説明

農園芸用組成物

【課題】農薬成分、特に化学合成殺菌剤の使用量を減らしても、なおかつ高い殺菌効果を有し、環境に対してより安全性が高く病害防除作用にも優れた農園芸用組成物を提供する。
【解決手段】トリコデルマ属に属する糸状菌(例えば、Trichoderma atroviride SKT−1、又は同SKT−2、又は同SKT−3)、及び、1種または2種以上の農園芸用農薬成分(農園芸用殺菌成分、殺虫成分、植物成長調整成分から選ばれる少なくともひとつ)を含有する農園芸用病害防除組成物を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリコデルマ属に属する糸状菌と特定の化学農薬を含有し、化学農薬の施用量を減らし環境への負荷を軽減することのできる、農園芸用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
作物の病害や虫害、作物の生育に悪影響を及ぼす雑草の防除には、輪作や田畑転換、太陽熱を利用した耕種的あるいは物理的防除、化学農薬を用いる化学的防除、害虫に対するフェロモンの利用による防除、病害虫抵抗性品種の利用による防除、弱毒ウィルスや病原菌に対する拮抗微生物、害虫やダニ類、センチュウに対する天敵を用いた生物的防除等が挙げられる。これらのうち、化学農薬、特に有機合成農薬の開発研究は、近年に至るまで目覚ましく発達し、効力が高く様々な作用を有する多数の薬剤が次々と開発され、更には様々な施用法も開発された。これらを用いた化学的防除法は作物の病害虫防除並びに雑草防除に大きく貢献し、更には防除作業も大幅に省力化するため、広く普及している。
【0003】
しかしながら、これらの化学農薬は防除すべき標的以外にも、周辺環境中の生物の生存にも影響を与えることが時として起きる。このような化学農薬による環境への負荷をなるべく軽減するため、例えば、河川等の水系へ化学農薬が流出しないよう、散布の方法や量を工夫し、廃液の処理にも多大な労力を費やしている。
【0004】
また、近年は、化学農薬よりも環境への負荷が小さいと考えられる生物的防除が注目され、既に一部は実用化されている。例えば、農園芸植物の病害防除に用いる微生物として、トリコデルマ属、グリオクラディウム属、タラロマイゼス属に属する糸状菌、アグロバクテリウム属、シュードモナス属、バシルス属に属する細菌等が挙げられる。
【0005】
しかし、微生物による農園芸植物の病害防除は、その効果が十分でない場合が多い。そのため、農園芸植物の病害防除効果を有する微生物を化学農薬と併用する試みもなされているが(例えば、非特許文献1、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7)、幅広い防除対象に有効で、併用することによる相乗効果がより高い微生物と化学農薬の組み合わせが求められている。
【非特許文献1】Syst. Fungic. Antifungal Compd. 第2巻291号 257−267頁
【特許文献1】DD267420A1公報
【特許文献2】特表平6−511258号公報
【特許文献3】特開平10−109913号公報
【特許文献4】特表2005−512947号公報
【特許文献5】特開2005−29477号公報
【特許文献6】特開2006−96753号公報
【特許文献7】特願2005−171785号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、化学農薬の使用量を減らして環境への負荷を低減しても、なお高い防除効果が得られ、幅広い防除対象にも有効な、農園芸用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、トリコデルマ属に属する糸状菌と特定の化学農薬及び/又は天然農薬とを併用することにより、上記の課題が解決されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである。
【0008】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)トリコデルマ属に属する糸状菌、及び1種または2種以上の農園芸用農薬成分を含有し、植物の好ましくない病害を防除する作用を有する農園芸用組成物。
(2)農園芸用農薬成分が農園芸用殺菌成分である(1)に記載の農園芸用組成物。
(3)農園芸用殺菌成分が、ペンチオピラド、バシルス・ズブチリスより選ばれるものである(2)に記載の農園芸用組成物。
(4)農園芸用農薬成分が農園芸用殺虫成分である(1)に記載の農園芸用組成物。
(5)農園芸用殺虫成分が、フィプロニル、MEPより選ばれるものである(4)に記載の農園芸用組成物。
(6)植物の好ましくない病害を防除する作用の他に、植物に有害な害虫を防除する作用も併せもつ、(4)又は(5)に記載の農園芸用組成物。
(7)農園芸用農薬成分が農園芸用植物成長調整成分である(1)に記載の農園芸用組成物。
(8)農園芸用植物成長調整成分が、プロヘキサジオン塩、トリネキサパックエチルより選ばれるものである(7)に記載の農園芸用組成物。
(9)植物の好ましくない病害を防除する作用の他に、植物の生育、草姿や樹形、開花、着果を調節する作用の少なくともひとつの作用も併せもつ、(7)又は(8)に記載の農園芸用組成物。
(10)トリコデルマ属に属する糸状菌が、トリコデルマ・アトロビリデである(1)〜(9)のいずれかに記載の農園芸用組成物。
(11)トリコデルマ属に属する糸状菌が、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株(受託番号FERM P−16510)である(1)〜(10)のいずれかに記載の農園芸用組成物。
(12)トリコデルマ属に属する糸状菌が、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−2菌株(受託番号FERM P−16511)である(1)〜(10)のいずれかに記載の農園芸用組成物。
(13)トリコデルマ属に属する糸状菌が、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−3菌株(受託番号FERM P−17021)である(1)〜(10)のいずれかに記載の農園芸用組成物。
(14)(1)〜(13)のいずれかに記載の農園芸用組成物を植物体に処理することを特徴とする植物病害の防除方法。
(15)(4)〜(6)のいずれかに記載の農園芸用組成物を植物体に処理することを特徴とする害虫の防除方法。
(16)(7)〜(9)のいずれかに記載の農園芸用組成物を植物体に処理することを特徴とする、植物の生育、草姿や樹形、開花、着果の少なくともひとつを調節する方法。
(17)トリコデルマ属に属する糸状菌と1種または2種以上の農園芸用農薬成分を水中に懸濁させて混合液とし、その混合液を植物体に処理することを特徴とする植物病害の防除方法。
(18)トリコデルマ属に属する糸状菌と1種または2種以上の農園芸用殺虫成分を水中に懸濁させて混合液とし、その混合液を植物体に処理することを特徴とする害虫の防除方法。
(19)トリコデルマ属に属する糸状菌と1種または2種以上の農園芸用植物成長調整成分を水中に懸濁させて混合液とし、その混合液を植物体に処理することを特徴とする、植物の生育、草姿や樹形、開花、着果の少なくともひとつを調節する方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の農園芸用組成物は、有効成分である微生物と化学農薬及び/又は天然農薬との相乗効果が高く、化学農薬や天然農薬の処理量を減らしても幅広い対象病害に高い防除効果が得られるため、環境への負荷が小さくできる。更に、有効成分として殺虫成分や植物成長調整成分を含む本発明組成物は、病害防除効果と同時に害虫防除効果や作物の成長調整効果も得られるため、農作業の省力化に資する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の農園芸用組成物は、トリコデルマ属に属する糸状菌を有効成分のひとつとして含有する。
