説明

農薬粒状水和剤組成物の製造方法

【課題】水中での崩壊分散性が向上された農薬粒状水和剤組成物を効率良く製造する方法を提供すること。
【解決手段】
以下の工程(a)〜(e)
(a)農薬活性成分、界面活性剤および水を練合する工程
(b)練合物を孔径が600〜2,000μmのスクリーンより押出し造粒する工程
(c)造粒物を乾燥する工程
(d)乾燥した造粒物を工程(b)で用いられたスクリーンよりも小さい孔径を有する
スクリーンを用いて破砕する工程
(e)破砕物を篩分する工程
を含むことを特徴とする粒度が50〜1,000μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農園芸作物の病害虫や雑草の防除等に用いられる農薬粒状水和剤組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、農薬製剤として、粉剤、粒剤、水和剤、粒状水和剤、液剤、水性懸濁剤、乳剤等の種々の製剤が知られている。これら農薬製剤の中で、粒状水和剤は、使用時に粉立ちがないため使用者が農薬に暴露されることが少なく、また計量が容易であるため、使用者にとって扱い易い剤型である。そのため、近年の農薬製剤の剤型は水和剤から粒状水和剤に移行する傾向にある。
【0003】
一般に粒状水和剤は水に容易に分散することが好ましいが、そのためには、造粒の際に圧力が加わらず、圧密な構造の粒とならない製造法を利用することが考えられる。このような製造方法として、農薬活性成分、界面活性剤及び増量剤等を混合した粉体を熱風の流入する層内で流動させ、結合剤を含む水溶液を噴霧し、粉体粒子同士を凝集させることで粒状物を得る所謂流動層造粒法や、農薬活性成分と界面活性剤、増量剤等を混合した粉体を高速で攪拌しているところに、結合剤を含む水溶液を噴霧し、粉体粒子同士を凝集させることで粒状物を得る所謂攪拌造粒法等が知られている(非特許文献1、2参照)。
【0004】
しかし、これらの方法は、造粒物の粒度分布が広いため、必要とする粒度に篩分した場合歩留まりが悪くなり、また、バッチ単位の造粒工程であるため単位時間当りの造粒量も少なく、農薬の工業生産には実質的に不適である。
【0005】
一方、農薬製剤の生産性が高い造粒法として、農薬活性成分と界面活性剤、増量剤等に水を加えて混練し、一定の細孔を開けたスクリーンから押し出すことにより円柱状の造粒物を得る、所謂押し出し造粒法が知られている(非特許文献1参照)。この方法では、混練物を細孔より押し出す際に高い圧力がかかり、その結果、得られた造粒物が、圧密な構造の粒となるため、水への分散が劣る問題がある。そこで、細孔の径を小さくし、造粒物を小さくすることにより水への分散を良くすることも考えられるが、細孔の径を小さくする程スクリーンに掛かる圧力が増しスクリーンは破損し易くなるため、造粒自体ができなくなるというおそれがあった。
【0006】
また、農薬製剤の水中分散性、懸垂性を向上した農薬粒状水和剤組成物を製造する方法として、農薬活性成分と界面活性剤を含む混合物に水を加えて混練し、その混練物を解砕して所定の粒度とし乾燥するか、或いはその混練物を乾燥し所定の粒度にする方法が知られている(特許文献1参照)。本方法は、最終的に得られた粒状物は圧密の状態ではないため水中分散性は良好であるが、混練物の解砕過程に次の問題が生じる。すなわち乾燥前の混練物を解砕する場合、混練物が水を含有しているため解砕機への付着が著しく、また、乾燥後の混練物を解砕する場合、乾燥した混練物が非常にもろく、解砕後の粒度のばらつきが大きいため、目的とする粒度の農薬粒状水和剤組成物の歩留まりが極めて低いという問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2001−288004号公報
【非特許文献1】造粒ハンドブック、日本粉体工業技術協会編
【非特許文献2】造粒便覧、日本粉体工業技術協会編
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、水中での崩壊分散性が向上した農薬粒状水和剤組成物を効率良く製造する方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、農薬粒状水和剤組成物の製造方法に関し、鋭意研究した結果、押し出し造粒法で所望の粒度よりも少し大きめの孔径を有するスクリーンを用いて造粒物を作製し、それを乾燥後、造粒に用いたスクリーンよりも小さい孔径を有するスクリーンを用いて破砕し、更にその破砕物を所望の粒度となるように篩分することで、極めて効率良く所望の粒度範囲を有する農薬粒状水和剤組成物が得られるとの知見を得、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明は以下の要旨を有することを特徴とするものである。
(1)以下の工程(a)〜(e)
(a)農薬活性成分、界面活性剤および水を練合する工程
(b)練合物を孔径が600〜2,000μmのスクリーンより押出し造粒する工程
(c)造粒物を乾燥する工程
(d)乾燥した造粒物を工程(b)で用いられたスクリーンよりも小さい孔径を有する
スクリーンを用いて破砕する工程
(e)破砕物を篩分する工程
を含むことを特徴とする粒度が50〜1,000μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物の製造方法。
(2)工程(d)で使用されるスクリーンの孔径が、200〜1,200μmである上記(1)記載の農薬粒状水和剤組成物の製造方法。
