説明

逆さ缶搬送停止装置

【課題】 本発明の課題は、簡単な構成で逆さ缶が次工程に搬送されることを防止できる逆さ缶搬送停止装置を提供することである。
【解決手段】 本発明の逆さ缶搬送停止装置1は、開口部23を上にした缶3を次工程に向けて搬送する搬送コンベア5と、缶胴部25の外周面に接触して缶3を案内する一対の搬送ガイド7と、搬送ガイド7の下方に設けられた逆さ缶ストッパ9とを備え、缶3の開口部23には缶胴部25より大きい径を有する巻き締めフランジ27が形成されており、逆さ缶ストッパ9は缶胴部25の外周面よりも外側であり且つフランジ27の外周縁27aよりも内周側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は逆さ缶搬送停止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には搬送ガイドが缶胴部の外周面に接触して缶をガイドしつつ次工程に向けて缶を搬送する技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−53111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献1に記載の従来技術では、開口部が下になったいわゆる逆さ缶が次工程である充填機に運ばれた場合、開口部が下になっているため充填液を缶内に充填できず、充填バルブを損傷したり、逆さ缶が巻き締め機に搬送されると、巻き締めが正常に行なわれずに巻き締め機を損傷するおそれがある。よって、逆さ缶が充填機や巻き締め機等の次工程に搬送されることを防止できる装置が望まれている。
【0005】
本発明は、簡単な構成で逆さ缶が次工程に搬送されることを防止できる逆さ缶搬送停止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、開口部を上にした缶を次工程に向けて搬送する搬送コンベアと、缶胴部の外周面に接触して缶を案内する一対の搬送ガイドと、搬送ガイドの下方に設けられた逆さ缶ストッパとを備え、缶の開口部には缶胴部より大きい径を有する巻き締めフランジが形成されており、逆さ缶ストッパは缶胴部の外周面よりも外側であり且つフランジの外周縁よりも内周側に位置していることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、缶の底部は缶胴部より小さな径を有しており、逆さ缶ストッパは底部の周面に対面する位置にあることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載の発明において、逆さ缶ストッパは平面視多角形状で且つ垂直軸方向の回動中心を有しており、多角形の角部が搬送路内に位置して逆さ缶のフランジを止めるようにしてあり、角部の回動により位置調整自在としてあることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載の発明において、逆さ缶ストッパは搬送路内における角部の位置を変更する位置調整部を備えており、位置調整部はねじの進退により逆さ缶ストッパの回動量を調整していることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載された発明は、請求項3に記載の発明において、逆さ缶ストッパは搬送路内に位置する角部が面取りされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、開口部を上にして搬送コンベアに載せられた缶は搬送ガイドに缶胴部がガイドされつつ次工程に向けて搬送される。開口部を上にした正常な缶が搬送されてきた場合には、逆さ缶ストッパに当接することなく移動し、そのまま次工程へ搬送される。一方、逆さ缶が搬送されてきた場合には、巻き締めフランジが搬送ガイドの下方に設けられた逆さ缶ストッパに当たって缶が止まり、逆さ缶が次工程に搬送されることを防止できる。しかも、搬送路内に逆さ缶ストッパを突き出しておくだけなので構成が簡単である。
【0012】
請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載された発明と同様の効果が得られると共に、逆さ缶ストッパが缶胴部の外周面よりも内側に位置しているので、フランジの外周縁からの距離を長くとることができ、逆さ缶が搬送された場合に巻き締めフランジを確実に止めることができる。
【0013】
請求項3に記載された発明によれば、請求項1又は2に記載された発明と同様の効果が得られると共に、回動によって搬送路内における逆さ缶ストッパの位置を変えられるので、種類の異なる缶(容量の異なる缶)であっても、位置調整が簡単である。
【0014】
請求項4に記載された発明によれば、請求項3に記載された発明と同様の効果が得られると共に、ねじの進退によって逆さ缶ストッパの回動量を変更できるので、操作が容易である。
【0015】
請求項5に記載された発明によれば、請求項3に記載された発明と同様の効果が得られると共に、逆さ缶ストッパの搬送路内に位置する角部が面取りされているので、缶に傷が付き難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本実施の形態に係る逆さ缶搬送停止装置を示しており、逆さ缶ストッパが巻き締めフランジに当たった状態を示す断面図、図2は本実施の形態に係る逆さ缶搬送停止装置を示しており、逆さ缶ストッパが缶底部を通過する状態を示す断面図、図3は本実施の形態において用いられる缶の断面図、図4は本実施の形態に係る逆さ缶搬送停止装置の全体を示す平面図である。
【0017】
本発明の実施の形態に係る逆さ缶搬送停止装置1は、ビールの製造工程において、開口部23を上にして搬送される缶3が逆さになって次工程の充填機や巻き締め機に搬送されることを防止する装置であり、缶3を搬送する搬送コンベア5と、缶胴部25の外周面に接触して缶3をガイドする一対の搬送ガイド7と、一方の搬送ガイド7の下方に設けられた逆さ缶ストッパ9とを備えている。
【0018】
缶3は容量が135mlであり、開口部23には缶胴部25の径より大きい径を有する巻き締めフランジ27を形成しており、底部29は缶胴部25より小さな径を有している。尚、フランジ27の径は胴部径よりも約2mm大きくなっている。
