの開口41から臨んでいる。開口41の周囲には、内径が開口41の直径に揃えられた円筒状のダクト42が取り付けられている。このダクト42は、図10に示すように、後方の荷室8とエアーディフレクタ7とが接近して密閉に近い状態の時に、エアーディフレクタ7と荷室8の隙間へ排気を導くように、後方側へ向けて多少湾曲するとともに、取付位置を回転方向へ変更することで排気の方向を調整することができる。
【0036】
図9(b)に示すように、室外機ユニット2の内部には、アキュムレータ21、圧縮機22、凝縮器23、及びファンユニット(24,24a)が設けられている。アキュムレータ21、圧縮機22、及び凝縮器23は、冷媒用の配管で接続されており、冷媒が順に流れるようになっている。凝縮器23の上面もまた前方から後方へ向けて下り傾斜しており、この上面に重ねてファンユニットが取り付けられている。図9(a)に示すように、室外機ユニット2の左右側面の下部には外気を取り入れる側面吸入口43が設けられ、ユニット底部には底部吸入口44が設けられている。そして、プロペラファン24は、室外機ユニット2の内部空間から空気を吸い込んで外部に放出する。このため、外気は、側面吸入口43及び底部吸入口44から室外機ユニット2の内部に取り込まれた後、下面から凝縮器23の内部を通ってダクト42に導かれる。そして、ダクト42を通って車両の後方(荷室8との隙間)に向けて排出される。
【0037】
図1に示すように、室外機ユニット2は、エアーディフレクタ7に囲まれている。このエアーディフレクタ7は、室外機ユニット2の前方、左右両側方、上方を覆っている。言い換えれば、後方を開放させた状態で覆っている。そして、エアーディフレクタ7の上面部分は、前方から後方に向かって斜めに立ち上がっており、車両の走行時における空気抵抗を低減している。そして、図10に示すように、この室外機ユニット2では、左右の側面吸入口43及び底部吸入口44から外気が導入され、凝縮器23で熱交換させた後にダクト42を通じて荷室8との隙間に向けて排出される。
【0038】
<まとめ>
以上説明した様に、本実施形態の空気調和システムは、キャブ5の車室内に設置され、冷媒との熱交換によって車室の空気を冷却する室内機ユニット1と、車室の外部に設置され、外気との熱交換によって室内機ユニット1で吸熱した冷媒から熱を放出させる室外機ユニット2とを備えている。そして、室内機ユニット1は、蒸発によって温度が下げられた冷媒と車室内の空気とを熱交換させる蒸発器11と、蒸発器11よりも下方に設けられ、蒸発器11からの水を車室の外部へ排出するためのドレンパイプ34、ドレンパイプ34の一端が接続された底部33a、及び底部33aの側縁から底部33aを囲む様に立設された側部33bを有するドレン容器32とを有している。このドレン容器32の底部33aには、ドレンパイプ34との接続部に向かって下り傾斜し、その傾斜角度が車両の駐車時に想定される基準傾斜角度よりも大きく定められた傾斜面(案内面)33d〜33gが設けられている。
【0039】
このような構成を有するので、蒸発器11からの水は、ドレン容器32の傾斜面33d〜33gに沿って流れ、ドレンパイプ34との接続部に案内される。その後、ドレンパイプ34を通って車室の外に排出される。そして、傾斜面33d〜33gにおける下り傾斜の大きさθ1,θ2は、車両の駐車時に想定される基準傾斜角度よりも大きく定められている。これにより、傾斜した路面に車両が駐車されても、路面の傾斜角度が想定される大きさの範囲内であれば、蒸発器11からの水は傾斜面33d〜33gに沿って流れ、ドレンパイプ34との接続部に案内される。その結果、車室内への水の流れ落ちを抑制することができる。
【0040】
また、ドレン容器32は、底部33aよりも上方で、前記側部33bで区画される開口を塞ぐ蓋部35を有しており、この蓋部35における外周よりも内側の位置には、厚さ方向を貫通する通水孔35aが形成され、かつ、蓋部35の上面を通水孔35aへ向かって下り傾斜した傾斜面(案内面)35c〜35fとしている。
【0041】
このため、蒸発器11からの水は蓋部35の傾斜面35c〜35f(他の案内面)に沿って流れ、通水孔35aからドレン容器32の内部に流れ込む。そして、底部33aの傾斜面33d〜33gに沿って流れ、ドレンパイプ34との接続部に案内される。このため、エンジン始動時に車両が振動したとしても、ドレン容器32内に残った水は蓋部35と底部33aの間の空間に留まり易く、通水孔35aを通じては流れ出しにくい。その結果、車室内への水の流れ落ちを抑制することができる。
【0042】
また、室内機ユニット1は、キャブ5におけるバックウィンド5aに取り付けられており、ドレンパイプ34におけるドレン容器32と接続されていない側の端部が、キャブ5の後部から外部に突設されている。このため、限られたキャブ5内の空間を有効に使用できるし、室内機ユニット1の取り付けが容易である。
【0043】
また、室外機ユニット2は、キャブ5の上面に配置されるとともに、エアーディフレクタ7によって後方が開放した状態に覆われており、ダクト42によってエアーディフレクタ7と荷室8の隙間へ向け、熱交換後の外気を導くように排出するようになっている。これにより、エアーディフレクタ7によって室外機ユニット2が隠されて美観が向上する。また、車両の走行時において風雨が直接室外機ユニット2にあたることを抑制でき、砂塵等によって凝縮器23が目詰まりしてしまう不具合を防止できる。また、停車中のエアコン運転時において、ダクト42から排出された熱交換後の温かい外気が、エアーディフレクタ7と荷室8の隙間へ向かって排出され、この隙間から外へ排出される。これにより、温かい外気がエアーディフレクタ7内に籠もり難くなり、熱交換の効率低下を抑制できる。
【0044】
<変形例>
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、その均等物も含まれる。
