説明

逆浸透膜エレメント交換装置、逆浸透膜ろ過装置

【課題】複数の圧力容器に対する逆浸透膜エレメントの交換装置及びこれを包含する逆浸透膜ろ過装置を提供する。
【解決手段】逆浸透膜が巻き取られたRO膜エレメント108を収容する圧力容器102を複数備える逆浸透膜モジュール100から膜エレメント108を交換する逆浸透膜エレメント交換装置10であって、前記開口部104に対向して配置され、膜エレメント108が載置される載置台38と、載置台38を前記押し込む方向に垂直な第1の方向と、38を押し込む方向及び前記第1の方向に垂直な第2の方向に移動させる第2の移動手段(荷受台22)とを有し、膜エレメント108を圧力容器102から取り出す駆動手段と、前記第1の移動手段及び第2の移動手段の移動量を制御して載置台38に配置された前記RO膜エレメント108を複数の前記開口部104のいずれかに対向させて前記駆動手段を駆動させる制御部36と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜エレメント交換装置、及びこれを包含する逆浸透膜ろ過装置に係り、特に、逆浸透膜エレメントを収容する圧力容器が複数有する場合であっても効率的に逆浸透膜エレメントの交換が可能な逆浸透膜エレメント交換装置、逆浸透膜ろ過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
逆浸透膜エレメントを用いた海水淡水化設備において、逆浸透膜エレメントを交換する方法としては、特許文献1に開示されているようなものが知られている。具体的には、圧力容器(ベッセル)内に装填された複数の逆浸透膜エレメントのうち、ベッセルにおける一方の開口部(供給水側あるいは透過水側)から、使用済みの逆浸透膜エレメントを抜き取ると共に、他方の開口部から新たな逆浸透膜エレメントを挿入してベッセル内に収容するというものである。
【0003】
しかし、特許文献1に開示されている逆浸透膜エレメントの交換方法は、メンテナンス期間を短く(実施形態中では1年単位)し、端部の逆浸透膜エレメントだけを交換するというものである。このような方法では、メンテナンス頻度が多くなり、稼動効率が悪いという問題がある。また、特許文献1に開示されている方法では、ベッセルの開口部における供給水側とろ過水側の双方に作業員が必要となるため、交換作業には、必ず複数の作業員が必要となり、作業効率が悪いといった問題もある。
【0004】
しかし、海水淡水化設備の稼動効率を考慮し、ベッセル内に収容された逆浸透膜エレメントの全数交換を行う場合には、次のような問題があった。海水淡水化設備は近年、処理水の多量化を目的として、逆浸透膜エレメントの直径が大型化されると共に、ベッセルの長尺化による収容数の増加も図られている。このため、ベッセルに対する逆浸透膜エレメント挿入時の摺動抵抗(摩擦抵抗)が増加し、ベッセルへの挿入作業、および取り出し作業が人力では困難となるという問題が生じてきている。
【0005】
このような作業者の作業負担を軽減することを視野に入れ、逆浸透膜エレメントの交換作業の自動化を図るための手段が、特許文献2に開示されている。特許文献2に開示されている手段は、海水淡水化設備においてベッセルを垂直方向に配置し、ベッセルに対して逆浸透膜エレメントを吊上げ方式、あるいは押し込み方式で収容するというものである。このような手段によれば、逆浸透膜エレメントを持ち上げ、回転させ、押し込むといった作業を作業員が行う必要が無くなり、作業負担が軽減されることとなる。
【0006】
しかし、特許文献2に開示されている手段では、ベッセルが垂直配置されるため、逆浸透膜エレメントの収容数が増えるほど、引き上げ、あるいは押し込みに掛かる負荷が増大する。この負荷は、逆浸透膜エレメントの自重に重力加速度が付加されたものであるため、水平状態に配置された逆浸透膜エレメントを押し込む際の摺動抵抗(摩擦抵抗)よりも大きいことは明らかである。
【0007】
また、垂直状態に配置したベッセルに対して重量物である逆浸透膜エレメントを装填する作業には、逆浸透膜エレメントの落下といった危険が伴うため、作業の安全性に懸念が生ずる。
【0008】
これに対し、逆浸透膜エレメント挿入時の摺動抵抗の低減を図るための手段が、特許文献3に開示されている。具体的には、ベッセルの内周面に、逆浸透エレメントとの間における摩擦抵抗低減処理を施すというものである。ここで、摩擦抵抗低減処理の具体的手段としては、特に限定されてはいないが、ベッセルの内周面に凸部や凹部、滑り性の高い部材、及び回転体などを設置するというものであれば良いという。このような手段を施して、逆浸透膜エレメントの摺動抵抗を低減させれば、逆浸透膜エレメントの交換作業が容易となり、作業性も向上すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−114239号公報
【特許文献2】国際公開第2011/007326号
【特許文献3】国際公開第2009/104750号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、逆浸透膜エレメントを用いた海水淡水化設備では、逆浸透膜エレメントを収容する圧力容器を水平に配置するとともに、逆浸透膜エレメントを挿入するベッセルの開口部が同一面に向くようにベッセルを複数束ねたモジュール構造を有している。よって、開口部は、水平方向にも垂直方向にも配列された状態となり、逆浸透膜エレメントの交換には高所作業を伴うことになる。この場合従来は、交換する逆浸透膜エレメントを保持したアームリフトをフォークリフト等に乗せて逆浸透膜エレメントを開口部の高さまで持ち上げ作業員により逆浸透膜エレメントを開口部から挿入していた。このため、作業効率の向上に限界があったとともに作業員による高所作業を伴うので作業の安全性に問題があった。
【0011】
そこで本発明では、複数の圧力容器に対する逆浸透膜エレメントの挿入作業及び取り出し作業の効率化を図ると共に、作業の安全性を維持することができる逆浸透膜エレメント交換装置及びこれを包含する逆浸透膜ろ過装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る逆浸透膜エレメント交換装置は、逆浸透膜が巻き取られた逆浸透膜エレメントを収容する圧力容器を複数備えるとともに、前記逆浸透膜エレメントが挿入される前記圧力容器の開口部が同一方向を向くように束ねて配置することにより複数の前記開口部を同一面に配置した逆浸透膜モジュールから前記逆浸透膜エレメントを交換する逆浸透膜エレメント交換装置であって、前記開口部に対向して配置され、前記逆浸透膜エレメントを前記開口部から前記圧力容器に押し込む方向に前記逆浸透膜エレメントの端部が向いた状態で前記逆浸透膜エレメントが載置される載置台と、前記載置台を前記押し込む方向に垂直な第1の方向に移動させる第1の移動手段と、前記載置台を前記押し込む方向及び前記第1の方向に垂直な第2の方向に移動させる第2の移動手段と、前記開口部に対向したロッドを前記圧力容器側に移動させることにより前記載置台に載置した前記逆浸透膜エレメントを前記圧力容器に押し込み、前記圧力容器に収容された前記逆浸透膜エレメントに連結手段を介して接続されたロッドを前記圧力容器から離れる方向に移動させることにより前記逆浸透膜エレメントを前記圧力容器から取り出す駆動手段と、前記第1の移動手段及び第2の移動手段の移動量を制御して前記載置台に配置された前記逆浸透膜エレメントを複数の前記開口部のいずれかに対向させて前記駆動手段を駆動させる制御部と、を有することを特徴とする。
上記構成により、逆浸透膜モジュールに対する逆浸透膜エレメントの交換を迅速かつ安全に行なうことができる。
【0013】
