説明

車両用計器装置の照明構造

【課題】主に、単一の光源であっても、文字板をムラ無く照明し、光量不足を解消し得るようにする。
【解決手段】回路基板22と、文字板23と、指針25とを備えると共に、回路基板22の指針回動領域24内の位置に取付けられた光源27と、回路基板22と文字板23との間に、光源27と対向するよう配置されて、光源27からの光を反射可能な第一の反射部28と、回路基板22と文字板23との間に、指針回動領域24を取囲むように配置されて、第一の反射部28で反射された光を文字板23へ向けて反射する第二の反射部29とを備えた(車両用)計器装置21の照明構造26に関する。
この場合において、第一の反射部28が、光源27からの光を文字板23と平行な方向へ向けて反射可能な平行反射用反射面28aを有するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、単一の光源であっても、文字板をムラ無く照明し、光量不足を解消し得るようにした車両用計器装置の照明構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室の前部に計器装置が取り付けられている。このような、計器装置は、夜間などに照明を行うための照明構造を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
即ち、図13に示すように、上記した計器装置1は、少なくとも、回路基板2と、この回路基板2の表面側に、回路基板2と平行に配設された文字板3と、この文字板3に形成された指針回動領域に沿って回動可能に設けられた指針(図示せず)とを備えている。
【0004】
そして、上記した照明構造6は、回路基板2の指針回動領域内の位置に取付けられた光源7と、回路基板2と文字板3との間に、光源7と対向するよう配置されて、光源7からの光を反射可能な第一の反射部8と、回路基板2と文字板3との間に、指針回動領域を取囲むように配置されて、第一の反射部8で反射された光を文字板3へ向けて反射する第二の反射部9とを備えている。
【0005】
上記した第一の反射部8は、円錐形状のものとされている。この円錐形状の第一の反射部8は、回路基板2の側に頂点を有し、文字板3の側に底辺を有すると共に、直線状或いは凸曲線状の母線を有するものとされている。
【0006】
このような構成によれば、回路基板2の指針回動領域内の位置に取付けられた光源7からの光は、回路基板2と文字板3との間の平行な空間に光源7と対向して配置された第一の反射部8によって反射され、第一の反射部8によって反射された光は、回路基板2と文字板3との間の平行な空間に指針回動領域を取囲むように配置された第二の反射部9によって、文字板3へ向け反射される。これにより、文字板3が間接的に照明される。また、光源7からの光の一部は、文字板3を直接照明する。
【0007】
この際、光源7からの直接光は、主に、文字板3における第一の反射部8の周囲の部分を照明することとなり、また、第一の反射部8および第二の反射部9によって反射された反射光は、指針回動領域のほぼ全体を照明することとなる。特に、円錐形状をした第一の反射部8の頂点付近で反射された反射光は、主に文字板3における第一の反射部8に近い部分を照明し、円錐形状をした第一の反射部8の底辺付近で反射された反射光は、主に文字板3における第一の反射部8から離れた位置(指針回動領域の外周寄りの位置)を照明する傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2008−503381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載された車両用計器装置1の照明構造6には、以下のような問題があった。
【0010】
先ず、第一の反射部8を直線状の母線を有する円錐形状のものとした場合、文字板3をムラ無く照明したり、光のロスを無くしたりするのが難しい。
【0011】
即ち、例えば、図14に示すように、第一の反射部8の頂角を90度などとした場合、第一の反射部8の底辺(図中上部)付近に照射された光の反射光が、文字板3における第一の反射部8の周囲の部分へ向けて反射され、或いは、図13に示すように、第一の反射部8の頂点付近に照射された光の反射光が、第二の反射部9で反射され、文字板3における第一の反射部8の周囲へ向け反射されて、光源7からの直接光などと重なるため、文字板3における第一の反射部8の周囲の部分が指針回動領域の外周部分よりも明るくなってしまい、輝度ムラが発生する。
【0012】
同様に、図15に示すように、第一の反射部8の頂角を90度よりも小さくすると、第一の反射部8の底辺が小さくなって、光源7からの直接光の割合が多くなるので、その分、文字板3における第一の反射部8の周囲の部分の明さが増して、上記した輝度ムラがより大きくなる。
【0013】
