説明

遊技機の出荷補助装置

【課題】 トラックの荷台の高さが相違する場合でも適用可能で、遊技機の荷積み作業の負担を軽減し得る出荷補助装置を提供する。
【解決手段】 前後に延びるローラフレーム61fに複数のローラ61rを有するローラコンベア61と、ローラコンベアの下側に位置して前後に延びローラフレームと互いの後端側64で枢結されたベースフレーム62と、ローラコンベアの前端側に位置して配設されベースフレームに対してローラコンベアの前端側を昇降させるリフト機構65とからなり、出荷ベイに停車されたトラックTRの荷台に近接してローラコンベアの前端部を配置し、リフト機構65によりローラコンベア61の前端側を昇降させてローラコンベアを上下に揺動させることで、トラックの荷台の高さ位置に応じてローラコンベアの前端部の高さを調整可能に出荷補助装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機を出荷する際に用いられる出荷補助装置に関し、なお詳細には遊技機の出荷ラインの終端と出荷ベイに停車されたトラックの荷台との間に設置されて荷積みの際に用いられるローラコンベア形態の出荷補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やアレンジボール機、スロットマシンなどの遊技機は、射幸性等の特性に鑑みて出荷状態の厳格な管理が求められている。このため、組立が完了した遊技機は一旦パレットに積載された状態で製品倉庫に保管され、工場から遊技施設に出荷する出荷段階で製品倉庫から呼び出されて出荷ラインに搬送され、この出荷ラインにて証紙番号が印字された証紙の貼り付けや梱包等の最終出荷準備を行った後、このラインの終端に隣接して設けられた出荷ベイ(出荷ヤードとも称される)からトラックに荷積みされて出荷されるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−200236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、出荷ラインの終端からトラックの荷台までの搬送は作業者の手により行われており、上記のような遊技機が比較的大型で且つ重量物であることから、出荷ラインから次々に送り出されてくる遊技機をトラックに運搬する作業は、運搬距離が短いとはいえかなりの重労働であり、作業の改善が求められていた。
【0004】
ここで、出荷ラインの終端とトラックの荷台との間に、コンベアなどの出荷補助装置を配置して遊技機運搬作業の軽減を図ることが考案される。しかしながら、トラックの荷台の高さはトラックの車種や型式によって様々であり、この高さ位置を特定することが困難である。このため、単に出荷ラインの終端とトラックの荷台との間に出荷補助装置を配置しても、多くの場合に出荷補助装置の前端とトラックの荷台との間に段差が生じ、この段差部で作業者が遊技機を持ち上げて荷台に載せなければならないという問題があった。
【0005】
また、遊技機の出荷ラインは出荷効率を向上させる観点から複数列平行して設けられており、荷積みされるトラックも出荷ベイに左右に並んで停車される。従って、出荷ラインの終端とトラックの荷台との間を結ぶ出荷補助装置は、各出荷ラインの出荷補助装置が隣接して配設されることを前提として幅方向の寸法にも制限を受ける。このため、ローラコンベアから左右方向に張り出すような機構を配設することが難しいという課題があった。
【0006】
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、トラックの荷台の高さが相違する場合であっても適用可能な出荷補助装置を提案し、遊技機の荷積み作業の負担を軽減して効率的な荷積み作業を行い得る出荷補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的達成のため、本発明は、前後方向に延びるローラフレームに複数のローラを有するローラコンベアと、ローラコンベアの下側に位置して前後方向に延びローラフレームと互いの後端側で枢結されたベースフレームと、ローラコンベアの前端側に位置して配設されベースフレームに対してローラコンベアの前端側を昇降させるリフト機構とからなり、出荷ベイに停車されたトラックの荷台に近接してローラコンベアの前端部を配置し、リフト機構によりベースフレームに対してローラコンベアの前端側を昇降させてローラコンベアを上下に揺動させることで、トラックの荷台の高さ位置に応じてローラコンベアの前端部の高さを調整可能にして出荷補助装置を構成する。なお、ローラコンベアは、複数のローラと、これらの複数のローラを前後方向に並列に並べて支持するローラフレームと、複数のローラを各ローラの軸まわりに回転させるローラ駆動源とを有し、ローラ駆動源により複数のローラを回転させて後端側のローラ上に載置された遊技機を前端側に搬送するように構成する。
【0008】
上記リフト機構は、ベースフレームからローラコンベアの側部を通って上方に延びる脚部及びこの脚部の上部に設けられてローラコンベアの上方に位置する天板からなるサブフレームと、天板に配設されてローラコンベアの前端側を吊り上げる吊り上げ機構とからなり、吊り上げ機構によりローラコンベアの前端側を吊り上げて昇降させることでベースフレームに対してローラコンベアを上下に揺動させるように構成することが好ましい。
【0009】
また、ローラフレームとベースフレームとの枢結部を、ローラコンベアにおける後端位置のローラの回転軸に近接して配置することが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
上記構成の出荷補助装置は、ローラコンベアと、その下側に位置して互いの後端側で枢結されたベースフレームと、ローラコンベアの前端側に位置して配設されベースフレームに対してローラコンベアの前端側を昇降させるリフト機構とからなり、出荷ベイに停車されたトラックの荷台に近接してローラコンベアの前端部を配置し、リフト機構によりローラコンベアの前端側を昇降させてローラコンベアを上下に揺動させることで、トラックの荷台の高さ位置に応じてローラコンベアの前端部の高さを調整可能に構成される。このため、配車されるトラックの車種や形式が相違して荷台高さが様々であっても、出荷ベイに停車されたトラックの荷台の高さ位置に合わせてローラコンベアの前端部を昇降させることで、ローラコンベアの前端と荷台との段差をなくすことができ、荷積み作業の負担を軽減することができる。
【0011】
また、リフト機構を、ローラコンベアの側部を通って上方に延びる脚部及びその上部に設けられてローラコンベアの上方に位置する天板からなるサブフレームと、天板に配設されてローラコンベアの前端側を吊り上げる吊り上げ機構とから構成し、吊り上げ機構によりローラコンベアの前端側を吊り上げて昇降させるような構成によれば、吊り上げ機構がローラコンベアの上方に配設されるため、ローラコンベアの前端側を昇降させる駆動機構がローラフレームから左右側方に突出するようなことがない。このため、出荷補助装置の設置面積をローラコンベア単体から殆ど拡大することなく高さ調整機構を設けることができ、これにより、並列に設けられた出荷ラインの配設ピッチが比較的狭い遊技機工場や、出荷ラインの終端が集合されているような遊技機工場であっても出荷補助装置を隣接して配設することができる。
【0012】
さらに、ローラフレームとベースフレームとの枢結部を、ローラコンベアにおける後端位置のローラの回転軸に近接して配置する構成によれば、リフト機構によりローラコンベアの前端側を昇降させてローラコンベアを上下に揺動させても、後端位置のローラの配設位置が殆ど変化しない。すなわち、ローラコンベアの前端部の高さをトラックの荷台の高さ位置に合わせて昇降させても、出荷ラインの終端と連絡されるローラコンベア後端のローラの位置が変化せず、この連絡部で段差を生じることがない。従って、ローラコンベア前端側の昇降に伴う高さのズレを補正するためのアジャスト機構を後端側に設ける必要がなく、簡明な構成で、ローラコンベアの前後端部で段差の生じない出荷補助装置を構成して、荷積み作業の負担をさらに軽減することができる。
【0013】
従って、本発明の出荷補助装置によれば、トラックの荷台の高さが相違する場合であっても適用可能であり、遊技機の荷積み作業の負担を軽減して効率的な荷積み作業を行える出荷補助装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照しながら説明する。図1に製品倉庫10に一時保管されたパチンコ機等の遊技機が出荷ラインを経てトラックTRに積み込まれるまでの工程を模式的に示すとともに、図2に全体的な配置をレイアウト図として示しており、まずこれらの図面を参照して出荷工程の全体的な流れについて概要説明する。
