説明

連続体の加工方法及び連続体の加工システム

【課題】連続体に含まれる構成要素の各々に対し、構成要素間で加工の内容が異なっていても、連続体に含まれる構成要素に対して迅速且つ的確に加工が施される連続体の加工方法及び連続体の加工システムを提供する。
【解決手段】本発明の加工方法は、加工情報印字工程(S20)、読取工程(S30)、及び、加工工程(S40)を有する。加工情報印字工程(S20)では、連続体を構成している少なくとも1つの構成要素に加工情報が印字される。加工情報は、加工されるべき構成要素を特定するための情報要素を含む。読取工程(S30)では、構成要素に印字された加工情報が読み取られる。加工工程(S40)では、読取工程で読み取った加工情報に基づいて、前記加工位置の構成要素に対して加工が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続体に対して加工を施す方法、及び、当該方法に用いられる加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙状シートや、シールシートに対してカッティング加工を施す装置として、これらシートにプリントされたコードデータに基づいてカッティングを行うものが知られている(例えば、特許文献1)。
より詳しくは、このカッティング加工装置は、カットデータ処理部を有し、カットデータ処理部は、利用者によって選択された画像に対応するカット情報を抽出する。カット情報は、コード化されてコードデータにされ、コードデータがプリントされる。
【0003】
上記の先行技術によれば、プリンタにおけるプリントの出力順序や、プリントを作成したプリンタの種類などに依存することなく、独立してカットを行うことができるものと考えられる。また、カッティング装置側にカット情報などを記憶する必要がないので、カット情報を記憶する記憶装置などをカッティング装置に設ける必要がなくなるものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−233990号公報(段落番号0051、0083〜0097等。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、請求書や保険契約書等の印字物を作成する場合、複数の紙片からなる連続紙が用いられ、各紙片が印字物の1頁を構成する。例えば、宛名台紙となる印字物の先頭頁には、印字物の宛先である顧客の住所及び氏名等の情報が印字される。印字物の2頁目以降には、請求の明細や特約条項等の詳細な内容が、宛先毎に異なる特定の記載事項として印字される。そして近年、この種の印字物には、例えばハート形の切り抜き等の所望の形状でのカッティング加工が、その先頭頁等に施されるものがある。
このように印字物の特定の頁を構成する紙片のみにカッティング加工を施す場合、連続紙の全ての紙片に対して同一のカッティング加工を施すということはない。また、記載事項の量は宛先毎に変動するため、カッティング加工が施される紙片の連続紙における位置も不規則になる。
【0006】
このような印字物の作成に、先行技術のカッティング装置を適用しようとしても、連続紙の各紙片に対して、連続して的確にカッティング加工を施すことは事実上不可能である。なぜならば、先行技術のカッティング装置は、連続紙ではなく、紙状シートや、シールシートをカッティング加工の対象としており、先行技術におけるカット情報は、プリントされた画像に対応するものにすぎないからである。換言すれば、先行技術のカット情報は、連続紙全体において、どの紙片に対してどのような加工を行う、という情報を含んでいないからである。
【0007】
本発明は上述した事情に基づいてなされ、その課題は、連続体に含まれる構成要素の各々に対し、構成要素間で加工の内容が異なっていても、連続体に含まれる構成要素に対して迅速且つ的確に加工が施される連続体の加工方法及び連続体の加工システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、第1に本発明は連続体の加工方法を提供する。本発明の加工方法は、加工情報印字工程、読取工程、及び、加工工程を有する。
【0009】
[加工情報印字工程]
加工情報印字工程では、列をなして連なることにより1つの連続体を構成している複数の構成要素のうち少なくとも1つの構成要素に加工情報が印字される。加工情報は、加工されるべき構成要素を特定するための情報要素及び加工の内容に関する情報要素を含む。
【0010】
[読取工程]
読取工程では、構成要素の配列方向に沿って連続体を移動させることにより、加工情報が印字された構成要素が読取位置に配置されたときに、読取位置の構成要素に印字された加工情報が読み取られる。
【0011】
[加工工程]
加工工程では、構成要素の配列方向に沿って連続体を移動させることにより、加工情報に基づいて特定された構成要素が加工位置に配置されたときに、読取工程で読み取った加工情報に基づいて、前記加工位置の構成要素に対して加工が行われる。
【0012】
