説明

軽量で耐久性のあるアパレル製品と、それを製造するためのラミネート

アパレル製品を含む軽量の防液性製品(例えばアウターウエア)を製造する際に用いられる耐久性のある外側フィルム面を有するラミネートが記載されている。このラミネートと、耐摩耗性外側フィルム面を有する軽量アウトウエアを製造する方法が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書には、外側フィルム面を有する、通気性があって軽量で耐久性のあるラミネートと、外側フィルム面を有するラミネートで製造した軽量で耐久性のあるアパレル製品が記載されている。
【背景技術】
【0002】
防水性または防液性と同時に通気性を与えるためのフィルム層を有するアパレル製品が知られている。引き裂きや、穿孔または摩耗による損傷などに耐えられるようにするためフィルム層を保護するラミネートや衣服が製造されている。フィルムの両面に内側布帛層と外側布帛層を付加してフィルム層を損傷から保護することが最も多い。
【0003】
あるいは保護用の内側布帛層または外側布帛層で被覆されていないフィルム面を有する衣服が製造されることがしばしばあるが、それは、別の衣服と組み合わせて使用し、その別の衣服の布帛面でフィルム層を損傷から保護するためである。例えば外側保護布帛層のない複合フィルムを備えるインナーウエアを構成し、独立したアウターウエアの下で使用すると、その場所ではインナーウエアは直接的な損傷をより受けにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルム層を損傷から保護するのに必要な外側布帛層と内側布帛層を付加するとアパレル製品が重くなり、その結果として外側面での吸水がより多い材料となる。さらに、フィルム層を有するインナーウエアを保護するためにアウターウエアを着用すると全体がかさばる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
外側フィルム面を有する軽量ラミネートが記載されている。この軽量ラミネートは、摩耗チャレンジの後に防液性を維持する外側フィルム面を備えていて摩耗に十分に耐えるため、アパレル製品その他の製品(例えばアウターウエア、シェルター)を製造する際に使用される。この軽量ラミネートは、例えば印刷によって着色できる多孔性ポリマー面を有する。ラミネートの外側フィルム面を疎水性かつ疎油性である被覆組成物で被覆することで、疎油性にするとともに、防水性または耐水性の維持を助けることができる。
【0006】
耐摩耗性外側フィルム面を有する軽量ラミネートを製造する方法が記載されている。この方法は、布帛層を選択するステップと;凹凸のある多孔性フルオロポリマー膜を選択するステップと;その多孔性フルオロポリマー膜を被覆して着色し、外側フィルム面を有する疎水性かつ疎油性のフルオロポリマー・フィルムを形成するステップと;場合に応じて被覆ステップまたは着色ステップの前または後に、布帛と多孔性フルオロポリマー膜を貼り合わせてラミネートを形成するステップを含んでいて、その結果として外側フィルム面と内側布帛面を有するラミネートが形成される。一実施態様では、水蒸気透過率が1000g/m2/24時間よりも大きく、ラミネートの面積当たりの質量が200g/m2未満であり、ラミネートの外側フィルム面が耐摩耗性であるラミネートが形成されるため、長期にわたって防液性であるラミネートが得られる。
【0007】
耐摩耗性で長期にわたって防液性である外側フィルム面を有するアパレル製品(例えば軽量のアウターウエア)を製造する方法が記載されている。この方法は、織布層、またはニット層、または非織布層が多孔性フルオロポリマー膜に貼り合わされたラミネートを選択するステップと;場合に応じて貼り合わせステップの前または後に、その多孔性フルオロポリマー膜を疎油性ポリマー組成物で被覆して着色することで、外側フィルム面と内側布帛面を有するラミネートを形成するステップと;そのラミネートからのアウターウエアの組み立てを、着色された外側フィルム面がアウターウエアの外側フィルム面になり、内側布帛面が外側フィルム面の反対側になるようにして行なうステップを含んでいる。
【0008】
本発明の作用は、添付の図面を考慮した以下の説明から明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1a】衣服前面の一実施態様の全体図である。
【図1b】衣服背面の一実施態様の全体図である。
【図2】ラミネートの一実施態様の断面図である。
【図3a】フック改変摩耗試験で用いるフック材料のサンプルの断面の顕微鏡写真である。
【図3b】フック改変摩耗試験で用いるフック材料のサンプルの表面を上から下に向かって見た顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この明細書には、吸水が少ない防液性アパレル製品(例えばアウターウエア)を製造する際に使用される通気性があって軽量で耐久性のあるラミネートが記載されている。このラミネートは、耐久性のある着色外側フィルム面を持つ設計にされている。耐摩耗性であるために長期にわたって防液性である外側フィルム面を備えるとともに、印刷可能な非布帛外側面を有する、通気性があって軽いアウターウエアが記載されている。
【0011】
図1aと図1bに例示した一実施態様は、衣服前面(20)と衣服背面(21)に衣服外側非布帛面を有するジャケットの形態になった衣服(1)の斜視図である。このジャケット(1)は、外側非布帛面(2)と、着用者の身体の方を向いた内側布帛面(3)を備えている。このジャケット(1)は、前部閉鎖具(4)と、袖部(5)と、手首部カフス(6)と、腰バンド(7)を備えている。この衣服は、図2に断面を例示したラミネートから形成される。一実施態様では、この衣服は、外側フィルム面(11)と内側布帛面(12)を有するラミネート(10)を含んでいる。このラミネート(10)は、布帛層(14)の近傍に多孔性膜(13)を備えている。多孔性膜(13)は、着色剤(16)で着色すること、および/または疎油性かつ疎水性の組成物で被覆することができて、ラミネート(10)の外側フィルム面(11)を形成する。布帛層(14)は、外側フィルム面(11)とは反対側で多孔性膜(13)に近接しており、付着物(15)によってその多孔性膜に付着されている。付着物(15)は、図2では不連続な付着物として示されている。
【0012】
例えば着色剤と疎油性被覆物を用いた長期にわたる被覆が可能なフィルム面を有するラミネートを製造することが望ましい。膜層が表面エネルギーの低いフィルム(例えば多くのフルオロポリマー材料)である場合、膜の空孔が、膜構造内に被覆組成物を長期にわたって力学的に接合しておくのに役立つ。しかし多くの多孔性膜は摩耗しやすいため、摩耗を受ける用途で多孔性フィルムを用いるときに長期にわたる防液性を実現することは難しい。この明細書に記載したラミネートは、耐久性のある被覆を提供するため、十分な空孔を持っていながら耐摩耗性であることで防液性が維持される膜から形成したフィルム面を有する。
【0013】
ラミネート(10)の外側多孔性フィルム面(11)は、例えば、ポリマー材料(例えばフルオロポリマー、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル)を含む多孔性膜から製造することができる。適切なポリマーは、処理によって多孔性または微孔性の膜構造を形成する樹脂を含むことができる。例えば処理して引き伸ばされた多孔性構造を形成できるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂が、この明細書で使用するのに適している。例えばPTFE樹脂は、例えばアメリカ合衆国特許第3,953,566号、または第5,814,405号、または第7,306,729号などの特許に教示されている方法に従って延伸させたとき、フィブリルによって互いに接続されたノードを特徴とする微孔性膜構造を形成することができる。いくつかの実施態様では、ポリフルオロブチルエチレン(PFBE)のコモノマー単位を有する延伸PTFEフルオロポリマー・フィルムが、アメリカ合衆国特許第6,541,589号に従って製造される。例えば微孔性延伸PTFE(ePTFE)フルオロポリマーは、ポリマーの全質量を基準にしてPFBEのコモノマー単位が約0.05質量%〜約0.5質量%であるPTFEを含むことができる。
