説明

遊技機のガラス枠用施錠装置と該装置を有する遊技機用施錠装置

【課題】前枠の端部の上下中央位置におけるスペースを確保しつつ、不正解錠され難い遊技機のガラス枠用施錠装置を提供する。
【解決手段】前枠12に対して回動可能に取付けられたガラス枠13を施錠・解錠する遊技機のガラス枠用施錠装置2であって、外枠11に移動可能に取付けられるガラス枠用作動杆3aと、前枠12に移動可能に取付けられる一対のガラス枠用鉤部材3cと、ガラス枠13に固定される一対のガラス枠用受部材3dとを有している。ガラス枠用作動杆3aがシリンダ錠4の錠軸4aに連動するカム4bによってスライドし、ガラス枠用作動杆3aによって一対のガラス枠用鉤部材3cを移動させる構成になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の遊技盤が取付けられた前枠に対して回動可能に取付けられたガラス枠を施錠・解錠するガラス枠用施錠装置と、該装置に加えて前枠用施錠装置を有する遊技機用施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機のガラス枠用施錠装置は、従来例えば、外枠に移動可能に設けられる長尺状のガラス枠用作動杆と、前枠に設けられるガラス枠施錠具を有しており、ガラス枠施錠具によってガラス枠を前枠に施錠している(特許文献1)。そしてガラス枠用施錠装置は、シリンダ錠の錠軸に連動させてガラス枠用作動杆を移動させることでガラス枠施錠具を解錠する構成になっている。しかしガラス枠施錠具は、前枠の端部の上下中央位置を施錠する構成であって、中央位置のスペースを確保できず、しかも一箇所を施錠するために不正解錠の心配がある。
【特許文献1】特開2006−230696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明は、前枠の端部の上下中央位置におけるスペースを確保しつつ、不正解錠され難い遊技機のガラス枠用施錠装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を達成するために本発明は、各請求項に記載の通りの構成を備える施錠装置であることを特徴とする。すなわち請求項1に記載の発明によると、外枠に移動可能に取付けられるガラス枠用作動杆と、前枠に移動または傾動可能に取付けられる一対のガラス枠用鉤部材と、前記ガラス枠に固定されかつ前記各ガラス枠用鉤部材が掛け止められる一対のガラス枠用受部材とを有している。そしてガラス枠用作動杆がシリンダ錠の錠軸に連動するカムによってスライドし、ガラス枠用作動杆によって一対のガラス枠用鉤部材を移動または傾動させる構成になっている。
【0005】
したがって一対の鉤部材と受部材によってガラス枠を前枠に対して施錠する。そのため一対の鉤部材を前枠の上部と下部に設けることでガラス枠を前枠に対して安定良く施錠すると同時に、前枠の端部の上下中央位置におけるスペースを確保することができる。かくして遊技盤等の前枠への設置がしやすくなる。またガラス枠は、前枠に対して一対の鉤部材と受部材によって施錠されるために、一つのガラス枠施錠具によって施錠される従前のものに比べて不正解錠され難い。
【0006】
請求項2に記載の発明によると、ガラス枠に取付けられるシリンダ錠を有している。そしてガラス枠を前枠に対して閉じた位置とし、かつ前枠を外枠に対して閉じた位置とした状態において、シリンダ錠の錠軸を回動させて、錠軸に固定されたカムによってガラス枠用作動杆をスライドさせる構成になっている。ところでガラス枠は、遊技機の部品が多く装着される前枠や外枠に比べて取付けられる部品点数が少ない。そのためガラス枠にシリンダ錠を取付けやすく、そして前枠等には遊技機の部品を組付け易い。
【0007】
請求項3に記載の発明によると、ガラス枠用施錠装置と前枠用施錠装置を有している。前枠用施錠装置は、外枠に移動または傾動可能に取付けられる前枠用鉤部材と、前枠に固定されかつ鉤部材が掛け止められる前枠用受部材とを有している。そして前枠用受部材にガラス枠用鉤部材が移動または傾動可能に設けられ、これらが一体に前枠に取付けられる構成になっている。
【0008】
