説明

農業用の廃棄マルチシートの再原料化方法

【課題】シルト、野菜屑などの付着異物を確実に除去して純度の高い再生原料を得ることを可能にした廃棄マルチシートの再原料化方法を提案すること。
【解決手段】回収された廃棄マルチシートSを広げながら上方に送り出して巻取り棒11に巻き取るシート巻取り工程S1により、大きなサイズの土、野菜屑を払い落とす。予備洗浄工程S2では、巻取り棒11から引き出された廃棄マルチシートSを左右に押し広げながら水平に搬送して、その表面および裏面に洗浄水を吹き付けながらブラッシング洗浄を行うことにより、廃棄マルチシートの表面、裏面に付着している土、野菜屑などの異物を確実に洗い落とす。この後に廃棄マルシートは裁断され、裁断片が本洗浄(S4)され、シルトなどの細かな土が裁断片の表面、裏面から確実に洗い落とされる。土、野菜屑が確実に洗い落とされた後の裁断片を用いて、マルチシート製造用の再生ペレットを製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜などの苗床などを作るために用いられた後のビニール製、ポリエチレン製などの使用済みの農業用マルチシート(これを、「廃棄マルチシート」と呼ぶ。)を洗浄乾燥して、農業用マルチシートの原料として再利用可能な状態にする廃棄マルチシートの再原料化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄マルチシートの再原料化処理においては、一般に、回収された泥、ゴミなどが付着した状態の農業用マルチシートを細かく粉砕する粉砕工程、および、粉砕物に混入している泥、ゴミなどの異物を分離除去する異物除去工程を経た後に、シート粉砕物を溶融するなどの各種の処理を施してペレット状の再生プラスチックが得られる。ペレット状の再生プラスチックはそのまま用いられる場合もあるが、一般的には、バージン材と混合して用いられる。
【0003】
したがって、従来における廃棄マルチシートを再原料化するための処理システムは、一般に、粉砕機と、粉砕物から異物を除去する洗浄機と、洗浄後のシート粉砕物を乾燥する乾燥機と、乾燥後のシート粉砕物を溶融してペレット状の再生プラスチックにするための造粒機とを備えた構成となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、廃棄マルチシートの再原料化処理および二次製品化処理に当たっては、廃棄マルチシートに付着している土および野菜屑が大きな障害となっている。すなわち、廃棄マルチシートに乾燥した状態で付着している野菜の葉は廃棄マルチシートと比重が近いので、粉砕後の廃棄マルチシートを洗浄しても、そこに混入している野菜屑を確実に除去することができず、純度の高い再生原料を得ることができないという問題点がある。
【0005】
また、従来の洗浄方法では、粉砕後の廃棄マルチシートの皺の間に残っているシルトなどの細かな土を確実に除去することができず、このような細かな残留土のために純度の高い再生原料を得ることができないという問題点もある。
【0006】
設備を大型化し、洗浄水を多量に使用する等の対策を取れば、このような問題点を解消することが可能である。しかしながら、このような対策は、設備コスト、ランニングコストの増加につながり、また、環境負荷が増加するので好ましくない。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、コスト高および環境負荷の増加を伴うことなく、廃棄マルチシートに付着している異物を確実に除去して純度の高い再生原料を得ることを可能にした廃棄マルチシートの再原料化方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の廃棄マルチシートの再原料化方法は、
回収された廃棄マルチシートを広げながら上方に送り出して巻取り棒に巻き取ることにより、廃棄マルチシートに付着している大きなサイズの土、野菜屑などの異物を払い落とすシート巻取り工程と、
巻取り棒に巻き取られている廃棄マルチシートを当該巻取り棒から引き出してほぼ水平に広げながら搬送し、搬送される廃棄マルチシートの表面および裏面に洗浄水を吹き付けながら当該表面および裏面をブラッシング洗浄することにより、当該表面および裏面に付着している土、野菜屑などの残留異物を洗い落とす予備洗浄工程と、
予備洗浄後の廃棄マルチシートを所定のサイズに裁断する裁断工程と、
廃棄マルチシートの裁断片を洗浄槽内に投入して攪拌することにより、裁断片に付着しているシルトなどの土、および野菜屑を含む残留異物を洗い落とす本洗浄工程と、
本洗浄後の裁断片から洗浄水を振り落とす水切り工程と、
水切り後の裁断片を乾燥させる乾燥工程と、
乾燥後の裁断片を溶解してペレット状の再原料にする造粒工程とを含むことを特徴としている。
【0009】