【0014】
一実施態様では、外側多孔性膜(13)は、フィブリルによって互いに接続されたノードを特徴とする微細構造を有するePTFEを含んでいる。この多孔性フィルムの空孔は十分に密であるため防液性であり、しかも十分に開放されているため、透湿性や、着色剤と疎油性組成物からなる被覆物の侵入といった特性が提供される。例えばいくつかの実施態様では、防水性を提供するために平均流細孔径が約400nm以下であると同時に、着色用に平均流細孔径が約50nmよりも大きい状態になった多孔性膜が望ましい。これは、引き伸ばしたときにノードとフィブリルからなる微細構造を作り出すのに適したPTFE樹脂を混合することによって実現できる。この樹脂は、脂肪族炭化水素からなる潤滑押し出し助剤(例えばミネラル・スピリット)と混合することができる。この混合された樹脂は、公知の手続きによって円筒形ペレットに成形し、ペースト押し出しされて望む押し出し形状(テープまたは膜が好ましい)にすることができる。この製品は、カレンダにかけてロールの間で望みの厚さにした後、熱で乾燥させて潤滑剤を除去することができる。乾燥した製品は、例えばアメリカ合衆国特許第3,953,566号、または第5,814,405号、または第7,306,729号の教示内容に従って機械の中で引き伸ばすこと、および/または横断方向に引き伸ばすことによって延伸され、フィブリルによって互いに接続された一連のノードを特徴とする延伸PTFE構造が生じる。次に、このePTFE製品をPTFEの結晶の融点よりも高温(例えば約343℃〜375℃、または約325℃〜390℃)に加熱することによってアモルファス状態に固定する。
【0015】
多孔性ポリマー・フィルムは用途に合わせて面積当たりの質量と厚さが所定の範囲にあるものを選択できる。例えば多孔性ポリマー膜は、面積当たりの質量が約80g/m2未満のものを選択できる。多孔性膜は、面積当たりの質量が約10g/m2超、または18g/m2超であることも望ましかろう。いくつかの実施態様では、面積当たりの質量が約60g/m2未満、または約50g/m2未満、または約30g/m2未満の多孔性膜を選択することが望ましかろう。面積当たりの質量が約19g/m2〜60g/m2の多孔性膜を選択することも望ましかろう。しかし履物などの用途では、面積当たりの質量がより大きな膜を用いることが望ましかろう。多孔性ポリマー膜は、さまざまな厚さのものを選択することができる。いくつかの実施態様では、多孔性ポリマー膜は約120μm未満の厚さを持つことが望ましかろう。多孔性ポリマー膜は厚さが35μm未満であることがさらに望ましかろう。
【0016】
ラミネートが長期にわたって防液性であると記載している場合、それは、ラミネートが、この明細書に記載した摩耗後防液性試験法に従う摩耗チャレンジの後に防液性を維持することを意味する。いくつかの実施態様では、長期にわたる防液性を実現するラミネートは、この明細書に記載したボール破裂負荷試験に従って測定したときにボール破裂負荷が17 lbf超、または約19 lbf超である多孔性膜に貼り合わされた布帛を備えている。いくつかの実施態様では、長期にわたる優れた防液性を実現するラミネートは、この明細書に記載した靭性、最大負荷、MTS、弾性率の試験に従って試験したときに所定の特性を持つ多孔性膜に貼り合わされた布帛を備えている。例えばいくつかの実施態様では、平均最大負荷(長手方向と横断方向の最大負荷の平均値)が10N超、または12N超、または20N超の多孔性膜に貼り合わされた布帛を備えるラミネートが、長期にわたって防液性である。適切な多孔性膜は、横断方向と長手方向の平均弾性率が約40MPa超、または約50MPa超、または60MPa超であってもよい。いくつかの実施態様では、長期にわたって防液性であるラミネートは、長手方向と横断方向の平均マトリックス引っ張り強さが90MPa超、または95MPa超、または100MPa超、または150MPa超である多孔性膜を含んでいる。
【0017】
延伸フルオロポリマー膜のノードとフィブリルからなる多孔性構造によって被覆材料および/または印刷材料がそのノードとフィブリルからなる多孔性構造に侵入し、この延伸フルオロポリマー膜の中と表面に保持された状態が可能になる。表面エネルギーの小さなフルオロポリマー・フィルム(例えばePTFE)は、たいていの表面処理をはじくことが知られている。そのため耐久性被覆物(例えば着色剤を含むもの)を付着させるのは難しい。しかし一実施態様では、被覆組成物は、結合剤と、ラミネートの外側フィルム面として用いられるフィルム面を着色する着色剤とを含んでいる。この被覆組成物は、延伸フルオロポリマー構造のノードおよび/またはフィブリルを被覆または包囲して耐久性のある美的外観を形成する。
【0018】
外側フィルム面として用いるのに適した膜は、印刷されたときに耐久性のある美観を提供する面を有する。美観を伴った耐久性は、いくつかの実施態様では、多孔性基板の空孔に嵌まるほど粒径が小さい顔料を含む着色用被覆組成物を用いて実現できる。直径の平均値が約250nm未満の顔料粒子が、耐久性のある色を形成するのに有用である。被覆組成物は、多孔性基板を湿らせて顔料を空孔の壁に結合させることのできる結合剤をさらに含んでいてもよい。
【0019】
多数の顔料を用いることによって、または1種類以上の顔料の濃度を変えることによって、またはその両方の技術によって、多数の色を付着させることができる。一実施態様では、ラミネートは外側フィルム面を備えており、その外側フィルム面の90%超が印刷その他の付着技術によって着色されている一方で、多孔性と透湿性は維持されている。一実施態様では、フィルムの表面を着色剤で着色して単色またはパターン(デザイン)にすることができる。着色剤を含む被覆組成物は、多彩な色とデザイン(例えば無地、カムフラージュ・パターン、印刷パターン)になるように付着させることができる。被覆組成物は、カムフラージュ・パターン(例えば森林や砂漠のパターン)を印刷する際に使用するのに適した1種類以上の着色剤を含むことができる。一実施態様では、多孔性フィルムの表面に森林カムフラージュ・パターンを印刷する際に使用するのに適した被覆組成物は、黒色と、茶色と、緑色と、明るい緑色の着色剤を含んでいる。別の一実施態様では、被覆組成物は、茶色と、カーキ色と、褐色の着色剤を含んでいて、砂漠カムフラージュ・パターンを印刷するのに適している。他の実施態様は、これら2つの例の中での濃淡のバリエーションを持つ着色剤を含有する組成物を含んでいる。
【0020】
被覆組成物は、いくつかの方法で多孔性膜に付着させることができ、その結果として多孔性外側フィルムが形成される。着色するための付着法として、転写被覆法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インク-ジェット印刷法、ナイフ・コーティング法などがあるが、方法がこれだけに限られるわけではない。透湿性が維持されるよう、ラミネート全体に十分な空孔が残されるという条件で、多孔性膜に対して追加の局所的な処理を適用することができる。追加の処理により、フィルム面が望むレベルの疎油性と疎水性を欠いている場所に疎油性と疎水性という機能を与えることができる。しかし与えられる機能はこれに限定されない。疎油性被覆の例として、例えばフルオロポリマー(例えばフルオロアクリレート)や、アメリカ合衆国特許出願第11/440,870号に教示されている他の材料が挙げられる。
【0021】
