説明

通行規制柵

【課題】常設状態での高さを調整可能にすると共に枠内に設置されるシート状部材がたるまず意匠的にもすぐれた通行規制柵を提供する。
【解決手段】通行規制柵1は、通行路を挟んで対向する部材間に設置されて、幼児または愛玩動物の通行を規制する通行規制柵1であって、常設状態での高さ調整可能な一対の縦辺部材3と、縦辺部材3に連結されて縦辺部材3の高さに連動して高さが変わると共に幅方向の長さを無段階で調整可能な上辺部材5と、縦辺部材3に連結されて幅方向の長さが無段階で調整可能な下辺部材7と、左右両辺が一対の縦辺部材3に取り付けられ、上下両辺部が上辺部材5及び下辺部材7に取り付けられるシート状部材とを有し、シート状部材は、縦辺部材3の高さに合わせて張設状態を調整する高さ方向調節機能を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児が危険な場所等に行くのを規制して幼児の安全を守るために設置される通行規制柵に関する。もっとも、屋内外において飼育する犬等の愛玩動物などの通行を規制するに使用するのを排除するものではない。
【背景技術】
【0002】
幼児が例えば室内において危険な場所、例えば調理中のキッチンや段差のある玄関口などに行くのを防止するためにその通行を規制するものとして、例えば特許文献1に開示された「フェンス」がある。
特許文献1のフェンスは、上下方向の高さを調整可能な枠体に、布やネットなどの可撓性の材料で作られた保護部材(以下においては、「シート状部材」という)を、その周縁部を袋状にして枠に挿入するようにして設置している。
そして、上記フェンスは、枠の上辺部を下方に移動可能に構成して、上辺部の高さを一時的に低くすることで大人が通行する際に通行が容易になるようにしている。
【0003】
また、上記フェンスは、枠の幅を調整可能にして、フェンスを設置する開口部の幅に合わせて開口部の両側に設けられた柱等に突っ張ることによって固定するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3076305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のフェンスは、常設状態では一定高さになることを前提に、大人の通行時に一時的に高さを常設状態よりも低くするというものであった。つまり、従来のフェンスは、シート状部材に高さ方向の調整機能はなく、常設状態ではシート状部材の高さに合わせてフェンスの高さを一定にして、大人の通行の際、一時的に高さを低くできるようにしたものである。なお、大人の通行の際にフェンスの高さを低くしたときは、シート状部材がたるむことになる。
上記のような構造のフェンスでは、シート状部材の高さによって常設状態のフェンスの高さが規定される。なぜなら、常設状態における枠の上辺の高さをシート状部材の高さよりも低くすると、シート状部材がたるんでしまい、見栄えが悪くなってしまうからである。
そのため、常設状態の高さの異なる複数種類のフェンスを作ろうとすると、それに合った複数種類のシート状部材を準備して対応するしか方法がなく、換言すれば従来のフェンスは常設状態での高さ調整機能を有していないと言える。
【0006】
また、シート状部材は幅方向に関しても調整機能を有していないので、シート状部材の幅に合わせて左右のポールを上下ポールに固定するようにしている。そのため、フェンスを取り付ける開口部の幅が広い場合にはフェンスを突っ張っている柱等とシート状部材との間に隙間が生ずるという問題もある。
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、常設状態での高さを調整可能にすると共に枠内に設置されるシート状部材がたるまず見栄えがよく意匠的にもすぐれた通行規制柵を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る通行規制柵は、通行路を挟んで対向する部材間に設置されて、幼児または愛玩動物の通行を規制する通行規制柵であって、高さ調整可能な一対の縦辺部材と、該縦辺部材の上部に連結されると共に幅方向の長さを無段階で調整可能な上辺部材と、前記縦辺部材の下部に連結されて幅方向の長さが無段階で調整可能な下辺部材と、左右両辺部が前記一対の縦辺部材に取り付けられ、上下両辺部が上辺部材及び下辺部材に取り付けられるシート状部材とを有し、該シート状部材は、前記縦辺部材の高さ調整に応じて変わる前記上辺部材と前記下辺部材の間隔に合わせて張設状態を調整する高さ方向調節機能を備えていることを特徴とするものである。
