説明

遊技機用施錠装置

【課題】常時高い防犯性能を有するとともに、遊技機に電源が供給されずとも解錠可能であり、係員による解錠操作が容易でかつスピーディな遊技機用施錠装置を提供する。
【解決手段】本発明の遊技機用施錠装置1は、遊技機の外枠と、該外枠に開閉可能に枢支される中枠(取付板929)と、を機械的に施錠する施錠手段2(中枠用受け部材、中枠用フック21、中枠用リンク棒22、中枠用スライダ23、シリンダ錠24)と、該施錠手段2の解錠操作を機械的に禁止あるいは許容する規制手段(ロッキングレバー4)と、該規制手段(4)により該施錠手段2の解錠操作を禁止された禁止状態を電気的に解除する電気的解除手段(モータ5)と、該規制手段(4)による該禁止状態を機械的に解除する機械的解除手段6(サブシリンダ錠61、解除用スライダ62)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ台などの遊技機の施錠装置に関し、より詳細には防犯性能を高めた施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技店に設置されるパチンコ台などの遊技機は、遊技機本体の外枠と、外枠に開閉可能に枢支された中枠及びガラス枠と、を主要部材として構成されるのが一般的である。遊技面を備えた中枠には電子制御装置や表示装置などが多数搭載されており、遊技者が勝手に触れられないように、外枠と中枠との間及び、中枠とガラス枠との間は常時施錠されている。一方、遊技中の不具合への対応や閉店後の調整の際には、錠を解いて中枠やガラス枠を開閉する必要が生じる。したがって、遊技機用施錠装置には、不特定者の不正な解錠操作を確実に防止するとともに、係員が容易に解錠できる構造が必要とされてきた。
【0003】
従来の遊技機用施錠装置では、施錠する一方の枠に「受け」と呼ばれる被係止部材が設けられ、他方の枠に「フック」と呼ばれて被係止部材を係脱する係止部材が設けられ、さらに係止部材を駆動するスライダ部材及びシリンダ錠が設けられるのが、一般的な構造とされていた。そして、係員は鍵を用いてシリンダ錠を操作することにより解錠を行うようになっていた。しかしながら、この構造では、合い鍵による解錠や枠の隙間からの不正操作のおそれがあるため、防犯性能を高めた施錠装置が各種発明されてきた。例えば、特許文献1に開示される遊技機の解錠ロック装置では、スライダ部材に相当するロッドに規制ピンを設け、さらに規制ピンをロックするロック手段を設けて、セキュリティー対策としている。すなわち、ロック手段を解除しない限りロッドが動かない構造とされ、仮に合い鍵や不正操作によってロッドに外力が加えられても解錠できないようになっている。
【特許文献1】特開平11−235451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の解錠ロック装置では、ロック手段をロックピンと付勢手段とで構成し、その解除手段としてソレノイドを用いている。すなわち、常時は付勢手段によってロックピンを突出させて規制ピンをロックし、解錠時はソレノイドに通電することによりロックピンを吸引してロックを解除している。しかしながら、この態様では、遊技機に電源が供給されていないときに解錠を行うことができず、取り扱い上著しく不便であった。また、ロック装置の複雑化により係員の解錠操作が煩雑となって手間取り、遊技者の快適性を損ねるおそれもあった。
【0005】
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、常時高い防犯性能を有するとともに、遊技機に電源が供給されずとも解錠可能であり、係員による解錠操作が容易でかつスピーディな遊技機用施錠装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機用施錠装置は、遊技機の外枠と、該外枠に開閉可能に枢支される中枠と、を機械的に施錠する施錠手段と、該施錠手段の解錠操作を機械的に禁止あるいは許容する規制手段と、該規制手段により該施錠手段の解錠操作を禁止された禁止状態を電気的に解除する電気的解除手段と、該規制手段による該禁止状態を機械的に解除する機械的解除手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明は、シリンダ錠などの機械的施錠手段の解錠操作の可否を制御する機械的規制手段を備え、この規制手段の解錠禁止状態の解除を、電気的解除手段あるいは機械的解除手段のどちらでも行えるようにしたことを特徴とする。したがって、常時は規制手段によって解錠操作を禁止することにより、高い防犯性能を維持することができる。そして、解錠操作の際には、電気的解除手段または機械的解除手段により規制手段の解錠禁止状態を解除することができ、電源が供給されていない状況であっても機械的解除手段による解除が可能となっている。