【0015】
加工・組立工程を経て組み上げられたパチンコ機PMは、一枚当たり15台程度のパチンコ機を位置決めして積載可能なパレット12に積載され、当該パレット12に積載されたパチンコ機PMの機種及び台数が特定されたうえで、図示省略する入庫口側から搬入されて製品倉庫10に保管される。製品倉庫10内には棚の番地が特定された保管棚11が多数設けられており、各保管棚11にそれぞれパチンコ機PMを搭載したパレット12が保管されるようになっている。保管棚11へのパレット12の搬入および搬出は、棚位置情報に基づいて管理されており、自動搬入搬出装置(図示せず)により搬入・搬出が行われる。
【0016】
製品倉庫10に隣接して出庫口側に搬送レール14が設けられ、この搬送レール14を挟んで6列の出荷ライン20が設けられている。搬送レール14は製品倉庫10と出荷ライン20との間にループ状に形成され、6列の出荷ライン20に対応して6箇所の出庫ステーション15が設けられている。6列の出荷ラインは各2列ずつ隣接して設けられており、隣接する左右2箇所の出庫ステーション15,15の間に搬送ロボット18が各1台、合計で3台配設されている。
【0017】
出荷予定に基づいて出荷ライン20から指令信号(遊技機搬送要求)が出されると、自動搬入搬出装置が棚位置情報に基づいて製品倉庫の保管棚11から該当する機種のパチンコ機が積載されたパレット12を引き出して搬送レール14上に搬出し、搬送レール14上に搬出されたパレット12が出荷指令に応じた出荷ライン20の左右いずれかの出庫ステーション15に搬送される。パレット12が出庫ステーション15に停止されると、搬送ロボット18によりパレット12上のパチンコ機PMが一台ずつ取り上げられ、出荷ライン20の前段部に設けられた待機ステージ21に搬送される。
【0018】
各出荷ライン20は、待機ステージ21、証紙貼付ステージ22、梱包ステージ23、出荷ラベル貼付ステージ24などからなり、搬送ロボット18によって待機ステージ21に搬送されたパチンコ機PMが、このラインに設けられた搬送機構25により順次待機ステージ21から証紙貼付ステージ22に送られて証紙が貼り付けられ、梱包ステージ23において樹脂シートで包装され、出荷ラベル貼付ステージ24において出荷ラベルが貼付される。出荷ライン20の終端には出荷補助装置60が配置され、出荷ラベルが貼付されたパチンコ機PMが出荷補助装置を利用して出荷ベイEXBに停車されたトラックTRに積み込まれて納入先に出荷される。上述したように出荷ラインは6列設けられており、出荷予定に応じて6列の出荷ラインで並行して出荷作業が行えるように構成されている。
【0019】
以上のように概要構成される出荷システムにおいて、まず、出庫ステーション15に搬出されたパレット12から、搬送ロボット18がパチンコ機PMを取り上げて出荷ライン20に搬送する出荷搬送システムについて、図3〜図6を参照しながら以下詳細に説明する。ここで、図3は隣接する2列の出荷ライン20を部分的に拡大して示すレイアウト図、図4はこの出荷搬送システムにおけるパチンコ機PMの搬送状況を模式的に示す説明図、図5は出荷搬送システムにおける分配制御の概要を示すフローチャート、図6は出荷搬送システムの作動状況を例示するタイミングチャートである。
【0020】
概要説明したように、6列の出荷ライン20は各2列ずつ隣接して設けられ、隣接する左右2箇所の出庫ステーション15,15の間に搬送ロボット18が各1台、合計3台配設されている。すなわち3台の搬送ロボット18は、各ロボットがそれぞれ2列の出荷ライン20,20を受け持ち、これら2列の出荷ラインに対してパチンコ機PMを搬送する。
【0021】
ここで、出庫ステーション15が出荷ライン20に対応して設けられていることから、出庫ステーション15(便宜的に、Aステーション15A、Bステーション15Bとする)に搬送されたパレット12から出荷ライン20(同様に、Aライン20A、Bライン20Bとする)にパチンコ機を搬送する手段として、出庫ステーション15と出荷ライン20とを直接的に対応させて、Aステーション15A→Aライン20A、Bステーション15B→Bライン20Bのように搬送パターンを1:1対応に設定することも可能である。
【0022】
しかしながら、出荷対象のパチンコ機PMは、パレット12に積載された状態で製品倉庫の保管棚11に保管されており、出荷指令が出されてから出庫ステーション15まで搬送される間に所定の搬送時間が必要である。また出庫ステーション15へのパレット搬送は、重複出庫を防止するため空きパレットが元の棚位置に格納された後に開始されるように設定されており、空きパレットの回収にも所定の回収時間を要する。従って、同一機種のパチンコ機PMをA,B両方のラインから出荷するような場合には、パレット12の搬送時間や回収時間等を考慮すると、例えばBステーション15Bに対するパレットの搬送中(若しくは回収中)に、Aステーション15Aに位置するパレット上のパチンコ機をAライン20AとBライン20Bとに分割して搬送し、A,B両ラインで並行して出荷処理することが効率的である。
【0023】
そこで、本出荷搬送システムでは、同一機種のパチンコ機PMをAライン20AとBライン20Bの両方から出荷する場合の基本構成として、出庫ステーション15Aまたは15Bにパレット12が搬送されてきたときに、パレット上のパチンコ機をAライン20AとBライン20Bとに分割して交互に搬送し、A,B両ラインで並行して出荷処理するように構成される。
【0024】
一方、出荷ラインの証紙貼付ステージ22は、遊技盤前面側に証紙台紙と第1号証紙とを貼り付ける第1号証紙貼付工程、前枠裏側の所定位置に第2号証紙を貼り付ける第2号証紙貼付工程、及び貼付された第1号証紙及び第2号証紙の証紙番号と納入先との照合を行う照合工程からなり、このステージ22に受け入れられたパチンコ機PMが順次次工程に送られ、照合工程で照合作業が完了したパチンコ機が1台ずつ次の梱包ステージ23に送り出される。証紙貼付ステージ22では、遊技機管理機関から発行され個別の証紙番号が印字された第1号及び第2号証紙を取り扱うことから厳格な管理が必要とされ、各工程の作業が作業者によって行われる。このため、A,B二つのラインの処理効率は同一ではなく、処理効率(処理速度)に相対的な高低差が生じるとともに、A,Bいずれかの出荷ラインで証紙の貼り直し作業などが発生して当該出荷ラインの出荷作業が停滞する状況も発生し得る。
【0025】
このような場合に、A,B両ラインの作業の進捗に拘わらず、Aライン20AとBライン20Bとにパチンコ機PMを交互に搬送するように構成された出荷搬送システムでは、相対的に処理効率が低い出荷ライン、例えばBライン20Bの作業の遅れにより当該Bラインへのパチンコ機の搬送が停滞する(搬送待機状態となる)一方、相対的に処理効率が高いAライン20Aでは、Bライン20Bへのパチンコ機の搬送の停滞に伴って搬送されるべきパチンコ機が到達しないため無駄な待ち時間が生じる。またA,Bいずれかの出荷ライン、例えばAライン20Aで出荷作業を中断しなければならないようなトラブルが発生すると、一度A,Bラインの出荷搬送システムの作動を停止させてAライン20Aを搬送先から外す処理を行わないと、Bライン20Bへの搬送処理までが待機状態のままとなって、実質的に搬送システムが停止状態になる事態が発生する。
【0026】
そこで、本工場における出荷搬送システムでは、各出荷ライン20の前段部に搬送ロボット18により搬送されてきたパチンコ機PMを受容して、出荷ライン20の作業の進捗によりパチンコ機が順次処理されるまで一時的に待機させる待機ステージ21を設けるとともに、搬送ロボット18が、待機ステージ21の在荷状況に応じて待機ステージが空いている出荷ラインへの搬送を優先して行うようにシステム構成している。
【0027】
すなわち、Aライン20AとBライン20Bにパチンコ機を振り分けて搬送する構成において、交互に振り分けるとすれば本来的にはAラインに搬送する順番であったとしても、このAライン20Aの出荷処理の遅延等によりAラインの待機ステージ21Aにパチンコ機PMを受容すべき空きがなく、Bライン20Bの待機ステージ21Bに空きがある場合には、搬送ロボットはBライン20Bへの搬送を優先して実行し、Bライン20Bへの搬送処理終了後に、再びAラインの待機ステージ21Aの空き状況及びBラインの待機ステージ21Bの空き状況に応じて搬送処理を行う。
【0028】