本発明の方法では、回収された廃棄マルチシートを広げながら上方に送り出して巻取り棒に巻き取るシート巻取り工程を行うことにより、回収された廃棄マルシートに混入している石、釘、大きなサイズの土、野菜屑などの異物を払い落とすことができる。また、巻取り棒に巻き取ることにより、廃棄マルチシートの表面、裏面に乾燥した状態で付着している土、野菜屑などの異物を払い落とすことができる。この後の予備洗浄工程では、巻取り棒から引き出された廃棄マルチシートを左右に押し広げながら水平に搬送して、その表面および裏面に洗浄水を吹き付けながらブラッシング洗浄を行うことにより、廃棄マルチシートの表面、裏面に付着している土、野菜屑などの異物を確実に洗い落とすことができる。この後に廃棄マルシートは所定の大きさに裁断され、裁断片が本洗浄される。本洗浄によって、シルトなどの細かな土が裁断片の表面、裏面から確実に洗い落とされる。このようにして、土および野菜屑が確実に洗い落とされた後の裁断片を用いて、マルチシート製造用の再生ペレットが製造される。したがって、土、野菜屑などの異物の混入量の少ない再生原料を得ることができる。
【0010】
ここで、前記シート巻取り工程では、円形外周面に螺旋状の送り歯が形成されている送りローラ対を左右に配置し、左側の送りローラ対では、送り方向の回転に伴って、これらの間を搬送される廃棄マルチシートを左側の端に向けて広げながら送り出すように、螺旋状の送り歯を形成しておき、右側の送りローラ対では、逆に右側の端に向けて広げながら送り出すように、螺旋状の送り歯を形成しておき、これら左右の送りローラ対の上方に巻取り棒を配置しておき、廃棄マルチシートを、これら左右の送りローラ対の間を通して左右に広げながら送り出した後に、上方に配置されている巻取り棒によって巻き取るようにすればよい。
【0011】
また、前記予備洗浄工程において廃棄マルチシートを洗浄した後に回収される排水、および、前記本洗浄工程において裁断片を洗浄した後に回収される排水を、固液分離し、分離後の水を前記予備洗浄工程および前記本洗浄工程での洗浄水として再利用し、分離後の排泥を、培地原料として再利用するために、熱処理を施すことが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法では、シート巻取り工程において廃棄マルチシートに混入している異物、そこに付着している土、野菜屑などの付着異物を払い落とし、予備洗浄工程において廃棄マルチシートの表面、裏面をブラッシング洗浄することにより、そこに付着している残留土、残留野菜屑を洗い落とし、廃棄マルチシート裁断後の本洗浄においてはシート裁断片に付着しているシルトなどの細かな残留土を洗い落とすようにしている。したがって、本発明によれば、廃棄マルチシートに混入あるいは付着している異物、特に、シルトなどの細かな土および野菜屑を確実に洗い落とすことができるので、純度の高い再生原料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本発明の方法を適用した廃棄マルチシートの再原料化方法の実施の形態を説明する。
【0014】
(処理工程)
図1は本実施の形態に係る廃棄マルチシートの再原料化方法の概略工程図である。この図に示すように、廃棄マルチシートの再資源化方法は、シート巻取り工程S1と、予備洗浄工程S2と、シート裁断工程S3と、本洗浄工程S4と、水切り工程S5と、乾燥工程S6と、造粒工程S7を含んでいる。
【0015】
シート巻取り工程S1では、回収された廃棄マルチシートを広げながら上方に送り出して巻取り棒に巻き取る。これにより、回収された廃棄マルチシートに混入している石、釘などの混入異物、および、そこに付着している大きなサイズの土、野菜屑などの付着異物が払い落される。
【0016】
予備洗浄工程S2では、巻取り棒に巻き取られている廃棄マルチシートを当該巻取り棒から引き出してほぼ水平に押し広げながら搬送し、搬送される廃棄マルチシートの表面および裏面に洗浄水を吹き付けながら当該表面および裏面をブラッシング洗浄する。これにより、廃棄マルチシートの表面および裏面に付着している土、野菜屑などの残留異物が洗い落とされる。
【0017】
裁断工程S3では、予備洗浄後の廃棄マルチシートが所定のサイズに裁断される。裁断機としては二軸破砕機を用いることができる。裁断機に用いる裁断刃としては、藁切り用の裁断機に搭載されているカッターを用いることが望ましい。このような裁断機は、廃棄マルチシートの裁断に用いられている大型の一軸破砕機に比べて、消費電力が少なく、騒音も少ない。例えば、藁切り用裁断機(型式SA−1600GM−1,OSA−1620GMS−1:製造元株式会社麻場)に搭載されているカッターを用いることができる。
【0018】
本洗浄工程S4では、廃棄マルチシートの裁断片を洗浄槽内に投入して攪拌して洗浄する。これにより、裁断片に付着しているシルトなどの細かな土、野菜屑などの残留異物が確実に洗い落とされる。
【0019】
水切り工程S5では、本洗浄後の裁断片を、例えば振動コンベヤを用いて振動を加えながら搬送することにより洗浄水を振り落とす。振動コンベヤ以外の水切り機構を利用してもよいことは勿論である。
【0020】
乾燥工程S6に使用する乾燥システムとしては、太陽熱を最大限利用し、化石燃料の使用を極力抑えることでランニングコストを抑えることができるものが望ましい。例えば、太陽熱によって内部が加熱された状態のビニールハウス内に廃棄マルチシートの裁断片を投入し、裁断片を攪拌しながらビニールハウス内の加熱空気を当てることにより、裁断片を効率良く乾燥させることができる。この場合、冬季などのように太陽光による熱量が不足する場合には、化石燃料を補助的に用いて不足分の乾燥熱を補うようにすればよい。
