説明

車両用電力伝送装置及び車両用電源システム

【課題】負荷に供給する電力を無線伝送で受電するか否かを受電側もしくは送電側で選択することが可能な車両用電力伝送装置及び車両用電源システムを提供する。
【解決手段】車両用電力伝送装置102は、1つの無線電力送電部110と、1または2以上の無線電力受電部120とを備えており、1つの無線電力送電部110から複数の無線電力受電部120に無線で電力伝送することが可能である。無線電力受電部120は、受電側の共振周波数f2をそれぞれで調整可能とするために、2次側共鳴コイル122及び受電側コンデンサ123の回路定数を調整する受電側共振周波数調整部124を備えている。同様に、無線電力送電部110でも、送電側の共振周波数f1を調整可能とすることも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電源から車両に搭載された電気負荷に電力を非接触で供給するための車両用電力伝送装置及び車両用電源システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されている電気負荷(以下では、単に負荷という)に電力を供給するために、車両用電源であるバッテリから各負荷にワイヤハーネス(W/H)が配索されている。このワイヤハーネスの配線をなくして結線作業を不要とするために、電力を無線伝送する技術が注目されている。無線電力伝送により、送電側と受電側との間を非接触として配線を不要とすることができる。
【0003】
無線電力伝送を用いた従来技術として、たとえば特許文献1、2に記載されている技術が知られている。特許文献1には、磁気共鳴により受電する受電側にインピーダンス可変回路を設けており、これを用いて入力インピーダンスの変化を抑制する技術が記載されている。また特許文献2には、入力インピーダンスの調整を送信側で行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−141977号公報
【特許文献2】特開2010−158151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載されている非接触電力伝送装置では、交流電源に接続された送電側の装置から受電側の装置に無線電力が1対1で伝送されるため、受電が必要な負荷をすべて1つの受電側装置に接続する必要がある。そのため、受電側装置に接続される負荷が増えると、無線電力伝送ではそれぞれに十分な容量の電力を供給できなくなるおそれがある。特に、重要な負荷等の電源を優先的に確保したり、車両の走行状態等に応じて特定の負荷に電力を優先的に配分するといった柔軟な電源制御が困難となる。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、負荷に供給する電力を無線伝送で受電するか否かを少なくとも受電側で選択することが可能な車両用電力伝送装置及び車両用電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用電力伝送装置の第1の態様は、車両用電源に接続されて所定の共振周波数で無線電力を発生させる無線電力送電部と、前記無線電力送電部から前記無線電力を受電すると接続先の負荷に給電する無線電力受電部と、を備え、前記無線電力受電部は、共振周波数を調整するための受電側共振周波数調整部を有しており、前記受電側共振周波数調整部により前記無線電力受電部の共振周波数が前記無線電力送信部の共振周波数に略等しくなるように調整されると、前記無線電力送信部から前記無線電力受電部に磁気共鳴により前記無線電力が伝送されることを特徴とする。
【0008】
本発明の車両用電力伝送装置の他の態様は、前記無線電力送電部は、前記車両用電源から交流電圧が印加される1次コイルと、前記1次コイルに電磁界結合する1次側共鳴コイルと、を備え、前記無線電力受電部は、前記負荷に接続された2次コイルと、前記2次コイルに電磁界結合する2次側共鳴コイルと、を備え、前記受電側共振周波数調整部により前記無線電力受電部の共振周波数が前記無線電力送電部の共振周波数と略等しくなるように調整されると、前記1次側共鳴コイルと前記2次側共鳴コイルとの間で磁気共鳴することを特徴とする。
【0009】
本発明の車両用電力伝送装置の他の態様は、前記無線電力受電部は、前記2次側共鳴コイルに接続された受電側可変コンデンサを有しており、前記受電側共振周波数調整部は、前記受電側可変コンデンサの静電容量を変更することで前記無線電力受電部の共振周波数を調整することを特徴とする。
【0010】