また、前記載置台には、前記載置台に搭載した前記逆浸透膜エレメントの位置を前記第1の方向及び前記第2の方向に調整可能な第3の移動手段と、前記載置台と前記開口部との相対位置を前記開口部に配置されたターゲットを用いて調整する相対位置調整手段が設けられたことを特徴とする。
上記構成により、第1の移動手段及び第2の移動手段により移動後の載置台と開口部との相対位置のズレを、開口部に配置されたターゲットを用いて調整する相対位置調整手段により調整することができるので、逆浸透膜エレメントを開口部に確実に挿入することができ、また圧力容器に収容された逆浸透膜エレメントを確実に取り出すことができる。
【0014】
そして、前記逆浸透膜エレメントは、前記逆浸透膜が周囲に巻かれ前記逆浸透膜でろ過されたろ過水が排出される中心パイプを有し、前記ロッドは、前記中心パイプを挿通可能とされ、前記連結手段は、前記ロッドの先端に配置されるとともに前記中心パイプに挿通可能とされ、空気圧または液圧により膨張して前記中心パイプに圧着することにより前記中心パイプと前記ロッドとを連結する中空の弾性部材であり、前記制御部は、前記駆動手段を介して前記ロッドを前記圧力容器から引き出す制御が可能とされ、前記連結手段により前記中心パイプと前記ロッドとを連結させたのち前記ロッドを前記圧力容器から引き出す制御を行なうことにより前記逆浸透膜エレメントを前記圧力容器から取り出し可能とすることを特徴とする。
上記構成により、簡易な構成で圧力容器に収容された逆浸透膜エレメントを取り出すことができる。
【0015】
また、前記圧力容器は、前記逆浸透膜エレメントが複数挿入可能とされるとともに前記逆浸透膜エレメントは前記圧力容器内で直列に接続され、前記逆浸透膜エレメントは、前記逆浸透膜が周囲に巻かれ前記逆浸透膜でろ過されたろ過水が排出される中心パイプを有し、前記圧力容器内で隣り合う前記逆浸透膜エレメント同士は、前記中心パイプにはめ込み可能な中空のジョイントにより互いに隣接する前記中心パイプ同士を接続することにより接続され、前記ジョイントの内壁には前記内壁から突出した突出部が配置され、前記ロッドは、前記中心パイプを挿通可能とされ、前記連結手段は、前記ロッドの先端に配置されるとともに前記突出部に係合する形状を有し、前記制御部は、前記駆動手段を介して前記ロッドを前記圧力容器から引き出す制御が可能とされ、前記連結手段を係合部に係合させたのち前記ロッドを前記圧力容器から引き出す制御を行なうことにより前記逆浸透膜エレメントを前記ジョイントとともに前記圧力容器から取り出し可能とすることを特徴とする。
上記構成により、簡易な構成で圧力容器に収容された逆浸透膜エレメントを取り出すことができる。
【0016】
そして、前記駆動手段は、前記ロッドを先端とするテレスコピック構造を有し、前記逆浸透膜エレメントの挿入方向に伸縮可能な多段式液圧シリンダであることを特徴とする。
上記構成により、駆動手段は逆浸透膜エレメントを圧力容器の奥にまで押し込むことが可能となるとともに、ロッドの収縮時は駆動手段が短くなるので、逆浸透膜エレメント交換装置の占有エリアを小さくすることができる。
【0017】
また、前記駆動手段には、前記ロッドの繰り出し量を算出するエンコーダが配置されたことを特徴とする。
上記構成により、ロッドの実際の繰り出し量を検知することができるので、逆浸透膜エレメントの挿入及び取り出しを確実に行うことができる。
【0018】
そして、前記載置台には、前記逆浸透膜エレメントを複数装填した装填手段が配置され、前記装填手段は、前記駆動手段が前記載置台に載置された前記逆浸透膜エレメントを前記圧力容器に挿入したのち新たな前記逆浸透膜エレメントを前記載置台に載置可能とすることを特徴とする。
上記構成により、逆浸透膜エレメントの圧力容器への挿入を連続して行なうことができるので作業効率を向上させることができる。
【0019】
一方、本発明に係る逆浸透膜ろ過装置は、上述の逆浸透膜エレメント交換装置を、前記逆浸透膜モジュールの複数の前記開口部に対向する位置に配置してなることを特徴とする。
上記構成により、圧力容器に収容された逆浸透膜エレメントの交換を迅速かつ安全に行なうことが可能な逆浸透膜ろ過装置となる。
【発明の効果】
【0020】
上記のような特徴を有する逆浸透膜エレメント交換装置及び逆浸透膜ろ過装置によれば、従来、最も労力が必要とされていた圧力容器に対する逆浸透膜エレメントの交換作業を自動化して作業の迅速及び安全を図ることができる。また、圧力容器が高所に配置されていても逆浸透膜エレメントを圧力容器に自動で挿入し、または圧力容器に収容された使用済みの逆浸透膜エレメントを取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置、及び本実施形態の逆浸透膜エレメント装置の適用対象となる逆浸透膜モジュールの正面図である。
【図2】図1の斜視図(載置台の記載を省略)である。
【図3】本実施形態の逆浸透膜エレメントの模式図を示す。
【図4】本実施形態の載置台の側面図である。
【図5】本実施形態の載置台の平面図である。
【図6】第1実施形態の駆動手段の模式図である。
【図7】第2実施形態の駆動手段の模式図である。
【図8】本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置の動作(押し込み前)を示す模式図である。
【図9】本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置の動作(押し込み後)を示す模式図である。
【図10】第3実施形態の駆動手段の模式図であり、図10(A)は収縮時の模式図、図10(B)は伸長時の模式図である。
【図11】第3実施形態の駆動手段の動作(収縮時)を示す模式図である。
【図12】第3実施形態の駆動手段の動作(1段目伸長時)を示す模式図である。
【図13】第3実施形態の駆動手段の動作(2段目伸長時)を示す模式図である。
【図14】第1実施形態の連結手段を用いてRO膜エレメントを取り出す工程を示す図である。
【図15】第2実施形態の連結手段を用いてRO膜エレメントを取り出す場合を示す図である。
【図16】図15のA−A線断面図である。
【図17】図15のB−B線断面図である。
【図18】図15のC矢視図であって、連結手段の係合部の通過時を示す図である。
【図19】図15のC矢視図であって、連結手段が係合部を通過したのちに連結手段を回転させRO膜エレメントを取り出すときの配置を示す図である。
【図20】第1実施形態の装填手段の模式図である。
【図21】第2実施形態の装填手段の模式図である。
【図22】第3実施形態の装填手段の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。なお図中においてX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(上下方向)は、互いに直交するものとする。
【0023】
図1に本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置、及び本実施形態の逆浸透膜エレメント装置の適用対象となる逆浸透膜モジュール100の正面図を示し、図2に図1の斜視図(載置台の記載を省略)を示す。本実施形態の適用対象となる逆浸透膜モジュール100は、例えば海水から淡水を抽出するものであり、この逆浸透膜モジュール100と本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置10により逆浸透膜ろ過装置が形成される。
【0024】
逆浸透膜モジュール100は、長手方向が水平(Y軸方向)となるように配置されたシリンダ形状の圧力容器102(ベッセル)を複数束ねた態様で固定され、各圧力容器102に逆浸透膜エレメント(以下、単にRO(Revers Osmosis)膜エレメントと称す))が収容されたものである。また逆浸透膜モジュール100においては、RO膜エレメント108(図3)を挿入または取り出すための圧力容器102の開口部104が同一面(逆浸透膜モジュール100の−Y軸側の面)を形成するように配置されている。すなわち、図1、図2に示すように、圧力容器102がフレーム106に支持されて水平方向(X軸方向)及び上下方向(Z軸方向)にアレイ状に配列され開口部104が配列面(XZ平面)を形成したものとなっている。
【0025】
図3に逆浸透膜エレメントの模式図を示す。図3に示すように、本実施形態で用いるRO膜エレメント108は、中心パイプ110の外周に、袋状に形成された逆浸透膜112と、原水(塩分含有水)を通過させるためのメッシュスペーサ114が層を成すようにして、ロール状に巻かれている。袋状に形成された逆浸透膜112の内部には、透過された水を通過させるためのスペーサとして、流路材116が配置されている。このような構成のRO膜エレメント108では、一方(−Y軸側)の端部(供給水側)における開口部104から、逆浸透膜112間に配置されたメッシュスペーサ114に原水(塩分含有水)が流れ込む。メッシュスペーサ114に流れ込んだ原水に、浸透圧力以上の圧力を付与することで、原水中の水が逆浸透膜112を透過して、袋状に形成した逆浸透膜112内部の流路材116に流れ込む。流路材116に流れ込んだ水(ろ過水)は、中心パイプ110に流れ込み、他方(+Y軸側)の端部(ろ過水側)の中心に設けられた孔(中心パイプ110に繋がった孔)から排出される。なお、ろ過されずにメッシュスペーサ114に残った濃縮水は、他方の端部側のメッシュスペーサ114から排出される。
【0026】
このRO膜エレメント108は、圧力容器102内で複数個収容され、圧力容器102内で原水により加圧され、この加圧により逆浸透膜において原水がろ過水と濃縮水に分離する。ここで、互いに隣り合うRO膜エレメント108は、中心パイプ110同士が、中心パイプ110の端部にはめ込まれる中空のジョイント118により接続されることにより、圧力容器102内に収容された状態で直列に接続される(図15参照)。よって各RO膜エレメント108でろ過されたろ過水は、一本に繋がった中心パイプ110を通じて圧力容器102の外部に排出される。また前段のRO膜エレメント108から排出された濃縮水は次段のRO膜エレメント108に供給されてろ過水と濃縮水に分離され、最後段のRO膜エレメント108から排出された濃縮水は圧力容器102の外部に排出される。
【0027】
図1、図2に示すように、本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置10は、主にスタッカークレーン12、載置台38(図2では不図示)、制御部36により構成されている。スタッカークレーン12は、鉛直方向(Z軸方向)に立てられた状態で水平方向に移動可能な矩形の枠部14(第1の移動手段)と、載置台38が配置され枠部14に取り付けられ枠部14に沿って載置台38とともに上下方向に移動する荷受台22(第2の移動手段)により外形が形成される。枠部14は、逆浸透膜モジュール100の圧力容器102の開口部104(配列面:XZ平面)に対向するように配置されている。そして枠部14が配置される床面には枠部14が走行するレール16が配置され、レール16の長手方向は圧力容器102が水平方向に配列される方向に平行な方向(第1の方向:X方向)に向けられている。そして枠部14の下端に配置された走行車輪18がレール16上を移動することにより、枠部14が配列面(XZ面)の水平方向(X方向)の両端部にまで移動可能となっている。
【0028】
よって枠部14がレール16上を走行し枠部14に対向する開口部104が交替しても枠部14と枠部14に対向する開口部104(配列面)との距離は一定となる。さらにレール16は逆浸透膜モジュール100の配列面(XZ面)の水平方向(X軸方向)の端部に対向する位置よりもさらに延設され、枠部14が配列面(XZ面)の対向位置から外れる位置となる準備エリア122(図2)まで移動できるようにしている。これによりRO膜エレメント108を準備エリア122において載置台38に容易に載置し、または載置台38に配置された使用済みのRO膜エレメント108を準備エリア122で容易に取り出すことができる。
【0029】
また、走行車輪18には同軸の歯車(不図示)が配置され、この歯車(不図示)に噛み合う走行モータ20から動力を受けてレール16上を走行可能となっている。走行モータ20は、制御部36により回転方向及び回転量を制御可能とされ、この回転方向及び回転量に対応して走行車輪18を任意の方向に任意の回転量で回転させて枠部14を任意の位置に移動させることができる。
【0030】
荷受台22は、枠部14を厚み方向から挟み込む態様で配置されており、荷受台22に配置された転接ローラ24が枠部14を厚み方向(Y軸方向)から挟むように当接し、チェーン26により吊り下げられている。チェーン26は昇降モータ28からの動力を受けて上下方向(第2の方向:Z方向)に移動することができる。昇降モータ28は、制御部36により回転方向及び回転量を制御可能とされ、この回転方向及び回転量に対応してチェーン26の繰り出し方向及び繰り出し量を制御することにより荷受台22を任意の高さ位置に移動させることができる。
【0031】
また図2に示すように、床面にはレール16と平行してスタッカークレーン12側への電力供給を行なう絶縁トロリ30が配置され、スタッカークレーン12、制御部36(載置台38)は常時絶縁トロリ30から電力が供給される。また枠部14の上端が通過する位置には水平かつレール16と同一方向にガイドレール32が配置され、枠部14の上端に配置された転接ローラ34がガイドレール32に当接することにより枠部14の転倒を防止している。
【0032】
制御部36は、走行モータ20、昇降モータ28、そして後述の駆動手段58、72を駆動させる駆動モータ70の回転方向及び回転量を制御するものである。また制御部36は、載置台38をアレイ状に配列された複数の圧力容器102の開口部104のうちのいずれかに対向する位置に移動させ、載置台38に配置されたRO膜エレメント108を圧力容器102に挿入し(押し込み)、または圧力容器102に収容された使用済みのRO膜エレメント108を取り出す制御を行なうものである。本実施形態ではスタッカークレーン12の下部に配置されているが、スタッカークレーン12から切り離して配置してもよい。
【0033】
制御部36は、逆浸透膜モジュール100を構成する各圧力容器102の開口部104と載置台38とが対向する位置、及び載置台38が準備エリア122に配置されるときの走行モータ20、昇降モータ28の回転量を一定の角度分解能でデータ化した回転量情報(ある回転位置を基準とした回転角度の情報であって周回成分を含むもの)を保持している。また制御部36は、走行モータ20、昇降モータ28の現在の回転量をデータ化した回転量情報を常時取得している。さらに制御部36は、各圧力容器102の開口部104と載置台38とが対向する位置の情報および準備エリア122の位置情報に対応して、回転量情報を選択できるようになっている。
【0034】
また、制御部36は、キー操作等により新たな移動先となる開口部104の位置情報等が入力されると、現在の位置情報に対応する回転量情報と移動先の位置情報に対応する回転量情報との差分を算出し、その差分に応じた回転方向及び回転量に対応する出力信号を走行モータ20、昇降モータ28にそれぞれ出力して、載置台38を新たな移動先の開口部104に対向する位置等に移動させることができる。
【0035】
なお、スタッカークレーン12、ガイドレール32、載置台38は、載置台38が後述のようにRO膜エレメント108を圧力容器102に挿入する際、または圧力容器102に収容された使用済みのRO膜エレメント108を取り出す際に、RO膜エレメント108の重量及びRO膜エレメント108と圧力容器102との摩擦抵抗に起因して受ける反力に対して剛性を維持し、RO膜エレメント108の出し入れが確実に行えるように設計されているものとする。
