説明

転写箔ウェブ収容装置

【課題】使用済みの転写箔ウェブを巻取コイル上に収容する方法を改良して、箔ウェブの伸縮を少なくとも低減する。
【解決手段】転写箔ウェブ102,203,204を、実質的に全幅にわたってプラスまたはマイナスに帯電して、巻取箔コイル108,201,202上で上下に層形成された転写箔ウェブ区分が静電式に互いに付着し合うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済みの転写箔ウェブを巻取コイル上に収容する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷製品を高品質化するため、たとえば光沢効果を所与するために、様々な箔転写装置が使用される。このような機械は、ホットスタンピング機械とコールドスタンピング機械とに分けることができる。
【0003】
コールドスタンピングでは、転写箔の転写層が、高圧下で被印刷物に転写される。このために被印刷物には、転写層を収容するために、先行する方法ステップにおいて接着剤が塗布される。接着剤の塗布は、一般的に従来慣用の印刷装置で行われ、接着剤は、通常のインキと同様に版胴とゴム胴とを介して被印刷物に転写される。接着剤の塗布された被印刷物は、一般的に従来慣用の印刷装置でもある転写装置を通ってガイドされる。転写装置では、転写胴と圧胴とが転写ギャップを形成し、転写ギャップを通って、接着剤の塗布された被印刷物と転写箔とがまとめてガイドされる。この転写ギャップでは、転写層は、転写箔から圧力下で被印刷物に転写される。この場合転写層は、被印刷物の、接着剤の塗布された領域に付着して保持される。
【0004】
転写箔ウェブは、貯蔵箔コイル(巻成体)として転写装置に提供される。貯蔵箔コイルから箔ウェブが繰り出され、箔ウェブは、被印刷物とまとめて転写ギャップを通ってガイドされ、次いで少なくとも部分的にもはや転写層を有していない使用済みの転写箔は、巻取箔コイルに巻き上げられる。箔転写、特に冷間箔転写のための適当な装置は、欧州特許第0578706号明細書に記載されている。
【0005】
箔ウェブの正確な位置に従った巻取を保証するために、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10116973号明細書から、箔ウェブの先端部を静電的に帯電して、箔ウェブの巻き始めを精確に行うことが公知である。
【0006】
従来技術によって、軸と箔ウェブとの間の結合を改善して、軸に巻取コイルを適当に巻き取ることが有利であったが、この場合形成された巻取コイルに箔ウェブを巻き取る過程が問題であった。より多くの箔ウェブが巻取箔コイルに収容されると、巻取箔コイル上で箔ウェブのいわゆる入れ子状の伸縮(Teleskopieren)の生じる恐れが高くなる。その意味するところは、巻取箔コイル上で半径方向で相互間隔を有する箔ウェブ領域が、巻取箔コイルに沿って軸方向で互いにずらされる。巻取箔コイルは、実際に側方で外向きに延びるので、巻取箔コイルは、ある種の入れ子を成す。
【0007】
巻取箔コイルのこのような入れ子形成によって、一方ではリスクが生じる。なぜならば伸縮された巻取箔コイルは、別の機械領域に入り込む恐れがあり、他方では巻取箔コイルの回転動作に少なくともネガティブな影響を及ぼす恐れがある。一般的に、伸縮を解消するには、巻取コイルへの箔ウェブの収容過程を中断する必要がある。巻取箔ウェブ全体を交換して、新たな巻取箔ウェブを準備する必要すらある。このような作業ステップによって、箔転写過程は、少なくとも遅延され、場合によっては必要な新たな巻取箔コイルの供給によって、材料消費が増加する。
【特許文献1】欧州特許第0578706号明細書
【特許文献2】ドイツ連邦共和国特許出願公開第10116973号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の課題は、冒頭で述べたような形式の、使用済みの転写箔ウェブを巻取コイル上に収容する方法および装置を改良して、箔ウェブの伸縮が少なくとも低減されるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するための本発明の方法によれば、使用済みの転写箔ウェブを巻取コイル上に収容する方法において、転写箔ウェブを、実質的に全幅にわたってプラスまたはマイナスに帯電して、巻取箔コイル上で上下に層形成された転写箔ウェブ区分が静電式に互いに付着し合うようにする。