これに対し、例えば、図16に示すように、第一の反射部8の頂角を120度などに広げた場合、第一の反射部8からの反射光が広く分散して、第二の反射部9の全域で異なる角度に反射(乱反射)されるようになるので、第二の反射部9で光を文字板3へ向けてムラ無く反射させるのが難しくなり、輝度ムラや光のロスが発生し易くなり、また、その分、設計が複雑になる。
【0014】
同様に、特許文献1のように、第一の反射部8を凸曲線状の母線を有する凸円錐形状のものとした場合、第一の反射部8からの反射光がより大きく分散されるようになるので、即ち、ほとんど乱反射状態となるので、第二の反射部9で光を文字板3へ向けてムラ無く反射させるのがより難しくなり、設計が一層複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、回路基板と、該回路基板の表面側に配置された文字板と、該文字板に形成された指針回動領域に沿って回動可能に設けられた指針とを備えると共に、前記回路基板の指針回動領域内の位置に取付けられた光源と、前記回路基板と文字板との間に、光源と対向するよう配置されて、光源からの光を反射可能な第一の反射部と、前記回路基板と文字板との間に、指針回動領域を取囲むように配置されて、前記第一の反射部で反射された光を文字板へ向けて反射する第二の反射部とを備えた車両用計器装置の照明構造において、前記第一の反射部が、前記光源からの光を文字板と平行な方向へ向けて反射可能な平行反射用反射面を有することを特徴とする。
【0016】
請求項2に記載された発明は、上記において、前記平行反射用反射面が、前記回路基板または前記文字板と平行な中心軸を有する放物線の一部を、前記光源を通り前記文字板と垂直な回転軸を中心として回転した凹円錐形状としたことを特徴とする。
【0017】
請求項3に記載された発明は、上記において、前記第一の反射部の表面側に前記指針を配置すると共に、該指針の表面側に前記文字板を配置したことを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載された発明は、上記において、前記第二の反射部の少なくとも外周部分に、光拡散用の微小な凹凸部を設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載された発明は、上記において、前記文字板の指針回動領域の中心部に、前記光源からの光を遮るマスク部を形成すると共に、該マスク部の内側に前記光源および前記第一の反射部を配置したことを特徴とする。
【0020】
請求項6に記載された発明は、上記において、前記第一の反射部を指針軸穴と部分的に重複する位置に配置すると共に、前記第一の反射部の指針軸穴と重複する部分に切欠部を形成したことを特徴とする。
【0021】
請求項7に記載された発明は、上記において、前記第一の反射部の頂点を、指針軸穴の縁部と一致させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、第一の反射部が平行反射用反射面を有することにより、光源からの光を文字板と平行な方向へ反射させて、より多くの光を指針回動領域の周縁部にまで到達させることができる。これにより、指針回動領域の周縁部における光量不足を解消することが可能となる。また、第一の反射部を平行反射用反射面とすることにより、第一の反射部で反射された光源からの光が乱反射されたり無駄に分散されたりすることがなくなるので、より多くの光を第二の反射部へ向けて効率的に反射させることができる。しかも、第一の反射部で反射された光は、文字板と平行な方向へ向けられるので、第二の反射部によって容易に反射方向を調整することが可能となり、文字板をムラ無く照明し得るようにすることが可能となる。また、第二の反射部の形状を単純化して設計を容易化することなどが可能となる。
【0023】
請求項2の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、第一の反射部を上記した凹円錐形状の平行反射用反射面とすることにより、光源からの光を文字板と平行な方向へ向けて確実に反射させることが可能となる。
【0024】
請求項3の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、第一の反射部の表面側に指針を配置すると共に、指針の表面側に文字板を配置したことにより、少なくとも指針を保護するためのカバー部材やこのカバー部材を支持するための枠部材などをなくして、計器装置の薄型化や部品点数の削減を図ると共に、これまでにはない斬新な意匠性を持たせることができる。
【0025】
請求項4の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、第二の反射部の少なくとも外周部分に設けた微小な凹凸部で光を柔らかく拡散させることにより、文字板を照明する光を調整して明るさのムラをなくしたりまたは明るさのムラを緩和したりすることが可能となる。また、第二の反射部の少なくとも外周部分に設けた微小な凹凸部で光を柔らかく拡散させることにより、指針のシルエットを見易くしたり、指針の影を文字板に写り難くしたりすることが可能となる。
【0026】