【0009】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記シート状部材の上辺部又は下辺部のいずれか一方に袖部を形成し、該袖部に前記上辺部材又は前記下辺部材を挿入してなり、前記高さ方向調整機能は、前記袖部の袖口幅を該袖部に挿通される前記上辺部材又は下辺部材の外径よりも広く設定すると共に、前記袖部に前記上辺部材又は前記下辺部材を挿入した状態で前記袖部の袖口幅を調整する袖口幅調整部材を備えなることを特徴とするものである。
【0010】
(3)また、上記(1)に記載のものにおいて、シート状部材の上辺側に設けられて前記上辺部材が挿通される上袖部と、シート状部材の下辺側に設けられて前記下辺部材が挿通される下袖部とを有し、前記高さ方向調整機能は、前記上袖部の袖口幅を前記上辺部材の外径よりも広く設定すると共に前記下袖部の袖口幅を前記下辺部材の外径よりも広く設定し、前記上袖部に前記上辺部材を、前記下袖部に前記下辺部材をそれぞれ挿入した状態で前記上袖部及び前記下袖部の袖口幅を調整する袖口幅調整部材を備えなることを特徴とするものである。
【0011】
(4)また、上記(1)乃至(3)に記載のものにおいて、前記縦辺部材は複数の段階的な高さ調整が可能になっており、前記シート状部材の高さ方向調整機能は前記縦辺部材の段階的な高さに応じて段階的に調整ができることを特徴とするものである。
【0012】
(5)また、上記(1)乃至(4)に記載のものにおいて、前記一対の縦辺部材は、前記上辺部材及び前記下辺部材の長さ調整に応じて一対の縦辺部材間の幅が変わるように取り付けられてなり、前記シート状部材は前記一対の縦辺部材の幅に合わせて張設状態を調整する幅方向調節機能を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
(6)また、上記(5)に記載のものにおいて、前記シート状部材の幅方向調節機能は無段階に調整できることを特徴とするものである。
【0014】
(7)また、上記(5)又は(6)に記載のものにおいて、前記シート状部材の左辺部又は右辺部のいずれか一方に袖部を形成し、該袖部に前記縦辺部材を挿入してなり、前記幅方向調整機能は、前記袖部の袖口幅を該袖部に挿通される前記縦辺部材の外径よりも広く設定すると共に、前記袖部に前記縦辺部材を挿入した状態で前記袖部の袖口幅を調整する袖口幅調整部材を備えなることを特徴とするものである。
【0015】
(8)また、上記(5)又は(6)に記載のものにおいて、シート状部材の左右両辺に設けられて前記一対の縦辺部材が挿通される左袖部及び右袖部を有し、前記幅方向調整機能は、前記左袖部及び前記右袖部の袖口幅を前記縦辺部材の外径よりも広く設定すると共に、前記左袖部及び前記右袖部に前記縦辺部材を挿入した状態で前記左袖部及び前記右袖部の袖口幅を調整する袖口幅調整部材を備えなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る通行規制柵は、通行路を挟んで対向する部材間に設置されて、幼児または愛玩動物の通行を規制する通行規制柵であって、高さ調整可能な一対の縦辺部材と、該縦辺部材の上部に連結されると共に幅方向の長さを無段階で調整可能な上辺部材と、前記縦辺部材の下部に連結されて幅方向の長さが無段階で調整可能な下辺部材と、左右両辺部が前記一対の縦辺部材に取り付けられ、上下両辺部が上辺部材及び下辺部材に取り付けられるシート状部材とを有し、該シート状部材は、前記縦辺部材の高さ調整に応じて変わる前記上辺部材と前記下辺部材の間隔に合わせて張設状態を調整する高さ方向調節機能を備えているので、通行規制柵の高さを調整することができ、その場合にシート状部材の高さを通行規制柵の高さに合わせて調整できるので、いずれの高さであってもシート状部材がたるむことなく設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵を分解した状態で示すと共に、一部を拡大し、また一部を断面で示した図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の組立状態の説