説明

輸液容器の栓構造及び輸液容器の密封方法

【課題】弾性栓体に十分な内部応力を発生させて抜針後の密封性を向上させることで、液漏れを起こさないようにし、それと共に生産コストを抑えることができる輸液容器の栓構造及び輸液容器の密封方法を提供する。
【解決手段】内周部分14の開口端近傍に口部内方へ盛り上がるように形成された押圧部15を有する容器口部3と、容器口部3に挿入され当該容器口部3をシールする弾性栓体4と、弾性栓体4を容器口部3の内周にガイドすると共に、容器口部3の押圧部15で押圧されることによって口部内方へ向けて傾倒され、容器口部3と弾性栓体4との間で挟持されたガイドリング5を有するガイド部材6とを備えた栓構造1である。弾性栓体4を容器口部3の押圧部15による圧縮力の作用によって変形状態とすることで、当該弾性栓体4に内部応力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤等が含まれた輸液が収容された輸液容器を密封するための栓構造、及び密封方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤等が含まれた輸液を患者に投与するために用いるものとして、輸液を収容した輸液容器(例えば、輸液バッグや輸液ボトル)が広く普及している。このような輸液容器として、輸液を収容した容器本体の容器口部へ弾性栓体を設けて当該容器本体を密封するものが知られている。
【0003】
上記の弾性栓体には、一般に、小さい圧縮永久歪みを有し、抜針後の高い密封性を備えた各種のゴムが用いられている。ゴム製の弾性栓体を成形するためには、高温、高圧下で長時間を要する架橋工程等が必要となり、成形サイクルが長くなる。そのため、ゴムと同じような挙動を示す熱可塑性エラストマーを、輸液容器を密封するために用いることが検討されている。熱可塑性エラストマーは、架橋を不要とし、高温で熱可塑性樹脂と同様に軟化するため、射出成形による成形が可能とされている。
【0004】
しかし、上記の熱可塑性エラストマーは、良好な成形性を有している反面、ゴムほどの小さい圧縮永久歪を備えていないため、抜針後の密封性が十分でなく、液漏れを起こさせる場合がある。その対策として、小さい圧縮永久歪みを有する熱可塑性エラストマーからなる弾性栓体を採用することや、熱可塑性エラストマーを射出成形する段階で、射出方向及び射出圧を調整し成形品に内部応力を生じさせることで抜針後の密封性を高めたものが知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。さらには、熱可塑性エラストマーの外周にリング状のポリオレフィンを一体的に形成した栓体も知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、特許文献4には、一方の金型内に上側枠を予め成形し、この上側枠に弾性栓体を装填し、当該弾性栓体よりも小さな直径を有するリング状突起を備えた他方の金型で、当該弾性栓体と当該他方の金型との間に所定のキャビティができるように型閉じし、同キャビティに樹脂を射出し下側枠を成形することで構成された栓体が記載されている。この栓体では、弾性栓体の周縁部をリング状突起で押圧した状態で下側枠が成形され、当該弾性栓体の接液面側が押し出され、これにより抜針後の復元力が向上されている。
【0006】
特許文献5には、下金型に、所定方向に延びる突状部を内側に有する外枠体及び熱可塑性エラストマーを装填し、上金型で熱可塑性エラストマーを押圧し突状部を曲げながら当該熱可塑性エラストマーを充填することで、同エラストマー内で突状部が曲げられた状態となった栓体が記載されている。この栓体では、曲げられた突状部による復元力が栓体全体に働き、抜針後の復元力が向上されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−71123号公報
【特許文献2】特開2004−34510号公報
【特許文献3】特開2004−215860号公報
【特許文献4】特開2010−42203号公報
【特許文献5】特開2005−152533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、例えば輸液容器の筒状の容器口部に当該容器口部よりも一回り大きめの弾性栓体を押し入れて密封する一般的な栓構造では、特許文献1及び特許文献2の熱可塑性エラストマーからなる弾性栓体を採用した場合、弾性栓体を容器口部に押し入れるとき、当該弾性栓体の側面と当該容器口部の壁面間に引っ掛かり等が生じ、当該弾性栓体のねじれ等によって、引張力等の意図しない力が当該弾性栓体に部分的にはたらく。弾性栓体は、このような力を受けたままの状態で所定の位置に装着される。このことは、抜針後の貫通孔を確実に塞ぐための適正な圧縮永久歪みや内部応力を得られず、また、弾性栓体の耐久性を低下させる原因となる。従って、このような場合には、抜針後の十分な密封性を得ることはできない。また、弾性栓体を容器口部に押し入れるとき、上記のように引っ掛かり等が弾性栓体に生じるため、組み付け作業に手間がかかり、ひいては生産コストの上昇を招く。
【0009】