請求項5の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、文字板の指針回動領域の中心部に形成したマスク部が光源からの光を遮ることにより、文字板の中心部が部分的に照明されないようにすることができる。そして、マスク部の内側に光源および第一の反射部を配置したことにより、指針回動領域の外側に光源および第一の反射部を配置する必要がなくなるので、その分、光源を実装する基板のサイズを小さくすることが可能となり、以って、計器装置全体の小型化や、回路基板の小型化などが可能となり、また、コストを低減することが可能となる。また、指針回動領域の中心部に形成したマスク部の内側に光源および第一の反射部を配置することにより、外部から光源および第一の反射部が見えないようにする、または、見え難くなるようにすることができる。
【0027】
請求項6の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、光源からの光の一部を、切欠部または指針軸穴を通過させて、指針の照明に使用することができる。これにより、同一の光源で文字板と指針との両方を同時に照明することが可能となる。
【0028】
請求項7の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、第一の反射部の頂点を、指針軸穴の縁部と一致させたことにより、光源からの光の一部を、効率的に指針へ導くと共に、残りの光によって効率的に文字板を照明することができる。これにより、光のロスを無くして光量不足を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例にかかる車両用計器装置の照明構造の斜視図である。
【図2】図1の部分的な正面図である。
【図3】図2の断面図である。
【図4】図3の第一の反射部を示す側面図である。
【図5】図4の第一の反射部の別の例を示す側面図である。
【図6】図5の部分拡大図である。
【図7】本発明の変形例にかかる車両用計器装置の照明構造の正面図である。
【図8】図7の斜視図である。
【図9】図7の側断面図である。
【図10】図1または図7のスイッチ部分の側方断面図である。
【図11】図10の別の例を示す側方断面図である。
【図12】比較例としての母線を円弧状とした場合の第一の反射部を示す側面図である。
【図13】従来例にかかる車両用計器装置の照明構造を示す側面図である。
【図14】第一の反射部の頂角を90度とした場合の図13と同様の側面図である。
【図15】第一の反射部の頂角を90度よりも小さくした場合の図13と同様の側面図である。
【図16】第一の反射部の頂角を120度とした場合の図13と同様の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本実施の形態を具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0031】
図1〜図11は、この実施例およびその変形例を示すものである。また、図12は比較例である。
【実施例】
【0032】
<構成>以下、構成について説明する。
【0033】
自動車などの車両には、車室の前部に計器装置が取り付けられている。このような、計器装置は、夜間などに照明を行うための照明構造を備えている。
【0034】
即ち、図1〜図3に示すように(主に、図3参照)、上記した計器装置21は、少なくとも、回路基板22と、この回路基板22の表面側に配置された文字板23と、この文字板23に形成された指針回動領域24に沿って回動可能に設けられた指針25とを備えている。
【0035】
そして、上記した照明構造26は、回路基板22の指針回動領域24内の位置に取付けられた光源27と、回路基板22と文字板23との間に、光源27と対向するよう配置されて、光源27からの光を反射可能な第一の反射部28と、回路基板22と文字板23との間に、指針回動領域24を取囲むように配置されて、第一の反射部28で反射された光を文字板23へ向けて反射する第二の反射部29とを備えている。
【0036】
ここで、上記の詳細について説明をすると、上記した計器装置21は、裏面側から順に、メータカバー31と、上記した回路基板22と、ロワハウジング32と、上記した文字板23とを有する計器ユニットとされる。これらは、それぞれ樹脂によって形成されると共に、隣接するものとほぼ同じ(平面)形状を有することなどにより、互いに順番に重ね合わせたり嵌め合わせたりして組み立てられると共に、特に図示しない爪嵌合部やネジ固定部などによって一体化されるよう構成されている。
【0037】
この計器装置21は、図1に示すように、複数の計器表示部を1つにまとめた集合メータをユニット化した計器ユニットとされている。この場合、上記計器装置21は、計器表示部として、速度計や、回転計や、燃料計および水温計などを備えている。そして、速度計と回転計とはアナログ式のものとされている。また、燃料計と水温計とはデジタル表示式のものとされて、液晶表示装置の画面上に表示されるようになっている。そして、図1では、アナログ式の速度計と回転計とに対してこの実施例の構成を適用するようにしている。但し、計器表示部の構成はこれに限るものではない。