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵のシート状部材の表面の説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵のシート状部材の裏面の説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の組立状態の説明図であって、3段階の高さのうちで高さを最も高くした状態の図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の組立状態の説明図であって、3段階の高さのうちで高さを中間の高さにした状態の図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の設置方法の説明図である(その1)。
【図8】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の設置方法の説明図である(その2)。
【図9】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の設置方法の説明図である(その3)。
【図10】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の設置方法の説明図である(その4)。
【図11】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の設置方法の説明図である(その5)。
【図12】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の設置方法の説明図である(その6)。
【図13】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の設置方法の説明図である(その7)。
【図14】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の設置方法の説明図である(その8)。
【図15】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の設置方法の説明図である(その9)。
【図16】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の設置方法の説明図である(その10)。
【図17】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の高さ調整方法の説明図である(その1)。
【図18】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の高さ調整方法の説明図である(その2)。
【図19】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の高さ調整方法の説明図である(その3)。
【図20】本発明の一実施の形態に係る通行規制柵の高さ調整方法の説明図である(その4)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施の形態に係る通行規制柵1の構成を図1〜図6に基づいて説明する。
本実施の形態に係る通行規制柵1は、図1の分解図に示されるように、高さ調整可能な一対の縦辺部材3と、幅方向の長さを無段階に調整可能な上辺部材5と、同じく幅方向の長さを無段階に調整可能な下辺部材7と、一対の縦辺部材3と上辺部材5及び下辺部材7で形成される枠に設置されるシート状部材9と、通行規制柵1が設置される開口部の両側の壁等に両面テープ10で貼り付けられる一対の取付プレート11を備えている。
また、本実施の形態の通行規制柵1は、組み立て状態では、図2に示されるように、シート状部材9の上袖部13に上辺部材5を、下袖部15に下辺部材7を、左袖部17に左側の縦辺部材3を、右袖部19に右側の縦辺部材3を、それぞれ挿通して、縦辺部材3の上下のリング部材21の挿入穴23に上辺部材5及び下辺部材7の端部材25を挿入することで柵として組み立てられる。
以下、各構成部材を詳細に説明する。
【0019】
<縦辺部材>
