説明

車両用空気調和装置

【課題】除湿冷房運転時に放熱器における必要な放熱量を確保することで、車室内に供給する空気の温度を確実に設定温度とすることが可能となる車両用空気調和装置を提供する。
【解決手段】算出されたエアミックスダンパ16の開度SWが所定開度以上の場合に、開度SWが所定開度未満の場合よりも第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度を小さくしている。これにより、冷房運転および除湿冷房運転において放熱器15における加熱量が不足する場合に、放熱器15における冷媒の凝縮圧力を上昇させて放熱器15の温度を高くすることができるので、車室内に吹出す空気の加熱に必要な加熱量を確保することができ、車室内に供給する空気の温度を確実に設定温度とすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気自動車に適用可能な車両用空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用空気調和装置では、車両の動力源としてのエンジンによって駆動する圧縮機と、車室外に設けられた放熱器と、車室内に設けられた吸熱器と、を備え、圧縮機が吐出した冷媒を放熱器において放熱させるとともに、吸熱器において吸熱させ、吸熱器において冷媒と熱交換した空気を車室内に供給することで冷房運転を行っている。また、従来の車両用空気調和装置では、車室内にヒータコアを備え、エンジンの冷却に用いた冷却水の排熱をヒータコアにおいて放熱させ、ヒータコアにおいて冷却水と熱交換した空気を車室内に向かって吹出すことで暖房運転を行っている。さらに、従来の車両用空気調和装置では、車室内に供給する空気を吸熱器において要求される絶対湿度まで冷却して除湿し、吸熱器において冷却して除湿された空気をヒータコアにおいて所望の温度まで加熱した後に車室内に向かって吹出す除湿暖房運転を行っている。
【0003】
前記車両用空気調和装置では、暖房運転及び除湿暖房運転において空気を加熱する熱源としてエンジンの排熱を利用している。車両の動力源が電動モータである電気自動車は、エンジンのように空気を十分に加熱可能な排熱が発生しないため、前記車両用空気調和装置を適用することができない。
【0004】
そこで、電気自動車に適用可能な車両用空気調和装置として、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、冷媒を放熱させる放熱器と、冷媒を吸熱させる吸熱器と、冷媒を放熱または吸熱させる室外熱交換器と、圧縮機が吐出した冷媒を放熱器に流入させ、放熱器を流通した冷媒を室外熱交換器に流入させ、室外熱交換器を流通した冷媒を膨張手段を介して吸熱器に流入させ、吸熱器を流通した冷媒を圧縮機に吸入させる冷房・除湿冷房用冷媒回路と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−324237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記電気自動車に適用可能な車両用空気調和装置の冷房・除湿冷房用冷媒回路では、圧縮機から吐出された冷媒が放熱器を流通した後に室外熱交換器を流通している。圧縮機から吐出された冷媒は、放熱器および室外熱交換器のそれぞれにおいて放熱するが、それぞれの放熱量はそれぞれを流通する冷媒と熱交換する空気の風量に応じて変化する。このため、例えば車両の走行中など、車室外に設けられた室外熱交換器を流通する冷媒と熱交換する空気の風量が大きくなると、室外熱交換器における放熱量が大きくなって放熱器における放熱量が小さくなる。放熱器では、除湿冷房運転時に放熱量が小さくなると、吸熱器において冷却されることによって除湿された空気を目的の温度まで加熱することができなくなり、車室内の温度を設定温度とすることが困難となる。
【0007】
本発明の目的とするところは、除湿冷房運転時に放熱器における必要な放熱量を確保することで、車室内に供給する空気の温度を確実に設定温度とすることが可能となる車両用空気調和装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するために、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室内に供給する空気を流通させるための空気流通路に設けられ、冷媒を放熱させる放熱器と、空気流通路の放熱器の空気流通方向上流側に設けられ、冷媒を吸熱させる吸熱器と、車室外側に設けられ、冷媒を放熱させることが可能な室外熱交換器と、空気流通路を流通する空気のうち、放熱器を流通する冷媒と熱交換する空気の割合が可変に設けられ、開度が大きくなるに従って放熱器を流通する冷媒と熱交換する空気の割合が大きくなるエアミックスダンパと、を備え、圧縮機から吐出した冷媒を放熱器および室外熱交換器に順に流通させることでそれぞれにおいて放熱させ、放熱器および室外熱交換器において放熱した冷媒を膨張弁によって減圧して吸熱器において吸熱させることにより、吸熱器において冷却した空気を放熱器において加熱して車室内に供給する車両用空気調和装置において、放熱器と室外熱交換器との間の冷媒流通路に設けられ、冷媒流通路を流通する冷媒の流量を調整する冷媒流量調整弁と、車室内の温度を設定温度とするために必要な車室内に供給する空気の温度である目標吹出温度を算出する目標吹出温度算出手段と、放熱器において加熱された後の空気の温度を検出する加熱温度検出手段と、吸熱器において冷却された後の空気の温度を検出する冷却温度検出手段と、目標吹出温度算出手段の算出温度、加熱温度検出手段の検出温度および冷却温度検出手段の検出温度に基づいてエアミックスダンパの開度を算出する開度算出手段と、開度算出手段の算出開度が所定開度以上の場合に、算出開度が所定開度未満の場合よりも冷媒流量調整弁の弁開度を小さくする弁開度制御手段と、を備えている。