特許文献3には、熱可塑性エラストマーとポリオレフィンを射出成形することで、リング状のポリオレフィンにより熱可塑性エラストマーにカシメ力が付与されると記載されているが、この方法では成形された熱可塑性エラストマーに、抜針後の十分な密封性を得るだけの内部応力を生じさせるのは困難である。さらに、熱可塑性エラストマーの外周に形成されたポリオレフィンの存在により、容器口部に装着するときに当該熱可塑性エラストマーを圧縮変形させて内部応力を生じさせることもできない。一方、特許文献4及び特許文献5のような製造方法を採用して栓体を構成する場合、金型内に成形品や樹脂を装填する作業を要し、また、成形機等の製造機器や製造条件の構築に多大な手間がかかる。そのうえ、構成された栓体をキャップ状の別部材とともに容器口部に組み付ける閉栓作業をも要する場合がある。そのため、必然的に生産コストの上昇へとつながってしまう。
【0010】
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、弾性栓体に十分な内部応力を発生させて抜針後の密封性を向上させることで、液漏れを起こさせないようにし、それと共に生産コストを抑えることができる輸液容器の栓構造及び輸液容器の密封方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、次の技術的手段を講じた。
即ち、本発明の輸液容器の栓構造は、輸液容器の一方端で筒状に形成され、内周部分の開口端近傍に口部内方へ盛り上がるように形成された押圧部を有する容器口部と、前記容器口部の開口端から挿入されて当該容器口部をシールする弾性栓体と、前記弾性栓体を外周から保持可能に構成されて当該弾性栓体を前記容器口部の内周にガイドすると共に、当該容器口部の前記押圧部で押圧されることによって口部内方へ向けて傾倒され、当該容器口部と当該弾性栓体との間で挟持されたガイドリングを有するガイド部材と、を備え、前記弾性栓体が前記ガイドリングを介した前記容器口部の押圧部による圧縮力の作用によって変形状態とされ、当該弾性栓体に内部応力が発生していることを特徴とするものである。
【0012】
上記本発明の輸液容器の栓構造においては、弾性栓体を外周から保持可能に構成されたガイドリングで当該弾性栓体が容器口部の内周にガイドされ、それと共に弾性栓体が口部内方へ向けて傾倒されたガイドリングを介して容器口部の押圧部で押圧され、その圧縮力の作用によって変形状態とされ、弾性栓体に内部応力を発生させている。弾性栓体がガイドリングで容器口部の内周にガイドされるため、当該弾性栓体のねじれ等による、引張力等の意図しない力は当該弾性栓体にはたらかない。そのため、弾性栓体に適正な上記圧縮力が作用した状態で当該弾性栓体が容器口部に装着され、弾性栓体の耐久性も低下しない。また、本構造は、弾性栓体を外周から容器口部の押圧部で押圧して圧縮する構成をもつので、当該弾性栓体に強い圧縮力を作用させて高い内部応力を発生させることができる。これらにより、抜針後の十分な密封性を得ることができる。
【0013】
上記の輸液容器の栓構造は、輸液容器の容器口部と、この容器口部をシールする弾性栓体と、容器口部と弾性栓体との間で挟持されたガイドリングを有するガイド部材とで構成され、このうちの弾性栓体は、ガイドリングによって容器口部の内周にガイドされる。そのため、弾性栓体に引っ掛かり等が生じず、組み付け作業を簡単に行うことができる。また、金型内に成形品や樹脂を装填する作業や、成形機等の製造機器や製造条件の構築は必須とされず、そのうえ、別部材とともに容器口部に組み付ける閉栓作業も要しない。これにより、生産効率が向上し、生産コストを抑えることが可能となる。
【0014】
前記容器口部の内周部分には凸状又は凹状の第1被係合部が形成されていると共に、前記ガイド部材のガイドリングの外周部分には前記第1被係合部に係合する凹状又は凸状の第1係合部が形成されており、これら第1被係合部と第1係合部とが互いに係合されていることが好ましい。この場合、ガイド部材を容器口部に確実に固定することができる。
【0015】
前記ガイド部材は、前記ガイドリングを前記容器口部側に有し当該容器口部の上側に位置する環状の環状部を備えており、前記容器口部の上端部外側には口部内方へ窪む段差状の第2被係合部が形成されていると共に、前記ガイド部材の環状部には前記容器口部の外側へ回り込み前記第2被係合部と係合する口部内方へ突出する突状の第2係合部が形成されており、これら第2被係合部と第2係合部とが互いに係合されていることが好ましい。この場合、ガイド部材を容器口部に確実に固定することができる。
【0016】
前記容器口部の押圧部は、前記ガイドリングで前記弾性栓体を当該容器口部の内周にガイドする際に当該ガイドリングをスライドさせる傾斜面を有していることが好ましい。容器口部の押圧部がこのような傾斜面を有していることで、弾性栓体を容器口部の内周へスムーズに挿入することができ、組み付け作業を容易に行うことができる。
【0017】
前記ガイドリングの形態として多様な構成を採用することができ、例えば、前記容器口部の開口端側を基端として口部内外方向に傾倒可能な周方向に所定間隔をおいて並ぶ複数のガイド片よりなるガイドリングが挙げられる。ガイドリングをこのような構成とすれば、弾性栓体が複数のガイド片で周りから保持され、当該弾性栓体を均等な圧縮量で周りから圧縮でき、より適正な内部応力を得ることができる。さらに、ガイド片が口部外方へも傾倒可能であることから、より大きな弾性栓体を保持でき、ひいては当該弾性栓体により強い圧縮力を作用させることができる。