【0038】
図3に示すように、上記したメータカバー31は、計器装置21の本体を構成するものとされている。
【0039】
回路基板22は、平坦な板状のものとされる。回路基板22には、指針25を回動するためのアクチュエータ35や、各種の電子部品36や、後述するスイッチ37(図10参照)や、上記した光源27などが取付けられている。上記したアクチュエータ35には、例えば、交差コイル式のムーブメントやステッピングモータなどが使用される。
【0040】
上記したロワハウジング32は、回路基板22を覆い隠し得るものとされている。ロワハウジング32は、例えば、光の反射率が高くなるように、白色の樹脂などによって構成されると共に、より効率的に光を反射し得るように滑らかな表面を有するものなどとされている。このロワハウジング32には、上記したアクチュエータ35から延びる指針軸35aを通すための指針軸穴32aが設けられている。指針軸35aの先端部には上記した指針25の基部(付根部)またはその近傍が取付けられる。
【0041】
上記した文字板23は、速度計や回転計などの計器表示部の表示面を構成するものである。文字板23は、透明な樹脂製の板材によって構成されている。文字板23は、通常、回路基板22と平行に配置される。但し、必ずしも平行に限るものではない。上記した指針回動領域24は、文字板23に対して、指針軸穴32aを中心とする円形または部分円形状となるように設けられる。この指針回動領域24の外周部分には、指針25によって現示される文字目盛部が形成される。この文字目盛部は、文字および目盛によって構成され、例えば、文字板23に対して印刷することなどによって形成される。
【0042】
一方、上記した照明構造26では、光源27に、例えば、LEDなどが使用される。但し、光源27には、電球などのバルブを用いるようにしても良い。光源27は複数個または複数個所設けられても良いが、この場合には、コストを低減したり、設計を容易化したりするなどの目的から光源27を単一のものとしている。
【0043】
上記した第一の反射部28と第二の反射部29とは、上記したロワハウジング32に対して設けられる。
【0044】
第一の反射部28は、主に、光源27からの光を指針回動領域24の全域に広げるように反射させるためのものである。第一の反射部28は、中空形状や中実形状などとすることができる。第一の反射部28は、例えば、ロワハウジング32から一体に延びる支持アーム32bの先端に対して、片持状態で支持される。
【0045】
第二の反射部29は、既に上記したように、主に、第一の反射部28で反射された光を文字板23へ向けて反射するためのものである。第二の反射部29は、指針回動領域24の外周の形状に合わせてロワハウジング32に凹設形成された凹部などとされる。但し、光源27の取り付け方などによっては、光源27からの直接光を文字板23へ向けて反射させることなども可能である。
【0046】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。以下、図1〜図3の全体図も併せて参照するものとする。
【0047】
(構成1)図4に示すように、上記した第一の反射部28が、光源27からの光をほぼ文字板23と平行な方向へ向けて反射可能な平行反射用反射面28aを有するものとされる。
【0048】
なお、平行反射用反射面28aには、後述するように、文字板23と完全に平行な方向以外に、平行な方向に対して(機能を損なわない程度に)若干広がるようなものも含むものとする(図5、図6参照)。
【0049】
(構成2)より具体的には、平行反射用反射面28aが、回路基板22または文字板23と平行な中心軸を有する放物線41の一部を、光源27を通り文字板23と垂直な回転軸42を中心として回転した凹円錐形状のものとされる。
【0050】
ここで、凹円錐形状の平行反射用反射面28a(第一の反射部28)は、頂点28bが回路基板22側へ向き、底辺が文字板23側へ向いたものとされる。
【0051】
また、放物線41の一部とは、放物線41そのものであることが好ましいが、図5、図6に示すように、複数の直線41a,41b,41c(図6参照)を組み合わせて放物線41に近似させた多角状もの(近似形状)とすることもできる。この場合には、3本の直線41a,41b,41cで近似させたものとしているが、2本または4本以上の直線で近似させるようにしても良い。この場合には、上記したように、反射光が文字板23と平行な方向に対して若干広がることとなる。このようにすることにより、実質的な効果を確保しつつ設計・製造を容易化することが可能となる。なお、製造誤差や組付誤差などによって、文字板23と平行な方向に対してほんの僅かに広がってしまうようなものも、この実施例の目的を達成できる程度のものであれば許容される。
【0052】
(構成3)図3に示すように、第一の反射部28の表面側に指針25を配置する。そして、その指針25の表面側に文字板23を配置する。