本発明の連続体の加工方法によれば、加工情報に基づいて、連続体に対して加工が行われる。このため、連続体に含まれる構成要素に対して、迅速且つ的確に加工が行われる。
そして、この加工方法によれば、連続体に施される加工のパターン数に制限はない。
また、この加工方法によれば、加工された複数の構成要素から1つの物品が構成されるときに、1つの物品においても、構成要素毎に加工の内容が容易に変更される。
更に、加工情報が構成要素に印字されているので、加工工程を実施するための装置に、加工情報を予め入力する必要がなく、加工方法の実施に手間がかからない。
【0013】
本発明の連続体の加工方法においては、連続体の一部の範囲(連続的周期範囲)内で、同一の加工が施される複数の構成要素が空間的な周期をもって分布しているとき、当該周期的範囲内の構成要素のための加工情報は、当該空間的な周期に関する情報要素を含むのが好ましい。
この場合、周期に関する情報要素を利用することで、加工情報印字工程、読取工程又はこれら両方の工程を効率的に行うことが可能になる。この結果として、連続体に対して、より一層迅速に加工が行われる。
【0014】
本発明の連続体の加工方法においては、連続体の周期的範囲内に含まれる1つの構成要素に対してのみ加工情報が印字されるのが好ましい。この場合、加工情報印字工程及び読取工程を効率的に行うことが可能になる。この結果として、連続体に対して、より一層迅速に加工が行われる。
【0015】
本発明の連続体の加工方法においては、連続体の周期的範囲内では、1周期毎に1つの加工情報が1つの構成要素に印字されるとともに、当該加工情報は、1周期毎に1つずつ順次付与される通し番号に対応する情報要素を含むのが好ましい。この場合、何らかの原因で周期的範囲内で加工が停止した後、原因を解消して加工を再開するときに、通し番号を利用することで、周期的範囲内の加工を引き続き効率的に行うことができる。
【0016】
本発明の連続体の加工方法にあっては、加工されるべき構成要素の隣に、加工されない構成要素が1つ以上連なっているときに、加工情報は、当該加工情報に基づいて加工されるべき構成要素の隣に連なる加工されない構成要素の数に関する情報を含むのが好ましい。この場合、加工されない構成要素について、加工情報印字工程及び読取工程を省略することによって、連続体に対して、より一層迅速に加工が行われる。
【0017】
本発明の連続体の加工方法にあっては、加工情報は、不可視のインクを用いて印字されるのが好ましい。この場合、構成要素における加工情報の印字位置及び大きさが限定されず、加工情報を印字する際の自由度が高くなる。またこの場合、加工情報に十分な情報量をもたせることが可能であり、加工情報に基づいて種々の加工が的確に行われる。
【0018】
本発明の連続体の加工方法にあっては、加工されるべき構成要素の隣に、加工されない構成要素が1つ以上連なっているときに、加工情報は、当該加工情報に基づいて加工されるべき構成要素の隣に連なる加工されない構成要素に印字されるのが好ましい。
この場合、可視性のインクを用いて加工情報を構成要素に印字したとしても、印字された構成要素と加工された構成要素との分離が容易である。
【0019】
本発明の連続体の加工方法にあっては、連続体は連続紙であってもよく、加工情報は、構成要素に施されるカッティング加工に関する情報を含んでいてもよい。本発明の加工方法が、例えば宛先毎に頁数が異なる書類の作成に適用された場合、迅速且つ的確に書類が作成される。
【0020】
本発明の連続体の加工方法は、更に、可変情報印字工程を有していてもよい。可変情報印字工程では、内容が相違する複数の可変情報が、可変情報毎に1つ以上の構成要素に印字される。
この場合、可変情報印字工程にて、例えば宛先毎に内容が異なる可変情報を印字することにより、当該可変情報を含む書類等が迅速且つ的確に作成される。
【0021】
上記の課題を解決するため、第2に本発明は連続体の加工システムを提供する。この加工システムは、加工情報印字部、読取部、及び、加工部を有する。
【0022】
[加工情報印字部]
加工情報印字部では、列をなして連なることにより1つの連続体を構成している複数の構成要素のうち少なくとも1つの構成要素に加工情報が印字される。加工情報は、加工されるべき構成要素を特定するための情報要素及び加工の内容に関する情報要素を含む。
【0023】
[読取部]
読取部では、構成要素の配列方向に沿って連続体を移動させることにより、加工情報が印字された構成要素が読取位置に配置されたときに、読取位置の構成要素に印字された加工情報が読み取られる。
【0024】
[加工部]
加工工程では、構成要素の配列方向に沿って連続体を移動させることにより、加工情報に基づいて特定された構成要素が加工位置に配置されたときに、読取工程で読み取った加工情報に基づいて、前記加工位置の構成要素に対して加工が行われる。
【0025】
本発明の連続体の加工システムによれば、加工情報に基づいて、連続体に対して加工が行われる。このため、連続体に含まれる構成要素に対して、迅速且つ的確に加工が行われる。
そして、この加工システムによれば、連続体に施される加工のパターン数に制限はない。
