説明

連結窓の連結方法

【課題】窓を段違いに連結しても水密性及び気密性を確実に確保できる連結窓の連結方法を提供する。
【解決手段】上下枠及び左右の縦枠を枠組みしてなる枠体内に障子またはパネル体を納めた窓を方立を介して横方向に複数連結してなり、縦辺が方立6より上下方向に短く形成された第1窓2の縦枠14に対し、縦枠14を上方及び/または下方に延長する捨て枠部15を連結し、捨て枠部15により第1窓2の縦辺を方立6と略同じ高さとし、縦辺が方立6と略同じ高さに形成された第2窓3と捨て枠部15が取付けられた第1窓2とを、方立6を介して横方向に連結することで、第1窓2と第2窓3を段違い状に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の窓を連結する連結窓の連結方法に関し、特に複数の窓を互いに段違いに配置して連結する連結窓の連結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体内に障子またはパネル体を納めてなる窓を、横方向に複数連結してなる連結窓が知られている。連結窓の連結される縦枠間には方立が設けられ、この方立を介して窓が連結されていた。このような連結窓としては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開平10−317815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の連結窓は、連結される2枚の窓の縦辺が同じ高さであった。これに対し、このような態様に限られず、窓を段違い状に配置することで、よりデザインの自由度を高めたいという需要がある。
【0004】
しかし、窓を段違い状に配置しようとした場合、少なくとも1か所に枠体の外周面が交わる角部が生じる。この角部における水密性及び気密性を確保するのが困難であるため、これまで窓を段違い状に配置した連結窓の連結方法は提供されることがなかった。
【0005】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、窓を段違いに連結しても水密性及び気密性を確実に確保できる連結窓の連結方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る連結窓の連結方法は、上下枠及び左右の縦枠を枠組みしてなる枠体内に障子またはパネル体を納めた窓を方立を介して横方向に複数連結してなる連結窓の連結方法において、
縦辺が前記方立より上下方向に短く形成された第1窓の前記縦枠に対し、該縦枠を上方及び/または下方に延長する捨て枠部を連結し、該捨て枠部により前記第1窓の縦辺を前記方立と略同じ高さとし、
縦辺が前記方立と略同じ高さに形成された第2窓と前記捨て枠部が取付けられた前記第1窓とを、前記方立を介して横方向に連結することで、前記第1窓と第2窓を段違い状に配置することを特徴として構成されている。
【0007】
また、本発明に係る連結窓の連結方法は、前記捨て枠部は連結金具を介して前記縦枠と連結されると共に、前記縦枠と略連続状とされることを特徴として構成されている。
【0008】
さらに、本発明に係る連結窓の連結方法は、前記捨て枠部は前記方立側の面に該方立に対して係合する方立係合部を有して形成されることを特徴として構成されている。
【0009】
さらにまた、本発明に係る連結窓の連結方法は、前記捨て枠部の方立係合部と反対側の面には建物躯体に当接固定される固着フィン部が形成されることを特徴として構成されている。
【0010】
そして、本発明に係る連結窓の連結方法は、前記固着フィン部は前記第1窓及び第2窓の外周面に形成され建物躯体に当接固定されるフィン部と略面一状とされることを特徴として構成されている。
【0011】
また、本発明に係る連結窓の連結方法は、上下枠及び左右の縦枠を枠組みしてなる枠体内に障子またはパネル体を納めた窓を方立を介して横方向に複数連結してなる連結窓の連結方法において、
縦辺が前記方立より上下方向に短く形成された第1窓の前記縦枠に対し、該縦枠を上方または下方に延長する第1捨て枠部を連結し、該第1捨て枠部により前記第1窓の縦辺を前記方立と略同じ高さとし、
縦辺が前記方立より上下方向に短く形成された第2窓の前記縦枠に対し、該縦枠を上方または下方であって前記第1窓が前記第1捨て枠部により延長される方向とは反対側に延長する第2捨て枠部を連結し、該第2捨て枠部により前記第2窓の縦辺を前記方立と略同じ高さとし、