【0036】
図4に本実施形態の載置台の側面図を示し、図5に本実施形態の載置台の平面図を示す。載置台38は、荷受台22上に配置・固定されるとともにRO膜エレメント108を載置させるための台である。載置台38は、荷受台22に立設された支柱状の第1の部材40と、水平方向(X軸方向)に長手方向を有し第1の部材40に取り付けられるとともに第1の部材40との相対位置を上下方向(Z軸方向)にスライド可能な第2の部材46と、第2の部材46に取り付けられるとともに、第2の部材46との相対位置を水平方向(X軸方向)にスライド可能な第3の部材50により全体が構成されている。
【0037】
第1の部材40と第2の部材46とは、昇降移動手段(第3の移動手段)を介して接続されている。昇降移動手段は、第2の部材46の第1の部材40との上下方向の相対位置をスライドさせるリニアガイドであり、第1の部材40に取り付けられ上下方向を長手方向としその長手方向を回転軸として回転するボールネジ42と、ボールネジ42を回転させるモータ44と、第2の部材46に取り付けられるともにボールネジ42と螺合するスライダ(不図示:第2の部材46と一体化されている)と、を有する。よって、第2の部材46はボールネジ42の回転方向及び回転量に依存して第1の部材40との上下方向の相対位置をスライドさせることができる。
【0038】
第2の部材46と第3の部材50とは、水平移動手段(第3の移動手段)を介して接続されている。水平移動手段は、第3の部材50の第2の部材46との水平方向の相対位置をスライドさせるリニアガイドであり、第2の部材46に取り付けられ、水平方向(X軸方向)を長手方向としその長手方向を回転軸として回転するボールネジ48と、ボールネジ48を回転させるモータ(不図示)と、第3の部材50に取り付けられるとともにボールネジ48に螺合するスライダ(不図示:第3の部材50と一体化している)と、を有する。よって、第3の部材50はボールネジ48の回転方向及び回転量に依存して第2の部材46との水平方向の相対位置をスライドさせることができる。
【0039】
第3の部材50には、RO膜エレメント108を水平に支持する支持部52と、支持部52に配置されたRO膜エレメント108を圧力容器102に押し出し、または圧力容器102に収容された使用済みのRO膜エレメント108を取り出す駆動手段58、72(図6、図7参照)と、圧力容器102の開口部104に配置されたターゲットを用いて開口部104と載置台38(支持部52上に配置されたRO膜エレメント108)との相対位置のズレ(X軸方向及びZ軸方向のズレ)を調整する相対位置調整手段(不図示)と、が配置される。
【0040】
相対位置調整手段(不図示)は、前述の制御部36が載置台38を所定の圧力容器102の開口部104に対向させる位置に移動させたのちに制御部36により駆動させるものである。相対位置調整手段は、例えば第3の部材50に配置され、RO膜エレメント108を圧力容器102に挿入する方向に光軸が向けられその方向に映る被写体の画像データを撮影するカメラ(不図示)と、画像データから圧力容器102の開口部104の所定位置に配置されたターゲット(不図示)を識別し、ターゲット(不図示)が画像中の所定の位置となるように昇降移動手段のモータ44と水平移動手段のモータ(不図示)の回転量を制御する相対位置調整部(不図示)と、を有する構成としてもよい。
【0041】
また、例えば、第3の部材50に配置され圧力容器102の開口部104の所定位置に配置されたターゲット(不図示)に向けてレーザ光を発する送信部(不図示)と、第3の部材50に取り付けられターゲット(不図示)で反射されたレーザ光を受光する受信部(不図示)と、昇降移動手段のモータ44と水平移動手段のモータ(不図示)の回転量を制御して受信部(不図示)に送信部(不図示)からのレーザ光を受光させる相対位置調整部(不図示)と、を有する構成としてもよい。
【0042】
前者の構成では、ターゲット(不図示)が画像中で所定の位置(例えば中心)となった場合に圧力容器102の中心軸とRO膜エレメント108の中心軸とが同軸で配置されるように予め調整しておく必要がある。また後者の構成では、ターゲット(不図示)は例えばレーザ光の反射率が高いミラーを用いることとし、受信部(不図示)がレーザ光の反射光を受光したとき(または反射光が最大強度となったとき)に圧力容器102の中心軸とRO膜エレメント108の中心軸とが同軸で配置されるように予め調整しておく必要がある。
【0043】
このように、枠部14(第1の移動手段)及び荷受台22(第2の移動手段)により移動後の載置台38と開口部104との相対位置のズレを、開口部104(開口部104以外の場所でもよい)に配置されたターゲット(不図示)を用いて調整する相対位置調整手段(不図示)により調整することができるので、逆浸透膜エレメントを開口部104に確実に挿入することができ、また後述のように圧力容器102に収容されたRO膜エレメント108を確実に取り出すことができる。なお、相対位置調整手段(不図示)は、載置台38のX軸方向及びZ軸方向の小さな位置ズレの微調整を行なうものであるが、前述の相対位置調整部(不図示)による制御を制御部36が直接行ってもよい。
【0044】
支持部52は、RO膜エレメント108の側面に転接する転接ローラ52aを有し、転接ローラ52aのRO膜エレメント108との転接位置がRO膜エレメント108の側面に倣うように支持部52が配置されている。そして、支持部52は、RO膜エレメント108の端面方向から見てRO膜エレメント108が転接ローラ52aにより2点支持(図1参照)となるように配列され(3点支持以上でもよい)、RO膜エレメント108の圧力容器102への挿入方向(Y軸方向)に並んで配列されている。転接ローラ52aの回転軸はRO膜エレメント108を押し込む方向(+Y軸方向)または取り出す方向(−Y軸方向)に垂直な方向に向けられ、RO膜エレメント108がロッド56により押し込まれて載置台38上を移動する際に転接ローラ52aはRO膜エレメント108との摩擦力により回転する。これにより、ロッド56がRO膜エレメント108を押し込む際の(引き込む際の)摩擦抵抗を低減させることができる。なお転接ローラ52aの代わりにRO膜エレメント108との摩擦抵抗が小さい材料を配置してもよい。
【0045】
図6に、第1実施形態の駆動手段の模式図を示す。第1実施形態の駆動手段58は、チェーン駆動によりロッド56を駆動させるものである。駆動手段58を配置するため、第3の部材50には内部空間50aが配置され、第3の部材50の+Z軸側の面の支持部52の間となる位置には、Y軸方向に長手方向を有し内部空間50aを開放するスリット50b(図5参照)が配置されている。そして、第1実施形態の駆動手段58は、この内部空間50aに、駆動歯車60と従動歯車62の間に掛け回されたチェーン64と、チェーン64に固着されたスライダ66を基本として構成される。スライダ66は、スリット50bを貫通して外部に露出し、スライダ66の露出した部分にはRO膜エレメント108を挿入する方向(+Y軸方向)に長手方向を有するロッド56が接続される。ここで駆動手段58の駆動モータ70(図6では不図示)は駆動歯車60を駆動するように配置されている。なお、駆動歯車60と従動歯車62との間の長さ(ロッド56の繰り出し量)は、圧力容器102の長手方向の長さ及びRO膜エレメント108の長さを考慮して設計される。上記構成により、駆動モータ70(図6では不図示)により駆動する駆動歯車60の回動によりスライダ66及びロッド56のY軸方向のスライドが可能となる。
【0046】
