説明

車載装置および車内警告出力記録方法

【課題】運行状態に応じて警告を発生するとともに車内の状況を記録する車載装置において、警告発生の精度を高めることができるようにする。
【解決手段】車両の運行状態を取得する速度・加速度情報取得部と、車両内を撮像した映像を入力する映像入力部と、入力した映像から所定条件を満たす動きを検出する映像解析部と、警告音を出力する警告音出力部と、映像解析部により映像から動きが検出され、かつ速度・加速度情報取得部により取得した運行状態が所定の条件を満たす場合に、警告音出力手段に警告音を出力させる制御判断部と、警告音を含む車内の音声と、車両内の映像とを記録する記録部とを備えた車載装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車載装置に係り、特に、運行状態に応じて警告を発生するとともに車内の状況を記録する車載装置および車内警告出力記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に作用する加速度が所定加速度以上になったとき、車内映像等の車両状況を保存するとともに、運転者に対して警告を発生する運行状況記録装置が記載されている。このような運行状況記録装置は、乗客を乗せて運行するバス等に好適であり、特に、席に座れず立っている乗客がいる場合の安全確保ならびに運転者に対する運転指導等に効果的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−170188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加速度が所定加速度以上になった場合であっても、必ずしも警告を発生する必要があるとは限られない。例えば、運転者が必要と判断し、安全性を十分確保した状態で加速度を上げる場合もあるし、乗客が全員着席していてある程度の加速度が加わってもそれほど問題が生じない場合もある。
【0005】
このような不必要な場合にも常に警告を発生させると、警告が形式的なものに捉えられがちとなり、警告に対する信頼感が薄れてしまい、警告が必要な状況で警告本来の効果を奏しなくなってしまうおそれがある。このため、適切な状況で警告を行なえるように警告発生の精度を高めることが望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、運行状態に応じて警告を発生するとともに車内の状況を記録する車載装置において、警告発生の精度を高めることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である車載装置は、車両の運行状態を取得する運行状態取得手段と、車両内を撮像した映像を入力する映像入力手段と、入力した前記映像から所定条件を満たす動きを検出する映像解析手段と、警告音を出力する警告音出力手段と、前記映像解析手段により前記映像から動きが検出され、かつ前記運行状態取得手段により取得した前記運行状態が所定の条件を満たす場合に、前記警告音出力手段に警告音を出力させる制御判断部と、前記警告音を含む車内の音声と、前記車両内の映像とを記録する記録手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
ここで、前記制御判断部は、取得した前記運行状態を複数の状態に区分し、区分された状態に応じて前記警告音出力手段に出力させる警告音の内容を変更することができる。
【0009】
また、前記映像解析手段は、入力した前記映像の一部の領域を対象に所定条件を満たす動きを検出するようにしてもよい。
【0010】
より具体的には、前記運行状態取得手段は、車両の運行状態として、車両の速度および加速度の内の少なくとも一方を取得することができる。
【0011】
さらには、前記記録手段は、前記警告音が出力された場合に、前記警告音を含む車内の音声と、前記音声に対応した車両内の映像とを所定時間記録することができる。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である車内警告出力記録方法は、車両の運行状態を取得する運行状態取得ステップと、車両内を撮像した映像を入力する映像入力ステップと、入力した前記映像から所定条件を満たす動きを検出する映像解析ステップと、前記映像解析ステップにおいて前記映像から動きが検出され、かつ前記運行状態取得ステップにおいて取得した前記運行状態が所定の条件を満たす場合に警告音を出力させる制御判断ステップと、前記警告音を含む車内の音声と、前記車両内の映像とを記録する記録ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、運行状態に応じて警告を発生するとともに車内の状況を記録する車載装置において、警告発生の精度を高めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る車載装置を搭載したバスの機能構成を説明するブロック図である。