【0010】
有利には、転写箔ウェブの、別個の少なくとも2つの部分ウェブを帯電する。
【0011】
有利には、転写箔ウェブまたは複数の部分ウェブを帯電するために実質的に転写箔ウェブまたは全ての部分箔ウェブの全幅にわたって延びている帯電装置を使用する。
【0012】
有利には、転写箔ウェブもしくは複数の部分ウェブを、継続的に帯電し、つまり一時的に帯電しない。
【0013】
有利には、帯電装置が、帯電電極と、該帯電電極に対する対極としてのガイド面とを備えており、転写箔ウェブまたは複数の部分ウェブを、帯電電極とガイド面との間を通ってガイドし、帯電電極とガイド面との間の通電によって帯電する。
【0014】
有利には、帯電電極を、ガイド面から0〜30mm、有利には20mm離して設置する。
【0015】
有利には、ガイド面として、金属薄板、ロッド、シリンダおよび変向ローラの構成群から成る機構の表面を使用する。
【0016】
有利には、転写箔ウェブまたは複数の部分ウェブを、20度より大きな接触角度、有利には90度よりも大きな接触角度で変向ローラに巻き掛けてガイドする。
【0017】
有利には、非接触式の帯電のために、帯電装置としてコロナ電極を使用する。
【0018】
有利には、帯電装置として、たとえば被帯電変向ローラの構成をした接触式の電極を使用する。
【0019】
有利には、転写箔ウェブが、転写層を支持するのに適した支持層を備えており、支持層の、転写層とは反対側をプラスまたはマイナスに帯電する。
【0020】
有利には、転写箔ウェブの支持層として、主にプラスチック箔を使用する。
【0021】
有利には、非通気性のプラスチック箔を使用する。
【0022】
この課題を解決するための本発明の装置によれば、少なくとも1つの誘電性の層を備えた使用済みの転写箔ウェブを巻取コイル上に収容するための装置において、転写箔ウェブの、巻取コイルの上流側に存在する領域で、転写箔ウェブの誘電性の層を有利には継続的に帯電するための少なくとも1つの帯電装置が設けられており、該帯電装置が、実質的に転写箔ウェブの全幅にわたって延びている。
【0023】
有利には、転写箔ウェブが、少なくとも2つの部分ウェブを備えている。
【0024】
有利には、帯電装置が、少なくとも1つの帯電電極と、該帯電電極の対極としてのガイド面とを備えており、転写箔ウェブまたは部分ウェブが、帯電電極とガイド面との間を通ってガイドされるようになっている。
【0025】
有利には、帯電電極が、ガイド面から0〜30mm、有利には20mm離して設置されている。
【0026】
有利には、ガイド面が、金属薄板、ロッド、シリンダ表面および変向ローラの構成群から成る機構の表面である。
【0027】
有利には、帯電装置が、コロナ電極または帯電可能な、転写箔ウェブまたは部分ウェブの変向ローラを備えている。
【0028】
有利には、転写箔ウェブが、箔転写装置の転写箔ウェブであり、誘電性の層が、転写箔の支持層である。
【0029】
有利には、支持層が、主に、有利には非通気性のプラスチック箔から成っている。
【発明の効果】
【0030】
転写箔ウェブの誘電性の層の帯電によって、箔ウェブは、巻取箔コイル上で半径方向で互いに付着し合う。これによって接線方向または軸方向の運動は、効果的に回避される。
【0031】
特に有利には、転写箔ウェブが、誘導性の支持層を備えている。構造を簡素化するために、転写箔ウェブは、有利には非通気性である。
【0032】
従来技術から、たとえばドイツ連邦共和国特許出願公開第19842585号明細書および欧州特許公開第718099号明細書から公知のように、コールドスタンピング装置が特にセーブ回路で運転されると、追加的な問題が生じ、箔ウェブの不均等な運動によって、巻取箔コイルに侵入気泡が形成され、気泡は、箔ウェブの伸縮をさらに助成する。軸上の巻取箔ウェブと新たに加えられた箔ウェブとの間に静的な引張力が形成されると、気泡は、有利には追加的に巻取箔コイルから押し出される。気泡の押し出しは、有利には追加的に巻取箔コイルに当接されたローラによって助成される。
【0033】
本発明による特に安定した静的な接着は、転写箔ウェブの誘電性の層つまり支持層を継続的に電荷で負荷することによって達成される。これによってウェブは、全長にわたって安定して巻き取られる。