【0011】
本発明に用いるトリコデルマ属に属する糸状菌としては、トリコデルマ属に属する糸状菌であれば特に制限されないが、好ましくは植物病原菌と拮抗するトリコデルマ属に属する糸状菌が挙げられ、その中でもより好ましくはトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−2菌株、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−3菌株が例示される。
【0012】
これらの菌株は、特開平11−225745号公報に記載の通り、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株は芝(ノシバ)根圏から分離した菌株、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−2菌株はサラダナ根圏から分離した菌株、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−3菌株は前記トリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株の変異を誘発させて得られた殺菌剤ベノミル高度耐性変異菌であり、それぞれ独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおいて、Trichoderma atroviride SKT−1菌株(FERM P−16510)、Trichoderma atroviride SKT−2菌株(FERM P−16511)、Trichoderma atroviride SKT−3菌株(FERM P−17021)として寄託されている。
【0013】
これらのトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−2菌株、及びトリコデルマ・アトロビリデ SKT−3菌株は、以下の性質を有する。
【0014】
(1)培地上での性質
ポテトデキストロース培地(PDA:ジャガイモ200.0g、グルコース20.0g、寒天20.0g、蒸留水1000ml)上及び2%麦芽エキス培地(麦芽エキス20.0g、寒天20.0g、蒸留水1000ml)上での生育は良好で、菌糸伸長は早い。はじめ気生菌糸少なく白色、しだいに羊毛状の気生菌糸を生じ、分生子形成に従って緑色〜暗緑色となる。
【0015】
(2)形態的性質
分生子柄は気生菌糸より生じ、多くは綿毛状にかたまる。輪生状或るいは不規則に分枝、各分枝は下方のものほど伸びて分枝をくりかえし、全体としては円すい形を呈する。各分枝はほぼ直角に分かれ先端はフィアライドとなる。フィアライドは分生子柄先端に2〜4個(平均3個)が規則正しく対生または輪生し、フィアライド先端は細くなる。分生子はフィアライド頂端に塊状に形成される。球形〜亜球形で表面は平滑であり、SKT−1菌株、SKT−3菌株は2.5〜4.0×2.5〜3.5μm、SKT−2菌株は3.0〜4.0×2.7〜3.5μmである。
【0016】
(3)生理学的性質
生育温度は10〜35℃であり、最適温度は25℃付近である。pH4.0〜8.0の間で生育可能であり、最適pHは5.0〜7.0である。
【0017】
本発明の農園芸用組成物は、上記のように植物病害を防除できるトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−2菌株、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−3菌株のいずれか1種又は2種以上を含有するものである。また、それらの菌株の変異体を用いることも可能である。変異体は、上記菌株の糸状菌学的特性を有し、植物病害防除作用を有するものであり、自然突然変異株、紫外線や化学変異剤を用いての突然変異株、また細胞融合株および遺伝子組み替え株も利用が可能である。
【0018】
本発明に用いる菌体は、上記トリコデルマ属に属する糸状菌の培養物から得られる。トリコデルマ属に属する糸状菌の培養は、例えば往復式振とう培養、ジャーファーメンター培養、培養タンク等の液体培養や固体培養等、トリコデルマ属に属する糸状菌の通常の培養方法に準じて行うことができる。例えば麦芽エキス培地など一般的な培地の他、グルコース、ペプトン、イーストエキスを含む培地などが挙げられる。また液体培地以外に寒天入りの斜面培地および平板培地等の固体培地を用いてもよい。培養によってトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−2菌株、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−3菌株を増殖させて、所望の菌体量を得ることができる。
【0019】
培地の炭素源としては、上記菌株が同化しうるあらゆるものが利用可能である。例えばグルコース、ガラクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、麦芽エキス、澱粉加水分解物などの糖の外に、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−2菌株、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−3菌株が利用し得る各種の合成または天然炭素源をあげることができる。培地の窒素源として、同様に、ペプトン、肉エキス、酵母エキスなどの有機窒素含有物をはじめ、該菌株が利用し得る各種の合成又は天然物も利用可能である。微生物培養の常法に従って、食塩、リン酸塩などの無機塩類、カルシウム、マグネシウム、鉄などの金属の塩類、ビタミン、アミノ酸などの微量栄養源も必要に応じて添加することができる。
【0020】
培養は、振とう培養、通気培養、静置培養などの好気的条件下で行うことができる。培養温度は20〜30℃、好ましくは25〜30℃、pHは4〜8、好ましくは5〜7、培養期間は1〜14日、好ましくは3〜10日が適当である。
【0021】
上記のようにして得られたトリコデルマ属に属する糸状菌の培養物より菌体を分離する方法としては、膜分離、遠心分離、濾過分離等の方法を用いて行うことができる。得られた芽胞画分は、そのままある程度の水分を含んだ状態で本発明の農園芸用組成物に用いることも、また、必要に応じて凍結乾燥、スプレードライ等の乾燥法を用いて乾燥物として本発明の農園芸用組成物に用いることが可能である。
【0022】
上記したように、本発明において、トリコデルマ属に属する糸状菌としては、分離した菌体自体、分生胞子等の胞子体自体(いずれも、乾燥又は湿潤状態を問わない)が使用できるほか、これらの含有物も使用できる。含有物としては、糸状菌の懸濁液、ないし培養液、又はその処理物(濃縮物、乳化物、ペースト化物、乾燥物、希釈物等)が例示される。
【0023】
本発明は、トリコデルマ属に属する糸状菌による植物病害防除作用が農園芸用農薬成分との併用によって相乗的に増強されることを新たに見出し、この有用新知見に基づいて完成されたものである。
【0024】
本発明においては、農園芸用農薬成分が農園芸用殺菌成分の場合、相乗的に殺菌作用が増強される点できわめてすぐれているだけでなく、全く予期せざることに、本来、殺菌作用を有しないないしは非常に低い農園芸用農薬成分である、農園芸用殺虫成分や農園芸用植物成長調整成分を糸状菌胞子と併用した場合においても、相乗的に殺菌作用が増強されることをはじめて見出した点で、きわめて新規にしてユニークであり、卓越している。殺菌剤の作用効果が殺虫剤及び/又は植物成長調整剤との併用によって相乗的に高められることは、きわめて画期的にして特徴的である。
【0025】
したがって、本発明は、更に、次のような植物病害防除作用を有する農園芸用組成物に係る発明も包含するものである。すなわち、トリコデルマ属菌の胞子を(A)とし、農園芸用農薬成分を(B)とし、更に(B)の内、農園芸用殺菌成分、同殺虫成分、同植物成長調整成分をそれぞれ(B−1)、(B−2)、(B−3)とした場合、本発明は、次のような植物病害防除用農園芸用組成物も提供するものである。