なお、スライダ66の下部には、スライダ66の安定性を向上させるためのスライドガイド68を設けるようにすると良い。また、ロッド56を用いて圧力容器102にRO膜エレメント108を挿入する(押し込む)際は、ロッド56の+Y軸側の先端にRO膜エレメント108の中心パイプ110の内径より大きく且つRO膜エレメント108の端部より小さな当接板56aを配置するものとする。
【0047】
図7に、第2実施形態の駆動手段の模式図を示す。第2実施形態の駆動手段72は、上述の昇降移動手段及び水平移動手段と同様にリニアガイドによりロッド56を駆動させている。駆動手段72は、第3の部材50の内部空間50aに配置されY軸方向を長手方向としその長手方向を回転軸として回転するボールネジ74と、ボールネジ74を回転させる駆動モータ70と、ボールネジ74に螺合するとともにRO膜エレメント108の挿入方向の延長線上に配置されスリット50bから露出するスライダ76と、を有し、スライダ76のスリット50bから露出した部分にはロッド56が取り付けられる。なお、駆動手段72の繰り出し量(ボールネジ74の長さ)は、圧力容器102の長手方向の長さ及びRO膜エレメント108の長さを考慮して設計される。
【0048】
前述の制御部36は、第1実施形態及び第2実施形態の駆動手段58、72を駆動させるため、ロッド56が+Y軸側に最も繰り出されたときの駆動モータ70の回転量をデータ化した回転量情報、ロッド56が−Y軸側に最も繰り出されたときの駆動モータ70の回転量をデータ化した回転量情報を保持している。さらに制御部36は、駆動モータ70の現在の回転量をデータ化した回転量情報を常時取得している。また制御部36は、ロッド56が−Y軸側に最も繰り出したときの位置情報及びロッド56が+Y軸側に最も繰り出したときの位置情報に対応して、それぞれ回転量情報を抽出できるようになっている。
【0049】
よって制御部36は、キー操作等によりロッド56が+Y軸側に最も繰り出されたときの位置情報または−Y軸側に最も繰り出されたときの位置情報が入力されると、それに対応する回転量情報と駆動モータ70の現在の回転量情報との差分を算出し、その差分に応じた回転方向及び回転量に対応する出力信号を駆動モータ70に出力して、ロッド56を所定の位置に移動させることができる。すなわち載置台38に載置したRO膜エレメント108を押し込んで圧力容器102に挿入させる、或いは後述のように圧力容器102に収容されたRO膜エレメント108を引き出して圧力容器102から取り出すことができる。
【0050】
図8に、本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置の動作(押し込み前)を示し、図9に、本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置の動作(押し込み後)を示す。本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置10の動作について説明する。ここでは、圧力容器102にRO膜エレメント108を挿入する(押し込む)場合について説明する。
【0051】
まず逆浸透膜エレメント交換装置10の起動時は、スタッカークレーン12が準備エリア122に対向する位置にあり載置台38が最も低い位置となる状態になっているものとする。また載置台38に配置された駆動手段58、72の駆動モータ70は、ロッド56が最も−Y軸側にスライドされた状態時の回転量になっているものとする。
【0052】
まず、準備エリア122において作業員がリフト等を用いてRO膜エレメント108を載置台38(支持部52)に載置する(図1参照)。このときロッド56の+Y軸側の先端に配置された当接板56aがRO膜エレメント108の−Y軸側の端部に対向もしくは当接している。
【0053】
そして、作業員は制御部36においてRO膜エレメント108を挿入する圧力容器102の開口部104の位置の情報をキー操作等により入力し、制御部36は載置台38が前記開口部104に対向する位置となるように走行モータ20、及び昇降モータ28に出力信号を出力する。そして載置台38が前記開口部104に対向する位置に移動したのちに、RO膜エレメント108の中心軸と圧力容器102の中心軸とが同軸となるように(図8)、制御部36は相対位置調整手段(不図示)を駆動させて載置台38のX軸方向及びZ軸方向の微調整を行なう。
【0054】
そして作業員は、キー操作等により制御部36にロッド56が+Y軸側の最も繰り出すときの位置情報を入力する。すると制御部36は駆動手段58、72の駆動モータ70に出力信号を出力して駆動モータ70を駆動させ、ロッド56を+Y軸側に移動させる。これによりロッド56が+Y軸側(圧力容器102側)に移動するとともに、ロッド56がRO膜エレメント108を圧力容器102側に押し込むことになる。そして、ロッド56が+Y軸側に最も繰り出す位置に到達することにより駆動モータ70の駆動が停止する(図9)。
【0055】
次に、作業員は、ロッド56が−Y軸側に最も繰り出すときの位置情報を制御部36に入力し、制御部36は駆動モータ70に出力信号を出力してロッド56を−Y軸側に移動させ、さらに作業員は載置台38が準備エリア122に対向する位置となる位置情報を制御部36に入力し、制御部36は走行モータ20及び昇降モータ28に出力信号を出力してスタッカークレーン12(枠部14、荷受台22)を準備エリア122に対向する位置に移動させる。
【0056】
上述のように一つの圧力容器102には複数のRO膜エレメント108が収容されるので、上述の工程を繰り返して同じ圧力容器102にRO膜エレメント108を挿入する作業を繰り返す。このとき、新たに挿入するRO膜エレメント108の中心パイプ110の+Y軸側の端部には、長手方向の両端で中心パイプ110にはめ込まれるジョイント118(図15参照)を予めはめ込んでおく。そして、既にRO膜エレメント108が挿入された圧力容器102に新たなRO膜エレメント108を挿入する際にジョイント118が既に挿入されたRO膜エレメント108の中心パイプ110の−Y軸側の端部にはめ込まれるとともに(図15参照)、ロッド56が既に挿入されたRO膜エレメント108とともに新たなRO膜エレメント108を圧力容器102内に押し込むことになる。この作業は圧力容器102内がRO膜エレメント108で全て充填されるまで繰り返され、一つの圧力容器102に所定数のRO膜エレメント108が収容されたのちは他の圧力容器102で上述の作業を繰り返すことになる。
【0057】
このように、本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置10は、X軸方向及びZ軸方向にアレイ状に配置された圧力容器102を有する逆浸透膜モジュール100において、各圧力容器102の開口部104に対向する位置にスタッカークレーン12により確実にRO膜エレメント108を人力に頼らず移動させ、RO膜エレメント108の中心軸と圧力容器102の中心軸とが同軸となるように相対位置調整手段(不図示)により載置台38と開口部104との位置ずれを人力に頼らず修正し、載置台38に配置されたロッド56の+Y軸方向への駆動によりRO膜エレメント108を人力に頼らずに圧力容器102内に確実に挿入する(押し込む)ことができ、逆浸透膜モジュール100に対する逆浸透膜エレメントの挿入を迅速かつ安全に行なうことができる。
【0058】
図10に、第3実施形態の駆動手段の模式図を示し、図10(A)は収縮時の模式図、図10(B)は伸長時の模式図を示す。また、図11に、第3実施形態の駆動手段の動作(収縮時)を示し、図12に、第3実施形態の駆動手段の動作(1段目伸長時)を示し、図13に、第3実施形態の駆動手段の動作(2段目伸長時)を示す。
【0059】