縦辺部材3は、図1に示されるように、上辺部材5及び下辺部材7の端部材25が挿入される挿入穴23が形成されたリング部材21を上下端に有している。縦辺部材3における下側に配置される大径の下パイプ27に上側に配置される小径の上パイプ29が挿入されている。上パイプ29は下パイプ27に対して上下方向に移動可能に挿入されており、縦辺部材3は上パイプ29を移動することで全体として上下方向に伸縮可能になっている。
上パイプ29における下パイプ27に挿入されている部分には出没可能な突起31が設けられている。他方、下パイプ27には上下方向の3ヶ所に突起31が挿入可能な穴部33が形成されている。突起31を所望の位置の穴部33に挿入することで、上パイプ29を下パイプ27に上下方向3ヶ所の所望の位置で留めることができ、これによって縦辺部材3は上下方向の3段階での高さ調整が可能になっている。
なお、本実施の形態の縦辺部材3においては、縦辺部材3の高さを調整することで、組み立て状態において通行規制柵1の高さが、55cm、60cm、65cmの三種類の高さに調整できるようになっている。
【0020】
<上辺部材>
上辺部材5は、大径の大径パイプ35に、大径パイプ35よりも小径の小径パイプ37が挿入されており、小径パイプ37の端部には径方向に出っ張るピン39が設置されている(図1の部分拡大図参照)。また、一端側が大径パイプ35側に固定された螺旋状の弦巻ばね41が大径パイプ35内に配設されており、小径パイプ37に設置されたピン39が弦巻ばね41のピッチ間に配置される構造になっている。このような構造にすることによって、小径パイプ37を回転させることでピン39が弦巻ばね41にガイドされながら軸方向に移動するので、小径パイプ37の大径パイプ35への挿入長さを無段階に調整でき、上辺部材5は全体として無段階に伸縮可能になっている。また、小径パイプ37を大径パイプ35側に押し込むと弦巻ばね41によって押戻される方向に付勢されることになる。
大径パイプ35及び小径パイプ37の端部に形成された端部材25は、縦辺部材3のリング部材21の挿入穴23への挿入を容易にするためにテーパ状になっており、挿入状態を保持するための突起部43と鍔部44が形成されている(図1の部分拡大図参照)。突起部43は出没可能になっており、常時は出っ張っており、押し込むことで没入する構造になっている。
<下辺部材>
下辺部材7は、上辺部材5と同一の構造である。
【0021】
<シート状部材>
シート状部材9は、図3(表面側)、図4(裏面側)に示すように、中央部がメッシュ部45になった略矩形状をしている。メッシュ部45の上辺側には上辺部材5の外径よりも広い袖口幅W1の上袖部13が形成されている。また、メッシュ部45の下辺側には下辺部材7の外径よりも広い袖口幅W1の下袖部15が形成されている。
また、メッシュ部45の左辺側には、縦辺部材3の外径よりも広い袖口幅W2の左袖部17が形成されている。また、メッシュ部45の右辺側には縦辺部材3の外径よりも広い袖口幅W2の右袖部19が形成されている。
【0022】
上袖部13の表面側には、図3に示すように、上縁に5個のボタン47が取り付けられている。また、上袖部13の裏面側には、図4に示すように、上袖部13の下縁におけるボタン47に対応する位置にボタンホール49を有する三角形の片部51が設けられている。
ボタン47とボタンホール49を有する片部51が本発明の高さ調整機能として機能する。つまり、ボタン47をボタンホール49に留めることによって、上袖部13の袖口幅が小さくなることで、シート状部材9の高さを低く設定することができる。
【0023】
なお、ボタン47をボタンホール49が形成された片部51に留める構造に代えて、雄ホックを雌ホックに留めるような構造のような、他の係止手段を用いた構造であってもよい。
また、ボタン47とボタンホール49によって留める構造に代えて、ジッパーによって留める構造にしてもよい。つまり、ボタン47の位置に噛み合い歯が形成された一方の帯状のエレメントを上袖部13のほぼ全幅に亘って装着し、ボタンホール49の位置に他方の帯状のエレメントを前記一方のエレメントに対応するように装着し、一方または他方のエレメント側にスライダーを装着する構造とすればよい。
また、上記の例ではボタン47を、5個設けた例を示したが、ボタン47の数はシート状部材9の幅に応じて適宜変更すればよく、例えば幅広の場合にはボタン47の数を9個にする場合もある。
下袖部15は上袖部13と同様の構造である。
【0024】