具体的には、待機ステージ21(21A,21B)は、複数台のパチンコ機、例えば各図に示すように3台のパチンコ機PMを並列に待機保持可能な載荷台を有するとともに、証紙貼付ライン22の入り口に待機保持されたパチンコ機が証紙貼付ステージ22に取り込まれたときに、載荷台上のパチンコ機を順に証紙貼付ライン22の入り口側に移動させる順送機構、及び載荷台上のパチンコ機の在荷状況を検出する在荷検出器(例えば光電センサやリミットスイッチ等の検出器)が設けられている。在荷検出器の検出信号は出荷搬送システムの制御装置に入力されている。
【0029】
そして、証紙貼付ステージ22における照合工程を完了したパチンコ機が梱包ステージ23に送り出され、証紙貼付ステージ22内のパチンコ機が順次ステージ内の次工程に送られて、証紙貼付ライン22の入り口位置に待機保持されたパチンコ機が証紙台紙及び第1号証紙の貼付工程に取り込まれると、載荷台上に残ったパチンコ機が順送機構により順に証紙貼付ライン22の入り口側に移動され、この入り口と反対側の載荷台上にパチンコ機PMを載置可能な空きが形成される。載荷台上のパチンコ機の在荷状況は在荷検出器により検出されて出荷搬送システムの搬送制御装置に入力されており、搬送制御装置は在荷検出器から入力されるA,B両ラインの在荷状況に応じて待機ステージ21が空いている出荷ラインへの搬送を優先して行う。
【0030】
この搬送制御のフローチャートを図5に示すように、ステップS1で出荷ライン20から遊技機の搬送要求が入力されると、ステップS5で搬送要求があった出荷ライン20の出荷形態を出荷マスターに照会して読込み、ステップS10で出荷ライン20A,20Bが同一機種の並行出荷であるか否かを判断する。そして、同一機種並行出荷である場合にステップS20に進んで分配搬送の出荷搬送処理(本搬送システムの出荷搬送処理)が実行され、それ以外の場合(例えば異機種並行出荷や単一ライン出荷)であるにはステップS12に進んで他の出荷搬送処理(例えば前述した1:1対応の出荷搬送処理)が実行される。
【0031】
ステップS20では、Aラインの待機ステージ21Aにパチンコ機を載置可能な空きが有るか否かを待機ステージ21Aの在荷検出器からの入力信号に基づいて判断し、空きが有ると判断されるときにステップS21でAライン空きフラグF1をオンとしてステップS30に進み、空きが無いと判断されるときにステップS22でAライン空きフラグF1をオフにしてステップS30に進む。ステップS30ではBラインの待機ステージ21Bにパチンコ機を載置可能な空きが有るか否かを待機ステージ21Bの在荷検出器からの入力信号に基づいて判断し、空きが有ると判断されるときにステップS31でBライン空きフラグF2をオンとしてステップS40に進み、空きが無いと判断されるときにステップS32でBライン空きフラグF2をオフにしてステップS40に進む。
【0032】
ステップS40では、ステップS21,S22で立てられたAライン空きフラグF1と、ステップS31,S32で立てられたBライン空きフラグF2が、ともにオンであるか否かが判断される。そして、ステップS40においてフラグF1及びF2がともにオンであると判断される場合にはステップS41に進み、それ以外である場合にステップS45に進む。
【0033】
ステップS40においてフラグF1及びF2がともにオンであると判断される場合、すなわちAラインの待機ステージ21AとBラインの待機ステージ21Bの両方に空きがある場合には、ステップS41において基本的な2ライン交互供給の処理が行われる。具体的には、A,Bラインに交互にパチンコ機を搬送するように搬送ロボット18の作動が制御され、搬送すべき順番の出荷ラインの待機ステージ(例えば21A)にパレット12からパチンコ機が搬送される。そして、ステップS60でパレット12が空か否かを判断し、空でないと判断される場合にはステップS15に戻ってステップS20以降の処理が繰り返し行われ、パレット12が空になったと判断される場合には当該パレット12についての搬送処理を終了する。
【0034】
一方、ステップS40においてフラグF1及びF2がともにオンであると判断される場合以外のときには、ステップS45においてフラグF1及びF2がともにオフであるか否かが判断され、ともにオフであると判断される場合にステップS47に、そうでない場合にステップS50に進む。
【0035】
ステップS45においてフラグF1及びF2がともにオフであると判断される場合とは、Aラインの待機ステージ21AとBラインの待機ステージ21Bの両方とも空きがない状態(満杯状態)のときであり、この場合ステップS47において供給待機処理が行われ、例えばタイマー手段により設定した一定の待機時間の経過後に、ステップS15に戻ってステップS20以降の処理が繰り返し行われる。
【0036】
ステップS50では、Aライン空きフラグF1がオンであるか否かが判断される。このステップS50の判断処理に入るのは、フラグF1及びF2がともにオン(両方の待機ステージにともに空きがある)またはともにオフ(両方の待機ステージがともに満杯である)以外の場合、具体的にはA,Bいずれか一方の待機ステージにのみ空きがある場合である。そしてフラグF1がオンの場合とは、Aラインの待機ステージ21Aだけに空きがあり、フラグF1がオンでない場合とはBラインの待機ステージ21Bだけに空きがあることを意味する。
【0037】
そこで、ステップS50においてAライン空きフラグF1がオンであると判断される場合にはステップS51に進んでAライン20Aへの優先供給処理が行われ、ステップS50においてAライン空きフラグF1がオンでないと判断される場合にはステップS52に進んでBライン20Bへの優先供給処理が行われる。
【0038】
例えば、ステップS51のAライン優先供給処理では、交互供給するとすれば何れのラインに供給する順番であるかに拘わらず、Aライン20Aに優先的にパチンコ機PMを供給するように搬送ロボット18の作動が制御され、パレット12からAラインの待機ステージ21Aにパチンコ機PMが搬送される。ステップS52のBライン優先供給処理についても同様である。そして、ステップS60でパレット12が空か否かを判断し、空でないと判断される場合にはステップS15に戻ってステップS20以降の処理が繰り返し行われ、パレット12が空になったと判断される場合には当該パレット12についての搬送処理を終了する。
【0039】
なおパレット12が空であるか否かの判断手段としては、例えば、棚位置情報を利用して、パレット12に積載されていたパチンコ機PMの台数から既に待機ステージに搬送したパチンコ機の台数を減算処理して残存数量がゼロであるか否かを判断する手段、パレット12またはステーション15にパチンコ機PMの検出手段を設けてパレット上にパチンコ機が積載されているか否かを判断する手段などがあり、何れの手段を用いても良い。
【0040】
図6は、この制御フローに基づく搬送制御のタイミングチャートを例示したものであり、図6上段から順に、(a)Aラインの待機ステージ21Aの空き状況を表すフラグF1の状態、(b)Bラインの待機ステージ21Bの空き状況を表すフラグF2の状態、(c)搬送ロボット18のAライン20Aへの供給作動、(d)搬送ロボット18のBライン20Bへの供給作動の各状態を示している。
【0041】
図6における時間領域Iは、Aライン20Aにおける出荷作業と、Bライン20Bにおける出荷作業とがともに順調に推移している場合の状況を示しており、出荷搬送システムでは、搬送処理判断(ステップS40)の判断時である時刻t1,t2,t3においてAラインの(待機ステージ21Aの)空き状況を示すフラグF1、及びBラインの(待機ステージ21Bの)空き状況を示すフラグF2がともにオンであることから、2ライン交互供給処理(ステップS41)が実行され、搬送ロボット18はパチンコ機PMをAライン20AとBライン20Bとに交互に供給するように制御され、パレット12上のパチンコ機PMが待機ステージ21A,21Bに交互に搬送される。
【0042】
時間領域IIは、Bライン20Bにおける出荷作業に遅れが生じた場合の状況を示しており、搬送処理判断の時刻t4では、Aラインの空き状況を示すフラグF1がオン、Bラインの空き状況を示すフラグF2がオフである。このため出荷搬送システムではAライン優先処理(ステップS51)が実行され、搬送ロボット18はパチンコ機PMをAライン20Aに優先的に供給するように制御され、パレット12上のパチンコ機PMがAラインの待機ステージ21Aに搬送される。なお、この段階では、交互に搬送したとしてもAライン20Aに供給する順番であるため、表面的には2ライン交互供給処理を行った場合と同様になる。
【0043】