(3)工程(e)の破砕物の篩分を、目開きが50〜1,000μmの範囲にあるメッシュの2種を用いて行うものである上記(1)または(2)記載の農薬粒状水和剤組成物の製造方法。
(4)工程(e)の破砕物の篩分が、粉砕物を、目開きが50〜1,000μmの範囲に
あるメッシュの2種のうち、目開きの大きいメッシュを用いて篩分し、それを通過し
たものについて、更に、目開きの小さいメッシュを用いて篩分し、メッシュ上に残っ
たものを回収することにより行われるものである上記(3)記載の農薬粒状水和剤組
成物の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の農薬粒状水和剤組成物の製造方法は、製造工程における原料のロスが少なく、製造に用いる機械にも負担が少なく、しかも、従来の製造方法に比べて目的とする粒度の農薬粒状水和剤組成物の歩留まりが高い方法である。
【0012】
従って、本発明の製造方法は農薬粒状水和剤組成物を製造する上で極めて効率が良く、経済性の高い方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書において、「粒度」とは、農薬粒状水和剤組成物中の個々の粒状物の粒子径が分布する範囲をいう。例えば、粒度が250〜500μmの農薬粒状水和剤組成物とは、目開きが500μmのメッシュを通過し、目開きが250μmのメッシュの上に残るもの、すなわち、全ての粒状物の粒子径が250〜500μmの範囲となっているものをいう。
【0014】
本発明の粒度が50〜1,000μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物の製造方法(以下、「本発明方法」という)は、以下の工程(a)〜(e)
(a)農薬活性成分、界面活性剤および水を練合する工程
(b)練合物を孔径が600〜2,000μmのスクリーンより押出し造粒する工程
(c)造粒物を乾燥する工程
(d)乾燥した造粒物を工程(b)で用いられたスクリーンよりも小さい孔径を有する
スクリーンを用いて破砕する工程
(e)破砕物を篩分する工程
を含むことを特徴とするものである。
【0015】
本発明方法の工程(a)は、農薬活性成分、界面活性剤および水(必要によりその他の成分)を練合する工程である。この練合にはヘンシェルミキサー、双腕型ニーダー、パドルミキサー、ブレード型ミキサー、高速混合機、バーチカルミキサー等の装置を用いることができる。なお、水との練合に先立ち、農薬活性成分および界面活性剤等を、予め混合し、必要によりそれを粉砕等しておいてもよい。
【0016】
上記した農薬活性成分としては、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、植物生長調節剤等、農薬分野において公知の農薬活性成分が挙げられる。また、これらの農薬活性成分の性状は、液体、固体、ペースト状のいずれであってもよく、以下の成分を例示することができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
殺虫剤の具体例としては、アクリナトリン、アセタミプリド、アセフェート、アミトラズ、アラニカルブ、アリマルア、アルミゲルア、イソキサチオン、イミダクロプリド、インドキサカルブMP、ウワバルア、エチルチオメトン、エトキサゾール、エトフェンプロックス、エマメクチン安息香酸塩、オキサミル、オリフルア、オレイン酸ナトリウム、カーバムアンモニウム塩、カーバムナトリウム塩、カズサホス、カルタップ塩酸塩、カルボスルファン、クロチアニジン、クロフェンテジン、クロマフェノジド、クロルピクリン、クロルピリホス、クロルピリホスメチル、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、ケイソウ土、酸化フェンブタスズ、ジエノクロル、シクロプロトリン、ジノテフラン、シハロトリン、シフルトリン、ジフルベンズロン、シペルメトリン、脂肪酸グリセリド、ジメトエート、臭化メチル、シラフルオフェン、シロマジン、スピノサド、スピロジクロフェン、スルプロホス、ダイアジノン、ダイアモルア、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオシクラム、チオメトン、チェリトリア、テトラジホン、テトラデセニルアセタート、テブフェノジド、テブフェンピラド、テフルトリン、テフルベンズロン、トラロメトリン、トルフェンピラド、ニテンピラム、パスツーリア・ペネトランス、ハルフェンプロックス、ピーチフルア、ピートアーミルア、ビフェナゼート、ビフェントリン、ピメトロジン、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、ピリダベン、ピリダリル、ピリマルア、ピリミジフェン、ピリミホスメチル、ピレトリン、フィプロニル、フェノチオカルブ、フェンバレレート、フェンピロキシメート、フェンプロパトリン、ブプロフェジン、フラチオカルブ、フルアクリピリム、フルシトリネート、フルバリネート、フルフェノクスロン、プロチオホス、プロパホス、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロフェノホス、ヘキシチアゾクス、ペルメトリン、ベンスルタップ、ベンゾエピン、ベンフラカルブ、ホサロン、ホスチアゼート、マシン油、マラソン、ミルベメクチン、メソミル、メタアルデヒド、メチルイソチオシアネート、メトキシフェノジド、リトルア、ルフェヌロン、ロテノン(デリス)、BPMC、BPPS、BRP、BT、CYAP、D−D、DCIP、DDVP、DEP、DMTP、ECP、EPN、MEP、MPP、NAC、PAP、XMC、エチプロール等を挙げることができる。これらの殺虫剤の中でもエトフェンプロックスが好ましい。