疎油性は、多孔性外側フィルムを形成する多孔性膜の少なくとも1つの面を疎油性かつ透湿性のポリマーからなる連続被覆物で被覆することによっても与えることができる。この用途に適した透湿性ポリウレタンのいくつかの例がアメリカ合衆国特許第4,969,998号に記載されている。いくつかのポリマーは望む高レベルの疎油性を持つ外側フィルム面を形成するが、別のポリマー・フィルム面は疎油性が不十分である。これらフィルムの疎油性は、疎油性被覆物を付加することによって大きくすることができる。この明細書に記載した撥油性試験に従って試験したときに油等級が約2よりも大きい外側フィルム面を有するラミネートが形成される。別の実施態様では、外側フィルム面の油等級が約4以上、または約5以上、または約6以上であるラミネートを形成することができる。場合に応じて、外側多孔性フィルムは、耐摩耗性をさらに大きくするために例えば粒子または離散要素の形態になった不連続被覆物を備えることができる。離散材料からなる被覆物は、外側フィルム面にスプレーまたは被覆することができ、ラミネートの耐摩耗性を改善するために例えばポリウレタン、エポキシ、シリコーン、フルオロポリマーなどを含むことができる。
【0022】
ラミネートの着色された外側フィルム面の摩耗をこの明細書に記載した摩耗後色変化試験に従って試験したときに色変化が10デルタ-E(dE)未満である耐久性着色美的フィルム面を形成することができる。dEが15未満、または10未満の耐久性美的フィルム面を有するラミネートも形成することができる。
【0023】
ラミネートは、そのラミネート(10)の外側フィルム面(11)とは反対側で多孔性外側フィルム(13)に接合された布帛(14)(例えば織布、ニット、不織布)をさらに備えることができる。布帛(14)は、ラミネートが形成されたときに多孔性外側フィルム(13)に寸法安定性を与えるように選択することができる。衣服の場合には、布帛(14)は、ラミネートで着用者の方を向いた側が快適な感触となるように選択することもできる。適切な軽い布帛は、木綿、レーヨン、ナイロン、ポリエステルなどの材料や、これらの混合物を含むことができる。用途によっては布帛が難燃性であることが望ましい可能性があるため、布帛は、例えば1種類以上の材料(アラミド(例えばNomexまたはDefenderの商品名で売られているもの)、アクリル系繊維、ファイバーガラスなど)を含むことができる。いくつかの用途では、重さが約10オンス/ヤード2未満、または約8オンス/ヤード2未満、または約6オンス/ヤード2未満、または約5オンス/ヤード2未満、または約3オンス/ヤード2未満の布帛を用いることが望ましい可能性がある。
【0024】
布帛(14)層に被覆物を設けることでラミネートに多彩な特性を与えることもできる。例えば着色剤を布帛に付着させて層を単色に、または2色以上のパターンに着色することができる。布帛と外側フィルム面を構成する膜は、外側フィルムと同じ方法で着色してもよいし、異なる方法で着色してもよく、外側フィルムと同じ色またはパターンで着色してもよいし、異なる色またはパターンで着色してもよい。
【0025】
外側フィルム面(11)を形成する多孔性膜(13)層と布帛(14)は、望むレベルの水蒸気透過率が維持されるようにして互いに接合される。例えばいくつかの実施態様では、空気透過度と水蒸気透過率を最大にするため不連続な接着性付着物を用いて層を互いに接合する。別の実施態様では、多孔性膜(13)層と布帛(14)は、連続した接着剤を用いて貼り合わせることができる。しかし連続した接着層は、例えばアメリカ合衆国特許第4,925,732号に記載されているように透湿性であることが望ましく、ラミネートは、約2000g/m2/24時間よりも大きな水蒸気透過率を持つことが望ましい。接着組成物として、ポリウレタンやシリコーンなどの熱硬化性接着剤がある。熱可塑性接着剤として、熱可塑性ポリウレタンなどがある。多孔性膜層と布帛は、ラミネーション・プロセス(例えばグラビア・ラミネーション、スプレー接着性結合、熱可塑性スクリムを用いた溶融結合)を通じて接着剤によって付着され、軽量ラミネートが形成される。
【0026】
長期にわたって防液性であるラミネートは耐摩耗性であり、この明細書に記載したフック摩耗後防液性(ズーター)試験法に従ってラミネートの外側フィルム面に対して約1400回以上の摩耗運動による摩耗試験をした後に漏れがない。別の実施態様では、外側フィルム面に対する3000回の摩耗運動の後に防液性が維持されるラミネートが形成される。外側フィルム面に対する4000回を超える摩耗運動の後に防液性が維持されるラミネートや、外側フィルム面に対する6000回を超える摩耗運動の後に防液性が維持されるラミネートが形成される。
【0027】
この明細書に記載したラミネートから製造されるアウターウエアの着用者を冷やすために透湿性または通気性が重要である。したがってこの明細書に記載したラミネートは通気性であり、記載した方法に従って試験したときの水蒸気透過率(MVTR)は、1000g/m2/24時間超、または2000g/m2/24時間超、または4000g/m2/24時間超、または5000g/m2/24時間超、または10000g/m2/24時間超、または15000g/m2/24時間超、または20000g/m2/24時間超である。この明細書に記載した軽量ラミネートは、面積当たりの質量を約400g/m2未満、または約350g/m2未満、または約20g/m2未満、または約150g/m2未満、または約145g/m2未満、または約125g/m2未満、または約100g/m2未満にすることができる。
【0028】
外側フィルム面を有するこの明細書に記載したラミネートは、例えば外側布帛面を有する防液性ラミネートと比べて吸水量が少ない。いくつかの実施態様では、この明細書に記載したラミネートは、この明細書に記載した吸水試験に従って試験したときに吸水量が約10g/m2以下である。別の実施態様では、吸水量が約8g/m2以下、または約6g/m2以下、または約4g/m2以下、または約3g/m2以下のラミネートが形成される。
【0029】
耐摩耗性外側フィルム面を有する軽量ラミネートを製造する方法が記載されている。この方法は、布帛層を選択するステップと;例えば横断方向と長手方向の平均最大負荷が10Nよりも大きい多孔性フルオロポリマー膜を選択するステップと;その多孔性フルオロポリマー膜を疎油性ポリマー組成物および/または着色剤で被覆および/または着色し、油等級が2よりも大きい着色された疎油性外側フィルム面を有する多孔性フルオロポリマー・フィルムを取得するステップを含んでいる。この方法はさらに、場合に応じて被覆ステップおよび/または着色ステップの前または後に、布帛と多孔性フルオロポリマー・フィルムを貼り合わせてラミネートを形成し、外側フィルム面と内側布帛面を有するラミネートを形成するステップを含んでいる。一実施態様では、ラミネートは水蒸気透過率が1000g/m2/24時間よりも大きく、面積当たりの質量が150g/m2未満であり、このラミネートの外側フィルム面は耐摩耗性であるため、その外側フィルム面が摩耗した後に防液性が維持される。
【0030】
耐摩耗性外側フィルム面を有する軽量アパレル製品(例えばアウターウエア)を製造する方法も記載されている。根方法は、布帛層と多孔性フルオロポリマー膜を選択するステップと;その多孔性フルオロポリマー膜を疎油性ポリマー組成物および/または着色剤で被覆および/または着色し、油等級が2よりも大きい着色された疎油性外側フィルム面を取得するステップを含んでいる。この方法はさらに、場合に応じて被覆ステップおよび/または着色ステップの前または後に布帛と多孔性フルオロポリマー・フィルムを貼り合わせ、外側フィルム面と、その外側フィルム面とは反対側の内側布帛面とを有するラミネートを形成するステップを含んでいる。このラミネートは水蒸気透過率が1000g/m2/24時間よりも大きく、耐摩耗性であり、外側フィルム面に対する摩耗試験の後に長期にわたって防液性である。この方法はさらに、着色外側フィルム面がアウターウエアの外側フィルム面となるようにしてラミネートからアウターウエアを組み立てるステップを含んでいる。
【0031】
上記のラミネートを用いて製造した構造体には、アウターウエアなどのアパレル製品のほか、シェルター、テント、エンクロージャなどの製品が含まれる。アウターウエアとしては、ジャケット、ポンチョ、レインコート、ハット(帽子)、フード、手袋、ズボン、カバーオール、履物などが挙げられる。
【0032】
試験法
【0033】
面積当たりの質量