【0009】
これにより、放熱器における冷媒の凝縮圧力が上昇して放熱器における放熱量が増加することから、車室内に吹出す空気の加熱に必要な加熱量が確保される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、放熱器における加熱量が不足する場合に、放熱器における冷媒の凝縮圧力を上昇させて放熱器の温度を高くすることができるので、車室内に吹出す空気の加熱に必要な加熱量を確保することができ、車室内に供給する空気の温度を確実に設定温度とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図2】制御系を示すブロック図。
【図3】冷房運転及び除湿冷房運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図4】暖房運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図5】第1除湿暖房運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図6】第2除湿暖房運転を示す車両用空気調和装置の概略構成図である。
【図7】弁開度制御処理を示すフローチャートである。
【図8】第1制御弁の凝縮圧力調整手段側の駆動モータの操作量と開口面積との関係を示す図である。
【図9】本発明のその他の車両用空気調和装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図8は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0013】
本発明の車両用空気調和装置は、図1に示すように、車室内に設けられた空調ユニット10と、車室内および車室外に亘って構成された冷媒回路20と、を備えている。
【0014】
空調ユニット10は、車室内に供給する空気を流通させるための空気流通路11を有している。空気流通路11の一端側には、車室外の空気を空気流通路11に流入させるための外気吸入口11aと、車室内の空気を空気流通路11に流入させるための内気吸入口11bと、が設けられている。また、空気流通路11の他端側には、空気流通路11を流通する空気を車室内の搭乗者の足元に向かって吹き出させるフット吹出口11cと、空気流通路11を流通する空気を車室内の搭乗者の上半身に向かって吹き出させるベント吹出口11dと、空気流通路11を流通する空気を車両のフロントガラスの車室内側の面に向かって吹き出させるデフ吹出口11eと、が設けられている。
【0015】
空気流通路11内の一端側には、空気を空気流通路11の一端側から他端側に向かって流通させるためのシロッコファン等の室内送風機12が設けられている。この室内送風機12は電動モータ12aによって駆動される。
【0016】
空気流通路11の一端側には、外気吸入口11a及び内気吸入口11bの一方を開放して他方を閉鎖することが可能な吸入口切換えダンパ13が設けられている。この吸入口切換えダンパ13は電動モータ13aによって駆動される。吸入口切換えダンパ13によって内気吸入口11bが閉鎖されて外気吸入口11aが開放されると、外気吸入口11aから空気が空気流通路11に流入する外気供給モードとなる。また、吸入口切換えダンパ13によって外気吸入口11aが閉鎖されて内気吸入口11bが開放されると、内気吸入口11bから空気が空気流通路11に流入する内気循環モードとなる。さらに、吸入口切換えダンパ13が外気吸入口11aと内気吸入口11bとの間に位置し、外気吸入口11aと内気吸入口11bがそれぞれ開放されると、吸入口切換えダンパ13による外気吸入口11a及び内気吸入口11bのそれぞれの開口率に応じた割合で、外気吸入口11aと内気吸入口11bとから空気が空気流通路11に流入する外内気吸入モードとなる。
【0017】
空気流通路11の他端側のフット吹出口11c、ベント吹出口11d及びデフ吹出口11eのそれぞれには、各吹出口11c,11d,11eを開閉するための吹出口切換えダンパ13b,13c,13dが設けられている。この吹出口切換えダンパ13b,13c,13dは、図示しないリンク機構によって連動するように構成され、電動モータ13eによってそれぞれ開閉される。ここで、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってフット吹出口11cが開放されてベント吹出口11dが閉鎖され、デフ吹出口11eが僅かに開放されると、空気流通路11を流通する空気の大部分がフット吹出口11cから吹き出されると共に残りの空気がデフ吹出口11eから吹き出されるフットモードとなる。また、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってフット吹出口11c及びデフ吹出口11eが閉鎖されてベント吹出口11dが開放されると、空気流通路11を流通する空気の全てがベント吹出口11dから吹き出されるベントモードとなる。さらに、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってフット吹出口11c及びベント吹出口11dが開放されてデフ吹出口11eが閉鎖されると、空気流通路11を流通する空気がフット吹出口11c及びベント吹出口11dから吹き出されるバイレベルモードとなる。また、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってフット吹出口11c及びベント吹出口11dが閉鎖されてデフ吹出口11eが開放されると、空気流通路11を流通する空気がデフ吹出口11eから吹き出されるデフモードとなる。また、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによってベント吹出口11dが閉鎖されてフット吹出口11c及びデフ吹出口11eが開放されると、空気流通路11を流通する空気がフット吹出口11c及びデフ吹出口11eから吹き出されるデフフットモードとなる。尚、バイレベルモードにおいては、フット吹出口11cから吹き出される空気の温度がベント吹出口11dから吹き出される空気の温度よりも高温となる温度差が生じるような、空気流通路11、フット吹出口11c、ベント吹出口11d、後述する吸熱器及び放熱器の互いの位置関係や構造となっている。