また、この加工システムによれば、加工された複数の構成要素から1つの物品が構成されるときに、1つの物品においても、構成要素毎に加工の内容が容易に変更される。
更に、加工情報が構成要素に印字されているので、加工部に加工情報を予め入力する必要がなく、この加工システムの操作に手間がかからない。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明の連続体の加工方法及び加工システムによれば、加工情報に基づいて、連続体に対して迅速かつ的確に加工が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1実施形態の連続体の加工方法によって製造される印字物の概略平面図である。
【図2】図1の印字物に含まれる可変情報を台紙とともに示す図である。
【図3】図1の印字物に形成された加工を台紙とともに示す図である。
【図4】図1の印字物に含まれる可変情報を台紙とともに示す図である。
【図5】第1実施形態の連続体の加工方法のフローチャートである。
【図6】図5の加工方法により原材料から印字物が製造されるまでの過程を示す図である。
【図7】図5の加工方法に用いられる印字装置の概略構成を示す図である。
【図8】図5の加工方法に用いられる加工装置の概略構成を示す図である。
【図9】図7の印字装置が実行する加工情報印字ルーチンのフローチャートである。
【図10】図8の加工装置が実行する加工情報読取ルーチンのフローチャートである。
【図11】図8の加工装置が実行する加工ルーチンのフローチャートである。
【図12】第2実施形態の連続体の加工方法を採用したときに、加工が施された直後の連続紙を示す概略平面図である。
【図13】第3実施形態の連続体の加工方法を採用したときに、加工情報が印字された直後の連続紙、及び、加工が施された直後の連続紙を示す概略平面図である。
【図14】第4実施形態の連続体の加工方法を採用したときに、加工情報が印字された直後の連続紙、及び、加工が施された直後の連続紙を示す概略平面図である。
【図15】第5実施形態の連続体の加工方法により、原材料から印字物が製造されるまでの過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0029】
〔第1実施形態〕
図1は、印字物を概略的に示す平面図であり、この印字物は、本発明に係る連続体の製造方法によって製造されたものである。図1の印字物は、例えば3頁からなる請求書である。ただし、印字物はこれに限定されることはなく、請求書の外に、保険契約書等の書類であってもよい。
【0030】
図2〜図4は、印字物の台紙10とともに、印字物の構成要素を個別に示している。台紙10は、例えば、横方向に一列に連なった3つの紙片12によって構成され、各紙片12が印字物の1頁を構成している。
図2は、印字物の台紙10にプリント(印字)された文字及び図を示している。より具体的には、文字として、台紙10の第1頁の左上部には、書類の宛先14、則ち被請求人の住所や氏名が記載される。加えて、文字として、台紙10の第1頁には、下側に請求の明細16の一部が記載され、明細16の残部は、第2頁から第3頁に渡って記載されている。
なお図面において、プリントされた文字は便宜的に細線で示されている。
【0031】
これら宛先14及び明細16は、書類の受け取り人に応じて異なることから、可変情報と称される。当然のことながら、明細16の記載量は宛先14によって異なることがあり、印字物の頁数も増減することがある。
なお、印字物が保険契約書であれば、可変情報として、契約者の住所及び氏名とともに、特約まで含む契約内容が記載される。つまり、印字物に記載される可変情報は、特に限定されることはない。
【0032】
また、図として、台紙10の第1頁には、その右上部に、請求人が使用しているイメージキャラクター18が記載されている。更に、第1頁には、その中央部に、四角形状の枠20が記載されている。
【0033】
図3は、台紙10に施された機械的な加工を示している。より具体的には、加工として、台紙10の第1頁の右上部には、イメージキャラクター18を囲むように例えば四角形状の破線(ミシン目)22が形成されている。従って、被請求人は、イメージキャラクター18が印字された台紙10の部分を容易に切り取ることができ、切り取った部分を明細とは別に利用することができる。
【0034】
また、加工として、第1頁の中央部には、4つのハート形の切り抜き24が形成されている。切り抜き24は、枠20内に位置し、例えば2行2列に配列させられている。これらの枠20及び切り抜き24は、例えば意匠としての効果を有し、被請求人に対して視覚的な効果を及ぼす。なお、切り抜き24は、クレジットカード等の保持に使用することもできる。
【0035】
図4は、台紙10にプリントされた2次元バーコード26を示し、2次元バーコード26は、第1頁の半分以上に渡ってプリントされている。2次元バーコード26は、破線22及び切り抜き24を台紙10に形成するために必要な加工情報を含んでいる。
