説明

軟質材用アンカー及び軟質材連結構造

【課題】軟質材に対し被取付体を容易に連結することができる軟質材用アンカーと、軟質材連結構造及び方法とを提供する。
【解決手段】軟質材用アンカー1は、軸棒2と、該軸棒2の外周に該軸棒2と一体に設けられた螺旋羽根3と、該軸棒2の後端に該軸棒2と一体に設けられたフランジ部4と、軸棒2の後端面に開口する工具係合孔5とを有する。軟質材7に軟質材用アンカー1をねじ込み、軟質材7の表面と被取付体8との少なくとも一方に接着剤を塗着した後、軟質材7と被取付体8とを当接させ、釘9をフランジ部4を貫通するように打つ。釘の代りにビス等を用いてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡樹脂、石膏ボードなど、ビスや釘を直に打っても効かない軟質材に対し被取付体を連結するための軟質材用アンカーに関する。また、本発明は、この軟質材用アンカーを用いた軟質材と被取付体との連結構造及び連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡樹脂や石膏ボードは、釘やビスを直に打っても効かないので、接着剤を用いて連結することが多い。しかしながら、接着剤は硬化するまで時間がかかるという不便がある。
【0003】
実公平7−41934号には、石膏ボードに軸心孔付きアンカーをねじ込んでおき、この石膏ボードに被取付体を当てがい、ビスを被取付体側から該アンカーの軸心孔にねじ込むことにより被取付体を石膏ボードに連結することが記載されている。
【特許文献1】実公平7−41934号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記実公平7−41934号に記載の連結構造及び方法においては、被取付体にビス挿通孔を穿孔しておき、このビス挿通孔がアンカーと対峙するように被取付体と石膏ボードとを当接させるようにしている。このため、
(1) ビス挿通孔を穿孔する手間がかかる;
(2) ビス挿通孔の穿孔位置とアンカー位置とを予め正確に決めておく必要がある;
等の不便がある。
【0005】
本発明は、これらの不便を解消し、軟質材に対し被取付体を容易に連結することができる軟質材用アンカーと、この軟質材用アンカーを用いた軟質材連結構造及び方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の軟質材用アンカーは、軸棒及び該軸棒の外周に設けられた螺旋羽根を有してなる軟質材への挿入部と、該軸棒の一端に設けられ、尖頭留付具が刺入されるフランジ部とを備えてなるものである。
【0007】
請求項2の軟質材用アンカーは、請求項1において、フランジ部の直径が40〜60mmであることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の軟質材連結構造は、軟質材に被取付体が当接され、尖頭留付具が該被取付体を貫通して該軟質材に打ち込まれることにより軟質材と被取付体とが連結されている軟質材連結構造において、該軟質材に請求項1又は2に記載の軟質材用アンカーの前記挿入部がねじ込まれ、該軟質材用アンカーの前記フランジ部が該軟質材の表面に配置されており、前記尖頭留付具が該フランジ部を貫いて該軟質材に打ち込まれていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の軟質材連結方法は、軟質材と被取付体とを当接させ、被取付体を貫通して尖頭留付具を該軟質材に打ち込むことにより軟質材と被取付体とを連結する軟質材連結方法において、該軟質材に請求項1又は2に記載の軟質材用アンカーの前記挿入部をねじ込み、該軟質材用アンカーの前記フランジ部を軟質材の表面に配置しておき、その後、前記被取付体を軟質材に当接させ、該被取付体及びフランジ部を貫いて尖頭留付具を軟質材に打ち込むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の軟質材用アンカーを用いた軟質材連結構造及び方法にあっては、軟質材に軟質材用アンカーをねじ込んで取り付けておき、軟質材と被取付体とを当接させた後、ビス又は釘等の尖頭留付具を被取付体から軟質材用アンカーのフランジ部を通して軟質材に打ち込むことにより、軟質材と被取付体とが連結される。この被取付体には、尖頭留付具を通すための孔を設けておくことは不要である。
【0011】
このフランジ部の直径を好ましくは40〜60mmと大きいものとしておくことにより、目分量で見当をつけて尖頭留付具を打っても、尖頭留付具はフランジ部を貫く。尖頭留付具がフランジ部を貫くことにより、ビス又は釘等がフランジ部に対し効いた(しっかりと係止された)状態となる。
【0012】
この尖頭留付具と接着剤とを併用すれば、尖頭留付具によって初期連結強度が得られ、接着剤によって長期連結強度が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図(a)は実施の形態に係る軟質材用アンカーの斜視図、第1図(b)は実施の形態に係る軟質材連結構造を示す断面図、第2図は実施の形態に係る軟質材連結方法を示す斜視図である。