【0019】
逆さ缶ストッパ9は平面視四角形状のプレート11と、プレート11を搬送台10に固定する固定具15と、固定具15の位置を回動中心としてプレート11の位置を調整する位置調整部13とを備えており、プレート11の角部11aを搬送路内に位置させた状態でプレート11を搬送台10に固定している。プレート11の角部11aの先端部は缶のフランジ27の外周縁27aよりも内周側に位置しており、逆さ缶3が搬送されてきた場合は、フランジ27が逆さ缶ストッパ9で止まるようになっている。また、プレート11の角部11aの先端部は缶底部29の周面29aに対面する位置にあり、開口部23を上にした正常な缶3が搬送されてきた場合は、缶底部29をすり抜けるようになっている。
【0020】
プレート11はステンレス製であり、大きさは長手方向の長さが約150mm、短手方向の長さが約50mm、厚さが約3mmである。位置調整部13はプレート11側に取り付けたL字状の調整片17と、搬送台10側に固定された固定片19と、ねじ21とからなり、ねじ21を操作することで、搬送路内におけるプレート11の角部11aの位置が変えられるようになっている。プレート11の角部11aは面取りされており、缶3に傷が生じ難くなっている。
【0021】
次に、本実施の形態に係る作用を説明する。搬送コンベア5上に載せられた缶3は搬送ガイド7に缶胴部25を案内されつつ図4中矢印で示す方向に搬送され、次の工程である充填機や巻き締め機に送られる。開口部23を上にした正常な缶3が搬送されてきた場合には、逆さ缶ストッパ9に当接することなく移動し、そのまま次工程へ搬送される。一方、逆さになった缶3が搬送された場合には、缶3の開口部23のフランジ27が逆さ缶ストッパ9に当たって缶3が止まり、逆さ缶3が次工程に搬送されることを防止できる。
【0022】
このように、逆さ缶3が充填機に搬送されることを防止できるので、逆さ缶3が充填機に搬送されて充填バルブが損傷することを防止できる。また、逆さ缶3が巻き締め機に搬送することを防止できるので、逆さ缶3が巻き締め機によって変形することがなく、変形した缶がガイドに引っ掛かってジャムが発生し、他の缶に対して傷やへこみ等を生じさせることを防止できる。
【0023】
また、搬送路内に逆さ缶ストッパ9を突き出しておくだけなので構成が簡単である。
【0024】
逆さ缶ストッパ9が缶胴部25の外周面よりも内側に位置しているので、フランジ27の外周縁からの距離を長くとることができ、逆さ缶3が搬送された場合にフランジ27を確実に止めることができる。
【0025】
回動によって搬送路内における逆さ缶ストッパ9の位置を変えられるので、種類の異なる缶(容量の異なる缶)であっても、位置調整が簡単である。
【0026】
位置調整部13において、ねじ21の進退によって逆さ缶ストッパ9の回動量を変更できるので、操作が容易である。
【0027】
逆さ缶ストッパ9はプレート11を搬送台10に固定するだけなので、構成が簡単且つ既存の設備に対しても後付けしやすい。
【0028】
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0029】
本実施の形態では、逆さ缶搬送停止装置1をビールの製造工程において用いたが、焼酎、ウイスキー、ワイン等のアルコール飲料や清涼飲料水の製造工程に用いるものであっても良い。
【0030】
逆さ缶ストッパ9は平面視四角形状としたが、平面視三角形状、平面視五形状、平面視六形状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施の形態に係る逆さ缶搬送停止装置を示しており、逆さ缶ストッパが巻き締めフランジに当たった状態を示す断面図である。
【図2】本実施の形態に係る逆さ缶搬送停止装置を示しており、逆さ缶ストッパが缶底部を通過する状態を示す断面図である。
【図3】本実施の形態において用いられる缶の断面図である。
【図4】本実施の形態に係る逆さ缶搬送停止装置の全体を示す平面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 逆さ缶搬送停止装置
3 缶
5 搬送コンベア
7 搬送ガイド
9 逆さ缶ストッパ
11a 角部
21 ねじ
23 開口部
25 缶胴部
27 フランジ
29 底部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を上にした缶を次工程に向けて搬送する搬送コンベアと、缶胴部の外周面に接触して缶を案内する一対の搬送ガイドと、搬送ガイドの下方に設けられた逆さ缶ストッパとを備え、缶の開口部には缶胴部より大きい径を有する巻き締めフランジが形成されており、逆さ缶ストッパは缶胴部の外周面よりも外側であり且つフランジの外周縁よりも内周側に位置していることを特徴とする逆さ缶搬送停止装置。
【請求項2】
缶の底部は缶胴部より小さな径を有しており、逆さ缶ストッパは底部の周面に対面する位置にあることを特徴とする請求項1に記載の逆さ缶搬送停止装置。
【請求項3】
逆さ缶ストッパは平面視多角形状で且つ垂直軸方向の回動中心を有しており、多角形の角部が搬送路内に位置して逆さ缶のフランジを止めるようにしてあり、角部の回動により位置調整自在としてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の逆さ缶搬送停止装置。
【請求項4】
逆さ缶ストッパは搬送路内における角部の位置を変更する位置調整部を備えており、位置調整部はねじの進退により逆さ缶ストッパの回動量を調整していることを特徴とする請求項3に記載の逆さ缶搬送停止装置。
【請求項5】
逆さ缶ストッパは搬送路内に位置する角部が面取りされていることを特徴とする請求項3に記載の逆さ缶搬送停止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−82949(P2006−82949A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271130(P2004−271130)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】