なお、2次元バーコード26は、不可視性のインクを用いてプリントされており、宛先14、明細16及びイメージキャラクター18と重なっていても、これらの視認を阻害することはない。
【0036】
以下、第1実施形態の連続体の製造方法について説明する。
図5は、連続体の製造方法のフローチャートを示している。連続体の製造方法は、可変情報印字工程S10、加工情報印字工程S20、加工情報読取工程S30、加工工程S40及び裁断工程S50を有する。
【0037】
図6(a)〜(e)は、図5の製造方法を用いて、原材料から印字物が製造されるまでの過程を示している。
図6(a)に示したように、印字物の原材料としては、連続紙30が使用される。連続紙30は、列をなして連なる紙片12によって構成されている。なお、紙片12は横方向に連なっているが、上下方向に連なっていてもよい。
【0038】
[可変情報印字工程]
連続紙30には、可変情報印字工程S10において、図6(b)に示したように、可変情報である宛先14及び明細16がプリントされる。また、可変情報印字工程S10において、連続紙30には、イメージキャラクター18及び枠20がプリントされる。
【0039】
これらのプリントは、連続紙30を連続的若しくは間欠的に配列方向に沿って送り、所定の印字位置に位置づけられた紙片12に行われる。具体的には、図6(b)に示した場合、最も右側の紙片12に最初にプリントが行われ、それから順次左側の紙片12にプリントが行われる。
このように連続紙30を送りながら連続紙30に対し処理を行うことは、加工情報印字工程S20、加工工程S40及び裁断工程S50についても同様である。
【0040】
かくして連続紙30には、送りに同期して繰り返しプリントが実行される。宛先14がプリントされる周期、則ち、1つの印字物を構成する紙片12の数は、明細16の量に応じて変化する。図6(b)に示された6つの紙片12のうち、右から3つの紙片12が1つの台紙10を構成することになり、この3つの紙片12の左側に続く2つの紙片12が他の台紙10を構成することになる。
【0041】
[加工情報印字工程]
連続紙30には、加工情報印字工程S20において、図6(c)に示したように、2次元バーコード26がプリントされる。2次元バーコード26は、加工情報をバイナリ化してから圧縮し、更に符号化することにより生成されたパターンである。
本実施形態では、2次元バーコード26は、不可視性のインクを用いてプリントされる。不可視性のインクとしては、例えば、紫外線を照射すると発光するインクを用いることができる。
【0042】
[加工情報読取工程]
加工情報読取工程S30では、まず、加工情報印字工程S20でプリントされた2次元バーコード26が撮像される。撮像は、例えば2次元バーコード26に対して紫外線を照射しながら行われる。次に、撮像によって得られた2次元バーコード26のデータに復号化処理が施され、これにより加工情報が得られる。
【0043】
[加工工程]
この後、連続紙30には、加工工程S40において、図6(d)に示したように、破線22及び切り抜き24が加工される。この加工は、加工情報読取工程S30で得られた加工情報に基づいて行われる。なお加工は、例えば、レーザーを用いて行うことができるが、カッター等を用いてもよい。
【0044】
最後に、連続紙30は、裁断工程S50において、図6(e)に示したように、裁断され、これにより印字物が完成する。
【0045】
ここで、2次元バーコード26の形態でプリントされた加工情報は、破線22及び切り抜き24を形成するための情報要素として、紙片12における加工の位置、即ち座標(x,y)、加工の深さ(z)、及び、紙片2の寸法を含んでいる。また、加工情報は、加工される紙片2を特定するための情報要素として、加工される紙片2の連続紙30における通し番号も含んでいる。
【0046】
更に、加工情報は、連続紙30の一部の範囲内において、紙片2の配列方向にて一定間隔で同一の加工を複数回施すときに、当該繰り返しの回数を情報要素として含むことが好ましい。
換言すれば、連続紙30の一部の範囲(周期的範囲)内において、同一の加工が施される紙片12が空間的な周期をもって分布しているときに、加工情報は、当該周期に関する情報要素を含んでいるのが好ましい。
【0047】
次に、連続体の製造方法に用いられる連続体の加工システムについて説明する。
連続体の加工システムは、印字装置100及び加工装置200を有する。
[印字装置]
図7は、印字装置100の概略構成を示している。印字装置100では、繰り出しロール102から繰り出された連続紙30が搬送経路104に沿って送られ、そして巻き取りロール106に巻き取られる。搬送経路104には、連続紙30を送るための手段として、複数のローラ108が適当な配置にて設けられている。
【0048】
また、搬送経路104の途中には、可変情報印字部110及び加工情報印字部112が直列に設けられている。可変情報印字部110及び加工情報印字部112は例えばインクジェット式のプリンタによってそれぞれ構成される。可変情報印字部110によって、可変情報がプリントされ、加工情報印字部112によって加工情報がプリントされる。