【図2】車載装置の動作について説明するフローチャートである。
【図3】カメラの配置と映像内の動き検出領域との関係を示す図である。
【図4】カメラの配置と映像内の動き検出領域との関係を示す図である。
【図5】車載装置の動作の応用例について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る車載装置100を搭載したバス10の機能構成を説明するブロック図である。本図に示すように、バス10は、車載装置100を備えており、さらに、バス車内を撮像するカメラ11、バス車内の音声を集音するマイク12、バス10の速度・加速度を検出する速度・加速度センサ13、エンジン等を含んだ駆動部14、スピーカ15、バス10の運行管理を行なう基地局20と通信を行なうための無線機16、モニタ17、着脱可能な記憶装置であるメモリ18を備えている。
【0016】
速度・加速度センサ13は、バス10の進行方向に限られず、横方向、さらには縦方向の速度・加速度を検出するようにしてもよい。
【0017】
スピーカ15は、乗客を対象として音声を出力する乗客用スピーカ15aと、運転者を対象として音声を出力する運転者用スピーカ15bとに区別されるものとする。両者を区別する必要がない場合にはスピーカ15と表わす。なお、運転者用スピーカ15bは、例えば、ヘッドセット、イヤホーン等を用いることにより、運転者のみに音声が聞き取られるようにすることができる。
【0018】
モニタ17は、運転者の近傍に配置され、バス車内の様子やモニタ17に表示される各種情報を運転者が視認できるようにする。
【0019】
車載装置100は、映像入力部101、音声入力部102、速度・加速度情報取得部103、制御判断部104、映像解析部105、警告音出力部106、無線送出部107、映像・音声圧縮伸張部108、無線入力部109、音声出力部110、操作部111、表示部112、記録部113、時間情報取得部114、外部端子115を備えている。
【0020】
車載装置100は、CPU、メモリ、インタフェース等を備えた情報処理装置を用いて構成することができ、これらの機能部は、コンピュータプログラムを用いてソフトウェア的に実現したり、ハードウェア的に実現することができる。
【0021】
映像入力部101は、カメラ11が撮像したバス車内の映像を入力する。音声入力部102は、マイク12が集音したバス車内の音声を入力する。
【0022】
速度・加速度情報取得部103は、バス10の運行状態情報として速度・加速度センサ13が検出したバス10の速度・加速度を取得する。ただし、速度・加速度情報取得部103が取得するバス10の運行状態情報は、速度、加速度に限定されない。例えば、路面状態、ハンドル・アクセル・ブレーキの状態、走行距離、走行時間、乗客の混雑状態、道路の混雑状態、気候等の情報をさらに取得するようにしてもよい。なお、速度・加速度情報取得部103は、車両運行状態取得手段として機能する。
【0023】
映像解析部105は、映像入力部101が入力したバス車内の映像から所定条件を満たす動きを検出する。動き検出は公知技術を用いることができ、例えば、過去画像と現在画像とを比較して映像信号の差分が大きい画素をカウントして、動きの有無、動きの大きさ、動きの位置、動きの方向等を検出する。
【0024】
本実施形態において、動きがあったものと判定する所定条件は、立っている乗客がよろめいたり転んだり、座席に座っている乗客が大きく揺れる等の大きな動きをした状況を捕捉できる程度の条件とし、座席に座っている乗客の軽微な動作等は検出しないようにすることが望ましい。さらに、後述するように、映像内の所定の領域に注目して動きを検出するようにしてもよい。
【0025】
制御判断部104は、映像解析部105がバス車内の映像から動きを検出し、速度・加速度情報取得部103が取得したバス10の速度・加速度が所定の条件を満たす場合に、警告音出力部106に警告音を発生させる。警告音には、警告メッセージを含ませることができる。また、状況に応じて発生させる警告音の内容を変更することができる。
【0026】
警告音出力部106は、制御判断部104からの指示に従って、警告音をスピーカ15から出力する。無線送出部107は、制御判断部104からの指示に従って、無線機16を通じて基地局20に対して無線を送信する。無線入力部109は、基地局20から送られ無線機16が受信した無線を入力する。
【0027】
映像・音声圧縮伸張部108は、映像入力部101が入力した映像、音声入力部102が入力した音声、警告音出力部106が出力した警告音等の圧縮を行なったり、無線入力部109が入力した圧縮信号等の伸張を行なう。映像信号および音声信号の圧縮は、例えば、MPEG−4、ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)などの方式を用いることができる。
【0028】
映像・音声圧縮伸張部108が圧縮した音声信号、映像信号は、記録部113で記録されたり、無線機16を通じて基地局20に送信される。また、映像・音声圧縮伸張部108が伸張した音声信号、映像信号は、表示部112を介してモニタ17に表示されたり、音声出力部110を介してスピーカ15から出力される。
【0029】
音声出力部110は、映像・音声圧縮伸張部108が伸張した音声信号をスピーカ15から出力する。操作部111は、運転者、整備士等のユーザからの各種設定等の操作を受け付ける。受け付けた設定内容は記録部113に格納され、制御判断部104等に参照される。表示部112は、映像・音声圧縮伸張部108が伸張した映像信号および映像入力部101が入力したカメラ11からの映像信号をモニタ17に表示する。
【0030】
記録部113は、圧縮された映像信号や音声信号を記録したり、制御判断部104が判断に使用する条件や警告の内容等を記録する。
【0031】
時間情報取得部114は、現在時刻を取得する。取得した時刻は、制御判断部104に出力され、記録部113に記録する映像・音声信号に付加される。外部端子115は、メモリ18と接続するためのインタフェースである。
【0032】
次に、本実施形態における車載装置100およびバス10の動作について図2のフローチャートを参照して説明する。バス10が運行を開始すると、カメラ11がバス10の車内の撮像を開始し、マイク12がバス10の車内の音声を集音する(S101)。これらの処理は、バスの運行開始を検知して自動的に開始するようにしてもよいし、運転者の指示により開始するようにしてもよい。撮像した映像、集音した音声は、それぞれ映像入力部101、音声入力部102に入力され、両入力部の内部に備えられたバッファメモリに所定期間格納される。ただし、この時点で記録部113に記録する必要はない。
【0033】
また、映像入力部101が入力されたバス10車内の映像は、表示部112に送られ、モニタ17に表示される。これにより、運転者はカメラ11の映像をモニタ17にて随時確認することができ、バス車内や乗客の様子を把握することができるようになる。
【0034】
運行中、速度・加速度センサ13は、バス10の速度・加速度を常時検出し、速度・加速度情報取得部103が検出結果を取得する(S102)。これにより、車載装置100は、バス10が走行していることや、急発進・急停止したこと等の運行状態を把握することができる。
【0035】
映像入力部101が入力したバス車内の映像は、映像解析部105に送られ、動き検出が行なわれる(S103)。上述のように動き検出は従来の技術を用いて行なうことができる。ただし、本実施形態では、立っている乗客の運行状態に起因する大きな動きを検出することが主眼であるため、映像内の所定の領域に注目して動きを検出するようにしてもよい。
【0036】
例えば、図3(a)に示すように、バス10内のカメラ11が、乗客を前上方から俯瞰するような位置に配置されている場合には、図3(b)に示すように、主として通路を中心とした台形状の破線領域A内で動きを検出すればよい。また、図4(b)に示すように、バス10内のカメラ11が、乗客を前方からほぼ水平に撮像するような位置に配置されている場合には、図4(b)に示すように、主として画像中央上部の破線で示す矩形領域B内で動きを検出すればよい。このように一部の領域に注目して動きを検出することにより、画像処理負荷を軽減するとともに、座席に座っている乗客の些細な動きや、窓から見える背景の変化を検出してしまうことを防ぐことができる。なお、動き検出領域に車窓が入る場合には、車窓部分の映像(車外の映像)は動き検出に影響を与えないようにする。
【0037】
映像の変化を乗客の大きな動きと認定する動き検出条件や検出対象領域は固定的ではなく、バス10の運行状態の実態に適合させることができる。動き検出条件を運行状態の実態に適合させることで、警告発生の精度が高められる。
【0038】
映像内から動きを検出した場合(S103:Yes)には、警告発生の要否を判断するために、制御判断部104は、取得した速度・加速度に基づいて、その動きが運行状態によるものかを判定する(S104)。すなわち、本実施形態では、警告発生の精度を高めるために、単に乗客の動きが検出されただけでは警告は行なわないようにしている。
【0039】
乗客の動きが運行状態によるものかどうかの判定は、取得した速度・加速度があらかじめ定められた警告条件を満たすかどうかで行なうことができる。警告条件は、例えば、バス10が所定の速度以上で動いている場合、所定の加速度以上の加速度が検出された場合等とすることができる。もちろん、警告条件は、速度・加速度のみならず、種々の運行状態を考慮して定めることができる。例えば、路面状態、ハンドル・アクセル・ブレーキの状態、走行距離、走行時間、乗客の混雑状態、道路の混雑状態、気候等の取得可能な情報を考慮してもよい。