【0018】
殺菌剤の具体例としては、アゾキシストロビン、アンバム、硫黄、イソプロチオラン、イプコナゾール、イプロジオン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、イミベンコナゾール、エクロメゾール、オキサジキシル、オキシテトラサイクリン、オキスポコナゾールフマル酸塩、オキソリニック酸、カスガマイシン、カルプロパミド、キノキサリン系、キャプタン、クレソキシムメチル、シアゾファミド、シイタケ菌糸体抽出物、ジエトフェンカルブ、ジクロシメット、ジクロメジン、ジチアノン、ジフェノコナゾール、シプロコナゾール、シフルフェナミド、シプロジニル、シメコナゾール、ジメトモルフ、シモキサニル、シュードモナス属細菌CAB−02菌株、ジラム、ストレプトマイシン、石灰硫黄合剤、ダゾメット、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、チアジアジン、チアジニル、チアベンダゾール、チウラム、チオファネートメチル、チフルザミド、テクロフタラム、テブコナゾール、テトラコナゾール、塩基性塩化銅、塩基性硫酸銅、水酸化第二銅、トリアジメホン、トリアジン、トリコデルマアトロビリデSKT−1、トリシクラゾール、トリフルミゾール、トリフロキシストロビン、トリホリン、トリクロホスメチル、なたね油、ノニルフェノールスルホン酸銅、バチルスズブチリス菌(生菌)、バリダマイシン、ビテルタノール、ヒドロキシイソキサゾール、非病原性エルビニア・カロトボーラ、ピリフェノックス、ピリベンカルブ、ピロキロン、ファモキサドン、フェナリモル、フェノキサニル、フェリムゾン、フェンブコナゾール、フェンヘキサミド、フサライド、ブラストサイジンS、フラメトピル、フルアジナム、フルオルイミド、フルジオキソニル、フルスルファミド、フルトラニル、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ塩酸塩、プロピコナゾール、プロピネブ、プロベナゾール、ヘキサコナゾール、ベノミル、ベフラゾエート、ペンシクロン、ベンチアバリカルブイソプロピル、ホセチル、ポリオキシン、ポリカーバメート、マンゼブ、マンネブ、ミルディオマイシン、無水硫酸銅、メタラキシル、メトミノストロビン、メパニピリム、メプロニル、有機銅、DBEDC、EDDP、IBP、TPN、ボスカリド等を挙げることができる。これらの殺菌剤の中でもイミノクタジンアルベシル酸塩、ピリベンカルブ、メパニピリム、メプロニルが好ましい。
【0019】
除草剤の具体例としては、アイオキシニル、アジムスルフロン、アシュラム、アトラジン、アニロホス、アラクロール、イソキサベン、イソウロン、イマザモックスアンモニウム塩、イマゾスルフロン、インダノファン、エスプロカルブ、エトキシスルフロン、エトベンザニド、塩素酸塩、オキサジアゾン、オキサジクロメホン、カフェンストロール、カルブチレート、キザロホップエチル、クミルロン、グリホサートアンモニウム塩、グリホサートイソプロピルアミン塩、グリホサートトリメシウム塩、グリホサートナトリウム塩、グルホシネート、クレトジム、クロメプロップ、シアナジン、シアン酸ナトリウム、シクロスルファムロン、ジクワット・ジブロミド、シデュロン、シハロホップブチル、ジフルフェニカン、ジメタメトリン、ジメテナミド、シメトリン、ジメピペレート、セトキシジム、ターバシル、ダイムロン、チフェンスルフロンメチル、デスメディファム、テニルクロール、テブチウロン、テプラロキシジム、トリフルラリン、ニコスルフロン、パラコート、ハロスルフロンメチル、ビアラホス、ビスピリバックナトリウム塩、ビフェノックス、ピラゾキシフェン、ピラゾスルフロンエチル、ピラゾレート、ピラフルフェンエチル、ピリフタリド、ピリブチカルブ、ピリミノバックメチル、フェノキサプロップエチル、フェントラザミド、フェンメディファム、ブタクロール、ブタミホス、フラザスルフロン、フルアジホップP、プレチラクロール、ブロマシル、プロメトリン、ブロモブチド、ベンスルフロンメチル、ベンゾビシクロン、ベンゾフェナップ、ベンタゾン、ベンチオカーブ、ペンディメタリン、ペントキサゾン、ベンフレセート、メタミトロン、メトラクロール、メトリブジン、メフェナセット、モリネート、リニュロン、レナシル、2,4PA、ACN、CAT、DBN、DCMU、DCPA、DPA、IPC、MCPAエチル、MCPAチオエチル、MCPAナトリウム塩、MCPB、MDBA、PAC、SAP等を挙げることができる。これらの除草剤の中でもピリミノバックメチルが好ましい。
【0020】
植物生長調節剤の具体例としては、1−ナフチルアセトアミド、イナベンフィド、インドール酪酸、ウニコナゾールP、エチクロゼート、エテホン、過酸化カルシウム、クロキシホナック、クロルメコート、コリン、ジクロルプロップ、ジベレリン、ダミノジット、デシルアルコール、パクロブトラゾール、プロヘキサジオンカルシウム塩、ベンジルアミノプリン、ホルクロルフェニュロン、メピコートクロリド、4−CPA等を挙げることができる。
【0021】
これらの農薬活性成分は単独で使用してもよく、また、防除対象となる病害虫や雑草、制御対象となる作物に応じて、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。本発明方法で製造される農薬粒状水和剤組成物における農薬活性成分の配合量の合計は、特に限定されるものではないが、組成物100重量部に対して通常1〜85重量部程度である。