【0021】
造粒工程S7では、乾燥後の裁断片を溶解してペレット状の再原料にする。このような造粒機としては市販されているものを用いることができる。例えば、ホットカット造粒機を用いることができる。再生ペレットを用いて再生マルチシートが製造される。
【0022】
ここで、予備洗浄工程S2において廃棄マルチシートを洗浄した後に回収される排水、および、本洗浄工程S4において裁断片を洗浄した後に回収される排水を固液分離し(図1の固液分離工程S11)、分離後の水を予備洗浄工程S2および本洗浄工程S4での洗浄水として再利用することが望ましい。また、分離後の排泥を、培地原料として再利用するために熱処理を施して滅菌すること(図1の土壌滅菌工程S12)が望ましい。
【0023】
(シート巻取り機)
図2はシート巻取り工程S1において使用するのに適したシート巻取り機の主要部分を示す概略構成図である。図示のシート巻取り機1は、機体フレームの左右の側板部分2、3の間に駆動軸4が水平に架け渡されている。この駆動軸4の左側の半分には左側駆動ローラ5が同軸状態に取り付けられており、右側の半分には右側駆動ローラ6が同軸状態に取り付けられている。左側駆動ローラ5には上側から従動ローラ7が連れ回り可能な状態で押し付けられており、右側駆動ローラ6にも上側から従動ローラ8が連れ回り可能な状態で押し付けられている。左側従動ローラ7は左側の側板部分2から片持ち状態で水平に突出している支軸9によって回転自在の状態で支持されており、右側従動ローラ8は右側の側板部分3から片持ち状態で水平に突出している支軸10によって回転自在の状態で支持されている。
【0024】
左側駆動ローラ5および左側従動ローラ7の円形外周面には、それぞれ、螺旋状にシート送り歯5a、7aが形成されている。これらのシート送り歯5a、7aの巻き方向は、これらのローラの矢印方向(シート送り方向)の回転によって、これらの間に挟まれた状態で送り出される廃棄マルチシートSの左側の部分が左端方向に押し広げられるように設定されている。
【0025】
右側駆動ローラ6および右側従動ローラ8の円形外周面にも、それぞれ、螺旋状にシート送り歯6a、8aが形成されている。これらのシート送り歯6a、8aの巻き方向は、ローラの回転によって、これらの間の挟まれている廃棄マルチシートSの右側の部分が右端方向に押し広げられるように設定されている。
【0026】
左右の従動ローラ7、8の上方には、左右の側板部分2、3の間に、巻取り棒11が水平に架け渡されている。巻取り棒11は、側板部分2、3によって回転自在に支持されていると共に、その軸線方向(左右方向)にスライド可能な状態で支持されている。また、巻取り棒11は左右の側板部分2、3から着脱可能となっている。さらに、巻取り棒11には巻取り幅を規定している左右の規制円板11a、11bが取り付けられている。
【0027】
ここで、駆動軸4はシート送りモータ12によって回転駆動され、巻取り棒11はシート巻取りモータ13によって回転駆動される。また、巻取り棒11は不図示のスライド機構によって左右にスライド可能である。これらシート送りモータ12、シート巻取りモータ13およびスライド機構は制御盤14によって駆動制御される。
【0028】
回収された廃棄マルチシートSは、想像線で示すように、左側駆動ローラ5および左側従動ローラ7からなる送りローラ対、および、右側駆動ローラ6および右側従動ローラ8からなる送りローラ対の間を送り出される間に、その中央から左側の部分は送り歯5a、7aによって左側に押し広げられ、右側の部分は送り歯6a、8aによって右側に押し広げられる。このようにして左右に押し広げられた後に廃棄マルチシートSは上方に位置している巻取り棒11に巻き取られる。
【0029】
廃棄マルチシートSは左右に押し広げられることにより、その間に挟まれていた石、釘などの混入異物が払い落とされる。また、その表面、裏面に付着していた大きなサイズの土の塊、野菜屑などの付着異物が払い落とされる。さらに、巻取り棒11に巻き取られる間においても、その表面、裏面に付着していた土、野菜屑などの付着異物が払い落とされる。
【0030】
ここで、巻取り棒11に巻き取られる廃棄マルチシートSが一方に片寄った状態になった場合にはスライド機構を駆動して、片寄りを解消する方向に巻取り棒11をスライドさせればよい。
【0031】
また、ローラ間に廃棄マルチシートを通す作業を簡単に行うことができるようにするためには、ヒンジ機構などを利用して、左右の支軸9、10を矢印で示すように、それらの根元側の部位を中心として垂直に起立した位置まで跳ね上げることができるようにしておくことが望ましい。
【0032】
なお、多数本の巻取り棒11に順次に廃棄マルチシートSを巻取り、この状態で、次の予備洗浄工程が開始されるまでの間、廃棄マルチシートをストックしておけばよい。
【0033】
(予備洗浄乾燥機とシート裁断機)
図3は予備洗浄工程S3に用いる予備洗浄乾燥機を示す全体構成図である。この図を参照して説明すると、予備洗浄乾燥機100には、シート供給部103、シート洗浄部104、シート水切り・乾燥部106、および、シート排出部8がこの順序で配置されている。シート洗浄部104およびシート水切り・乾燥部106の下側位置には汚水回収部109が配置されている。
【0034】