【0040】
警告条件のより具体的な例として、バス10が時速20km以上で走行している場合、あるいは、0.15G以上の加速度が検出された場合とすることができる。ここで、Gは、加速度の単位であり、通常のブレーキは0.1G程度となる。もちろん、この値は例示であり、これらの条件に限られず、また、運行の状態等に応じて変化させることができる。
【0041】
後述するように、本実施形態では、記録部113に記録された警告発生時のバス車内の映像・音声等をフィードバックすることにより、警告条件や動き検出条件を検証することができる。この検証に基づいて、警告条件を見直したり、動き検出条件をバス10の運行の実態に合致させること等が可能となり、警告発生の精度を高めることができるようになる。
【0042】
この結果、取得した速度・加速度があらかじめ定められた警告条件を満たす場合(S104:Yes)、すなわち、乗客の大きな動きが検出され、その動きが運行状態に起因すると判断される場合には、車内で警告音を発生する(S105)。これにより、乗客および運転者に注意を喚起することができる。
【0043】
警告音の発生は、警告音出力部106に指示を送り、スピーカ15から警告音を発することで行なうことができる。スピーカ15から警告音を発する場合、単なるアラーム音でもよいが、所定の音楽や音声メッセージをメモリ18に記憶させておき、これを音声出力部110で再生すれば、より的確な警告を行なうことができる。例えば、警告条件を細分化しておき、速度が第1の基準値よりも大きい場合には「バスが止まってから席をお立ちください」という警告音を発生させ、加速度が第2の基準値よりも大きい場合には「バスの揺れにご注意ください」という警告音を発生させてもよい。
【0044】
このように、本実施形態では、乗客の動きと運行状態とに基づいて警告の要否を判断しているため、一方だけの条件を判断して警告を行なう従来の技術と比較して、より適正な状況で警告を発生することができる。
【0045】
例えば、急発進や急停止により、あるいは、高速度運行中に急激に進路変更や右左折を行なって乗客がよろめいたり転んだりした場合は、運行状態に起因する乗客の動きと判断され、警告がなされることになる。これに対し、運行状態と無関係に乗客が動いた場合、例えば、停車中に乗客が動いた場合等は警告対象から除かれることになる。したがって、不必要な警告発生が抑止され、警告発生の精度が高められることになる。
【0046】
警告音を発生すると、警告音発生時点を含む所定期間に撮像された映像と集音された音声を、映像・音声圧縮伸張部108が圧縮して、記録部113に記録する(S106)。所定期間は、例えば、映像入力部101および音声入力部102のバッファに保存されている映像と音声の開始時点から5分間とすることができる。上述のようにバッファには、所定期間分の映像と音声とが記録されているため、警告音の発生時点以前まで遡って映像と音声とを記録することができる。もちろん、映像と音声とは同期させ、対応関係が明瞭となるようにする。
【0047】
記録部113に記録された映像・音声データは、外部端子115を介してメモリ18に取り込むことができる。後に、基地局20等においてこの記録を集計して、検証することにより、警告音発生時の状況および警告音の内容を把握することができる。これにより、警告が適切な状況でなされたか、警告音の内容が適切であったかを検討することができる。この検討内容を、映像の変化を乗客の動きと判断する条件の設定、速度・加速度の警告条件の設定、警告内容等にフィードバックすることにより、警告発生の精度を一層高めることができるようになる。
【0048】
また、記録された映像・音声データ検討する際に、確実に警告がなされたことの証明と警告の内容を確認することができるように、マイク12は、乗客用スピーカ15bの音声を収録できる位置に配置しておくようにする。一方、運転者用スピーカ15aからの音声を収録することが難しければ、警告音出力部106からケーブルを介して運転者用スピーカ15aに出力させる警告音をダイレクトに取得するようにしてもよい。
【0049】
さらに、制御判断部104は、警告を基地局20に無線で送信する(S107)。これにより、基地局20にバス10内で運行状態に起因して安全性に問題のある事態が起きたことを知らせることができる。ただし、本処理は省くようにしてもよい。
【0050】
このとき、圧縮した映像と音声とを併せて送るようにしてもよい。これにより、基地局20において、より詳細な状況を把握することができる。映像・音声は圧縮されているため、送信量を減らすことができる。基地局20では、バス10の車内の様子が分かるので、必要に応じて運転者に音声・映像にて指示することができる。