前記第1捨て枠部が取付けられた前記第1窓と前記第2捨て枠部が取付けられた前記第2窓とを、前記方立を介して横方向に連結することで、前記第1窓と第2窓を段違い状に配置することを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る連結窓の連結方法によれば、縦辺が方立より上下方向に短く形成された第1窓の縦枠に対し、縦枠を上方及び/または下方に延長する捨て枠部を連結し、捨て枠部により第1窓の縦辺を方立と略同じ高さとし、縦辺が方立と略同じ高さに形成された第2窓と捨て枠部が取付けられた第1窓とを、方立を介して横方向に連結することで、第1窓と第2窓を段違い状に配置することにより、捨て枠部と縦枠により、縦枠が短く形成された側の窓を、方立と略同じ高さを有する窓と同様に方立に対して取付けることができ、窓を段違いに連結しても水密性及び気密性を確実に確保することができる。
【0013】
また、本発明に係る連結窓の連結方法によれば、捨て枠部は連結金具を介して縦枠と連結されると共に、縦枠と略連続状とされることにより、捨て枠部を容易に縦枠と連結すると共に、縦枠との連続性を確保して、水密性及び気密性を確実に確保することができる。
【0014】
さらに、本発明に係る連結窓の連結方法によれば、捨て枠部は方立側の面に該方立に対して係合する方立係合部を有して形成されることにより、方立に対して縦枠と同様の構造で容易に捨て枠部を固定することができる。
【0015】
さらにまた、本発明に係る連結窓の連結方法によれば、捨て枠部の方立係合部と反対側の面には建物躯体に当接固定される固着フィン部が形成されることにより、捨て枠部が連結窓の外周を構成して、建物躯体に対して簡易に取付をなすことができる。
【0016】
そして、本発明に係る連結窓の連結方法によれば、固着フィン部は第1窓及び第2窓の外周面に形成され建物躯体に当接固定されるフィン部と略面一状とされることにより、連結される各窓と捨て枠部によって、建物躯体に当接する面を構成して、連結窓を容易に建物躯体に対して固定することができる。
【0017】
また、本発明に係る連結窓の連結方法によれば、縦辺が方立より上下方向に短く形成された第1窓の縦枠に対し、縦枠を上方または下方に延長する第1捨て枠部を連結し、第1捨て枠部により第1窓の縦辺を方立と略同じ高さとし、縦辺が方立より上下方向に短く形成された第2窓の縦枠に対し、縦枠を上方または下方であって第1窓が第1捨て枠部により延長される方向とは反対側に延長する第2捨て枠部を連結し、第2捨て枠部により第2窓の縦辺を方立と略同じ高さとし、第1捨て枠部が取付けられた第1窓と第2捨て枠部が取付けられた第2窓とを、方立を介して横方向に連結することで、第1窓と第2窓を段違い状に配置することにより、第1窓と第2窓が互い違い状となるように配置される場合であっても、各窓を方立と略同じ高さを有する窓と同様に方立に対して取付けることができ、水密性及び気密性を確実に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1には、本実施形態における連結窓1の斜視図を示している。この図に示すように、本実施形態の連結窓1は、高さの低い第1窓2と、第1窓2と同じ高さを有する上構成窓4及び下構成窓5を上下方向に連結してなる第2窓3とを、左右方向に連結することで、第1窓2と第2窓3とを段違い状に配置してなるものである。
【0019】
ここで、第1窓2は、第2窓3の下部を構成する下構成窓5に隣接するように配置されており、したがって、第1窓2と第2窓3の下辺は一直線状とされる一方、第1窓2の上辺は第2窓3の上辺より低い位置にあって、連結窓1の上側面が階段状となるように構成されている。
【0020】
図2には、連結窓1の正面図を示している。この図は連結窓を室外側から見たものである。図2に示すように、第1窓2は、上枠12と下枠13及び左右の縦枠14、14を方形状に枠組みしてなる枠体10内に、ガラス板からなるパネル体11を納めて構成されている。また、第2窓2を構成する上構成窓4と下構成窓5は、いずれも上枠22と下枠23及び左右の縦枠24、24を方形状に枠組みしてなる枠体20内に、ガラス板からなるパネル体21を納めて構成されている。