ところが時刻t5においても、Aラインの空き状況を示すフラグF1がオン、Bラインの空き状況を示すフラグF2がオフである。このため交互搬送した場合にはBラインにパチンコ機が供給される順番であるが、出荷搬送システムでは再びAライン優先処理(ステップS51)が実行されて搬送ロボット18はパチンコ機PMをAライン20Aに優先的に供給するように制御され、パレット12上のパチンコ機PMがAラインの待機ステージ21Aに搬送される。
【0044】
時間領域IIIは、Aライン20Aにトラブルが発生した場合の状況を示しており、搬送処理判断の時刻t6、t7、t8…において、何れもAラインの空き状況を示すフラグF1がオフ、Bラインの空き状況を示すフラグF2がオンである。このため出荷搬送システムではBライン優先処理(ステップS52)が実行され、搬送ロボット18はパチンコ機PMをBライン20Bに優先的に供給するように制御され、パレット12上のパチンコ機PMがBラインの待機ステージ21Bに繰り返して断続的に搬送される。
【0045】
このように、以上説明した出荷搬送システムによれば、複数の出荷ラインのいずれかに他の出荷ラインよりも処理効率が低いラインがあり、あるいはいずれかのラインでトラブルが発生したとしても、これらの状況に迅速且つ柔軟に対応して適切な搬送処理を行うことができ、これにより出荷システム全体の出荷処理効率を向上させることができる。
【0046】
さて、こうしてパレット12から待機ステージ21に搬送されたパチンコ機PMが、出荷ライン20の進捗に応じて順次証紙貼付ステージ22に取り込まれ、このステージ内の第1号証紙貼付工程において遊技盤前面の所定位置に証紙台紙と第1号証紙が貼付され、第2号証紙貼付工程において前枠裏側の所定位置に第2号証紙が貼り付けられ、照合工程において第1号証紙及び第2号証紙の証紙番号と納入先との照合が行われる。照合工程での照合作業が完了したパチンコ機PMは、搬送機構25により梱包ステージ23に送り出される。
【0047】
梱包ステージ23には、自動梱包装置23Mが設けられており、証紙が貼り付けられたパチンコ機PMがこの梱包ステージ23で自動的に包装される。図7〜図9に自動梱包装置を示すとともに、図10及び図11に自動梱包装置による包装過程を示しており、まずこれらの図面を参照しながら自動梱包装置23Mについて説明する。ここで、図7は自動梱包装置23Mの正面図、図8は自動梱包装置23Mの平面図、図9は自動梱包装置における包装装置本体の後面側機構部を拡大して示す正面図、図10及び図11は自動梱包装置23Mによるパチンコ機PMの包装過程を段階的に示す説明図である。なお梱包ステージ23の説明に当たっては、図7に示す正面図の姿勢を持って前後左右及び上下と称し、図7中に座標軸を付記するように、左右方向をX軸、上下方向をZ軸、(紙面直交の前後方向をY軸)と規定して説明する。
【0048】
自動梱包装置23Mは、搬送機構25により梱包ステージ23に搬入されたパチンコ機PMを受け入れて基準位置に位置決め停止させる導入機構26、基準位置に位置決め停止されたパチンコ機を把持し包装装置本体に対して相対移動させるハンドリングロボット30、ハンドリングロボット30により移動されるパチンコ機を樹脂シートで包装する包装装置本体40などからなり、このステージの基盤となるステージベース27に一体的に組付けられている。
【0049】
導入機構26は、ローラ内部にモータが組み込まれた回転ローラ(いわゆるモータローラ)を複数備えたローラコンベア26aを主体とし、ローラコンベア26aの上面には、パチンコ機PMの前後方向幅よりもわずかに広めの間隔をおいてガイドプレートが取り付けられるとともに、ローラにより導入されたパチンコ機の右端下部を当接支持してパチンコ機を基準位置に係止する突き当て突起(不図示)と、パチンコ機が基準位置に配設されたか否かを検出する導入検出器26cが設けられている。
【0050】
ローラコンベア26aは、搬送機構25と連絡して設けられており、搬送機構25から梱包ステージ23に導入されたパチンコ機PMが、前後のガイドプレートに案内されながら回転ローラにより導入されて、自動梱包装置23Mにおける基準位置に位置決め停止されるようになっている。導入検出器26cの信号は出荷搬送システムにおいて自動梱包装置の作動を制御する梱包制御装置(不図示)に入力されている。
【0051】
ハンドリングロボット30は、ステージベース27に立設されたフレーム31と、このフレーム31の上部に左右方向(X軸方向)にスライド移動可能に配設されたX軸キャレッジ32、X軸キャレッジ32に上下(Z軸方向)にスライド移動可能に配設されたZ軸キャレッジ33、Z軸キャレッジ33に設けられてパチンコ機PMの外枠を左右から挟み込んで係止する左右一対のクランプ35,35などからなり、クランプにより挟み込んで把持したパチンコ機PMを持ち上げて移動させる。
【0052】
X軸キャレッジ32は、フレーム上部に左右に延びて形成されたキャレッジベース31bに、スライドレールとリニアベアリングとからなるスライドガイドを介して左右にスライド変位自在に配設され、スライドレールと平行に設けられたボールネジ及びこのボールネジを回転駆動するステッピングモータにより左右方向にスライド移動可能に配設される。そして、ステッピングモータの回転を制御することでX軸キャレッジ32を左右に移動させ、また任意のX軸方向位置で停止させることができる。
【0053】
Z軸キャレッジ33は、上記同様のスライドガイドを介してX軸キャレッジに上下にスライド変位自在に配設される一方、キャレッジの駆動機構はチェーンを用いて構成される。すなわち、軸端に駆動スプロケットが固定されたステッピングモータをX軸キャレッジ32の上部に設け、X軸キャレッジ32の下部に従動スプロケットを設けて、上下のスプロケット間にチェーンを巻き掛けるとともに、チェーンの中間部をZ軸キャレッジ33に固定してZ軸キャレッジの駆動機構を構成する。これによりステッピングモータの回転を制御することでZ軸キャレッジ33を上下に昇降させ、任意のZ軸方向位置に停止させることができる。
【0054】
クランプ35は、鉛直面内に揺動可能に枢支されたクランプアーム35aと、このクランプアーム35aを揺動させるシリンダ(以下「クランプシリンダ」という)35sとを主体として構成され、Z軸キャレッジ33の左右に対向して一対設けられている。クランプアーム35aの先端側には、木材を主体とする外枠に食い込むように先端が尖った係止ピンが各複数設けられており、左右のクランプシリンダ35sにエアを供給して伸長作動させたときに、クランプアーム35aがそれぞれ内側に揺動して外枠を左右から挟み込み、複数の係止ピンが外枠に食い込んでパチンコ機PMを持ち上げ支持可能になっている。
【0055】
ハンドリングロボット30の作動は出荷搬送システムの梱包制御装置により制御され、クランプシリンダ35sへのエアの供給を制御することでクランプ35の開閉作動が制御され、X軸及びZ軸のステッピングモータの回転を制御することでX軸キャレッジ32及びZ軸キャレッジ33の移動が制御されて、クランプ35に把持されたパチンコ機の包装装置本体40に対する移動が制御される。ハンドリングロボット30は、常にはクランプ35が基準位置のパチンコ機よりも幾分上方となる待機位置に配置され、左右のクランプアームがともに開いた状態で待機される。
【0056】
一方、包装装置本体40は、パチンコ機PMの前面側を覆う第1シートの供給機構が設けられた前面側機構部40aと、パチンコ機の後面側を覆う第2シートの供給機構が設けられた後面側機構部40bとからなり、基本的には、ハンドリングロボット30によって移動されるパチンコ機PMの移動平面(X−Z平面)を挟んで前後対称に構成される。
【0057】
すなわち、前面側機構部40a及び後面側機構部40bは、それぞれパチンコ機の前面側を覆うための長尺状の第1シート41が巻かれた第1梱包ロール41r、及びパチンコ機の後面側を覆うための長尺状の第2シート42が巻かれた第2梱包ロール42rを対峙させて回動可能に支持し、各梱包ロールから引き出された第1シート及び第2シートを繰り出し自在に配設するロール保持部43、第1梱包ロールから繰り出された第1シート41と第2梱包ロールから繰り出された第2シート42とを重ね合わせて挟み込みシートを溶着及び切断する溶着切断ユニット45、及び側部溶着ユニット46などからなり、ステージベース27に立設された機構フレーム47に設けられている。
【0058】
ロール保持部43は、前後の機構フレーム47の各外側に位置して上下中間部に設けられ各梱包ロール41r,42rを回動可能に支持するロールホルダ43hと、機構フレーム47の上部に回動自在に設けられた各2本のガイドローラ43gなどから構成される。ロールホルダ43hは、各梱包ロールの芯を貫通支持するとともに、支持された梱包ロールが空回りしないように一定のフリクションを発生させるように構成されており、各梱包ロールから引き出されたシート41,42が、ガイドローラ43gによりそれぞれ上部中央に導かれて溶着切断ユニット45の前方に垂設され、シート先端側に作用する引っ張り力に応じて繰り出されるようになっている。