【0034】
有利な実施形態では、転写箔ウェブは、少なくとも2つの部分ウェブを備えており、転写箔ウェブの個別的な少なくとも2つの部分ウェブは、本発明の方法に応じて帯電される。
【0035】
これによって有利には特にコールドスタンピング法で被印刷物の別個の2つの領域に転写層を転写するために、異なる2つの転写箔が使用される。
【0036】
この場合さらに有利には、転写箔ウェブまたは複数の部分ウェブを帯電するために、実質的に転写箔ウェブまたは全ての部分箔ウェブの全幅にわたって延びる帯電装置が用いられる。これによって全ての部分ウェブを同時に帯電して、別個の巻取コイルまたは共通の巻取コイルに巻き取ることのできる特に簡単な実施形態および簡単な方法が得られる。特に共通の軸に提供される異なる巻取部分コイルを設けてもよい。したがって転写箔ウェブまたは全ての部分箔ウェブの全サイズ幅にわたって延びる、本発明の帯電装置によって、簡単な形式で全ての部分ウェブが同時に帯電され、別個のまたは共通のシャフト上の全ての巻取コイルおよび巻取部分コイルにおける伸縮は回避される。
【0037】
有利な実施例では、帯電装置は、帯電電極と、対極としてのガイド面とを備えており、転写箔ウェブまたは複数の部分ウェブは、帯電電極とガイド面との間を通ってガイドされ、帯電電極とガイド面との間の電流によって帯電される。
【0038】
帯電電極を大きく消耗することなく、転写箔ウェブの良好な帯電を達成するために、本発明によれば、ガイド面と帯電電極との間に0〜30mm、有利には20mmの間隔が設けられる。
【0039】
帯電電極とガイド面との間に、30kVまで、有利には15〜20kVの電圧が印加される。
【0040】
ガイド面は、選択的に金属薄板、ロッド、シリンダまたは変向ローラであってよい。特にガイド面は固定的であってよい。しかしながら有利には、ガイド面として回転する変向ローラが用いられる。
【0041】
有利な実施形態では、転写箔ウェブは、変向ローラを、20°より大きな、有利には90°より大きな接触角度で巻き掛けられており、これによって転写箔ウェブとガイド面との間に比較的大きなコンタクト面が得られ、このことは転写箔ウェブの良好な帯電を可能にする。
【0042】
さらに有利には、本発明によれば、コロナ電極または帯電可能な変向ローラが、転写箔ウェブまたは部分ウェブを帯電するための帯電装置に具備される。コロナ電極によって、特に転写箔ウェブの帯電と巻取コイルとの間の間隔は縮小することができる。この場合巻取コイルに極めて多くの電荷量が維持される。
【0043】
帯電装置の構成部分として、本発明による帯電可能な変向ローラを使用することによって、構造的に極めて簡単な手段がみられる。転写箔ウェブ、たとえば冷間転写箔ウェブをガイドするために、いずれにせよ通常変向ローラが装置に設けられる。したがって1つまたは少なくとも1つの変向ローラを、転写箔ウェブを帯電するための電極として使用することは、構造的上の簡素化を意味しており、その結果箔転写のために装置に別の構成要素を取り付ける必要はない。転写箔ウェブを帯電するために帯電可能な変向ローラを使用する場合、転写箔を使用する際に、変向ローラが、転写箔ウェブの誘電性の面と接触するよう留意する必要がある。
【0044】
転写箔ウェブを箔転写装置に使用して、この場合転写箔の支持層によって形成される、転写箔の誘電性の層を帯電することは、本願発明では特に有利であるので、本発明によれば、転写箔ウェブとして、転写層を支持するのに適した支持層を有する転写箔ウェブが使用され、この場合支持層の、転写層とは反対側の面が、プラスまたはマイナスに帯電される。
【0045】
本発明は、本発明を説明するための実施例に制限されるものではなく、実施例から、本発明による追加的な特徴を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
次に本発明の実施の形態を、図示の実施例を用いて詳しく説明する。
【0047】
転写箔1は、支持箔2を備えており、支持箔2は、概して誘電性を有している。支持箔2は、転写層3を支持しており、転写層3は、分離層4と金属層5とから成っている。転写層3上に、さらに接着手段6の構成をした層を設けることができ、接着手段6は、被印刷物の、接着剤の塗布された領域と転写箔1との間の良好なコンタクトを所与する。金属層5は、特に色金属粒子の添加されたラッカ層によって形成することができる。転写箔1の選択的な実施例では、金属層5の代わりに別の非金属の色層を設けることもでき、別の色層は、箔転写法で、被印刷物の、接着剤の塗布された領域に転写される。