【0018】
室内送風機12の空気流通方向下流側の空気流通路11には、空気流通路11を流通する空気を冷却及び除湿するための吸熱器14が設けられている。また、吸熱器14の空気流通方向下流側の空気流通路11には、空気流通路11を流通する空気を加熱するための放熱器15が設けられている。吸熱器14及び放熱器15は、それぞれ内部を流通する冷媒と空気流通路11を流通する空気とを熱交換させるためのフィンとチューブ等からなる熱交換器である。
【0019】
吸熱器14と放熱器15との間の空気流通路11には、空気流通路11を流通する空気の放熱器15において加熱される割合を調整するためのエアミックスダンパ16が設けられている。エアミックスダンパ16は電動モータ16aによって駆動される。エアミックスダンパ16は、空気流通路11の放熱器15の上流側に位置することによって、放熱器15において熱交換する空気の割合が減少し、空気流通路11の放熱器15以外の部分側に移動させることによって、放熱器15において熱交換する空気の割合が増加する。エアミックスダンパ16は、空気流通路11の放熱器15の上流側を閉鎖して放熱器15以外の部分を開放した状態で開度が0%となり、空気流通路11の放熱器15の上流側を開放し、放熱器15以外の部分を閉鎖した状態で開度が100%となる。
【0020】
冷媒回路20は、前記吸熱器14、前記放熱器15、冷媒を圧縮するための圧縮機21、冷媒と車室外の空気とを熱交換するための室外熱交換器22、放熱器15および室外熱交換器22の少なくとも放熱器15から流出する冷媒と吸熱器14から流出する冷媒とを熱交換させるための内部熱交換器23、暖房運転時に室外熱交換器22に流入する冷媒を減圧するための膨張手段と除湿冷房運転時に放熱器における冷媒の凝縮圧力を制御するための冷媒流量調整弁としての凝縮圧力調整手段とを有する第1制御弁24と、吸熱器14における冷媒の蒸発温度を調整するための第2制御弁25と、第1〜第3電磁弁26a,26b,26c、第1〜第2逆止弁27a,27b、室内側膨張弁としての膨張弁28、気体の冷媒と液体の冷媒を分離して液冷媒が圧縮機21に吸入されることを防止するためのアキュムレータ29を有し、これらは銅管やアルミニウム管によって接続されている。
【0021】
具体的には、圧縮機21の冷媒吐出側に放熱器15の冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20aが設けられている。また、放熱器15の冷媒流出側には、第1制御弁24の冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20bが設けられている。第1制御弁24の膨張手段側の冷媒流出側には、室外熱交換器22の一端側が接続されることによって、冷媒流通路20cが設けられている。冷媒流通路20cには、第1逆止弁27aが設けられている。また、第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の冷媒流出側には、室外熱交換器22の他端側が接続されることによって、冷媒流通路20dが設けられている。室外熱交換器22の他端側には、冷媒流通路20dと並列に、圧縮機21の冷媒吸入側が接続されることによって、冷媒流通路20eが設けられている。冷媒流通路20eには、冷媒流通方向の上流側から順に、第1電磁弁26a、アキュムレータ29が設けられている。冷媒流通路20bには、内部熱交換器23の高圧冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20fが設けられている。冷媒流通路20fには、第2電磁弁26bが設けられている。内部熱交換器23の高圧冷媒流出側には、吸熱器14の冷媒流入側接続されることによって、冷媒流通路20gが設けられている。冷媒流通路20gには、膨張弁28が設けられている。吸熱器14の冷媒流出側には、内部熱交換器23の低圧冷媒流入側が接続されることによって、冷媒流通路20hが設けられている。冷媒流通路20hには、第2制御弁25が設けられている。内部熱交換器23の低圧冷媒流出側には、冷媒流通路20eの第1電磁弁26aとアキュムレータ29との間が接続されることによって、冷媒流通路20iが設けられている。室外熱交換器22の一端側には、冷媒流通路20cと並列に、冷媒流通路20fの第2電磁弁26bの冷媒流通方向の下流側が接続されることによって、冷媒流通路20jが設けられている。冷媒流通路20jには、冷媒流通方向の上流側から順に、第3電磁弁26c、第2逆止弁27bが設けられている。
【0022】
圧縮機21及び室外熱交換器22は、車室外に配置されている。また、圧縮機21は電動モータ21aによって駆動される。室外熱交換器22には、車両の停止時に車室外の空気と冷媒とを熱交換させるための室外送風機30が設けられている。室外送風機30は、電動モータ30aによって駆動される。
【0023】
第1制御弁24には、膨張手段側の冷媒流路と凝縮圧力調整手段側の冷媒流路がそれぞれ形成されている。膨張手段側および凝縮圧力調整手段側の冷媒流路は、それぞれ冷媒流路の開度を調整する弁によって完全に閉鎖可能に構成されている。
【0024】
第2制御弁25は、弁開度が2段階に設定可能に構成され、冷媒流通路20hを流通する冷媒の流量を2段階に調整することが可能である。