【0059】
なお、第1シート41、第2シート42は、熱可塑性樹脂のシートであり、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)、塩化ビニール(PVC)等の熱可塑性樹脂材料に帯電防止剤を混練して薄いフィルム状のシートに加工成形し、これを所定長さ巻き取った梱包ロールとして供給される。第1シート、第2シートは前後共通のシートを用いることができる他、例えば、パチンコ機前面側の第1シート41に透明な素材を用い後面側の第2シート42に半透明若しくは不透明の素材を用いたり、第2シート42に導電性の素材を用いたり、その他目的に応じて適宜なシート素材を用いることが可能である。
【0060】
溶着切断ユニット45は、中央寄りのガイドローラの直下に位置して設けられ左右方向(シートの幅方向)に延びるヒータホルダ45hと、このヒータホルダ45hを前後方向に駆動するユニット駆動機構とからなり、ヒータホルダ45hを機構フレーム47に対して前後に移動可能に構成される。
【0061】
溶着切断ユニットのヒータホルダ45hは、詳細図示を省略するが、それぞれ左右方向に細長く延びる上下5段のホルダプレートを有し、各ホルダプレートが上下方向にそれぞれ所定の間隔をおいて平行に配設されるとともに、第1,第3,第5段のホルダープレートが連結されて第1ホルダアッセンブリを形成し、第2,第4段のホルダプレートが連結されて第2ホルダアッセンブリを形成する。
【0062】
ユニット駆動機構は、上記二つのアッセンブリに対応して上下2段の構成になっており、第1ホルダアッセンブリと第2ホルダアッセンブリとが、それぞれスライドシャフトとリニアブッシュとからなる直動ガイド45gを介して機構フレーム47に前後方向にスライド変位自在に取り付けられ、各アッセンブリと機構フレーム47との間に張られたシリンダ45sを伸縮作動させることにより、それぞれ独立して前後にスライド移動可能に配設される。なお、以下では第1ホルダアッセンブリのシリンダを「上部第1シリンダ」、第2ホルダアッセンブリのシリンダを「上部第2シリンダ」という。
【0063】
ヒータホルダ45hには、第1シート及び第2シートを重ね合わせた状態で保持するためのシート押さえ45hoと、重ね合わされた第1シート41と第2シート42とを溶着させるための溶着ヒータ45hwと、第1シート及び第2シートを切断するための切断ヒータ45hcとが設けられる。このうち、シート押さえ45hoと切断ヒータ45hcが第1ホルダアッセンブリに設けられており、第1段及び第5段のホルダープレートにシート押さえ45hoが、第3段のホルダープレートに切断ヒータ45hcが、それぞれプレート端面に沿って配設されている。また溶着ヒータ45hwは第2ホルダアッセンブリに設けられており、第2段及び第4段のホルダープレートの端面に沿って各1本の溶着ヒータ45hwが配設されている。
【0064】
すなわち、ヒータホルダ45hは、中央(第3段)に切断ヒータ45hc、その上下(第2段及び第4段)に溶着ヒータ45hw、さらにその上下(第1段及び第5段)にシート押さえ45hoが設けられた5段構成で、上下2本の溶着ヒータ45hwとその中間に位置する切断ヒータ45hcとが独立して前後に移動可能になっている。
【0065】
溶着ヒータ45hwは、例えば溶着線幅が5mm程度となるように細長い帯状に形成され、表面には溶けた樹脂の付着を防止するためフッ素樹脂のコーティングが施されている。一方、切断ヒータ45hcは細い線状に形成されており、表面に同様のコーティングが施されている。溶着ヒータ45hwの加熱温度は、樹脂シートの材質に応じて溶着に適した温度にコントロールされ、切断ヒータ45hcの加熱温度は溶着ヒータ45hwと同一温度若しくはわずかに高い程度の温度にコントロールされる。
【0066】
溶着ヒータと切断ヒータの温度を略同一温度に設定するのは、樹脂シートの溶着と溶断とが何れも熱可塑性の樹脂材料を溶融させて接着または切断する加工であり、同一温度でもヒータの接触時間を変化させることで十分に溶断できること、切断ヒータを高温にすれば短時間で切断できる反面接触時間のコントロールが難しくなり、かつ樹脂シートを過度に加熱すると溶融した樹脂材料が付着・燃焼してヒータに損傷を与えるおそれがある等の問題があったからである。そこで、自動梱包装置23Mでは、切断ヒータの設定温度を溶着ヒータと略同一とする一方、切断ヒータ45hcと溶着ヒータ45hwとをそれぞれ独立して駆動可能に構成し、切断ヒータの接触時間を溶着ヒータの接触時間よりも幾分長目に設定することで、安定した作動と長期信頼性を高めるように構成している。
【0067】
また、シート押さえ45hoは、第1シート及び第2シートを弾性的に押さえて位置がずれないように固定可能に構成されており、例えば中空円筒状のゴム製パッキンやシリコンゴムスポンジ等をホルダプレートの端面に固定して構成される。
【0068】
溶着切断ユニット45は、前後の機構部40a,40bにおける各ヒータホルダ45hが正面視において同一軸線上で重なるように設定されており、ヒータホルダ45hを前後の機構フレーム47から中央に向けて張り出させたときに、対向するヒータホルダの各ホルダプレート同士が当接して、上下のシート押さえ45hoで第1シートと第2シートを弾性的に挟み込んで固定し、上下2段の溶着ヒータ45hwにより第1シートと第2シートとを挟み込んで溶着するとともに、切断ヒータ45hcによりこれらの溶着線の間で第1シート及び第2シートを切断するようになっている。
【0069】
図10(a)(b)(c)に溶着溶断ユニット45による最初の溶着過程を段階的に示すように、(a)ヒータホルダ45hの前方に垂設された第1シート41及び第2シート42に対して、(b)前後のヒータホルダ45h,45hをそれぞれ中央に向けて張り出させて第1シート41及び第2シート42とを挟み込むと、各ヒータホルダの上下のシート押さえ45hoで第1シートと第2シートが弾性的に固定され、上下2段の溶着ヒータ45hwにより第1及び第2シートが上下2箇所で溶着されるとともに、切断ヒータ45hcによりこれらの溶着線の間で第1及び第2シートが切断され、(c)前後のヒータホルダ45h,45hを待避させたときに、下方で第1及び第2シートの溶着が完了するとともに(この最初の段階の溶着物のみ端材となる)、上方ではパチンコ機を包装するための下面側の溶着線が形成される。
【0070】
そこで、以降行われるパチンコ機の梱包作動では、図11(a)(b)に示すように、(a)溶着接合されたシートの内面にパチンコ機の下面を当接させて下方に移動させ、これに応じて第1,第2梱包ロールからシート41,42を繰り出させて、(b)前後のヒータホルダ45h,45hによりパチンコ機PMの上方で第1シート41と第2シート42を溶着及び切断することで、このパチンコ機PMが上部及び下部の両方でヒートシールされ、切断線の上方では次のパチンコ機を包装するための溶着線が形成される。すなわち、溶着切断ユニット45によれば、前後のヒータホルダ45hを1回張り出させる作動で、当該作動の包装対象であるパチンコ機の上面側の溶着と、次の包装対象であるパチンコ機の下面側の溶着とが、同時に(一工程で)行われるようになっている。
【0071】
一方、側部溶着ユニット46は、溶着切断ユニット45の下方に位置して左右に1対設けられており、それぞれ上下方向に延びるヒータホルダ46hと、このヒータホルダ46hを前後方向に駆動するユニット駆動機構とからなり、ヒータホルダ46hを機構フレーム47に対して前後に移動可能に構成される。
【0072】
側部溶着ユニットのヒータホルダ46hは、上下方向に細長く延びる左右3段のホルダプレートを有し、各ホルダプレートが左右に所定の間隔をおいて平行に配設された状態で一体に連結されている。ヒータホルダ46hは、スライドシャフトとリニアブッシュとからなる直動ガイド46gを介して機構フレーム47に前後方向にスライド変位自在に取り付けられ、ヒータホルダ46hと機構フレーム47との間に張られたシリンダ(以下「側部シリンダ」という)46sを伸縮作動させることにより、前後にスライド移動可能に配設される。
【0073】