【0048】
特に支持箔2上に、着色された、または透明なラッカ層4を分離層として設けることもでき、ラッカ層4上に金属層5が蒸着されている。金属層5上に接着手段6が設けられている。箔転写のあとで、ラッカ層4は、転写された転写層3上で保護部材として役立つ。
【0049】
図2には、転写装置100を示しており、転写装置100は、たとえば図示していない印刷機に提供することができる。転写装置100は、特に従来の印刷部の少なくとも一部と共に設けることができる。
【0050】
転写装置100は、ストックされた箔コイルとしての貯蔵箔コイル101を備えており、貯蔵箔コイル101に、転写箔1が箔ウェブ102として供給されている。箔ウェブ102は、変向ローラ103を介して、転写ギャップ104を通ってガイドされる。箔ウェブ102は、シート107と共に転写ギャップ104を通ってガイドされる。シート107には、既に従来慣用の印刷機の印刷装置であってよい図示していない塗布装置において、画像に応じて接着剤が塗布されている。転写ギャップ104において、転写箔1の転写層3は、シート107の、接着剤の塗布された領域で、転写箔1の支持箔2から剥離されて、圧力によってシート107に転写される。このために必要な圧力は、転写胴105によって形成され、転写胴105は、圧胴106に胴入れされており、転写胴105と圧胴106とが相俟って転写ギャップ104を形成する。特に転写胴105は、従来慣用の印刷装置のゴム胴であってよい。
【0051】
箔転写のあと、つまり転写層3がシート107に転写されたあとで、使用済みの箔ウェブ102は、図示した矢印に沿って再び変向ローラ103を介して集められたコイルの巻成体を成す巻取箔コイル108に供給される。巻取箔コイル108は、図示の矢印方向で回転して、このようにして使用済みの箔ウェブ102を収容する。
【0052】
巻取箔コイル108において使用済みの箔ウェブ102が入れ子式に伸縮して軸方向でずれる(Teleskopieren)のを防止するために、ここでは2つの帯電装置112,112’を示しており、帯電装置112,112’は、それぞれ単独で、またはまとめて使用済みの箔ウェブ102に配設することもできる。特に帯電装置112または帯電装置112’だけを設けることもできる。図2に示した実施例では、考えられる1実施例を示しており、この実施例から、単に1つの帯電装置112,112’を備えた考えられる別の実施例を少なくとも判りやすく説明することができる。
【0053】
箔ウェブ102は、転写箔1の転写層103が転写ギャップ104においてシート107に転写できるようにガイドされる。要するにこの場合転写箔1の誘電性の支持箔2は、転写胴105に向いている。転写箔1の金属面で、取り付けようとする電荷が分配されるのを回避するために、帯電装置112、112’は、それぞれ転写箔1の、転写層3とは反対側の支持箔2側に配置されている。
【0054】
図示の実施例では、帯電装置112は、被帯電変向ローラ109を備えており、変向ローラ109は、転写箔1の裏側に配設されている。転写箔1は、被帯電変向ローラ109の周りをガイドされ、支持箔2は、帯電された変向ローラ109と直にコンタクトし、プラスまたはマイナスに帯電される。この場合電荷の種類は重要ではない。電荷は、ここでは特に静電荷であるので、支持箔2において電荷担体分離が得られる。転写箔1、要するに箔ウェブ102は帯電されるので、支持箔2の、転写層3とは反対側は、プラスに帯電されており、支持箔2の、転写層3に向いた側は、マイナスに帯電されている。そのように帯電された箔ウェブ102は、巻取箔コイル108に巻き取られ、巻取箔コイル108上の箔ウェブ102の上下に隣接する領域は、半径方向で引き付け合う。転写箔1のその都度の箔区分に作用する半径方向力によって、摩擦力が形成され、箔ウェブ102が伸縮するにはこの半径方向力を超える必要がある。換言すると、この半径方向力の形成によって、巻取箔コイル108上の箔ウェブ102の伸縮は回避される。
【0055】