【0018】
前記容器口部と前記ガイド部材とが互いに融着されていることが好ましい。容器口部とガイド部材とが融着されていれば、当該ガイド部材をより確実に当該容器口部に固定することができる。
【0019】
前記弾性栓体に、前記ガイドリングで当該弾性栓体を前記容器口部の内周にガイドする際、先んじて当該容器口部の内周面と接触し内部への異物の侵入を防止する接触部が設けられていることが好ましい。この場合、接触部によって内部への異物の侵入が防止されるので、閉栓作業に伴う輸液への異物の混入を抑えることができる。
【0020】
本発明の輸液容器の密封方法は、輸液容器の容器口部をシールする弾性栓体を当該容器口部へ挿入し容器本体を密封する輸液容器の密封方法であって、前記弾性栓体を外周から保持可能且つ口部内方へ傾倒可能なガイドリングを有するガイド部材と前記弾性栓体とを、当該ガイドリングで当該弾性栓体を保持するようにして一体的とし、前記弾性栓体を前記ガイドリングでガイドするように前記ガイド部材及び当該弾性栓体を前記容器口部へ押し入れ、前記容器口部の内周部分の開口端近傍に口部内方へ盛り上がるように形成された押圧部により前記ガイドリングを傾倒させると共に、前記弾性栓体を当該ガイドリングで介した当該押圧部による圧縮力の作用によって変形状態とし、前記弾性栓体に内部応力を発生させた状態で当該弾性栓体によって前記容器口部をシールすることを特徴とするものである。
【0021】
上記本発明の輸液容器の密封方法においては、ガイド部材のガイドリングに弾性栓体を保持させ、一体的となった弾性栓体とガイド部材を、当該弾性栓体をガイドリングでガイドするように容器口部へ押し入れることで、容器口部の押圧部によりガイドリングを傾倒させ、弾性栓体を当該押圧部による圧縮力の作用によって変形状態とし、当該弾性栓体に内部応力を発生させている。弾性栓体がガイドリングで容器口部にガイドされるため、当該弾性栓体のねじれ等による、引張力等の意図しない力は当該弾性栓体にはたらかない。そのため、弾性栓体に適正な上記圧縮力が作用した状態で当該弾性栓体が容器口部に装着され、弾性栓体の耐久性も低下しない。さらに本方法は、弾性栓体が外周から容器口部の押圧部で押圧されて圧縮されるので、当該弾性栓体に強い圧縮力を作用させて高い内部応力を発生させることができる。これらにより、抜針後の十分な密封性を得ることができる。
【0022】
上記の輸液容器の密封方法では、ガイド部材のガイドリングに弾性栓体を保持させ、一体的となった弾性栓体とガイド部材を、当該弾性栓体をガイドリングでガイドするように容器口部へ押し入れ、当該容器口部をシールするため、弾性栓体に引っ掛かり等が生じず、組み付け作業を簡単に行うことができる。また、金型内に成形品や樹脂を装填する作業や、成形機等の製造機器や製造条件の構築は必須とされず、そのうえ、別部材とともに容器口部に組み付ける閉栓作業も要しない。これにより、生産効率が向上し、生産コストを抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
上記の通り、本発明によれば、弾性栓体に適正な圧縮力が作用した状態で当該弾性栓体が装着され、かつ耐久性も低下せず、それと共に弾性栓体に強い圧縮力が作用して高い内部応力を発生させられるので、抜針後の十分な密封性を得ることができる。さらに、組み付け作業を簡単に行うことができ、金型内に成形品や樹脂を装填する作業や、成形機等の製造機器や製造条件の構築は必須とされず、そのうえ、別部材とともに容器口部に組み付ける閉栓作業も要しないため、生産効率が向上し、生産コストを抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係る輸液容器の栓構造が設けられた輸液容器の部分断面図である。
【図2】密封される前の容器口部、及びガイド部材に弾性栓体が設けられた状態の断面図である。
【図3】輸液容器の栓構造を示す拡大図である。
【図4】ガイド部材と弾性栓体の斜視図であり、弾性栓体をガイド部材に装着する状態を示している。
【図5】栓体とポートの斜視図であり、栓体を容器口部に押し入れる状態を示している。
【図6】本発明の第2実施形態に係る輸液容器の栓構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る輸液容器の栓構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る輸液容器の栓構造を示す断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る輸液容器の栓構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る輸液容器の栓構造1が設けられた輸液バッグ(輸液容器)2の部分断面図である。なお、以下の説明において、図1の上下を単に上下という。本実施形態の輸液容器の栓構造1は、薬剤等が含まれた輸液を収容する輸液バッグ2を密封するために用いられるものであり、輸液バッグ2の一方端で筒状に形成された容器口部3と、この容器口部3に挿入されて当該容器口部3をシールする弾性栓体4と、容器口部3と弾性栓体4との間に挟持されたガイドリング5を有するガイド部材6とで構成されている。輸液バッグ2は、輸液を収容するためのバッグ本体7の上端7aに、当該バッグ本体7の内外を連通させる円筒状のポート8が設けられ、さらにこのポート8の上端に上記栓構造1が設けられることで構成されている。