【0014】
この軟質材用アンカー1は、軸棒2と、該軸棒2の外周に該軸棒2と一体に設けられた螺旋羽根3と、該軸棒2の後端に該軸棒2と一体に設けられたフランジ部4と、軸棒2の後端面に開口する工具係合孔5とを有する。
【0015】
工具係合孔5は、非円形であり、この実施の形態ではプラス型ドライバーの先端と係合するように十字形となっている。軟質材用アンカー1は、好ましくは、POMやABSなどの合成樹脂材料や、アルミニウム、鉄などの金属で一体成形されている。
【0016】
フランジ部4の直径は、好ましくは40〜60mm特に好ましくは50mm程度が好適である。フランジ部4の厚さは1.5〜3mm特に金属では1.5mm、樹脂では3mm程度が好適である。
【0017】
軸棒2の直径は5〜15mm特に10mm程度であることが好ましい。螺旋羽根3は、直径がフランジ部4と略同等もしくは先端へいくほど螺旋羽根の面積が小さく、ピッチが10〜30mm特に約20mm程度であり、2〜4ターン程度設けられることが好ましい。螺旋羽根3の肉厚は1.5〜3mm特に金属では1.5mm、樹脂では3mm程度が好適である。
【0018】
この軟質材用アンカー1を用いて軟質材7と被取付体8とを連結する場合、まず軟質材7に軟質材用アンカー1をねじ込み、好ましくは第1図(b)の通りフランジ部4を軟質材7の表面と面一としておく。軟質材用アンカー1は適当な間隔をあけて複数個ねじ込んでおくのが好ましい。
【0019】
この軟質材7の表面と被取付体8との少なくとも一方に接着剤を塗着した後、軟質材7と被取付体8とを当接させ、尖頭留付具(この実施の形態では釘9)を被取付体8から軟質材7に向けて打ち込む。この際、軟質材用アンカー1の位置を憶えておくか、又は軟質材用アンカー1の位置を示す簡単な目印を設けておき、フランジ部4に釘9が刺さるように釘9を打つ。これにより、軟質材7と被取付体8とが連結される。なお釘9はフランジ部4を貫いているので効いた状態となっている。軟質材7と被取付体8とは、当初は釘9によって連結されることになるが、接着剤が硬化することにより一層強固に連結されるようになる。
【0020】
このように、この実施の形態によると、被取付体8に孔を穿設することなく、きわめて容易に被取付体8と軟質材7とを連結することができる。また、この実施の形態では接着剤を併用しているので、接着剤硬化後には連結強度が十分に高いものとなる。
【0021】
なお、軟質材7としては発泡スチレン、発泡ウレタンなどの発泡樹脂ボードが好適であるが、石膏ボード等であってもよい。被取付体8は特に限定されない。
【0022】
上記実施の形態では釘を用いているが、ビスなどを用いてもよい。
【0023】
上記実施の形態では軟質材の木端面に被取付体8を連結しているが、板状軟質材の板面に板状被取付体8を重ね合わせて連結する場合にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1図(a)は実施の形態に係る軟質材用アンカーの斜視図、第1図(b)は実施の形態に係る軟質材連結構造を示す断面図である。
【図2】実施の形態に係る軟質材連結方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 軟質材用アンカー
2 軸棒
3 螺旋羽根
4 フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸棒及び該軸棒の外周に設けられた螺旋羽根を有してなる軟質材への挿入部と、
該軸棒の一端に設けられ、尖頭留付具が刺入されるフランジ部と
を備えてなる軟質材用アンカー。
【請求項2】
請求項1において、フランジ部の直径が40〜60mmであることを特徴とする軟質材用アンカー。
【請求項3】
軟質材に被取付体が当接され、尖頭留付具が該被取付体を貫通して該軟質材に打ち込まれることにより軟質材と被取付体とが連結されている軟質材連結構造において、
該軟質材に請求項1又は2に記載の軟質材用アンカーの前記挿入部がねじ込まれ、該軟質材用アンカーの前記フランジ部が該軟質材の表面に配置されており、
前記尖頭留付具が該フランジ部を貫いて該軟質材に打ち込まれていることを特徴とする軟質材連結構造。
【請求項4】
軟質材と被取付体とを当接させ、被取付体を貫通して尖頭留付具を該軟質材に打ち込むことにより軟質材と被取付体とを連結する軟質材連結方法において、
該軟質材に請求項1又は2に記載の軟質材用アンカーの前記挿入部をねじ込み、該軟質材用アンカーの前記フランジ部を軟質材の表面に配置しておき、
その後、前記被取付体を軟質材に当接させ、該被取付体及びフランジ部を貫いて尖頭留付具を軟質材に打ち込むことを特徴とする軟質材連結方法。

【図1】
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【図2】
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