【0021】
第1窓2と第2窓3は、方立6によって左右方向に連結されている。方立6は、第1窓2よりも高さの大きい第2窓3と略同じ高さを有するように形成されており、その全長に渡って第2窓3と連結され、第1窓2が配置された領域では第1窓2と連結されると共に、第1窓2よりも上方においては、第1窓2の縦枠14に取付けられた捨て枠部15と連結される。また、第2窓3を構成する上構成窓4と下構成窓5は、無目7を介して連結されている。
【0022】
図3には、連結窓1の分解斜視図を示している。この図に示すように、第1窓2の方立6と連結される縦枠14には、この縦枠14を上方に延長する捨て枠部15が連結されている。捨て枠部15は、方立6と対向する面が縦枠14と同じ形状となるように形成されており、またその上端位置は方立6の上端位置と略同じとなるようにされており、したがって方立6の第1窓2側の面に対しては、第1窓2の縦枠14と捨て枠部15が略全長に渡って連結される。
【0023】
一方、第2窓2は、前述のように方立6の高さと略同じ高さを有しており、したがって縦枠24が方立6の略全長に渡って連結される。このように、方立6の第1窓2側の面に捨て枠部15を連結してこれを覆うようにしたので、第1窓2と第2窓2を段違い状に配置しても、同じ高さを有した2つの窓を連結する場合と同様に方立6により連結をなすことができるので、連結窓1の特に段差をなす角部における気密性及び水密性を容易に確保することができる。
【0024】
方立6の端面を含む第1窓2と第2窓2の連結端部には、上下にそれぞれ上塞ぎキャップ30と下塞ぎキャップ31が取付けられる。上塞ぎキャップ30は、捨て枠部15の方立6と連結される面の上端面と方立6の上端面及び第2窓2の縦枠24の上端面を覆うと共に、第2窓2の上枠22端部にかかるように形成されている。下塞ぎキャップ31も、捨て枠部15の方立6と連結される面の下端面と方立6の下端面及び第2窓2の縦枠24の下端面を覆うと共に、第2窓2の下枠23端部にかかるように形成されている。
【0025】
次に、第1窓2と捨て枠部15の連結構造について説明する。図4には、第1窓2と捨て枠部15の分解斜視図(図4(a))及び側面図(図4(b))を示している。第1窓2の縦枠14と捨て枠部15は、連結金具32によって連結されている。連結金具32は、略板状の金具からなり、縦枠14の上端部に当接してネジ止め固定されると共に、捨て枠部15の下端部にも当接してネジ止め固定され、これによって両者を連結するようにしている。なお、予め連結金具32により縦枠14と捨て枠部15を連結しておくことで、第1窓2と捨て枠部15の方立6に対する連結強度を大きくすることができるが、前述のように、第1窓2と方立6を連結した上で捨て枠部15を方立6に連結するようにしてもよい。この場合には、縦枠14と捨て枠部15が直接連結されないので、強度はやや落ちるが、組立手順の自由度を上げることができる。
【0026】
図5には、図4(a)の第1窓2と捨て枠部15の連結部分付近拡大図を示している。この図に示すように、捨て枠部15の下端は直線状に切断されており、この下端を第1窓2の縦枠14上端に突き合わせて、連結金具32によって連結がなされる。このように、捨て枠部15の下端を直線状としたので、捨て枠部15の加工を容易にすることができ、また寸法が異なる捨て枠部15を用意する場合にも、簡単に加工を行うことができるので、容易に対応することができる。
【0027】
ただし、図5に示すように、捨て枠部15の室外端部には、室外側に面する室外面部15bが形成され、その下端部には切欠き部15cが形成されている。一方で、連結金具32には室外端部の中央位置に室外面部15bと同様の断面形状を有した連結塞ぎ部32cが設けられている。第1窓2の縦枠14にも、室外端部に同様の室外面部14dが形成されており、縦枠14と捨て枠部15を連結金具32により連結することにより、連結塞ぎ部32cが捨て枠部15の切欠き部15cの部分に適合して、縦枠14の室外面部14dと捨て枠部15の室外面部15bとを連続状とする。
【0028】