【0034】
Mettler-Toledo社のモデル1060という質量計を用い、サンプルの面積当たりの質量をASTM D 3776(布帛の単位面積当たりの質量(重さ)に関する標準的な試験法)試験法(オプションC)に従って計測する。この質量計は、サンプルを計量する前に再度較正する。重さはオンスを単位とし、最も近い半オンスの値に丸めて記録する。この明細書に記載してあるようにしてこの値をg/m2に変換した。
【0035】
膜の密度
【0036】
本発明による膜材料の実施例と比較例の密度を測定するため、サンプルについて物性データを回収した。上記のようにして165mm×15mmのサンプルを測定し、その質量(Mettler-Toledo社の化学天秤モデルAB104を使用)と厚さ(Kafer社のFZ1000/30挟みゲージを使用)を明らかにした。このデータを利用すると以下の式から密度を計算することができる。
【0037】
【数1】

【0038】
該式中、ρ=密度(g/cc)、
m=質量(g)、
w=幅(1.5cm)、
l=長さ(16.5cm)、
t=厚さ(cm)である。
【0039】
膜の厚さ
【0040】
本発明による膜材料の厚さを測定するため、挟みゲージ(Kafer社のFZ1000/30)を使用した。各サンプルの少なくとも4つの領域で測定を行なった。これら複数回の測定の平均値を各膜の厚さの値として報告する。
【0041】
ガーレー空気流
【0042】
FED-STD-191A法5452に従い、50ccの空気がサンプルを通過するのに必要な時間を基準にして各サンプルの空気透過率を測定したが、以下の点が異なっている。すなわち試験する前に試料を密封することで、よく密封されていて試験中に縁部の周囲から漏れないようにした点を除き、この試験法に従った。
【0043】
平均流細孔径試験
【0044】
多孔性膜サンプルの平均流細孔径(MFP)をASTM F316-03試験法Bに従って測定したが、鉱物油の代わりにシリコーン油(Dow Corning社の200(R)流体、10cs)を湿潤流体として使用した点が異なっていた。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むサンプルのために表面張力が約20.1ダイン/cmのシリコーン油を使用した。PMI社のモデルCPF-1500-Aキャピラリー・ポロメータを使用し、MFPをこの試験法に基づいて決定した。
【0045】
ボール破裂強度
【0046】
Chatillon社の試験スタンドで用いるための試験法とそれに関係するサンプル取り付け装置は、W.L. Gore & Associates社が開発した。この試験では、材料(例えば布帛(織布、ニット、不織布など)、多孔性または非多孔性のプラスチック・フィルム、膜、シートなど、これらのラミネート、平坦な形状の他の材料)の破裂強度を測定する。
【0047】
試料を、直径7.62cmの開口部を有する2つの環状締め付けプレートの間に、ぴんと張ってたるんでいない状態に取り付けた。研磨した直径2.54cmの鋼鉄製のボール状先端部を有する金属製ロッドを用いて試料の中心部に(X-Y平面の方向に垂直な)Z方向に負荷を加えた。このロッドは、他端を、Chatillon社のモデルTCD-200という材料試験スタンドに取り付けた適切なChatillon社の力測定器に接続した。負荷は、試料が破損するまで、25.4cm/分の速度で加えた。破損(引き裂き、破裂など)は、締め付けた領域内のどこかで起こる可能性がある。結果は、破損する前に加えた力の最大値の3回の測定値の平均として記録した。
【0048】
試験は室内の周囲温度と周囲湿度で実施した。それは、一般に、21℃〜24℃、相対湿度35%〜55%である。ボール破裂データは、サンプルの面積当たりの質量の関数としてのボール破裂強度として表現することができる。なおサンプルの面積当たりの質量は、サンプルの密度と厚さの積から決定することができる。
【0049】
靭性、最大負荷、MTS、弾性率の試験法
【0050】
ダイス・パンチを用いてePTFE製膜状ウェブから長さ165mm×幅15mmの長方形のサンプルを切り抜くことによってサンプルを用意した。膜状ウェブは、サンプルを切断する領域に皺がないようにして切断テーブルの上に配置した。次に165mm×15mmのダイスを膜(一般にウェブの中央部200mm)の上に、膜の長軸が試験することになる方向に平行になるようにして配置した。この明細書で測定する方向は、(処理中に移動する方向に平行な)長手方向と(処理中に移動する方向と垂直な)横断方向である。ダイスが配置されるとそのダイスに圧力を加えて膜状ウェブを切断する。この圧力を除去して試験用の長方形のサンプルを検査し、縁部に欠陥がないことを確認する。欠陥があると、引っ張り試験に影響する可能性がある。
【0051】
長手方向(L)と横断方向(T)で少なくとも3つのサンプルを切断して膜状ウェブの特徴を明らかにすべきである。サンプルの用意ができると測定を行ない、質量(Mettler-Toledo社のモデルAB104という化学天秤を使用)と厚さ(Kafer社のFZ1000/30挟みゲージを使用)を明らかにした。その後、Merlin社のシリーズIXソフトウエア(バージョン7.51)が走るInstron社の5500引っ張りテスターを利用して各サンプルを試験し、引っ張り特性を明らかにした。サンプルを引っ張りテスターの中に挿入し、グリップ・プレートとしてInstron社のカタログ番号2702-015(ゴムで被覆したフェース・プレート)と2702-016(縁に刻みのあるフェース・プレート)を用い、サンプルの各端部がゴムで被覆した1つのフェース・プレートと縁に刻みのある1つのフェース・プレートの間に保持されるようにして保持した。これらグリップ・プレートに加えた圧力は約50psiであった。グリップ間のゲージ長は50mmに設定し、クロスヘッドの速度(引っ張り速度)は508mm/分に設定した。0.1kNの負荷セルを用いてこれらの測定を行ない、データを50箇所/秒の速度で回収した。比較可能な結果が確実に得られるようにするため、実験室の温度は68°F〜72°Fにせねばならなかった。最後に、サンプルがグリップの界面で破損した場合には、データを破棄した。
【0052】
膜状ウェブの特徴を明らかにするには長手方向と横断方向の少なくとも3つのサンプルをうまく引っ張らねばならない(グリップの位置で滑って外れたり破損したりしない)。データの分析と計算は、Merlin社のソフトウエア、または他の任意のデータ分析パッケージを用いて行なった。最初に、L方向とT方向に関する引っ張り試験中にサンプルが耐えることのできる最大負荷を明らかにした。次に、以下の式によってL方向とT方向に関する最大負荷をサンプルの物性(厚さと密度)に合わせて規格化し、L方向とT方向の最大引っ張り強さを計算した。
【0053】
【数2】

【0054】
該式中、
MTS=最大引っ張り強さ(MTS)(単位はMPa)、
Fmax=試験中に測定された最大負荷(ニュートン)、
ρ0=PTFEの理論密度(2.2g/cc)、
l=サンプルの長さ(cm)、
m=サンプルの質量(g)である。
【0055】
次に、Lに関する最大負荷とTに関する最大負荷を平均することによって平均最大負荷を計算した。平均最大引っ張り強さは、Lに関する最大引っ張り強さとTに関する最大引っ張り強さを平均することによって計算した。
【0056】
各サンプルの靭性は、L方向とT方向のそれぞれに関してサンプルからの応力-歪み曲線でその曲線の下の面積を積分し、3回の測定値を平均することによって明らかにした。この数値はサンプルを破壊するのに必要なエネルギーを表わしており、サンプルの靭性として表示する。次に、L方向の靭性とT方向の靭性を平均することによって平均の靭性を計算した。
【0057】
各サンプルの弾性率は、応力-歪み曲線の線形な弾性部分から勾配を求めることによって決定する。最初に、長手方向(L)と横断方向(T)の弾性率を3回の測定の平均値として計算する。次に、Lの弾性率とTの弾性率を平均することによって平均の弾性率を求める。
【0058】
撥油性試験
【0059】