本発明の車両用電力伝送装置の他の態様は、前記2次側共鳴コイルは、誘導係数の変更が可能な可変コイル(インダクタ)であり、前記受電側共振周波数調整部は、前記2次側共鳴コイルの誘導係数を変更することで前記無線電力受電部の共振周波数を調整することを特徴とする。
【0011】
本発明の車両用電力伝送装置の他の態様は、前記無線電力受電部を2以上備え、前記受電側共振周波数調整部により共振周波数が前記無線電力送電部の共振周波数に略等しくなるように調整された前記無線電力受電部が、前記無線電力送電部から前記無線電力を受電することを特徴とする。
【0012】
本発明の車両用電力伝送装置の他の態様は、前記無線電力送電部は、共振周波数を調整するための送電側共振周波数調整部を有しており、前記送電側共振周波数調整部により前記無線電力送電部の共振周波数が前記無線電力受電部の共振周波数と略等しくなるように調整されると、前記1次側共鳴コイルと前記2次側共鳴コイルとの間で磁気共鳴することを特徴とする。
【0013】
本発明の車両用電力伝送装置の他の態様は、前記無線電力送電部は、前記1次側共鳴コイルに接続された送電側可変コンデンサを有しており、前記送電側共振周波数調整部は、前記送電側可変コンデンサの静電容量を変更することで前記無線電力送電部の共振周波数を調整することを特徴とする。
【0014】
本発明の車両用電力伝送装置の他の態様は、前記1次側共鳴コイルは、誘導係数の変更が可能な可変コイル(インダクタ)であり、前記無線電力送電部は前記1次側共鳴コイルの誘導係数を変更することで前記無線電力送電部の共振周波数を調整することを特徴とする。
【0015】
本発明の車両用電力伝送装置の他の態様は、1以上の前記無線電力受電部のそれぞれの前記受電側共振周波数調整部に対して共振周波数の変更を制御する統括制御部をさらに備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明の車両用電源システムの第1の態様は、交流電力を供給する車両用電源と、上記態様のいずれか1つに記載の車両用電力伝送装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、負荷に供給する電力を無線伝送で受電するか否かを受電側もしくは送電側で選択することが可能な車両用電力伝送装置及び車両用電源システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両用電力伝送装置及び車両用電源システムの構成を示すブロック図である。
【図2】複数の無線電力受電部のそれぞれの2次側共鳴コイルの共振周波数を調整した一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る車両用電力伝送装置及び車両用電源システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る車両用電力伝送装置及び車両用電源システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施の形態における車両用電力伝送装置及び車両用電源システムについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有する各構成部については、図示及び説明簡略化のため、同一符号を付して示す。
【0020】
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る車両用電力伝送装置及び車両用電源システムを、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態の車両用電力伝送装置及び車両用電源システムの構成を示すブロック図である。車両用電源システム100は、車両用電源101と、車両用電力伝送装置102とを備え、車両用電力伝送装置102が車両用電源101から受電した電力を負荷10に供給する構成となっている。
【0021】
本実施形態の車両用電力伝送装置102は、1つの無線電力送電部110と、1または2以上の無線電力受電部120とを備えており、1つの無線電力送電部110から複数の無線電力受電部120に無線で電力伝送することが可能に構成されている。図1に示す車両用電力伝送装置102では、一例として、3つの無線電力受電部120が備えられた構成としている。3つの無線電力受電部120(それぞれを120−1〜3とする)には、それぞれ負荷10(それぞれを10−1〜3とする)が接続されている。
【0022】