また、予備洗浄乾燥機100には固液分離器110が接続されており、ここから、洗浄水がシート洗浄部104に供給され、汚水回収部109で回収された洗浄水が固液分離器110に回収されて浄化されて再使用されるようになっている。また、ブロワ111が接続されており、ここからシート乾燥用の高温エアーがシート水切り・乾燥部106を介して循環するようになっている。
【0035】
次に、図4は予備洗浄乾燥機100の内部構造を示す概略構成図である。まず、シート供給部103は、廃棄マルチシートSが巻き取られた巻取り棒11を回転自在の状態で装置幅方向に水平に取り付ける装着部131と、この装着部131から繰り出される廃棄マルチシートSを上方に位置するシート洗浄部104の供給口141に向けて上方に案内するために幅方向に水平に架け渡した4本のガイドローラ群132とを備えている。
【0036】
シート洗浄部104の供給口41の近傍には、幅方向に水平に架け渡された上下一対の上流側シート搬送ゴムローラ142、143が配置されている。予備洗浄乾燥機100の後端近傍にも、その幅方向に水平に架け渡された上下一対の下流側シート搬送ゴムローラ181、182が配置されている。シート供給部103のガイドローラ群132に架け渡された状態で幅方向に広げられて引き出された廃棄マルチシートSは、予備洗浄乾燥機100に組み込まれている不図示のシートガイド機構によって内部を前端から後端に向けてガイドされて、上流側シート搬送ゴムローラ142、143と、下流側シート搬送ゴムローラ181、182との間に架け渡された状態にセットされる。
【0037】
シートガイド機構は、例えば、予備洗浄乾燥機100の内部の幅方向の両側位置において、前端から後端に向けて、ほぼ水平に延びる左右のガイドレールと、これらの間のスライド自在の状態で架け渡されたシートガイド板と、シートガイド板をガイドレールに沿って前後に移動させるためのガイド板移動機構とを備えた構成のものを用いることができる。
【0038】
シート洗浄部104は、上記の上下一対の上流側シート搬送ゴムローラ142、143と、上下一対の第1ブラシローラ144、145と、上下一対の第2ブラシローラ146、147と、シート洗浄部104からシート水切り・乾燥部106に向かう廃棄マルチシートSの部分を上方に持ち上げるためのシート持ち上げ用のガイドローラ148とを備えている。
【0039】
シート供給口141には、上下一対の洗浄水供給管149、150が幅方向に水平に配置されている。上側の供給管149には、洗浄水を上側の上流側搬送ゴムローラ142の外周面部分に向けて吹き付けるための複数のノズル149aが形成されている。下側の供給管150には、洗浄水を下側の上流側搬送ゴムローラ143による廃棄マルチシートの搬送部分に吹き付けるための複数のノズル150aが形成されている。上流側シート搬送ゴムローラ142、143と第1ブラシローラ144、145の間においても、洗浄水供給管151が幅方向に水平に配置されており、ここには、上側から下方に向けて洗浄水を吹き出す複数のノズル151aが形成されている。この洗浄水供給管151より後側の下方の位置には、下側の第1ブラシローラ145の手前側に、幅方向に水平に延びる洗浄水供給管152が配置されており、ここには、下側の第1ブラシローラ145のブラッシング位置に向けて洗浄水を吹き付ける複数のノズル152aが形成されている。
【0040】
下側の第1、第2ブラシローラ145、147の間においても、幅方向に水平に延びる洗浄水供給管153が配置されており、ここには、下側の第1ブラシローラ145のブラッシング位置に向けて洗浄水を吹き出す複数のノズル153aが形成されている。また、第2ブラシローラ146、147の後側の上下の位置にも、幅方向に水平に延びる洗浄水供給管154、155が配置されており、これらには、上下の第2ブラシローラ146、147のブラッシング位置に向けて洗浄水を吹き付ける複数のノズル154a、155aが形成されている。
【0041】
シート洗浄部104の後端は、幅方向に延びる上下の垂直仕切り板156、157によってシート水切り・乾燥部106と仕切られている。これらの垂直仕切り板156、157の間は廃棄マルチシートの通過口となっている。上側の垂直仕切り板156におけるシート洗浄部104の側の面には幅方向に水平に延びる洗浄水供給管159が取り付けられており、ここには、シート洗浄部104内に向けてほぼ水平に洗浄水を吹き出すための複数のノズル159aが形成されている。
【0042】
下側の上流側搬送ローラ143および下側の第1ブラシローラ145が駆動側のローラであり、これらの間に配置されている不図示の搬送モータによって駆動される。これに対して、上側の上流側搬送ローラ142および上側の第1ブラシローラ144は、リンク機構を介して流体圧シリンダなどの駆動源に連結されている。これらのローラ142、144は、下側のローラ143、145から上方に離れている退避位置と、図4に示すローラ143、145に当接する動作位置との間を上下方向に旋回可能である。同様に、下側の第2ブラシローラ147が駆動側のローラであり、上側の第2ブラシローラ146は、リンク機構を介して直動用の駆動源に連結されており、退避位置と図4に示す下側のローラ147に当接した動作位置との間を上下方向に旋回可能である。