【0026】
バッグ本体7は、インフレーションチューブ製のものであり、ポリエチレンフィルム等の可撓性フィルムで袋状に形成されている。ポート8は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニル等の熱可塑性を有する公知の樹脂でコンプレッション成形又はインジェクション成形によって一体的に成形されたものであり、当該ポート8の上端部分を構成する容器口部3と、この容器口部3から下方へ向かって延びる本体部9とで構成されている。本実施形態の輸液バッグ2は、最も簡単な形態で構成されたものであり、本体部9の下側部分9aをバッグ本体7へ挿入した後、当該バック本体7の上端7aを当該下側部分9aへ熱融着することで、当該バッグ本体7にポート8が固定されている。
【0027】
図2は、密封される前の容器口部3、及びガイド部材6に弾性栓体4が設けられた状態の断面図であり、図3は、輸液容器の栓構造1を示す拡大図である。容器口部3は、本体部9よりも径の大きい略円筒形状となっており、当該容器口部3と当該本体部9間が段差状となっている。容器口部3の内周側の底部3aには、上方へ向かって突状となるリング状のシール突部3bが形成されている。容器口部3の内周部分14には、口部内方へ盛り上がるように形成された押圧部15が形成されている。この押圧部15の開口端15aから中途部15bに渡る部分は、下方へ向かうに従って径が小さくなるように形成されており、所要角度で傾斜する第1傾斜面25となっている。中途部15bの直下には、凹状の被係合部(第1被係合部)16が形成されている。被係合部16から押圧部15の底端15cに渡る部分は、下方へ向かうに従って径が小さくなるように形成されており、所要角度で傾斜する第2傾斜面26となっている。
【0028】
弾性栓体4は、熱可塑性エラストマーでインジェクション成形によって容器口部3の内周形状に略沿うように円柱形状に成形されている。本実施形態の弾性栓体4の直径寸法d1は、ポート8の本体部9の直径寸法d2よりも大きい19.2mmであり、高さ寸法hは、ガイドリング5の長さ寸法t1よりも少し大きくなっている。用いられる熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。本実施形態では、輸液バッグ2の高い密封性を得るため、形状の復元性が高く、永久圧縮歪みが小さいものを選択することが好ましい。また、熱可塑性エラストマーに添加される可塑剤や充填材は、輸液に対する溶解性の影響が少ないものを使用すべきである。なお、弾性栓体4を構成する素材は、このような熱可塑性エラストマーに限定されるものではなく、イソプレンゴムやブチレンゴム、ブタジエンゴムに代表される公知のゴム素材等、他の樹脂を用いることもできる。
【0029】
図4は、ガイド部材6と弾性栓体4の斜視図である。これらガイド部材6と弾性栓体4とで、容器口部3に装着される図2の栓体18が構成される。ガイド部材6は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、塩化ビニル等の熱可塑性を有する公知の樹脂でコンプレッション成形又はインジェクション成形によって一体的に成形されたものであり、容器口部3の上側に位置され環状に形成された環状部19と、この環状部19に設けられたガイドリング5とで構成されている。環状部19は、所要厚みで形成されており、容器口部3と同じ外径寸法、及び弾性栓体4よりも小さい内径寸法を有している。これにより、ガイド部材6が容器口部3に装着されたときに、当該容器口部3の外周面3dとガイド部材6の外周面6aとが面一となり、かつ弾性栓体4が上方へ脱落しないようになっている。
【0030】
ガイドリング5は、環状部19の下面19aの径方向中央部から下方へ向かって立設された周方向に所要間隔をおいて並ぶ8個のガイド片20からなる。各ガイド片20は、容器口部3の深さ寸法t2よりも小さい上記長さ寸法t1を有しており(図2参照)、図1及び図3のように、容器口部3に栓体18が押し入れられた状態で、当該容器口部3の底部3aよりも少し上の位置まで入り込むようになっている。
【0031】
各ガイド片20は、正面視方形状に形成されており、ガイドリング5に連続し当該各ガイド片20の約上半分をしめる薄肉部21と、この薄肉部21に連続し当該各ガイド片20の約下半分をしめる厚肉部22とで構成されている。図3等に示すように、各ガイド片20の内周面20aは、弾性栓体4の外周面4aに沿う平面状となっている。各ガイド片20の外周部分20bにおける薄肉部21と厚肉部22との境目は、段差状となっており、この段差で形成された凸状の部分が上記被係合部16と係合する係合部23となっている。
【0032】