図3に示すように、第2窓3側においても、上構成窓4と下構成窓5の連結側部に方立側段窓連結金具33が設けられており、上構成窓4の下枠23と下構成窓5の上枠22にそれぞれ当接すると共に、ビス止めされて連結をなしている。方立側段窓連結金具33には、上構成窓4の縦枠24と下構成窓5の縦枠24との間に生じる隙間を埋めるように連結塞ぎ部33aが形成されている。縦枠14と捨て枠部15を連結する連結金具32は、この方立側段窓連結金具33と同形状の部品を用いており、連結塞ぎ部32cを納めることができるように、捨て枠部15の下端部に切欠き部15cを設けている。なお、図2に示すように、上構成窓4と下構成窓5の枠側の連結側部には、枠側段窓連結金具34が設けられている。枠側段窓連結金具34は、方立側段窓連結金具33と同様に連結塞ぎ部34aを有し、さらに上構成窓4と下構成窓5の各フィン部16を連続状とするフィン部34bが形成されている。
【0029】
一方で、連結金具32は方立側段窓連結金具33とはビスを固定する孔の位置が異なっている。図5に示すように、連結金具32の下部には、長孔状に形成され、第1窓2の上枠12に長手方向に沿って形成されるビスホール部12bと連通する上枠連通孔32aが形成され、連結金具32の上部には、捨て枠部15に対するビスの挿通孔32bを有している。挿通孔32bは、内周面にネジ山が切られており、捨て枠部15側からビスが挿通され、連結金具32側に螺合される。一方、上枠連通孔32aに対しては、連結金具32側からビスが挿通され、縦枠14に形成される貫通孔14eを介して上枠12のビスホール部12bに対して螺合がなされる。
【0030】
図5に示すように、第1窓2の上枠12上面は、室外端部側に室外側に向かう下り傾斜状の傾斜面部12cが形成されており、また、その室内外中間位置には段部12dも形成されている。縦枠14の上端部も上枠12の形状に適合するように形成されているので、下端部が直線状とされた捨て枠部15を縦枠14に突き合わせると、傾斜面部12cと段部12dの部分に隙間を生じることとなる。このため、この隙間部分については、捨て枠部15と第1窓2との間の気密性及び水密性の確保を図るため設けられるコーキング材により、塞ぐようにする。
【0031】
連結窓1の組立手順としては、図3に示すように、予め第1窓2と第2窓3をそれぞれ用意しておき、方立6よりも高さの低い第1窓2に対しては連結金具32により捨て枠部15を連結しておく。その上で、第1窓2と第2窓3を方立6に対して係合及びネジ止めによって連結し、第1窓2と第2窓3とを方立6を介して連結した状態とする。最後に、上塞ぎキャップ30及び下塞ぎキャップ31を方立6の上下端面部にそれぞれ取付けて連結窓1を完成させる。
【0032】
図6には図2のA−A断面図を、図7には図2のB−B断面図を、図8には図2のC−C断面図を、図9には図2のD−D断面図を、それぞれ示している。図6と図8に示すように、第1窓2は上枠12と下枠13が断面中空状に形成され、縦枠14は方立6または建物躯体と対向する対向面部14aと、対向面部14aの内周面に設けられパネル体11を保持するパネル体保持部14bとを有して構成されている。また、上枠12と下枠13もそれぞれ内周面にパネル体保持部12a、13aを備えており、これらによってパネル体11を保持するようにしている。
【0033】
図7と図8に示すように、第2窓3を構成する上構成窓4及び下構成窓5も、第1窓2と同様の構成を有している。すなわち、上枠22と下枠23はそれぞれパネル体保持部22a、23aを有すると共に断面中空状に形成され、縦枠24は方立6または建物躯体と対向する対向面部24aとパネル体保持部24bとを有して構成されている。
【0034】
図7に示すように、第2窓3を構成する上構成窓4と下構成窓5は、無目7を介して連結されている。無目7は、上構成窓4の下枠23及び下構成窓5の上枠22の間に配置されてこれらと対向する連結面部7aと、連結面部7aの室外側寄りに形成される係合部7bと、連結面部7aの係合部7bより室内側寄りに設けられる当接部7cと、連結面部7aの室内端部に形成される連結部7dとを有している。
【0035】
上構成窓4の下枠23と下構成窓5の上枠22には、それぞれ無目7の係合部7bに係合可能な無目係合部22b、23bが形成されている。また、無目7の当接部7cには、タイト材7eが保持され、このタイト材7eが上構成窓4の下枠23と下構成窓5の上枠22の各外周面に当接して、気密性を確保するようにしている。無目7の連結部7dは、外周側に延出するように形成されており、上構成窓4の下枠23と下構成窓5の上枠22にそれぞれ当接し、ネジ止めされることによって無目7と各枠とを連結する。さらに、連結部7dの室内側には、樹脂カバー体7fが設けられて、金属の露出面を覆うようにしている。