【0043】
シート持ち上げ用のガイドロール148は、下側の垂直仕切り板157のシート洗浄部104の側に配置されている昇降機構148aによって退避位置と、図4に示す上方に移動した動作位置との間を昇降可能となっている。
【0044】
次に、シート水切り・乾燥部106は、その前側の部位に、幅方向に水平に延びる上下一対のゴム製のワイパー板161、162が配置されている。下側のワイパー板162は固定した位置に配置されており、上側ワイパー板161は、リンク機構163を介して直動用の駆動源164に連結されており、退避位置と図4に示す下側のワイパー板162に所定の押し付け力で当接した動作位置との間を移動可能である。
【0045】
シート水切り・乾燥部106の後端の部位には、幅方向に水平に延びる上下一対の水切り用のゴムローラ165、166が配置されている。下側のゴムローラ166が固定側の駆動ローラであり、シート排出部108の側に配置されている駆動モータ167によって駆動される。上側のゴムローラ165は、リンク機構168を介して、シート排出部108の側に配置されている直動用の駆動源169に連結されており、退避位置と図4に示す下側のゴムローラ165に当接可能な動作位置との間を上下方向の旋回可能である。
【0046】
シート水切り・乾燥部106の内部には、ブロワ111の側から乾燥用温風を供給するためのダクト71が引き回されており、ダクト171および、その分岐管172、173には、温風を吹き出すための多数のノズル171a、172a、173aが形成されている。
【0047】
シート排出部108の後端部分には、上下一対の下流側搬送ゴムローラ181、182が配置されている。下側のゴムローラ182が固定側であり、モータ183によって駆動される。上側のゴムローラ181はリンク機構184を介して直動用の駆動源185に連結されており、退避位置と図4に示す下側のゴムローラ182に当接可能な動作位置との間を上下に旋回可能である。これらのゴムローラ181、182の後側には、上下方向に円弧状に広がるシートガイド板187a、187bが取り付けられており、下側のシートガイド板187bの先端側に連続して下方に傾斜している平坦なシートガイド板187cが取り付けられている。
【0048】
このシートガイド板187cの下側に、シート裁断機188が配置されている。シート裁断機188の真下には搬送コンベヤ189が配置されており、廃棄マルチシートの裁断片は搬送コンベヤ189によって次段の本洗浄用の洗浄機に向けて搬送される。
【0049】
ここで、上下一対の第1ブラシローラ144、145は、当接状態(動作位置)において、その幅方向の中央から両側に向けてそれらの押圧力が漸減するようになっている。また、上下一対の第2ブラシローラ146、147も同様とされている。このようにすることにより、廃棄マルチシートSを幅方向に広げながら搬送することができるようになっている。
【0050】
また、下流側シート搬送ローラ181、182は、その外周面に、幅方向に沿って所定の間隔で形成した円周方向に延びる溝を備えた溝付きゴムローラとしてある。溝を付けることによって、乾燥後の農業用マルチシートの斜行を防止して搬送方向に向けて送り出すことができるので、当該農業用マルチシートが詰まってしまうなどの弊害を防止可能となっている。
【0051】
この構成の予備洗浄乾燥機100の動作を説明する。まず、廃棄マルチシートSが筒状に巻き取られている巻取り棒11をシート供給部103に装着する。そして、廃棄マルチシートSの巻き終わり端(先端)をガイドローラ群132に架け渡しながら引き出して、シート供給口141に待機しているシートガイド機構のシートガイド板に引掛けて固定する。しかる後に、洗浄水の供給を介して各ノズルから洗浄水が吹き出されている状態とし、シートガイド板をガイドレールに沿って移動させる。このとき、各部分は退避位置に位置している。シートガイド板が通過した部分においては退避位置にある部材を動作位置に順次に移動する。シートガイド板が下流側シート搬送ゴムローラ181、182の間を通り抜けた後は、当該シートガイド板から廃棄マルチシートSの先端を外してシート裁断機188の側に挿入した状態にする。
【0052】
この後は、図4に示す状態となり、各部の駆動が開始して廃棄マルチシートSの搬送が開始される。シート洗浄部104においては、洗浄水が吹き付けられながら廃棄マルチシートSが第1ブラシローラ144、145の間および第2ブラシローラ146、147の間を通って搬送される。これらのブラシローラによって廃棄マルチシートSに付着している土、野菜屑などの付着異物が洗浄されて掻き落とされる。廃棄マルチシートSには多数の穴が形成されているので、洗浄水、掻き落とされた泥などの異物は落下して、下側に配置されている汚水回収部109の回収パン(図示せず)に回収される。回収された汚水は固液分離器110に回収されて浄化され、再び洗浄水として用いられる。
【0053】
シート洗浄部104の出口には昇降式のガイドローラ148が配置されており、動作時には上方に持ち上げられた位置に設定されている。洗浄後の廃棄マルチシートSは当該ガイドローラ148によって持ち上げられながら後段のシート水切り・乾燥部106に送り込まれる。このように搬送される廃棄マルチシートSの全体を持ち上げることにより、そこに付着している水をシート洗浄部104の側に戻すことができ、洗浄水がシート水切り・乾燥部106の側に流れ込むことを防止できる。