この試験では、ラミネート・サンプルの最も外側のフィルムの側を試験するとき、AATCC試験法118-1983を利用して油等級を測定した。3滴の試験用油をサンプルの表面に載せる。ガラス製プレートを油滴の上に直接載せる。3分後、ガラス製プレートを除去し、過剰な油は表面からすべて取り除く。サンプルのフィルム側に試験用油の侵入や染みを示す外観の変化がないか、目視によって調べる。油等級は、試験しているサンプルのフィルム側に目に見える染みがない最大数の油に対応する。
【0060】
水蒸気透過率試験(MVTR)
【0061】
各サンプルの水蒸気透過率をISO 15496に従って決定したが、装置水蒸気透過度(WVPapp)に基づき、以下の変換式を利用してサンプルの水蒸気透過度(WVP)をMVTR水蒸気透過率(MVTR)に変換した点が異なっている。
【0062】
【数3】

【0063】
空気透過率
【0064】
各ラミネート・サンプルの空気透過率を、ASTM D737に従い、125Paという標準的な圧力低下を利用して決定したが、以下のように装置を改変した点が異なっている。面積が20cm2の別の試験ヘッド領域を利用した。使用した試験装置は、Advanced Testing Instruments社(シュヴァーツェンバッハ、スイス国)から入手できるFX 3300-20であった。値(単位はフィート3/分)を表3に示す。
【0065】
吸水試験
【0066】
Mettler-Toledo社(コロンバス、オハイオ州)から入手できる製品番号AG104という較正した質量計を用いて8"×8"の正方形サンプルを計量した。この質量計は、0.1mgまで読み取れる。次にサンプルを、ASTM D751“被覆された布帛の標準的な試験法”のセクション41〜49“静水圧抵抗手続きB”に記載されているような静水圧テスターの中に配置する。この静水圧テスターは、直径4.25"の円形チャレンジ領域を有する。サンプルは、外側を向く面として設計されたラミネートの表面が5分間にわたって0.7psiで水のチャレンジを受けるように配置する。配置または取り出しの間にサンプルの裏面に残った水が付着したり吸収されたりすると読み取り値が変化するため、そうならないように注意せねばならない。サンプルを露出させた後にテスターから取り出し、上記の質量計で再度計量する。増加した全質量は、直径4.25"の円形チャレンジ領域で吸収された水によると考えられる。なぜならサンプルを所定の位置に保持するのに大きな締め付け圧を加えたからである。吸水はこの領域に基づいており、以下の計算式を利用してg/m2に変換する。
【0067】
【数4】

【0068】
防液性試験(ズーター)
【0069】
防液性試験を以下のようにして実施した。改変したズーター試験装置を用い、水を代表的な試験液体としてラミネートの防液性を調べた。2つのゴム製ガスケットによって締め付ける構成で密封した直径約4.25インチのサンプル領域に水を強制的に当てる。サンプルの外側フィルム面が水を強制的に当てる面となるような向きにしてサンプルを試験する。貯水槽に接続したポンプによってサンプル上の水圧を約0.7psiまで上昇させる。その値は適切な計器によって示され、直列な弁によって調節される。試験サンプルをある角度位置にし、水を循環させてサンプルの下面に空気ではなく水が接触するようにする。サンプルの外側フィルム面とは反対側の面を3分間にわたって観察し、サンプルを貫通した水が現われるかどうか調べる。その表面に見られる液体の水は漏れと解釈される。3分間以内にサンプルの表面に液体の水が見られない場合に合格(防液性)となる。この試験に合格することが、この明細書における“防液性”の定義である。例えば滲出、ピンホール漏れなどの形態の水が少しでも見られるサンプルは防液性ではなく、試験に不合格である。
【0070】
静水圧抵抗 - 初期
【0071】
各サンプルの初期静水圧抵抗を、被覆された布帛の標準的な試験法であるASTM D 751に従って明らかにした。サンプルが破断するまで圧力を増加させた。記録した静水圧抵抗は、サンプルが破断した静水圧抵抗の値であった。この値はポンド/平方インチ(psi)で記録した。
【0072】
フック改変摩耗
【0073】
ASTM D4966“布帛の耐摩耗性に関する標準的な試験法(マーチンデール摩耗テスター法)”により、以下のように改変したマーチンデール摩耗試験装置を用いて摩耗を試験した。直径6.25"の円形試料を、試験テーブル上のフェルト標準片の上に上向きに配置した。そのためサンプルのフィルム面に摩耗チャレンジがなされる。試料ホルダ内の試料を面ファスナーのフック側の直径1.5"の円と置き換えた。そのときフックを下向きにしたため、フックがサンプルにチャレンジを行なう。この材料は、Norman Shatz社(3570イースト・ストリート・ロード、ベンサレム、ペンシルヴェニア州19020)の“2インチ幅黒色フック・アンド・ループ”として部品番号1509000075で入手できるナイロン製フックである。図3aと図3bは、この試験で用いるのに適したフック材料の一例の走査電子顕微鏡写真である。
【0074】
摩耗運動を一定の間隔をあけて実施し、各運動期間の終わりに色変化および/または静水圧抵抗を測定した。最初は、1つの運動期間中の運動回数は、2400回に到達するまでは400回である。その後、1つの運動期間中の運動回数は、9600回に到達するまで800回に増加させた。その後、試験の残り期間は1つの運動期間中の運動回数を1600回に増加させた。すべてのサンプルに関する試験を16000回で停止した。
【0075】
フック改変摩耗後の色変化
【0076】
各摩耗運動期間の後にサンプルを上記のマーチンデール試験テーブルから取り出してその性能を評価する。X-Rite i1 Basic分光器(ミシガン州グランド・ラピッズにあるX-Rite World Headquarters社またはwww.xrite.com)を用いてサンプルの中央のL*a*b*読み取り値を取得した。この“摩耗後”読み取り値と、同じスポットだが摩耗前に採取した初期寄り取り値の差を計算する。各摩耗運動期間における色変化を明らかにするため、以下の式を用いてこの差の二乗平均を計算する。
【0077】
【数5】

【0078】
色変化値のこの二乗平均はデルタE(dE)を単位として記録する。
【0079】
防液性(ズーター) - フック改変摩耗後
【0080】
どの摩耗運動期間の後にも、各サンプルの防液性を、上に記載した“防液性試験(ズーター)”を利用して明らかにした。例えば滲出、ピンホール漏れなどの形態の水が少しでも見られるサンプルはもはや防液性ではない。そのサンプルでは、摩耗試験または防液性試験をその後は実施しなかった。
【0081】
フック改変摩耗後の静水圧抵抗
【0082】
ASTM D751“被覆された布帛の標準的な試験法”に従って摩耗後の静水圧抵抗を明らかにしたが、以下の点が異なっていた。各試験試料を前に言及したフック改変摩耗法に従って摩耗させたが、サンプルは、摩耗材としての面ファスナーのフック側を利用して1,000回運動させて摩耗させた。次に、各試料の静水圧抵抗を、ASTM D 751に従い、外側フィルム面が水の方を向くようにして試験した。これらの値はポンド/平方インチ(psi)を単位として記録する。
【実施例】
【0083】
以下の実施例に記載した外側フィルム面と内側布帛面を有する2層ラミネートを形成した。
【0084】
膜1(M1)
【0085】
アメリカ合衆国特許第6,541,589号の教示に従って製造したPTFE樹脂から、透湿性の微孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を作った。このPTFE樹脂は、全樹脂の質量を基準にして約0.5質量%のポリフルオロブチルエチレン(PFBE)を含んでおり、アメリカ合衆国特許第3,953,566号の教示に従って処理して延伸PTFE(ePTFE)膜にした。この膜の特性を表1に詳しく示してある。
【0086】
膜2(M2)
【0087】
PTFE樹脂から透湿性の微孔性PTFE膜を作り、アメリカ合衆国特許第5,814,405号の教示に従って処理して延伸PTFE(ePTFE)膜にした。この膜の特性を表1に詳しく示してある。