したがって前枠用施錠装置の一構成部品である前枠用受部材と、ガラス枠用施錠装置の一構成部品であるガラス枠用鉤部材とを一体に前枠に取付けることができる。そして本施錠装置は、従前にない構成部品から構成されているために、前枠用受部材とガラス枠用鉤部材が一体化され得る構成になっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態を図1〜7にしたがって説明する。施錠装置1は、図1に示すようにパチンコ機またはスロット機等の遊技機10に組付けられる。遊技機10は、外枠11と前枠12とガラス枠13を有している。
【0010】
外枠11は、図1に示すように矩形状であって、上下左右の枠部材11a〜11dと、下部前面を構成する幕板11eを有している。上下の枠部材11a,11bと幕板11eは、木製であり、左右の枠部材11c,11dは、金属製(例えばアルミニウム製)である。幕板11eの前面には、樹脂製の幕板飾り11fが取付けられる。前枠12は、樹脂製または木製であって中央部に開口窓12aを有し、図示省略の遊技盤が装着される。前枠12の左側上部と下部には、ヒンジ部材15が取付けられ、ヒンジ部材15が外枠11の左側上部と下部に設けられたヒンジ部材14に回動可能に取付けられる。したがって前枠12は、外枠11に対して開いた位置と閉じた位置との間で回動する。そして前枠12は、閉じた位置において前枠用施錠装置2によって施錠される。
【0011】
ガラス枠13は、図1に示すように樹脂製の枠体13aと、枠体13aの中央に取付けられたガラス板13bを有している。前枠12の左側の上部と下部には、ヒンジ部16が形成されており、ヒンジ部16が前枠12のヒンジ部材15に回動可能に取付けられる。したがってガラス枠13は、前枠12に対して開いた位置と閉じた位置との間で回動する。そしてガラス枠13は、閉じた位置にてガラス枠用施錠装置3によって施錠される。
【0012】
施錠装置1は、図1に示すように前枠用施錠装置2とガラス枠用施錠装置3とシリンダ錠4を有している。前枠用施錠装置2は、外枠11に装着される外枠施錠具1aの一部構成部品と、前枠12に装着される前枠施錠具1bの一部構成部品から構成される。これに対してガラス枠用施錠装置3は、外枠施錠具1aの一部構成部品と、前枠施錠具1bの一部構成部品と、ガラス枠13に装着されるガラス枠用受部材3dから構成される。
【0013】
外枠施錠具1aは、図2に示すように前枠用施錠装置2の構成部品として前枠用作動杆2aと一対の前枠用鉤部材2bを有している。そしてガラス枠用施錠装置3の構成部品としてガラス枠用作動杆3aを有している。外枠施錠具1aは、外枠11の枠部材11dの枠内側面に装着される補強枠部材11fを介して外枠11に取付けられる。前枠用鉤部材2bは、補強枠部材11fの上部と下部に傾動可能に取付けられる。前枠用鉤部材2bは、図3,4に示すように手前部に前枠用受部材2cに掛け止められる鉤部2b1を有しており、図2に示すように奥側部に連結片2b2を有している。連結片2b2は、前枠用作動杆2aの孔2a1に挿通され、前枠用作動杆2aに連結される。前枠用作動杆2aは、長尺状であって、補強枠部材11fに上下に移動可能に取付けられる。そして上下に移動することで一対の前枠用受部材2cを上下に傾動させる。
【0014】
前枠用作動杆2aには、図2に示すように手前側に張出す力受部2a2が形成されている。力受部2a2は、図4に示すシリンダ錠4の錠軸4aに固定されたカム4bの下側位置に張出しており、回動したカム4bによって下方に押され得る。前枠用作動杆2aとガラス枠用作動杆3aの間には、スプリング7が装着されており、スプリング7によって前枠用作動杆2aが上方に付勢されている。したがって前枠用作動杆2aは、力受部2a2が下方に押されることでスプリング7に抗して下方に移動し、一対の前枠用鉤部材2bを傾動させる。
【0015】
ガラス枠用作動杆3aは、図2に示すように長尺状であって、補強枠部材11fに上下動可能に取付けられる。ガラス枠用作動杆3aの上部と下部には、手前側に張出す力付与部3a1が設けられている。ガラス枠用作動杆3aの下寄り位置には、手前側に張出す力受部3a2が設けられている。力受部3a2は、図4に示すカム4bの上側位置に張出しており、回転したカム4bよって押し上げられ得る。したがってガラス枠用作動杆3aは、力受部3a2が押し上げられることで図2に示すスプリング7に抗して上方に移動し、力付与部3a1によってガラス枠用鉤部材3cを押し上げる。
【0016】