【0036】
図8に示すように、第1窓2と下構成窓5は、方立6を介して連結されている。方立6は、第1窓2と下構成窓5の縦枠24の間に配置されてこれらと対向する連結面部6aと、連結面部6aの室外側端部に形成される係合部6bと、連結面部6aの室内外中間位置に設けられる当接部6cと、連結面部6aの室内端部に形成される連結部6dとを有している。
【0037】
第1窓2の縦枠14と下構成窓5の縦枠24には、それぞれ方立6の係合部6bに係合可能な方立係合部14c、24cが形成されている。また、方立6の当接部6cには、タイト材6eが保持され、このタイト材6eが第1窓2の縦枠14と下構成窓5の縦枠24の各外周面に当接して、気密性を確保するようにしている。方立6の連結部6dは、外周側に延出するように形成されており、第1窓2の縦枠14と下構成窓5の縦枠24に室内側からそれぞれ当接し、ネジ止めされることによって方立6と各枠とを連結する。さらに、連結部6dの室内側には、樹脂カバー体6fが設けられて、金属の露出面を覆うようにしている。
【0038】
図9に示すように、上構成窓4は下構成窓5と同様の構造により方立6と連結されている。図10には、図8のうち方立6付近の拡大図を示している。この図に示すように、捨て枠部15は方立6側の面が第1窓2を構成する縦枠14と同様の形状を有するように形成されているため、これも縦枠14と同様の構造により方立6と連結される。すなわち、捨て枠部15は方立係合部15aで方立6の係合部6bと係合し、方立6の当接部6cに保持されたタイト材6eが捨て枠部15に当接すると共に、捨て枠部15の室内端部において方立6の連結部6dと当接し、ネジ止めにより固定がなされる。
【0039】
図6に示すように、第1窓2と捨て枠部15を連結する連結金具32は、第1窓2の上枠12に長手方向に沿って形成されるビスホール部12bと連通する上枠連通孔32aと、捨て枠部15に対するビスの挿通孔32bとを有しており、それぞれビスが挿通されることで、第1窓2と捨て枠部15を連結している。
【0040】
また、図6〜図9の各図に示すように、第1窓2の上枠12と下枠13及び建物躯体側の縦枠14には、それぞれ外周面にフィン部16が形成されている。また、第2窓3を構成する上構成窓4の上枠22と建物躯体側の縦枠24、下構成窓5の下枠23及び建物躯体側の縦枠24にも、それぞれ外周面にフィン部16が形成されている。すなわち、これによって図2に示すように、連結窓1の外周に沿ってフィン部16が形成されている。
【0041】
捨て枠部15が設けられる辺には、枠体10、20が露出していないので、この辺においてもフィン部を連続させるため、捨て枠部15の方立6とは反対側の面には、固着フィン部17が形成されている。これらフィン部16と固着フィン部17は、室内外方向において略同じ位置に配置され、したがってこれらは連結窓1の外周面の全周に渡って略面一状となるようにされている。そして、フィン部16及び固着フィン部17は建物躯体に対して室外側から当接し、固着されることで、連結窓1が建物躯体に固定される。
【0042】
このように、第1窓2と第2窓3を段違い状に配置し、第1窓2の縦枠14に捨て枠部15を連結し、縦辺が方立6と略同じ高さとなるようにしたので、捨て枠部15と第1窓2の縦枠14により、第1窓2側の方立6に対する取付構造を、方立6と略同じ高さを有する窓の取付構造と同様とすることができる。すなわち、方立6に対する取付けを、捨て枠部15により縦辺を延長した第1窓2と第2窓3とで、同様の構造でなすことができるので、第1窓2と第2窓3により形成される段差の角部分において、気密性及び水密性を通常の連結窓と同様に容易に確保することができる。
【0043】
次に、連結窓1の建物躯体に対する納まり状態について説明する。図10には本実施形態の連結窓1を建物躯体に取付けた状態の正面図を、図11には本実施形態の連結窓1を建物躯体に取付けた状態の背面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、建物躯体は、連結窓1が配置される領域の左右にそれぞれ縦材40、40が配置され、また連結窓1が配置される領域の上下にそれぞれ横材41、41が配置され、これらによって方形状の大開口部44が形成される。