【0045】
まず、ドレン容器に関し、図11に示すような形状のドレン容器32´としてもよい。すなわち、側面から見て略台形状とし、先の実施形態で説明したドレン容器32に比べて高さを高くしてもよい。このドレン容器32´もまた、ドレンパイプ34´の接続開口に向かう下り傾斜が底部の内側表面に設けられている(図示せず)。このような形状のドレン容器32´であっても、前述のドレン容器32と同様な作用効果を奏する。
【0046】
蓋部35に設けられる通水孔35aに関し、その大きさは、蒸発器11からの水が支障なく流れる程度の大きさであればよい。そして、車室内への流れ出し防止の観点からは、極力小さな大きさであることが好ましい。また、通水孔35aを設ける数や通水孔35aを形成する範囲については、蒸発器11から流れ落ちてくる水の量や位置を考慮して適宜に定められる。前述したように、ドレン容器32内に流入した水は通水孔35aを通って外部には出にくいため、できるだけ短時間にドレン容器32内へ導くことが好ましい。この観点からすれば、前述の実施形態のように、通水孔35aについては、複数の開口を列状に並べて形成する等して、開口面積をドレンパイプ34における接続開口33cの面積よりも大きくすることが好ましい。
【0047】
また、底部33aの傾斜面33d〜33g(案内面)に関し、下り傾斜の角度を、板状部材で構成された蓋部35の傾斜面35c〜35f(他の案内面)における下り傾斜の角度よりも大きくすれば、傾斜角度の差に応じた空間をドレン容器32内に設けることができる。このため、ドレン容器32の小型化を図ることができる。
【0048】
また、各案内面の形状に関し、前述の実施形態では三角形状や略台形状のものを例示したが、これらの形状に限定されない。例えば、楕円錐の表面のように、各案内面を、通水孔35aや接続開口33cに向かって下り傾斜した曲面で構成してもよい。
【0049】
また、車両はトラックに限定されるものではなく、ワンボックスカーやキャンピングカー等の他の種類の車両であってもよい。また、トラックに於いてはエアーディフレクタ7が装着されていなくとも本品は装着でき、その場合はエアーディフレクタ7と荷室8の隙間へ排気する為のダクト42を省略することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 室内機ユニット,2 室外機ユニット,3 バッテリー,4 DC/DCコンバータ,5 キャブ,5a バックウィンド,6 キースイッチ,7 エアーディフレクタ,11 蒸発器,12 クロスフローファン,12a ファンモータ,13 第1温度センサ,14 表示基板,15 スイッチ群,16 第1制御基板,21 アキュムレータ,22 圧縮機,23 凝縮器,24 プロペラファン,24a ファンモータ,25 キャピラリーチューブ,26 第2温度センサ,27 駆動基板,28 第2制御基板,31 室内機ユニットの本体部,31a 送風口,32 ドレン容器,33 ハウジング,33a 底部,33b 側部,33c 接続開口,33d〜33g 傾斜面,34 ドレンパイプ,35 蓋部,35a 通水孔,35c〜35f 傾斜面,θ1〜θ4 所定角度,41 室外機ユニットの開口,42 ダクト,43 側面吸入口,44 底部吸入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の内部に設置され、冷媒との熱交換によって前記車室の空気を冷却する室内機ユニットと、
前記車室の外部に設置され、外気との熱交換によって前記室内機ユニットで吸熱した前記冷媒から熱を放出させる室外機ユニットとを備え、
前記室内機ユニットは、
蒸発によって温度が下げられた前記冷媒と前記車室内の空気とを熱交換させる蒸発器と、
前記蒸発器よりも下方に設けられ、前記蒸発器からの水を前記車室の外部へ排出するためのドレンパイプ、前記ドレンパイプの一端が接続された底部、及び前記底部の側縁から前記底部を囲む様に立設された側部を有するドレン容器とを有し、
前記ドレン容器の底部には、
前記ドレンパイプとの接続部に向かって下り傾斜し、その傾斜角度が前記車両の駐車時に想定される基準傾斜角度よりも大きく定められた案内面が設けられている
ことを特徴とする車両用空気調和システム。
【請求項2】
前記ドレン容器は、
前記底部よりも上方で、前記側部で区画される開口を塞ぐ蓋部を有し、
前記蓋部は、
外周よりも内側の位置に厚さ方向を貫通する通水孔が形成されるとともに、その上面を前記通水孔へ向かって下り傾斜した他の案内面とする
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和システム。
【請求項3】
前記室内機ユニットは、
トラックのキャブにおけるバックウィンドに取り付けられ、
前記ドレンパイプは、
前記ドレン容器と接続されていない側の端部が、前記キャブの後部から外部に突設されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空気調和システム。
【請求項4】
前記室外機ユニットは、
前記キャブの上面に配置されるとともに、エアーディフレクタと荷室の隙間へ熱交換後の外気を導くように排出する
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用空気調和システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−148428(P2011−148428A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−12006(P2010−12006)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(596076986)株式会社アイ・シー・エル (3)
【出願人】(000000147)伊藤忠商事株式会社 (43)
【Fターム(参考)】