【0054】
次に、シート洗浄部104からシート水切り・乾燥部106に搬送された廃棄マルチシートSの部分は、上下一対のワイパー板161、162の間を通る間に、表面に付着していた洗浄水が取り除かれる。また、ここから水切り用ゴムローラ165、166に到る間に、乾燥用の温風が廃棄マルチシートSの両側から吹き付けられて乾燥が行われる。このようにして乾燥した後の廃棄マルチシートSはシート排出部108を通って下流側搬送ゴムローラ181、182から排出されて、シート裁断機188に至る。
【0055】
先に述べたように、シート裁断機188の真下には搬送コンベヤ189が配置されており、廃棄マルチシートの裁断片は搬送コンベヤ189によって次段の本洗浄用の洗浄機に向けて搬送される。
【0056】
(本洗浄用の洗浄機)
図5は本洗浄工程S4に用いる洗浄機を示す説明図である。洗浄機200は、上端部にシート裁断片の投入口201が形成されている洗浄槽202を備えている。洗浄槽202の内部には洗浄水が所定の水位Lとなるように貯留されており、当該洗浄槽202における水位Lよりも下側の部位には攪拌機203の回転式の攪拌部材204が配置されている。洗浄槽202の底面からは斜め上方に向けてシート裁断片を掻き揚げるための掻き揚げ用コンベヤ205が延びている。この掻き揚げ用コンベヤ205の上端まで掻き揚げられた洗浄後のシート裁断片は落下筒206を介して下方に落下する。
【0057】
落下筒206の真下には、水切り工程S5のための振動コンベヤ207が配置されている。振動コンベヤ207に落下したシート裁断片は振動を与えられて水切り作用を受けながら次段の乾燥工程S6に引き渡される。振動コンベヤ207の真下に沿って排水パン208が配置されており、シート裁断片から振り落とされた洗浄水は排水パン208に回収される。ここに回収された洗浄液は、図3に示す固液分離器110に戻される。
【0058】
洗浄槽202の底面は傾斜板211、212によって規定されており、その最も低い位置の真下には、そこから斜め上方に延びる状態でスクリューコンベヤ213が配置されている。洗浄槽202の底は、このスクリューコンベヤ213の下端部に連通している。洗浄槽202内においてシート裁断片から洗い落とされたシルトなどの細かな土砂は、洗浄槽202の底面に沿ってスクリューコンベヤ213の下端に落下する。ここに落下した土砂類は、スクリューコンベヤ213によって、その上端側に向けて搬送され、上端に取り付けられている落下筒214から落下する。落下筒214の真下には不図示の土砂回収用のコンベヤが配置されており、ここに落下した土砂類は土壌滅菌処理が施されて培地原料として再利用に付される。
【0059】
(ビニールハウス式乾燥システム)
図6はビニールハウス式乾燥システムを示す概略斜視図であり、図7はその概略平面図であり、図8はその乾燥側のビニールハウスの概略断面図である。ビニールハウス式乾燥システム300は、太陽熱を利用してシート裁断片を乾燥するための第1ビニールハウス310と、太陽熱を利用して乾燥用の加熱空気を生成するための第2ビニールハウス320を有している。
【0060】
第1ビニールハウス310および第2ビニールハウス320は、全体として長方形のかまぼこ形をしており、ビニールシートを張った屋根311、321と、開閉可能な入口側端壁312、322と、後側の端壁313、323と、コンクリート製の床板314、324を備えている。入口側端壁312、322には乾燥対象のシート裁断片を投入可能な開閉式の投入口312a、322aが形成されている。
【0061】
第1ビニールハウス310および第2ビニールハウス320の間は通風管304を介して相互に連通可能である。通風管304は地中に埋設されており、その一方の開口端304aが第1ビニールハウス310の床板314における入口側端壁312の近傍位置に開口しており、他方の開口端304bが第2ビニールハウス320の床板324における入口側端壁322の近傍位置に開口している。通風管304には開閉弁305が取り付けられており開閉可能となっている。
【0062】
第1ビニールハウス310の床板314は、その幅方向の中心が最も低くなるように僅かに水勾配が付いており、中心部分には一定の幅および深さの矩形の集水枡315が長さ方向に直線状に延びている。この集水枡315の端は不図示の集水ピットに通じている。床板314の幅方向の両側には一定の高さの腰壁316、317が形成されており、これら左右の腰壁316、317は床板314の両端においてその長さ方向に沿って延びている。これらの腰壁316、317の上端面は水平に延びる一定幅の走行面316a、317aとなっている。
【0063】
左右の腰壁316、317の間には、幅方向に自走式攪拌機330が架け渡されている。自走式攪拌機330は、図8から分かるように、幅方向に水平に延びる横架材331と、この横架材331の両端に取り付けた左右の走行輪332、333と、これら走行輪332、333を駆動するための走行用モータ334を備えている。左右の走行輪332、333は左右の腰壁316、317の走行面316a、317aに沿って走行可能となっている。