被帯電変向ローラ109を帯電するために、ここでは追加的に直流高圧ジェネレータ110が設けられており、直流高電圧ジェネレータ110は、変向ローラ109を帯電するようになっていて、帯電装置112に含まれている。
【0056】
帯電装置112に対して選択的または追加的に、ここでは別の帯電装置112’が設けられており、別の帯電装置112’は、コロナ電極111を備えている。コロナ電極111もまた、高電圧ジェネレータ110によって直流で給電され、上述したように支持箔2を帯電する。
【0057】
図3には、図2に示したように、図示の実施例では使用済みの箔ウェブ102である、使用済みの転写箔ウェブを収容するための装置を示した。
【0058】
図示の実施例では、1つの転写箔ウェブの代わりに分離した2つの部分箔ウェブ203,204が転写ギャップ204を通ってガイドされ、それぞれ別個にシート107の異なる領域に転写層3が転写される。部分箔ウェブ203,204もまた、変向ローラ103によって、図示していない部分箔貯蔵コイルから転写ギャップ104を通ってガイドされ、最終的に図示していない部分箔コイル201、202に向かってガイドされ、部分箔巻取コイル201,202は、特に摩擦軸であってよい共通のシャフト200に提供される。
【0059】
部分箔ウェブ203,204は、帯電された変向ローラ109の周りをガイドされ、支持箔2面が、帯電された変向ローラ109と接触する。この場合被帯電変向ローラ109は、部分箔ウェブ203,204の、図示の矢印から看取される搬送方向に対して横向きに延びていて、しかも全ての部分箔ウェブ203,204の全幅にわたって延びている。このようにすると両転写箔ウェブ203,204を帯電して、同時に変向して、最終的に各部分箔コイル201、202に部分箔ウェブ203,204の伸縮が生じるのを防止するために、被帯電の1つの変向ローラ109しか必要とされない。前述のように、ここでも被帯電変向ローラ109は、直流高電圧ジェネレータ110によって帯電される。
【0060】
帯電装置112の、被帯電変向ローラ109に対して選択的または追加的に、図示したように、帯電装置112’のコロナ電極111を設けることもできる。コロナ電極111も、既に被帯電変向ローラ109と同様に、全ての部分箔ウェブ203,204の全サイズ幅にわたって延びていて、部分箔ウェブ203,204を全面的に帯電電流によって帯電する。
【0061】
一方または両方の帯電装置112,112’によって、全ての部分箔ウェブ203,204または単個の箔ウェブ102が帯電され、箔コイル108,201,202上に存在する半径方向で間隔を有して位置する箔ウェブ領域が引っ張られ、個々の部分箔ウェブ203,204または箔ウェブ102の軸方向の滑り、つまり入れ子状のずれが回避される。
【0062】
図4には、使用済みの転写箔1を収容するための特に有利な収容装置を示した。
【0063】
図4でも、転写装置100における収容装置は側面図で示した。ここでは図2において既に説明したものと同じ構成要素には、同じ符合を付した。ここでは箔ウェブ102のガイドは、図2で説明したように、変向ローラ103によって行われる。転写箔1から被印刷物107への転写層3の転写も、図2で説明したように行われる。巻取箔コイル108における転写箔1の伸縮を回避するための、使用済みの転写箔1の帯電は、ここではガイド表面302を備えた変向ローラで行われる。箔ウェブ102は、変向ローラ302の周りをガイドされ、転写箔1の支持箔2は、変向ローラ302のガイド表面と接触する。
【0064】
高電圧ジェネレータ110によって運転される帯電電極301によって、帯電電極301と変向ローラ302のガイド面との間に電位が形成される。図示の場合、変向ローラ302の表面は、アースレベルで存在する。選択的にもちろん帯電電極301とは逆に、変向ローラ302自体が帯電されるようにすることもできる。
【0065】
この場合電圧は、0〜30kVの範囲で変化させることができる。たとえば極めて広い箔ウェブ102には実際のところ帯電は必要なく、つまり電圧は0Vにすることができる。これに対して狭幅の箔ウェブ102および部分箔ウェブ203,204には、有利には、15kV〜20kVの範囲で電圧が調節される。特にこの電圧は、自動的、たとえば伸縮発生開始に関して調整することができる。
【0066】
帯電電極301と変向ローラ302のガイド表面との間の、そのように形成された電圧差によって、帯電電極301と変向ローラ302との間で放電が生じる。