ヒータホルダ46hには、第1シート及び第2シートを重ね合わせた状態で保持するためのシート押さえ46hoと、重ね合わされた第1シート41と第2シート42とを溶着させるための溶着ヒータ46hwとが設けられており、左右中央(第2段)のホルダプレートの端面に沿って溶着ヒータ46hwが設けられ、その左右(第1段及び第3段)のホルダプレートの端面に沿ってシート押さえ46hoが設けられる。すなわち、ヒータホルダ46hは、中央に溶着ヒータ46hw、その左右にシート押さえ46hoが設けられた3段構成で、一体的に前後に移動可能になっている。なお溶着ヒータ46hwは、上述した溶着切断ユニットの溶着ヒータ45hwと同様のヒータが用いられ、同様の温度コントロールがなされる。
【0074】
側部溶着ユニット46は、前後の機構部40a,40bにおける各ヒータホルダ46hが正面視において同一軸線上で重なるように設定されており、ヒータホルダ46hを前後の機構フレーム47から中央に向けて張り出させたときに、対向するヒータホルダの各ホルダプレート同士が当接して、左右のシート押さえ46hoで第1シートと第2シートを弾性的に挟み込んで固定し、中間の溶着ヒータ46hwで第1シートと第2シートとを挟み込んで溶着するようになっている。なお、左右の側部溶着ユニット46は、それぞれ機構フレーム47に対して左右位置が調整可能に取り付けられており、パチンコ機の横幅(例えば関東枠サイズと関西枠サイズなど)に合わせて左右位置を調整して固定できるように構成されている。
【0075】
側部溶着ユニット46の下方には、前方機構部40aと後方機構部40bとの間に位置して送り出し機構48が設けられている。送り出し機構48は、ローラ内部にモータが組み込まれた回転ローラを複数備えたローラコンベア48aを主体とし、ローラコンベア48aの上面には、パチンコ機PMの前後方向幅よりもわずかに広めの間隔をおいて取り付けられたガイドプレートにより、パチンコ機が案内されて隣接する出荷ラベル貼付ステージ24に導かれるようになっている。
【0076】
包装装置本体40の作動は、出荷搬送システムの梱包制御装置により制御され、上部第1,第2シリンダ45s、側部シリンダ46sへのエアの供給を制御することで、溶着切断ユニット45のヒータホルダ45h(第1ホルダユニット及び第2ホルダユニット)、側部溶着ユニット46のヒータホルダ46hの張出作動及び引き込み作動が制御される。そこで、以下、このように構成される自動梱包装置23Mの作用について説明する。
【0077】
まず、証紙貼付ステージ22から搬送機構25よって送り出され、梱包ステージ23に搬入されたパチンコ機PMは、導入機構26のローラコンベア26aによりステージ内部に導入されて基準位置に位置決め停止され、その信号が導入検出器26cから梱包制御装置に入力される。
【0078】
上記信号が入力されると、梱包制御装置はハンドリングロボット30のZ軸キャレッジ33を下降させてクランプアーム35aをパチンコ機の左右側方に配設させ、クランプシリンダ35sにエアを供給して左右のクランプアーム35aをそれぞれ内側に揺動させて外枠を左右から挟み込み、クランプアームに設けられた複数の係止ピンを外枠に食い込ませてパチンコ機PMを持ち上げ可能に把持する。次いで、Z軸のステッピングモータを回転駆動してZ軸キャレッジ33を上昇させ、またX軸のステッピングモータを回転駆動してX軸キャレッジ32を右動させて、クランプ35で把持したパチンコ機PMを包装装置本体40の上方に配設させる(図9を参照)。そして、Z軸のステッピングモータを回転駆動してZ軸キャレッジ33を低速で下降させ、パチンコ機PMを前後の機構部40a,40bの間でゆっくり下降させる(図10(c)を参照)。
【0079】
すると、まずパチンコ機PMの底面が、予め溶着接合された第1及び第2シートの内面に当接し、適宜なフリクションが与えられた第1梱包ロール41r及び第2梱包ロール42rからそれぞれパチンコ機の下降位置に応じた長さのシートを繰り出させながら下動して、パチンコ機の下面が送り出し機構48に支持される高さ位置でZ軸キャレッジ33の下降が停止される。そして左右のクランプ35が開放され、Z軸キャレッジ33が上昇、X軸キャレッジ32が左動されて、ハンドリングロボット30はもとの待機位置に復帰する。これにより、パチンコ機PMは、側面視においてV字状に張られた第1シート41と第2シート42との間に位置し(図11(a)を参照)、送り出し機構48上に支持される。なお、このとき送り出し機構48の回転ローラは停止されている。
【0080】
そして、左右のクランプ35が上方に待避した後、溶着切断ユニット45、側部溶着ユニット46による包装作動が開始される。包装作動は、まず、溶着切断ユニット45における上部第1シリンダ45sのボトム側ポートにエアが供給され、ヒータホルダ45の第1ホルダアッセンブリが前後の機構フレーム47から中央に向けてパチンコ機上方に張り出される。第1ホルダアッセンブリは、5段構成のヒータホルダ45における第1,第3,第5段のホルダープレートが連結されたアッセンブリであり、この第1ホルダアッセンブリの張出作動によって、第1段及び第5段に設けられたシート押さえ45hoにより第1シート41と第2シート42とが弾性的に挟み込まれて固定され、これらの中間において第3段の切断ヒータ45hcが第1及び第2シートを挟み込んだ状態で接触保持される。
【0081】
次いで、溶着切断ユニット45における上部第2シリンダ45sと側部溶着ユニット46の側部シリンダ46sのボトム側ポートにエアが供給され、ヒータホルダ45の第2ホルダアッセンブリ及び左右のヒータホルダ46hが機構フレーム47から中央に向けて張り出される。第2ホルダアッセンブリは5段構成のヒータホルダ45における第2,第4段のホルダープレートが連結されたアッセンブリであり、この第2ホルダアッセンブリの張出作動によって、第2段及び第4段に設けられた溶着ヒータ45hwが、上記切断ヒータ45hcの上下において第1及び第2シートを挟み込んだ状態で接触保持される。また、左右のヒータホルダ46hの張出作動によって、パチンコ機PMの側方において第1シート41と第2シート42とが第1段及び第3段のシート押さえ46hoにより弾性的に挟み込まれて固定されるとともに、これらの中間において第2段の溶着ヒータ46hwが第1及び第2シートを挟み込んだ状態で接触保持される。
【0082】
そして、溶着溶断ユニット45における第1ホルダアッセンブリの張り出しから所定時間の経過後(切断ヒータ45hcの接触開始から所定時間の経過後)に、上部第1シリンダ45sのヘッド側ポートにエアが供給され、第1ホルダアッセンブリが機構フレーム47内に引き込まれる。また溶着溶断ユニット45における第2ホルダアッセンブリの張り出し、及び側部溶着ユニット46のヒータホルダ46hの張り出しから所定時間の経過後(溶着ヒータ45hw,46hwの接触開始から所定時間の経過後)に、上部第2シリンダ45s及び側部シリンダ46sのヘッド側ポートにエアが供給され、第2ホルダアッセンブリ及び左右のヒータホルダ46hが機構フレーム47内に引き込まれる。
【0083】
すなわち、自動梱包装置23Mでは溶着ヒータと切断ヒータの加熱温度を略同一温度に設定しており、各ヒータの接触時間を制御することによって溶着と切断とを行わせている。このため、第1ホルダアッセンブリの張り出し時間は、切断ヒータによって第1及び第2シート41,42を溶断するのに好適な時間(切断時間T1、例えば3〜5秒程度)が設定され、第2ホルダアッセンブリ及びヒータホルダ46hの張り出し時間は溶着ヒータによって、第1及び第2シート41,42を溶着するのに好適な時間(溶着時間T2、例えば2〜4秒程度)が設定される。
【0084】
本実施形態に示す自動梱包装置Mでは、まず溶着溶断ユニット45における第1ホルダアッセンブリを先に張り出させて切断ヒータを接触させ、次いで、切断時間と溶着時間との時間差Δt=T1−T2をおいて第2ホルダアッセンブリ及びヒータホルダ46hを張り出させて溶着ヒータを接触させ、上記時間T1,T2の経過後、同時に全ヒータを引き込むように構成している。
【0085】
そして、溶着溶断ユニット45の第1ホルダアッセンブリ及び第2ホルダアッセンブリが機構フレーム47内に引き込まれ、左右の側部溶着ユニット46のヒータホルダ46hが機構フレーム47内に引き込まれると、パチンコ機PMは前面側の第1シート41と後面側の第2シート42に包まれて上下及び左右の全辺が溶着されるとともに、その上方で溶着接合された第1及び第2シートから切り離され、パチンコ機PMの包装が完了する。
【0086】
パチンコ機PMの包装が完了すると、送り出し機構48の回転ローラが回転駆動され、ローラコンベア48aの上面設けられたガイドプレートに案内されて、パチンコ機PMが出荷ラベル貼付ステージ24に送り出される。
【0087】