【0088】
膜3(M3)
【0089】
PTFE樹脂から透湿性の微孔性PTFE膜を作り、アメリカ合衆国特許第3,953,566号の教示に従って処理して延伸PTFE(ePTFE)膜にした。この膜の特性を表1に詳しく示してある。
【0090】
膜4(M4)
【0091】
PTFE樹脂から透湿性の微孔性PTFE膜を作り、アメリカ合衆国特許第3,953,566号の教示に従って処理して微孔性延伸PTFE(ePTFE)膜にした。この膜の特性を表1に詳しく示してある。
【0092】
膜5(M5)
【0093】
PTFE樹脂から微孔性膜を作り、アメリカ合衆国特許第3,953,566号の教示に従って処理して微孔性延伸PTFE(ePTFE)膜にした。この膜の特性を表1に詳しく示してある。
【0094】
【表1】

【0095】
布帛1(T1)
【0096】
糸からなり、重さが約80g/m2のポリエステル織布をMilliken & Company社から入手した(スパータンバーグ、サウス・カロライナ州;スタイル番号141125)。
【0097】
布帛2(T2)
【0098】
糸からなり、重さが約50g/m2のナイロン6,6製織布をMilliken & Company社から入手した(スパータンバーグ、サウス・カロライナ州;スタイル番号131907)。
【0099】
布帛3(T3)
【0100】
平坦な経糸のニットの形態のポリエステルからなり、重さが約38g/m2のニットをGlen Raven社(グレン・レイヴン、ノース・カロライナ州;部品番号A1012)から入手した。
【0101】
着色法1(青)
【0102】
貼り合わせた後、2層ラミネートのePTFE膜面に、溶媒をベースとしてePTFEを湿らせることのできる青色顔料含有インクを印刷した。このラミネートにEpson社の溶媒許容インク-ジェット・プリンタを用いて印刷し、着色された外側フィルム面を形成した。
【0103】
着色法2(赤)
【0104】
貼り合わせた後、2層ラミネートのePTFE膜面に、溶媒をベースとしていてePTFEを湿らせることのできる赤色顔料含有インクを印刷した。このラミネートにEpson社の溶媒許容インク-ジェット・プリンタを用いて印刷し、着色された外側フィルム面を形成した。
【0105】
疎油性被覆物1(C1)
【0106】
ラミネートの着色されたePTFE外側フィルム面に、そのフィルムが完全に湿るようにして2-プロパノール(Sigma-Aldrich Chemical社、セントルイス、ミズーリ州)を被覆した。湿らせた直後(約30秒以内に)、そのフィルムを、約6.0gのフルオロカーボン(AG8025、旭硝子社、日本国)を約14.0gの脱イオン水の中で混合することによって調製したフルオロポリマー溶液で被覆した。着色されたフィルム面にはローラーを用いて手作業でその混合物を被覆し、被覆物の質量を約3g/m2にした。被覆されたフィルムは180℃で2分間にわたって硬化させた。
【0107】
疎油性被覆物2(C2)
【0108】
Teflon(登録商標)AF(DuPont Fluoropolymers社、ウィルミントン、デラウェア州)をFluorinert(登録商標)FC-40(3M社、ミネアポリス、ミネソタ州)溶液に溶かした約2.5%溶液を被覆することにより、ラミネートの着色されたePTFE外側フィルム面を疎油性にした。着色されたフィルム面は、ローラーを用いて手作業でその混合物を被覆して被覆物の質量を約3g/m2にし、180℃で2分間にわたって硬化させた。
【0109】
実施例1〜14
外側を向いた着色外側フィルム面と、布帛とを備えるラミネートを形成した。
【0110】
実施例1〜14のラミネート・サンプルは、表2に詳細を示した個々の多孔性膜と布帛を用いて構成した。多孔性フィルムと布帛は、ドット・パターンの湿気硬化性ポリウレタン接着剤を膜の表面にグラビア印刷することによって貼り合わせた。この接着剤は、アメリカ合衆国特許第4,532,316号の教示に従って調製し、膜の表面の約35%を覆う。ePTFE膜の接着剤を印刷した側をニップ・ロールの中で織布の一方の側に押し付けた後、加熱したロールの上を通過させて2層ラミネートを形成した。この湿気硬化性接着剤を48時間放置して硬化させた。
【0111】
ラミネートは、表2に示した個々の着色・疎油性被覆法に従って着色した。
【0112】
【表2】

【0113】
この明細書に記載した方法で試験したとき、軽量であり、透湿性であり、空気透過性であり、油等級が5よりも大きく、吸水が少ないラミネートが形成された。結果を表3に示す。
【0114】
外側フィルム面を有するラミネートの吸水量が少ないことを、防液性だが布帛外側面を有する材料と比較するため、比較材料サンプルを入手した。比較サンプル1は、微孔性ポリウレタンを一方の側に、耐久性のある撥水性(DWR)被覆物を他方の側に有する(密に織られた)ナイロン製布帛を含む市販の材料であった。比較サンプル1の吸水量をDWR側で試験したところ、吸水量は約11グラムであった。これは、表3に示した実施例1〜11の吸水量よりも有意に多かった。
【0115】
【表3】

【0116】
この明細書の試験法に記載してあるようにしてこれらラミネートを試験し、防液性が失われるまでの摩耗運動の回数と、摩耗の前後の静水圧抵抗を明らかにした。結果を表4に示す。
【0117】
【表4】

【0118】
実施例1のラミネートの美的外観の耐久性を、この明細書に記載した摩耗後色変化法に従って試験した。このラミネートは、外側フィルム面の摩耗後に約8dEの色変化であった。
【0119】
実施例15
図1aと図1bに例示したようにポケットまたはフードのない単純な衣服パターンと、この衣服の丈と同じ長さの前面ジッパー(4)を利用し、外側フィルム面を有するジャケットを構成した。
【0120】
実施例3と同様のePTFE外側フィルム面を有するラミネートを構成したが、実施例3の織布ではなくてニット層に不連続な接着性付着物を用いて貼り合わせた点が異なっていた。疎油性被覆物を外側フィルム面に付着させた。衣服の袖部を、調節可能な面ファスナーを有する弾性カフで終わらせた。底部周縁部に弾性のある引っ張り紐を取り付け、ウエストのサイズに合わせられるようにした。
【0121】
このジャケットは、裁断された複数のラミネート片を、65ボール・ポイントの針を有する単一針ミシンを利用して、外側フィルム面をジャケットの外側に向けた状態で互いに縫合して作製した。ミシンは、過剰なラミネートをすべて切り離すナイフ・エッジを含んでいたため、継ぎ目をあとで狭いシーム・テープを用いて封止することができた。このジャケットの継ぎ目は、標準的なホット-メルト継ぎ目封止機械を使用して溶融時の粘性率が十分に小さいホット-メルト・シーム・テープを用いて封止したため、接着剤がニットに侵入してePTFE膜に接触し、防水性のある継ぎ目になった。継ぎ目封止テープは、ジャケットのラミネートのニット側に付着させた。
【0122】
前面ジッパーの内側縁部に沿った折り返し部をシート接着剤で補強することで、その折り返し部がジッパーに挟まるのを阻止した。得られた衣服は男性用のXLサイズであり、全質量は約9.1オンスであった。
【0123】
実施例16
ラミネート・サンプルを実施例1〜14と同様にして表2に列挙した要素を用いて構成したが、以下の点が異なっていた。貼り合わせる前に、膜M4をアメリカ合衆国特許第4,969,998号による一部吸収モノリシック・ポリウレタン層で被覆した。ポリウレタンで被覆したこのM4を、被覆されていないePTFE側が布帛T2の方を向くことのないようにして貼り合わせた。残りの全操作は、実施例1〜14に詳述されている通りである。
【0124】
実施例17
ポリプロピレン点接合不織布に接合された微孔性ポリプロピレン・フィルムからなる市販の2層ラミネートを参照基準として使用した。これは、Frogg Toggs(登録商標)社(131サンダウン・ドクターNW、アラブ、アラバマ州35016)から部品番号DS1204-04としてDriDucks(登録商標)という商品名で入手できる。外側面として微孔性ポリプロピレン・フィルムを有するこの製品を試験した。このラミネートの摩耗後の防液性を試験した。その結果を表4に示す。