なお、可変情報印字部110及び加工情報印字部112は、同一のプリンタによって構成されていてもよい。
【0049】
送り手段、可変情報印字部110及び加工情報印字部112の動作は、印字制御部114によって制御される。印字制御部114には、記憶部116が接続され、印字制御部114は、記憶部116に記憶された情報に基づいて、送り手段、可変情報印字部110及び加工情報印字部112の動作を制御する。
なお印字制御部114及び記憶部116は、例えばコンピュータ及びハードディスクを用いて構成することができる。
【0050】
[加工装置]
図8は、加工装置200の概略構成を示している。加工装置200では、繰り出しロール202から、可変情報及び加工情報をプリントされた連続紙30が繰り出される。搬送経路204には、連続紙30を送るための手段として、複数のローラ206が適当な配置にて設けられている。
【0051】
また、搬送経路204の途中には、連続紙30にプリントされた2次元バーコード26を撮像する撮像部207が設けられている。撮像部207は、例えばラインセンサ208及び紫外線ランプ210を有する。紫外線ランプ210を照射することで2次元バーコード26に用いられた不可視性インクが蛍光を呈し、この蛍光を受光することでラインセンサ210が2次元バーコード26を撮像する。
【0052】
搬送経路204における撮像部207よりも下流には、連続紙30に加工を施すための加工部212が設けられている。加工部212は、好ましくはレーザー加工装置によって構成されている。レーザー加工装置は種々の加工が可能であり、スリットや切り抜きの加工は勿論のこと、ミシン目やハーフカットの加工も可能である。
なお、加工部212は、レーザー加工装置のような非接触型の装置に限定されることはなく、接触型のカッター装置であってもよい。
【0053】
搬送経路204における加工部212よりも下流には、裁断部214が設けられている。裁断部214は、加工された連続紙30を宛先14毎に裁断し、これにより印字物が得られる。得られた印字物は、搬送経路204から排出されて、後工程に送られる。後工程では例えば印字物の封筒入れが行われる。
【0054】
加工装置200における送り手段、撮像部207、加工部212及び裁断部214の動作は、加工制御部216によって制御される。加工制御部216は、復号化部218を有し、復号化部218は、撮像部207によって得られた2次元バーコード26の画像データを復号化して加工情報を取得する。つまり、撮像部207及び復号化部218は、加工情報の読取部を構成している。
【0055】
加工制御部216は、読取部によって得られた加工情報に基づいて、連続紙30に対する加工を加工部212に行わせ、それから、裁断部214に連続紙30を裁断させる。
なお加工制御部216は、例えばコンピュータを用いて構成することができる。
【0056】
[加工情報印字ルーチン]
ここで、図9は、印字装置100の加工情報印字部112を動作させるために印字制御部114が実行するプログラム(加工情報印字ルーチン)のフローチャートを示している。
まず、印字制御部114は、図示しない位置検出手段を用いて、送られてくる連続紙30の先端、即ち先頭の紙片12が加工情報印字部112に到達したか否かを判定する(S100)。そして、先端の到着を検出すると、連続紙30の先頭の紙片12に対して加工情報をプリントする(S120)。
なお位置検出手段は、連続紙30における紙片12の通し番号を検出可能であり、エンコーダやフォトインタラプタ等によって構成することができる。
【0057】
この後、印字制御部114は、送られてくる連続紙30に対し、どの紙片12に加工情報をプリントするか、プリントのタイミングをはかる(S140)。
ステップS140の判定は、加工情報に基づいて行うことができる。すなわち、印字位置に位置しているのが加工されるべき紙片12の場合には、S140の判定結果はYesになり、加工されない紙片12の場合には、S140の判定結果はNoになる。
【0058】
従って、ステップS140の判定結果がYesの場合、印字位置の紙片12に対して加工情報が印字される(S160)。一方、ステップS140の判定結果がNoの場合、ステップS160がスキップされてステップS180が実行される。
【0059】
ステップS180において、印字制御部114は、加工情報の印字を終了するか否かの判定を行う。
ステップS180において、印字を終了するか否かの判定は、例えば、プリントすべき加工情報の残存の有無や、位置検出手段によって検出された連続紙30の末端位置の情報に基づいて行うことができる。
【0060】
図6に示した場合、ステップS140〜S160によって、1つの印字物を構成することになる複数の紙片12のうち、先頭頁になる紙片12にのみ加工情報を印字することが可能である。
【0061】
[加工情報読取ルーチン]
図10は、加工装置200の読取部として、加工制御部216が実行するプログラム(加工情報読取ルーチン)のフローチャートを示している。