このように形成された各ガイド片20の外周部分20bは、容器口部3の内周部分14の押圧部15に略沿うものとなっている。薄肉部21は、各ガイド片20を口部内外方向に傾倒可能とする厚みで形成されており、これにより、当該各ガイド片20は、押圧部15の開口端15a側を基端として口部内外方向に傾倒可能となっている。厚肉部22は、薄肉部21の約2倍の厚みで形成されている。また、ガイド部材6が単体の状態において、周方向に並んだ各ガイド片20が連続して形成される内周寸法d4は(図4参照)、弾性栓体4の直径寸法d1と同じか又は少し小さめとなっている。これにより、弾性栓体4を8つのガイド片20で保持可能とされている。
【0033】
次に、上記の輸液容器の栓構造1を構築することによって輸液バッグ2のバッグ本体7を密封する輸液容器の密封方法、及び各部の作用を説明する。図5は、栓体18とポート8の斜視図であり、当該栓体18を容器口部3に押し入れる状態を示している。まず、図4のように弾性栓体4を、ガイド部材6の8個のガイド片20で構成されたガイドリング5に嵌め込み、これら弾性栓体4とガイド部材6とが一体的となった図5に示す栓体18とする。この状態では、弾性栓体4は、図2のようにガイド部材6のガイドリング5に隙間なく嵌り込んでいる。次に、この栓体18を、容器口部3の押圧部15の開口端15aから内部へ向け、環状部19の上面19bを押さえるようにして、ガイド部材6の環状部19の下面19aが容器口部3の端面3cに当接するまで押し入れる。
【0034】
その際、ガイド部材6の8個のガイド片20は、まず容器口部3の押圧部15の第1傾斜面25上でスライドしていき、当該各ガイド片20の厚肉部22の全体が中途部15bを超えたところで、各ガイド片20に形成された係合部23が容器口部3の被係合部16に係合する。係合部23と被係合部16とが互いに係合した後は、圧縮された弾性栓体4の反力によって、当該係合部23は当該被係合部16から外れにくくなる。これにより、ガイド部材6及び弾性栓体4からなる栓体18が、容器口部3に固定される。栓体18が容器口部3へ入っていくに従い、各ガイド片20は口部内方へ傾倒していく。上記係合部23が被係合部16に係合した時点で、各ガイド片20は図3のように傾倒し、当該各ガイド片20は、それぞれ容器口部3の押圧部15で押圧された状態となる。
【0035】
ガイド部材6の8個のガイド片20で保持された弾性栓体4は、容器口部3の内部へ当該各ガイド片20にガイドされ、当該各ガイド片20で介した押圧部15による圧縮力の作用によって図3に示す変形状態となる。弾性栓体4は、栓体18が容器口部3へ入っていくに従い、各ガイド片20の傾倒量と共に次第に圧縮量を増大させ、当該容器口部3に入り込むと断面略逆台形状、かつその下面4bを下方へ膨らせた状態となる。
【0036】
本実施形態では、栓体18の装着が完了した状態で圧縮されている弾性栓体4の下側周縁部4cの直径d3は17.6mmとなっている。弾性栓体4の下側周縁部4cのもとの直径d1は19.2mmであり、従って、当該弾性栓体4は、下側周縁部4cの直径が1.6mm小さくなる程度まで圧縮されている。弾性栓体4が容器口部3に完全に入り込むと、当該弾性栓体4の下側周縁部4cが容器口部3のシール突部3bに押し当てられる。これにより、容器口部3がシールされ、バッグ本体7が密封される。そして、弾性栓体4には、ガイドリング5を介した容器口部3の押圧部15による圧縮力が作用し、それによる内部応力が発生する。
【0037】
上記本実施形態の輸液容器の栓構造1においては、弾性栓体4を外周から保持可能に構成されたガイドリング5で当該弾性栓体4が容器口部3の内周にガイドされ、それと共に弾性栓体4が口部内方へ向けて傾倒されたガイドリング5を介して容器口部3の押圧部15で押圧され、その圧縮力の作用によって変形状態とされ、弾性栓体4に内部応力を発生させている。上記本実施形態の輸液容器の密封方法においては、ガイド部材6のガイドリング5に弾性栓体4を保持させ、一体的となった弾性栓体4とガイド部材6を、当該弾性栓体4をガイドリング5でガイドするように容器口部3へ押し入れることで、容器口部3の押圧部15によりガイドリング5を傾倒させ、弾性栓体4を当該押圧部15による圧縮力の作用によって変形状態とし、当該弾性栓体4に内部応力を発生させている。
【0038】
弾性栓体4がガイドリング5で容器口部3の内周にガイドされるため、当該弾性栓体4のねじれ等による、引張力等の意図しない力は当該弾性栓体4にはたらかない。そのため、弾性栓体4に適正な上記圧縮力が作用した状態で当該弾性栓体4が容器口部3に装着され、弾性栓体4の耐久性も低下しない。また、本構造は、弾性栓体4を外周から容器口部3の押圧部15で押圧して圧縮する構成をもち、本方法は、弾性栓体4が外周から容器口部3の押圧部15で押圧されて圧縮されるので、当該弾性栓体4に強い圧縮力を作用させて高い内部応力を発生させることができる。これらにより、抜針後の十分な密封性を得ることができ、液漏れを起こさせないようにすることができる。さらに、弾性栓体4に高い内部応力が発生していると、当該弾性栓体4に針を刺した際の当該針への保持力が増し、当該針の脱落を防止することができる。
【0039】