【0064】
自走式攪拌機330の横架材331には、一定の間隔で攪拌用のチェーン335が垂れ下がっている。各チェーン335は、それらの下端部分が床板314の床面314aを摺る状態が形成される長さに設定されている。また、横架材331の入口側の側面331aの両端には、図8において想像線で示す形状のブレード336を着脱可能な状態で吊り下げるフック337、338が取り付けられている。ブレード336は、その下端336aの輪郭形状が床板314の床面314aに対応した輪郭形状をしており、横架材331に吊り下げた状態では、その下端336aが丁度床面314aに接するようになっている。
【0065】
次に、第1ビニールハウス310のかまぼこ形の屋根311の天井には、その長さ方向に沿って一定の間隔で空気攪拌用のファン318が取り付けられている。また、後側の端壁313には排気ファン319が取り付けられている。
【0066】
一方、図6に示すように、通風管304には熱風発生装置340の熱風供給管341が接続されている。熱風発生装置340は灯油などの化石燃料を用いて熱風を発生するヒータを備えている。熱風発生装置340、通風管304に取り付けた開閉弁305、空気攪拌用のファン318、排気ファン319、および、自走式攪拌機330は、制御盤350によって駆動制御されるようになっている。
【0067】
他方の第2ビニールハウス320の内部構造は、本例では第1ビニールハウス310と同一であり、床板324には水勾配が付けられ、その中央には集水枡325が形成されており、その両側には腰壁326、327が形成され、これらの上端面に形成した走行面326a、327aに沿って、自走式攪拌機330と同一構成の自走式攪拌機360が走行可能となっている。屋根321の天井には、その長さ方向に沿って一定の間隔で空気攪拌用のファン328が取り付けられており、後側の端壁323には排気ファン329が取り付けられている。空気攪拌用のファン328、排気ファン329、および、自走式攪拌機360は、制御盤350によって駆動制御されるようになっている。
【0068】
図9および図10はビニールハウス式乾燥システム300によるシート裁断片の乾燥動作を示す工程図である。
【0069】
まず、洗浄後に水切処理が施されたシート裁断片w1をコンベヤなどの搬送機構によって第1ビニールハウス310まで搬送し、投入口312aから投入する(図9および図10の工程S101)。シート裁断片w1の投入に先立って、第1、第2ビニールハウス310、320は封鎖状態に保持され、太陽熱によって内部が加熱された状態にしておく。
【0070】
シート裁断片w1を投入した後は投入口312aを閉じ、開閉弁305を開き、第2ビニールハウス320の側から加熱空気を第1ビニールハウス310に供給する動作を開始する。また、空気攪拌用のファン318および排気ファン319を駆動して、投入されたシート裁断片w1の乾燥工程を開始する(図9の工程S102)。
【0071】
乾燥工程においては、まず、自走式攪拌機330にブレード336を取り付けて、自走式攪拌機330を入口側から後端側に移動させ、投入されたシート裁断片w1を床面314aに沿って広げる(図10の工程S121)。次に、ブレード336を外して自走式攪拌機330を繰り返し往復させ、チェーン335によって床面314a上に広げられたシート裁断片w1を繰り返し攪拌する(図10の工程S122)。このように、乾燥工程では、空気およびシート裁断片w1を攪拌しながら効率良くシート裁断片w1を乾燥する。
【0072】
乾燥終了後は、乾燥済みのシート裁断片w1を第1ビニールハウス310から排出する(図10の工程S103)。排出工程においては、自走式攪拌機330にブレード336を再度取り付け、自走式攪拌機330を後端側から入口側に移動させる。これにより、殆どの乾燥済みシート裁断片w2が入口側に掻き寄せられる。また、排出工程においては、通風管304を閉じて、他方の第2ビニールハウス320において、太陽熱を利用して内部空気を加熱する。
【0073】
上記の工程を繰り返すことにより、バッチ式でシート裁断片w1の乾燥動作を行うことができる。また、冬季などのように太陽熱の絶対量が不足する場合には、熱風発生装置340を用いて加熱空気を発生して補充すればよい。
【0074】
なお、上記の工程では、第1ビニールハウス310のみを用いてシート裁断片w1を乾燥している。第1ビニールハウス310および第2ビニールハウス320を交互に用いて、シート裁断片w1を乾燥してもよい。また、本例では、第2ビニールシート320も第1ビニールシート310と同様な構造としてあるが、加熱空気を第1ビニールハウス310に供給する動作のみを行う場合には、第2ビニールハウス320は一般的なビニールハウスで良く、左右の腰壁326、327、自走式攪拌機360などを省略してもよい。
【0075】
さらには、図6において想像線で示すように第3ビニールハウスを更に設置し、第1〜第3ビニールハウスを順次に用いて乾燥処理を行うこともできる。勿論、4棟以上のビニールハウスを設置して用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明を適用した廃棄マルチシートの再原料化処理の工程を示す工程図である。