【0067】
説明したように、箔ウェブ102は、変向ローラ302の周りをガイドされる。この場合箔ウェブ102は、帯電電極301と接触せずに、専ら帯電電極301と変向ローラ302との間の放電によって帯電される。このために箔ウェブ102は、帯電電極301と変向ローラ302との間を通ってガイドされる。この場合本発明によれば、帯電電極301と箔ウェブ102との接触は、有利には生じない。したがって有利には、変向ローラ302の表面と帯電電極301の帯電尖端部との間に20mmの間隔が設けられている。
【0068】
転写箔1の支持箔2の帯電は、本発明によれば、変向ローラ302のガイド表面とのコンタクトによって少なくとも助成される。箔ウェブ102のできるだけ効果的な帯電を達成するために、箔ウェブ102は、接触角度(巻掛角度)αで変向ローラ302の周りをガイドされる。ここでは接触角度αは、図示したように、有利には90度より大きい。このようにして箔ウェブ102は、最適な形式で帯電されて、巻取箔コイル108に付着し、箔ウェブ102の伸縮が効果的に回避される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】転写箔を示す概略図である。
【図2】使用済みの転写箔を収容するための収容装置を備えた箔転写装置を示す側面図である。
【図3】使用済みの転写箔を収容するための収容装置を示す平面図である。
【図4】有利な収容装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 転写箔、 2 支持箔、 3 転写層、 4 分離層、 5 金属層、 6 接着手段、 100 転写装置、 101 貯蔵箔コイル、 102 箔ウェブ、 103 変向ローラ、 104 転写ギャップ、 105 転写胴、 106 圧胴、 107 シート、 108 巻取箔コイル、 109 被帯電変向ローラ、 110 高電圧ジェネレータ、 111 コロナ電極、 112,112’,112’’ 帯電装置、 200 シャフト、 201,202 箔コイル、 203,204 部分箔ウェブ、 301 帯電電極、 302 ガイド表面を備えた経向ローラ、 α 接触角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済みの転写箔ウェブを巻取コイル上に収容する方法において、
転写箔ウェブ(102,203,204)を、実質的に全幅にわたってプラスまたはマイナスに帯電して、巻取箔コイル(108,201,202)上で上下に層形成された転写箔ウェブ区分が静電式に互いに付着し合うようにすることを特徴とする、巻取コイル上に使用済みの転写箔ウェブを収容する方法。
【請求項2】
転写箔ウェブ(102)の、別個の少なくとも2つの部分ウェブ(203,204)を帯電する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
転写箔ウェブ(102)または複数の部分ウェブ(203,204)を帯電するために実質的に転写箔ウェブ(102)または全ての部分箔ウェブ(203,204)の全幅にわたって延びている帯電装置(112,112’,112’’)を使用する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
転写箔ウェブ(102)もしくは複数の部分ウェブ(203,204)を、継続的に帯電し、つまり一時的な帯電を行わない、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
帯電装置(112’’)が、帯電電極(301)と、該帯電電極(301)に対する対極としてのガイド面(302)とを備えており、転写箔ウェブ(102)または複数の部分ウェブ(203,204)を、帯電電極(113)とガイド面(302)との間を通ってガイドし、帯電電極(301)とガイド面(302)との間の通電によって帯電する、請求項3または請求項3および4記載の方法。
【請求項6】
帯電電極(301)を、ガイド面(302)から0〜30mm、有利には20mm離して設置する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