【0025】
膨張弁28は、冷媒流通路20h(吸熱器14の冷媒流出側)を流通する冷媒の過熱度を適正に保つための温度式膨張弁である。
【0026】
さらに、車両用空気調和装置は、車室内の温度及び湿度を設定された温度及び設定された湿度とする制御を行うためのコントローラ40を備えている。
【0027】
コントローラ40は、CPU、ROM,RAMを有している。コントローラ40は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0028】
コントローラ40の出力側には、図2に示すように、室内送風機12駆動用の電動モータ12a、吸入口切換えダンパ13駆動用の電動モータ13a、吹出口切換えダンパ13b,13c,13d駆動用の電動モータ13e、エアミックスダンパ16駆動用の電動モータ16a、圧縮機21駆動用の電動モータ21a、第1制御弁24、第2制御弁25、第1〜第3電磁弁26a,26b,26c、室外送風機30駆動用の電動モータ30aが接続されている。
【0029】
コントローラ40の入力側には、図2に示すように、車室外の温度Tamを検出するための外気温度センサ41、車室内の温度Trを検出するための内気温度センサ42、日射量Tsを検出するための例えばフォトセンサ式の日射センサ43、吸熱器14における冷媒の蒸発温度Teを検出するための温度検出手段としての吸熱器温度センサ44、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出するための吸入圧力センサ45、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出するための吸入温度センサ46、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力を検出するための吐出圧力センサ47、圧縮機21から吐出される冷媒の温度を検出するための吐出温度センサ48、冷媒流通路20bを流通する高圧冷媒の圧力を検出するための高圧圧力センサ49、冷媒流通路20bを流通する高圧冷媒の温度THを検出するための高圧温度センサ50、目標設定温度Tsetや運転の切換えに関するモードを設定するための操作部51、吸熱器14において冷却された後の空気の温度Teを検出するための冷却温度検出手段としての冷却空気温度センサ52、放熱器15において加熱された後の空気の温度THを検出するための加熱温度検出手段としての加熱空気温度センサ53が接続されている。
【0030】
以上のように構成された車両用空気調和装置では、冷房運転、除湿冷房運転、暖房運転、第1除湿暖房運転、第2除湿暖房運転が行われる。以下、それぞれの運転について説明する。
【0031】
冷房運転及び除湿冷房運転において、冷媒回路20では、第1制御弁24の膨張手段側の流路を閉鎖するとともに、凝縮圧力調整手段側の流路を開放し、第3電磁弁26cを開放するとともに、第1及び第2電磁弁26a,26bを閉鎖し、圧縮機21を運転する。
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図3に示すように、冷媒流通路20a、放熱器15、冷媒流通路20b,20d、室外熱交換器22、冷媒流通路20j,20f、内部熱交換器23の高圧側、冷媒流通路20g、吸熱器14、冷媒流通路20h、内部熱交換器23の低圧側、冷媒流通路20i,20eの順に流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、冷房運転において、室外熱交換器22において放熱して吸熱器14において吸熱する。除湿冷房運転として図3の一点鎖線に示すようにエアミックスダンパ16が開放されると、冷媒回路20を流通する冷媒は放熱器15においても放熱する。
【0032】
このとき、冷房運転中の空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において冷媒と熱交換して冷却され、車室内の温度を目標設定温度Tsetとするために吹出口11c,11d,11eから吹き出すべき空気の温度である目標吹出温度TAOとなって車室内に吹き出される。
目標吹出温度TAOは、車室外の温度Tam、車室内の温度Tr、日射量Ts等の環境条件を、外気温度センサ41、内気温度センサ42、日射センサ43等によって検出し、検出された環境条件と目標設定温度Tsetに基づいて算出されるものである(目標吹出温度算出手段)。
【0033】
また、除湿冷房運転中の空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において吸熱する冷媒と熱交換して冷却されることによって除湿される。吸熱器14において除湿された空気は、放熱器15おいて放熱する冷媒と熱交換して加熱され、目標吹出温度TAOの空気となって車室内に吹き出される。
【0034】
暖房運転において、冷媒回路20では、第1制御弁24の膨張手段側の冷媒流路を開放するとともに、凝縮圧力調整手段側の冷媒流路を閉鎖し、第1電磁弁26aを開放するとともに、第2および第3電磁弁26b,26cを閉鎖し、圧縮機21を運転する。
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図4に示すように、冷媒流通路20a、放熱器15、冷媒流通路20b、20c、室外熱交換器22、冷媒流通路20eの順に流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、放熱器15において放熱し、室外熱交換器22において吸熱する。
【0035】
このとき、空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において冷媒と熱交換することなく、放熱器15において冷媒と熱交換して加熱され、目標吹出温度TAOの空気となって車室内に吹き出される。