まず、加工制御部216は、図示しない位置検出手段を用いて、送られてくる連続紙30の先端がラインセンサ208の撮像位置に到達したか否かを判定する(S200)。そして、加工制御部216は、先端の到着を検出すると、連続紙30の先頭の紙片12にプリントされた2次元バーコード26を読み取る(S220)。すなわち、加工制御部216は、ラインセンサ208を用いて2次元バーコード26を撮像し、得られた2次元バーコードの画像データを復号化して加工情報を取得する。
【0062】
この後、加工制御部216は、送られてくる連続紙30に対し、どの紙片12から加工情報を読み取るか、読み取りのタイミングをはかる(S240)。
ステップS240の判定は、最も簡単な場合、2次元バーコード26の有無によって行うことができる。
また、ステップS240の判定は、先に読取った加工情報に、加工される紙片12の隣に連なる加工しない紙片12の数が含まれているならば、その数を参考にして行うことができる。
【0063】
ステップS240の判定結果がYesの場合、撮像位置(読取位置)の紙片12から加工情報が読み取られる(S260)。一方、ステップS240の判定結果がNoの場合、ステップS260がスキップされてステップS280が実行される。
【0064】
ステップS280において、加工制御部216は、加工情報の読み取りを終了するか否かの判定を行う。
ステップS280において、読み取りを終了するか否かの判定は、例えば、最後に読み取った加工情報や、位置検出手段によって検出された連続紙30の末端位置の情報に基づいて行うことができる。
【0065】
図6に示した場合、ステップS240〜S260によって、1つの印字物を構成することになる複数の紙片12のうち、先頭頁になる紙片12からのみ加工情報を読み取ることができる。
【0066】
[加工ルーチン]
図11は、加工装置200の加工部212を動作させるために、加工制御部216が実行するプログラム(加工ルーチン)のフローチャートを示している。
【0067】
加工制御部216は、加工情報に基づいて、加工位置の紙片12に加工を施すか否か、加工のタイミングをはかる(S300)。
そして、ステップS300の判定結果がYesであれば、加工制御部216は、加工部212に加工を実行させる(S320)。一方、ステップS300の判定結果がNoであれば、加工制御部216は、ステップS320をスキップして、ステップS340を実行する。
【0068】
ステップS340では、加工を終了するか否かの判定が行われる。この加工を終了するか否かの判定は、読み取った加工情報の残存の有無や、位置検出手段によって検出された連続紙30の末端位置の情報に基づいて行うことができる。
【0069】
上述した第1実施形態の連続体の製造方法では、連続紙30に対して施されるべき加工に関する加工情報が連続紙30にプリントされる。そして、プリントされた加工情報を読み取って、連続紙30に対して加工が施される。このため、複数の紙片12が連なる連続紙30に対しても加工が連続して的確に行われる。
また、複数頁から構成される1つの印字物についてみたときに、頁単位で加工が容易に変更される。
更に、加工情報が連続紙30にプリントされているので、加工装置200が加工情報を記憶している必要がない。このため、加工装置200に加工情報を登録する作業が必要なく、作業者の負担が軽減される。
【0070】
一方、上述した第1実施形態の連続体の製造方法では、加工情報が、当該加工情報に基づいて加工されるべき紙片12の隣に連なる加工されない紙片12の数に関する情報を含んでいれば、加工されない紙片12について、加工情報印字工程S20及び加工情報読取工程S30を省略することによって、連続紙30に対して、より一層迅速に加工が行われる。
【0071】
[第2実施形態]
図12は、第2実施形態に係る連続体の製造方法を採用した場合における、加工直後の連続紙30の状態を示している。図12に示したように、1つの連続紙30においても、印字物毎に可変情報及び加工情報の配置を変更しても良く、更には、加工情報の種類を変更してもよい。つまり、この製造方法によれば、連続紙30に施される加工のパターン数に制限はない。
【0072】
[第3実施形態]
図13(a)及び(b)は、第3実施形態の連続体の製造方法を採用した場合における、加工情報印字直後の連続紙30の状態及び加工直後の連続紙30の状態をそれぞれ示している。
図13(b)に示した連続紙30には、その右側から、3つの紙片12を1周期として、同一の加工が3周期分繰り返し施されている。このように、紙片12の列の方向にて周期をもって加工を施すときに、加工情報は、周期に関する情報要素を含むのが好ましい。
【0073】
この理由として、周期をもって加工を施す場合、周期に関する情報要素を加工情報に含ませることにより、1周期毎に紙片12に対して加工情報をプリントする必要がなくなる。ことがあげられる。