【0044】
大開口部44を構成する上側の横材41には、縦方向に伸びる縦補助柱42が取付けられる。また、大開口部44を構成する第1窓2側の縦材40には、横方向に伸びる横補助柱43が取付けられる。これらによって、大開口部44内には、連結窓1の外周形状に沿った形状の開口部45が形成される。連結窓1のフィン部16及び捨て枠部15の固着フィン部17が、開口部45の縁部に全周に渡って室外側から当接し、固定されることによって、連結窓1は建物躯体に固定される。
【0045】
大開口部44を構成する縦材40と横材41は、木製の角材によって形成されている。また、開口部45を構成する縦補助柱42と横補助柱43も、木製の角材によって形成されており、これらは先端部で突き合わされ連結されることによって、大開口部44内で略L字状をなすように配置される。
【0046】
図12〜図15には、連結窓1が建物躯体に納まった状態の図であって、図6〜図9にそれぞれ対応した断面図を示している。これら各図に示すように、第1窓2のフィン部16と第2窓3のフィン部16及び捨て枠部15の固着フィン部17は、それぞれ建物躯体の開口部45の室外面に対して、当接しビス止めされる。また、フィン部16及び固着フィン部17が建物躯体に当接した位置より室外側には、外壁材46が設けられ、連結窓1と外壁材46の間には気密材47が設けられる。
【0047】
また、これら各図においては、連結窓1の室内側に額縁材9を配設している。第1窓2と上構成窓4及び下構成窓5には、それぞれ四周に渡ってアングル部18が形成されている。図12に示すように、第1窓2の上枠12と下枠13の各アングル部18は、それぞれ額縁材9の内周面に当接し、ビス止め固定されている。なお、額縁材9は室外側面がそれぞれ上枠12、下枠13の室内側面に当接して位置決めされている。
【0048】
図14に示すように、第1窓2の建物躯体側の縦枠14に形成されたアングル部18は、額縁材9の内周面に当接しビス止め固定されている。一方、第1窓2の方立側の縦枠14に形成されたアングル部18は、方立6の樹脂カバー体6fの側面を覆うと共に、アングル部18から樹脂カバー体6fの側面に対してビス止めがなされる。
【0049】
図16には、図14の方立6付近拡大図を示している。この図に示すように、捨て枠部15は、方立6の連結部6dと当接する面が、外周側に延出されて室内面部15dを構成している。室内面部15dに対しては、額縁材9の室内側面が当接し、これによって額縁材9の位置決めがなされる。
【0050】
さらに、捨て枠部15の室内端部には、室内側に向かって突出するように室内突出片15eが形成されている。室内突出片15eは、方立6の樹脂カバー体6fの側面を覆うように室内側に向かって伸びており、樹脂カバー体6fに対して挿入され、両者が連結される。これにより、捨て枠部15においても縦枠14と同様の構造により方立6に対する固定をなすことができ、樹脂カバー体6fも両側部でビス止めされるので、強固に固定することができる。なお、室内突出片15eの方立6とは反対側の面は、額縁材9に当接し、室内側には直接露出することがない。
【0051】
捨て枠部15を用いて窓を段違い状に配置する連結窓としては、第1の実施形態に示したものには限られず、様々な窓の配置が可能である。図17には、本発明の第2の実施形態における連結窓1の斜視図を示している。この図に示すように本実施形態では、第1窓2を第2窓3の上構成窓4に隣接するようにして、第1窓2と第2窓3とを横方向に連結している。
【0052】
図17では、第2窓3の下構成窓5に隣接する領域には、窓が配置されず、それによって連結窓1全体としては段違い状の配列をなしている。また、第1窓2の縦枠14を下方に延長するように捨て枠部15が連結されている。第1窓2は連結窓1の上寄りに設けられているので、第1の実施形態と異なり捨て枠部15は第1窓2の下方に延びるように設けられる。
【0053】
図17の場合において、第1窓2を構成する縦枠14の下端に捨て枠部15が連結金具32により連結される。そして、その状態の第1窓2と予め形成された第2窓3とが、それぞれ方立6に対して連結されることで連結窓1が形成される。
【0054】