【図2】図1のシート巻取り工程で使用可能な巻取り機を示す説明図である。
【図3】図1の予備洗浄乾燥工程で使用可能な予備洗浄乾燥機を示す平面図である。
【図4】図3の予備洗浄乾燥機の内部構成を示す構成図である。
【図5】図1の本洗浄工程で使用可能な洗浄機を示す説明図である。
【図6】図1の乾燥工程で使用可能なビニールハウス式乾燥システムを示す概略構成図である。
【図7】図6のビニールハウス式乾燥システムの概略平面図である。
【図8】図6のビニールハウスの概略断面図である。
【図9】ビニールハウス式乾燥システムによるシート裁断片の乾燥動作を示す工程図である。
【図10】ビニールハウス式乾燥システムによるシート裁断片の乾燥動作を示す工程図である。
【符号の説明】
【0077】
1 シート巻取り機
2、3 側板部分
4 駆動軸
5 左側駆動ローラ
5a シート送り歯
6 右側駆動ローラ
6a シート送り歯
7 左側従動ローラ
8 右側従動ローラ
9、10 支軸
11 巻取り棒
100 予備洗浄乾燥機
103 シート供給部
104 シート洗浄部
106 シート水切り・乾燥部
108 シート排出部
109 汚水回収部
110 固液分離器
111 ブロワ
188 シート裁断機
189 搬送コンベヤ
200 洗浄機
201 投入口
202 洗浄槽
203 攪拌機
204 攪拌部材
205 掻き揚げ用コンベヤ
206 落下筒
207 振動コンベヤ
208 排出パン
211、212 傾斜板
213 スクリューコンベヤ
214 落下筒
300 ビニールハウス式乾燥システム
304 通風管
305 開閉弁
310 第1ビニールハウス
320 第2ビニールハウス
311、321 屋根
312、322 入口側端壁
312a、322a 投入口
313、323 後側の端壁
314、324 床板
315、325 集水枡
316a、317a、326a、327a 走行面
318、328 ファン
319、329 排気ファン
330、360 自走式攪拌機
331 横架材
335 チェーン
336 ブレード
340 熱風発生装置
341 熱風供給管
350 制御盤
w1 乾燥対象のシート裁断片
w2 乾燥済みのシート裁断片
S 廃棄マルチシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収された農業用の廃棄マルチシートを広げながら上方に送り出して巻取り棒に巻き取ることにより、廃棄マルチシートに付着している大きなサイズの土、野菜屑などの異物を払い落とすシート巻取り工程と、
巻取り棒に巻き取られた廃棄マルチシートを当該巻取り棒から引き出してほぼ水平に押し広げながら搬送し、搬送される廃棄マルチシートの表面および裏面に洗浄水を吹き付けながら当該表面および裏面をブラッシング洗浄することにより、当該表面および裏面に付着している土、野菜屑などの残留異物を洗い落とす予備洗浄工程と、
予備洗浄後の廃棄マルチシートを所定のサイズに裁断する裁断工程と、
廃棄マルチシートの裁断片を洗浄槽内に投入して攪拌することにより、裁断片に付着しているシルトなどの土、および野菜屑を含む残留異物を洗い落とす本洗浄工程と、
本洗浄後の裁断片に付着している洗浄水を振り落とす水切り工程と、
水切り後の裁断片を乾燥させる乾燥工程と、
乾燥後の裁断片を溶解してペレット状の再原料にする造粒工程とを含むことを特徴とする農業用の廃棄マルチシートの再原料化方法。
【請求項2】
請求項1に記載の農業用の廃棄マルチシートの再原料化方法において、
前記シート巻取り工程では、
円形外周面に螺旋状の送り歯が形成されている送りローラ対を左右に配置し、
左側の送りローラ対では、送り方向の回転に伴って、これらの間を搬送される廃棄マルチシートを左側の端に向けて押し広げながら送り出すように、螺旋状の送り歯を形成しておき、右側の送りローラ対では、逆に右側の端に向けて押し広げながら送り出すように、螺旋状の送り歯を形成しておき、
これら左右の送りローラ対の上方に巻取り棒を配置しておき、
廃棄マルチシートを、これら左右の送りローラ対の間を通して左右に広げながら送り出した後に、上方に配置されている巻取り棒によって巻き取ることを特徴とする農業用の廃棄マルチシートの再原料化方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の農業用の廃棄マルチシートの再原料化方法において、
前記予備洗浄工程において廃棄マルチシートを洗浄した後に回収される排水、および、前記本洗浄工程において裁断片を洗浄した後に回収される排水を、固液分離し、
分離後の水を前記予備洗浄工程および前記本洗浄工程での洗浄水として再利用し、
分離後の排泥を、培地原料として再利用するために、熱処理を施すことを特徴とする農業用の廃棄マルチシートの再原料化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−126099(P2009−126099A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−304865(P2007−304865)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(505404530)株式会社ダイキアクシス (9)
【Fターム(参考)】