補強枠部材11fの枠内側面は、図2に示すように雄雌施錠装置5の雄部材5aが取付けられる。雄部材5aは、図4に示すようにシリンダ錠4に設けられた雌部材4cに挿入され、雌部材4cに設けられた抜止機構によって抜止される。そしてこの抜止機構は、シリンダ錠4の錠軸4aを回転させることで雄部材5aを解放する構成になっている。したがって雄雌施錠装置5は、前枠12を外枠11に対して閉じた位置にすることで施錠状態になり、シリンダ錠4の錠軸4aを回転させることで解錠状態になる。
【0017】
補強枠部材11fは、図2に示すように枠部材11dの枠内側面に取付けられ、補強枠部材11fと枠部材11dの間の上部と下部には、ボス部材11g,11hが固定される。そしてボス部材11g,11hは、図1に示している上下の枠部材11a,11bにほぞ嵌合される。
【0018】
前枠施錠具1bは、図5に示すように前枠用施錠装置2の構成部品である前枠用受部材2cと、ガラス枠用施錠装置3の構成部品であるガラス枠用鉤部材3cを一体に有している。前枠用受部材2cは、金属板製であって、前枠12の裏面に取付けられる取付板部2c1と、図3,4に示すように前枠用鉤部材2bが上方から掛け止められる掛受部2c2を有している。
【0019】
ガラス枠用鉤部材3cは、図5,6に示すように金属板製であって、取付板部3c1と鉤部3c2と力受片3c3を有している。取付板部3c1は、前枠用受部材2cの側面に上下動可能に取付けられる。鉤部3c2は、取付板部3c1の下側前端部から手前方向に突出して、前枠用受部材2cに形成された孔2c3に挿通される。力受片3c3は、取付板部3c1の下側後端部から奥側に張出しており、図3,4に示すようにガラス枠用作動杆3aの力付与部3a1の上側に位置し、力付与部3a1によって押上げられ得る。
【0020】
ガラス枠用鉤部材3cは、図3,4に示すようにガラス枠13を前枠12に対して閉じた位置にすることで、ガラス枠用受部材3dに形成された開口部3d1に突入する。そしてスプリング6の付勢力によってガラス枠用受部材3dに係止する。これによりガラス枠用施錠装置3は、施錠状態になる。そして前枠用施錠装置2と雄雌施錠装置5は、前枠12を外枠11に対して閉じた位置にすることで施錠状態になる。
【0021】
前枠用施錠装置2と雄雌施錠装置5を解錠させる場合は、先ずシリンダ錠4の鍵穴に鍵を挿入し、鍵を右に回す。これにより図4に示すように錠軸4aとともにカム4bが回動し、カム4bが前枠用作動杆2aを押下げる。その結果、図7に示すように前枠用作動杆2aによって前枠用鉤部材2bが傾動し、前枠用鉤部材2bが前枠用受部材2cから掛止解除され、前枠用施錠装置2が解錠状態になる。また同時に、雄雌施錠装置5も錠軸4aに連動して解錠状態になる。これにより前枠12が外枠11に対して解錠状態になる。
【0022】
ガラス枠用施錠装置3を解錠させる場合は、先ず、シリンダ錠4の鍵穴に鍵を挿入し、鍵を左に回す。これにより図3,4に示すように錠軸4aが回動してカム4bがガラス枠用作動杆3aを押上げる。その結果、ガラス枠用作動杆3aによって一対のガラス枠用鉤部材3cが上方に移動し、一対のガラス枠用鉤部材3cがガラス枠用受部材3dから掛止解除される。これによりガラス枠用施錠装置3が解錠状態になり、ガラス枠13を前枠12に対して開くことができる。
【0023】
以上のようにして実施の形態が形成されている。すなわちガラス枠用施錠装置3は、図3,4に示すように外枠11に取付けられるガラス枠用作動杆3aと、前枠12に取付けられる一対のガラス枠用鉤部材3cと、ガラス枠13に固定される一対のガラス枠用受部材3dとを有している。そしてガラス枠用作動杆3aがシリンダ錠4の錠軸4aに連動するカム4bによってスライドし、ガラス枠用作動杆3aによって一対のガラス枠用鉤部材3cを移動させる構成になっている。
【0024】
したがって一対の鉤部材3cと受部材3dによってガラス枠13を前枠12に対して施錠する。そのため一対の鉤部材3cを前枠12の上部と下部に設けることでガラス枠13を前枠12に対して安定良く施錠すると同時に、前枠12の端部の上下中央位置におけるスペースを確保することができる。かくして遊技盤等の前枠12への設置がしやすくなる。またガラス枠13は、前枠12に対して一対の鉤部材3cと受部材3dによって施錠されるために、一つのガラス枠施錠具によって施錠される従前のものに比べて不正解錠され難い。
【0025】
施錠装置1は、図4に示すようにガラス枠13に取付けられるシリンダ錠4を有している。ところでガラス枠13は、遊技機の部品が多く装着される前枠12や外枠11に比べて取付けられる部品点数が少ない。そのためガラス枠13にシリンダ錠4を取付けやすく、そして前枠12等には遊技機の部品を組付け易い。