左袖部17は、図3、図4におけるW2で示す袖口幅を有している。
左袖部17の表面側には、図3に示すように、幅調整機能として機能する調整紐53が上下二段に設置されている。調整紐53は左袖部に2箇所の縫着部56で縫い付けられているので、垂れ下がりが防止され、見栄えがよい。
また、左袖部17の裏面側には、調整紐53の端部を留めるバックル55が紐部材57によって取り付けられている。この紐部材57も、調整紐53と同様に2箇所の縫着部58で縫い付けられているので、垂れ下がりが防止され、見栄えがよい。
調整紐53をバックル55に挿通して長さを調整することで、袖部を絞り込んで袖口幅を調整することができ、これによって、シート状部材9の幅方向の張設状態を調節してたるみをなくすることができる。
袖口幅W2の幅寸法から縦辺部材3の外径長さを差し引いた残りの長さが、幅方向の概略の調整代となる。
なお、左袖部17の内側半分の部分は、図3、図4に示されるように、上袖部13及び下袖部15と連通しており、通行規制柵1を設置した状態で、上辺部材5及び下辺部材7の長さを上袖部13及び下袖部15の長さと略同じにすれば、縦辺部材3の上下端部を上袖部13及び下袖部15に収納することができるようになっている。
【0025】
なお、上記の例では、シート状部材9の幅方向の調整を調整紐53をバックル55に留める構造を採用したが、調整紐53に面ファスナーの雄面を設けて、紐部材57に面ファスナーの雌面を設けるようにしてもよい。
右袖部19は左袖部17と同一の構造である。
【0026】
シート状部材9を布で形成した場合には、織布、不織布、編物を含む。また、シート状部材9の材質は非金属製のものであれば、布製以外のものでもよく、例えばビニールなどの軟質樹脂などであってもよい。
布やビニールなどにすることで、色や模様などを自由に決めることができ、インテリアとして優れたものにすることができる。
【0027】
次に、上記のように構成された本実施の形態の通行規制柵1の設置方法を図7〜図16に基づいて説明する。
上辺部材5及び下辺部材7の小径パイプ37を回転させて、通行規制柵1を設置する開口部の幅、すなわち開口部の両側の壁59の距離に調整する(図7参照)。
また、縦辺部材3の上パイプ29を伸縮させて縦辺部材3の高さが幼児61の肩の高さ以上になるように調整する。上パイプ29の調整は、突起31を押して3段階のうちのいずれかの高さに調整する(図7参照)。
【0028】
次に、図8に示すように、シート状部材9の上袖部13に上辺部材5を、下袖部15に下辺部材7を、左袖部17に縦辺部材3の一方を、右袖部19に縦辺部材3の他方を、それぞれ挿通する。
そして、上辺部材5及び下辺部材7の両端の端部材25を、縦辺部材3の上下端部のリング部材21の挿入穴23にはめ込む。はめ込みに際しては、端部材25を挿入穴23に押し込むことで、突起部43が没入して、リング部材21が突起部43を通過して、鍔部44に当接する。リング部材21が鍔部44に当接した状態ではリング部材21が突起部43を通過しているので、突起部43が再度突出し、リング部材21は突起部43と鍔部44で挟まれてその移動が阻止される。つまり、突起部43と鍔部44がリング部材21のストッパとして機能する。
【0029】
次に、シート状部材9の高さを縦辺部材3の高さに合わせて調整する。縦辺部材3の高さを、55cmに設定した場合には、図10に示すように、上袖部13及び下袖部15のボタン47をボタンホール49に留めるようにする。
なお、縦辺部材3の高さを60cmに設定した場合は、図6に示すように、上袖部13のボタン47のみをボタンホール49に留めるようにする。また、縦辺部材3の高さを65cmに設定した場合は、図5に示すように、ボタン47は使用しない。
【0030】
次に、図11に示すように、調整紐53をバックル55に通し、引っ張ることで左袖部17及び右袖部19を絞り、メッシュ部45のたるみを調整する。
この状態で、組み立てた通行規制柵1を床に平置きし、突っ張り力を高めるために、上辺部材5及び下辺部材7の小径パイプ37を回して、パイプ長を伸ばして通行規制柵1を設置する開口部の幅(取付幅)よりも長くする。どの程度長くするかについては、図12に示すように、取付幅S1が60cm〜150cmの範囲の場合には、長くする寸法(伸長長さS2)は3〜5cmとする。また、取付幅S1が150cm〜185cmの範囲の場合には、伸長長さS2は5cm〜8cmとする。