ガイド面(302)として、金属薄板、ロッド、シリンダおよび変向ローラの構成群から成る機構の表面を使用する、請求項5および6記載の方法。
【請求項8】
転写箔ウェブ(102)または複数の部分ウェブ(203,204)を、20度より大きな接触角度、有利には90度よりも大きな接触角度で変向ローラ(302)に巻き掛けてガイドする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
非接触式の帯電のために、帯電装置(112’)としてコロナ電極(111)を使用する、請求項3または請求項3および4記載の方法。
【請求項10】
帯電装置(112)として、たとえば被帯電変向ローラ(109)の構成をした接触式の電極を使用する、請求項3または請求項3および4記載の方法。
【請求項11】
転写箔ウェブ(102)が、転写層(3)を支持するのに適した支持層(2)を備えており、支持層(2)の、転写層(3)とは反対側をプラスまたはマイナスに帯電する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
転写箔ウェブの支持層として、主にプラスチック箔を使用する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
非通気性のプラスチック箔を使用する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
有利には請求項1から13までのいずれか1項記載の方法で使用するための、少なくとも1つの誘電性の層を備えた使用済みの転写箔ウェブを巻取コイルに収容するための装置において、
転写箔ウェブ(102,203,204)の、巻取箔コイル(108,201,202)の上流側に存在する領域で、転写箔ウェブ(102,203,204)の誘電性の層(2)を有利には継続的に帯電するための少なくとも1つの帯電装置(112,112’,112’’)が設けられており、該帯電装置(112,112’,112’’)が、実質的に転写箔ウェブ(102,203,204)の全幅にわたって延びていることを特徴とする、少なくとも1つの誘電性の層を備えた使用済みの転写箔ウェブを巻取コイルに収容するための装置。
【請求項15】
転写箔ウェブ(102)が、少なくとも2つの部分ウェブ(203,204)を備えている、請求項14記載の装置。
【請求項16】
帯電装置(112’’)が、少なくとも1つの帯電電極(301)と、該帯電電極の対極としてのガイド面(302)とを備えており、転写箔ウェブ(102)または部分ウェブ(203,204)が、帯電電極(301)とガイド面(302)との間を通ってガイドされるようになっている、請求項14または15記載の装置。
【請求項17】
帯電電極(301)が、ガイド面から0〜30mm、有利には20mm離して設置されている、請求項16記載の装置。
【請求項18】
ガイド面が、金属薄板、ロッド、シリンダ表面および変向ローラの構成群から成る機構の表面である、請求項16または17記載の装置。
【請求項19】
帯電装置(112,112’)が、コロナ電極(111)または帯電可能な、転写箔ウェブまたは部分ウェブ(203,204)の変向ローラ(102)を備えている、請求項14または15記載の装置。
【請求項20】
転写箔ウェブ(102,203,204)が、箔転写装置の転写箔ウェブであり、誘電性の層が、転写箔(1)の支持層(2)である、請求項14記載の装置。
【請求項21】
支持層が、主に、有利には非通気性のプラスチック箔から成っている、請求項20記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−239347(P2008−239347A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79563(P2008−79563)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(390009232)ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト (347)
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten−Anlage 52−60, Heidelberg, Germany
【Fターム(参考)】