無線電力受電部120は、電力供給を受ける負荷10を優先度等に基づいてグループ分けし、それぞれのグループに対応させてグループ数だけ設けることができる。車両に搭載されている負荷10には、安全走行に必要な優先度の高いものから、オーディオ機器等の優先度の低いものまであり、それぞれの優先度等に基づいて負荷10をグループ分けし、グループごとに無線電力受電部120を設けて電力供給されるようにすることができる。
【0023】
無線電力送電部110は、1次コイル111と1次側共鳴コイル112とを備えている。また、無線電力受電部120は、それぞれ2次コイル121と2次側共鳴コイル122とを備えている。1次コイル111は、車両用電源101から交流電圧が印加されると、磁場を生成して1次側共鳴コイル112と電磁界結合する。1次側共鳴コイル112は、2次側共鳴コイル122との間で磁気共鳴して1次コイル111で生成された磁場を増強する。さらに、2次コイル121は電磁誘導により2次側共鳴コイル122から電力を取り出す。2次コイル121には負荷10が接続されており、2次側共鳴コイル122から取り出した電力を負荷10に供給する。
【0024】
上記のような構成により、本実施形態の車両用電力伝送装置102は、車両用電源101から受電した電力を無線電力送電部110から複数の無線電力受電部120に無線で伝送することが可能となっている。そして、無線電力受電部120で受電した電力を負荷10に供給する。
【0025】
無線電力送電部110の共振周波数をf1とし、無線電力受電部120の共振周波数をf2とする(無線電力受電部120−1〜3のそれぞれの共振周波数を、それぞれf2−1〜3とする)とき、無線電力送電部110の共振周波数f1と一致する共振周波数f2(f2−1〜3)を有する無線電力受電部120の2次側共鳴コイル122が、1次側共鳴コイル112と磁気共鳴して無線電力を受電することができる。
【0026】
磁気共鳴方式による無線電力伝送では、1次側共鳴コイル112と2次側共鳴コイル122とが比較的離れていても無線で電力伝送が可能であり、また1次側共鳴コイル112の中心軸と2次側共鳴コイル122の中心軸とが一致していない場合でも電力伝送が可能である。したがって、1次側共鳴コイル112の周辺に2次側共鳴コイル122を複数配置することができ、1つの無線電力送電部110から複数の無線電力受電部120に電力を無線伝送させることが可能となる。
【0027】
無線電力送電部110及び無線電力受電部120のそれぞれの共振周波数f1及びf2は、それぞれの回路定数によって決定される。本実施形態の車両用電力伝送装置102では、無線電力送電部110が1次側共鳴コイル112とともに送電側コンデンサ113を備えて共振回路を構成しており、1次側共鳴コイル112のインダクタンスとコンデンサ113の静電容量とから共振周波数f1が決定されている。
【0028】
また、無線電力受電部120も、2次側共鳴コイル122とともに受電側コンデンサ123を備えて共振回路を構成している。無線電力受電部120では、共振周波数f2をそれぞれで調整可能とするために、2次側共鳴コイル122及び受電側コンデンサ123をそれぞれ誘導係数の変更が可能な可変コイル及び静電容量の変更が可能な可変コンデンサとしている。さらに、2次側共鳴コイル122の誘導係数及び受電側コンデンサ123の静電容量を調整する受電側共振周波数調整部124が無線電力受電部120ごとに設けられている。
【0029】
2次側共鳴コイル122と受電側コンデンサ123とからなる共振回路では、2次側共鳴コイル122の誘導係数(インダクタンス)Lと受電側コンデンサ123の静電容量Cとから共振周波数f2が決定される。受電側共振周波数調整部124は、2次側共鳴コイル122の誘導係数L及び受電側コンデンサ123の静電容量Cを調整する手段であり、2次側共鳴コイル122の誘導係数L及び/または静電容量Cを調整することにより、無線電力受電部120の共振周波数f2を調整することが可能となっている。
【0030】
本実施形態の車両用電力伝送装置102では、負荷10が優先度等に基づいてグループ分けされており、各グループの負荷10が1つの無線電力受電部120に接続されている。したがって、無線電力送電部110の共振周波数f1に一致するように受電側共振周波数調整部124を用いて2次側共鳴コイル122の誘導係数L及び/または受電側コンデンサ123の静電容量Cが調整された無線電力受電部120が、無線電力送電部110から無線伝送で電力を受電する。そして、当該無線電力受電部120に接続されているグループの負荷10に対して、電力供給が行われる。
【0031】