図18には、本発明の第3の実施形態における連結窓1の斜視図を示している。この図に示すように、本実施形態では、第2窓3の両側にそれぞれ第1窓2を配置している。両側の第1窓2は、それぞれ方立6を介して第2窓3と連結されている。また第1窓2は、いずれも第2窓3の上下方向略中央位置に配置されており、第1窓2の上方と下方が、それぞれ窓の設けられない領域となって段違い状を構成している。
【0055】
第1窓2の縦枠14には、上端と下端にそれぞれ捨て枠部15が連結されている。すなわち、本実施形態において捨て枠部15は、第1窓2の上方と下方にそれぞれ延びるように設けられ、第1窓2の縦辺が方立6と略同じ高さとなるようにしている。これによって、第1窓2側を第2窓3と同様の取付構造で方立6に対して固定することができる。このように、捨て枠部15は縦枠14の上方または下方のみならず、両方に設けて第1窓2を第2窓3の上下方向中間位置に配置することもできる。
【0056】
図18の場合において、左右それぞれの第1窓2について、縦枠14の上端と下端に対しそれぞれ連結金具32によって捨て枠部15が取付けられる。そして、その状態の第1窓2と予め形成された第2窓3とが、それぞれ方立6に対して連結されることで連結窓1が形成される。
【0057】
図19には、本発明の第4の実施形態における連結窓1の斜視図を示している。この図に示すように、本実施形態では第3の実施形態と同様に、第2窓3の両側にそれぞれ第1窓2を配置している。ただし、第3の実施形態と異なり、第2窓3は3枚の窓を無目7を介して縦方向に連結して構成されている。第2窓3は、上から順に上構成窓4、中構成窓8及び下構成窓5からなり、このうち第1窓2は中構成窓8に隣接するように配置される。
【0058】
本実施形態においても、捨て枠部15は第1窓2の上方と下方にそれぞれ延びるように設けられ、第1窓2の縦辺が方立6と略同じ高さとなるようにしている。これによって、第1窓2側を第2窓3と同様の取付構造で方立6に対して固定することができる。このように、第2窓3をより多くの枚数の窓を連結することにより構成してもよい。一方で、第2窓3を1枚の縦長状の窓によって構成してもよく、いずれにしても第1窓2との間で段違い状に配置できるようにしていればよい。
【0059】
図19の場合において、左右それぞれの第1窓2について、縦枠14の上端と下端に対しそれぞれ連結金具32によって捨て枠部15が取付けられる。そして、その状態の第1窓2と予め形成された第2窓3とが、それぞれ方立6に対して連結されることで連結窓1が形成される。
【0060】
図20と図21には、本発明の第5の実施形態における連結窓1の斜視図を示している。これら各図に示すように、本実施形態では第1窓2と第2窓3とが略同じ高さを有しており、互いに隣接する領域には窓が配置されず、第1窓2と第2窓3は互い違い状となるように配置されている。
【0061】
図20に示すように、第1窓2の縦枠14には上端に捨て枠部15(第1捨て枠部)が連結され、第1窓2の縦辺を上方に延長している。一方、図21に示すように、第2窓3の縦枠24には下端に捨て枠部15(第2捨て枠部)が連結され、第2窓3の縦辺を下方に延長している。これによって、方立6の両側において第1窓2と第2窓3を方立6と略同じ高さを有した窓として扱い、連結することができる。
【0062】
図20及び図21の場合において、第1窓2について、縦枠14の上端に対し連結金具32によって捨て枠部15(第1捨て枠部)が取付けられる。また、第2窓3について、縦枠24の下端に対し連結金具32によって捨て枠部15(第2捨て枠部)が取付けられる。そして、その状態の第1窓2と第2窓3とが、それぞれ方立6に対して連結されることで連結窓1が形成される。
【0063】
これらの実施形態に示すように、第1窓2と第2窓3の組み合わせは、様々なものが考えられ、いずれにおいても、第1窓2と第2窓3の高さを方立6に合わせるように捨て枠部15を設けることで、窓を段違い状に配置しても方立6に対する取付構造を通常の窓と同様とすることができ、特に段差による角部における気密性や水密性を容易に確保することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。本実施形態では、連結窓1を構成する窓は、いずれも枠体内にパネル体を直接納めた所謂嵌め殺し窓であるが、その他の種類の窓であってもよく、例えば辷り出し窓や開き窓、突き出し窓やルーバー窓などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施形態における連結窓の斜視図である。