【0036】
第1除湿暖房運転において、冷媒回路20では、第1制御弁24の膨張手段側の冷媒流路を開放するとともに、凝縮圧力調整手段側の冷媒流路を閉鎖し、第1及び第2電磁弁26a,26bを開放するとともに、第3電磁弁26cを閉鎖し、圧縮機21を運転する。
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図5に示すように、冷媒流通路20a、放熱器15、冷媒流通路20bを順に流通する。冷媒流通路20bを流通する冷媒の一部は、第1制御弁24、冷媒流通路20c、室外熱交換器22、冷媒流通路20eの順に流通して圧縮機21に吸入される。また、冷媒流通路20bを流通するその他の冷媒は、冷媒流通路20f、内部熱交換器23の高圧側、冷媒流通路20g、吸熱器14、冷媒流通路20h、内部熱交換器23の低圧側、冷媒流通路20iの順に流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、放熱器15において放熱し、吸熱器14及び室外熱交換器22において吸熱する。
【0037】
このとき、空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、吸熱器14において冷媒と熱交換して冷却されることにより除湿される。吸熱器14において除湿された空気は、一部の空気が放熱器15において冷媒と熱交換することによって加熱され、目標吹出温度TAOの空気となって車室内に吹き出される。
【0038】
第2除湿暖房運転において、冷媒回路20では、第1制御弁24の膨張手段側および凝縮圧力調整手段側の両方の冷媒流路を閉鎖し、第2電磁弁26bを開放するとともに、第1及び第3電磁弁26a,26cを閉鎖し、圧縮機21を運転する。
これにより、圧縮機21から吐出された冷媒は、図6に示すように、冷媒流通路20a、放熱器15、冷媒流通路20b,20f、内部熱交換器23の高圧側、冷媒流通路20g、吸熱器14、冷媒流通路20h、内部熱交換器23の低圧側、冷媒流通路20i,20eの順に流通して圧縮機21に吸入される。冷媒回路20を流通する冷媒は、放熱器15において放熱し、吸熱器14において吸熱する。
【0039】
このとき、空調ユニット10において、室内送風機12を運転することによって流通する空気流通路11の空気は、前記第1除湿暖房運転と同様に、吸熱器14において冷媒と熱交換して冷却されることにより除湿される。吸熱器14において除湿された空気は、一部の空気が放熱器15において冷媒と熱交換することによって加熱され、目標吹出温度TAOとなって車室内に吹き出される。
【0040】
コントローラ40は、オートエアコンスイッチがオンの状態に設定されている場合に、冷房運転、除湿冷房運転、暖房運転、第1除湿暖房運転、第2除湿暖房運転を、車室外の温度Tam、車室内の温度Tr、車室外の湿度、車室内の湿度Th、日射量Ts等の環境条件に基づいて切換える運転切換え制御処理を行う。
【0041】
また、コントローラ40は、吹出口切換えダンパ13b,13c,13dによって吹出口11c,11d,11eのモードを切換えるとともに、吹出口11c,11d,11eから吹出される空気の温度を目標吹出温度TAOとするために、エアミックスダンパ16の開度を制御する。
【0042】
また、コントローラ40は、運転切換え制御処理によって切り換えられる各運転において、目標吹出温度TAOに応じてフットモード、ベントモード、バイレベルモードの切り替えを行う。具体的には、目標吹出温度TAOが例えば40℃以上など、高温となる場合にフットモードに設定する。また、コントローラ40は、目標吹出温度TAOが例えば25℃未満など、低温となる場合にベントモードに設定する。さらに、コントローラ40は、目標吹出温度TAOが、フットモードが設定される目標吹出温度TAOとベントモードが設定される目標吹出温度TAOとの間の温度の場合にバイレベルモードに設定する。
【0043】
また、コントローラ40は、冷房運転および除湿冷房運転において、第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度を制御する弁開度制御処理を行う。このときのコントローラ40の動作を図7のフローチャートを用いて説明する。
【0044】
(ステップS1)
ステップS1においてCPUは、運転が冷房運転または除湿冷房運転であるか否かを判定する。冷房運転または除湿冷房運転であると判定した場合にはステップS2に処理を移し、冷房運転または除湿冷房運転であると判定しなかった場合には弁開度制御処理を終了する。
【0045】
(ステップS2)
ステップS1において運転が冷房運転または除湿冷房運転であると判定した場合に、ステップS2においてCPUは、目標吹出温度TAO、加熱空気温度センサ53の検出温度THおよび冷却空気温度センサ52の検出温度Teに基づいてエアミックスダンパ16の開度SWを算出する(開度算出手段)。
具体的には、エアミックスダンパ16の開度SWが次式のように求められる。
SW=(TAO−Te)/(TH−Te)
【0046】
(ステップS3)
ステップS3においてCPUは、フット吹出口11c、ベント吹出口11d及びデフ吹出口11eがバイレベルモードに設定されているか否かを判定する。各吹出口11c,11d,11eがバイレベルモードに設定されていないと判定した場合にはステップS4に処理を移し、各吹出口11c,11d,11eがバイレベルモードに設定されていると判定した場合にはステップS5に処理を移す。
【0047】
(ステップS4)
ステップS3において各吹出口11c,11d,11eがバイレベルモードに設定されていないと判定した場合に、ステップS4においてCPUは、算出されたエアミックスダンパ16の開度SWが第1所定開度(例えば、SW=1(開度100%))以上か否かを判定する。開度SWが第1所定開度以上と判定した場合にはステップS6に処理を移し、開度SWが第1所定開度未満と判定した場合には弁開度制御処理を終了する。
