説明

送話器の取付け構造

【目的】 ハンドセットで発生する雑音を減少することのできる送話器の取付け構造を提供する。
【構成】 ハンドセットの内部に天然ゴム,合成ゴム,高分子材料などの弾性を有する材料を介して、送話器が直接ハンドセットに接触しない構造とすることで、ハンドセットで発生する雑音(例えば、ハンドセットを手で触ったときに摩擦により発生する音)が空気以外の媒体を通して伝播しないように構成されている。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は電話機などに使用される送話器のハンドセット内への取付け構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電話機用の送話器は通常、コンデンサマイクロホンやエレクトレットマイクロホン及び圧電型マイクロホンが使用されており、ハンドセットへの送話器取付けは図6又は図7に示すように、送話器取付け用の構造を有するハンドセット(筐体)1,2又は11,12へ直接、又は送話器5,13の前面に漏洩防止用部品8を介して送話器の後方よりねじ4や接着剤により固定したり、送話器を押さえるための固定用部品3を使用している。更に送話器5,13の前方には、マウスピース6と防塵膜7を備えている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、ハンドセット(筐体)1,2又は11,12に直接又は漏洩防止用部品8を介して送話器5,13を取付ける構造の場合、ハンドセット(筐体)1,2又は11,12より発生する雑音(例えば、ハンドセットを手で触ったときに摩擦により発生する音)がハンドセット(筐体)1,2又は11,12から送話器5,13へ伝播して雑音を発生してしまい良好な通話音響品質が得られなくなってしまう。
さらに、ISDNサービスによる64kb/s,SB−ADPCM符号化を用いた7kHz帯域の如き通話帯域の広帯域化により、通話音響品質が向上したとき、前記問題点はさらに顕著となり、音声などの必要な信号を確実に受波することができなくなる。
【0004】
本考案は、ハンドセットで発生する雑音を減少することのできる送話器の取付け構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために本考案は、ハンドセットの内部に天然ゴム,合成ゴム,高分子材料などの弾性を有する材料を介して、送話器が直接ハンドセットに接触しない構造とすることで、ハンドセットで発生する雑音(例えば、ハンドセットを手で触ったときに摩擦により発生する音)が空気以外の媒体を通して伝播しないように構成されている。
【0006】
【実施例1】
図1は、防風構造と防振構造を有する送話器取付け構造の一実施例の断面図であり、筐体前部1に設けられた送話器固定用の凸部1aと送話器5との間に、送話器5と筐体前部1が接触しないように発泡又は非発泡の天然ゴム,合成ゴム,テフロンシート等の弾性体でできた部品20を介している。また、ねじ4により筐体前部1に螺着された送話器押さえ用部品3と送話器5の間も、送話器5と送話器押さえ用部品3が互いに接触しないように発泡又は非発泡の天然ゴム,合成ゴム,テフロンシート等の弾性体でできた部品21を介して保持している。6はマウスピース、7は防塵膜である。
本実施例による防振構造により、筐体前部1と筐体後部2よりなるハンドセットから発生した雑音は弾性体20,21の部分で十分に減衰されるため、良好な通話音響品質を得ることができる。また、弾性体20は前気室14からの空気の漏洩防止の機能も備えているため、通常使われている漏洩防止用のゴムシートも不要となる。
【0007】
【実施例2】
図2は、送話口11が取り外せ、送話口11により送話器13を固定するタイプのハンドセットでの防振構造を有する送話器取付け構造の一実施例の断面図であり、筐体12に設けた送話器押さえ用の凸部12aと送話器13との間に、送話器13と筐体12が互いに接触しないように発泡又は非発泡の天然ゴム,合成ゴム,テフロンシート等の弾性体でできた部品22を介している。また、送話口11と送話器13の間も、送話器13と送話口11の凸部11aが互いに接触しないように発泡又は非発泡の天然ゴム,合成ゴム,テフロンシート等の弾性体でできた部品23を介して保持している。
本実施例による防振構造により、ハンドセット(筐体)より発生した雑音は弾性体22,23の部分で十分に減衰されるため、良好な通話音響品質を得ることができる。また、弾性体23は前気室14の漏洩防止の機能も備えているため、通常使われている漏洩防止用のゴムシートも不要となる。
【0008】
【実施例3】
図3は、図1に示した実施例1の送話器取付け構造に、防風構造を付加した構造を有するハンドセットの送話器取付けの一実施例の断面図であり、図1の筐体1にみられる送話器押さえ用の凸部1aの代わりに、図5に示すような織布,不織布,発泡材,紙などの防風効果のある抵抗体9を備えた円柱状の部品10により、送話器5とマウスピース6の間の前気室14を確保し送話器の固定も行っている。
本実施例によれば、マウスピース6,防塵膜7を通して侵入してきた風圧を減衰させ、風圧による雑音を防止することが可能であり、更に前気室14の容積を変化することができるために周波数特性の調整も可能であり、更に良好な通話音響品質を得ることができる。
【0009】
【実施例4】
図4は、図2に示した実施例2の送話器取付け構造に、防風構造を付加した構造を有するハンドセットの送話器取付けの一実施例の断面図であり、図2の送話口11にみられる送話器押さえ用の凸部11aの代わりに、図5に示すような織布,不織布,発泡材,紙などの防風効果のある抵抗体9を備えた円柱状10の部品により、送話器13とマウスピース6の間の前気室14を確保し送話器13の固定も行っている。
本実施例によれば、マウスピース6,防塵膜7を通して侵入してきた風圧を減衰させ、風圧による雑音を防止することが可能であり、更に前気室14の容積を変化することができるために周波数特性の調整も可能であり、更に良好な通話音響品質を得ることができる。
【0010】
【発明の効果】
以上説明したように、本考案は送話器と筐体が互いに接触しないように発泡又は非発泡の天然ゴム,合成ゴム,テフロンシート等の弾性体でできた部品を介して固定することによって、ハンドセット(筐体)より発生した雑音の侵入を防止することができるので、筐体に振動が与えられた場合でも安定した送話を維持することができる。さらに、マウスピースを通して侵入してきた風圧に起因する雑音をも効果的に防止する機能を付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例1による防振構造をもつ送話器取付け構造の縦断面図である。
【図2】本考案の実施例2による防振構造をもつ送話器取付け構造の縦断面図である。
【図3】本考案の実施例3による防振構造及び防風効果をもつ送話器取付け構造の縦断面図である。
【図4】本考案の実施例4による防振構造及び防風効果をもつ送話器取付け構造の縦断面図である。
【図5】本考案に用いる防風用の部品の簡略斜視図である。
【図6】従来の送話器取付け構造を示す縦断面図である。
【図7】従来の送話器取付け構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 筐体(前部)
1a 凸部
2 筐体(後部)
3 送話器押さえ用部品
4 ねじ
5 送話器
6 マウスピース
7 防塵膜
8 漏洩防止用部品
9 防風効果のある抵抗体
10 抵抗体取付け部品
11 送話口
11a凸部
12 筐体
12a凸部
13 送話器
14 前気室
20 弾性体A
21 弾性体B
22 弾性体C
23 弾性体D

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 送話器をハンドセットの内部に弾性体として天然ゴム,合成ゴム,テフロンシート等のハンドセット(筐体)と材質を異にする高分子材料を介して保持することで、ハンドセットから発生する雑音がハンドセットや保持具を通して伝播しないような防振構造にしたことを特徴とする送話器の取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】実開平5−48455
【公開日】平成5年(1993)6月25日
【考案の名称】送話器の取付け構造
【国際特許分類】
【出願番号】実願平3−103757
【出願日】平成3年(1991)11月22日
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)