【0026】
I: (A)+(B)
II: (A)+(B−1)
(A)+(B−2)
(A)+(B−3)
III: (A)+(B−1)+(B−2)
(A)+(B−1)+(B−3)
(A)+(B−2)+(B−3)
(A)+(B−1)+(B−2)+(B−3)
【0027】
また、農藥成分として殺虫成分や植物成長調整成分を使用した場合には、植物病害防除作用のほか、殺虫作用や植物成長調整作用も併せ奏される。
【0028】
本発明において用いる農園芸用農薬成分は、トリコデルマ属に属する糸状菌の菌体、胞子、それらの含有物(本発明において、糸状菌は、菌体、胞子、それらの含有物を広く包含するものである。)との併用で、相乗的な防除効果が得られる。この農園芸用農薬成分は市販されているか、または農園芸用農薬として知られた成分であり、これらの成分は日本植物防疫協会発行の農薬ハンドブック(2002年)、日本植物防疫協会発行の農薬要覧(2005年)、全国農業協同組合連合会発行のクミアイ農薬総覧(2005年)及び同連合会発行のSHIBUYA INDEX(2005年)などで知られる。
【0029】
使用できる農園芸用農薬成分には、殺菌成分、殺虫成分、殺ダニ成分、殺線虫成分、除草成分、植物成長調整成分等をあげることができる。殺菌成分の具体例としては、例えばアシベンゾラルSメチル、アゾキシストロビン、アミスルブロム、イソチアニル、イソプロチオラン、イプコナゾール、イプロジオン、イプロバリカルブ、イプロベンホス、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、イミベンコナゾール、エクロメゾール、エジフェンホス、エタボキサム、エディフェンホス、オキサジキシル、オキシテトラサイクリン、オキスポコナゾールフマル酸塩、オキソリニック酸、オリサストロビン、カスガマイシン、カプタホール、カルプロパミド、カルベンダゾール、キノキシフェン、キノメチオネート、キャプタン、キントゼン、グアザチン、クレソキシムメチル、クロロネブ、クロロタロニル、シアゾファミド、ジエトフェンカルブ、ジクロシメット、ジクロメジン、ジチアノン、ジネブ、ジフェノコナゾール、シフルフェナミド、ジフルメトリム、シプロコナゾール、シプロジニル、シメコナゾール、ジメトモルフ、シモキサニル、ジモキシストロビン、ジラム、ストレプトマイシン、ゾキサミド、ダゾメット、チアジアジン、チアジニル、チアベンダゾール、チウラム、チオファネートメチル、チフルザミド、テクロフタラム、テトラコナゾール、テブコナゾール、トリアジメホン、トリシクラゾール、トリフルミゾール、トリフロキシストロビン、トリホリン、トルクロホスメチル、トルニファニド、バリダマイシン、ピコオキシストロビン、ビテルタノール、ヒドロキシイソキサゾール、ヒメキサゾール、ピリフェノックス、ピリブチカルブ、ピリベンカルブ、ピリメタニル、ピロキロン、ビロクロストロビン、ビンクロゾリン、ファモキサドン、フェナジンオキシド、フェナミドン、フェナリモル、フェノキサニル、フェリムゾン、フェンブコナゾール、フェンヘキサミド、フォルペット、フサライド、ブラストサイジンS、フラメトピル、フルアジナム、フルオキサストロビン、フルオピコリド、フルオルイミド、フルジオキソニル、フルスルファミド、フルトラニル、プロキナジド、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ塩酸塩、プロピコナゾール、プロピネブ、プロベナゾール、ヘキサコナゾール、ベノミル、ペフラゾエート、ペンシクロン、ベンチアバリカルブイソプロピル、ベンチオピラド、ボスカリド、ホセチル、ポリオキシン、ポリカーバメート、ホルペット、マンジプロパミド、マンゼブ、マンネブ、ミクロブタニル、メタラキシル、メトミノストロビン、メトラフェノン、メパニピリム、メフェノキサム、メプロニル、銀またはその化合物、無機銅化合物、有機銅化合物、硫黄化合物、有機亜鉛、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、脂肪酸グリセリド、シイタケ菌糸体抽出物、微生物農薬のエルビニア属細菌、シュードモナス属細菌、バシルス属細菌、タラロマイセス属菌、トリコデルマ属菌、フザリウム属菌より選ばれるものが使用できる。ここでいう銀またはその化合物としては、例えば金属銀、硝酸銀、塩化銀、弗化銀等をあげることができる。また、無機銅化合物としては、例えば塩基性硫酸銅、無水硫酸銅、水酸化第二銅、塩基性塩化銅等を、有機銅化合物としては、例えば有機銅、グルコン酸銅、テレフタル酸銅、ノニルフェノールスルホン酸銅、DBEDC等をあげることができる。
【0030】
殺虫成分、殺ダニ成分、殺線虫成分の具体例としては、例えば1.3ジクロロプロペン(1.3−D)、BPMC、BPPS、BRP、CL900167、cryolite、CVMP、CYAP、DCIP、D−D、DDVP、DEP、DMTP、ECP、EPN、MEP、MIPC、MPP、NAC、N−メチルジチオカルバミン酸アンモニウム(NCS)、NNI−0101、PAP、PHC、RU15525、XDE−175、XMC、ZXI8901、アクリナトリン、アザメチホス、アジンホス・エチル、アジンホス・メチル、アセキノシル、アセタミプリド、アセトプロール、アセフェート、アゾシクロチン、アバメクチン、アミトラズ、アラニカルブ、アルジカルブ、アルファ−シペルメトリン、アレスリン、イソカルボホス、イソキサチオン、イソプロカルブ、イミシアホス、イミダクロプリド、イミプロトリン、インドキサカルブ、エスフェンバレレート、エチオフェンカルブ、エチオン、エチプロール、エチルチオメトン、エトキサゾール、エトフェンプロックス、エトプロホス、エマメクチン、エンドスルファン、エンペントリン、オキサミル、オキシジメトン・メチル、オメトエート、オレイン酸ナトリウム、カーバム、カーバムナトリウム、カズサホス、カデスリン、カルタップ、カルバリル、カルボスルファン、カルボフラン、ガンマ・シハロトリン、キシリルカルブ、キナルホス、キノプレン、キノメチオネート、クマホス、クロチアニジン、クロフェンテジン、クロマフェノイド、クロルエトキシホス、クロルデン、クロルピクリン、クロルピリホス、クロルピリホス・メチル、クロルフェナピル、クロフェンテジン、クロルフェンビンホス、クロルフルアズロン、クロマフェノジド、クロルメホス、サノピラフェン、シアノホス、ジアフェンチウロン、ジエノクロル、ジクロトホス、シクロプロトリン、ジクロルボス、ジスルホトン、ジノテフラン、シハロトリン、シフェノトリン、シフルトリン、ジフルベンズロン、シフルメトフェン、シヘキサチン、シペルメトリン、ジメチルビンホス、ジメトエート、シラフルオフェン、シロマジン、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロテトラマト(スピロテトラマト)、スピロメシフェン、スルプロホス、スルホテップ、ゼタ・シペルメトリン、ダイアジノン、タウフルバリネート、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオシクラム、チオスルタップ、チオファノックス、チオメトン、テトラクロルビンホス、テトラジホン、テトラメスリン、テブピリムホス、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルトリン、テフルベンズロン、デメトン・S・メチル、テメホス、デリス、デルタメトリン、テルブホス、トラロメトリン、トランスフルトリン、トリアザメート、トリアゾホス、トリクロルホン、トリフルムロン、トリメタカルブ、トルフェンピラド、ナトリウム=メチルジチオカルバマート、ナレッド、ニテンピラム、ネマデクチン、ノバルロン、ノビフルムロン、ハイドロプレン、バミドチオン、パラチオン、パラチオン・メチル、ハルフェンプロックス、ハロフェノジド、ビオアレトリン、ビオレスメトリン、ビストリフルロン、ピダフェンチオン、ビフェナゼート、ビフェントリン、ピメトロジン、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、ピリダベン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、ピリミカルブ、ピリミジフェン、ピリミホスメチル、ピレトリン、ファムフル、フィプロニル、フェナザキン、フェナミホス、フェニソブロモレート、フェニトロチオン、フェノキシカルブ、フェノチオカルブ、フェノトリン、フェノブカルブ、フェンチオン、フェントエート、フェンバレレート、フェンピロキシメート、フェンブタンチン・オキシド、フェンプロパトリン、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、ブプロフェジン、フラチオカルブ、プラレトリン、フルアクリピリム、フルシクロクスウロン、フルシトリネート、フルスルファミド、フルバリネート、フルピラゾホス、フルフェノクスウロン、フルベンジアミド、フルメトリン、フルリムフェン(フルフェネリム)、プロチオホス、フロニカミド、プロパホス、プロピキスル、プロフェノフォス、プロペタムホス、ブロモプロピレート、ベータ−シペルメトリン、ベータ・シフルトリン、ヘキサフルムロン、ヘキシチアゾクス、ヘプテノホス、ペルメトリン、ベンスルタップ、ベンゾエピン、ベンダイオカルブ、ベンフラカルブ、ホキシム、ホサロン、ホスチアゼート、ホスファミドン、ホスメット、ホルメタネート、ホレート、マシン油、マラチオン、ミルベメクチン、メカルバム、メスルフェンホス、メソミル、メタアルデヒド、メタフルミゾン、メタミドホス、メチオカルブ、メチダチオン、メチルイソチオシアネート、メトキシフェノジド、メトトリン、メトプレン、メトルカルブ、メビンホス、モノクロトホス、ラムダ・シハロトリン、リナキシピル、ルフェヌロン、レスメトリン、レピメクチン、ロテノ、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、硫酸ニコチン、塩酸レバミゾール、酸化エチレン、酸化フェンブタスズ、脂肪酸グリセリド、酒石酸モランテル、なたね油、デンプン、大豆レシチン、BT、バーティシリウム・レカニ、パスツーリアペネトランスより選ばれるものが使用できる。ここでいうBT剤とは細菌のBacillus thuringiensisを利用した農薬の総称であり、菌の産生する結晶タンパク、生菌胞子、その両方の混合物があるが、本発明ではそのいずれも用いることができる。
【0031】
除草成分の具体例としては、例えば2,3,6−TBA、2,4−D、2,4−DB、2,4−PA、ACN、CAT、DBN、DCBN、DCMU、DCPA、DNOC、DPA、EPTC、HC−252、IPC、KIH−485、MCPA、MCPA・イソプロピルアミン塩、MCPA・エチル、MCPA・ナトリウム、MCPA・チオエチル、MCPB、MCPP、MDBA、MDBA・イソプロピルアミン塩、MDBA・ナトリウム塩、PAC、SAP、S−メトラクロール、TCTP、TM−435、アイオキシニル、アクロニフェン、アシフルオルフェン、アジムスルフロン、アシュラム、アセトクロール、アトラジン、アニロホス、アミカルバゾン、アミドスルフロン、アミトロール、アミノピラリド、アミプロホスメチル、アメトリン、アラクロール、アロキシジム、アンシミドール、イオドスルフロン、イソウロン、イソキサフルトール、イソキサベン、イソプロツロン、イマザキン、イマザピル、イマザメタベンズ、イマザメメタピル(イマザピク)、イマザモックス、イマゼタピル、イマゾスルフロン、インダノファン、エスプロカルブ、エタメトスルフロン・メチル、エタルフルラリン、エトキシスルフロン、エトフメセート、エトベンザニド、エンドタール二ナトリウム、オキサジアゾン、オキサジアルギル、オキサジクロメホン、オキサスルフロン、オキシフルオルフェン、オリザリン、オルベンカルブ、カフェンストロール、カルフェントラゾン・エチル、カルブチレート、カルベタミド、キザロホップ・P、キザロホップ・P・エチル、キザロホップ・P・テフリル、キザロホップ・エチル、キノクラミン、キンクロラック、キンメラック、クミルロン、グリホサート、グリホサート・アンモニウム塩、グリホサート・イソプロピルアミン塩、グリホサート・カリウム塩、グリホサート・トリメシウム塩(スルホセート)、グリホサート・ナトリウム塩、グルホシネート、グルホシネートナトリウム塩、クレトジム、クロジナホップ、クロピラリド、クロマゾン、クロメプロップ、クロランスラム・メチル、クロリダゾン、クロリムロン・エチル、クロルスルフロン、クロルタル・ジメチル、クロルフタリム、クロルプロファム、クロルメコート、クロロトルロン、シアナジン、ジウロン、ジカンバ、シクロエート、シクロキシジム、ジクロスラム、シクロスルファムロン、ジクロベニル、ジクロホップ・メチル、ジクロルプロップ、ジクロルプロップ−P、ジクワット、ジチオピル、シデュロン、ジニトラミン、シニドン・エチル、シノスルフロン、ジノテルブ、シハロホップ・ブチル、ジフェナミド、ジフルフェニカン、ジフルフェンゾピル、ジフルメトリム、シマジン、ジメタクロール、ジメタメトリン、ジメテナミド、シメトリン、ジメピペレート、ジメフロン、シンメチリン、スルコトリオン、スルフェントラゾン、スルホスルフロン、スルホメツロン・メチル、セトキシジム、ターバシル、ダイムロン、チアゾピル、チエンカルバゾン、チオカルバジル、チオベンカルブ、チジアズロン、チフェンスルフロン・メチル、デシルアルコール、デスメディファム、テトラピオン、テニルクロール、テブチウロン、テプラロキシジム、テフリルトリオン、テルブチラジン、テルブトリン、テルブメトン、テンボトリオン、トプラメゾン、トラルコキシジム、トリアジフラム、トリアスルフロン、トリアレート、トリエタジン、トリクロピル、トリスルフロン・メチル、トリトスルフロン、トリフルラリン、トリフロキシスルフロン・ナトリウム塩、トリベニュロン・メチル、ナプタラム、ナプロアニリド、ナプロパミド、ニコスルフロン、ネブロン、ノルフルラゾン、パラコート、ハロキシホップ、ハロキシホップ・P、ハロキシホップ・P・メチル、ハロスルフロン・メチル、ビアラホス、ピキサデン、ピクロラム、ピコリナフェン、ビスピリバック・ナトリウム塩、ビフェノックス、ピラクロニル、ピラスルホトール、ピラゾキシフェン、ピラゾスルフロン・エチル、ピラゾリネート(ピラゾレート)、ビラナホス、ピラフルフェン・エチル、ピリチオバック・ナトリウム塩、ピリデート、ピリフタリド、ピリブチカルブ、ピリベンゾキシム、ピリミスルファン、ピリミスルフロン・メチル、ピリミノバックメチル、ピロキシスラム、フェノキサプロップ・P・エチル、フェノキサプロップ・エチル、フェンクロリム、フェントラザミド、フェンメディファム、フォラムスルフロン、ブタクロール、ブタフェナシル、ブタミホス、ブチレート、ブトラリン、ブトロキシジム、フラザスルフロン、フラムプロップ・M、フルアジホップ、フルアジホップ・P、フルオメツロン、フルオログリコフェン、フルカルバゾン・ナトリウム塩、フルセトスルフロン、フルチアセット・メチル、フルピルスルフロン、フルフェナセット、フルポキサム、フルミオキサジン、フルミクロラック・ペンチル、フルメツラム、フルルプリミドール、フルロキシピル、プレチラクロール、プロジアミン、プロスルフロン、プロスルホカルブ、プロパキザホップ、プロパクロール、プロパジン、プロパニル、プロピザミド、プロピソクロール、プロファム、プロポキシカルバゾン、プロポキシカルバゾン・ナトリウム塩、プロホキシジム、ブロマシル、プロメトリン、プロメトン、ブロモキシニル、ブロモブチド、フロラスラム、ヘキサジノン、ベスロジン、ペトキサミド、ベナゾリン、ペノキススラム、ペブレート、ベンズフェンジゾン、ベンスリド、ベンスルフロン・メチル、ベンゾビシクロン、ベンゾフェナップ、ベンタゾン、ペンタノクロール、ベンチオカーブ、ペンディメタリン、ペントキサゾン、ベンフルラリン、ベンフレセート、ホメサフェン、ホルクロルフェニュロン、マレイン酸ヒドラジド、メコプロップ、メコプロップ−P・カリウム塩、メソスフロン・メチル、メソトリオン、メタザクロール、メタベンズチアズロン、メタミトロン、メタミホップ、メチルダイムロン、メトキスロン、メトスラム、メトスルフロン・メチル、メトベンズロン、メトラクロール、メトリブジン、メピコート・クロリド、メフェナセット、モノリニュロン、モリネート、ラクトフェン、リニュロン、リムスルフロン、レナシル、ザントモナス・キャンペストリス、ドレクスレラ・モノセラスより選ばれるものが使用できる。