【0026】
また図3,4に示すように前枠用施錠装置2の前枠用受部材2cと、ガラス枠用施錠装置3のガラス枠用鉤部材3cとが一体に前枠12に取付けられる構成になっている。したがってこれらを前枠12に対して容易に組付けることができる。そして施錠装置1は、従前にない構成部品から構成されているために、前枠用受部材2cとガラス枠用鉤部材3cとが一体化され得る構成になっている。
【0027】
(他の実施の形態)
本発明は、上記実施の形態に限定されず、以下の形態等であっても良い。
(1)例えば上記実施の形態のガラス枠用鉤部材3cは、前枠用受部材2cに対して上下に移動可能に取付けられる形態であった。しかしガラス枠用鉤部材が前枠用受部材に対して上下に傾動可能に取付けられる形態であっても良い。
(2)上記実施の形態の前枠用鉤部材2bは、外枠11に対して上下に傾動可能に取付けられる形態であった。しかし前枠用鉤部材が外枠に対して上下に移動可能に取付けられる形態であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】遊技機の分解斜視図である。
【図2】外枠施錠具の分解斜視図である。
【図3】施錠装置の一部斜視図である。
【図4】施錠装置の一部斜視図である。
【図5】前枠施錠具の分解斜視図である。
【図6】前枠施錠具の斜視図である。
【図7】施錠解錠状態を示す施錠装置の一部断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1・・・施錠装置
1a・・・外枠施錠具
1b・・・前枠施錠具
2・・・前枠用施錠装置
2a・・・前枠用作動杆
2b・・・前枠用鉤部材
2c・・・前枠用受部材
3・・・ガラス枠用施錠装置
3a・・・ガラス枠用作動杆
3c・・・ガラス枠用鉤部材
3d・・・ガラス枠用受部材
4・・・シリンダ錠
4a・・・錠軸
4b・・・カム
5・・・雄雌施錠装置
6,7・・・スプリング
10・・・遊技機
11・・・外枠
11f・・・補強枠部材
12・・・前枠
13・・・ガラス枠



【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の外枠に回動可能に取付けられた前枠に対して回動可能に取付けられたガラス枠を施錠・解錠する遊技機のガラス枠用施錠装置であって、
前記外枠に移動可能に取付けられるガラス枠用作動杆と、前記前枠に移動または傾動可能に取付けられる一対のガラス枠用鉤部材と、前記ガラス枠に固定されかつ前記各ガラス枠用鉤部材が掛け止められる一対のガラス枠用受部材とを有し、前記ガラス枠用作動杆がシリンダ錠の錠軸に連動するカムによってスライドし、前記ガラス枠用作動杆によって前記一対のガラス枠用鉤部材を移動または傾動させる構成になっていることを特徴とする遊技機のガラス枠用施錠装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガラス枠用施錠装置を有する遊技機用施錠装置であって、
ガラス枠に取付けられるシリンダ錠を有し、
前記ガラス枠を前枠に対して閉じた位置とし、かつ前記前枠を外枠に対して閉じた位置とした状態において、前記シリンダ錠の錠軸を回動させて、前記錠軸に固定されたカムによってガラス枠用作動杆をスライドさせる構成になっていることを特徴とする遊技機用施錠装置。
【請求項3】
請求項1に記載のガラス枠用施錠装置と、遊技機の外枠に回動可能に取付けられた前枠を施錠・解錠する前枠用施錠装置とを有する遊技機用施錠装置であって、
前記前枠用施錠装置は、前記外枠に移動または傾動可能に取付けられる前枠用鉤部材と、前記前枠に固定されかつ前記鉤部材が掛け止められる前枠用受部材とを有し、
前記前枠用受部材にガラス枠用鉤部材が移動または傾動可能に設けられ、これらが一体に前記前枠に取付けられる構成になっていることを特徴とする遊技機用施錠装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−284196(P2008−284196A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132677(P2007−132677)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(390005120)株式会社森創 (89)
【出願人】(301073990)株式会社キヤッツ (5)
【Fターム(参考)】