【0031】
次に、図13に示すように、下辺部材7の小径パイプ37を押し込みながら、開口部の壁59に、床との間に隙間が生じない位置に取り付ける。
さらに、図14に示すように、2個の取付プレート11を壁59の端部に仮付けし、上辺部材5を引き上げ、取付プレート11の取付位置を確認する。取付プレート11には、図15に示すように、3つの位置が示されているので、縦辺部材3の調整高さに、取付プレート11の位置が一致するように取付プレート11の設置位置を確認する。つまり、縦辺部材3の高さを、上段:65cmに調整した場合には、上辺部材5の端部材25の位置が取付プレート11の最上段の位置になるようにする。図15の例は、縦辺部材3の高さを最上段にした場合が示されている。
取付プレート11の位置を確認した後、その位置に取付プレート11を貼り付ける。なお、取付プレート11は、より確実に取り付けるためにネジ留めしてもよい。
【0032】
取付プレート11を設置したら、再度通行規制柵1を立ち上げて、下辺部材7と同様に上辺部材5の小径パイプ37を押し込みながら、端部材25を取付プレート11に圧接させるようにして取り付ける。このとき、通行規制柵1が壁59と端面に直角で、かつ床面に対して垂直になるように設置する。また、安全のため、通行規制柵1と床面が接するように設置する。
取付け後、図16に示すように、通行規制柵1の上部を持って、前後にゆすって、外れやぐらつきがないかを確認する。確認されれば、取付が完了する。
【0033】
次に、一旦取り付けた通行規制柵1の高さを調整する高さ調整方法を図17〜図20に基づいて説明する。
まず、上辺部材5の小径パイプ37を押し込むようにして、上辺パイプを壁59から外し、さらに縦辺部材3のリング部材21から端部材25を外して、上辺部材5を取り外す(図17参照)。
次に、縦辺部材3の高さを幼児61の肩の高さ以上になるように伸ばす(図18参照)。これに合わせて、シート状部材9の高さの調整を行う。例えば、元の高さが55cmであったものを65cmに調整する場合には、55cmの高さのときには、上下のボタン47が留められているので、調整時には上下のボタン47を外すようにする。
次に、上辺部材5を上袖部13に通して縦辺部材3に取り付けると共に、上辺部材5を取付プレート11に圧接させる(図19参照)。
取付け後、通行規制柵1の上部を持って、前後にゆすって、外れやぐらつきがないかを確認する(図20参照)。
【0034】
以上のように、本実施の形態によれば通行規制柵1の常設状態の高さを3段階に調整することができ、その場合にシート状部材9の高さを通行規制柵1の高さに合わせて調整できるので、いずれの高さであってもシート状部材9がたるむことなく設置することができる。
また、通行規制柵1の幅を、通行規制柵1を設置する開口部の幅に合わせて無段階に調整することができ、その場合にシート状部材9の幅を通行規制柵1の幅に合わせて調整することができ、いずれの幅であってもシート状部材9にたるみが生ずることなく、あるいは大きなたるみが生ずることなく設置することができる。
【0035】
また、上記の実施の形態においては、シート状部材9の上下の高さ調整を、縦辺部材3の高さ調整に合わせてボタン47による段階的な調整にしたので、調整が容易で、かつシート状部材9のたるみがなく見栄えもよく意匠的に優れたものとなっている。
【0036】
また、上記の実施の形態においては、シート状部材9の上下両側に袖部を設けて上下両方に高さ方向調整機能を設けているので、シート状部材9の中央部のメッシュ部45の位置が極端に上下にずれないようにして高さ調整を行うことができる。
同様に、上記の実施の形態においては、シート状部材9の左右両側に袖部を設けて左右両方に幅方向調整機能を設けているので、シート状部材9の中央部のメッシュ部45の位置が極端に左右にずれないようにして幅調整を行うことができる。
【0037】
なお、上記の実施の形態では、シート状部材9の上下の高さ調整を段階的な調整にしたが、幅方向の調整紐53と同様に無段階の調整ができるものにしてもよい。
また、上記の実施の形態では、縦辺部材3が間欠的な(3段階)高さ調整機能を有する例を示したが、縦辺部材3を上辺部材5又は下辺部材7と同様に無段階的に高さを調整できるようにしてもよい。この場合には、無段階調整のために回転させる側のパイプの端部に取り付けるリング部材21を、前記パイプに対して軸回りに回転可能に装着するようにする。