【0032】
植物成長調整成分の具体例としては、例えばアブシジン酸、イナベンフィド、インドール、ウニコナゾールP、エチクロゼート、エテホン、オキシン硫酸塩、ギ酸カルシウム、クロキシホナック、クロルメコート、コリン、シアナミド、ジクロルプロップ、ジベレリン、ダミノジッド、デシルアルコール、ブトルアリン、トリネキサパックエチル、パクロブトラゾール、パラフィン、ピラフルフェンエチル、ブトルアリン、フルルプリミドール、プロヒドロジャスモン、プロヘキサジオンカルシウム塩、ベンジルアミノプリン、ペンディメタリン、ホルクロルフェニュロン、マレイン酸ヒドラジド、メピコートクロリド、ワックス、MCPA・チオエチル、MCPB、1−ナフチルアセトアミド、4−CPA、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、過酸化カルシウム、クロレラ抽出物、混合生薬抽出物より選ばれるものが使用できる。
【0033】
本発明に用いることのできるバシルス・ズブチリスは特に限定されないが、一例として、微生物農薬エコショット(登録商標)として市販されているバシルス・ズブチリス D747菌株を挙げることができる。バシルス・ズブチリス D747菌株は、特開2003−219863号公報にバシルスsp. D747菌株として記載されている菌株と同一であり、現在、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターにおいて、Bacillus sp. D747(受託番号FERM BP−8234)として国際寄託されている。
【0034】
本発明の農園芸用組成物は、通常の微生物製剤の製造方法に従って、上記トリコデルマ属に属する糸状菌及び上記農園芸用農薬成分を、必要に応じて界面活性剤、その他の補助剤を加えた製剤として用いてもよい。具体的な製剤例としては、粒剤、粉剤、水和剤、懸濁製剤、乳剤、塗布剤等の剤型があげられる。好ましい担体の例としては、タルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボン、バーミキュライト、消石灰、珪砂、硫安、尿素、多孔質鉱物質などの固体担体、水、イソプロピルアルコール、キシレン、シクロヘキサノン、メチルナフタレン、アルキレングリコール、などの液体担体等があげられる。界面活性剤および分散剤としては、例えばジナフチルメタンスルホン酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ポリオキシエチレングリコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレート等があげられる。補助剤としては、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、アラビアゴム、キサンタンガム等、保護剤としてはスキムミルク、pH緩衝剤等があげられる。この場合、トリコデルマ属に属する糸状菌及び/又はその培養物の量、さらには適用時期および適用量は上記生菌の場合に準じて適宜決定することができる。
【0035】
本発明の農園芸用組成物は、施用形態により、藻菌類(Oomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)、接合菌類(Zygomycetes)、及び不完全菌類(Deuteromycetes)に属する菌類、および細菌類に起因する植物の病害を防除することができる。
【0036】
本発明の農園芸用組成物が防除することのできる植物の病原菌として、具体的にはシュードペロノスポラ(Pseudoperonospora)属菌、例えばキユウリべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)、ベンチュリア(Venturia)属菌、例えばリンゴ黒星病菌(Venturia inaequalis)、エリシフエ(Erysiphe)属菌、例えばコムギうどんこ病菌(Erysiphe graminis)、ピリキュラリア(Pyricularia)属菌、例えばイネいもち病菌(Pyricularia oryzae)、ボトリチス(Botrytis)属菌、例えばキュウリ灰色かび病菌(Botrytis cinerea)、リゾクトニア(Rhizoctonia)属菌、例えばイネ紋枯病菌(Rhizoctonia solani)、クラドスポリウム(Cladosporium)属菌、例えばトマト葉かび病菌(Cladosporium fulvum)、コレトトリカム(Colletotrichum)属菌、例えばイチゴ炭そ病菌(Colletotrichum fragariae)、パクシニア(Puccinia)属菌、例えばコムギ赤さび病菌(Puccinia recondita)、セプトリア(Septoria)属菌、例えばコムギふ枯病菌(Septoria nodorum)、スクレロティニア(Sclerotinia)属菌、例えばキュウリ菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)、ピシウム(Pythium)属菌、例えばキュウリ苗立枯病菌(Pythium debaryanum Hesse)、ゲウマノマイセス(Gaeumannomyces)属菌、例えばコムギ立枯病菌(Gaeumannomyces graminis)、フザリウム(Fusarium)属菌、例えばイネばか苗病菌(Fusarium moniliforme)、また細菌として、バークホルデリア(Burkholderia)属菌、例えばイネ苗立枯細菌病菌(Burkholderia plantarii)、アシドボラックス(Acidovorax)属菌、例えばイネ褐条病菌(Acidovorax avenae)などをあげることができるが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。
【0037】
また、本発明の農園芸用組成物のうち殺虫成分を含むものが防除することのできる植物の害虫として、具体的にはアワヨトウ、イネヨトウ、フタオビコヤガ、タマナヤガ、ワタアカキリバ、オオタバコガ、シロイチモジヨトウ、ハスモンヨトウ、カブラヤガ、ヨトウガ、タマナギンウワバ、ニカメイガ、コブノメイガ、サンカメイガ、ナシオオシンクイ、ハイマダラメイガ、マメノメイガ、イネツトムシ、ワタアカミムシ、ジャガイモガ、ノシメマダラメイガ、チャノコカクモンハマキ、キンモンホソガ、ミカンハモグリガ、ブドウホソハマキ、ナシヒメシンクイ、マメシンクイガ、モモシンクイガ、ブドウスカシバ、チャノホソガ、コナガ、イガ等の鱗翅目害虫;タバココナジラミ、オンシツコナジラミ、ミカントゲコナジラミ、ワタアブラムシ、ユキヤナギアブラムシ、リンゴワタムシ、モモアカアブラムシ、ダイコンアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、マメアブラムシ、コミカンアブラムシ、ミカンクロアブラムシ、ブドウネアブラムシ、ムギミドリアブラムシ、ジャガイモヒゲナガアブラムシ、チャノミドリヒメヨコバイ、フタテンヒメヨコバイ、ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ、シロオオヨコバイ、ルビーロウムシ、オリーブカタカイガラムシ、サンホーゼカイガラムシ、リンゴカキカイガラムシ、アカマルカイガラムシ、アカホシマルカイガラムシ、ヤノネカイガラムシ、クワコナカイガラムシ、ミカンコナカイガラムシ、イセリアカイガラムシ、リンゴキジラミ、ミカンキジラミ、ミナミアオカメムシ、ホソヘリカメムシ、ナシグンバイ等の半翅目害虫;イネミズゾウムシ、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、コロラドハムシ、テンサイトビハムシ、Diabrotica spp.