【0051】
基地局20からの指示は無線機16で受信して無線入力部109に送られる。無線入力部109は送られた音声を映像・音声圧縮伸張部108で伸張し、音声出力部110を通してスピーカ15から出力する。また、表示部112を介してモニタ17に表示する。
【0052】
車載装置100は、以上の処理を運行が終了するまで繰り返す(S108)。本フローチャートから明らかなように、映像内から動きが検出されない場合、および、映像内から動きが検出されても、運行状態に起因しないと判断される場合には、警告は不必要であるとして警告は行なわれないことになる。
【0053】
なお、警告発生の際に映像・音声データを記録する時間は、設定により変更可能とすることができる。さらに、警告発生したときのみ記録するのではなく常時記録することも設定により変更可能とすることができる。これにより、使用状況等に応じた自由度の高い設定が可能となる。なお、このような設定変更は操作部111を操作することによって行なうものとする。また、このような設定を外部端子115に接続したメモリ18に記憶させておき、制御判断部104がメモリ18に記憶された設定を読み取って動作するようにすることで、メモリ18を取り外して他のPCなどで設定変更することが容易に行なえるようになり、車載装置100の使用勝手が一層向上する。
【0054】
なお、発生した警告は、例えば、所定時間の経過、運転者による意図的な操作、運行の停止等で解除することができる。
【0055】
次に、車載装置100の動作の応用例について図5のフローチャートを参照して説明する。上述の例では、映像内から所定の条件を満たす動きが検出され、さらに、速度・加速度が警告条件を満たしている場合を、安全性に問題があり警告すべき状態であると認定して警告を行なうようにしていた。応用例では、安全性に問題がある状態をさらに細分化して判断して、状態に応じた警告を行なうようにする。
【0056】
図5に示したフローチャートは、図2に示したフローチャートにおける処理(S103)〜処理(S105)を差し替えるものである。このため、処理(S103)以前の処理および処理(S106)以降の処理は、図2に示したフローチャートと同様である。
【0057】
本図に示すように、映像内から動きを検出した場合(S103:Yes)には、バス10が所定の第1基準速度以上で運行しているかどうかを判定する(S1041)。ここでは、第1基準速度を時速20kmとしている。
【0058】
バス10が第1基準速度以上で運行している場合には(S1041:Yes)、さらに、所定の第2基準速度以上で運行しているかどうかを判定する(S1042)。第2基準速度は第1基準速度よりも速い速度とし、ここでは、第2基準速度を時速40kmとしている。
【0059】
この結果、バス10が第2基準速度以上で運行している場合には(S1042:Yes)、バス車内における安全性の問題が大きい状態にあるものとして、「バスが止まってから席をお立ちください」といった内容の音声メッセージを乗客用スピーカ15bから出力して乗客に危険を察知させる(S1051)。この際に、ボリュームを通常よりも大きくすることが望ましい。
【0060】
一方、バス10が第2基準速度以上で運行していない場合には(S1042:No)、バス車内における安全性の問題が軽微な状態にあるものとして、「乗客と速度に注意」といった内容の音声メッセージを運転者用スピーカ15aから出力して、乗客には不安を与えず運転者にのみに注意を喚起する(S1052)。
【0061】
また、映像内から動きを検出した場合(S103:Yes)に、バス10が第1基準速度以上で運行していない場合には(S1041:No)、加速度が所定の第1基準加速度以上であるかどうかを判定する(S1043)。ここでは、第1基準加速度を0.15Gとしている。
【0062】
この結果、加速度が第1基準加速度以上でなければ(S1043:No)、バス車内における安全性に問題はないものとして警告は行なわない。映像・音声の記録も不必要である。
【0063】
加速度が第1基準加速度以上であれば(S1043:Yes)、さらに、加速度が所定の第2基準加速度以上であるかどうかを判定する(S1044)。第2基準加速度は第1基準加速度よりも大きい加速度とし、ここでは、第2基準加速度を0.2Gとしている。
【0064】
この結果、加速度が第2基準加速度以上であれば(S1044:Yes)、バス車内における安全性の問題が大きい状態にあるものとして「バスの揺れにご注意ください」といった内容の音声メッセージを乗客用スピーカ15bから出力して乗客に危険を察知させる(S1053)。この際に、ボリュームを通常よりも大きくすることが望ましい。
【0065】