【図2】連結窓の正面図である。
【図3】連結窓の分解斜視図である。
【図4】第1窓と捨て枠部の分解斜視図及び側面図である。
【図5】図4(a)の第1窓と捨て枠部の連結部分付近拡大図である。
【図6】図2のA−A断面図である。
【図7】図2のB−B断面図である。
【図8】図2のC−C断面図である。
【図9】図2のD−D断面図である。
【図10】本実施形態の連結窓を建物躯体に取付けた状態の正面図である。
【図11】本実施形態の連結窓を建物躯体に取付けた状態の背面図である。
【図12】図6の連結窓が建物躯体に納まった状態の図である。
【図13】図7の連結窓が建物躯体に納まった状態の図である。
【図14】図8の連結窓が建物躯体に納まった状態の図である。
【図15】図9の連結窓が建物躯体に納まった状態の図である。
【図16】図14の方立付近拡大図である。
【図17】本発明の第2の実施形態における連結窓の斜視図である。
【図18】本発明の第3の実施形態における連結窓の斜視図である。
【図19】本発明の第4の実施形態における連結窓の斜視図である。
【図20】本発明の第5の実施形態における連結窓の斜視図である。
【図21】本発明の第5の実施形態における連結窓の別の角度から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
1 連結窓
2 第1窓
3 第2窓
4 上構成窓
5 下構成窓
6 方立
7 無目
10 枠体
11 パネル体
12 上枠
13 下枠
14 縦枠
15 捨て枠部
16 フィン部
17 固着フィン部
20 枠体
21 パネル体
22 上枠
23 下枠
24 縦枠
30 上塞ぎキャップ
31 下塞ぎキャップ
32 連結金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下枠及び左右の縦枠を枠組みしてなる枠体内に障子またはパネル体を納めた窓を方立を介して横方向に複数連結してなる連結窓の連結方法において、
縦辺が前記方立より上下方向に短く形成された第1窓の前記縦枠に対し、該縦枠を上方及び/または下方に延長する捨て枠部を連結し、該捨て枠部により前記第1窓の縦辺を前記方立と略同じ高さとし、
縦辺が前記方立と略同じ高さに形成された第2窓と前記捨て枠部が取付けられた前記第1窓とを、前記方立を介して横方向に連結することで、前記第1窓と第2窓を段違い状に配置することを特徴とする連結窓の連結方法。
【請求項2】
前記捨て枠部は連結金具を介して前記縦枠と連結されると共に、前記縦枠と略連続状とされることを特徴とする請求項1または2記載の連結窓の連結方法。
【請求項3】
前記捨て枠部は前記方立側の面に該方立に対して係合する方立係合部を有して形成されることを特徴とする請求項1または2記載の連結窓の連結方法。
【請求項4】
前記捨て枠部の方立係合部と反対側の面には建物躯体に当接固定される固着フィン部が形成されることを特徴とする請求項3記載の連結窓の連結方法。
【請求項5】
前記固着フィン部は前記第1窓及び第2窓の外周面に形成され建物躯体に当接固定されるフィン部と略面一状とされることを特徴とする請求項4記載の連結窓の連結方法。
【請求項6】
上下枠及び左右の縦枠を枠組みしてなる枠体内に障子またはパネル体を納めた窓を方立を介して横方向に複数連結してなる連結窓の連結方法において、
縦辺が前記方立より上下方向に短く形成された第1窓の前記縦枠に対し、該縦枠を上方または下方に延長する第1捨て枠部を連結し、該第1捨て枠部により前記第1窓の縦辺を前記方立と略同じ高さとし、
縦辺が前記方立より上下方向に短く形成された第2窓の前記縦枠に対し、該縦枠を上方または下方であって前記第1窓が前記第1捨て枠部により延長される方向とは反対側に延長する第2捨て枠部を連結し、該第2捨て枠部により前記第2窓の縦辺を前記方立と略同じ高さとし、
前記第1捨て枠部が取付けられた前記第1窓と前記第2捨て枠部が取付けられた前記第2窓とを、前記方立を介して横方向に連結することで、前記第1窓と第2窓を段違い状に配置することを特徴とする連結窓の連結方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate