説明

農作業機

【課題】発生した土埃が舞上るのを防止して、安全に茎葉処理できる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機1に供給部4と搬送部8を設け、供給部4から搬送部8へ玉葱が供給されたときに発生する土埃が舞上るのを防止する埃舞上り防止手段6を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫された農作物を搬送しながら茎葉等を処理する農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の農作業機は、例えば、玉葱等の農作物を供給する供給部と、供給された農作物を搬送部で搬送しながら茎葉等を処理し収容する農作業機が知られている。
【特許文献1】特開平11−89372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の農作業機では、供給部から搬送部に農作物を供給するときに、大量の農作物を供給するために土埃が発生し舞上り、人体および農作業機本体に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、土埃の舞上りを防止し、人体および農作業機本体に悪影響が及ばない農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の農作業機は、農作物を供給する供給部と、この供給部から供給された農作物を搬送する搬送部を備えた農作業機において、供給部から搬送部に農作物を供給するときに発生する埃が舞上るのを防止する埃舞上り防止手段を設けたものであり、さらに、埃舞上り防止手段は、搬送部に農作物を供給した後の供給部を供給始端側に移動させる移動装置を有しているものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の農作業機は、供給部から搬送部に農作物を供給するときに発生する埃が舞上るのを防止する埃舞上り防止手段を設けたもので、土埃が舞上ることが無くなり、人体および農作業機本体に悪影響が及ばなくなり、農作物に適切な処理ができる。さらに、埃舞上り防止手段は、搬送部に農作物を供給した後の供給部を供給始端側に移動させる移動装置を有しているので、支点越えした供給部の空コンテナを供給始端側に移動させることができるので、次の農産物が入ったコンテナと入れ替えることがスムーズにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の農作業機の一実施の形態を図1ないし図3を参照して説明する。
【実施例1】
【0008】
図1ないし図3において、1は農作業機で、この農作業機1は、茎葉を有する農作物、すなわち例えば玉葱を処理する玉葱処理機等である。
【0009】
この農作業機1は、機枠2を備え、機枠2の前側には図示しないトラクタとの連結部が設けられ、機枠2の後側には左右一対の車輪3が設けれ、トラクタの牽引により走行可能となっている。
【0010】
そして、機枠2の前端部には、供給部4が設けられ、地干し後の玉葱を収容したコンテナ5から玉葱を搬送部8に供給される。
【0011】
供給部4は、コンテナ5を保持するリフト装置41を備え、このリフト装置41は、機枠2に昇降可能かつ回動可能に取り付けられている。また、リフト装置41にはシリンダ20のロッド21が取り付けられている。
【0012】
そして、ロッド21が進出すると、リフト装置41は、玉葱を収容したコンテナ5を保持したまま上昇するとともに左右方向の軸24を中心に回動させると玉葱がコンテナ5から落下し、ガイド板25に案内されて搬送部8に供給される。
【0013】
さらに、供給部4には、玉葱がコンテナ5から落下するときに発生する土埃が舞上るのを防止する埃舞上り防止手段6が設けられている。この埃舞上り防止手段6は、フレーム61にシート62が着脱自在に取り付けられ、このシート62は土埃が舞上らないようにガイド板25の内側を上方から覆っている。さらに、埃舞上り防止手段6は、左右方向の軸63を中止に回動可能となっている。
【0014】
また、埃舞上り防止手段6は、コンテナ5から玉葱が落下することにより空になったコンテナ5とリフト装置41を供給始端側すなわちリフト装置41の回動始端側に移動させる移動装置7を有している。この移動装置7は、ガイド板25の左右にある組付部71にロッド棒72が組み付けられ、さらに、ロッド棒72に圧縮バネ73を組み付け、フレーム61にある取付部64にロッド棒72を組み付けたものである。そして、このロッド棒72には、ピン74の位置変更による圧縮バネ73の強弱調整用の穴が複数開いている。
【0015】
次に、搬送部8は、機枠2の前側から後側に向かって、波形コンベア9、振動コンベア10、カッティングコンベア30、および持上コンベア70の順に配置され構成している。
【0016】
波形コンベア9は、波形状の無端ベルトで前方が傾斜した状態で配置されており、コンテナ5から供給された玉葱を順々に後方へ搬送している。
【0017】
そして、波形コンベア9から搬送された玉葱は、振動発生装置11を備えた振動コンベア10により、茎葉が絡み合った玉葱をほぐしながら後方に搬送される。この振動コンベア10は、振動発生装置11により上下左右に振動しながら玉葱を搬送させている。
【0018】
さらに、振動コンベア10でほぐされた玉葱はカッティングコンベア30に搬送される。このカッティングコンベア30は、玉葱の茎葉を切断しながら後方に搬送させる。また、ここで切断された茎葉は落下し、搬出コンベア31により機枠2の後端部から搬出される。