【符号の説明】
【0038】
1 通行規制柵
3 縦辺部材
5 上辺部材
7 下辺部材
9 シート状部材
11 取付プレート
13 上袖部
15 下袖部
17 左袖部
19 右袖部
21 リング部材
23 挿入穴
25 端部材
27 下パイプ
29 上パイプ
31 突起
33 穴部
35 大径パイプ
37 小径パイプ
39 ピン
41 弦巻ばね
43 突起部
44 鍔部
45 メッシュ部
47 ボタン
49 ボタンホール
51 片部
53 調整紐
55 バックル
56 縫着部
57 紐部材
58 縫着部
59 壁
61 幼児

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通行路を挟んで対向する部材間に設置されて、幼児または愛玩動物の通行を規制する通行規制柵であって、
高さ調整可能な一対の縦辺部材と、該縦辺部材の上部に連結されると共に幅方向の長さを無段階で調整可能な上辺部材と、前記縦辺部材の下部に連結されて幅方向の長さが無段階で調整可能な下辺部材と、左右両辺部が前記一対の縦辺部材に取り付けられ、上下両辺部が上辺部材及び下辺部材に取り付けられるシート状部材とを有し、該シート状部材は、前記縦辺部材の高さ調整に応じて変わる前記上辺部材と前記下辺部材の間隔に合わせて張設状態を調整する高さ方向調節機能を備えていることを特徴とする通行規制柵。
【請求項2】
前記シート状部材の上辺部又は下辺部のいずれか一方に袖部を形成し、該袖部に前記上辺部材又は前記下辺部材を挿入してなり、前記高さ方向調整機能は、前記袖部の袖口幅を該袖部に挿通される前記上辺部材又は下辺部材の外径よりも広く設定すると共に、前記袖部に前記上辺部材又は前記下辺部材を挿入した状態で前記袖部の袖口幅を調整する袖口幅調整部材を備えなることを特徴とする請求項1記載の通行規制柵。
【請求項3】
シート状部材の上辺側に設けられて前記上辺部材が挿通される上袖部と、シート状部材の下辺側に設けられて前記下辺部材が挿通される下袖部とを有し、前記高さ方向調整機能は、前記上袖部の袖口幅を前記上辺部材の外径よりも広く設定すると共に前記下袖部の袖口幅を前記下辺部材の外径よりも広く設定し、前記上袖部に前記上辺部材を、前記下袖部に前記下辺部材をそれぞれ挿入した状態で前記上袖部及び前記下袖部の袖口幅を調整する袖口幅調整部材を備えなることを特徴とする請求項1記載の通行規制柵。
【請求項4】
前記縦辺部材は複数の段階的な高さ調整が可能になっており、前記シート状部材の高さ方向調整機能は前記縦辺部材の段階的な高さに応じて段階的に調整ができることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の通行規制柵。
【請求項5】
前記一対の縦辺部材は、前記上辺部材及び前記下辺部材の長さ調整に応じて一対の縦辺部材間の幅が変わるように取り付けられてなり、前記シート状部材は前記一対の縦辺部材の幅に合わせて張設状態を調整する幅方向調節機能を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の通行規制柵。
【請求項6】
前記シート状部材の幅方向調節機能は無段階に調整できることを特徴とする請求項5記載の通行規制柵。
【請求項7】
前記シート状部材の左辺部又は右辺部のいずれか一方に袖部を形成し、該袖部に前記縦辺部材を挿入してなり、前記幅方向調整機能は、前記袖部の袖口幅を該袖部に挿通される前記縦辺部材の外径よりも広く設定すると共に、前記袖部に前記縦辺部材を挿入した状態で前記袖部の袖口幅を調整する袖口幅調整部材を備えなることを特徴とする請求項5又は6に記載の通行規制柵。
【請求項8】
シート状部材の左右両辺に設けられて前記一対の縦辺部材が挿通される左袖部及び右袖部を有し、前記幅方向調整機能は、前記左袖部及び前記右袖部の袖口幅を前記縦辺部材の外径よりも広く設定すると共に、前記左袖部及び前記右袖部に前記縦辺部材を挿入した状態で前記左袖部及び前記右袖部の袖口幅を調整する袖口幅調整部材を備えなることを特徴とする請求項5又は6に記載の通行規制柵。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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