上記の輸液容器の栓構造1は、容器口部3と、この容器口部3をシールする弾性栓体4と、容器口部3と弾性栓体4との間で挟持されたガイドリング5を有するガイド部材6とで構成され、このうちの弾性栓体4は、ガイドリング5によって容器口部3の内周にガイドされる。上記の輸液容器の密封方法では、ガイド部材6のガイドリング5に弾性栓体4を保持させ、一体的となった弾性栓体4とガイド部材6を、当該弾性栓体4をガイドリング5でガイドするように容器口部3へ押し入れ、当該容器口部3をシールする。そのため、弾性栓体4に引っ掛かり等が生じず、組み付け作業を簡単に行うことができる。また、金型内に成形品や樹脂を装填する作業や、成形機等の製造機器や製造条件の構築は必須とされず、そのうえ、別部材とともに容器口部に組み付ける閉栓作業も要しない。これにより、生産効率が向上し、生産コストを抑えることが可能となる。
【0040】
容器口部3の押圧部15に形成された被係合部16と、各ガイド片20に形成された係合部23とが互いに係合されるため、ガイド部材6及び弾性栓体4からなる栓体18を簡単かつ確実に容器口部3に固定することができる。容器口部3の押圧部15が、ガイドリング5で弾性栓体4を当該容器口部3の内周にガイドする際に当該ガイドリング5をスライドさせる第1、第2傾斜面25、26を有しているため、弾性栓体4を容器口部3の内周へスムーズに挿入することができ、組み付け作業を容易に行うことができる。
【0041】
ガイドリング5が、口部内外方向に傾倒可能な周方向に所定間隔をおいて並ぶ複数のガイド片20よりなるため、弾性栓体4が当該複数のガイド片20で周りから保持され、当該弾性栓体4を均等な圧縮量で周りから圧縮でき、より適正な内部応力を得ることができる。さらに、各ガイド片20が口部外方へも傾倒可能であることから、より大きな弾性栓体4を保持でき、ひいては当該弾性栓体4により強い圧縮力を作用させることができる。
【0042】
図6は、本発明の第2実施形態に係る輸液容器の栓構造30を示す断面図である。本実施形態の栓構造30が上記実施形態と異なる点は、ガイド部材31が容器口部32に融着されている点、容器口部32の内周部分33及び各ガイド片34の形状、弾性栓体35の形状である。容器口部32の上端には鍔部36が形成されており、この鍔部36に少し窪ませた融着部36aが形成されている。
【0043】
ガイド部材31の環状部37は、上記鍔部36と同じ直径寸法で形成されており、この環状部37が鍔部36の融着部36aを中心にして当該鍔部36に融着されている。これにより、ガイド部材31及び弾性栓体35をより確実に容器口部32に固定することができる。容器口部32の内周部分33の開口端33aより少し下がったところから、下方へ向かうに従って口部内方へ傾斜する傾斜面38が形成されている。
【0044】
ガイド部材31の各ガイド片34の厚肉部39は、断面円弧状に形成されている。容器口部32の押圧部40の中途部40aよりも下側の部分が、上記厚肉部39よりも上下幅で一回り大きく形成されている。弾性栓体35の下面35aには、下方へ向かって突出するリング状の接触部41が一体に形成されている。接触部41は、容器口部32の内周小径面32aに密着されている。接触部41は、栓体42を容器口部32に押し入れ、ガイドリング44で弾性栓体35を容器口部32の内周にガイドする際、先んじて当該容器口部32の上記内周小径面32aを含む内周面32nと接触し、内部への異物の侵入を防止する。これにより、閉栓作業に伴う輸液への異物の混入を抑えることができる。
【0045】
図7は、本発明の第3実施形態に係る輸液容器の栓構造50を示す断面図である。本実施形態の栓構造50が上記第2実施形態と異なる点は、弾性栓体51の形状である。弾性栓体51の下面51aには、下方へ向かって突出するリング状の接触部52が一体に形成されている。接触部52は、容器口部32の内周小径面32aに密着されている。第2実施形態と同様、接触部52は、栓体53を容器口部32に押し入れ、ガイドリング44で弾性栓体51を容器口部32の内周にガイドする際、先んじて当該容器口部32の上記内周小径面32aを含む内周面32nと接触し、内部への異物の侵入を防止する。接触部52が第2実施形態よりも長く形成されているので、当該接触部52を容器口部32の内周面32nに閉栓作業の開始直後から接触させることができる。これにより、内部への異物の侵入防止効果を向上させることができる。
【0046】
図8は、本発明の第4実施形態に係る輸液容器の栓構造60を示す断面図である。本実施形態の栓構造60が上記第1実施形態と異なる主な点は、容器口部61の内周部分62及び各ガイド片63の形状、ガイド部材64の環状部65の形状である。容器口部61の内周部分62に形成された押圧部66は、第1実施形態よりも小さい角度で傾斜しており、当該押圧部66に被係合部は設けられていない。それに伴い、各ガイド片63にも、係合部は設けられていない。その一方で、容器口部61の上端部外側には口部内方へ窪む段差状の被係合部(第2被係合部)67が形成されていると共に、ガイド部材64の環状部65には容器口部61の外側へ回り込み被係合部67と係合する口部内方へ突出する突状の係合部(第2係合部)68が形成されている。これら被係合部67と係合部68とが互いに係合していることで、ガイド部材64及び弾性栓体69からなる栓体85を簡単かつ確実に容器口部3に固定することができる。
【0047】