、クリヤケシキスイ、ニジュウヤホシテントウ、インゲンマメゾウムシ、アズキゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシ、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ、マメコガネ、ゴマダラカミキリ、タバコシバンムシ、ヒメマルカツオブシムシ、コクヌストモドキ、ヒラタキクイムシ等の鞘翅目害虫;ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、チャノホコリダニ、ミカンサビダニ、ニセナシサビダニ等のダニ目害虫などをあげることができるが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。
【0038】
更に、本発明の農園芸用組成物のうち植物成長調整成分を含むものは、例えば、植物の生育を調整し、草姿や樹形をより好ましいものに変えたり、開花や着果の調節、作物の発根促進、成長促進、果実の肥大、種なし化、開花促進あるいは、作物の背丈を抑えて形を整えたり、倒伏を防止することなどをあげることができるが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。
【0039】
本発明の農園芸用組成物を施用される作物としては、穀類(例えば、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ、ソバ)、イモ類(例えば、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモ)、マメ類(例えば、ダイズ、インゲン、アズキ、エンドウ)、野菜類(例えば、ウリ類、トマト、ナス、ピーマン、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、レタス、ニンジン、ネギ、タマネギ、イチゴ、ホウレンソウ、セロリ)、果樹(例えば、リンゴ、ナシ、オウトウ、モモ、ブドウ、カキ、カンキツ類、キウイ)、特用作物(例えば、ワタ、ナタネ、ヒマワリ、ビート、サトウキビ、タバコ)、芝、樹木、観賞用植物(例えば、バラ、キク、チューリップ、カスミ草、トルコキキョウ、等)などをあげることができるが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。また、本発明の農園芸用組成物は、遺伝子組み換え等の技術により形質転換された作物にも同様に使用できる。
【0040】
本発明の農園芸用組成物は、そのまま直接施用するか、あるいは水などで希釈して施用することができる。そのまま直接施用する場合は、粉剤を直接植物に散布する方法、塗布剤を植物の一部分に塗布する方法、粉剤や粒剤を土壌に散布する方法、粉剤や粒剤を土壌に混和する方法、粉剤を種子や塊茎に粉衣する方法、懸濁製剤を種子や塊茎に塗沫する方法、粒剤や懸濁製剤を水田の田面水中に散布する方法などがあげられるが、これらに限定されるものではない。水などで希釈して施用する場合は、水和剤、粒剤、懸濁製剤、乳剤などを、使用に適する濃度になるよう水で希釈し、その懸濁液を植物に散布する方法、植物の一部分に塗布する方法、土壌に散布する方法、土壌に潅注する方法、種子や塊茎を浸漬する方法、種子や塊茎に塗沫する方法、水田の田面水中に散布する方法などがあげられるが、やはりこれらに限定されるものではない。なお、本発明の農園芸用組成物を施用するために希釈する水には、必要に応じて展着剤、肥料、他の農薬を添加していても良い。更に、本発明の農園芸用組成物は他の殺菌剤、殺虫剤、殺線虫剤、除草剤、植物成長調整剤、肥料、土壌改良資材等と混合施用、交互施用、または同時施用することも可能である。
【0041】
本発明の農園芸用組成物の施用量は、病害虫の種類、適用植物の種類、剤型等によって異なるため、一概に規定できないが、例えば水などで希釈した懸濁液を使用する場合には、胞子濃度として102〜1011cfu(コロニー形成単位)/mlであり、好ましくは104〜1010cfu/mlである。施用量は、例えば植物や土壌に散布したり、土壌に潅注する場合は、10アール当り懸濁液を0.5〜1000リットル施用するのが好ましい。また、例えば種子や塊茎を浸漬する場合は、種子や塊茎1kg当り懸濁液を0.5〜10リットル使用するのが好ましい。
【実施例】
【0042】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
(製造例1:トリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株の乾燥胞子の製造)
3%精糖蜜、0.5%脱脂大豆、0.1%KH2PO4、0.05%MgSO4・7H2O、0.05%KCl、0.001%FeSO4・7H2O、pH無調整の培地にトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株を接種し、27℃で48時間振とう培養を行った。培地全体に菌糸が広がったのを確認し、この培養物をアルミのバットに広げ、そのまま27℃で空気を送りながら液体静置培養を行った。液体静置培養を1週間行うと、振とう培養で得られた菌糸は空気との接触面一面に分生子を形成した。これを水抜き、風乾、もしくは乾燥を行うことにより、菌糸はアルミのバットに粘着した。引き続き、分生子の水分含量が1〜20%になるまで乾燥し、この状態の培養物から乾燥胞子を取得した。この乾燥胞子は2×1010cfu/g以上含むものである。
【0044】
(製造例2:トリコデルマ・アトロビリデ SKT−2菌株の乾燥胞子の製造)
製造例1と同様の方法により、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−2菌株の乾燥胞子を取得した。この乾燥胞子は2×1010cfu/g以上含むものである。
【0045】
(製造例3:トリコデルマ・アトロビリデ SKT−3菌株の乾燥胞子の製造)
製造例1と同様の方法により、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−3菌株の乾燥胞子を取得した。この乾燥胞子は2×1010cfu/g以上含むものである。
【0046】
(製造例4、バシルス・ズブチリス D747菌株の粉末芽胞の製造)
バシルス・ズブチリス D747菌株(Bacillus sp. D747 FERM BP−8234)を平板培地上で培養し、分離したコロニーをフラスコに植菌し、20mlのブイヨン培地(肉エキス1%、ペプトン1%、塩化ナトリウム0.5%)で、27℃、120rpm、1日間振盪培養後、得られた培養液をグルコース1%、可溶性澱粉2%、ポリペプトン0.5%、乾燥酵母1%、脱脂大豆1%、KH2PO40.2%、塩化ナトリウム0.2%、炭酸カルシウム0.3%を含む、pH6.0の培地20Lに植菌し27℃、120rpm、3日間振盪培養した後、遠心集菌(10,000×g、15分間)し、滅菌水中に懸濁し、培地成分を洗浄した。この操作を2回行い、湿重量約1kgの湿菌体(芽胞画分)を得た。この芽胞画分1kgを蒸留水5Lに懸濁後、スプレードライヤー(ニロジャパン社)にて処理した(入口温度150℃、出口温度100℃)。スプレードライヤーにて得られた乾燥物を破砕して、6×1011cfu/gの乾燥粉末芽胞約100gを得た。
【0047】
次に本発明の農園芸用組成物の代表的な製剤例をあげて製剤方法を具体的に説明する。以下の説明において「%」は重量百分率を示す。
【0048】
(製剤例1:水和剤)