このように、以上説明したような自動梱包装置23Mによれば、第1シート41及び第2シート42として単体シートを用いることができるため、梱包材料の素材コストを低減することができ、各シートを同一素材でも異なる素材でも構成できるため、目的に応じた適宜な樹脂材料を選択してパチンコ機を包装することができる。
【0088】
また、パチンコ機をシートの長尺方向に相対的に移動させることで、第1,第2シートが繰り出されてパチンコ機に巻き付けられる構成のため、薄いフィルム状の樹脂シートをパチンコ機の寸法に合致した長さ分だけ送り出す送給機構や、密着状態にあるシートを吸引して封袋を開く開封機構などを設ける必要がなく、簡明な構成でコストを低減しつつ安定した作動を確保することができる。
【0089】
さらに、溶着切断ユニット45に、切断ヒータ45hcを挟んで上下に溶着ヒータ45hwを設けているため、パチンコ機の上方で第1及び第2シートを挟み込む作動で、当該包装対象であるパチンコ機の上面側の溶着と、その上方での第1及び第2シートからの切り離しと、次の包装対象であるパチンコ機の下面側の溶着とを同時に行うことができ、梱包装置の構成を複雑化及び高額化させることなく、生産性の高い梱包装置を提供することができる。
【0090】
なお、梱包シートの溶着と切断とを、溶着ヒータ及び切断ヒータの加熱温度を同一として各ヒータの接触時間を制御する構成例を示したが、切断ヒータの温度を溶着ヒータの温度よりも高く設定して全ヒータの接触時間を同一とする構成にすることもできる。このような構成によれば、溶着切断ユニット45の構成を簡明化することができる。また、梱包シートを切断する切断構造部として、切断ヒータ45hcを用いて熱的に切断する構成例を示したが、例えば、ロータリー型のカッターやシャーリング型のカッターを用いて機械的に切断するような構成であっても良い。さらに、ハンドリングロボット30によってパチンコ機PMを立設姿勢で上下に移動させる構成を例示したが、遊技機の姿勢や移動方向は他の姿勢または方向であっても良く、また遊技機を固定して包装装置本体40を相対的に移動させるような形態であっても良い。
【0091】
梱包ステージ23と隣接する出荷ラベル貼付ステージ24には、自動梱包装置23Mによりシート梱包されて送り出されたパチンコ機PMのシート上面に、当該パチンコ機の納入先を明示した出荷ラベルを貼り付ける自動ラベル貼付機が設けられるとともに(不図示)、出荷ラベルが貼り付けられたパチンコ機を横倒しにして、出荷ライン20終端の搬出ローラウェイ55に送り出す横転搬送装置50が設けられている。
【0092】
横転搬送装置50は、送り出し機構48と連絡する底辺と右辺とにそれぞれ複数の回転ローラを有し正面視L字状のアングルフレーム51と、このアングルフレーム51を鉛直面内で揺動可能に支持する軸受52と、アングルフレーム51を軸受52の軸まわりに揺動させる横転シリンダ53などからなり、横転シリンダ53のボトム側ポートにエアを供給してロッドを伸長させたときに、図7中に二点鎖線で付記するように、アングルフレーム51が時計廻りに揺動され、自動ラベル貼付機によって出荷ラベルが貼り付けられたパチンコ機PMが横倒しの姿勢で搬出ローラウェイ55に送り出される。
【0093】
さて、こうして出荷ライン20での証紙の貼り付け、樹脂シートによる梱包、出荷ラベルの貼り付けが終了し、ライン終端の搬出ローラウェイ55まで送り出されたパチンコ機PMは、この搬出ローラウェイ55の終端と出荷ベイEXBに停車されたトラックTRの荷台との間に設置された出荷補助装置60を利用して荷台に積み込まれる。
【0094】
以下、図12及び図13を参照して出荷補助装置60について説明する。ここで、図12は出荷補助装置60の平面図(a)、側面図(b)、及び正面図(c)、図13は出荷補助装置60からローラコンベア61を取り外した状態の平面図(a)、側面図(b)、及び正面図(c)である。なお以降の出荷補助装置60の説明に当たっては、トラックTRの荷台側(図面における右側)を前方、出荷ライン20の終端側(同、左側)を後方と称して説明する。
【0095】
出荷補助装置60は、複数のローラを有するローラコンベア61と、その下側に位置して前後に延びるベースフレーム62と、ベースフレームの前端部から上方に延びるサブフレーム63と、ローラコンベア61の前端側を昇降させるリフト機構65とからなり、出荷ベイEXBに停車されたトラックTRの荷台に近接してローラコンベア61の前端部を配置し、リフト機構65によりローラコンベア61の前端側を昇降させてローラコンベア61を上下に揺動させることで、トラックTRの荷台の高さ位置に応じてローラコンベア61の前端部の高さを調整可能に構成される。
【0096】
ローラコンベア61は、複数の円筒状のローラ61rと、これらのローラ61rを前後方向に並列に並べて回転可能に支持するローラフレーム61fと、ローラ61rを各ローラの軸まわりに回転させるローラ駆動源とを主体として構成される。ローラ駆動機源は各ローラ61rの内部に組み込まれて、回転ローラ(モータローラ)が用いられており、各ローラの入力端子に電力を供給することで各ローラ61rが同一方向に回転され、後端側のローラ上に載置されたパチンコ機等がローラコンベア61の前端側に搬送されるように構成される。
【0097】
ベースフレーム62は、図13に示すように、前端及び後端に設けられた前後のベースプレート62aと、これらの前後のベースプレート62aを連結して固着され左右平行に延びるベースパイプ62bとからなり、例えば所定板厚の鋼板と角形鋼管とを溶接し及び機械加工して構成される。ベースフレーム62の後端側には、ローラフレーム61を上下揺動可能に枢結支持するための連結支持構造64が設けられている。またベースフレーム62の前後左右4箇所には、出荷ベイEXBにおけるトラックTRの停車位置に応じて出荷補助装置60を移動調節できるように、自在キャスター62cが取り付けられている。
【0098】
サブフレーム63は、ベースフレーム62の前端部に固定され、ローラコンベア61の側部を通って上方に延びる左右の脚部63aと、これらの脚部の上端を結んで固定されてローラコンベア61の上方に位置する天板63bとからなり、ローラコンベア61の上方を跨ぐ門型に形成される。左右の各脚部63aは、前後方向の外形寸法に対して左右方向の外形寸法が小さい異形の角形鋼管が用いられており、左右方向幅を抑制した構成になっている。
【0099】
リフト機構65は、チェーンを利用した吊り上げ構造66と、この吊り上げ構造66を駆動するスプロケット駆動モータ67とからなり、サブフレームの天板63bに設けられている。吊り上げ構造66は、天板63bに回動自在に支持された回動軸の左右両端に固定されたスプロケット66sと、一端側がスプロケット巻き掛けられるとともに端部でスプロケットにピン接合され、他端側が脚部63aに沿って垂下されるチェーン66cとから構成され、この吊り上げ構造66の回動軸に減速機構を介してスプロケット駆動モータ67が連結されている。
【0100】
ローラコンベア61は、門型のサブフレーム63の内側を通ってベースフレーム62の上部に配設され、ベースフレーム62に設けられた連結支持構造64により相互の後端部で枢結されて上下に揺動可能に支持される。またベースフレーム62の前端側で、左右の脚部63a,63aに沿って垂下するチェーン66c,66cが、ターンバックルを介してローラフレーム61fの左右側部に接続される。これによりローラコンベア61は、連結支持構造64の数結軸を中心として上下に揺動可能に支持され、リフト機構65の左右のチェーン66cに吊り上げられた角度位置で安定支持される。
【0101】
そして、リフト機構65のスプロケット駆動モータ67を回転駆動してチェーン66cを巻き上げ、または繰り出すことで、連結支持構造64の数結軸を中心としてローラコンベア61前端側を上下に揺動させることができ、スプロケット66sの回転角度位置を調整することでローラコンベア61の前端部の高さ位置を任意の高さに調整することができる。また出荷補助装置60では、ローラコンベア61とベースフレーム62とを連結する連結支持構造64を相互の後端部に設定し、ローラコンベア61における後端位置のローラの回転軸に近接して配置している。このため、リフト機構65によってローラコンベア61を上下に揺動させても、後端位置のローラの配設位置が殆ど変化しないようになっている。
【0102】