図9は、本発明の第5実施形態に係る輸液容器の栓構造70を示す断面図である。本実施形態の栓構造70が上記第1実施形態と異なる主な点は、容器口部71の内周部分72及び各ガイド片73の形状である。容器口部71の内周部分72に形成された押圧部74の内周には、下方に向かうに従って口部内方へ傾斜する雌ねじ部又は雄ねじ部75が形成されており、第1実施形態のような被係合部は形成されていない。各ガイド片73の厚肉部76の外周には、上記雌ねじ部又は雄ねじ部75と螺合する雄ねじ部又は雌ねじ部77が形成されている。栓体78を容器口部71へ入れるには、上記各実施形態のように押し入れるのではなく、複数のガイド片73からなるガイドリング79を、容器口部71の押圧部74に螺合させていけばよい。このような構成を採用することにより、ガイド部材80及び弾性栓体81からなる栓体78を、より安定した状態で容器口部71に固定することができる。
【0048】
上記で開示した各実施形態の輸液容器の栓構造及び輸液容器の密封方法は、本発明を例示したものであり、各部の形状、寸法等は適宜変更されるものである。例えば、上記第1実施形態では、ガイド部材と弾性栓体をそれぞれ個別に成形してから、当該ガイド部材と当該弾性栓体を組み合わせて栓体を構成しているが、インサート成形又は二色成形によってガイド部材と弾性栓体からなる栓体を得ることもできる。
【0049】
弾性栓体に射出成形できない天然ゴムや合成ゴムを用いた場合には、インサート成形によって栓体を得るのが好適である。具体的には、栓体が成形されるキャビティを構成可能な一対の金型を用いて行う。型開き状態で成形済みの弾性栓体を一方の金型に装填し、この状態で型閉じし、ガイド部材が成形されるキャビティを構成する。その後、そのキャビティにガイド部材を成形するための樹脂を注入し、冷却後、型開きし、弾性栓体及びガイド部材が一体的となった栓体を取り出す。
【0050】
弾性栓体に射出成形可能な熱可塑性エラストマーを用いた場合には、二色成形によって栓体を得るのが好適である。具体的には、回転台に設けられた2つの共通金型と、各共通金型にそれぞれ対応する、弾性栓体を成形する第1金型、及び弾性栓体を含めた形でガイド部材を成形する第2金型を用いて行う。型閉じ状態で、第1金型へ弾性栓体を成形するための熱可塑性エラストマーを注入し、型開きして、回転台を回転させる。それにより、弾性栓体が成形された一方の共通金型の位置を変えると共に、他方の共通金型を元の一方の共通金型の位置まで移動させる。型閉じし、第2金型へガイド部材を成形するための熱可塑性樹脂を注入すると共に、第1金型へ弾性栓体を成形するための熱可塑性エラストマーを注入する。その後、型開きし、第2金型から弾性栓体とガイド部材が一体となった栓体を取り出す。これを繰り返すことで、1サイクル毎に栓体が成形される。以上のように、インサート成形又は二色成形を用いることによって、弾性栓体とガイド部材を組み合わせる工程が不要となり、生産コストを低減させることができる。
【0051】
第1〜第3実施形態において、容器口部に形成される被係合部(第1被係合部)及びガイド片に形成される係合部(第1係合部)の形態は限定されるものではなく、例えば、上記実施形態とは逆形状でそれぞれ凸状、凹状のものとすることができる。第4実施形態において、容器口部に形成される被係合部(第2被係合部)及びガイド部材の環状部に形成される係合部(第2係合部)の形態は、ガイド部材を容器口部に固定可能な形状であれば限定されるものではない。
【0052】
ガイド部材、弾性栓体、容器口部の形状は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、ガイド部材、弾性栓体及び容器口部は上記各実施形態では断面円形状とされているが、断面方形状等の他の形状とすることもできる。容器口部の内周部分に形成される傾斜面の傾斜角度は、ガイド片を無理なく容器口部に挿入でき、弾性栓体を容器口部の内周へスムーズに挿入することができる角度であれば限定されるものではない。容器口部の内周部分に形成される押圧部の形状は、弾性栓体に十分な圧縮力を作用させることができる形状であれば、上記各実施形態の形状に限定されずどのような形状であってもよい。弾性栓体へ作用する圧縮力、発生させる内部応力を調整するには、容器口部の押圧部の高さや、ガイド片等からなるガイドリングの厚み、形状を変更すればよい。例えば、弾性栓体へ作用する圧縮力を強めるには、押圧部の高さをより高くしたり、ガイド片等からなるガイドリングの厚みをより厚くすればよい。
【0053】
上記各実施形態では、ガイド部材を容器口部に固定するための係合手段は、それぞれ1つのみ設けられているが、1つの実施形態に2つの係合手段を設けてもよい。例えば、図8の第4実施形態において、容器口部の内周部分の押圧部に第1実施形態のような被係合部を形成すると共に、ガイド片にその被係合部に係合する第1実施形態のような係合部を設けるようにしてもよい。弾性栓体の形状も限定されるものではなく、容器口部の形状に基づき変更するのは勿論であるが、容器口部の形状とは異形状の弾性栓体を用いて内部応力を発生させてもよい。
【0054】