【0008】
前記施錠手段は、前記外枠と前記中枠のいずれか一方に設けられた被係止部材と、他方に設けられて該被係止部材を係止あるいは解放する係止部材と、機械的な操作により該係止部材を駆動するシリンダ錠と、を有し、前記規制手段は、該係止部材と該被係止部材とを係脱する該シリンダ錠の解錠操作を禁止あるいは許容する規制部材を有する、ことが好ましい。
【0009】
施錠手段自体には従来の構造を適用することができ、「受け」と呼ばれる被係止部材と、「フック」と呼ばれて被係止部材を係脱する係止部材と、係止部材を駆動するシリンダ錠と、を主要部材として構成することができる。シリンダ錠は、例えば中枠の前面に配設して係員が鍵を用いて容易に操作できるようにすることができる。フックとシリンダ錠との間には、操作力を伝達する各種の連結部材を適宜組み合わせて用いることができる。また、フックと連結部材とを一体に形成して係止部材としてもよい。
【0010】
規制部材は、係止部材と被係止部材とを係脱するシリンダ錠の解錠操作を禁止あるいは許容するものであり、機械的な部材で形成されている。規制部材は、例えば規制ピンとして、係止部材の規制溝に嵌入または規制孔に挿入、あるいは係止部材に当接して、係止部材を係止するように構成することができる。規制部材が係止部材を係止するとシリンダ錠の解錠操作は行えなくなり、係止が解除されるとするとシリンダ錠の解錠操作が行えるようになる。
【0011】
規制部材による解錠禁止状態を解除する手段として、電気的解除手段と機械的解除手段とを備えることができる。両者は、どちらか一方で解除の機能を果たせるとともに、他方の妨げとならないように構成することができる。あるいは、電気的解除手段を優先し、電源が供給されないときにのみ機械的解除手段を有効とするように構成してもよい。
【0012】
前記電気的解除手段は、前記規制部材を駆動して前記係止部材と前記被係止部材とを係脱可能とするモータあるいはソレノイドと、該モータあるいは該ソレノイドの電源を制御するセキュリティー認証装置と、を有する、ことが好ましい。
【0013】
電気的解除手段として、例えばモータを用いて出力軸にギヤ機構を設け、出力トルクで規制部材を駆動するように構成することができる。あるいは、ソレノイドを用いて通電による出力軸の変位で規制部材を駆動するようにしてもよく、さらに非通電時の状態を規定するためにばね部材などの付勢手段を設けるようにしてもよい。モータやソレノイドの電源のオン、オフの制御は、通常のスイッチで行うこともできるが、生体認証や電子キーを応用したセキュリティー認証装置を用いることが好ましい。セキュリティー認証装置は、装置本体を遊技機内部に設け、認証用端末を中枠前面に設けることができる。係員は、例えば指紋認証用端末に指先を触れるだけの簡単な操作で電源を制御できる一方、不特定者が触れても電源の制御は行えない。したがって、シリンダ錠の鍵と合わせて二重の防犯機能を有して防犯性能は一層向上する。また、遊技機に不具合が発生したときの係員の解錠操作は容易でかつスピーディであり、遊技者は快適に遊技することができる。
【0014】
前記機械的解除手段は、前記規制部材を駆動して前記係止部材と前記被係止部材とを係脱可能とする機構部と、機械的な操作により該機構部を駆動するサブシリンダ錠と、を有する、ことが好ましい。
【0015】
機械的解除手段として、機構部とサブシリンダ錠とを設け、例えば施錠手段のシリンダ錠とは異なる鍵を用いて機械的に操作することにより、規制部材を駆動するように構成することができる。サブシリンダ錠は、例えば中枠前面に配設し、連結部材などを用いて適宜機構部を構成することにより、規制部材まで機械的な操作力を伝達することができる。
【0016】
前記サブシリンダ錠を覆うカバー部材を備える、ようにしてもよい。
【0017】
カバー部材は、例えばねじ止めとして、容易に開けられない構造とすることができる。あるいは、電気的に閉じる構造として、電源が供給されないときだけ開いて操作可能とすることもできる。カバー部材を設けることにより、サブシリンダ錠の操作はすぐにはできなくなって機械的解除手段は非常用とされ、電気的解除手段が普段の解除手段として常用されることになる。これによって普段の防犯性能が向上し、さらに前述のセキュリティー認証装置を組み合せた態様では防犯性能は格段に優れたものとなる。
【0018】
前記外枠または前記中枠に開閉可能に枢支されるガラス枠と、該中枠と、を機械的に施錠する第二施錠手段を備え、前記規制手段は該第二施錠手段の解錠操作を機械的に禁止あるいは許容する第二規制手段を兼用する、ことが好ましい。