ここで、算出された開度SWが第1所定開度以上と判定された場合には、放熱器15における放熱量が不足していると判断する。また、第1所定開度は、1に限られず、0.6〜1(60%〜100%)の範囲内で設定され得る。
【0048】
(ステップS5)
ステップS3において各吹出口11c,11d,11eがバイレベルモードに設定されていると判定した場合に、ステップS5においてCPUは、エアミックスダンパ16の開度SWが第2所定開度(例えば、SW=0.7(開度70%))以上か否かを判定する。開度SWが第2所定開度以上と判定した場合にはステップS6に処理を移し、開度SWが第2所定開度未満と判定した場合には弁開度制御処理を終了する。
ここで、算出された開度SWが第2所定開度以上と判定された場合には、放熱器15における放熱量が不足していると判断する。また、第2所定開度は、0.7に限られず、0.3〜0.7(30%〜70%)の範囲内で設定され得る。
【0049】
(ステップS6)
ステップS4においてエアミックスダンパ16の開度SWが第1所定開度以上と判定した場合、または、ステップS5においてエアミックスダンパ16の開度SWが第2所定開度以上と判定した場合に、ステップS6においてCPUは、目標吹出温度TAOおよび冷却空気温度センサ52の検出温度Teに基づいて放熱器15における冷媒の温度である目標放熱器温度TCOを算出する(目標放熱器温度算出手段)。目標放熱器温度TCOは、次式のように求められる。
TCO=TAO−Te+α
ここで、所定値αは、空気流通路11を流通することによって失われる熱量に相当する温度である。
【0050】
(ステップS7)
ステップS7においてCPUは、ステップS6において算出された目標放熱器温度TCOに基づいて、目標放熱器圧力PCOを算出する(目標放熱器圧力算出手段)。目標放熱器圧力PCOは、冷媒が飽和液の状態における目標放熱器温度TCOに対応する圧力であり、例えば圧力‐比エンタルピ線図のデータから算出可能である。
【0051】
(ステップS8)
ステップS8においてCPUは、放熱器15の圧力がステップS7において算出された目標放熱器圧力PCOとなるように、第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度の目標開度を算出して弁開度を調整し、弁開度制御処理を終了する。
具体的には、ステップS4またはステップS5において放熱器15における加熱量が不足していると判断すると、加熱量が不足していない状態よりも第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度が小さくなるように制御する。第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度の目標開度TGECCVは、フィードバック目標値TGECCVFBおよびフィードフォワード目標値TGECCVFFに基づいて、次式のように求められる。
TGECCV=TGECCVFB+TGECCVFF
ここで、フィードバック目標値TGECCVFBは、目標放熱器圧力PCOおよび高圧圧力センサ49の検出圧力Pdに基づいて算出される比例積分制御(PI制御)の出力値である(TGECCVFB=TGECCVfbp+TGECCVfbi、TGECCVfbp=Kp×(PCO−Pd)、TGECCVfbi=TGECCVfbi_n−1+Ki×(PCO−Pd)、Kp:比例ゲインとしての定数、Ki:積分ゲインとしての定数、TGECCVfbi_n−1:TGECCVfbiの前回値)。
また、フィードフォワード目標値TGECCVFFは、目標放熱器圧力PCO、圧縮機21を駆動する電動モータ21aの目標回転数Nc、室内送風機12の風量Q、車室外の温度Tam、車速V、室外送風機30を駆動する電動モータ30aの電圧FANVに基づいて算出される(TGECCVFF=K1×PCO+K2×Nc+K3×Q+K4×Tam+K5×V+K6×FANV、K1,K2,K3,K4,K5,K6:それぞれ予め設定された定数)。
また、第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側は、図8に示すように、弁体を移動させるための弁体駆動用モータの操作量と冷媒流通路の開口面積との関係が非線形の関係となる。したがって、第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度の制御は、冷媒流路の開口面積を基準として行われ、所定面積毎に冷媒流路を開閉するような操作量で弁体駆動用モータが操作される。また、弁体を移動させるための弁体駆動用モータの操作量と冷媒流通路の開口面積との関係が非線形の関係となる場合、非線形系を線形化した式に基づいて弁体駆動用モータの操作量を決定してもよい。
【0052】
このように、本実施形態の車両用空気調和装置によれば、算出されたエアミックスダンパ16の開度SWが所定開度以上の場合に、開度SWが所定開度未満の場合よりも第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度を小さくしている。これにより、冷房運転および除湿冷房運転において放熱器15における放熱量が不足する場合に、放熱器15における冷媒の凝縮圧力を上昇させて放熱器15の温度を高くすることができるので、車室内に吹出す空気の加熱に必要な加熱量を確保することができ、車室内に供給する空気の温度を確実に設定温度とすることが可能となる。
【0053】
また、放熱器15における放熱量が不足しているとの判断に用いられる算出されたエアミックスダンパ16の開度SWを、吹出口11c,11d,11eのモードによって異なる開度SWとしている。これにより、吹出口11c,11d,11eのモードのそれぞれに対して正確に放熱器15における放熱量の不足を判定することができるので、制御性能を向上させることが可能となる。