一方、電力供給が停止される負荷10が接続された無線電力受電部120では、受電側共振周波数調整部124を用いて2次側共鳴コイル122の誘導係数L及び/または受電側コンデンサ123の静電容量Cを調整することで、無線電力受電部120の共振周波数f2が無線電力送電部110の共振周波数f1と異なるようにする。これにより、給電を停止させる負荷10が接続された無線電力受電部120には、無線電力送電部110から無線電力が伝送されない。
【0032】
3つの無線電力受電部120のそれぞれの共振周波数を、具体的に調整した一例を図2に示す。図2では、無線電力送電部110の1次側共鳴コイル112のインダクタンスをL0、送電側コンデンサ113の静電容量をC0としている。一方、3つの無線電力受電部120では、説明簡単のため、それぞれの2次側共鳴コイル122のインダクタンスを、すべて1次側共鳴コイル112のインダクタンスと同じL0とする。また、それぞれの受電側コンデンサ123の静電容量を、それぞれ送電側コンデンサ113の静電容量と同じC0、2倍の2C0、3倍の3C0、とする。
【0033】
受電側共振周波数調整部124を用いて3つの無線電力受電部120のそれぞれの2次側共鳴コイル122の誘導係数L及び受電側コンデンサ123の静電容量を上記のように調整したとき、無線電力受電部120−1の共振周波数のみが無線電力送電部110の共振周波数と等しくなる。その結果、無線電力受電部120−1のみが無線電力送電部110から無線電力を受電し、無線電力受電部120−2、3は全く受電しない。本実施形態の車両用電力伝送装置102では、上記のようにして無線電力を受電する無線電力受電部120を容易に選択することができる。
【0034】
共振周波数f2が無線電力送電部110の共振周波数f1に一致する無線電力受電部120は、複数ある無線電力受電部120のいずれか1つに限定されるものではなく、2以上、あるいはすべての無線電力受電部120の共振周波数f2が無線電力送電部110の共振周波数f1に一致していてもよい。無線電力送電部110の共振周波数f1に一致する共振周波数f2を有するすべての無線電力受電部120が、無線電力送電部110から無線で電力を受電する。
【0035】
上記説明のように、本実施形態の車両用電源システム100及び車両用電力伝送装置102によれば、共振周波数が無線電力送電部110の共振周波数に一致するように調整された無線電力受電部120のみが無線電力送電部110から無線電力を受電することができることから、無線電力受電部120側で接続先の負荷10に電力供給を行うか否かを選択することが可能となる。
【0036】
本実施形態の車両用電源システム100及び車両用電力伝送装置102によれば、車両用電源101に1つの無線電力送電部110を接続し、1以上の負荷10に1以上の無線電力受電部120を接続することで、磁気共鳴により無線電力送電部110から各無線電力受電部120に電力を無線伝送して負荷に電力供給することが可能となる。これにより、W/Hの配索量を低減してその組み付け作業量を削減するとともに、W/Hの削減により車両の軽量化を図ることが可能となる。
【0037】
また、無線電力受電部120に受電側共振周波数調整部124を設けて共振周波数を調整可能にしており、各無線電力受電部120の共振周波数を無線電力送電部110の共振周波数に一致させるまたは異ならせることにより、無線電力送電部110から無線電力を受電するまたは受電しないようにすることが可能となっている。これにより、負荷10を優先度等に基づいてグループ分けし、グループごとに1つの無線電力受電部120を設けてこれに接続することで、負荷10の優先度等に基づいて電力供給を制御することが可能となる。その結果、不要な給電を停止して電源の利用を効率化させることができる。
【0038】
さらに、給電対象の負荷を追加する場合には、車両用電源101及び無線電力送電部110に変更を加えることなく、無線電力受電部120のみを追加してこれに追加の負荷を接続することで、追加の負荷に電力を供給することが可能となる。
【0039】
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る車両用電力伝送装置及び車両用電源システムを、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態の車両用電力伝送装置及び車両用電源システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の車両用電源システム200及び車両用電源システム202では、各無線電力受電部120の受電側共振周波数調整部124を統括して制御する統括制御部226が追加されている。