【0022】
また、上記した界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等が自由に使用できる。各種の界面活性剤を例示すると以下の通りであるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタンモノアルキレート、アルキノールおよびアルキンジオール並びにそれらのアルキレンオキシド付加物等を挙げることができる。
【0024】
アニオン系界面活性剤の具体例としては、アルキル硫酸、アルキルスルホン酸、アルキル燐酸、アルキルホスホン酸、アルキルアリールスルホン酸、アルキルアリールホスホン酸、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル燐酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル燐酸エステル、ポリカルボン酸型高分子、リグニンスルホン酸、アリールスルホン酸、アリールスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアリールスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等を挙げることができる。これらのアニオン系界面活性剤の中でもアルキル硫酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩ホルマリン縮合物が好ましい。
【0025】
カチオン系界面活性剤の具体例としては、アルキルアミン、ポリアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリアルカノールアミン、ポリアルキレンポリアミン、アルキルピリジン、アルキルモルホリン、アルキルヒドラジンの塩酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩等を挙げることができる。
【0026】
これらの界面活性剤は単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。本発明製法で製造される農薬粒状水和剤組成物における界面活性剤の配合量の合計は、特に限定されるものではないが、組成物100重量部に対して通常2〜30重量部程度である。
【0027】
上記した農薬活性成分、界面活性剤および水に対し、必要により添加されるその他の成分としては、通常の農薬水和剤組成物に用いられる成分が挙げられ、例えば、水溶性微粉、鉱物質微粉、吸油性微粉、結合剤、粉砕助剤、消泡剤等の処方助剤を、必要に応じて配合することができる。水溶性微粉としては、例えば、乳糖、水溶性デンプン、尿素、有機酸または無機酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩等を挙げることができる。鉱物質微粉としては、例えば、珪藻土、クレー、炭酸カルシウム等を挙げることができる。吸油性微粉としては、例えば、ホワイトカーボン、珪藻土、微結晶セルロース等を挙げることができる。結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。粉砕助剤としては、例えば、ホワイトカーボン、硅砂、軽石等を挙げることができる。消泡剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリコーン系界面活性剤、長鎖脂肪酸のフリー体またはアルカリ金属塩等を挙げることができる。
【0028】
上記で練合した練合物は、次に工程(b)で孔径が600〜2,000μmであるスクリーンにより押し出し造粒する。このスクリーンの孔径としては、600〜1,800μmが好ましく、特に、600〜1,500μmが好ましい。スクリーンの孔径がこの範囲を下回る場合、押し出し造粒の単位時間当たりの造粒量が著しく低下するばかりか、スクリーンを通過する際の圧力が高くなるため、スクリーンが破損する頻度が増加することとなる。一方、この範囲を上回る場合、単位時間当りの造粒量は多いが、乾燥に要する時間が長くなり、また、工程(d)の破砕において目的外の微粉が増加し歩留まりが低下するため効率的ではない。
【0029】
押し出し造粒に用いることができる造粒機としては、造粒の目的に用い得る機能を有する機械であればよく、形状は特に限定されないが、その具体例としては、横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機、ディスクダイ式ロール型押し出し造粒機、バスケット式ブレード型押し出し造粒機等が挙げられる。
【0030】
上記で造粒された造粒物は、次に、工程(c)で乾燥される。この乾燥は、流動層乾燥機等の乾燥機を用い、熱風温度50〜100℃程度で10〜20分間程度行われる。この操作により、造粒物中の層内温度も熱風温度と同程度まで上昇し、その水分量は通常0.5〜3質量%程度まで減衰する。この乾燥を行わないと、次の工程(d)において、破砕機の回転運動で造粒物同士が再び練り合わされてしまうため、造粒物の破砕が行えない。
【0031】