【0019】
ガラス枠と中枠とを機械的に施錠する第二施錠手段を備える場合に、規制手段は兼用とすることができる。例えば、第二施錠手段を施錠手段と類似の被係止部材と係止部材とで構成し、共通の規制部材が2つの施錠手段の係止部材を一括して係止するようにして、実現することができる。このとき、電気的解除手段と機械的解除手段も兼用され、2つの施錠手段は、同等の高い防犯性能を有することになる。
【発明の効果】
【0020】
上述の本発明の遊技機用施錠装置によれば、常時は規制手段によって解錠操作を禁止することにより高い防犯性能を維持することができるとともに、電源が供給されていない状況であっても機械的解除手段により規制手段の解錠禁止状態を解除して解錠操作を行うことができる。
【0021】
さらに、機械的解除手段であるサブシリンダ錠をカバー部材で覆うとともに電気的解除手段にセキュリティー認証装置を有する態様では、不特定者が触れても解錠禁止状態が解除されず、シリンダ錠の鍵と合わせた二重の防犯機能により防犯性能を格段に優れたものとすることができ、また係員による解錠操作は容易でかつスピーディである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明を実施するための最良の形態を、図1〜図8を参考にして説明する。まず、図1を参考にして、遊技機の一般的な構造を説明する。図示されるように、遊技機9は、立設された略矩形枠状の外枠91と、遊技面や遊技ハンドルなどを備えた中枠92と、常時中枠92を覆うガラス枠93と、を主にして構成されている。中枠92及びガラス枠93は、外枠91の左端前面に設けられた枢支部94により、開閉可能に枢支されている。すなわち、中枠92は、図中左側の一辺部を軸心として回動することにより、外枠91に対して開閉するようになっている。また、ガラス枠93は、図中奥側の一辺部を軸心として回動することにより、中枠92に対して開閉するようになっている。ここで、中枠92とガラス枠93とは独立して開閉するため、別々に施錠することが必要である。そして、施錠装置の主要部材は、中枠92の右側面にねじを用いて取り付けられた取付板929に配設されている。
【0023】
次に、本発明の実施例の遊技機用施錠装置について、図2を参考にして説明する。図2は、実施例の遊技機用施錠装置を説明する図であり、(A)は施錠装置を右前方からみた斜視図、(B)は施錠装置を右後方からみた斜視図である。実施例の施錠装置1は、中枠92を外枠91に施錠する中枠用施錠手段2と、ガラス枠93を中枠92に施錠するガラス枠用施錠手段3と、規制手段に相当するロッキングレバー4と、電気的解除手段に相当するモータ5と、機械的解除手段6と、図示されていない制御部7と、で構成されている。なお、以降の説明では、中枠用施錠手段2に関する部材には「中枠用」を、ガラス枠用施錠手段3に関する部材には「ガラス枠用」を付し、区別して記載する。
【0024】
中枠用施錠手段2は、上方と下方の2箇所で施錠されるようになっている。上方では、外枠91の上方寄りに設けられた図略の中枠用受け部材と、中枠92の右側面の取付板929の上方寄りに枢支されて外枠受け部材を係止及び解放する中枠用フック21と、で施錠されるように構成されている。中枠用フック21の中央は、中枠92右側面の取付板929に枢支される枢支部211である。中枠用フック21の外枠91に向かう一端には係止爪212が形成され、他端にはリンク部213が形成されている。係止爪212は、上昇することにより中枠用受け部材を係止し、下降することにより中枠用受け部材を解放するようになっている。リンク部213には、下方に延設される中枠用リンク棒22が接続されている。中枠用リンク棒22の下端には、さらに中枠用スライダ23が接続されている。一方、取付板929の前面下方寄りにはシリンダ錠24が設けられ、係員の回動操作によりレバー241が上下に揺動するようになっている。そして、レバー241が上方に揺動すると、中枠用スライダ23の操作爪231を上方に押し上げ、係止爪212が下降して解錠されるようになっている。
【0025】
また、中枠92の下方には、外枠91に設けられたストライカ911を係止あるいは解放する係止手段25が設けられている。係止手段25は、中枠用スライダ23に連動して動作し、構造は異なるものの、上方と同様の施錠機能を有している。
【0026】