【0054】
また、目標吹出温度TAOまで加熱するために必要な放熱器15における冷媒の温度である目標放熱器温度TCOを算出するようにしている。これにより、目標放熱器温度TCOに基づいて第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度を調整することができるので、制御性能を向上させることが可能となる。
【0055】
また、目標放熱器温度TCOから得られる目標放熱器圧力PCOと実際の放熱器15における冷媒の温度である高圧圧力センサ49の検出圧力Pdとに基づいて第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度を算出している。これにより、実際の放熱器15における冷媒の圧力を目標放熱器圧力PCOとするように第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度を調整することができるので、放熱器15における放熱量を最適な熱量とすることが可能となる。
【0056】
また、目標放熱器圧力PCO、圧縮機21を駆動する電動モータ21aの目標回転数Nc、室内送風機12の風量Q、車室外の温度Tam、車速V、室外送風機30を駆動する電動モータ30aの電圧FANVに基づいて算出されたフィードフォワード目標値TGECCVFFに基づいて第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度を算出している。これにより、より正確な第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度を算出が可能となり、制御性能を向上させることが可能となる。
【0057】
第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度は、冷媒流路の開口面積を基準として制御され、所定面積毎に冷媒流路を開閉するような操作量となるように弁体駆動用モータを操作している。これにより、弁体を移動させるための弁体駆動用モータの操作量と冷媒流通路の開口面積との関係が非線形の関係となる場合においても、放熱器15における放熱量を正確に制御することができるので、制御性能を向上させることが可能となる。
【0058】
尚、前記実施形態では、目標放熱器温度TCOから得られる目標放熱器圧力PCOと実際の放熱器15における冷媒の温度である高圧圧力センサ49の検出圧力Pdとに基づいて第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度を算出するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、目標放熱器温度TCOと実際の放熱器15における冷媒の温度である高圧温度センサ50の検出温度とに基づいて第1制御弁24の凝縮圧力調整手段側の弁開度を算出することも可能である。
ここで、実際の放熱器15における温度は、高圧温度センサ50の検出温度である実測値に限られず、放熱器15の冷媒流出側の圧力、放熱器15の冷媒流出側の冷媒の温度、エアミックスダンパ16の開度、吸熱器14において冷却された後の空気の温度のうち、少なくとも放熱器15の冷媒流出側の圧力に基づいて推定することも可能である。
【0059】
また、前記実施形態では、圧縮機21から流出する冷媒が、暖房運転および第1除湿暖房運転時に、室外熱交換器22を一端側から他端側に向かって流通するようにしたものを示したがこれに限られるものではない。例えば、図9に示すように、圧縮機21から流出する冷媒が、暖房運転および第1除湿暖房運転時に、室外熱交換器22を一端側から他端側に向かって流通するようにしてもよい。
【0060】
図9の車両用空気調和装置は、前記実施形態における冷媒流通路20cの代わりに、第1制御弁24の膨張手段側の冷媒流出側と室外熱交換器22の他端側とを接続する冷媒流通路20kが設けられている。また、車両用空気調和装置は、前記実施形態における冷媒流通路20eの代わりに、室外熱交換器22の一端側と圧縮機21の冷媒吸入側とを接続する冷媒流通路20lが設けられている。
【0061】
以上のように構成された車両用空気調和装置において、放熱器15から流出する冷媒は、暖房運転および第1除湿暖房運転時に、前記実施形態の場合と異なり、室外熱交換器22を他端側から一端側に向かって流通する。その他の運転については、前記実施形態と同様に冷媒が流通する。
【0062】
また、前記実施形態では、暖房運転時に室外熱交換器22に流入する冷媒を減圧するための膨張手段と、除湿冷房運転時に放熱器における冷媒の凝縮圧力を調整するための凝縮圧力調整手段と、が一体に設けられた第1制御弁24を示したが、これに限られるものではない。例えば、膨張手段としての電子式膨張弁と、凝縮圧力調整手段としての凝縮圧力調整弁を互いに並列に室外熱交換器22の冷媒流通方向上流側に接続するようにしても前記実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0063】
また、前記実施形態では、第2制御弁25の弁開度を2段階に設定可能に構成し、冷媒流通路20hを流通する冷媒の流量を2段階に調整するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、第2制御弁25の弁開度を、任意の開度に設定可能に構成してもよい。この場合には、吸熱器14における吸熱量を任意に設定することができるので、吸熱器14における吸熱量の制御の精度を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