上記で乾燥された造粒物は、次に、工程(d)に付される。この工程は、工程(b)で用いられたスクリーンよりも小さい孔径を有するスクリーンを用いて、更に破砕する工程である。この破砕で使用されるスクリーンの孔径は、200〜1,200μm、好ましくは300〜1,000μm、より好ましくは400〜800μmの範囲である。この工程で用いられる破砕機は本工程の目的にあったものであればよく、特に限定されないが、このような破砕機の例として、例えば、所定の孔径を有したスクリーンの内部に攪拌羽根を有した構造を有するスクリーン付整粒機等が挙げられる。また、前記以外の破砕機の例として、2枚の波型のロールの間を通過させることで粒状物が破砕され、ロールの間隔を調整することで粒度の調整が可能なロールグラニュレーターが挙げられる。
【0032】
上記で破砕された破砕物は、次に、工程(e)で篩分される。この篩分は、農薬粒状水和剤組成物の粒度が50〜1,000μm、好ましくは100〜850μm、より好ましくは250〜700μmの範囲となるように行う。具体的に、この篩分は、目開きが50〜1,000μmの範囲にあるメッシュの2種を用いて行うことができる。より具体的には粉砕物を、目開きが50〜1,000μmの範囲にあるメッシュの2種のうち、目開きの大きいメッシュを用いて篩分し、それを通過した部分について、更に、目開きの小さいメッシュを用いて篩分し、メッシュ上に残ったものを回収することにより行われる。例えば、250〜500μmの粒度を有する農薬粒状水和剤組成物は、まず、破砕物を目開き500μmのメッシュを用いて篩分し、それを通過したものを、更に目開き250μmのメッシュを用いて篩分し、メッシュ上に残ったものを回収することにより得られる。このような篩分を行える機械としてはロータリーシフター、振動篩等が挙げられる。
【0033】
以上説明した工程(a)〜(e)により、粒度が50〜1,000μmの農薬粒状水和剤組成物を効率よく製造することができる。
【0034】
このようにして製造された農薬粒状水和剤組成物は、水中での崩壊分散性にも優れている。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例及び比較例にて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部は重量部を表す。
【0036】
〔実施例1〕
イミノクタジンアルベシル酸塩とホワイトカーボンの重量比1:1の混合物30部、アルキル硫酸ナトリウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム15部、炭酸カルシウム51部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して25部の水を添加して更に混練した。全体に添加水が浸透した時点で、混練物を横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機で造粒した。押し出し造粒において用いるスクリーンは、孔径700μmのものであった。成型物を熱風温度55℃で10分間程度、層内温度55℃となるまで乾燥した後、スクリーン付整粒機で破砕した。スクリーン付整粒機のスクリーンは、目開き500μmであった。得られた造粒物を目開き500μmのメッシュで篩別し、これを通過したものについて、更に、目開き250μmのメッシュで篩別し、篩上に残った物を回収し、粒度が250〜500μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0037】
〔実施例2〕
イミノクタジンアルベシル酸塩とホワイトカーボンの重量比1:1の混合物30部、アルキル硫酸ナトリウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム15部、炭酸カルシウム51部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して25部の水を添加して更に混練した。全体に添加水が浸透した時点で、混練物を横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機で造粒した。押し出し造粒において用いるスクリーンは、孔径1,500μmのものであった。成型物を熱風温度55℃で10分間程度、層内温度55℃となるまで乾燥した後、スクリーン付整粒機で破砕した。スクリーン付整粒機のスクリーンは、目開き500μmであった。得られた造粒物を実施例1と同様の方法で篩別して、粒度が250〜500μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0038】
〔実施例3〕
メパニピリム原体40部、アルキル硫酸ナトリウム2部、リグニンスルホン酸ナトリウム8部、焼成珪藻土10部、クレー40部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して16部の水を添加して更に混練した。全体に添加水が浸透した時点で、混練物を横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機で造粒した。押し出し造粒において用いるスクリーンは、孔径1,000μmのものであった。成型物を熱風温度75℃で15分間程度、層内温度75℃となるまで乾燥した後、スクリーン付整粒機で破砕した。スクリーン付整粒機のスクリーンは目開き700μmであった。得られた造粒物を目開き700μmのメッシュで篩別し、これを通過したものについて、更に、目開き350μmのメッシュで篩別し、篩上に残った物を回収し、粒度が350〜700μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0039】
〔実施例4〕