そこで、パチンコ機PMの荷積み作業を行う作業者は、出荷ベイEXBに停車されたトラックTRの停車位置に合わせて出荷補助装置60の前端側の配設位置を調整し、当該トラックTRの荷台の高さ位置に応じてリフト機構65によりローラコンベア61の前端部の高さ位置を調整しすることで、出荷補助装置60の前後端とも段差が無い状態で設置することができ、これにより出荷ライン終端とトラックTRの荷台とを段差無くローラコンベア61で連絡することができる。ローラコンベア61には、モータを内蔵した回転ローラが用いられており、ローラコンベア61が前方に向けて登り傾斜であっても後端側のローラ上に載置されたパチンコ機等がローラコンベア61の前端側に搬送される。
【0103】
このため、荷積み作業を行う作業者は、搬出ローラウェイ55に送り出されてきたパチンコ機PMを、トラックの荷台側の作業状況に応じてローラコンベア61の後端部に載置し、またはモータローラへの電力供給をオン・オフすることで、パチンコ機PMを容易にトラックの荷台に搬送させることができる。
【0104】
以上説明したように、出荷補助装置60によれば、配車されるトラックの車種や形式が相違して荷台高さが様々であっても、当該トラックの荷台の高さ位置に応じてローラコンベア61の前端側を昇降させることで、ローラコンベアの前端部と荷台との段差をなくすことができ、荷積み作業の負担を軽減することができる。また、ローラコンベア61の上方を跨ぐサブフレーム63を形成してリフト機構65をその天板63b上に配設し、脚部63aに沿って垂下したチェーン66cでローラコンベア61を吊り上げ支持する構成にしているため、ローラコンベア61の前端側を昇降させる駆動機構が左右側方に突出するようなこともなく、出荷補助装置の幅方向の設置面積を大幅に抑制することができる。
【0105】
さらに、ローラフレーム61とベースフレーム62とを枢結する連結支持構造64をコンベア後端のローラの回転軸に近接して配置しているため、リフト機構65によりローラコンベア61を上下に揺動させても後端位置のローラの配設位置が殆ど変化することがない。このため、ローラコンベア前端側の昇降に伴う高さのズレを補正するためのアジャスト機構等を後端側に設ける必要がなく、簡明な構成で、ローラコンベアの前後端部で段差の生じない出荷補助装置を構成することができる。
【0106】
なお、本実施形態では、ローラコンベア61を揺動させるリフト機構65の構成例として、ローラコンベア61をチェーン66cで吊り上げる構成例を示したが、リフト機構はこのような構成例に限定されるものではなく、例えばベースフレーム62にローラコンベア61を押し上げるカムを回動可能に配設するとともに、カムと連結されたスプロケットを配設し、天板上に配設したスプロケットとの間にチェーンを掛け渡してスプロケット駆動モータで回動させることにより、カムを揺動させてローラコンベア61を押し上げさせ、これによりローラコンベアの前端部を昇降させるように構成しても良い。
【0107】
また、遊技機の代表例としてパチンコ機を例示したが、アレンジボール機や雀球遊技機等の他の弾球遊技機、あるいはスロットマシンなどの遊技機においても同様に適用し、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】製品倉庫に一時保管されたパチンコ機等の遊技機が出荷ラインを経てトラックTRに積み込まれるまでの工程を模式的に示す説明図である。
【図2】上記工程を含む各部の全体的な配置を示すレイアウト図である。
【図3】隣接する2列の出荷ラインを部分的に拡大して示すレイアウト図である。
【図4】出荷搬送システムにおけるパチンコ機の搬送状況を模式的に示す説明図である。
【図5】出荷搬送システムにおける分配制御の概要を示すフローチャートである。
【図6】出荷搬送システムの作動状況を例示するタイミングチャートである。
【図7】自動梱包装置の正面図である。
【図8】自動梱包装置の平面図である。
【図9】自動梱包装置における包装装置本体の後面側機構部を拡大して示す正面図である。
【図10】自動梱包装置によるパチンコ機の包装過程を段階的に示す説明図である。
【図11】自動梱包装置によるパチンコ機の包装過程を段階的に示す説明図である。
【図12】出荷補助装置の平面図(a)、側面図(b)、及び正面図(c)である。
【図13】出荷補助装置からローラコンベアを取り外した状態の平面図(a)、側面図(b)、及び正面図(c)である。
【符号の説明】
【0109】
10 製品倉庫
11 保管棚
12 パレット
14 搬送レール
15 出庫ステーション(15A Aステーション、15B Bステーション)
18 搬送ロボット
20 出荷ライン(20A Aライン、20B Bライン)
21 待機ステージ
(21A Aラインの待機ステージ、21B Bラインの待機ステージ)
22 証紙貼付ステージ
23 梱包ステージ(23M 自動梱包装置)
24 出荷ラベル貼付ステージ
25 搬送機構
26 導入機構(26aローラコンベア、26c 導入検出器)
27 ステージベース
30 ハンドリングロボット
31 フレーム(31b キャレッジベース)
32 X軸キャレッジ
33 Z軸キャレッジ
35 クランプ(35a クランプアーム、35s クランプシリンダ)
40 包装装置本体(40a 前面側機構部、40b 後面側機構部)
41 第1シート(41r 第1梱包ロール)
42 第2シート(42r 第2梱包ロール)
43 ロール保持部(43h ロールホルダ、43g ガイドローラ)
45 溶着切断ユニット(45h ヒータホルダ(45hc 切断ヒータ、45ho シート押さえ、45hw 溶着ヒータ)、45g 直動ガイド、45s 上部第1シリンダ、上部第2シリンダ)
46 側部溶着ユニット(46h ヒータホルダ(46ho シート押さえ、46hw 溶着ヒータ)、46g 直動ガイド、46s 側部シリンダ)
47 機構フレーム
48 送り出し機構(48a ローラコンベア)
50 横転搬送装置
51 アングルフレーム
52 軸受
55 搬出ローラウェイ
60 出荷補助装置
61 ローラコンベア(61f ローラフレーム、61r ローラ)
62 ベースフレーム(62a ベースプレート、62b ベースパイプ、62c キャスタ)
63 サブフレーム(63a 脚部、63b 天板)
64 連結支持構造
65 リフト機構
66 吊り上げ構造(66c チェーン、66s スプロケット)
67 駆動モータ
PM パチンコ機
TR トラック
EXB 出荷ベイ
F1,F2 フラグ
S1〜S60 ステップ
1〜t8 時刻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラ、前記複数のローラを前後方向に並列に並べて支持するローラフレーム、及び前記複数のローラを各ローラの軸まわりに回転させるローラ駆動源を有し、前記ローラ駆動源により前記複数のローラを回転させて後端側のローラ上に載置された遊技機を前端側に搬送するローラコンベアと、
前記ローラコンベアの下側に位置して前後方向に延び前記ローラフレームと互いの後端側で枢結されたベースフレームと、
前記ローラコンベアの前端側に位置して配設され前記ベースフレームに対して前記ローラコンベアの前端側を昇降させるリフト機構とからなり、
出荷ベイに停車されたトラックの荷台に近接して前記ローラコンベアの前端部を配置し、前記リフト機構により前記ベースフレームに対して前記ローラコンベアの前端側を昇降させて前記ローラコンベアを上下に揺動させることで、前記トラックの荷台の高さ位置に応じて前記ローラコンベアの前端部の高さを調整可能に構成したことを特徴とする遊技機の出荷補助装置。
【請求項2】
前記リフト機構は、前記ベースフレームから前記ローラコンベアの側部を通って上方に延びる脚部及びこの脚部の上部に設けられて前記ローラコンベアの上方に位置する天板からなるサブフレームと、
前記天板に配設されて前記ローラコンベアの前端側を吊り上げる吊り上げ機構とからなり、
前記吊り上げ機構により前記ローラコンベアの前端側を吊り上げて昇降させることで前記ベースフレームに対して前記ローラコンベアを上下に揺動させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の遊技機の出荷補助装置。
【請求項3】
前記ローラフレームと前記ベースフレームとの枢結部を、前記ローラコンベアにおける後端位置の前記ローラの回転軸に近接して配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機の出荷補助装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−282352(P2006−282352A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106270(P2005−106270)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】