10…空調ユニット、14…吸熱器、15…放熱器、20…冷媒回路、21…圧縮機、22…室外熱交換器、24…第1制御弁、25…第2制御弁、26a〜26c…第1〜第3電磁弁、27a,26b…第1〜第2逆止弁、28…膨張弁、29…アキュムレータ、40…コントローラ、41…外気温度センサ、42…内気温度センサ、43…日射センサ、44…吸熱器温度センサ、45…吸入圧力センサ、46…吸入温度センサ、47…吐出圧力センサ、48…吐出温度センサ、51…操作部、52…冷却空気温度センサ、53…加熱空気温度センサ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
車室内に供給する空気を流通させるための空気流通路に設けられ、冷媒を放熱させる放熱器と、
空気流通路の放熱器の空気流通方向上流側に設けられ、冷媒を吸熱させる吸熱器と、
車室外側に設けられ、冷媒を放熱させることが可能な室外熱交換器と、
空気流通路を流通する空気のうち、放熱器を流通する冷媒と熱交換する空気の割合が可変に設けられ、開度が大きくなるに従って放熱器を流通する冷媒と熱交換する空気の割合が大きくなるエアミックスダンパと、を備え、
圧縮機から吐出した冷媒を放熱器および室外熱交換器に順に流通させることでそれぞれにおいて放熱させ、放熱器および室外熱交換器において放熱した冷媒を膨張弁によって減圧して吸熱器において吸熱させることにより、吸熱器において冷却した空気を放熱器において加熱して車室内に供給する車両用空気調和装置において、
放熱器と室外熱交換器との間の冷媒流通路に設けられ、冷媒流通路を流通する冷媒の流量を調整する冷媒流量調整弁と、
車室内の温度を設定温度とするために必要な車室内に供給する空気の温度である目標吹出温度を算出する目標吹出温度算出手段と、
放熱器において加熱された後の空気の温度を検出する加熱温度検出手段と、
吸熱器において冷却された後の空気の温度を検出する冷却温度検出手段と、
目標吹出温度算出手段の算出温度、加熱温度検出手段の検出温度および冷却温度検出手段の検出温度に基づいてエアミックスダンパの開度を算出する開度算出手段と、
開度算出手段の算出開度が所定開度以上の場合に、算出開度が所定開度未満の場合よりも冷媒流量調整弁の弁開度を小さくする弁開度制御手段と、を備えた
ことを特徴とする車両用空気調和装置。
【請求項2】
空気流通路を流通する空気を、車室内の搭乗者の頭部側に向かって吹出させるベントモードと、車室内の搭乗者の足元側に向かって吹出させるフットモードと、車室内の搭乗者の頭部側および足元側のそれぞれに向かって吹出させるバイレベルモードと、を切換え可能な吹出口切換手段を備え、
開度算出手段の算出開度の所定開度は、吹出口切換手段によって設定されたモードに応じて異なる
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
【請求項3】
弁開度制御手段は、車室内に供給する空気の温度を目標吹出温度まで加熱するために必要な放熱器における冷媒の温度である目標放熱器温度を算出する目標放熱器温度算出手段を有している
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空気調和装置。
【請求項4】
目標放熱器温度算出手段の算出温度に基づいて放熱器における目標となる冷媒の圧力を算出する目標放熱器圧力算出手段を備え、
弁開度制御手段は、目標放熱器圧力算出手段の算出圧力と、実際の放熱器における冷媒の圧力である実放熱器圧力と、に基づいて弁開度を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用空気調和装置。
【請求項5】
弁開度制御手段は、目標放熱器温度算出手段の算出温度と、実際の放熱器における冷媒の温度である実放熱器温度と、に基づいて弁開度を制御する
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用空気調和装置。
【請求項6】
実放熱器温度は、放熱器の冷媒流出側の圧力、放熱器の冷媒流出側の冷媒の温度、エアミックスダンパの開度、吸熱器において冷却された後の空気の温度のうち、少なくとも放熱器の冷媒流出側の圧力に基づいて算出される
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用空気調和装置。
【請求項7】
弁開度制御手段は、目標放熱器温度、車室内に供給する供給する空気の温度を目標吹出温度まで加熱するために必要な放熱器における冷媒の圧力である目標放熱器圧力、車室内に供給する供給する空気の温度を目標吹出温度まで加熱するために必要な圧縮機の回転数である目標圧縮機回転数、空気流通路に空気を流通させる室内側送風機の風量、車室外の温度、車両の走行速度、および、室外熱交換器を流通する冷媒と熱交換させる空気を流通させる室外側送風機の風量に基づいて、フィードフォワード値を算出する
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の車両用空気調和装置。
【請求項8】
冷媒流量調整弁は、弁開度を操作する操作部を有し、
弁開度制御手段は、冷媒流量調整弁に設けられた冷媒流通路の開口面積を基準として、所定面積毎に冷媒流通路を開閉するような操作量となるように操作部を操作する
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用空気調和装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−86606(P2013−86606A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227599(P2011−227599)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】