【0040】
図1に示す第1実施形態の車両用電源システム100及び車両用電力伝送装置102では、複数の無線電力受電部120のそれぞれの共振周波数を、それぞれの無線電力受電部120で調整する構成としている。すなわち、それぞれの無線電力受電部120において、受電側共振周波数調整部124を用いてそれぞれの2次側共鳴コイル122の誘導係数L及び/または受電側コンデンサ123の静電容量を変更することで、それぞれの共振周波数を調整している。これに対し、本実施形態で追加された統括制御部226は、各無線電力受電部120の受電側共振周波数調整部124を統括制御しており、これにより、統括制御部226は車両の状況に応じて負荷への電源供給を適切に制御することが可能となる。
【0041】
一例として、給電停止や電圧変動/電圧低下等の電源の品質低下となる事象が発生した場合には、電源品質を維持する必要のある負荷に対して優先的に電力供給できるように、統括制御部226により各無線電力受電部120の受電側共振周波数調整部124を制御させることができる。また、走行中に不具合が発生して車両の安全停止が必要となった場合には、統括制御部226により安全停止に必要な負荷への電源供給を優先させ、それ以外の負荷への電源供給を停止させるように各無線電力受電部120の受電側共振周波数調整部124を制御させることが可能となる。
【0042】
車両が冗長的な電源供給手段としてサブ電源を備える場合には、サブ電源の制御を本実施形態の車両用電力伝送装置202を用いて行うのが好ましい。サブ電源を本実施形態の車両用電力伝送装置202を用いて制御するように構成することで、車両の状況に応じて統括制御部226で重要な負荷を判定させ、これにサブ電源から優先的に電力を供給させるようにすることができる。また、車両停止中に盗難等の緊急事態が発生した場合には、サブ電源から盗難防止に有用な負荷に電源供給させるようにすることも可能である。
【0043】
(第3実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る車両用電力伝送装置及び車両用電源システムを、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態の車両用電力伝送装置及び車両用電源システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の車両用電源システム300及び車両用電源システム302では、無線電力送電部310の構成が第1実施形態及び第2実施形態と異なっている。
【0044】
本実施形態の車両用電力伝送装置302では、無線電力送電部310の共振周波数f1を調整可能とするために、1次側共鳴コイル312及び送電側コンデンサ313をそれぞれ誘導係数の変更が可能な可変コイル及び静電容量の変更が可能な可変コンデンサとしている。また、1次側共鳴コイル312の誘導係数及び送電側コンデンサ313の静電容量を調整する送電側共振周波数調整部314が無線電力送電部310に設けられている。1次側共鳴コイル312及び送電側コンデンサ313は、共振回路を構成している。
【0045】
本実施形態の車両用電力伝送装置302では、受電側の無線電力受電部320だけでなく、送電側の無線電力送電部310も共振周波数の調整が可能に構成されている。これにより、受電側で負荷10の状況等に応じて無線電力を受電するか否かを選択することが可能となるだけでなく、送電側でも、例えば車両用電源101の発電能力等に応じて、無線電力の伝送先である無線電力受電部320を選択することが可能となる。したがって、車両用電源101の制御をさらに柔軟に行うことが可能となる。
【0046】
なお、本実施の形態における記述は、本発明に係る車両用電力伝送装置及び車両用電源システムの一例を示すものであり、これに限定されるものではない。本実施の形態における車両用電力伝送装置及び車両用電源システムの細部構成及び詳細な動作等に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 負荷
100、200、300 車両用電源システム
101 車両用電源
102、202、302 車両用電力伝送装置
110、310 無線電力送電部
111 1次コイル
112、312 1次側共鳴コイル
113、313 送電側コンデンサ
120 無線電力受電部
121 2次コイル
122 2次側共鳴コイル
123 受電側コンデンサ
124 受電側共振周波数調整部
226 統括制御部