第1実施形態及び第2実施形態の駆動手段58、72では、一つの圧力容器102にRO膜エレメント108を挿入する作業を繰り返すたびにロッド56が押し出すRO膜エレメント108の個数が増加するため、RO膜エレメント108と圧力容器102との摩擦抵抗が増加し、駆動手段58、72の負担が増加する。よって、本実施形態では、載置台38に搭載したRO膜エレメント108を初めから圧力容器102の内部深くまで押込むことを可能とするために、シリンダロッドをテレスコピック型とした多段式油圧シリンダ78とした。
【0060】
本実施形態で用いる多段式油圧シリンダ78は、内部に油室(不図示)を備えるシリンダ80と、油室に対する作動油の流入によりシリンダ80から+Y軸側に伸張する第1ロッド82と、作動油の流入により第1ロッド82からさらに+Y軸側に伸長する第2ロッド84を基本として構成される。多段式油圧シリンダ78は、作動油を蓄えた予備タンク(不図示)にポンプ(不図示)を介して接続され、ポンプ(不図示)は正転・逆転が可能とされ作動油を予備タンク(不図示)側から多段式油圧シリンダ78側に一定の圧力で供給し、また多段式油圧シリンダ78内の作動油を一定の吸引力(圧力)で吸引して準備タンクに供給することができる。したがって、多段式油圧シリンダ78は、ポンプ(不図示)の正転・逆転により+Y軸方向に一定の力で伸長し若しくは−Y軸方向に一定の力で収縮することができる。なお、このポンプ(不図示)の駆動は上述の制御部36からの駆動信号により行なうことができる。
【0061】
図11乃至図13に示すように、多段式油圧シリンダ78は、載置台38の第3の部材50の支持部52より−Y軸側となる位置に配置され、第2ロッド84の先端がRO膜エレメント108の−Y軸側の端部に当接する(図11)。そして、ポンプ(不図示)により作動油が供給されると、シリンダ80から第2ロッド84とともに第1ロッド82が+Y軸方向に延出し(図12)、第1ロッド82がシリンダ80に対して延出しきった後に第1ロッド82から第2ロッド84が+Y軸方向にさらに延出するようになっている(図13)。そして第1ロッド82、第2ロッド84の延出とともにRO膜エレメント108が圧力容器102内に挿入される。
【0062】
また多段式油圧シリンダ78のシリンダ80(第3の部材50でもよい)にはワイヤー(不図示)の巻き取り機構(不図示)とワイヤー(不図示)の繰り出し量をデータ化するエンコーダ(不図示)が取り付けられている。そしてワイヤー(不図示)の先端は第2ロッド84の先端に取り付けられている。エンコーダ(不図示)は、制御部36にワイヤー(不図示)の繰り出し量の情報を出力するようになっている。これにより制御部36は、多段式油圧シリンダ78が最も収縮した状態でのワイヤー(不図示)の繰り出し量の情報と最も伸長した現在の繰り出し量の情報を保持することが可能となり、また現在の繰り出し量の情報も取得することができる。したがって、制御部36は第3実施形態の駆動手段である多段式油圧シリンダ78を、第1実施形態及び第2実施形態の駆動手段58、72と同様に制御することができる。
【0063】
このような構成とすることで、第1実施形態及び第2実施形態に係る駆動手段58、72よりも、RO膜エレメント108を圧力容器102の内部深くにまで押し込むことが可能となる。よって、先に押し込んだRO膜エレメント108を、後から押し込むRO膜エレメント108で押すという状況が低減される。このため、RO膜エレメント108の装填数が増えた場合であっても、RO膜エレメント108の装填数に応じて、押込み時の摩擦抵抗が増すことを抑制することができる。また、ロッド56の収縮時は第1ロッド82及び第2ロッド84がシリンダ80に収容されて多段式油圧シリンダ78の長手方向(Y軸方向)の長さが短くなるので、逆浸透膜エレメント交換装置10の占有エリアを小さくすることができる。さらに、エンコーダ(不図示)により、第2ロッド84の実際の繰り出し量を検知することができるので、RO膜エレメント108の挿入及び後述の取り出しを確実に行うことができる。
【0064】
図14に、第1実施形態の連結手段を用いてRO膜エレメントを取り出す工程を示す。本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置10は、RO膜エレメント108を圧力容器102に挿入するのみならず、圧力容器102に収容された使用済みのRO膜エレメント108を第1実施形態乃至第3実施形態の駆動手段を用いて圧力容器102から取り出すことができる。この場合、前述のロッド56(第2ロッド84もロッド56同様に適用可能とする)の先端に連結手段86を配置することになる。連結手段86は、内部が中空の弾性部材であって中空の内部が注入管88に接続されている。そして注入管88を介して空気圧または液圧が連結手段86の内部に印加されることにより連結手段86は膨張し、連結手段86の外壁が中心パイプ110の内壁に圧着する。よってロッド56は、連結手段86の中心パイプ110に対する圧着力(摩擦力)により中心パイプ110と連結することができる。
【0065】
なお、連結手段86は、空気圧または液圧が印加される前の外径が中心パイプ110の内径より小さくなって中心パイプ110に挿通可能とし、中心パイプ110に挿入しない状態で空気圧または液圧を印加した場合はその外径が中心パイプ110の内径より大きくなり中心パイプ110の内壁と当接可能となるように設計されている。また注入管88は、空気または液体を一定の圧力で供給するコンプレッサー(不図示)に接続され、このコンプレッサー(不図示)の駆動・停止の制御は制御部36が行なうことができる。
【0066】
上述の連結手段86を用いたRO膜エレメント108の圧力容器102からの取り出し工程は以下のようになる。まず、図14の上段に示すように、制御部36によりロッド56を+Y軸方向に繰り出し、空気圧または液圧が印加される前の連結手段86を中心パイプ110に挿入する。次に、図14の中段に示すように、制御部36によりコンプレッサー(不図示)を駆動して、連結手段86の内部に空気或いはオイル等の液体を一定の圧力で供給して連結手段86を膨張させる。これにより連結手段86の外壁が中心パイプ110の内壁に圧着し、その圧着力(摩擦力)によりロッド56と中心パイプ110とが連結される。そして、図14の下段に示すように、連結手段86が中心パイプ110に圧着した状態で制御部36がロッド56を−Y軸方向に引き込む制御を行なう。すると、連結手段86と中心パイプ110との摩擦力により、RO膜エレメント108は連結手段86とともに−Y軸方向に引き込まれて圧力容器102から取り出され、載置台38の支持部52(図4等参照)に載置される。
【0067】
なお、制御部36がコンプレッサー(不図示)の駆動を停止することにより連結手段86への空気圧または液圧が解除されて連結手段86と中心パイプ110との圧着が解除され、ロッド56をさらに−Y軸方向に移動することにより載置部38に載置されたRO膜エレメント108からロッド56を引き出すことができる。しかし、スタッカークレーン12による載置台38の移動時の安全性を考慮して制御部36により載置部38を準備エリア122に移動させたのち行うことが望ましい。
【0068】
図15に、第2実施形態の連結手段を用いてRO膜エレメントを取り出す場合の模式図を示し、図16に、図15のA−A線断面図を示し、図17に、図15のB−B線断面図を示し、図18に、図15のC矢視図であって、連結手段の係合部の通過時を示し、図19に、図15のC矢視図であって、連結手段が係合部を通過したのちに連結手段を回転させRO膜エレメントを取り出すときの配置を示す。
【0069】
図15に示すように、RO膜エレメント108は、圧力容器102(図15では不図示)内でジョイント118を介して接続されている。ジョイント118は中空パイプにはめ込み可能な中空な部材であって互いに隣り合う中空パイプ同士を連結している。本実施形態ではロッド56の先端(当接板56a)に取り付けられた連結手段90と、ジョイント118に設けられた突起部120と、を用いてRO膜エレメント108をジョイント118とともに取り出すこととしている。