【0019】
そして、茎葉が切断処理された玉葱は、持上コンベア70により上方に持ち上げられ、選別部50に搬送される。
【0020】
選別部50では、搬送ローラ51が機枠2の前方に向かって回動しており、搬送部8から搬送されてくる玉葱を作業者によって、搬送ローラ51上の玉葱を良品と不良品とに選別している。ここで、良品の玉葱は、搬送ローラ51から左右方向にスライド可能なスライドコンベア52に搬送され、機枠2の左右に一対設けられた良品用コンテナ53に収容される。
【0021】
また、不良品の玉葱は、シュート54に投入することにより、搬出コンベア55上に落下する。そして、搬出コンベア55から機枠2の左側に設けられている不良品コンテナ56に収容される。
【0022】
次に、上記一実施の形態の動作等を説明する。
【0023】
供給部4のリフト装置41の作動によりコンテナ5から搬送部8の波形コンベア9に茎葉付きの玉葱が供給される。このときに発生する土埃を埃舞上り防止手段6のシート62により、土埃が舞上るのを防止でき、選別部50にいる作業者や他の作業者が土埃を吸い込むことが無く、安全に作業することができ、さらに、埃が舞上ることが無いので、機械本体にも悪影響を及ぼすことが無い。
【0024】
また、従来、供給部4の軸24を中心にしてリフト装置41を回動させて、コンテナ5内の玉葱が落下してコンテナ5が空になる位置は、軸24の上方で支点越えをした位置である。これは、コンテナ5自体の重量がかなり重いためにリフト装置41を回動させていくと玉葱の落下とともにコンテナ5もガイド板25側に移動してしまう。そして、コンテナ5を供給始端側に戻そうとしたときに、空のコンテナ5はガイド板25上に置かれた状態で元の回動始端側に戻すことができない。
【0025】
しかしながら、本実施の形態によれば、コンテナ5から玉葱を落下させるときに、埃舞上り防止手段6のフレーム61でコンテナ5を支えながら落下させる。すると、コンテナ5内の玉葱の減少とともに、埃舞上り防止手段6に設けられた移動装置7の圧縮バネ73の反発力によって、埃舞上り防止手段6が軸63を中心にして少しずつ回動し、コンテナ5及びリフト装置41を供給始端側に押し戻すように移動させている。したがって、支点越えしてしまったコンテナ5は、コンテナ5内が空になったときには、移動装置7によって支点越えの位置よりも下方位置にリフト装置41とともに移動しているので、リフト装置41の回動によって供給始端側に戻すことが簡単にできるので、次に供給するコンテナ5との入れ替えがスムーズにできる。
【0026】
次に、搬送部8に供給された玉葱は、まず、波形コンベア9によって振動コンベア10に搬送される。この振動コンベア10の上下左右の振動が与えられながら搬送されるので、茎葉が絡み合った玉葱がほぐされ、玉葱どうしが離れた状態でカッティングコンベア30に搬送される。
【0027】
そして、カッティングコンベア30では、玉葱の茎葉を切断しながら玉葱を持上コンベア70に搬送する。このときに、切断された茎葉は、搬送コンベア31によって、機枠2の後端部から搬出される。
【0028】
さらに、持上コンベア70によって、上方に搬送された玉葱は、選別部50に搬送される。選別部50では、作業者によって、良品と不良品に選別される。
そして、良品の玉葱は、搬送ローラ51から左右方向にスライド可能なスライドコンベア52に搬送され、機枠2の左右に一対設けられた良品用コンテナ53に収容される。
【0029】
また、不良品の玉葱は、シュート54に投入することにより、搬出コンベア55上に落下し、搬出コンベア55から機枠2の左側に設けられている不良品コンテナ56に収容される。
【0030】
本実施における埃舞上り防止手段6のシート62の材質は、透明な塩化ビニールであるが、これに限らず、ポリエチレンや布でも良く、特に限定する必要も無い。また、本実施ではシート62を着脱自在にしたが、フレーム61に巻き取り式にして、必要に応じて引き出すようにしても良い。
【0031】
また、埃舞上り防止手段6の移動装置7は、圧縮バネ73の反発力でコンテナ5を移動できるようにしたが、モーターやシリンダを使用して、強制的に移動させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による農作業機の正面図である。
【図2】同農作業機の平面図である。
【図3】同農作業機の正面図の一部拡大図である。
【符号の説明】
【0033】
1 農作業機
2 機枠
4 供給部
5 コンテナ
6 埃舞上り防止手段6
7 移動装置
8 搬送部
25 ガイド板
41 リフト装置
50 選別部
61 フレーム
62 シート
63 軸
72 ロッド棒
73 圧縮バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作物を供給する供給部と、この供給部から供給された農作物を搬送する搬送部を備えた農作業機において、供給部から搬送部に農作物を供給するときに発生する埃が舞上るのを防止する埃舞上り防止手段を設けたことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
埃舞上り防止手段は、搬送部に農作物を供給した後の供給部を供給始端側に移動させる移動装置を有していることを特徴とする請求項1記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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