一方、加速度が第2基準加速度以上でなければ(S1044:No)、バス車内における安全性の問題が軽微な状態にあるものとして「揺れに注意」といった内容の音声メッセージを運転者用スピーカ15aから出力して、乗客には不安を与えず運転者にのみに注意を喚起する(S1054)。
【0066】
そして、警告を行なった場合は、図2のフローチャートと同様に、警告音発生時点を含む所定期間に撮像された映像と集音された音声を、映像・音声圧縮伸張部108が圧縮して、記録部113に記録する(S106)。
【0067】
このように、応用例では、映像から動きが検出された場合に、運行状態に応じて安全性の問題が大きい状態と、安全性の問題が軽微な状態と、安全性に問題がない状態とに区別して、それぞれの状態に応じた対応をするようにしている。これにより、運行状態に適した警告を行なえるようになる。
【0068】
なお、上記の速度の基準値、加速度の基準値、警告メッセージは例示であり、これらに限られない。すなわち、変形例においても、記録部113に記録された映像・音声データを、基地局20等において検証することにより、警告音発生時の状況および警告の内容を把握することができる。これにより、警告が適切な状況でなされたか、警告の内容が適切であったかを検討することができる。この検討内容を、映像の変化を乗客の動きと判断する条件の設定、速度・加速度の警告条件の設定、警告内容等にフィードバックすることにより、警告発生の精度を一層高めることができるようになる。
【符号の説明】
【0069】
10…バス、11…カメラ、12…マイク、13…速度・加速度センサ、14…駆動部、15…スピーカ、16…無線機、17…モニタ、18…メモリ、20…基地局、100…車載装置、101…映像入力部、102…音声入力部、103…速度・加速度情報取得部、104…制御判断部、105…映像解析部、106…警告音出力部、107…無線送出部、108…映像・音声圧縮伸張部、109…無線入力部、110…音声出力部、111…操作部、112…表示部、113…記録部、114…時間情報取得部、115…外部端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運行状態を取得する運行状態取得手段と、
車両内を撮像した映像を入力する映像入力手段と、
入力した前記映像から所定条件を満たす動きを検出する映像解析手段と、
警告音を出力する警告音出力手段と、
前記映像解析手段により前記映像から動きが検出され、かつ前記運行状態取得手段により取得した前記運行状態が所定の条件を満たす場合に、前記警告音出力手段に警告音を出力させる制御判断部と、
前記警告音を含む車内の音声と、前記車両内の映像とを記録する記録手段とを備えたことを特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載装置であって、
前記制御判断部は、取得した前記運行状態を複数の状態に区分し、区分された状態に応じて前記警告音出力手段に出力させる警告音の内容を変更することを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車載装置であって、
前記映像解析手段は、入力した前記映像の一部の領域を対象に所定条件を満たす動きを検出することを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の車載装置であって、
前記運行状態取得手段は、車両の運行状態として、車両の速度および加速度の内の少なくとも一方を取得することを特徴とする車載装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の車載装置であって、
前記記録手段は、前記警告音が出力された場合に、前記警告音を含む車内の音声と、前記音声に対応した車両内の映像とを所定時間記録することを特徴とする車載装置。
【請求項6】
車両の運行状態を取得する運行状態取得ステップと、
車両内を撮像した映像を入力する映像入力ステップと、
入力した前記映像から所定条件を満たす動きを検出する映像解析ステップと、
前記映像解析ステップにおいて前記映像から動きが検出され、かつ前記運行状態取得ステップにおいて取得した前記運行状態が所定の条件を満たす場合に警告音を出力させる制御判断ステップと、
前記警告音を含む車内の音声と、前記車両内の映像とを記録する記録ステップとを含むことを特徴とする車内警告出力記録方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−150405(P2011−150405A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9076(P2010−9076)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】