メプロニル原体75部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物12部、ポリエキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸アンモニウム4部、クレー9部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して16部の水を添加して更に混練した。全体に添加水が浸透した時点で、混練物を横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機で造粒した。押し出し造粒において用いるスクリーンは孔径800μmのものであった。成型物を熱風温度55℃で10分間程度、層内温度55℃となるまで乾燥した後、スクリーン付整粒機のスクリーン付整粒機で破砕した。スクリーンは目開き500μmであった。得られた造粒物を実施例1と同様の方法で篩別して、粒度が250〜500μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0040】
〔実施例5〕
エトフェンプロックス原体10部、アリールアルカン6部、ホワイトカーボン16部、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸アンモニウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム8部、脂肪酸アルキルタウリンナトリウム8部、炭酸カルシウム48部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して20部、の水を添加して更に混練した。全体に添加水が浸透した時点で、混練物を横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機で造粒した。押し出し造粒において用いるスクリーンは、孔径600μmのものであった。成型物を熱風温度90℃で20分間程度、層内温度90℃となるまで乾燥した後、スクリーン付整粒機で破砕した。スクリーン付整粒機のスクリーンは目開き400μmであった。得られた造粒物を目開き400μmのメッシュで篩別し、これを通過したものについて、更に、目開き200μmのメッシュで篩別し、篩上に残った物を回収し、粒度が200〜400μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0041】
〔実施例6〕
ピリミノバックメチル原体50部、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物20部、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル1部、焼成珪藻土29部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して22部の水を添加して更に混練した。全体に添加水が浸透した時点で、混練物を横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機で造粒した。押し出し造粒において用いるスクリーンは、孔径700μmのものであった。成型物を熱風温度65℃で20分間程度、層内温度65℃となるまで乾燥した後、スクリーン付整粒機で破砕した。スクリーン付整粒機のスクリーンは目開き500μmであった。得られた造粒物を実施例1と同様の方法で篩別して、粒度が250〜500μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0042】
〔実施例7〕
イミノクタジンアルベシル酸塩とホワイトカーボンの重量比1:1の混合物30部、ピリベンカルブ10部、アルキル硫酸ナトリウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム15部、炭酸カルシウム41部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して25部の水を添加して更に混練した。全体に添加水が浸透した時点で、混練物を横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機で造粒した。押し出し造粒において用いるスクリーンは、孔径700μmのものであった。成型物を熱風温度55℃で10分間程度、層内温度55℃となるまで乾燥した後、スクリーン付整粒機で破砕した。スクリーン付整粒機のスクリーンは、目開き500μmであった。得られた造粒物を実施例1と同様の方法で篩別して、粒度が250〜500μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0043】
〔比較例1〕
イミノクタジンアルベシル酸塩とホワイトカーボンの重量比1:1の混合物30部、アルキル硫酸ナトリウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム15部、炭酸カルシウム51部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して25部の水を添加して更に混練した。全体に添加水が浸透した時点で、混練物を横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機で造粒した。押し出し造粒において用いるスクリーンは、孔径700μmのものであった。成型物を熱風温度55℃で10分間程度、層内温度55℃となるまで乾燥した後、破砕をせずにそのまま目開き1,000μmのメッシュで篩別し、これを通過したものについて、更に、目開き500μmのメッシュで篩別し、篩上に残った物を回収し、粒度が500〜1,000μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0044】