314 送電側共振周波数調整部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用電源に接続されて所定の共振周波数で無線電力を発生させる無線電力送電部と、
前記無線電力送電部から前記無線電力を受電すると接続先の負荷に給電する無線電力受電部と、を備え、
前記無線電力受電部は、共振周波数を調整するための受電側共振周波数調整部を有しており、
前記受電側共振周波数調整部により前記無線電力受電部の共振周波数が前記無線電力送信部の共振周波数に略等しくなるように調整されると、前記無線電力送信部から前記無線電力受電部に磁気共鳴により前記無線電力が伝送される
ことを特徴とする車両用電力伝送装置。
【請求項2】
前記無線電力送電部は、前記車両用電源から交流電圧が印加される1次コイルと、前記1次コイルに電磁界結合する1次側共鳴コイルと、を備え、
前記無線電力受電部は、前記負荷に接続された2次コイルと、前記2次コイルに電磁界結合する2次側共鳴コイルと、を備え、
前記受電側共振周波数調整部により前記無線電力受電部の共振周波数が前記無線電力送電部の共振周波数と略等しくなるように調整されると、前記1次側共鳴コイルと前記2次側共鳴コイルとの間で磁気共鳴する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用電力伝送装置。
【請求項3】
前記無線電力受電部は、前記2次側共鳴コイルに接続された受電側可変コンデンサを有しており、
前記受電側共振周波数調整部は、前記受電側可変コンデンサの静電容量を変更することで前記無線電力受電部の共振周波数を調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用電力伝送装置。
【請求項4】
前記2次側共鳴コイルは、誘導係数の変更が可能な可変コイル(インダクタ)であり、
前記受電側共振周波数調整部は、前記2次側共鳴コイルの誘導係数を変更することで前記無線電力受電部の共振周波数を調整する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の車両用電力伝送装置。
【請求項5】
前記無線電力受電部を2以上備え、
前記受電側共振周波数調整部により共振周波数が前記無線電力送電部の共振周波数に略等しくなるように調整された前記無線電力受電部が、前記無線電力送電部から前記無線電力を受電する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用電力伝送装置。
【請求項6】
前記無線電力送電部は、共振周波数を調整するための送電側共振周波数調整部を有しており、
前記送電側共振周波数調整部により前記無線電力送電部の共振周波数が前記無線電力受電部の共振周波数と略等しくなるように調整されると、前記1次側共鳴コイルと前記2次側共鳴コイルとの間で磁気共鳴する
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の車両用電力伝送装置。
【請求項7】
前記無線電力送電部は、前記1次側共鳴コイルに接続された送電側可変コンデンサを有しており、
前記送電側共振周波数調整部は、前記送電側可変コンデンサの静電容量を変更することで前記無線電力送電部の共振周波数を調整する
ことを特徴とする請求項6に記載の車両用電力伝送装置。
【請求項8】
前記1次側共鳴コイルは、誘導係数の変更が可能な可変コイル(インダクタ)であり、
前記無線電力送電部は、前記1次側共鳴コイルの誘導係数を変更することで前記無線電力送電部の共振周波数を調整する
ことを特徴とする請求項6または7に記載の車両用電力伝送装置。
【請求項9】
1以上の前記無線電力受電部のそれぞれの前記受電側共振周波数調整部に対して共振周波数の変更を制御する統括制御部をさらに備えている
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の車両用電力伝送装置。
【請求項10】
交流電力を供給する車両用電源と、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の車両用電力伝送装置と、を備える
ことを特徴とする車両用電源システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−85322(P2013−85322A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221777(P2011−221777)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)