【0125】
この明細書では本発明の特別な実施態様を図示して説明してきたが、本発明がそのような図と説明に限定されてはならない。以下の請求項の範囲内での変更や改変を本発明の一部として組み込んで実現できることは明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐摩耗性外側フィルム面を有するアウターウエアを製造する方法であって、
a)布帛層である織布層またはニット層と、多孔性フルオロポリマー膜とを選択するステップと、
b)着色された外側フィルム面を得るために、該多孔性フルオロポリマー膜を着色剤で着色するステップと、
c)選択的に、該着色するステップの前または後に、該布帛層と該多孔性フルオロポリマー膜を貼り合わせ、外側フィルム面と内側布帛面を有するラミネートを形成するステップと、
d)該ラミネートからのアウターウエアの組み立てを、該着色された外側フィルム面が該アウターウエアの外側フィルム面となり、該内側布帛面が、該アウターウエアの外側フィルム面とは反対側となるようにして行なうステップとを含み、
該ラミネートが、4000g/m2/24時間よりも大きな水蒸気透過率を有し、耐摩耗性であり、該外側フィルム面で摩耗試験を行なった後に長期にわたって防液性である、方法。
【請求項2】
前記ラミネートからの前記アウターウエアの組み立てを、前記内側布帛面がそのアウターウエアの内側布帛面となるようにして行なう操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
延伸PTFE(ePTFE)を含む多孔性フルオロポリマー膜を選択する操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ペルフルオロブチレン(PFBE)コモノマーを含む微孔性PTFE膜を選択するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
長手方向と横断方向の平均最大負荷が10ニュートン(N)よりも大きい多孔性フルオロポリマー膜を選択する操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ボール破断負荷が76ニュートン(N)(17lb重)よりも大きい多孔性フルオロポリマー膜を選択する操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
面積当たりの質量が80g/m2未満の多孔性フルオロポリマー膜を選択する操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
厚さが35μm未満の多孔性フルオロポリマー膜を選択する操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記布帛層がニットを含んでおり、前記ラミネートが、前記外側フィルム面に対する1400回を超える摩耗運動の後に長期にわたって防液性である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ラミネートが、前記外側フィルム面に対する3000回を超える摩耗運動の後に長期にわたって防液性である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記布帛層が織布を含んでおり、前記ラミネートが、前記外側フィルム面に対する4000回を超える摩耗運動の後に長期にわたって防液性である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
インク-ジェット・プリンタで印刷することによって前記ラミネートの外側フィルム面に着色する操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ラミネートの外側フィルム面の油等級が4よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
面積当たりの質量が400g/m2未満のラミネートを選択する操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
厚さが120μm未満の多孔性フルオロポリマー膜を選択する操作を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記多孔性フルオロポリマー膜に疎油性被覆物を被覆する操作をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記外側フィルム面に離散材料を被覆して前記ラミネートの耐摩耗性を改善するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
離散材料からなる前記被覆が、ポリウレタン、エポキシ、シリコーン、フルオロポリマーの中から選択した材料を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
耐摩耗性外側フィルム面を有するアウターウエアを製造する方法であって、
a)着色された外側フィルム面を有する耐摩耗性ラミネートを含む複合布帛を選択するステップと、
b)該複合布帛を含む複数の衣類断片を形成するステップと、
c)該複合布帛を含む複数の衣類断片からのアウターウエアの組み立てを、該着色された外側フィルム面が該アウターウエアの外側フィルム面となり、該内側布帛面が該外側フィルム面の反対側となるように該複数の衣類断片の向きを決めて行なうステップとを含み、
該ラミネートが、
i)平均最大負荷が10Nよりも大きい多孔性フルオロポリマー膜を含む多孔性フルオロポリマーフィルムと、
ii)該着色された外側フィルム面とは反対側で該多孔性フルオロポリマーフィルムに付着された布帛とを備え、
該ラミネートが、4000g/m2/24時間よりも大きな水蒸気透過率を有し、耐摩耗性であって2000回の摩耗運動後に長期にわたる防液性を維持する、方法。
【請求項20】
耐摩耗性で吸水が少ない外側フィルム面を有するアウターウエアアパレル製品を製造する方法であって、
a)布帛層と多孔性膜とを選択するステップと、
b)該多孔性膜を着色剤で着色して着色された外側フィルム面を得るステップと、
c)選択的に、該着色ステップの前または後に、該布帛層と該多孔性膜を貼り合わせ、外側フィルム面と内側布帛面を有するラミネートを形成するステップと、
d)該ラミネートからの該アパレル製品の組み立てを、該着色された外側フィルム面がそのアパレル製品の外側フィルム面となり、該内側布帛面が、該アウターウエアの外側フィルム面とは反対側となるようにして行なうステップとを含み、
該ラミネートが、10g/m2以下の吸水量であり、4000g/m2/24時間よりも大きな水蒸気透過率を有し、該外側フィルム面で摩耗試験を行なった後に長期にわたって防液性を維持する、方法。
【請求項21】
前記多孔性膜の上に疎油性ポリマーを被覆する操作をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記多孔性膜がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記多孔性膜がポリウレタンを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
耐摩耗性外側フィルム面を有するアウターウエアであって、実質的に
1)76ニュートン(N)(17lb重)よりも大きい平均ボール破裂負荷を持つ多孔性フルオロポリマー膜を含んでいて、着色された疎油性外側フィルム面と、該外側フィルム面とは反対側の内側フィルム面とを有する多孔性フルオロポリマーフィルムから実質的になる第1の層と、
2)該内側フィルム面に隣接した接着性付着物によって該多孔性フルオロポリマーフィルムに接合されたニット層から実質的に成る第2の層と
から成る複合布帛を含み、
該アウターウエアの組み立てを、該着色された疎油性外側フィルム面が該アウターウエアの外側フィルム面となるようにして行ない、該複合布帛が、4000g/m2/24時間よりも大きな水蒸気透過率を有し、耐摩耗性であって該外側フィルムでの1400回の摩耗運動後に長期にわたる防液性を維持する、アウターウエア。