【0053】
即ち、文字板23を指針25の上側に設置する。そして、そのために、指針25を、第二の反射部29の内部に収容させるようにする。反対に、第二の反射部29は、指針25を収容可能な深さの凹部とする。
【0054】
(構成4)第二の反射部29の少なくとも外周部分に、光拡散用の微小な凹凸部44を設けるようにする。
【0055】
ここで、光拡散用の微小な凹凸部44は、いわゆるシボ模様などとする。このシボ模様には、各種の大きさやパターンのものが存在するが、ここでは、光拡散用に用いられる一般的な細かさのものなどとする。なお、この場合、光拡散とは、光を柔らかくボカしたり、にじませたりし得るような程度のものとする。
【0056】
また、光拡散用の微小な凹凸部44は、指針25の回動範囲全域に亘って設けるのが好ましいが、視覚的に特別な効果などを附与するため、指針25の回動範囲の一部や、内周部分などに対して設けないようにすることもできる。
【0057】
(構成5)図2に示すように、文字板23の指針回動領域24の中心部に、光源27からの光を遮るマスク部45を形成する。そして、このマスク部45の内側に光源27および第一の反射部28を配置する。
【0058】
ここで、マスク部45は、文字板23に遮光性の印刷層を形成することなどによって光を透過しないよう構成したものである。但し、図2では、図面の都合上、輪郭線のみによって示すようにしている。このマスク部45は、指針回動領域24と同心の円形状または部分円形状のものとするのが好ましいが、これに限るものではなく、矩形状や多角形状やその他の形状などとすることができる。
【0059】
また、第一の反射部28は、マスク部45越しに横方向から簡単に覗けないようにするために、マスク部45の縁部よりも内側の位置に形成させるようにする。言い換えると、マスク部45は、指針軸35aを中心として第一の反射部28の底面の最も遠い位置までの距離を半径とする円よりも大きくなるようにする。
【0060】
そして、光源27は、好ましくは、指針25の回動範囲全域を均等に照明し得るようにするために、回動範囲の中間点(回転方向の中間位置)またはその近傍に設けるようにする。
【0061】
(構成6)上記の変形例として、図7〜図9に示すように、第一の反射部28を指針軸穴32aと部分的に重複する位置に配置する。そして、第一の反射部28の指針軸穴32aと重複する部分に切欠部が形成されるようにする。
【0062】
上記により、第一の反射部28は、平面視で円弧状の切欠部が形成された三日月形の底面を有するものなどとなる。この切欠部は、指針軸穴32aの周壁の一部を構成するものとなる。
【0063】
なお、上記した指針25の指針軸穴32aに臨む基部には、光源27と対向する下面部分に光の入射面25aが形成されると共に、上面部分に入射面25aから内部に入射された光を指針25の先端へ向けて反射可能な反射面25bが形成される。指針25の基部には、指針軸35aに対する取付部分や入射面25aおよび反射面25bを覆うように指針キャップ25cが取り付けられる。
【0064】
なお、この変形例においては、文字板23は、指針25の上側に配置しても、指針25の下側に配置しても良い。この場合には指針25の下側に配置するようにしている。
【0065】
(構成7)上記構成6の場合に、好ましくは、第一の反射部28の頂点28bを、指針軸穴32aの縁部と一致させるようにする。
【0066】
(構成8)更に、好ましくは、図10、図11などに示すように、計器装置21を薄型化するために、上記したように、回路基板22に対して、各種の電子部品36や、指針25を回動するためのアクチュエータ35(図3参照)や、スイッチ37などを、メータカバー31側の面に実装する(裏面実装)。また、好ましくは、回路基板22に形成した孔部の内部に、光源27を収容配置する。これによって、回路基板22の表面側に、光を遮る凹凸部をなくし得るようにする。
【0067】
ここで、上記したスイッチ37は、例えば、距離計などをリセットするためのリセットスイッチなどである。スイッチ37を操作するためのスイッチノブ47は、文字板23、ロワハウジング32、回路基板22にそれぞれ形成された貫通穴に貫通配置されると共に、弾性部材48を介して文字板23の表面側へ向かう突出方向へ付勢されている。スイッチノブ47には、ロワハウジング32の貫通穴に対して裏面側から係止可能な抜け防止用のフランジ部47aが形成され、このフランジ部47aと回路基板22との間に上記した弾性部材48が介装されている。弾性部材48は、山型に形成された板バネなどとされている。但し、弾性部材48は、コイルばねなどとしても良い。そして、ロワハウジング32には、スイッチノブ47のフランジ部47aの昇降動をガイドしたり、または、弾性部材48の底縁部を押圧保持したりするためのガイド部32cが一体に形成されている。
【0068】