ガラス枠用施錠手段3は、ガラス枠93の上方寄りと下方寄りとに設けられた図略の2個のガラス枠用受け部材と、取付板929に枢支されてガラス枠用受け部材を係止及び解放する2個のガラス枠用フック31と、で施錠されるように構成されている。ガラス枠用フック31の中央は取付板929に枢支される枢支部311であり、ガラス枠93に向かう一端には係止爪312が形成され、他端にはリンク部313が形成されている。係止爪312は、下降することによりガラス枠用受け部材を係止し、上昇することによりガラス枠用受け部材を解放するようになっている。上側のガラス枠用フック31のリンク部313には、下方に延設されるガラス枠用リンク棒32が接続されている。ガラス枠用リンク棒32の下端には、さらにガラス枠用スライダ33が接続されている。下側のガラス枠用フック31のリンク部は、ガラス枠用スライダ33に直結されている。そして、兼用とされたシリンダ錠24のレバー241が下方に揺動すると、ガラス枠用スライダ33の操作爪331を下方に押し下げ、係止爪312が上昇して解錠されるようになっている。
【0027】
次に、ロッキングレバー4及びモータ5の構造について、図3及び図4を参考にして説明する。図3は、実施例の施錠装置1の下方の要部を説明する図であり、(A)は右側面図、(B)は裏面図である。なお、ロッキングレバー4については、見易くするために図中でハッチングを施してある。図3(A)に示されるように、ロッキングレバー4及びモータ5は取付板929に固定された収納ケース921内に配設されている。また、収納ケース921の図中手前側には、中枠用スライダ23及びガラス枠用スライダ33の下部が延設されてきている。さらに、収納ケース921の図中奥側には、後述する機械的解除手段6の解除用スライダ62が延設されてきている。図4は、図3の右側面図を補足する図であり、(A)はロッキングレバー4及びモータ5の構造を、(B)はロッキングレバー4及び解除用スライダ62の構造を、それぞれ示している。
【0028】
ロッキングレバー4は、図4(A)に示されるように収納ケース921内に配設されており、板状の部材に枢支部401、規制ピン402、解除ピン403、はす歯ギヤ404が付設されて形成されている。枢支部401は、収納ケース921に枢支されており、ロッキングレバー4は揺動可能となっている。規制ピン402は紙面手前側に向かって突設され、図3(A)に示されるように収納ケース921の案内窓922から突出している。一方、解除ピン403は紙面奥側に向かって突設され、収納ケース921の案内窓から突出している。はす歯ギヤ404は、部材の図中右側に形成されている。
【0029】
モータ5は電気的解除手段であり、図4(A)に示されるように、出力軸501にはウォームギヤ502が形成され、ロッキングレバー4のはす歯ギヤ404と噛み合っている。したがって、モータ5を正転及び逆転の両方向に駆動することにより、駆動力はウォームギヤ502からはす歯ギヤ404に伝達され、ロッキングレバー4を時計回り及び反時計回りのいずれの方向にも揺動させることができる。また逆に、はす歯ギヤ404側からウォームギヤ502側への動力伝達も可能とされ、後述の機械的解除手段6による操作を妨げないようになっている。
【0030】
次に、機械的解除手段6について説明する。図2に示されるように、機械的解除手段6は、サブシリンダ錠61と、ロッキングレバー4まで機械的な操作力を伝達する解除用スライダ62と、で構成されている。サブシリンダ錠61は、中枠92の前面上部に配設されており、2つの施錠手段2、3を解錠するシリンダ錠24とは異なる鍵で操作されるようになっている。サブシリンダ錠61のレバー611には、下方に延設される解除用スライダ62が接続されている。解除用スライダ62は、図3(B)に示されるように下方で二度折れ曲がって収納ケース921の側方(図中では裏面)にまで達している。さらに、解除用スライダ62の下端には、図4(B)に示されるように、解除孔621が形成され、ロッキングレバー4の解除ピン403が嵌入している。したがって、サブシリンダ錠61を回動操作すると、操作力によって解除用スライダ62が引き上げられ、解除ピン403が持ち上げられて、ロッキングレバー4が反時計回りに揺動するようになっている。なお、解除孔621は解除ピン403よりも大きく形成されて寸法上の遊びがあり、モータ5による解除操作を妨げないようになっている。
【0031】