具体的には、図13(a)に示したように、周期が存する連続紙30の周期的範囲、則ち右側から9枚の紙片12において、1つの紙片12にのみ加工情報をプリントすればよい。この場合、加工情報のプリントに要する時間が短縮されるとともに、加工情報の読み取りに要する時間も短縮される。この結果として、連続紙30がより一層迅速に加工される。
なお、周期に関する情報要素とは、例えば、1周期に含まれる紙片12の数、周期的範囲における周期の繰り返し数、及び、1周期毎に順次付与される周期的範囲における周期の通し番号のうちから選択される1つ以上である。
【0074】
[第4実施形態]
図14(a)及び(b)は、第4実施形態の連続体の製造方法を採用した場合における、加工情報印字直後の連続紙30の状態及び加工直後の連続紙30の状態をそれぞれ示している。
第4実施形態の連続体の製造方法は、第3実施形態の連続体の製造方法とは、1周期毎に紙片12に加工情報がプリントされている点、及び、周期的範囲における周期の通し番号を加工情報が更に含んでいる点において異なっている。つまり、図14(a)及び(b)の右側から1つ目の加工情報は、周期の繰り返し数として3、周期の通し番号として1を含んでおり、2つ目の加工情報は、周期の繰り返し数として3、周期の通し番号として2を含んでおり、そして、3つ目の加工情報は、周期の繰り返し数として3、周期の通し番号として3を含んでいる。
【0075】
ここで、加工装置200の搬送経路204において、連続紙30の周期的範囲内の紙片12を加工しているときに、連続紙30が例えば分裂し又は絡まってその送りが停止したとする。かかる場合に連続紙30の送りを再開したとき、1周期毎に加工情報がプリントされ、且つ、加工情報が周期の通し番号を含んでいれば、加工装置200に対して、周期的に所定回数だけ繰り返されるべき加工のうち、残っている回数を特別に指示せずとも、加工が的確に行われる。
また、加工情報が1周期毎に通し番号を含んでいる場合、加工が途中で停止した際、残りの通し番号の紙片12を加工し、加工に失敗した紙片12についてのみ可変情報及び加工情報の再印字・再加工を施せばよい。この結果、作業効率が向上するとともに、損紙が減少する。
この結果として、送りの停止から再開までの時間が短縮され、加工効率の低下が防止される。
【0076】
[第5実施形態]
図15(a)〜(e)は、第5実施形態の連続体の製造方法を採用した場合における、原材料から印字物が得られるまでの過程を示す図である。
第5実施形態では、図15(b)に示したように、可変情報が印字される紙片12の前又は後に、余分の紙片12が設けられる。そして、図15(c)に示したように、この余分の紙片12に加工情報がプリントされる。余分の紙片12は、図15(e)に示したように、印字物から切り離すことができる。
【0077】
余分の紙片12を切り離すことは、印字物の受け取り人である客先や一般消費者に不必要な情報を与え、誤解を招くことを防止するという観点から好ましい。
なお、余分の紙片12を切り離す場合、加工情報を印字するインクとして、視認性のインクを用いてもよく、これにより、撮像部207の紫外線ランプ210を省略することができる。
【0078】
本発明は、上述した第1実施形態乃至第5実施形態に限定されることはなく、種々変更が可能である。
例えば、加工対象物の材質は、紙に限定されることはなく、プラスチック製のカードやフィルム、シールであってもよい。そして、加工対象物の大きさや厚さも特に限定されることはない。更に、加工対象物は、局所的若しくは全体に渡って、2重以上の層構造を有していてもよい。つまり、加工対象物は、列をなして複数の構成要素が連なる連続体であればよい。
【0079】
そして、製造される物は、書類に限定されることはなく、グリーティングカード、キャッシュカード、及び、シール等であってもよい。例えば、グリーティングカードの場合、層構造を有する連続紙に加工を行うことにより、ポップアップを作成してもよい。
更に、製造される物には、カッティング等の加工が施されていればよく、必ずしも可変情報がプリントされていなくてもよい。
【0080】
一方、加工情報としては、デジタル情報である2次元バーコード26が用いられたけれども、一次元のバーコードや他の符号を用いてもよい。
また、加工情報は、アナログ情報であってもよく、アナログ情報及びデジタル情報の両方を含んでいてもよい。例えば、加工情報は、カッティング加工の輪郭形状をアナログ情報として有し、加工深さをデジタル情報として有していてもよい。
【0081】
更に、加工情報は、可変情報がプリントされた紙片12の余白部分にプリントされていてもよく、全面に渡ってプリントされていてもよい。
また更に、加工情報は、全ての紙片にプリントされていてもよい。
【0082】
一方、加工としては、カッティング加工に限定されることはなく、台紙にカードを貼り付けるための糊を塗布する糊付け加工等であってもよい。
上記の外、第1実施形態乃至第5実施形態で挙げたシステムの構成や配置はいずれも好ましい例示であり、本発明の実施に際してシステムの構成や配置を適宜に変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0083】
10 台紙
12 紙片
