説明

車両用装飾カバー

【課題】スピーカーと共に発光機能を備えた車両用装飾カバーを提供する。
【解決手段】カバー本体1と、スピーカー2と、発光ユニット3と、を備える。カバー本体1には、音の通過度を上げるための孔14が多数個設けられている。カバー本体1は、ドア4のコーナー部40の車内側の壁面に取り付けられる。発光ユニット3からの光が孔14から車内に放射される。発光ユニット3からの光が介在部材で反射するので、カバー本体内のスピーカーを見えなくカムフラージュすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スピーカーを備えた車両用装飾カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スピーカーを備えた車両用装飾カバーは、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来のスピーカーを備えた車両用装飾カバーについて説明する。従来のスピーカーを備えた車両用装飾カバーは、サッシュカバーであって、サッシュカバー内にスピーカーが取り付けられていて、サッシュカバーには、スピーカーからの音を室内に透過する網状部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−315235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の車両用装飾カバーは、スピーカーのみを備えるものであるから、その他の機能、たとえば、発光機能を備えていないという課題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、スピーカーと共に発光機能を備えた車両用装飾カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、音の通過度を上げるための孔が多数個設けられていて、車内の壁面に取り付けられるカバー本体と、カバー本体内に設けられているスピーカーと、カバー本体内に設けられている発光ユニットと、を備える、ことを特徴とする。
【0007】
この発明(請求項2にかかる発明)は、カバー本体のうち孔が設けられている部分とスピーカーとの間には、介在部材が設けられていて、介在部材が、スピーカーからの音をカバー本体の孔が設けられている部分側へ通過させることが可能であり、かつ、発光ユニットからの光を反射させる部材である、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項3にかかる発明)は、カバー本体が、車両のドアのうちドアミラーが取り付けられるコーナー部に取り付けられ、発光ユニットが、インジケータシステムの発光ユニットである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用装飾カバーは、車内の壁面に取り付けられるカバー本体内に、スピーカーと発光ユニットとを、設けるものであるから、スピーカーと共に発光機能を備えることができる。すなわち、音の機能と光の機能とを備えることができるので、車使用者の多様のニーズに対応することができる。
【0010】
この発明(請求項2にかかる発明)の車両用装飾カバーは、発光ユニットの発光時において、発光ユニットからの光が介在部材で反射するので、カバー本体内のスピーカーを見えなくカムフラージュすることができる。これにより、車内からカバー本体の孔を通してカバー本体内のスピーカーが見えないので、発光ユニットの発光時において、ドライバーや同乗者は違和感がなくカバー本体の孔から放射される光を視認することができる。
【0011】
この発明(請求項3にかかる発明)の車両用装飾カバーは、カバー本体が車両のドアのコーナー部に取り付けられるので、ドライバーや同乗者はインジケータシステムの発光ユニットから発光される光を確実に視認することができる。これにより、交通安全に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用装飾カバーの実施形態1を示した要部の分解斜視図である。
【図2】図2は、組付状態すなわち使用状態を示す一部斜視図である。
【図3】図3は、図2におけるIII−III線断面図である。
【図4】図4は、カバー本体、スピーカー、発光ユニットを示す分解斜視図である。
【図5】図5は、この発明にかかる車両用装飾カバーの実施形態2を示した縦断面図(図3に対応する断面図)である。
【図6】図6は、カバー本体、スピーカー、発光ユニット、網状部材を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明にかかる車両用装飾カバーの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施形態1の構成の説明)
図1〜図4は、この発明にかかる車両用装飾カバーの実施形態1を示す。以下、この実施形態1における車両用装飾カバーの構成について説明する。この実施形態1における車両用装飾カバーは、カバー本体1と、スピーカー2と、発光ユニット3と、を備えるものである。
【0015】
前記カバー本体1は、中空状の三角形筒形状をなす。前記カバー本体1の一側には、開口部10が設けられていて、かつ、前記カバー本体1の他側には、閉塞部11が設けられている。前記開口部10の縁には、鍔部12が一体に設けられている。前記閉塞部11の一部(下部)13には、前記スピーカー2からの音の通過度を上げるための孔(小円形の孔)14が多数個設けられている。前記孔14は、前記発光ユニット3からの光を透過させる。
【0016】
前記カバー本体1内には、前記スピーカー2が、前記閉塞部11の前記一部13(前記孔14が設けられている前記一部13)に対向して設けられている。前記カバー本体1内には、前記発光ユニット3が、前記スピーカー2に対して一側(上側)に設けられている。
【0017】
前記発光ユニット3は、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源、あるいは、白熱バルブなどの光源を有する。前記発光ユニット3は、インジケータシステム(図示せず)の発光ユニットである。
【0018】
前記インジケータシステムは、自車両の周囲の環境を検出する検出部(たとえば、カメラやレーダーなど)と、前記検出部からの検出信号に基づいて前記発光ユニット3を発光させるか否かを判断する判断部(たとえば、マイクロコンピュータやカーナビのコンピュータやECUなど)と、前記判断部からの発光信号により発光する前記発光ユニット3と、を備えるものである。
【0019】
前記検出部は、自車両の周囲の他車両や物や人を検出してその検出信号を前記判断部に出力する。前記判断部は、前記検出部からの検出信号に基づいて、他車両や物や人が自車両に近づいているか否かを判断して、近づいていると判断したときには発光信号を前記発光ユニット3に出力する。前記発光ユニット3の光源は、前記判断部からの発光信号によって発光する。
【0020】
前記カバー本体1は、車内の壁面、この例では、車両のドア(フロントドア)4のうち、ドアミラー5が取り付けられるコーナー部(ドアコーナーピース)40の車内側の壁面に取り付けられる。前記カバー本体1は、前記コーナー部40の前記ドアミラー5の取付箇所や前記ドアミラー5のハーネス(図示せず)の取込箇所を覆い隠すものである。前記コーナー部40は、ドアベルトライン41とフロントピラー42との間の三角形のコーナー部に設けられている。
【0021】
前記ドアミラー5は、ベース50と、前記ベース50に傾倒可能に取り付けられているミラーアセンブリ51と、前記ミラーアセンブリ51に上下方向および左右方向回転可能に設けられているミラー52と、から構成されている。前記ベース50が前記コーナー部40の車外側の壁面に取り付けられている。
【0022】
(実施形態1の作用の説明)
この実施形態1における車両用装飾は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0023】
スピーカー2を作動させると、スピーカー2において音が発生し、その音がスピーカー2からカバー本体1の孔14を通して車内に流れる。一方、インジケータシステムの作用により、発光ユニット3の光源が発光すると、その光Lがカバー本体1内に放射され、さらに、カバー本体1の孔14から車内に放射される。ドライバーや同乗者は、カバー本体1の孔14から放射される光Lを視認して、自車両に他車両や物や人が近づくことを認識することができる。
【0024】
(実施形態1の効果の説明)
この実施形態1における車両用装飾は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0025】
この実施形態1における車両用装飾は、車内の壁面、すなわち、車両のドア4のコーナー部40の車内側の壁面に取り付けられるカバー本体1内に、スピーカー2と発光ユニット3とを、設けるものであるから、スピーカー2と共に発光機能を備えることができる。すなわち、音の機能と光の機能とを備えることができるので、車使用者の多様のニーズに対応することができる。
【0026】
この実施形態1における車両用装飾は、カバー本体1が車両のドア4のコーナー部40に取り付けられるので、ドライバーや同乗者はインジケータシステムの発光ユニット3から発光される光Lを確実に視認することができる。これにより、交通安全に貢献することができる。
【0027】
(実施形態2の説明)
図5、図6は、この発明にかかる車両用装飾カバーの実施形態2を示す。以下、この実施形態2における車両用装飾カバーについて説明する。図中、図1〜図4と同符号は、同一のものを示す。
【0028】
この実施形態2における車両用装飾カバーは、カバー本体1のうち孔14が設けられている部分である一部13と、スピーカー2との間に介在部材6を設けるものである。前記介在部材6は、前記スピーカー2からの音を前記カバー本体1の前記一部13側へ通過させることが可能であり、かつ、発光ユニット3からの光Lを反射させる部材である。この例は、網である。
【0029】
この実施形態2における車両用装飾カバーは、前記の実施形態1における車両用装飾とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この実施形態2における車両用装飾カバーは、発光ユニット3の発光時において、発光ユニット3からの光Lが網の介在部材6で反射するので、カバー本体1内のスピーカー2を見えなくカムフラージュすることができる。これにより、車内からカバー本体1の孔14を通してカバー本体1内のスピーカー2が見えないので、発光ユニット3の発光時において、ドライバーや同乗者は違和感がなくカバー本体1の孔14から放射される光Lを視認することができる。
【0030】
(実施形態1、2以外の例の説明)
なお、前記の実施形態1、2においては、カバー本体1を車両のドア4のコーナー部40に取り付けるものである。ところが、この発明においては、カバー本体1を車両のドア4のコーナー部40以外の場所、たとえば、ドアの車内側の壁面、あるいは、天井の車内側の壁面、ピラーの車内側の壁面などに取り付けても良い。
【0031】
また、前記の実施形態1、2においては、発光ユニット3がインジケータシステムの発光ユニットである。ところが、この発明においては、発光ユニット3をインジケータシステムの発光ユニット以外の発光ユニット、たとえば、装飾用のイルミネーションの発光ユニットとして使用しても良い。
【0032】
さらに、前記の実施形態2においては、介在部材6として網を使用するものである。ところが、この発明においては、介在部材6として網以外の部材を使用しても良い。たとえば、スピーカー2からの音を一部13側に積極的に通過させる部材、発光ユニット3からの光を一部12側に積極的に反射させる部材、スピーカー2からの音を一部12側に積極的に通過させかつ発光ユニット3からの光を一部12側に積極的に反射させる部材、などを使用しても良い。
【符号の説明】
【0033】
1 カバー本体
10 開口部
11 閉塞部
12 鍔部
13 一部
14 孔
2 スピーカー
3 発光ユニット
4 ドア
40 コーナー部
41 ドアベルトライン
42 フロントピラー
5 ドアミラー
50 ベース
51 ミラーアセンブリ
52 ミラー
6 介在部材(網)
L 光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカーを備えた車両用装飾カバーにおいて、
音の通過度を上げるための孔が多数個設けられていて、車内の壁面に取り付けられるカバー本体と、
前記カバー本体内に設けられているスピーカーと、
前記カバー本体内に設けられている発光ユニットと、
を備える、
ことを特徴とする車両用装飾カバー。
【請求項2】
前記カバー本体のうち前記孔が設けられている部分と、前記スピーカーとの間には、介在部材が設けられていて、
前記介在部材は、前記スピーカーからの音を前記カバー本体の前記孔が設けられている部分側へ通過させることが可能であり、かつ、前記発光ユニットからの光を反射させる部材である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用装飾カバー。
【請求項3】
前記カバー本体は、車両のドアのうち、ドアミラーが取り付けられるコーナー部に取り付けられ、
前記発光ユニットは、インジケータシステムの発光ユニットである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用装飾カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−60180(P2013−60180A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201633(P2011−201633)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】