そして、図10に示すように、回路基板22の裏面側に対し、スイッチボタン37aを下へ向けて実装されたスイッチ37を、シーソー状の押圧方向変換部材49を介してスイッチノブ47で押圧操作し得るようにする。ここで、シーソー状の押圧方向変換部材49は、スイッチ37とスイッチノブ47の先端との間にわたって延びるシーソー板49aと、このシーソー板49aの中間部を上下回動自在に軸支する揺動中心軸部49bと、揺動中心軸部49bを支持する支持台部49cとを有して、メータカバー31に取付けられたものなどとされる。この揺動中心軸部49bは、回路基板22と平行で、シーソー板49aの延設方向と直交する方向へ延びるものとされる。
【0069】
或いは、図11に示すように、回路基板22の裏面側にスイッチボタン37aを横向きにして実装されたスイッチ37を、スイッチノブ47の先端部に形成された傾斜面部47bやスイッチノブ47の側面などによって押圧操作し得るようにする。
【0070】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0071】
回路基板22の指針回動領域24内の位置に取付けられた光源27からの光は、回路基板22と文字板23との間の(平行な)空間に光源27と対向させて配置された第一の反射部28によって反射され、第一の反射部28によって反射された光は、回路基板22と文字板23との間の(平行な)空間に指針回動領域24を取囲むように配置された第二の反射部29によって、文字板23へ向け反射される。これにより、文字板23が間接的に照明される。また、光源27からの光の一部は、文字板23を直接照明する。
【0072】
この際、光源27からの直接光は、主に、文字板23における第一の反射部28の周囲の部分を照明することとなり、また、第一の反射部28および第二の反射部29によって反射された反射光は、指針回動領域24のほぼ全体を照明することとなる。
【0073】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0074】
(効果1)第一の反射部28が平行反射用反射面28aを有することにより、光源27からの光を文字板23と平行な方向へ反射させて、より多くの光を指針回動領域24の周縁部にまで到達させることができる。これにより、指針回動領域24の周縁部における光量不足を解消することが可能となる。
【0075】
また、第一の反射部28を平行反射用反射面28aとすることにより、第一の反射部28で反射された光源27からの光が乱反射されたり無駄に拡散されたりすることがなくなるので、より多くの光を第二の反射部29へ向けて効率的に反射させることができる。しかも、第一の反射部28で反射された光は、文字板23と平行な方向へ向けられるので、第二の反射部29によって容易に反射方向を調整することが可能となり、文字板23をムラ無く照明し得るようにすることが可能となる。また、第二の反射部29の形状を単純化して設計を容易化することなどが可能となる。
【0076】
(効果2)第一の反射部28を上記した凹円錐形状の平行反射用反射面28aとすることにより、光源27からの光を文字板23と平行な方向へ向けて確実に反射させることが可能となる。
【0077】
これに対し、比較例として図12に示すように、第一の反射部28を、上記した回転軸42を中心に円弧を回転させた凹円錐形状のものとした場合には、同じような凹円錐形状であっても光源27からの光を文字板23と平行な方向へ向けてうまく反射させることができないので、図14などの場合と同様に文字板23をムラ無く照明することが難しくなると共に、光のロスが生じてしまうので余り好ましくない。
【0078】
(効果3)第一の反射部28の表面側に指針25を配置すると共に、指針25の表面側に文字板23を配置したことにより、少なくとも指針25を保護するためのカバー部材やこのカバー部材を支持するための枠部材などをなくして、計器装置21の薄型化や部品点数の削減を図ると共に、これまでにはない斬新な意匠性を持たせることができる。
【0079】
(効果4)第二の反射部29の少なくとも外周部分に設けた微小な凹凸部44で光を柔らかく拡散させることにより、文字板23を照明する光を調整して明るさのムラをなくしたりまたは明るさのムラを緩和したりすることが可能となる。
【0080】
また、第二の反射部29の少なくとも外周部分に設けた微小な凹凸部44で光を柔らかく拡散させることにより、指針25のシルエットを見易くしたり、指針25の影を文字板23に写り難くしたりすることが可能となる。
【0081】
(効果5)文字板23の指針回動領域24の中心部に形成したマスク部45が光源27からの光を遮ることにより、文字板23の中心部が部分的に照明されないようにすることができる。
【0082】
そして、マスク部45の内側に光源27および第一の反射部28を配置したことにより、指針回動領域24の外側に光源27および第一の反射部28を配置する必要がなくなるので、その分、光源27を実装する基板のサイズを小さくすることが可能となり、以って、計器装置21全体の小型化や、回路基板22の小型化などが可能となり、また、コストを低減することが可能となる。また、指針回動領域24の中心部に形成したマスク部45の内側に光源27および第一の反射部28を配置することにより、外部から光源27および第一の反射部28が見えないようにする、または、見え難くなるようにすることができる。