弾性栓体による容器口部へのシール機構も限定されず他の構成を採用することができる。ガイドリングに関し、上記各実施形態では8つのガイド片で構成されるものとしたが、弾性栓体を保持可能且つ適正な圧縮力を作用させることができるものであれば、その形態は限定されず、ガイド片の数や形状を変更することができる。例えば、8つより小数或いは8つを超えるガイド片でガイドリングを構成することや、ガイド片を互い違いに長さや厚みを変えてもよい。本発明の輸液容器の栓構造、及び輸液容器の密封方法が適用される輸液容器は、上記で開示した輸液バッグに限られるものではなく、輸液ボトル等のように輸液を収容するためのものであればどのような容器にでも適用することが可能である。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、本発明の範囲には特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内の全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1、30、50、60、70 輸液容器の栓構造
2 輸液バッグ
3、32、61、71 容器口部
4、35、51、81 弾性栓体
5、44 ガイドリング
6、31、64 ガイド部材
8 ポート
14、33 内周部分
15、40 押圧部
16 被係合部
18 栓体
19、37、65 環状部
20、34、63 ガイド片
22、39 厚肉部
23 係合部
25 第1傾斜面
26 第2傾斜面
41、52 接触部
67 被係合部
68 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液容器の一方端で筒状に形成され、内周部分の開口端近傍に口部内方へ盛り上がるように形成された押圧部を有する容器口部と、
前記容器口部の開口端から挿入されて当該容器口部をシールする弾性栓体と、
前記弾性栓体を外周から保持可能に構成されて当該弾性栓体を前記容器口部の内周にガイドすると共に、当該容器口部の前記押圧部で押圧されることによって口部内方へ向けて傾倒され、当該容器口部と当該弾性栓体との間で挟持されたガイドリングを有するガイド部材と、を備え、
前記弾性栓体が前記ガイドリングを介した前記容器口部の押圧部による圧縮力の作用によって変形状態とされ、当該弾性栓体に内部応力が発生していることを特徴とする輸液容器の栓構造。
【請求項2】
前記容器口部の内周部分には凸状又は凹状の第1被係合部が形成されていると共に、前記ガイド部材のガイドリングの外周部分には前記第1被係合部に係合する凹状又は凸状の第1係合部が形成されており、これら第1被係合部と第1係合部とが互いに係合されていることを特徴とする請求項1に記載の輸液容器の栓構造。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記ガイドリングを前記容器口部側に有し当該容器口部の上側に位置する環状の環状部を備えており、
前記容器口部の上端部外側には口部内方へ窪む段差状の第2被係合部が形成されていると共に、前記ガイド部材の環状部には前記容器口部の外側へ回り込み前記第2被係合部と係合する口部内方へ突出する突状の第2係合部が形成されており、これら第2被係合部と第2係合部とが互いに係合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の輸液容器の栓構造。
【請求項4】
前記容器口部の押圧部は、前記ガイドリングで前記弾性栓体を当該容器口部の内周にガイドする際に当該ガイドリングをスライドさせる傾斜面を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の輸液容器の栓構造。
【請求項5】
前記ガイドリングは、前記容器口部の開口端側を基端として口部内外方向に傾倒可能な周方向に所定間隔をおいて並ぶ複数のガイド片よりなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の輸液容器の栓構造。
【請求項6】
前記容器口部と前記ガイド部材とが互いに融着されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の輸液容器の栓構造。
【請求項7】
前記弾性栓体に、前記ガイドリングで当該弾性栓体を前記容器口部の内周にガイドする際、先んじて当該容器口部の内周面と接触し内部への異物の侵入を防止する接触部が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の輸液容器の栓構造。
【請求項8】
輸液容器の容器口部をシールする弾性栓体を当該容器口部へ挿入し容器本体を密封する輸液容器の密封方法であって、
前記弾性栓体を外周から保持可能且つ口部内方へ傾倒可能なガイドリングを有するガイド部材と前記弾性栓体とを、当該ガイドリングで当該弾性栓体を保持するようにして一体的とし、前記弾性栓体を前記ガイドリングでガイドするように前記ガイド部材及び当該弾性栓体を前記容器口部へ押し入れ、前記容器口部の内周部分の開口端近傍に口部内方へ盛り上がるように形成された押圧部により前記ガイドリングを傾倒させると共に、前記弾性栓体を当該ガイドリングで介した当該押圧部による圧縮力の作用によって変形状態とし、前記弾性栓体に内部応力を発生させた状態で当該弾性栓体によって前記容器口部をシールすることを特徴とする輸液容器の密封方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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