〔比較例2〕
イミノクタジンアルベシル酸塩とホワイトカーボンの重量比1:1の混合物30部、ピリベンカルブ10部、アルキル硫酸ナトリウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム15部、炭酸カルシウム41部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して25部の水を添加して更に混練した。全体に添加水が浸透した時点で、混練物を横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機で造粒した。押し出し造粒において用いるスクリーンは、孔径700μmのものであった。成型物を熱風温度55℃で10分間程度、層内温度55℃となるまで乾燥した後、破砕をせずにそのまま目開き1,000μmのメッシュで篩別し、これを通過したものについて、更に、目開き500μmのメッシュで篩別し、篩上に残った物を回収し、粒度が500〜1,000μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0045】
〔試験例1〕
崩壊試験:
100mL共栓付メスシリンダーに、農薬公定検査法に規定された3度硬水を100mL入れ、恒温室中で20℃に保った。該メスシリンダー内に実施例1〜6および比較例1で製造された農薬粒状水和性組成物を100mg投入し、30秒間静置した後、1秒間に1回の割合でメスシリンダーの倒立を繰り返し、該農薬粒状水和性組成物を完全に崩壊させるのに要する倒立回数を測定した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
表1より本発明の農薬粒状水和剤組成物は、水中崩壊性が高く、分散性に優れていることが分かる。
【0048】
〔比較例3〕
イミノクタジンアルベシル酸塩とホワイトカーボンの重量比1:1の混合物30部、アルキル硫酸ナトリウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム15部、炭酸カルシウム51部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して25部の水を添加して更に混練した。全体に添加水が浸透した時点で、混練物を横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機で造粒した。押し出し造粒において用いるスクリーンは、孔径300μmのものであったが、スクリーンが破裂してしまい、造粒が行えず、所期の農薬粒状水和剤組成物を得ることができなかった。
【0049】
〔比較例4〕
イミノクタジンアルベシル酸塩とホワイトカーボンの重量比1:1の混合物30部、アルキル硫酸ナトリウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム15部、炭酸カルシウム51部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して25部の水を添加して更に混練した。全体に添加水が浸透した時点で、混練物を横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機で造粒した。押し出し造粒において用いるスクリーンは孔径3,000μmのものであった。成型物を熱風温度55℃で60分間程度、層内温度55℃となるまで乾燥した後、スクリーン付整粒機で破砕した。スクリーン付整粒機のスクリーンは、目開き500μmのものであった。得られた造粒物を実施例1と同様に篩別して、粒度が250〜500μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0050】
〔比較例5〕
イミノクタジンアルベシル酸塩とホワイトカーボンの重量比1:1の混合物30部、ピリベンカルブ10部、アルキル硫酸ナトリウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム15部、炭酸カルシウム41部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して25部の水を添加して更に混練した。全体に添加水が浸透した時点で、混練物を横押し出し式スクリュー型押し出し造粒機で造粒した。押し出し造粒において用いるスクリーンは孔径3,000μmのものであった。成型物を熱風温度55℃で60分間程度、層内温度55℃となるまで乾燥した後、スクリーン付整粒機で破砕した。スクリーン付整粒機のスクリーンは、目開き500μmのものであった。得られた造粒物を実施例1と同様に篩別して、粒度が250〜500μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0051】
〔比較例6〕
イミノクタジンアルベシル酸塩とホワイトカーボンの重量比1:1の混合物30部、アルキル硫酸ナトリウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム15部、炭酸カルシウム51部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して25部の水を噴霧しながら、攪拌造粒機で粒径100〜5,000μm程度に造粒した。得られた成型物を熱風温度55℃で10分間程度、層内温度55℃となるまで乾燥した後、スクリーン付整粒機で破砕した。スクリーン付整粒機のスクリーンは目開き500μmのものを使用した。得られた造粒物を実施例1と同様に篩別して、粒度が250〜500μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0052】