次に、ロッキングレバー4による解錠操作の禁止状態について、図5を参考にして説明する。図5は、図3の右側面図中の部材を一部省略した図であり、(A)は中枠92の解錠禁止状態、(B)はガラス枠93の解錠禁止状態、をそれぞれ示している。図5に示されるように、ロッキングレバー4が時計回りに揺動した状態では、規制ピン402は収納ケース921の案内窓922の左方に移動する。そして、(A)に示されるように、規制ピン402は中枠用スライダ23の被規制突部232を係止して、中枠用スライダ23の上昇を禁止する。したがって、シリンダ錠24のレバー241を上方に揺動させて操作爪231を上方に押し上げる操作ができなくなり、中枠92の解錠操作が禁止される。同様に(B)に示されるように、規制ピン402はガラス枠用スライダ33の被規制端部332を係止するので、シリンダ錠24のレバー241を下方に揺動させて操作爪331を下方に押し下げる操作ができなくなり、ガラス枠93の解錠操作が禁止される。規制ピン402は、中枠用規制手段とガラス枠用規制手段とを兼用した規制部材である。
【0032】
次に、解錠操作を許容するための規制ピン402の解除方法について説明する。モータ5による駆動あるいはサブシリンダ錠61の回動操作により、ロッキングレバー4は反時計回りに揺動し、規制ピン402は案内窓922の右方に移動する。すると、中枠用スライダ23及びガラス枠用スライダ33の係止が解除され、シリンダ錠24の解錠禁止状態が解除される。
【0033】
次に、制御部7について、図6を参考にして説明する。図6は制御部7の構成及び接続方法を説明する図であり、破線は情報の流れを示している。制御部7は、認証用端末71、セキュリティー認証装置72、中枠用スイッチ73、ガラス枠用スイッチ74、制御本体部75で構成されている。認証用端末71は、中枠92前面に設けられており、入力された指紋あるいは電子キーなどの認証用情報を読みとり、セキュリティー認証装置72に伝送するものである。セキュリティー認証装置72は、伝送された認証用情報を、あらかじめ設定された個人情報と比較照合し、照合結果を制御本体部75に通知するものである。なお、あらかじめ設定する個人情報は、解錠操作を行う正当な係員の情報である。中枠用スイッチ73及びガラス枠用スイッチ74は、中枠92とガラス枠93の開閉状態をそれぞれ検出し、制御本体部75に通知するものである。制御本体部75は、通知された照合結果に基づいて解錠可否を判定した後に解錠を許容あるいは禁止するために、さらには枠92、93の閉じた後に解錠を禁止するために、モータ5を制御する。制御本体部75には、マイクロコンピュータを応用した電子制御装置が用いられている。
【0034】
次に、実施例の遊技機用施錠装置1の操作方法、作用について、図7を参考にして説明する。図7は、ガラス枠93の開閉操作フローを説明する図であり、括弧付きの番号は以降の説明中の記載に対応している。なお、中枠92の開閉操作フローも同様であるため、説明は省略する。
【0035】
遊技機9のガラス枠93を開きたい場合、係員はまず認証用端末71に認証用情報を入力する(1)。例えば、認証用端末71に指先で触れて指紋情報を読みとらせる。あるいは電子キーを挿入して電子情報を読みとらせる。すると、セキュリティー認証装置72は、読みとった認証用情報を設定済みの個人情報と比較照合する(2)。照合結果が正当であれば(3)、制御本体部75は、モータ5を駆動して規制ピン402を解除し、解錠禁止状態を解除する(4)。照合結果が不当であれば(3)、再度認証用情報の入力を待機する。解錠操作が許容されると、係員はシリンダ錠24を回動操作することができ、フック31が受け部材を解放して解錠され(5)、ガラス枠93を開くことができる(6)。作業が終了して、係員がガラス枠93を閉じると、フック31が受け部材を係止して施錠される(7)。すると、ガラス枠用スイッチ74が、ガラス枠93の閉状態を検出して、制御本体部75に通知する(8)。制御本体部75は、モータ5を駆動して規制ピン402を駆動し、ガラス枠用スライダ33を係止して解錠操作を禁止する(9)。
【0036】
上述の開閉操作フローに説明されるように、本実施例では普段は電気的解除手段が優先して用いられる。しかしながら、電源が供給されていない場合には、(2)〜(4)の操作が行われない。このときには、サブシリンダ錠61を回動操作することによって、規制ピン402が解除されて、シリンダ錠24が操作できるようになる。
【0037】
また、不特定者が認証用情報を入力しても、(3)で不当と判定されるため、(4)に到達しない。したがって、仮に合い鍵や不正な操作でガラス枠用スライダ33を動かそうとしても、規制ピン402がこれを禁止するので、解錠されない。つまり二重の防犯機能により、高い防犯性能を維持することができる。
【0038】
なお、図8に示されるように、サブシリンダ錠61を覆うカバー部材65を設けてもよい。カバー部材65は、サブシリンダ錠61の前面に設けられ、中枠92にねじ止めされている。したがって、常時はサブシリンダ錠61の前面からの回動操作は行えず、機械的解除手段6は非常用として用いられる。
【0039】