製造例1に準じて得られたトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株の乾燥胞子を2%、農園芸用殺菌化合物ペンチオピラドを0.1%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー68.9%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0049】
(製剤例2:水和剤)
製造例1に準じて得られたトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株の乾燥胞子を2%、農園芸用植物成長調整化合物プロヘキサジオンカルシウム塩を2%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー67%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0050】
(製剤例3:水和剤)
製造例1に準じて得られたトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株の乾燥胞子を2%、農園芸用植物成長調整化合物トリネキサパックエチルを2%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー67%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0051】
(製剤例4:水和剤)
製造例1に準じて得られたトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株の乾燥胞子を2%、農園芸用殺虫化合物フィプロニルを0.1%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー68.9%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0052】
(製剤例5:水和剤)
製造例1に準じて得られたトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株の乾燥胞子を2%、農園芸用殺虫化合物MEPを10%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー59%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0053】
(製剤例6:水和剤)
製造例1に準じて得られたトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株の乾燥胞子を2%、製造例4により得られたバシルス・ズプチリス D747菌株生菌芽胞を0.7%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー68.3%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0054】
(製剤例7:粉剤)
製造例1に準じて得られたトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株の乾燥胞子を2%、農園芸用殺菌化合物ペンチオピラドを0.1%、珪藻土6%及びクレー91.9%を均一に混合粉砕して粉剤とした。
【0055】
(製剤例8:粒剤)
製造例1に準じて得られたトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株の乾燥胞子を2%、農園芸用殺虫化合物フィプロニルを0.1%、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩2%、リグニンスルホン酸ナトリウム5%、カルボキシメチルセルロース2%及びクレー88.9%を均一に混合粉砕した。この混合物100重量部に水20重量部を加えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュの粒状に加工した後、乾燥して粒剤とした。
【0056】
(製剤例9:水和剤)
製造例1に準じて得られたトリコデルマ・アトロビリデSKT−1菌株の乾燥胞子を2%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー69%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0057】
(製剤例10:水和剤)
農園芸用殺菌化合物ペンチオピラドを0.1%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー70.9%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0058】
(製剤例11:水和剤)
農園芸用植物成長調整化合物プロヘキサジオンカルシウム塩を2%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー69%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0059】
(製剤例12:水和剤)
農園芸用植物成長調整化合物トリネキサパックエチルを2%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー69%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0060】
(製剤例13:水和剤)
農園芸用殺虫化合物フィプロニルを0.1%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー70.9%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0061】
(製剤例14:水和剤)
農園芸用殺虫化合物MEPを10%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー61%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0062】
(製剤例15:水和剤)
製造例4により得られたバシルス・ズブチリス D747菌株生菌芽胞を0.7%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1.5%、ポリオキシエチレンアルキルアリール1.5%、珪藻土26%、クレー70.3%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
(製剤例16:粉剤)
農園芸用殺菌化合物ペンチオピラドを0.1%、珪藻土6%及びクレー93.9%を均一に混合粉砕して粉剤とした。
【0063】
(製剤例17:粒剤)
農園芸用殺虫化合物フィプロニルを0.1%、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩2%、リグニンスルホン酸ナトリウム5%、カルボキシメチルセルロース2%及びクレー90.9%を均一に混合粉砕した。この混合物100重量部に水20重量部を加えて練合し、押出式造粒機を用いて14〜32メッシュの粒状に加工した後、乾燥して粒剤とした。
【0064】
次に本発明の農園芸用組成物が植物病害防除剤として有用であることを試験例で示す。
【0065】
(試験例1:キュウリ灰色かび病防除効果試験)