【0070】
連結手段90は、図15に示すようにその外形がジョイント118の内径より小さくなるように設計された円筒形の部材であってロッド56と同軸となるようにロッド56の先端に取り付けられている。また、連結手段90において、その外周にY軸方向に長手方向を有する溝92が連結手段90の中心軸を中心として4回対称となるように配置されている。そして、図16に示すように、連結手段90の互いに隣り合う溝92同士の間となる位置には突起部120と係合(当接)する凸部94が配置される。
【0071】
一方、図17に示すように、ジョイント118の内壁にはその内壁から突出した突起部120が配置されている。突起部120は、溝92同様にY軸方向に長手方向を有し溝92の幅より狭い幅を有し且つ溝92の深さより短くなる高さを有するように設計され、ジョイント118の中心軸を中心として4回対称となるように配置される。なお、本実施形態においては、ロッド56は、中心パイプ110の内径より小さな外径を有するものとし、図16の示す方向(Y軸方向)からみてロッド56が溝92からはみ出ないように設計されているものとする。ここで、ロッド56は、長手方向の中心軸を中心として回転可能な構成を有しており、この回転制御は制御部36により行なうことができるものとする。これにより、図18に示すように突起部120と溝92とが互いに対向するようにロッド56の回転角度を調整した場合には、突起部120と連結手段90とが干渉することはなく、連結手段90が突起部120を通過可能となる。また図19に示すように、突起部120と凸部94とが互いに対向するようにロッド56の回転角度を調整した場合には凸部94と突起部120とが係合(当接)する。
【0072】
上述の連結手段90及び突起部120を用いたRO膜エレメント108の取り出し工程は以下のようになる。まず、制御部36により先端に連結手段90を取り付けたロッド56を+Y軸方向に移動させて、連結手段90及びロッド56を中心パイプ110に挿入する。このとき連結手段90と突起部120の配置が図18の配置となるように制御部36によりロッド56の回転角度を調整しておく。そしてロッド56をさらに中心パイプ110の奥側に繰り出し、連結手段90がジョイント118の突起部120を完全に通過するまでロッド56を繰り出す。そして制御部36は、連結手段90と突起部120との配置が図19の配置となるようにロッド56を回転させ、ロッド56を−Y軸方向に繰り出す制御を行なう。
【0073】
これにより、連結手段90の凸部94は突起部120に係合(当接)し、連結手段90が突起部120を−Y軸方向に引き込むことになる。よって、連結手段90より−Y軸側に配置されたRO膜エレメント108はジョイント118とともに−Y軸方向に引き込まれて圧力容器102から取り出され載置台38の支持部52に載置される。なお、連結手段90より+Y軸側に配置されたRO膜エレメント108とジョイント118との摩擦力が、そのRO膜エレメント108と圧力容器102との摩擦力より小さい場合には、そのRO膜エレメント108とジョイント118との接続は解除され、そのRO膜エレメント108は圧力容器102に残ることになる。
【0074】
本実施形態においても、RO膜エレメント108を圧力容器102から取り出し載置台38に載置したのち、連結手段90と突起部120との配置が図18の配置となるようにロッド56を回転させた上でさらにロッド56を−Y軸側に移動させることによりロッド56及び連結手段90をRO膜エレメント108から取り出すことは可能である。しかし、上述の安全性を考慮して制御部36により載置部を準備エリア122に移動させたのち行うことが望ましい。なお連結手段90に配置された溝92及び突起部120は、それぞれ4つ配置されているが、それぞれ1つ以上であればよく、また4回対称となっているが他の回転対称性となる配置でもよく、また回転対称性がない配置となってもよい。
【0075】
上述の第1実施形態の連結手段86または第2実施形態の連結手段90を用いた本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置10によるRO膜エレメント108の取り出し工程は以下のようになる。まず逆浸透膜エレメント交換装置10の立ち上げ時の状態は、上述のRO膜エレメント108の挿入工程と同様であるが、載置台38に配置されたロッド56に上述の連結手段86または連結手段90を取り付ける。そして上述のRO膜エレメント108の挿入工程と同様に取り出しの対象となる圧力容器102の開口部104に対向する位置に載置台38を配置する。そして上述の連結手段86または連結手段90を用いてRO膜エレメント108を圧力容器102から取り出し、載置台38を準備エリア122に移動させ、作業員がリフト等を用いて載置台38に載置された使用済みのRO膜エレメント108を取りだす。上述のように圧力容器102には複数のRO膜エレメント108が収容されているので、全てのRO膜エレメント108が取り出されるまで上述の工程を繰り返す。
【0076】
このように、本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置10は、逆浸透膜モジュール100からのRO膜エレメント108の取り出しを、RO膜エレメント108の挿入工程と同様に、迅速かつ安全に行なうことができる。よって、上述のRO膜エレメント108の取り出し工程を行なったのち上述のRO膜エレメント108の挿入工程を行なうことにより、圧力容器102内の使用済みのRO膜エレメント108を新たなRO膜エレメント108に交換することができる。
【0077】
図20に第1実施形態の装填手段を示し、図21に、第2実施形態の装填手段を示し、図22に第3実施形態の装填手段を示す。図20に示すように第1実施形態の装填手段は、第3の部材50の支持部52が配置される部分に水平に搬出方向が向けられたベルトコンベア96を配置し、このベルトコンベア96上に複数のRO膜エレメント108を配置した構成を有している。そして駆動手段である多段式油圧シリンダ78に+Y軸方向から対向するRO膜エレメント108は、多段式油圧シリンダ78を+Y軸方向に伸長させることにより+Y軸方向に押し出されて圧力容器102に挿入される。そして一旦、多段式油圧シリンダ78を収縮させたのちベルトコンベア96を駆動させて新たなRO膜エレメント108を多段式油圧シリンダ78に+Y軸方向から対向するように搬送し、上述の押し込む工程及び搬送する工程を繰り返して圧力容器102に連続的にRO膜エレメント108を挿入することができる。
【0078】
図21に示すように、第2実施形態の装填手段は、第3の部材50の支持部52が配置される部分に配置され、多段のカートリッジ98が上下方向に移動可能となるように立設させた構成を有している。また、各カートリッジ98のY軸に対向する面は開口され、カートリッジ98の+Y軸に対向する面は圧力容器102に対向し、−Y軸に対向する面は多段式油圧シリンダ78に対向している。そして各カートリッジ98にはRO膜エレメント108が配置されている。上記構成において、最下段のカートリッジ98に配置されたRO膜エレメント108を多段式油圧シリンダ78に対向させ、多段式油圧シリンダ78によりそのRO膜エレメント108を押し込んで圧力容器102に挿入する。そして、一旦、多段式油圧シリンダ78を収縮させたのち一つ上段のカートリッジ98を一段下げて次のRO膜エレメント108を多段式油圧シリンダ78に対向させ、上述の押し込む工程及びカートリッジ98を一段下げる工程を繰り返す。
【0079】