また、実施例とは逆に、受け部材を中枠92に設け、フック、リンク棒、スライダ及びシリンダ錠を外枠91に設ける態様とすることもできる。さらに、外枠91に対する中枠92の閉操作もしくは中枠92に対するガラス枠93の閉操作をアシストするアシスト装置を適宜設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】遊技機の一般的な構造を説明する図である。
【図2】本発明の実施例の遊技機用施錠装置を説明する図であり、(A)は施錠装置を右前方からみた斜視図、(B)は施錠装置を右後方からみた斜視図である。
【図3】図2の実施例の下方の要部を説明する図であり、(A)は右側面図、(B)は裏面図である。
【図4】図3の右側面図を補足する図であり、(A)はロッキングレバー及びモータの構造を、(B)はロッキングレバー及び解除用スライダの構造を、それぞれ示している。
【図5】図3の右側面図中の部材を一部省略した図であり、(A)は中枠の解錠禁止状態、(B)はガラス枠の解錠禁止状態、をそれぞれ示している。
【図6】図2の実施例において、制御部の構成及び接続方法を説明する図である。
【図7】図2の実施例において、ガラス枠の開閉操作フローを説明する図である。
【図8】サブシリンダ錠を覆うカバー部材を説明する図である。
【符号の説明】
【0041】
1:施錠装置
2:中枠用施錠手段
21:中枠用フック 22:中枠用リンク棒
23:中枠用スライダ
24:シリンダ錠 25:係止手段
3:ガラス枠用施錠手段
31:ガラス枠用フック 32:ガラス枠用リンク棒
33:ガラス枠用スライダ
4:ロッキングレバー
401:枢支部 402:規制ピン
403:解除ピン 404:はす歯ギヤ
5:モータ(電気的解除手段)
501:出力軸 502:ウォームギヤ
6:機械的解除手段
61:サブシリンダ錠 62:解除用スライダ
621:解除孔 65:カバー部材
7:制御部
71:認証用端末 72:セキュリティー認証装置
73:中枠用スイッチ 74:ガラス枠用スイッチ
75:制御本体部
9:遊技機
91:外枠 92:中枠 929:取付板
93:ガラス枠 94:枢支部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の外枠と、該外枠に開閉可能に枢支される中枠と、を機械的に施錠する施錠手段と、
該施錠手段の解錠操作を機械的に禁止あるいは許容する規制手段と、
該規制手段により該施錠手段の解錠操作を禁止された禁止状態を電気的に解除する電気的解除手段と、
該規制手段による該禁止状態を機械的に解除する機械的解除手段と、
を備えることを特徴とする遊技機用施錠装置。
【請求項2】
前記施錠手段は、前記外枠と前記中枠のいずれか一方に設けられた被係止部材と、他方に設けられて該被係止部材を係止あるいは解放する係止部材と、機械的な操作により該係止部材を駆動するシリンダ錠と、を有し、前記規制手段は、該係止部材と該被係止部材とを係脱する該シリンダ錠の解錠操作を禁止あるいは許容する規制部材を有する、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記電気的解除手段は、前記規制部材を駆動して前記係止部材と前記被係止部材とを係脱可能とするモータあるいはソレノイドと、該モータあるいは該ソレノイドの電源を制御するセキュリティー認証装置と、を有する請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記機械的解除手段は、前記規制部材を駆動して前記係止部材と前記被係止部材とを係脱可能とする機構部と、機械的な操作により該機構部を駆動するサブシリンダ錠と、を有する請求項2に記載の遊技機。
【請求項5】
前記サブシリンダ錠を覆うカバー部材を備える請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記外枠または前記中枠に開閉可能に枢支されるガラス枠と、該中枠と、を機械的に施錠する第二施錠手段を備え、前記規制手段は該第二施錠手段の解錠操作を機械的に禁止あるいは許容する第二規制手段を兼用する請求項1〜5のいずれかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−86485(P2008−86485A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−269549(P2006−269549)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)
【出願人】(598023126)エィ・ケィ・ケィ・エム株式会社 (23)
【Fターム(参考)】