【0083】
(効果6)第一の反射部28を指針軸穴32aと部分的に重複させることにより、光源27からの光の一部を、切欠部または指針軸穴32aを通過させて、指針25の照明に使用することができる。これにより、同一の光源27で文字板23と指針25との両方を同時に照明することが可能となる。
【0084】
(効果7)第一の反射部28の頂点28bを、指針軸穴32aの縁部と一致させたことにより、光源27からの光の一部を、効率的に指針25へ導くと共に、残りの光によって効率的に文字板23を照明することができる。これにより、光のロスを無くして光量不足を防止することができる。
【0085】
即ち、第一の反射部28の頂点28bを、指針軸穴32aの縁部よりも外側に配置した場合、頂点28bから切欠部までの部分からの反射光が、無駄に指針軸35aを照明することになるので、光のロスを生じることになる。また、第一の反射部28の頂点28bを、指針軸穴32aの縁部よりも外側に配置した場合、第一の反射部28の頂点28b周辺が切欠かれてなくなってしまうことになるので、第二の反射部29へ向かう反射光の量が減ってしまい光量不足を生じることになる。
【0086】
(効果8)回路基板22に対して、各種の電子部品36や、指針25を回動するためのアクチュエータ35(図3参照)や、スイッチ37などの部品類を、メータカバー31側の面に実装することにより、これらの部品類が第一の反射部28と物理的に干渉しないようにすることができる。また、上記により、回路基板22の表面側に光を遮る凹凸部がなくなるので、第一の反射部28からの反射光が妨げられないようにすることができる。よって、計器装置21の薄型化が可能となる。
【0087】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0088】
21 (車両用)計器装置
22 回路基板
23 文字板
24 指針回動領域
25 指針
26 照明構造
27 光源
28 第一の反射部
28a 平行反射用反射面
28b 頂点
29 第二の反射部
41 放物線
42 回転軸
44 凹凸部
45 マスク部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、該回路基板の表面側に配置された文字板と、該文字板に形成された指針回動領域に沿って回動可能に設けられた指針とを備えると共に、
前記回路基板の指針回動領域内の位置に取付けられた光源と、前記回路基板と文字板との間に、光源と対向するよう配置されて、光源からの光を反射可能な第一の反射部と、前記回路基板と文字板との間に、指針回動領域を取囲むように配置されて、前記第一の反射部で反射された光を文字板へ向けて反射する第二の反射部とを備えた車両用計器装置の照明構造において、
前記第一の反射部が、前記光源からの光を文字板と平行な方向へ向けて反射可能な平行反射用反射面を有することを特徴とする車両用計器装置の照明構造。
【請求項2】
前記平行反射用反射面が、前記回路基板または前記文字板と平行な中心軸を有する放物線の一部を、前記光源を通り前記文字板と垂直な回転軸を中心として回転した凹円錐形状としたことを特徴とする請求項1記載の車両用計器装置の照明構造。
【請求項3】
前記第一の反射部の表面側に前記指針を配置すると共に、該指針の表面側に前記文字板を配置したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用計器装置の照明構造。
【請求項4】
前記第二の反射部の少なくとも外周部分に、光拡散用の微小な凹凸部を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用計器装置の照明構造。
【請求項5】
前記文字板の指針回動領域の中心部に、前記光源からの光を遮るマスク部を形成すると共に、該マスク部の内側に前記光源および前記第一の反射部を配置したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用計器装置の照明構造。
【請求項6】
前記第一の反射部を指針軸穴と部分的に重複する位置に配置すると共に、前記第一の反射部の指針軸穴と重複する部分に切欠部を形成したことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用計器装置の照明構造。
【請求項7】
前記第一の反射部の頂点を、指針軸穴の縁部と一致させたことを特徴とする請求項6記載の車両用計器装置の照明構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−108868(P2013−108868A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254748(P2011−254748)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】