図22に示す第3実施形態の装填手段は、第2実施形態の装填手段と同様であるが、カートリッジ98の移動方向が第2実施形態とは逆方向を向いている。第1実施形態乃至第3実施形態の装填手段により、本実施形態の逆浸透膜エレメント交換装置10においてRO膜エレメント108の圧力容器102への連続的な挿入が可能となり、処理速度を向上させることができる。なお駆動手段は、第3実施形態の多段式油圧シリンダ78のみならず、第1実施形態の駆動手段58、第2実施形態の駆動手段72を用いることができる。
【符号の説明】
【0080】
10………逆浸透膜エレメント交換装置、12………スタッカークレーン、14………枠部、16………レール、18………走行車輪、20………走行モータ、22………荷受台、24………転接ローラ、26………チェーン、28………昇降モータ、30………絶縁トロリ、32………ガイドレール、34………転接ローラ、36………制御部、38………載置台、40………第1の部材、42………ボールネジ、44………モータ、46………第2の部材、48………ボールネジ、50………第3の部材、50a………内部空間、50b………スリット、52………支持部、52a………転接ローラ、56………ロッド、56a………当接板、58………駆動手段、60………駆動歯車、62………従動歯車、64………チェーン、66………スライダ、68………スライドガイド、70………駆動モータ、72………駆動手段、74………ボールネジ、76………スライダ、78………多段式油圧シリンダ、80………シリンダ、82………第1ロッド、84………第2ロッド、86………連結手段、88………注入管、90………連結手段、92………溝、94………凸部、96………ベルトコンベア、98………カートリッジ、100………逆浸透膜モジュール、102………圧力容器、104………開口部、106………フレーム、108………RO膜エレメント、110………中心パイプ、112………逆浸透膜、114………メッシュスペーサ、116………流路材、118………ジョイント、120………突起部、122………準備エリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜が巻き取られた逆浸透膜エレメントを収容する圧力容器を複数備えるとともに、前記逆浸透膜エレメントが挿入される前記圧力容器の開口部が同一方向を向くように束ねて配置することにより複数の前記開口部を同一面に配置した逆浸透膜モジュールから前記逆浸透膜エレメントを交換する逆浸透膜エレメント交換装置であって、
前記開口部に対向して配置され、前記逆浸透膜エレメントを前記開口部から前記圧力容器に押し込む方向に前記逆浸透膜エレメントの端部が向いた状態で前記逆浸透膜エレメントが載置される載置台と、
前記載置台を前記押し込む方向に垂直な第1の方向に移動させる第1の移動手段と、
前記載置台を前記押し込む方向及び前記第1の方向に垂直な第2の方向に移動させる第2の移動手段と、
前記開口部に対向したロッドを前記圧力容器側に移動させることにより前記載置台に載置した前記逆浸透膜エレメントを前記圧力容器に押し込み、前記圧力容器に収容された前記逆浸透膜エレメントに連結手段を介して接続されたロッドを前記圧力容器から離れる方向に移動させることにより前記逆浸透膜エレメントを前記圧力容器から取り出す駆動手段と、
前記第1の移動手段及び第2の移動手段の移動量を制御して前記載置台に配置された前記逆浸透膜エレメントを複数の前記開口部のいずれかに対向させて前記駆動手段を駆動させる制御部と、を有することを特徴とする逆浸透膜エレメント交換装置。
【請求項2】
前記載置台には、
前記載置台に搭載した前記逆浸透膜エレメントの位置を前記第1の方向及び前記第2の方向に調整可能な第3の移動手段と、前記載置台と前記開口部との相対位置を前記開口部に配置されたターゲットを用いて調整する相対位置調整手段が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の逆浸透膜エレメント交換装置。
【請求項3】
前記逆浸透膜エレメントは、前記逆浸透膜が周囲に巻かれ前記逆浸透膜でろ過されたろ過水が排出される中心パイプを有し、
前記ロッドは、前記中心パイプを挿通可能とされ、
前記連結手段は、
前記ロッドの先端に配置されるとともに前記中心パイプに挿通可能とされ、空気圧または液圧により膨張して前記中心パイプに圧着することにより前記中心パイプと前記ロッドとを連結する中空の弾性部材であり、
前記制御部は、
前記駆動手段を介して前記ロッドを前記圧力容器から引き出す制御が可能とされ、前記連結手段により前記中心パイプと前記ロッドとを連結させたのち前記ロッドを前記圧力容器から引き出す制御を行なうことにより前記逆浸透膜エレメントを前記圧力容器から取り出し可能とすることを特徴とする請求項1または2に記載の逆浸透膜エレメント交換装置。
【請求項4】
前記圧力容器は、前記逆浸透膜エレメントが複数挿入可能とされるとともに前記逆浸透膜エレメントは前記圧力容器内で直列に接続され、
前記逆浸透膜エレメントは、前記逆浸透膜が周囲に巻かれ前記逆浸透膜でろ過されたろ過水が排出される中心パイプを有し、
前記圧力容器内で隣り合う前記逆浸透膜エレメント同士は、前記中心パイプにはめ込み可能な中空のジョイントにより互いに隣接する前記中心パイプ同士を接続することにより接続され、
前記ジョイントの内壁には前記内壁から突出した突出部が配置され、
前記ロッドは、前記中心パイプを挿通可能とされ、
前記連結手段は、
前記ロッドの先端に配置されるとともに前記突出部に係合する形状を有し、
前記制御部は、
前記駆動手段を介して前記ロッドを前記圧力容器から引き出す制御が可能とされ、前記連結手段を係合部に係合させたのち前記ロッドを前記圧力容器から引き出す制御を行なうことにより前記逆浸透膜エレメントを前記ジョイントとともに前記圧力容器から取り出し可能とすることを特徴とする請求項1または2に記載の逆浸透膜エレメント交換装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、
前記ロッドを先端とするテレスコピック構造を有し、前記逆浸透膜エレメントの挿入方向に伸縮可能な多段式液圧シリンダであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の逆浸透膜エレメント交換装置。
【請求項6】
前記駆動手段には、前記ロッドの繰り出し量を算出するエンコーダが配置されたことを特徴とする請求項5に記載の逆浸透膜エレメント交換装置。
【請求項7】
前記載置台には、
前記逆浸透膜エレメントを複数装填した装填手段が配置され、
前記装填手段は、
前記駆動手段が前記載置台に載置された前記逆浸透膜エレメントを前記圧力容器に挿入したのち新たな前記逆浸透膜エレメントを前記載置台に載置可能とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の逆浸透膜エレメント交換装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の逆浸透膜エレメント交換装置を、前記逆浸透膜モジュールの複数の前記開口部に対向する位置に配置してなることを特徴とする逆浸透膜ろ過装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−52318(P2013−52318A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190097(P2011−190097)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、最先端研究開発支援プログラム(最先端PG(Mega−ton Water System)100万m3/日規模大型プラント構成最適化インテリジェントメガトンモジュールシステム)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】