【請求項25】
前記多孔性フルオロポリマー膜が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含有する膜を含む、請求項24に記載のアウターウエア。
【請求項26】
衣服外側フィルム面と、ラミネートとを含む、耐摩耗性外側フィルム面を有するアウターウエアであって、
該ラミネートが、
1)耐摩耗性の着色された外側フィルム面と、該外側フィルム面とは反対側の内側フィルム面とを有し、油等級が2よりも大きく、横断方向と長手方向の平均最大負荷が10Nよりも大きい多孔性フルオロポリマー膜を含んでいる多孔性フルオロポリマーフィルムと、
2)該内側フィルム面に近接した付着物によって該多孔性フルオロポリマーフィルムに接合された布帛層としてのニット層または織布層とを備え、さらに、
面積当たりの質量が150g/m2未満であり、該アウターウエアの組み立てが、該ラミネートの外側フィルム面が該衣服外側フィルム面となるようにして行なわれる、アウターウエア。
【請求項27】
前記多孔性フルオロポリマー膜がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項28】
前記多孔性フルオロポリマー膜が微孔性である、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項29】
前記多孔性フルオロポリマー膜が延伸PTFE(ePTFE)を含む、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項30】
前記多孔性フルオロポリマー膜が、ペルフルオロブチレン(PFBE)コモノマーを含有するePTFEを含む、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項31】
前記多孔性フルオロポリマー膜の平均最大負荷が12ニュートン(N)よりも大きい、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項32】
前記多孔性フルオロポリマー膜の長手方向と横断方向の平均弾性率が40MPaよりも大きい、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項33】
前記多孔性フルオロポリマー膜の平均弾性率が70MPaよりも大きい、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項34】
前記多孔性フルオロポリマー膜の面積当たりの質量が80g/m2未満である、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項35】
前記多孔性フルオロポリマー膜の面積当たりの質量が50g/m2未満である、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項36】
前記多孔性フルオロポリマー膜の面積当たりの質量が19g/m2〜60g/m2である、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項37】
前記多孔性フルオロポリマー膜の面積当たりの質量が10g/m2よりも大きい、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項38】
前記多孔性フルオロポリマー膜の厚さが120μm未満である、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項39】
前記多孔性フルオロポリマー膜の厚さが35μm未満である、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項40】
前記ラミネートが、前記外側フィルム面の摩耗の後に防液性である、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項41】
前記布帛層がニットであり、前記ラミネートが、前記外側フィルム面での1400回を超える摩耗運動の後に防液性である、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項42】
前記布帛層が織布であり、前記ラミネートが、前記外側フィルム面での2000回を超える摩耗運動の後に防液性である、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項43】
前記ラミネートの吸水量が10g/m2以下である、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項44】
より大きな耐摩耗性を与えるために粒子または離散要素の形態の不連続な被覆物をさらに含む、請求項26に記載のアウターウエア。
【請求項45】
離散材料からなる前記被覆物が、ポリウレタン、エポキシ、シリコーン、フルオロポリマーの中から選択した材料を含む、請求項44に記載のアウターウエア。
【請求項46】
衣服外側フィルム面と、ラミネートとを含む、耐摩耗性で吸水が少ない外側フィルム面を有するアウターウエアであって、
該ラミネートが、
1)耐摩耗性の着色された外側フィルム面と、その外側フィルム面とは反対側の内側フィルム面とを持ち、油等級が2よりも大きく、横断方向と長手方向の平均最大負荷が10Nよりも大きい膜を含んでいる多孔性ポリマーフィルムと、
2)該内側フィルム面の近傍の付着物によって該多孔性ポリマー・フィルムに接合された布帛層としてのニット層または織布層とを備え、さらに、
該ラミネートのMTVRが4000g/m2/24時間よりも大きく、該ラミネートの面積当たりの質量が150g/m2未満であり、該アウターウエアの組み立てが、該ラミネートの外側フィルム面が、10g/m2未満の吸水量である該衣服外側フィルム面となるようにして行なわれる、アウターウエア。
【請求項47】
耐摩耗性外側フィルム面を有する軽量ラミネートを製造する方法であって、
a)布帛層を選択するステップと、
b)平均最大負荷が10Nよりも大きい多孔性膜を選択するステップと、
c)着色された外側フィルム面を有する多孔性膜を得るために、該多孔性膜を着色剤で着色するステップと、
d)選択的に、該着色するステップの前または後に、該布帛層と該多孔性膜とを貼り合わせ、外側フィルム面と内側布帛面を有するラミネートを形成するステップとを含み、
該ラミネートの水蒸気透過率が4000g/m2/24時間よりも大きく、該ラミネートの面積当たりの質量が400g/m2未満であり、該ラミネートの外側フィルム面は耐摩耗性であって、該外側フィルム面の摩耗後に防液性が維持される、方法。
【請求項48】
前記多孔性膜を疎油性被覆物で被覆するステップをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記多孔性膜が微孔性である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記多孔性膜がポリウレタンを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記多孔性膜が微孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記多孔性膜が微孔性延伸PTFEを含む、請求項47に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2012−526684(P2012−526684A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510790(P2012−510790)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/001145
【国際公開番号】WO2010/132083
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】