〔比較例7〕
イミノクタジンアルベシル酸塩とホワイトカーボンの重量比1:1の混合物30部、ピリベンカルブ10部、アルキル硫酸ナトリウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム15部、炭酸カルシウム41部を混合し、高速気流中粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して25部の水を噴霧しながら、攪拌造粒機で粒径100〜5,000μm程度に造粒した。得られた成型物を熱風温度55℃で10分間程度、層内温度55℃となるまで乾燥した後、スクリーン付整粒機で破砕した。スクリーン付整粒機のスクリーンは目開き500μmのものを使用した。得られた造粒物を実施例1と同様に篩別して、粒度が250〜500μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物を得た。
【0053】
〔比較例8〕
イミノクタジンアルベシル酸塩とホワイトカーボンの重量比1:1の混合物30部、アルキル硫酸ナトリウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム15部、炭酸カルシウム51部を混合し、高速気流中、粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して25部の水を噴霧しながら、攪拌造粒機で造粒した。得られた成型物を、乾燥させずに、直ちにスクリーン付整粒機で破砕した。スクリーン付整粒機のスクリーンは目開き500μmのものを使用した。しかし、スクリーン付整粒機の回転運動で造粒物同士が再び練り合わされてしまうため、破砕が進行せず、所期の農薬粒状水和剤組成物を得ることができなかった。
【0054】
〔比較例9〕
イミノクタジンアルベシル酸塩とホワイトカーボンの重量比1:1の混合物30部、ピリベンカルブ10部、アルキル硫酸ナトリウム4部、ポリカルボン酸ナトリウム15部、炭酸カルシウム41部を混合し、高速気流中、粉砕機で粉砕した。次いで、得られた粉砕物100部に対して25部の水を噴霧しながら、攪拌造粒機で造粒した。得られた成型物を、乾燥させずに、直ちにスクリーン付整粒機で破砕した。スクリーン付整粒機のスクリーンは目開き500μmのものを使用した。しかし、スクリーン付整粒機の回転運動で造粒物同士が再び練り合わされてしまうため、破砕が進行せず、所期の農薬粒状水和剤組成物を得ることができなかった。
【0055】
〔試験例2〕
製造効率の評価:
総計10kgの原料を用いて、前記実施例及び比較例に準じて農薬粒状水和剤組成物を製造し、最終的に得られた農薬粒状水和剤組成物の重量を測定した。結果を表2に示す。
【0056】
【表2】

【0057】
表2より本発明の農薬粒状水和剤組成物の製造方法は、製造時の歩留まりが高く、製造効率に優れていることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の農薬粒状水和剤組成物の製造方法によれば、製造工程における原料のロスが少なく、製造に用いる機械にも負担が少なく、しかも、従来の製造方法に比べて目的とする粒度の農薬粒状水和剤組成物の歩留まりが高い方法である。
【0059】
従って本発明方法は、農園芸作物の病害虫や雑草の防除等に用いられる農薬粒状水和剤組成物の製造において有利に利用することができるものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程(a)〜(e)
(a)農薬活性成分、界面活性剤および水を練合する工程
(b)練合物を孔径が600〜2,000μmのスクリーンより押出し造粒する工程
(c)造粒物を乾燥する工程
(d)乾燥した造粒物を工程(b)で用いられたスクリーンよりも小さい孔径を有する
スクリーンを用いて破砕する工程
(e)破砕物を篩分する工程
を含むことを特徴とする粒度が50〜1,000μmの範囲にある農薬粒状水和剤組成物の製造方法。
【請求項2】
工程(d)で使用されるスクリーンの孔径が、200〜1,200μmである請求項1記載の農薬粒状水和剤組成物の製造方法。
【請求項3】
工程(e)の破砕物の篩分を、目開きが50〜1,000μmの範囲にあるメッシュの2種を用いて行うものである請求項1または2記載の農薬粒状水和剤組成物の製造方法。
【請求項4】
工程(e)の破砕物の篩分が、粉砕物を、目開きが50〜1,000μmの範囲にあるメッシュの2種のうち、目開きの大きいメッシュを用いて篩分し、それを通過したものについて、更に、目開きの小さいメッシュを用いて篩分し、メッシュ上に残ったものを回収することにより行われるものである請求項3記載の農薬粒状水和剤組成物の製造方法。




【公開番号】特開2008−308447(P2008−308447A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158189(P2007−158189)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000000169)クミアイ化学工業株式会社 (86)
【Fターム(参考)】