14 宛先(可変情報)
16 明細(可変情報)
22 破線(ミシン目)
24 切り抜き
26 2次元バーコード(加工情報)
30 連続紙
S20 加工情報印字工程
S30 読取工程(加工情報読取工程)
S40 加工工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列をなして連なることにより1つの連続体を構成している複数の構成要素のうち少なくとも1つの構成要素に、加工されるべき構成要素を特定するための情報要素及び加工の内容に関する情報要素を含む加工情報を印字する加工情報印字工程と、
前記構成要素の配列方向に沿って前記連続体を移動させることにより前記加工情報が印字された構成要素が読取位置に配置されたときに、前記読取位置の構成要素に印字された前記加工情報を読み取る読取工程と、
前記構成要素の配列方向に沿って前記連続体を移動させることにより、前記加工情報に基づいて特定された前記構成要素が加工位置に配置されたときに、前記読取工程で読み取った加工情報に基づいて、前記加工位置の構成要素に対して加工を行う加工工程と
を有することを特徴とする連続体の加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の連続体の加工方法において、
同一の加工が施される複数の前記構成要素が空間的な周期をもって分布している前記連続体の周期的範囲内で、当該周期的範囲内の構成要素のための加工情報は、当該空間的な周期に関する情報要素を含む
ことを特徴とする連続体の加工方法。
【請求項3】
請求項2に記載の連続体の加工方法において、
前記連続体の周期的範囲内に含まれる1つの前記構成要素に対してのみ前記加工情報が印字される
ことを特徴とする連続体の加工方法。
【請求項4】
請求項3に記載の連続体の加工方法において、
前記連続体の周期的範囲内では、1周期毎に1つの前記加工情報が1つの前記構成要素に印字されるとともに、当該加工情報は、1周期毎に1つずつ順次付与される通し番号に対応する情報要素を含む
ことを特徴とする連続体の加工方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の連続体の加工方法において、
加工されるべき前記構成要素の隣に、加工されない前記構成要素が1つ以上連なっているときに、前記加工情報は、当該加工情報に基づいて加工されるべき前記構成要素の隣に連なる加工されない前記構成要素の数に関する情報を含む
ことを特徴とする連続体の加工方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の連続体の加工方法において、
前記加工情報は、不可視のインクを用いて印字される
ことを特徴とする連続体の加工方法。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れかに記載の連続体の加工方法において、
加工されるべき前記構成要素の隣に、加工されない前記構成要素が1つ以上連なっているときに、前記加工情報は、当該加工情報に基づいて加工されるべき構成要素の隣に連なる加工されない前記構成要素に印字される
ことを特徴とする連続体の加工方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の連続体の加工方法において、
前記連続体は連続紙であり、
前記加工情報は、前記構成要素に施されるカッティング加工に関する情報を含む
ことを特徴とする連続体の加工方法。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れかに記載の連続体の加工方法において、
内容が相違する複数の可変情報を、可変情報毎に1つ以上の前記構成要素に印字する可変情報印字工程を有する
ことを特徴とする連続体の加工方法。
【請求項10】
列をなして連なることにより1つの連続体を構成している複数の構成要素のうち少なくとも1つの構成要素に、加工されるべき構成要素を特定するための情報要素及び加工の内容に関する情報要素を含む加工情報を印字する加工情報印字部と、
前記構成要素の配列方向に沿って前記連続体を移動させることにより前記加工情報が印字された構成要素が読取位置に配置されたときに、前記読取位置の構成要素に印字された前記加工情報を読み取る読取部と、
前記構成要素の配列方向に沿って前記連続体を移動させることにより、前記加工情報に基づいて特定された前記構成要素が加工位置に配置されたときに、前記読取工程で読み取った加工情報に基づいて、前記加工位置の構成要素に対して加工を行う加工部と
を有することを特徴とする連続体の加工システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−247312(P2010−247312A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102372(P2009−102372)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】