9cm×9cmの塩ビ製鉢にキュウリ種子(品種:相模半白)を10粒づつ播種し、温室内で7日間育成し、子葉が展開したキュウリ幼苗を供試植物として用いた。製剤例1〜6に準じながら供試濃度になるように適宜配合量を変えて調製した本発明の農園芸用組成物、製剤例9のトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1、及び製剤例10〜15に準じて調製した農園芸用殺菌剤、農園芸用殺虫剤、農園芸用植物成長調整剤を、有効成分が所定の濃度になるように水で希釈し、1鉢当たり10mlを噴霧散布した。風乾後、キュウリ灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の胞子懸濁液を浸したペーパーディスクをキュウリ子葉表面に置床接種し、20℃の湿室で管理した。接種3日後に子葉の病斑直径を求め、得られた数値をもとに、数1により防除価(%)を求めた。
【0066】
【数1】

【0067】
2種類の活性化合物や微生物を混合して処理した際に期待される防除効果は、コルビー(Colby)の計算式より求めることができる(除草剤の組み合わせの相乗的及び拮抗的反応の計算:Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combination、Weed 15、20〜22ページ、1967)。コルビー(Colby)の計算式を数2に示す。
【0068】
【数2】

【0069】
数2で、Xは一方の活性化合物や微生物をm(ppmまたはcfu/ml)の濃度で処理した場合の防除効果(防除価)を表し、Yは他方の活性化合物や微生物をn(ppmまたはcfu/ml)の濃度で処理した場合の防除効果(防除価)を表わす。その場合、Eは前者の活性化合物や微生物をm(ppmまたはcfu/ml)、後者の活性化合物や微生物をn(ppmまたはcfu/ml)の濃度になるように混合して処理した場合の防除効果(防除価)の相加作用による期待値を表している。
【0070】
本発明の農園芸用組成物の防除効果が、Xとしてトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1のみを処理した防除効果、Yとして農園芸用殺菌剤、殺虫剤、植物成長調整剤のみを処理した防除効果を用いてコルビー(Colby)の計算式より求められた計算値(E)より大きくなれば、この組み合わせによる防除効果が相乗効果により発揮されていることを示すこととなる。試験によって得られた実験値の防除価(%)、及びコルビーの計算式より求められた計算値の防除価(%)を表1に示した。
【0071】
【表1】

【0072】
注)表中の記号が示す農薬成分
(A):ペンチオピラド
(B);プロヘキサジオンカルシウム塩
(C);トリネキサパックエチル
(D);フィプロニル
(E);MEP
(F);バシルス・ズブチリス D747菌株 生菌芽胞
【0073】
(試験例2:イネ褐条病防除効果試験)
PD液体培地で27℃、52時間振とう培養により得られたイネ褐条病菌(Acidovorax avenae)懸濁液(108cfu/ml)にイネ種籾(品種:黄金晴)を減圧条件下で1時間浸漬接種し、イネ褐条罹病籾を作成した。製剤例1〜6に準じながら供試濃度になるように適宜配合量を変えて調製した本発明の農園芸用組成物、製剤例9のトリコデルマ・アトロビリデ SKT−1、及び製剤例10〜15に準じて調製した農園芸用殺菌剤、農園芸用殺虫剤、農園芸用植物成長調整剤を、有効成分が所定の濃度になるように水で希釈し、上記のイネ褐条罹病籾を24時間浸漬した後、薬液を捨て、32℃の湿室内に1日保って催芽させた。育苗培土を充填させた径6cmのプラスチックカップに催芽種子を播種し、播種3日後、30℃の育苗庫内に保ち、更に25℃の湿室内で12日間管理した後に、全苗について発病の有無を調査し、数3により発病苗率を、数4より防除価をそれぞれ算出した。1区当たりの播種量は乾籾3g、試験は3反復で行った。試験によって得られた実験値の防除価(%)、及びコルビーの計算式より求められた計算値の防除価(%)を表2に示した。
【0074】
【数3】

【0075】
【数4】

【0076】
【表2】

【0077】
注)表中の記号が示す農薬成分
(A);ペンチオピラド
(B);プロヘキサジオンカルシウム塩
(C);トリネキサパックエチル
(D);フィプロニル
(E);MEP
(F);バシルス・ズブチリス D747菌株生菌芽胞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリコデルマ属に属する糸状菌、及び1種または2種以上の農園芸用農薬成分を含有し、植物の好ましくない病害を防除する作用を有する農園芸用組成物。
【請求項2】
農園芸用農薬成分が農園芸用殺菌成分である請求項1記載の農園芸用組成物。
【請求項3】
農園芸用殺菌成分が、ペンチオピラド、バシルス・ズブチリスより選ばれるものである請求項2記載の農園芸用組成物。
【請求項4】
農園芸用農薬成分が農園芸用殺虫成分である請求項1記載の農園芸用組成物。
【請求項5】
農園芸用殺虫成分が、フィプロニル、MEPより選ばれるものである請求項4記載の農園芸用組成物。
【請求項6】
植物の好ましくない病害を防除する作用の他に、植物に有害な害虫を防除する作用も併せもつ、請求項4又は5に記載の農園芸用組成物。
【請求項7】
農園芸用農薬成分が農園芸用植物成長調整成分である請求項1記載の農園芸用組成物。
【請求項8】
農園芸用植物成長調整成分が、プロヘキサジオン塩、トリネキサパックエチルより選ばれるものである請求項7記載の農園芸用組成物。
【請求項9】
植物の好ましくない病害を防除する作用の他に、植物の生育、草姿や樹形、開花、着果を調節する作用の少なくともひとつの作用も併せもつ、請求項7又は8に記載の農園芸用組成物。
【請求項10】
トリコデルマ属に属する糸状菌が、トリコデルマ・アトロビリデである請求項1〜9のいずれか1項に記載の農園芸用組成物。
【請求項11】
トリコデルマ属に属する糸状菌が、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−1菌株(受託番号FERM P−16510)である請求項1〜10のいずれか1項に記載の農園芸用組成物。
【請求項12】
トリコデルマ属に属する糸状菌が、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−2菌株(受託番号FERM P−16511)である請求項1〜10のいずれか1項に記載の農園芸用組成物。
【請求項13】
トリコデルマ属に属する糸状菌が、トリコデルマ・アトロビリデ SKT−3菌株(受託番号FERM P−17021)である請求項1〜10のいずれか1項に記載の農園芸用組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の農園芸用組成物を植物体に処理することを特徴とする植物病害の防除方法。
【請求項15】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の農園芸用組成物を植物体に処理することを特徴とする害虫の防除方法。
【請求項16】
請求項7〜9のいずれか1項に記載の農園芸用組成物を植物体に処理することを特徴とする、植物の生育、草姿や樹形、開花、着果の少なくともひとつを調節する方法。
【請求項17】
トリコデルマ属に属する糸状菌と1種または2種以上の農園芸用農薬成分を水中に懸濁させて混合液とし、その混合液を植物体に処理することを特徴とする植物病害の防除方法。
【請求項18】
トリコデルマ属に属する糸状菌と1種または2種以上の農園芸用殺虫成分を水中に懸濁させて混合液とし、その混合液を植物体に処理することを特徴とする害虫の防除方法。
【請求項19】
トリコデルマ属に属する糸状菌と1種または2種以上の農園芸用植物成長調整成分を水中に懸濁させて混合液とし、その混合液を植物体に処理することを特徴とする、植物の生育、草姿や樹形、開花、着果の少なくともひとつを調節する方法。

【公開番号】特開2008−137980(P2008−137980A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−328510(P2006−328510)
【出願日】平成18年12月5日(2006.12.5)
【出願人】(000000169)クミアイ化学工業株式会社 (86)
【Fターム(参考)】